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大成、埼玉栄、東大阪大敬愛、沖学園の「四つ角」が他を引き離す。アップセット要素孕むワントップ型チームでは桐蔭学園に注目・全国高等学校柔道選手権女子展望

(2014年3月19日)

※ eJudo携帯版「e柔道」およびeJudoメルマガ版3月19日掲載記事より転載・編集しています。
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全国高等学校柔道選手権女子展望
大成、埼玉栄、東大阪大敬愛、沖学園の「四つ角」が他を引き離す。アップセット要素孕むワントップ型チームでは桐蔭学園に注目
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優勝候補筆頭にあがる大成高。写真は13年インターハイ時の鈴木、鍋倉、中江

■有力校

先鋒52kg級、中堅63kg級、大将無差別とポジション別に体重別制限のある今大会は各校の出場選手が既に発表されている。この3ポジションで、上位対戦を戦い抜ける強豪選手を複数枚保有しているかどうかが、優勝を狙えるチームかどうかの分水嶺。

この観点からすると今回のシード順はまことに妥当。「四つ角」を占めたAシード校4チームが他チームを一段引き離しているという戦力構図がハッキリ見て取れる。

その中で第1シードに推されたのがインターハイ3位の大成高(愛知)。陣容は先鋒から順に黒木七都美、鍋倉那美、中江美裕。バックアッパーに70kg級に階級を上げた鈴木伊織が入るという強力布陣だ。

昨年中学以下のタイトルを総ナメにしたこのチームはレギュラー3名全員が全国大会で優勝を狙えるレベルにありもっとも戦力的な凹凸が少ない。63kg級全中王者で内股の切れ味抜群の鍋倉、70kg級ながら皇后盃東海地区予選で優勝を果たしたばかりの中江、13年全日本カデ準優勝の黒木七都美という陣容はまさしく第1シードにふさわしい。

70kg級の中江が無差別枠でどれだけの得点力を発揮できるのか、中学時代試合が縺れると早い段階でリスク回避の潰れ合いに雪崩れ込んでしまう傾向のあった黒木がそのメンタル的な課題を克服できているか、中学時代まであまりに早い段階での一本勝ちが多かった鍋倉が高校入学以降陥った投げ技の「一本」率の低下から陥った停滞を乗り越えることが出来ているのか、とそれぞれ不安材料はあるが、「3枚揃えている」こと自体が生む強さがこのチーム最大のストロングポイント。ほかに3枚を確実に揃えたチームが皆無の中、相手の弱点ポジションに着実に刃を入れて勝ち抜いていけるだけの戦力の厚みがある。上記の懸念に対しても、もともと重量級に対して負けない力のあった中江が皇后盃を通じてむしろ大きい選手との相性の良さを示していること、鍋倉が冬季に足技や内股以外の投技を集中強化して上昇機運を掴んでいること、黒木がリスク回避の性癖を指摘されて徹底的に前に出る稽古を積んでこれを克服しつつあること、とそれぞれ具体的な解決策が見えていることも買い。優勝候補の筆頭に挙げておくべきだろう。

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埼玉栄高を牽引する1年生エースの冨田若春

インターハイ王者の埼玉栄高(埼玉)も四つ角シードを確保。こちらは今大会の団体戦中最強の大ゴマと目される無差別枠の超級選手冨田若春という絶対のエースを軸に、先鋒枠に48kg級全日本カデ王者の常見海琴を配し、中堅には柴田理帆と泉雅子の57kg級2枚を置く。
大雪で学校行事の日程が狂い、「稽古がまともに積めていない」(本松好正監督)という事情、先鋒枠のバックアッパー齋藤美穂の負傷など不安要素はあるが、関係者以外から漏れ聞こえる冨田の評判はうなぎ昇り。出色の出来だった昨秋の国民体育大会に迫る出来をイメージしておくべきだろう。前衛2枚が踏ん張れれば大駒・冨田をフルに使っての頂点取りは一気に現実味を帯びる。

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東大阪大敬愛高。写真は斉藤、米沢、池

2年生の池絵梨奈と米沢夏帆、1年生の重量選手斉藤芽衣の12年全国中学大会優勝「香長トリオ」を擁してインターハイでも優勝候補に挙がっていた東大阪大敬愛高(大阪)も順当にAシードを確保。夏までは米沢が57kg級、池が63kg級だったが、それぞれ階級を1階級上げて米沢が63kg級、池は70kg級で団体戦では体重無差別の大将枠に入ることとなった。
強者揃いの63kg級で米沢がどこまでやれるか、担ぎ技に威力を持ち大型選手にも我慢の利く池がどれだけの得点能力を発揮できるか、そして米沢と池が防戦を強いられる力関係の相手と戦うことになった場合に、先鋒に入る三島千賀子が得点役を担えるかどうか、の3つが優勝への課題。

平田勝美監督は「試合では練習以上の力を発揮する」と、ギリギリでの斉藤芽生投入の可能性にも含みを持たせていた。精神的支柱の池を外してチームの踏ん張りが利くかどうかは疑問だが、対戦相性によってはこれは相当効果の高いオプションになりうるはず。
まずは63kg級での米沢、無差別枠での池、そしてキーパーソンの三島の戦闘力を見守るべく、序盤戦を注視したい。

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インターハイ3位の沖学園高、エースを張るのは永瀬貴子

第2シードを勝ち取ったのはインターハイ3位入賞の沖学園高(福岡)。前年度王者敬愛高を福岡県予選準決勝で下しての全国大会だ。大会レギュレーションに戦力構成が噛み合い、先鋒に52kg級全日本C強化選手の山本玲奈、無差別枠には同じく70kg級C強化選手でインターハイ3位の原動力となった強者永瀬貴子を置く。63kg級枠にはインターハイでレギュラーを務めた多田隈玲菜に宮宇地朱菜とタイプの違う選手2人がおり、78kg超級の山本絵玲奈も合わせて5人全員の実力が高い。全員沖学園中からたたき上げてきたメンバーでチームワークもあり、実力発揮の要素は整っている。

とここまでが優勝への最短距離にあるチーム。本命大成、対抗が埼玉栄、沖学園、東大阪大敬愛というところが妥当な評価になるだろう。

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嶺井美穂を押し立てて上位進出を狙う桐蔭学園高

Bシード4校のうち、もっとも上位食いの要素を色濃く持つのが桐蔭学園高(神奈川)。その因は言うまでもなく1年生エース・嶺井美穂の存在だ。腰が強く、投げの威力に寝技の強さ、勝負勘と揃ったこの選手は63kg級ながら大型選手を「上から目線」で叩き伏せるだけの地力の高さもあり、代表戦まで織り込んで周囲が粘りきれば、「最後まで勝ちきる」ことすら想起することが可能。今大会最大のジョーカーだ。神奈川県予選を見る限り周辺戦力にもこの戦い方はしっかり浸透しており、この我慢が全国でも発揮できるかどうか。
そして嶺井は抜群の得点力の一方、ファーストアタックで凌がれると急激に攻撃意欲が減退してしまうという悪い癖、またメンタルが悪い方向に振れた際に修正に時間が掛かってしまうという浮き沈みの激しさがある。いずれも心の問題と総括されるこの弱点に対してどういうアプローチを試みて試合に臨むのか、これがひとつ大きな課題だ。序盤戦で乗れるかどうかがカギ。

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帝京高のエース西尾直子

帝京高(東京)もワントップチーム、チームを率いるのは57kg級カデ王者西尾直子だ。現在の西尾は圧倒的な技数とそこに織り交ぜる取り味のある一撃、最終ステップとしての固技を駆使して勝ちきるという「試合に強い選手」というここ1年の傾向をさらに強めており、ここでの一点獲得は現実的。強者ひしめく63kg級枠の上位対戦でどこまでこの試合力の高さを発揮できるか、無差別枠で出場する108kgの1年生荒谷莉佳子がどこまで強気に試合を運び、試合をまとめられるかが課題。

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井上、小川と粘り強い選手を揃えた創志学園

こうしたワントップチームに対して選手全体の総合力の高さで勝負するのが創志学園高(岡山)。大将の井上あかり、そして中堅での起用濃厚な小川寧々としぶとい選手を揃え、どのチームから見ても厄介な相手。

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新田高を引っ張る佐藤史織と奥本華月

インターハイ2位の新田高(愛媛)もシード入り。中心選手は中堅の佐藤史織だが、井上愛美や月波光貴穂といった大型選手を擁して上位を伺い続けたここ数年から見ると全体としては少々スケールダウンの感。期待は大将奥本華月の成長。インターハイでは頼もしいパワーファイトの一方で意外な脆さを見せていた選手だが、この人が新田の猛稽古で力を伸ばしているようであれば一気に上位食いの可能性が広がってくる。

シードからは漏れたが、松商学園高(長野)と夙川学院高(兵庫)も力を持ったチーム。

松商学園は津金恵と出口クリスタというスター2人が抜けたが、昨年から団体戦にも度々出場した小野華菜恵を中心に好チームを作り上げてきた。小野は70kg級だが担ぎ技が得手で、格上の大型選手にも戦闘ロジックをしっかり持っていて計算が立つ。不安材料は昨年この大会でもレギュラーを務めて準優勝に貢献した先鋒武居沙知を1月の予選で起用していないこと。武居が昨年並みのパフォーマンスを発揮すれば入賞も視野に入れられるはずだ。中堅原琳々子も含めた3人で我慢のしどころと取りどころをしっかり見極めて戦いたいところ。

夙川学院は持ち前の粘り強さと戦術性の高さでここ数年上位校を苦しめてきたチーム。世界カデ57kg級2位の村上栞菜を52kg級にコンバートさせてこの大会に備えている。

昨年ベスト8入賞の原動力となった78kg級の強者新垣さつきが残った沖縄尚学高(沖縄)も前評判が高い。大成の中江同様、超級選手に我慢が利く畠石香花を擁する土浦日大高(茨城)も注視しておきたい。

■組み合わせ

前述の通り四強が綺麗にAシードに分かれ、Bシードチームの側に手ごたえのある「刺客」がそれぞれ配されることとなった。上位が出揃うまでの段階での波乱要素が極めて少ない、穏当な組み合わせだ。

【Aブロック】

Aシード:大成高(愛知)
Bシード:帝京高(東京)

大成が順当に準々決勝まで勝ち上がり、帝京と夙川学院が3回戦でその挑戦権を争うという様相となりそうだ。

帝京-夙川は後ろ2枚の厚さと、夙川が得意とする泥臭い消耗戦に帝京が十分な耐性があることを織り込んで帝京の勝利を推したい。

準々決勝は先鋒黒木の試合力の高さと、大将中江の「重量級狩り」の戦い方が荒谷の戦闘スタイルに噛み合うであろうことを予想し、大成の勝利と読んでおきたい。ベスト4進出は大成を推す。


【Bブロック】

Aシード:埼玉栄高(愛知)
Bシード:創志学園高(岡山)

埼玉栄の準々決勝進出は規定路線。このチームは勝敗そのものよりここまでの段で波に乗れるような試合を出来るかどうか、その内容が課題になるはずだ。しぶとい藤枝順心高と戦う初戦で「なかなか稽古が出来なかった」という状態からのリカバーぶり、現状の仕上がりが問われる。

逆側の山では創志学園と沖縄尚学が3回戦を争う。ここは総合力で創志学園が勝ち上がって埼玉栄への挑戦権を得る可能性が濃厚。

埼玉栄と創志学園の準々決勝は、埼玉栄の冨田を創志学園の井上が止められるかどうかの一点に試合の行方が掛かる。冨田の得点力とチームに掛かる使命感の強さを買って埼玉栄のベスト4入りを推しておきたい。


【Cブロック】

Aシード:沖学園高(福岡)
Bシード:桐蔭学園高(神奈川)

このブロックも沖学園のベスト8進出はほぼ確実。

逆側の山ではシード校桐蔭学園に松商学園が挑むこととなる。
この試合は面白い。中堅嶺井の得点をテコに勝ちぬけようとする桐蔭学園、何がなんでも先鋒と大将で2点を挙げて試合を終わらせてしまいたい松商学園とそれぞれのテーマが明確、かつ互いの戦力構成がこの意図に噛むからだ。桐蔭学園の先鋒馬場彩子と大将鈴木双葉の我慢、相手の突進に技を合わせることが巧い小野がどこまで自分から攻め込めるか、という2点がみどころ。

準々決勝はいずれが勝ち上がっても、勝負できる手札の多さで沖学園が勝利すると予想したい。

【Dブロック】

Aシード:東大阪大敬愛高(大阪)
Bシード:新田高(愛媛)

東大阪大敬愛高のベスト4進出の可能性が非常に高い。
準々決勝での新田戦における大将戦、池-奥本の試合は池の超級選手との戦い方を見極めるという観点から見逃してはならない一戦。東大阪大敬愛としては先鋒戦で確実に一点を取り、リスクの少ない状態で池に戦わせる状況を作っておきたい。

ここで池に代えて斉藤芽衣を投入という考え方もないではないが、次戦で対戦濃厚な沖学園の大将が池と同じ70kg級で手堅さと一発を併せ持つ永瀬であることを考えると、動くのは難しいはずだ。後半戦を占う意味で見逃せない試合。

【準決勝-決勝】


高い確率で、

大成高 - 埼玉栄高

沖学園高 - 東大阪大敬愛高

という顔合わせが実現するものと思われる。

第1試合、大成と埼玉栄の対戦は先鋒戦と大将戦でともに全国優勝を狙うレベルの強豪同士がマッチアップする。このポジションでの得点を事前に織り込むことは双方にとってなかなか難しい。一方、中堅戦は大成の鍋倉が一段上で、勝利はもちろんここでの確実な「一本」がミッションとなるはずだ。
ということは、周辺2戦のうち、勝負のカギを握るのは先鋒戦と考えるべきだろう。ここが波乱なく引き分けで終わると2戦終了時点で大成が1点をリードしたまま大将戦を迎える可能性が大で、パワーがあってかつ泥臭い試合も厭わない中江がクロージングを志向して戦いを組み立てた場合、冨田が「一本」を取り切るのは至難の技となってしまうからだ。タイスコアでこの試合を迎えて中江が前に出てくる状況、ビハインドを負っていたとしても冨田が「指導」優勢の勝利でも逆転が可能な得点差に収めてこの試合を迎える場合は勝負はどうなるかわからない。大成にとっては手堅い先鋒戦と確実に得点すべき中堅戦、埼玉栄にとっては無理をしなければいけない先鋒戦と少しでもダメージを減殺して試合を終えたい中堅戦、双方が抱えるミッションはこのようになる。

保有戦力の枚数と前2枚の力関係を比較する限り、シナリオとしては大成逃げ切りの確率がもっとも高いのではないか。今期最大の大駒である冨田の力は高く買うが、ここは仮に大成の勝利を推しておきたい。

第2試合は中学時代に「香長中-沖学園中」として全国大会の上位で激戦を繰り広げてきた代の、再戦となる。

この試合、63kg級に階級を上げた米沢と多田隈、70kg級に階級を上げた池と永瀬という強豪対決の結果を予想するのは難しい。先鋒戦の勝敗がそのまま後の2戦の行方を大きく揺るがすことになるのではないか。これはいずれが勝ち上がってもおかしくない、僅差の接戦になるはずだ。

決勝は大成と、沖学園もしくは東大阪大敬愛の対戦ということになる。

いずれが勝ち上がっても、準決勝の大一番を乗り越えた大成が一枚上手の感あり。沖学園と東大阪大敬愛が大成を下すには先鋒戦で先制の一撃を食らわすことが必須と思われ、この観点では沖学園のほうが試合をかき乱す可能性が高いということは言えるが、レギュレーションの噛み合わせと総合力に鑑みて、事前予想の段階では大成初優勝の可能性が非常に高い、ということにしておきたい。

そして、戦力ナンバーワンは大成だが、立ちはだかる埼玉栄には名将本松好正、東大阪大敬愛には策士平田勝美という畳外での戦略家がいる。ターゲットを明らかに定めたときにこれら指揮官がどのような策に打って出るかも、大いに注目して見守りたいところだ。

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