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グランプリデュッセルドルフ各階級概況×詳細(下)

(2014年3月8日)

※ eJudo携帯版「e柔道」およびeJudoメルマガ版2月28日掲載記事より転載・編集しています。
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グランプリデュッセルドルフ
各階級概況×詳細(下)
男子
■81kg級

-ステーィブンスが持ち味発揮し優勝、日本勢2人は入賞なし-

【入賞者】 エントリー40名
1.STEVENS, Travis(USA)
2.MARESCH, Sven(GER)
3.ARSLANOV, Shukhratjon(UZB)
3.WIECZERZAK, Alexander(GER)
5.MAGOMEDOV, Sirazhudin(RUS)
5.SEMENOV, Stanislav(RUS)
7.DUMINICA, Valeriu(MDA)
7.MARGIANI, Ushangi(GEO)


第4シードの柔術ファイター、トラヴィス・スティーブンス(アメリカ)が優勝。2回戦はヤロミール・ムシル(チェコ)の動きを良く捉えてタイミングの良い一本背負投で一本勝ち(2:24)、3回戦は初戦で川上智弘(國學院大職)を破ったドミニク・レゼル(ドイツ)から場外際の大腰で「有効」を奪って優勢勝ち、準々決勝はウサンジ・マーギアニ(グルジア)から強引な一本背負投で「技有」奪取、そのまま横四方固に抑え込むと相手が「参った」をアピール、これも一本勝ちで準決勝進出。

スティーブンスの本領発揮はここから。準決勝のシュラクション・アスラノフ(ウズベキスタン)戦は相手の技の潰れ際に寝技に食いついてあくまで離さずそのまま横四方固で一本勝ち。地元期待の第1シード選手スヴェン・マレシュ(ドイツ)との決勝は序盤に「指導1」を貰うが、直後場外に向けて隅返。相手が崩れたこの時点で両者の体は場外にあったがスティーブンスは動きを止めずに食いつきなおし、さらに隅返で狙った方向とは逆の右にめくり返して横四方固。そのまま一本勝ちで優勝を決めた。

得意の寝技で勝つしかない力関係と、場外であっても動作が継続していれば「待て」がかからない×寝技の展開を長く見極めるという新ルールの特徴2つを十分踏まえた見事な試合。28歳のスティーブンス、会心のゲームだった。

2週間前のグランドスラム・パリはキム・ジェブン(韓国)にピエトリ(フランス)という両世界王者に現在最強選手の呼び声も高いチリキリビリ(グルジア)、それにグランドスラム東京王者の永瀬貴規(筑波大2年)と世界選手権表彰台レベルの選手がズラリと顔を揃えていたが、今大会は決勝カードがマレシュとスティーブンスであったことでわかる通り、どこから切ってもグランプリというレベル。明らかに1段クラスの落ちる印象の大会だった。

しかしその中にあって日本勢の2人はいずれも地元ドイツの選手に敗れて入賞なし。中井貴裕(パーク24)の敗退は主審の不可解な「指導」に振り回されてのものであり、少々気の毒な試合であった。

【日本人選手勝ちあがり】

中井貴裕(パーク24)
成績:2回戦敗退

[1回戦]
中井貴裕○反則[指導4](3:57)△アレキシオス・ンタナツディス(ギリシャ)
 パワーを生かしたい相手に対し突き、いなし、潰して一方的展開。13年世界ジュニア王者を全く寄せ付けず。
[2回戦]
中井貴裕△優勢[指導3]○アレクサンデル・ヴィークツェルツァク(ドイツ)
 前に出続ける中井に対して相手は掛け逃げ気味の片手の背負投を連発。しかし地元の大歓声に押されたか主審は逆に中井に「指導」を宣告し続ける。ヴィークツェルツァク、最後はジャンプする勢いで後ろに下がる有様だがそのまま試合終了。「指導」1個の差で中井の敗退決定。選手が気の毒な試合。

川上智弘(國學院大職)
成績:1回戦敗退

[2回戦]
川上智弘△肩車(1:13)○ドミニク・レゼル(ドイツ)
 「指導」3つを受け、相手のペースのまま試合終了。

■90kg級

-イリアディス悠々優勝、西山大希は一瞬の隙突かれ準決勝敗退も3位入賞果たす-

【入賞者】 エントリー29名
1.ILIADIS, Ilias(GRE)
2.VAN T END, Noel(NED)
3.GOGOTCHURI, Zviad(GEO)
3.NISHIYAMA, Daiki(JPN)
5.BUFFET, Romain(FRA)
5.GROSSKLAUS, Ciril(SUI)
7.DONIYOROV, Erkin(UZB)
7.VOPROSOV, Kirill(RUS)

81kg級同様、世界王者クラスがズラリと顔を並べたグランドスラム・パリの余波を受けて主役級選手はことごとく不在。元々ランキング中位に強豪がギッシリひしめくハイレベル階級ではあるが、第2シードがランキング12位のマルク・オーデンタール(ドイツ)である時点でトーナメントのレベルは押して知るべし。エントリー選手も29名に留まり、豪華極まりないラインナップであったパリ大会に比べると明らかに一段落ちるトーナメントとなった。

そんな中、パリ大会を回避して今大会にエントリーした今大会唯一のスター選手イリアス・イリアディス(ギリシャ)が悠々優勝を飾った。2回戦こそベカ・グヴィナシビリ(グルジア)に手を焼いてGS延長戦大内返「有効」での勝利だったが、準々決勝はシリル・グロスクラウス(スイス)に背負投と釣腰の合技で「一本」(1:59)、準決勝はロマン・ブフェ(フランス)に横四方固「一本」(3:32)と危なげのない勝ち上がり。ダークホースのノエル・ファンテンド(オランダ)と戦った決勝は右相四つの相手に対して圧倒的優位を保ちながらも袖口を絞る反則を2度受けるミスを犯して2分32秒の時点で「指導3」対「指導3」のタイスコア。しかし以降は釣り手で相手の背中を深く握っての大腰、釣腰でペースをつかみ、残り21秒に突如ギアを上げて鋭い右内股。あまりのスピードの落差に相手はたまらず一回転、これは「技有」宣告も回りすぎたとのことで「有効」に変更となったが大勢には影響なし。そのまま「有効」優勢で勝利して優勝を決めた。

小差の試合もこそあったが全戦通じてイリアディスが焦った場面はなく、大枠余裕を持っての勝利という印象だった。トップコンディションでないことは明らかだが、ここが勝負どころと一瞬「本気」を出した決勝の内股はそれまでと全く段が違うスピード、圧力中心のゆったりしたペースに慣らされていた相手は全く対応できなかった。潜在能力、最高到達点の相変わらずの高さを垣間見せた試合と評したい。

トーナメント参加者中、唯一「名前」でイリアディスと唯一張れる存在が日本の西山大希(新日鐵住金)。膝の手術からの復帰途上にある西山にとっては現時点でどこまで出来るかチャレンジの大会だったが、見事表彰台を確保して3位入賞を果たした。
もう1試合勝ち抜けばイリアディスとの対戦に辿り付けるところだったが惜しくも準決勝で敗退。ファンテンドを相手に残り15秒まで「指導1」をリードしていたが、右組みのファンテンドが突如放った左小内巻込に転がって一本負け。東京世界選手権決勝、パリ世界選手権決勝の再現となる対戦はお預けとなった。

とはいえ、怪我なく試合を終えて3位入賞は復帰途上の現時点では及第の結果と言えるだろう。今後に光が見えてきた印象だ。

【日本人選手勝ちあがり】

西山大希(新日鐵住金)
成績:3位

[1回戦]
西山大希○棄権△エンリケ・ショアオ(アンゴラ)

[2回戦]
西山大希○優勢[技有・内股]△マルク・オーデンタール(ドイツ)
 内股で「技有」先取、支釣込足で「有効」を追加して勝利。第2シード選手を相手にせず順調な滑り出し。

[準々決勝]
西山大希○優勢[指導1]△キリル・ヴォプロソフ(ロシア)
 勝負どころのヴォプロソフ戦、「指導1」差で勝ち抜け。

[準決勝]
西山大希△小内巻込(4:45)○ノレル・ファンテンド(オランダ)
 残り15秒まで「指導1」リードも、ここで相手が左小内巻込。組み手と逆の技に戸惑ったかまともに食ってしまい一本負け。

[3位決定戦]
西山大希○優勢[有効・払腰]△シリル・グロウスクラウス(スイス)
 大外刈で思い切り投げるが回転がつきすぎ「有効」。その後の内股も回し過ぎてノーポイントとなるが危なげなく勝利。

■100kg級

-乗ってるコヘア、ツブシンバヤル撃破で2週連続優勝

【入賞者】 エントリー18名
1.CORREA, Luciano(BRA)
2.RAKOV, Maxim(KAZ)
3.BUZACARINI, Rafael(BRA)
3.NAIDAN, Tuvshinbayar(MGL)
5.FREY, Karl-Richard(GER)
5.SAMOILOVICH, Sergei(RUS)
7.PFEIFFER, Dino(GER)
7.REMARENCO, Ivan(UAE)

第2シードに座った31歳の大ベテラン、2007年リオ世界選手権王者ルシアーノ・コヘア(ブラジル)が見事優勝。2回戦はジョン・ジェイン(アメリカ)を「指導4」の反則、準々決勝はディーノ・ファイファー(ドイツ)を「指導3」、準決勝は北京五輪金メダリストのナイダン・ツブシンバヤル(モンゴル)を「指導2」で下して決勝進出。決勝は第3シードの09年ロッテルダム世界選手権王者マキシム・ラコフ(カザフスタン)と対戦予定だったが、ラコフは準決勝でカールリヒャード・フレイ(ドイツ)と戦った際に負傷(試合はラコフが片手絞で一本勝ち)、この試合を棄権して戦わずしてコヘアの優勝が決まった。

コヘアは前週のヨーロッパオープン・オーバーヴァルトに続く2週連続の優勝。
2010年7月のグランドスラム・モスクワ以降IJFワールドツアーでの優勝がなく(2011年世界軍人選手権、2013年3月パンナムオープンブエノスアイレス、2013年3月南米選手権で1位の実績あり)、2013年は世界選手権も2試合で敗退、11月に出場したグランプリアブダビでも初戦敗退と苦戦が続いていたが、2014年になって調子が上がっているようだ。この日の勝ち上がりは3戦全てが「指導」奪取による優勢での勝利、4戦3一本勝ちだったヨーロッパオープンのようにはいかなかったが、ベテランらしい勝負強さを見せた大会だった。

ラコフは前週熊代佑輔に初戦敗退を喫し巻き返しを図る大会だったが、不運な負傷で2位に留まった。とはいえ準々決勝ではロシアの2番手セルゲイ・サモイロビッチ(ロシア)を下し(「指導2」対「指導3」)、さらに準決勝では売り出し中のフレイを一蹴しておりしっかり強さを見せた形。

昨年9月から11月のグランプリ4大会で2度の優勝、2度の3位を記録して注目されながらグランドスラム・パリでは相手の顔面を殴って反則負けという不名誉な結果に終わっていたフレイは地元で再開を期したが、前述の通り準決勝敗退。3位決定戦もラファエル・ブザカリニ(ブラジル)に背負投「有効」からの腕緘に捕まり一本負け。5位に沈んだ。

日本の増渕樹(旭化成)は初戦敗退。ケンカ四つのアレクサンドル・ムシュカラドゼに大内刈「有効」、さらに終了間際の大外巻込「一本」と連続で食らって良いところを出せないままトーナメントから脱落。次戦でラコフ、次々戦でサモイロビッチという強豪と戦う大チャンスを逸した。

【日本人選手勝ちあがり】

増渕樹(旭化成)
成績:1回戦敗退

[1回戦]
増渕樹△大外巻込(4:46)○アレキサンドル・ムシュカラドゼ(グルジア)
ケンカ四つ。組み手争いで終始劣勢「指導2」を失う。大内刈が入るも、ポイントならず、逆に大外刈で「有効」を奪われる。終盤、釣手を張っていったん距離を取ろうとしたところに大外巻込を合わされ、一本負け。

■100kg超級

-久々現出の「表の上川」、落ち着いた戦いで役者揃ったトーナメントを制す

【入賞者】 エントリー19名
1.KAMIKAWA, Daiki(JPN)
2.JABALLAH, Faicel(TUN)
3.OKRUASHVILI, Adam(GEO)
3.SILVA, Rafael(BRA)
5.HARASAWA, Hisayoshi(JPN)
5.MATIASHVILI, Levani(GEO)
7.BREITBARTH, Andre(GER)
7.KRAKOVETSKII, Iurii(KGZ)

2010年東京世界選手権無差別王者上川大樹(京葉ガス)が充実の柔道で優勝。
リネール(フランス)こそ出場していないものの、シウバ(ブラジル)、オクルアシビリ(グルジア)、ヤバラー(チュニジア)などリネールを追う勢力の主役たちがほぼ顔を揃えたハイレベルトーナメントを制して久々存在感を見せた。

この日の上川は終始落ち着いた試合を披露。1回戦はケンカ四つのスヴェン・ハインル(ドイツ)に粘られたが4分31秒タイミングの良い出足払を入れて一本勝ち、2回戦はケンカ四つのロイ・メイヤー(オランダ)から引き出しの右内股「技有」、さらに相手の支釣込足を振り返して浮落「技有」を奪って合技で一本勝ち、最大の勝負どころと思われたラファエル・シウバ(ブラジル)との準々決勝は「指導1」を先行されたがキッチリ組んで投げの間合いを測るうちにシウバが焦り、思わず仕掛けた右大外刈を狙い済まして刈り返し大外返「一本」で勝ち抜け。準決勝はレヴァニ・マティアシビリ(グルジア)を組み合うなりの内股「技有」から袈裟固に繋いで僅か25秒の合技「一本」で下し、決勝は石井竜太と原沢久喜(日本大3年)ともっか日本選手に2連勝中の世界選手権銅メダリスト・ファイセル・ヤバラー(チュニジア)を「指導4」で破って優勝決定。見事自身初のIJFワールドツアー優勝を成し遂げた。

苦戦がディフォルトとなりつつあった最重量級の日本勢だが、グランドスラムパリの七戸龍、そして今大会の上川となんと欧州主要2大会を立て続けに制覇。「リネール以外」には十分手が届く位置まで辿り着いたことが証明された形だ。
世界選手権でのメダル確保の確率を考えるのであれば強豪がギッシリひしめく他階級よりも、むしろこれまで弱点とされてきた超級に「2枠」の行使を考えるべきではないか。そう進言したくなる日本勢の好結果と、シード選手たちの相変わらずの意外なまでの脆さであった。

12月末に右膝を負傷、それでも「ここで世界の強豪と戦っておきたい」と周囲の制止を振り切って強行出場した原沢久喜は3位入賞。2回戦でミハイリン(ロシア)に「指導4」、準々決勝でワールドマスターズ王者のオクルアシビリに「指導2」優勢と、持ち技のほどんどがまともに使えない状況ながら超強豪2人を破る健闘を見せたが、準決勝ではヤバラーに「指導3」対「指導2」で敗退。3位決定戦もシウバに両襟の内股で崩され「有効」を失って敗れ、5位に留まった。

【日本人選手勝ちあがり】

上川大樹(京葉ガス)
成績:優勝

[1回戦]
上川大樹○出足払(4:31)△スヴェン・ハインレ(ドイツ)
 ケンカ四つ。組み合っては掛け潰れる相手の戦い方に手を焼くが、タイミングの良い出足払で一本勝ち。

[2回戦]
上川大樹○合技(2:58)△ロイ・メイヤー(オランダ)
 ケンカ四つ。引き出しながらの右内股で「技有」、相手の支釣込足を振り返して浮落「技有」。

[準々決勝]
上川大樹○大外返(2:34)△ラファエラ・シウバ(ブラジル))
 相四つ。「指導1」差ビハインドも組み続けることで追い詰め、右大外刈を刈り返して「一本」。
 
[準決勝]
上川大樹○合技(0:25)△レヴァニ・マティアシビリ(グルジア)
相四つ。組み合うなり引き出しながらの右内股で「技有」、そのまま袈裟固で一本勝ち。前戦のシウバ戦という山場を良い形で越えて、乗ってきた印象。

[決勝]
上川大樹○反則[指導4](3:32)△JABALLAH, Faicel(TUN)
 相四つ。序盤から釣り手が良く動き、支釣込足で相手の右足を蹴って崩す攻撃を続ける。1分半にやや不可解な「指導1」を受けるが、組んでは崩されることの続いたヤバラーが根負け、立て続けに偽装攻撃の反則を犯し「指導3」まで宣告。3分32秒双方に「指導」が宣告され、「指導2」対「指導2」で試合終了。

原沢久喜(日本大3年)

[2回戦]
原沢久喜○反則[指導4](3:53)△アレクサンダー・ミハイリン(ロシア)
 
[準々決勝]
原沢久喜○反則[指導2](3:53)△OKRUASHVILI, Adam(GEO)
 裏投げの得意な巨漢オクルアシビリを、引き出して体の外側で回す内股で再三崩す。右膝の不安か攻撃やや単調、後半には慣れられた感ありだが、「指導2」対「指導1」で快勝。

[準決勝]
原沢久喜△優勢[指導3]○ファイセル・ヤバラー(チュニジア)
 組み手で優位に立ち果敢に攻め込むが、主審は立て続けに原沢に「指導」を宣告。不可解な判定に泣く。

[3位決定戦]
原沢久喜△優勢[有効・内股]○ラファエラ・シウバ(ブラジル)
 相四つ。シウバが奥襟を叩いて前に出、「指導2」獲得。原沢は直後大外刈と内股で山を作るが継続できず3分29秒「指導3」失陥。残り48秒、勝負に出たところを両襟の右内股で崩され「有効」失陥。試合終了。

女子
-ラバジナが圧勝、阿部、ファンエムデン、ゲルビの主役3人を下す-

【入賞者】 エントリー40名
1.LABAZINA, Marta(RUS)
2.GERBI, Yarden(ISR)
3.ABE, Kana(JPN)
3.VAN EMDEN, Anicka(NED)
5.TRAJDOS, Martyna(GER)
5.UNTERWURZACHER, Kathrin(AUT)
7.BELLARD, Anne-Laure(FRA)
7.DREXLER, Hilde(AUT)

リオ世界選手権王者ヤーデン・ゲルビ(イスラエル)、阿部香菜(三井住友海上)、アニカ・ファンエムデン(オランダ)と階級の顔と言える強豪が終結する中、ノーシードのマルタ・ラバジナ(ロシア)がこの3人を立て続けに下して優勝。

ラバジナは1回戦でハンナ・マーティン(アメリカ)を「指導4」で下すと、2回戦はニナ・ミロセビッチ(スロベニア)に「指導3」対「指導1」の反則累積差で優勢勝ち。ここまではブレイクの予感が漂うような戦いぶりではなかったが、準々決勝では阿部香菜の左小内刈を透かすなり抱きつきの右小外掛、巧さと思い切りの良さ、体の強さを見せ付ける大技で「一本」奪取を果たす。この一本勝ちで波に乗り、準決勝ではファンエムデン得意の一本背負投を潰して横四方固で一本勝ち。ゲルビとの決勝はケンカ四つの相手に対し開始早々両袖の右体落で尻餅をつかせてペースを掴むと、「指導2」奪取後の2分43秒に相手の右大腰を左に振り返して「技有」奪取。ゲルビは必死に反撃を試みるが3分12秒には肩越しの組み手を長く続けてしまい決定的な「指導3」失陥。ラバジナは体の強さをベースにタイムアップまでペースを取り続けて優勝を決めた。

ラバジナは26歳、昨年欧州選手権2位、ユニバーシアード3位に入賞しているがこれまでIJF主催大会での優勝歴はなく、リオ世界選手権もトラジドス(ドイツ)に敗れて2回戦敗退、10月のグランプリ青島もローランキング選手に2敗して7位と、率直に言って目立つ選手ではなかった。ロシアはエツィオ・ガンバが13年から女子のヘッドコーチも兼ねることとなり、リオ五輪に向けて強化中。その中で頭角をあらわしてきたラバジナは52kg級のクズティナ同様、集中強化を浴びる立場にあるはずだ。今後目を離してはいけない選手。

阿部は前述の通り準々決勝で苦杯を喫したが、敗者復活戦と3位決定戦を勝ち抜いて表彰台は確保。ファンエムデンも3位決定戦でウンターヴルツァハー(オーストリア)を下して3位に入った。

グランドスラム・パリでブレイクしたフランスの長身選手、ベテランのアンロール・ベラルは「指導4」勝利を2つ並べて準々決勝まで進んだが、マルティナ・トラジドス(ドイツ)を相手に「指導2」をリードしながら終了間際に小内刈で「有効」を失って逆転負け。敗者復活戦も自身の技がスッポ抜けたところをウンターヴルツァハーに崩袈裟固に抑え込まれて敗退、7位に終わった。以後も国際大会への派遣はありそうだが、圧力の割に取るべき技に欠け、上位常連となるには難しい印象だ。

【日本人選手勝ちあがり】

阿部香菜(三井住友海上)
成績:3位

[1回戦]
阿部香菜○大外刈(2:36)△キム・セルジ(韓国)
 相四つ横変形、終始攻める。相手の小外刈を切り返して左大外刈、見事な「一本」。

[準々決勝]
阿部香菜△小外掛(3:36)○マルタ・ラバジナ(ロシア)
 左小内刈を透かされたところに、抱きつきの右小外掛を食らう。「一本」。

[敗者復活戦]
阿部香菜○崩袈裟固(2:04)△ヒルデ・ドレクスラー(オーストリア)
 相手が膝を着いたところからすかさず寝技に持ち込む。引き込んでめくり返し「一本」。

[3位決定戦]
阿部香菜○腕挫脚固(4:06)△マルティナ・トラジドス(ドイツ)
 左小内刈、膝車と足技を繋ぐとトラジドスが膝をついて崩れる。すかさず寝技に持ち込み、絡まれた足を抜いて左からの袈裟固。その際膝を押し込もうとした相手の左腕を両足で捕まえ、抑えながら極めると相手が「参った」。

■70kg級

-アフリカ王者ニアンがトーナメント制覇、新井千鶴は悔しい3位に唇噛み締める-

【入賞者】 エントリー18名
1.NIANG, Assmaa(MAR)
2.CONWAY, Sally(GBR)
3.ARAI, Chizuru(JPN)
3.HWANG, Ye-Sul(KOR)
5.BOLDER, Linda(NED)
5.MARZOK, Iljana(GER)
7.GAZIEVA, Irina(RUS)
7.KIM, Seongyeon(KOR)

シード選手は順にラウラ・ファルカスコッホ(ドイツ)、リンダ・ボルダー(オランダ)、キム・センヨン(韓国)、ファン・イスル(韓国)。これに上位候補としてサリー・コンウェイ(イギリス)、新井千鶴(三井住友海上)、イリアナ・マルツォク(ドイツ)らが挙がるという、おなじみのメンバーが揃ったトーナメント。優勝者は少なくとも上記7名のいずれかというところまでは間違いないかと思われていた。

ところが優勝を浚ったのはダークホース中のダークホース、ノーシードのアッスマー・ニアン(モロッコ)。2回戦はザムザグル・ファイゾラノワ(カザフスタン)を横四方固「一本」(2:30)、準々決勝はキム・センヨンを「指導4」で破り(3:10)、準決勝はグランドスラムパリで苦杯を喫したボルダーを相手に奥襟を掴んでその体を固定、場外際の小外掛「一本」(3:10)で撃退。決勝はコンウェイを袈裟固「一本」で下し、全試合一本(1つの「指導4」反則を含む)でIJF主催大会初優勝を勝ち取った。

ニアンは2013年にアフリカ選手権を初めて制した31歳のベテラン。IJF大会に本格参戦し始めたのは2012年からで、冬季~春に掛けて欧州で大会に参加し、以降はアフリカで戦うというペース。2013年の成績はグランドスラムパリ7位、グランプリサムスン2位、世界選手権2回戦敗退(デコスに敗れる)。2014年は1月のヨーロッパオープンカサブランカ2位、グランドスムパリ7位を経て、今大会で優勝。ハイレベル大会の経験が少ない分年齢の割に伸びしろはあると見るべきで、以後も一定以上の警戒が必要だろう。

いずれこの階級は本命のポリング(オランダ)以降は、誰が勝ちあがってもおかしくない大混戦。デコスの引退を受けて、エマヌ(フランス)も1月のヨーロッパ・オープンカサブランカは本来の階級である70kg級で出場しているという情報もあり、世界選手権の勝ち上がりはシード順に大きく影響されることになりそうだ。この階級、日本勢は選考とともに、シード確保も優先順位を上げて留意しておくべきだろう。

グランドスラム東京王者の新井千鶴は優勝ならず。準決勝で自身同様懐の深いボルダーに技が噛み合わず、左小内刈を右小外掛で切り返されて「技有」を失い敗戦。3位決定戦ではキム・センヨンを横四方固で下して3位を確保したが、勝ち名乗りを受けながら唇を噛み締め険しい表情。激戦続く世界選手権代表争いのさなか、なんとしても勝ちたかったはずの今大会でのV逸に悔しさを露にしていた。

【日本人選手勝ちあがり】

新井千鶴(三井住友海上)
成績:3位

[2回戦]
新井千鶴○優勢[指導3]△ハイデ・ウォラート(ドイツ)
 組み手で優位を確保、左大内刈、左内股、左小内刈と攻め続けるがポイントには至らず。「指導」3つを奪って勝利。

[準々決勝]
新井千鶴△優勢[技有・小外掛]○リンダ・ボルダー(オランダ)
 左大内刈、左内股と攻め続けるが懐の深いボルダーの前に力が空回り、ポイントを奪うことが出来ない。脇を差しあった組み手からの左小内刈を右小外掛に切り返され「技有」失陥。

[敗者復活戦]
新井千鶴○横四方固(2:28)△キム・センヨン(韓国)
 背負投を潰して寝技に引き込む。横四方固に固めると相手が「参った」。

[3位決定戦]
新井千鶴○谷落(3:14)△イリヤナ・マルツォク(ドイツ)
 左相四つ。相手が技を仕掛けようと片足になった瞬間、一段早く体を寄せて左小外刈。相手が耐えようとしたところを奥足まで刈り込んで真裏に落とし「一本」。

■78kg級

-23歳のマルツァン、地元で見事優勝飾る-

【入賞者】 エントリー22名
1.MALZAHN, Luise(GER)
2.VELENSEK, Anamari(SLO)
3.POWELL, Natalie(GBR)
3.TCHEUMEO, Audrey(FRA)
5.MALONGA, Madeleine(FRA)
5.ZHANG, Zhehui(CHN)
7.MARANIC, Ivana(CRO)
7.ZIECH, Maike(GER)

23歳のルイーズ・マルツァン(ドイツ)が2013年グランプリ・サムスンに続くIJF国際大会2度目の優勝を達成。2回戦はイリス・レメンを払巻込「技有」からの片手絞「一本」(2:30)、準々決勝はジャーン・ジョアホゥイ(中国)を裏投「一本」(1:49)、準決勝は売り出し中のマデリーン・マロンガ(フランス)を大外返でこれも「一本」(1:13)に沈め、決勝は前戦でオドレイ・チュメオ(フランス)に一本勝ちしているアナマリ・ヴェレンチェク(スロベニア)の座り込みの右小外刈を透かして浴びせ「有効」奪取。そのままタイムアップの声を聞き、「有効」優勢で優勝を決めた。

第1シードのアビゲイル・ヨー(ハンガリー)は初戦で地元のマイク・ジェス(ドイツ)に一本負けで入賞に絡めず。
第2シードのチュメオは前述の通り準決勝でヴァレンチェクに一本負け。3位決定戦はジャーン(中国)に一本勝ちで表彰台は確保した。

グランドスラムパリで大活躍したフランスの2番手マデリーン・マロンガは準決勝でマルツァン、3位決定戦でナタリー・ポウエル(イギリス)と2連続一本負けで5位。チュメオが不調の今大会で再び成績でその上を行けば世界選手権2枠目行使に向けた大アピールとなるはずだったが、中途半端な結果に終わった。

日本選手は佐藤瑠香(コマツ)が出発直前に膝を負傷、この階級での出場選手はなかった。

■78kg超級

-田知本愛が全試合一本勝ちで優勝、オルティスは2敗で7位に沈む-

【入賞者】 エントリー19名
1.TACHIMOTO, Megumi(JPN)
2.KONITZ, Franziska(GER)
3.KUELBS, Jasmin(GER)
3.YU, Song(CHN)
5.POLAVDER, Lucija(SLO)
5.WEISS, Carolin(GER)
7.ANDEOL, Emilie(FRA)
7.ORTIZ, Idalys(CUB)

実力ナンバーワンをうたわれる田知本愛(ALSOK)が全試合一本勝ちで余裕の優勝。第2シードからスタートし、2回戦はアナイド・ムキタリアンから内股と横四方固の合技で一本勝ち(2:16)、準々決勝は昨年のワールドマスターズ王者ユー・ソン(中国)から上四方固「一本」(1:58)、準決勝は地元期待の新鋭、ヨーロッパの「カベ」ヤスミン・クルブス(ドイツ)を両手の操作で回し崩して押し倒し、上四方固に抑えこんで一本勝ち(0:56)。決勝も地元ドイツの第一人者フランジスカ・コニッツを相手にせず内股「技有」から上四方固に移行して2分42秒で一本勝ち。ピンチの場面ゼロのまま、あっさり優勝を決めた。

この日の田知本は早く組んで前に出て、足技で崩しては投げを狙うという文句のない試合内容。満点をつけて良い出来だった。

女子78kg超級はグランドスラム・パリ(山部佳苗)、ヨーロッパオープン・ローマ(山部)、そしてこのグランプリ・デュッセルドルフと日本勢が今期の欧州国際大会の優勝を独占。地力ナンバーワンを証明した格好だ。あとはここ一番で勝利する戦略とコンディション調整の勝負。選手は勿論、強化陣の力量が問われる。

第1シードの世界王者イダリス・オルティス(キューバ)は7位。準々決勝でコニッツの内股からの小内刈を裏投で放ろうとして自爆、一本負け。敗者復活戦では小兵のルチア・ポラウデル(スロベニア)に「指導3」を奪われて敗退した。大会によって出来不出来の差が激しいのはこの人の特徴で驚くには当たらない結果だが、それにしてもあまりに雑な内容の試合だった。

会場を沸かせたのは3位に入賞したクルブスの活躍。3位決定戦ではもと欧州王者ポラウデルと対戦、昨年9月のグランプリ・リエカ決勝ではあっという間の一本背負投で一本負け、自身が典型的な「担ぎ系の小兵に弱い大型選手」であることを露呈することとなった因縁の相手だが、今度は左払腰一閃「一本」で鮮やかな勝利。思わぬアップセットに会場は大盛り上がりだった。

【日本人選手勝ちあがり】

田知本愛
成績:優勝

[2回戦]
田知本愛○合技[内股・横四方固](2:16)△アナイド・ムキタリアン(ロシア)
 両襟を握っての左内股「技有」から横四方固に移行。

[準々決勝]
田知本愛○上四方固(1:58)△ユー・ソン(中国)
 両襟のハンドル技で押し倒し、伏せた相手をめくり返して上四方固。
 

[準決勝]
田知本愛○内股・上四方固(2:42)△ヤスミン・クルブス(ドイツ)
 「指導」を先制して順調な試合運び。両襟の左払腰から左内股に繋ぎ「技有」奪取、上四方固に固めて一本勝ち。階級きっての大型選手を一蹴。

[決勝]
田知本愛○袈裟固(2:23)△フランジスカ・コニッツ(ドイツ))
 左相四つ。支釣込足と出足払で崩し続け、2分3秒に左払腰「有効」を奪う。そのまま袈裟固に抑えこんで一本勝ち。


※ eJudo携帯版「e柔道」およびeJudoメルマガ版2月28日掲載記事より転載・編集しています。
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