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グランプリデュッセルドルフ各階級概況×詳細(上)

(2014年3月6日)

※ eJudo携帯版「e柔道」およびeJudoメルマガ版2月25日掲載記事より転載・編集しています。
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グランプリデュッセルドルフ
各階級概況×詳細(上)
男子
■60kg級

-日本人対決制した志々目徹が優勝、注目のガルスチャンはまたも敗北で3位に終わる-

【入賞者】 エントリー36名
1.SHISHIME, Toru(JPN)
2.OSHIMA, Yuma(JPN)
3.GALSTYAN, Arsen(RUS)
3.LIMARE, Vincent(FRA)
5.IBRAYEV, Rustam(KAZ)
5.SMETOV, Yeldos(KAZ)
7.GRIGORYAN, Aram(RUS)
7.MILOUS, Sofiane(FRA)

ロンドン五輪王者アルセン・ガルスチャン(ロシア)の参戦が階級最大の話題、その出来が会場の注目を集めた。
今期IJFトーナメント初参戦となるガルスチャンは初戦となる2回戦で無名のウル・バクイベク(キルギスタン)に開始早々左背負投で思い切り放られて「有効」を失う意外なスタート。中盤相手が奥襟を叩きに来るところに小内刈を合わせて「技有」奪取、さらに組み際の背負投「一本」でなんとかこの試合を勝利、3回戦はミコス・サルミネン(オランダ)に組み際の体落「一本」(1:08)で勝ち抜け、準々決勝では日本の志々目徹(日体大4年)と対戦した。

この試合は志々目の圧勝。まず場外際の左内股で「有効」を奪うと、残り3分で片襟の「指導」を失うが、ここで試合を動かしに来たガルスチャンが前に出るところを引き寄せながらの左大外刈一閃「一本」で勝負を決めた。

ガルスチャンは敗者復活戦でソフィアン・ミルス(フランス)に「指導3」対「指導4」の反則ポイント差で勝利、続く3位決定戦でルスタン・イブラエフ(カザフスタン)戦を左小内刈「一本」で仕留めて表彰台は確保したものの、明らかに本来の姿にはほど遠い出来。体が仕上がっていないのか受けが軽く、かつその状態のまま近間で組み合うハイコンディション時の柔道を好むために、階級きっての強者どころかむしろ「投げごろの外人」の箱に入るバッドパフォーマンス。五輪王者の印である金色のゼッケンがなければ観客もこの人が世界を制した強者だとは気づかなかったのではないだろうか。

ガルスチャンはスポット参戦のユニバーシアード(2013年7月・木戸慎二に敗れて2位)を経て11月のグランプリ・アブダビ(3位)で復帰。1月末のヨーロッパ対アジア団体戦では高藤直寿に3回投げられて敗れており今大会での出来が注目されていたが、北京-ロンドン期中盤の「世界大会3位から5位くらいの選手」というランクに戻ってしまっている印象。おそらく世界選手権にピークを持ってくることを考えているであろうガルスチャンが今後どう戦い、どうコンディションを上げてくるのか注目したい。

優勝を飾ったのは志々目。2回戦の第3シード者ガンボルド・ケーレン(モンゴル)戦、準々決勝のガルスチャン戦、決勝の大島優磨(国士舘大1年)戦と3つの山場があったが、それぞれ内股「有効」、大外刈「一本」、「指導2」優勢で乗り越え、6試合をこなして優勝。抜群に切れる技を持つ一方で攻めの遅さが度々指摘されてきた志々目、この日もその癖が出る場面はあったが、投げの恐怖を晒して相手を追い詰め、そして投げてポイントを奪うと全試合通じて大枠志々目の良さが出た大会だった。

大島優磨(国士舘大1年)は2位入賞。準決勝での対戦が予想された第1シードのガンバット・ボルドバータル(モンゴル)は早期敗退、力を測れる相手はベテランの試合巧者ジョロエン・ムーレン(オランダ)のみであったが、3回戦で対戦したこの相手には「指導3」を先行された残り25秒から払腰「技有」で逆転し合技の一本勝ち。計6戦5勝、うち3つが「一本」で、かつ3試合が逆転勝ちという勝負強さ。大健闘と評して良い表彰台確保劇だった。


【日本人選手勝ちあがり】

志々目徹(日体大4年)
成績:優勝

[1回戦]
志々目徹○反則[指導4](2:38)△ブァエ・ツゥットカリアン(ベラルーシ)
場外に向かって片襟の背負投で「有効」。以後も圧倒。

[2回戦]
志々目徹○優勢[有効・内股]△ガンボルド・ケーレン(モンゴル)
 ケンカ四つ、相手が腰を寄せてきたところを左内股で跳ね上げ、縦回転に体を捨てて「有効」。

[3回戦]
志々目徹○合技[大外刈・小外刈](1:55)△ユアン・ポスティゴス(ペルー)
 相四つ、組み際の左大外刈で「技有」。続いて相手の左小内刈に合わせて右小外刈で「技有」。

[準々決勝]
志々目徹○大外刈(4:15)△アルセン・ガルスチャン(ロシア)
 相四つ、場外際の内股で「有効」を先制。残り3分で片襟の指導を受けるが、最後は引き出しながらの左大外刈で「一本」。五輪王者を圧倒。

[準決勝]
志々目徹○優勢[指導3]△イェルドス・スメトフ(カザフスタン)
 「指導」3つを奪取、終盤猛攻を受けるが危なげなく勝利。

[決勝]
志々目徹○優勢[指導2]△大島優磨

 左相四つ。大島が組み際に片襟の背負投を仕掛け続けるが1分32秒、主審曖昧なゼスチャーで大島に「指導」を宣告。さらに2分5秒、大島に対し偽装攻撃の判断で2つ目の「指導」が宣告される。以後は大島が両袖で押し込み、志々目が内股で跳ね上げるシーンが数度あり、そのまま時間。


大島優磨(国士舘大1年)
成績:2位

[2回戦]
大島優磨○横四方固(4:31)△ルドヴィック・シャンマルタン(スイス)
 大島左、シャンマルタンが右のケンカ四つ。「指導2」奪取後に股中に潜る左背負投で「有効」。さらに小内刈で崩し、起き上がろうとする相手に背負投を合わせて「有効」、そのまま抑え込む。

[3回戦]
大島優磨○合技[払腰・袈裟固](4:54)△ジョロエン・ムーレン(オランダ)
 「指導」ビハインド、猛攻見せるもムーレンにいなされ続けてピンチ。残り25秒に払腰で逆転の「技有」、そのまま抑え込んで一本勝ち。

[準々決勝]
大島優磨○優勢[技有・背負投]△ヴィンセント・リマール(フランス)
背負投「有効」奪取も取り消され、「指導」2つを立て続けに失う。相手が前に出てきたところを背負投に捉え、「一本」獲得、これは「技有」に修正されるがそのままタイムアップを迎える。

[準決勝]
大島優磨○横四方固(3:56)△ルスタン・イブラエフ(カザフスタン)
 ケンカ四つ。「指導2」先制も左払巻込で「技有」を奪われ逆転を許す。さらに「指導」を失い劣勢も相手の巴投をかわして横四方固に抑え込み逆転勝ち。

[決勝]
大島優磨△優勢[指導2]○志々目徹

■66kg級

-海老沼匡が他を寄せ付けず優勝、宮崎廉は第1シードのダバドルジ食うもシナリオに乗り損ね5位-

【入賞者】 エントリー32名
1.EBINUMA, Masashi(JPN)
2.SCHNEIDER, Rene(GER)
3.DAVAADORJ, Tumurkhuleg(MGL)
3.GADANOV, Alim(RUS)
5.MIYAZAKI, Ren(JPN)
5.REVITE, Luiz(BRA)
7.FLICKER, Tal(ISR)
7.ZINGG, Anthony(GER)


優勝したリオ世界選手権以来の試合出場となった第2シードの海老沼匡(パーク24)が優勝。1回戦はムミノフ(ウズベキスタン)から「有効」2つを奪った末に足取りのダイレクト反則で勝利、2回戦は左相四つのオレニック(ポルトガル)を相手に左一本背負投が有効と見るや執拗にこの技を続けて「技有」「有効」と連取して優勢勝ち、

決勝はケンカ四つのレネ・シュナイダー(ドイツ)を相手に強気に両襟の内股で攻め続け、1分12秒相手が低い右背負投に入り込もうとしたところに定石通りに左内股を合わせ自ら転がって押し倒し「技有」奪取。さらに2分8秒、引き手で左襟を握った左一本背負投で思い切り転がして「技有」、合技の一本勝ちで優勝を決めた。

シュナイダーはワールドランキング151位ながら、決勝までの4試合を全て腕挫十字固で一本勝ちしている曲者。世界選手権決勝で相手の無茶な関節技で肘を負傷し長期欠場、今大会が復帰戦となる海老沼が嫌なイメージを抱いてもおかしくないカードだったが、海老沼はまったく怖じずに上から目線の試合を展開。もっとも面倒なガダノフ(ロシア)が直接対決の前に敗退、大会全体を通して海老沼の最高到達点を測るにはやや物足りない対戦相手ばかりであったが、現状の順調な回復ぶり、そして海老沼らしいメンタルの強さが再確認できた大会であった。

宮崎廉(桐蔭横浜大4年)は今大会の台風の目。1回戦ではグランドスラム東京に引き続きドラガン(フランス)に勝利し、準々決勝では第1シードのダバドルジ・ツムルフレグ(モンゴル)に「指導2」を先行されながら「指導3」を取り返すという粘りを見せて勝利、準決勝に進出した。

ところがダークホース対決となった準決勝ではシュナイダーに僅か1分13秒で一本負け。右腰車を失敗して伏せたところに、ここまで3試合全てを腕挫十字固で勝利しているシュナイダーが宮崎の右腕を狙って食いつく。「これしかない」という決意の差の分宮崎一瞬対応が遅れ、めくり返されて肘を極められ痛恨の「参った」。

3位決定戦は近間の圧殺ファイトに加え近年遠間から飛び込む左右の担ぎ技を獲得したガダノフが相手。トーナメント中もっとも厄介なこの相手に、釣り手で帯を握られて防戦一方。「指導2」ビハインドから左小外掛に食いついたところに右大内刈を合わされ1分30秒「技有」失陥、2分25秒には左小外刈から裏投に変化したところにまたしても右大内刈を合わされて一本負け。5位に終わった。

シュナイダーにはジックリ戦えば十分勝機があったはずであり、表彰台に上るとすればこの試合が大チャンスだった。宮崎、大魚を逸した大会であった。


【日本人選手勝ちあがり】

海老沼匡(パーク24)
成績:優勝

[1回戦]
海老沼匡○反則(3:30)△ハミジュン・ムミノフ(ウズベキスタン)
 背負投で「有効」、袖釣込腰で「有効」と奪取。窮した相手が海老沼の足を取る反則を犯して試合終了。

[2回戦]
海老沼匡○優勢[技有・一本背負投]△セルジュ・オレニック(ポルトガル)
 左相四つの相手に再三左一本背負投でチャンスを作り、終盤腕を抱え込んだ左一本背負投で「技有」奪取。さらに大内刈から連絡した左一本背負投で「有効」を追加して試合終了。

[準々決勝]
海老沼匡○背負投(4:22)△アントニー・ツィング(ドイツ)
 相四つ。相手の掛け逃げ気味の内股をめくり返して内股透「有効」。さらに大きく踏み込んだ左大外刈で「技有」追加。大幅リードもあくまで一本勝ちを狙い、相手を場外方向へ押し込み、押し返して来たところに背負投「一本」

[準決勝]
海老沼匡○大内刈(1:33)△ルイス・レヴィテ(ブラジル)
 相四つ。自信満々に左大内刈を押し込んで「一本」。

[決勝]
海老沼匡○合技[内股・技有](2:08)△レネ・シュナイダー(ドイツ)
 ケンカ四つ。相手が低い右背負投に入り込む瞬間に足を差し入れて押し倒し、左内股「技有」。さらに左一本背負投「一本」を追加して快勝。

宮崎廉(桐蔭横浜大4年)
成績:5位

[1回戦]
宮崎廉○合技(4:50)△ディミトリ・ドラガン(フランス)
 「指導」二つを失いさらに背負投で「有効」を奪われるも、相手の右袖を両手で握り込み、腕返のように身を捨てて回し落とし「技有」取り返して逆転。その後背負投で「有効」を獲得、横四方固めに移行して合技「一本」。

[2回戦]
宮崎廉○優勢[技有・背負投]△ファン・ガンスベケ・ケネットゥ(ベルギー)
 「指導」を奪われるも、攻勢を続けて「指導2」獲得。直後に大内刈「技有」奪取。残り17秒から背負投で2つの「有効」を追加し快勝。

[準々決勝]
宮崎廉○優勢[指導3]△ダバドルジ・ツムレフレグ(モンゴル)
 相手のペースで試合が進み、「指導2」失陥。必死に食らいつき「指導2」を取り返し、残り30秒で3つ目の「指導」を奪いそのまま決着。第1シードのダバドルジを倒す。

[準決勝]
宮崎廉△腕挫十字固(1:13)○レネ・シュナイダー(ドイツ)
 右腰車を失敗して伏せたところにシュナイダー素早く右腕を確保。足を差し入れて自ら回転、宮崎をめくり返して極め腕挫十字固「一本」

[3位決定戦]
宮崎廉△合技[大内刈・大内刈]○アリム・ガダノフ(ロシア)
 ケンカ四つのガダノフに組み負け、打開を狙って左小外掛に抱きつくが右大内刈を合わされ「技有」失陥。同様の展開から裏投を狙うもこれも右大内刈に切り返されて敗退。

■73kg級

-秋本啓之復活、あくまで「一本」に拘り全試合一本勝ちの圧勝V-

【入賞者】 エントリー41名
1.AKIMOTO, Hiroyuki(JPN)
2.MUKI, Sagi(ISR)
3.DRAKSIC, Rok(SLO)
3.MOGUSHKOV, Musa(RUS)
5.DELPOPOLO, Nicholas(USA)
5.YKYBAYEV, Dastan(KAZ)
7.ALLARDON, Jonathan(FRA)
7.UEMATSU, Kiyoshi(ESP)

2010年東京世界選手権王者秋本啓之(了徳寺学園職)が全試合一本勝ちの圧勝で優勝。昨年11月の講道館杯で復帰して以降最良のパフォーマンスで復活をアピールした。

この日見せたのはベテランらしい技術の確かさと、今夏の世界選手権出場に掛ける執念。

ファンヴェステンド(オランダ)と対戦した1回戦では場外際に相手を追い込み、右側に場外を置いた相手が一瞬場内に戻ろうとするその動きに合わせて釣り手側に相手を呼び込んで右背負投に入り込み豪快な一本勝ち、2回戦ではケンカ四つのカユモフ(ウズベキスタン)を相手に引き手を確保すると敢えて大きく肘を上げて構え、相手が嫌って落とそうとしたタイミングに合わせて右背負投、一撃で斬り伏せて「一本」を浚った。

秋本と言えば背負投、と周囲が厳戒態勢を敷く中で技術の高さを見せて一本勝ちを連発。3回戦は中盤まで「有効」「技有」リード、準々決勝も残り13秒の時点で「有効」「技有」をリード、準決勝も残り19秒まで3つの「有効」をリード、決勝は残り8秒で「指導3」をリードしてそのままでも勝利確実だったが、いずれもあくまで「一本」に拘り、全試合一本勝ちという文句なしの結果を残して見せた。

正直、今大会の参加メンバーは世界のトップレベルとはいい難い。中矢力、大野将平と国内に2人の世界王者がいる中で、「このくらいのメンバーなら全試合一本勝ちしないとアピールできない」「そのくらいでないと世界選手権の挑戦権は得られない」と秋本が決めて掛かったかのような決意溢れる試合、使命感が感じられる試合であった。

秋本復活、少なくとも4月の選抜体重別に世界選手権代表争いの挑戦権を持ち込むだけの好パフォーマンスであった。


【日本人選手勝ちあがり】

秋本啓之(了徳寺学園職)
成績:優勝

[1回戦]
秋本啓之○背負投(0:41)△サム・ファンヴェステンド(オランダ)
 場外際に相手を追い込み、嫌った相手が中に戻ろうとしたところを呼び込み合わせて背負投「一本」。

[2回戦]
秋本啓之○背負投(3:01)△ムハンマドラジズ・カユモフ(ウズベキスタン)
 ケンカ四つ。引き手を確保するなり敢えて高く上げて構え、相手が嫌う衝動に合わせて右背負投一閃「一本」。

[3回戦]
秋本啓之○合技[腰車・崩袈裟固](3:44)△ダン・ファシエ(ルーマニア)
 ケンカ四つ。巴投「有効」、支釣込足からの腰車「技有」で大幅リード。大内刈で崩して崩袈裟固へ移行「一本」。

[準々決勝]
秋本啓之○一本背負投(4:47)△ニコラス・デルポポロ(アメリカ)
 序盤から綺麗な背負投を見せ、秋本の攻勢が続く。ポイントには繋がらないが攻め続ける秋本の前にデルポポロが根負け、巴投「有効」右小外刈「技有」と立て続けに奪い、左一本背負投で決着。

[準決勝]
秋本啓之○横四方固(4:41)△ダスタン・イキバエフ(カザフスタン)
 背負投、巴投、巴投で3つの「有効」を奪う。相手がいわゆる韓国背負で潰れたところを、潜り込んでめくり返し、崩袈裟固。相手はすぐに「参った」。

[決勝]
秋本啓之○背負投(4:52)△セージ・ムキ(ISR)
 ケンカ四つ。スタンスを変えながら釣り手を突き、また引き手の袖を絞って守る相手を担ぎ続けて中盤までに「指導3」対「指導1」でリード。そのまま勝利濃厚かと思われた残り8秒、ムキに左腕を抱えさせたまま右背負投。先に体を回し、回転の途中で引き手を拾って抱き込み「一本」。

女子
■48kg級

-3連戦のムンクバット、近藤亜美にリベンジ果たすも勝ちきれず2位-

【入賞者】 エントリー21名
1.WU, Shugen(CHN)
2.MUNKHBAT, Urantsetseg(MGL)
3.KONDO, Ami(JPN)
3.KRASNIQI, Distria(KOS)
5.JEONG, Bo Kyeong(KOR)
5.WIRTH, Sonja(GER)
7.AKKUS, Sumeyye(TUR)
7.LABORDE, Maria Celia(CUB)

第1シードに配されたリオ世界選手権金メダリストのムンクバット・ウラントツェトセグ(モンゴル)がトーナメントの中心。2回戦はクリスティナ・フルシッチ(スロベニア)に得意の腕挫脚固で一本勝ち(1:21)、準々決勝はソニア・ヴィルト(ドイツ)に上四方固で一本勝ち(1:04)、準決勝ではグランドスラム東京決勝で敗れた近藤亜美(大成高3年)を右小外掛で崩して「技有」を奪い、大外刈「有効」で追いすがられるもなんとか勝利。

難敵近藤を振り切ってこの時点で優勝確実かと思われたムンクバットだが、決勝ではウ・シュウゲン(中国)に意外な敗退。2010年に地元広州のアジア大会で疑惑の判定で福見友子を破った戦術派のウに対し序盤戦を淡白に戦ってしまい、中盤を過ぎてもスコアは「指導1」を奪い合ってのタイ。得意の寝技に持ち込む動作も心得たウに次々捌かれてしまい、ここで焦れたか残り1分18秒で袖釣込腰を掛け潰れてしまう失策。主審は即座に偽装攻撃の判断で2つ目の「指導」を宣告、そのまま試合終了となり「指導2」優勢での敗退が決まった。

ムンクバットはパリ、ローマ、そしてこのデュッセルドルフと3週連続の国際大会出場。グランドスラム・パリでは決勝で山岸絵美に敗れて3位、ヨーロッパオープン・ローマでは一階級上の52kg級にエントリー(3位)してコンディション調整の負担を軽減したがやはり連続出場の疲労が祟ったか、それとも準決勝の近藤相手の激戦ゆえか、決勝は攻撃意欲が薄くムンクバットらしからぬ凡庸な試合だった。

日本期待の新鋭、高校3年生の近藤は前述の通り3位。ムンクバットに敗れて回った3位決定戦の相手はジョン・ボギョン(韓国)。昨年のグランプリデュッセルドルフでは残り数秒で山岸絵美に逆転勝ち、グランプリ済州では逆に山岸絵美に終盤ポイントを奪われ逆転負け、ワールドマスターズでは岡本理帆に負けと昨年とかく日本選手と因縁のあった相手で、大混戦の世界選手権代表争いのさなかにある近藤にとっては絶対に負けられない相手。プレッシャーのかかる状況のはずだったが、開始早々の右払腰で一本勝ち。ここ1年でジョンと対戦した日本選手ではもっとも良い勝ちぶりでこの試合を終え、3位入賞と形を作って今大会を終えた。

第3シードのパウラ・パレト(アルゼンチン)、第4シードのダヤリス・メストレアルバレス(キューバ)ら昨年主役級を除いたグランプリ大会でランキングを上げてきた選手はいずれも早期敗退で入賞なし。この階級は2極分解、頂点を狙う上位陣と大混戦の中位グループに相変わらず大きな差があると見て良いかと思われる結果だった。


【日本人選手勝ちあがり】

近藤亜美(大成高3年)
成績:3位

[1回戦]
近藤亜美○横四方固(2:02)△モニカ・ウングレアヌ(ルーマニア)
 相手の内股を釣り手側にめくり返して「有効」。小内巻込から寝技にもつれ込み、横四方固で抑え込み「一本」。

[2回戦]
近藤亜美○小内返(2:10)△タシアナ・リマ(ギニアビサウ)
 長身の相手に中盤小外掛で掛けたおされ「有効」失うが、猛攻で「指導3」まで取り返す。最後は相手が左小内刈を絡み付けたところを振り返して倒し「一本」。

[準々決勝]
近藤亜美○横四方固(2:10)△ソメイエ・アッカス(トルコ)
 払巻込で潰れた相手をめくり返して横四方固。一度解けるもすぐに固め直す。

[準決勝]
近藤亜美△優勢[技有・小外掛]○ムンクバット・ウラントツェトセグ(モンゴル)
 「指導」を先制も、その後ムンクバットの攻勢が続き追いつかれる。右小外掛で崩され、一瞬粘るもそのリアクションを利用され左に振り返されて「技有」失陥。試合終了間際大外刈で転がす意地を見せるが惜しくも「有効」のジャッジで激戦に幕。

[3位決定戦]
近藤亜美○払腰(1:26)△ジョン・ボギョン(韓国)
ケンカ四つ。開始早々に近藤相手を反時計周りに誘導しつつ遠間からの右払腰。浅いとみたジョンは腰を切ってやり過ごそうとするが近藤の足先は脛に吸い付いたまま離れず、粘って投げ切り「一本」。

■52kg級

-好調クズティナが強さと巧さ発揮して優勝、橋本優貴は惜しくも決勝敗退-

【入賞者】 エントリー23名
1.KUZIUTINA, Natalia(RUS)
2.HASHIMOTO, Yuki(JPN)
3.KRAEH, Mareen(GER)
3.MIRANDA, Erika(BRA)
5.COHEN, Gili(ISR)
5.SUNDBERG, Jaana(FIN)
7.CHITU, Andreea(ROU)
7.MUNKHBAATAR, Bundmaa(MGL)

グランドスラム・パリで中村美里(三井住友海上)とアンドレア・キトゥ(ルーマニア)を下して3位入賞したばかりのナタリア・クズティナ(ロシア)がノーシードから見事優勝。2回戦はチングトフ・アザーヤ(モンゴル)を背負投と上四方固の合技(4:46)で下し、準々決勝ではキトゥと再戦、奥襟を叩かせた瞬間脇から釣り手を差し入れて豪快な大腰「一本」(2:07)に斬って落として会場を沸かせる。準決勝は前戦で第2シードのヤーナ・スンドベルグ(フィンランド)を袈裟固「一本」に下したギリ・コーエン(イスラエル)を終了間際に三角絞に捉えて崩上四方固で一本勝ち。橋本優貴(コマツ)との決勝は序盤劣勢だったが立て直し、残り1分を過ぎてから先手の技でただ一度の山場を作って的確に「指導1」獲得。そのまま試合を終えて優勝を手にした。

クズティナは一時低迷していたが、2013年春から寝技技術とパワーを盛って再生。エツィオ・ガンバが女子ヘッドコーチを兼ねるようになってからあきらかに底上げが為されているロシア女子のシンボル的存在になりつつある。「巴十字」に腕固などの寝技技術に、キトゥを腰技で放り投げるパワーファイト、劣勢だった橋本戦で審判が差をつけたくなる残り1分で的確に「指導」を獲得して逃げ切る戦術眼と強者の条件がいよいよ整ってきた印象だ。同年齢の橋本には2012年ワールドカップ・ブダベスト準決勝で僅差0-3、同年のグランプリ・デュッセルドルフ決勝で大外刈「一本」で敗れて連敗中だったが今大会で初勝利。いままでネームバリューの割にはなかなか上位に入れない選手だったが、今年の世界選手権は間違いなく優勝候補の有力候補だろう。

その橋本、決勝は敗退したものの1月末の「ヨーロッパvsアジア団体戦」のパフォーマンスが非常に悪かっただけに(キトゥに小外刈「有効」で敗退)、4試合して3勝、2つの固技「一本」を並べての2位入賞と、まずは周囲をひと安心させるだけの出来ではあった。世界選手権代表を争うライバル中村美里がグランドスラムパリでは早期敗退(クズティナに足取りの反則で敗退)しているだけにここで優勝すれば代表に大手が掛かったはずというもったいなさはあるが、まずは及第、代表候補筆頭として選抜体重別に乗り込む権利を得たと言える。

第1シードのミランダ・エリカ(ブラジル)は3位入賞したが、第2シードのヤーナ・スンドベルグ(フィンランド)は準々決勝敗退で5位、第4シードのマリーン・ケリー(ドイツ)も準々決勝敗退(3位)だった。スンドベルグ、ケリーともオフシーズンの秋季にグランプリ大会で実績を積み、シードを得られるだけのランキングを手にした選手だが、トップ選手とはまだ差がある印象だった。

昨年13の国際大会をこなし今年も既に3戦目(ヨーロッパvsアジア団体戦含む)のキトゥは前述の通りクズティナに思い切り投げられ、敗者復活戦ではタイムアップのブザーと同時に食らった内股「有効」でなんとスンドベルグにも敗退。さすがに元気がなくなってきた。このままのペースで世界選手権まで走り続けるのか、どこかで調整期間を設けるのか。有力選手の数が決して多くないこの階級、世界選手権の展望はこの人の出場ペースも考慮した上で考えたいところ。

【日本人選手勝ちあがり】

橋本優貴(コマツ)
成績:2位

[2回戦]
橋本優貴○横四方固(2:36)△ホーア・ツァンツァン(中国)
 開始早々、内股から隅返に来た相手をそのまま抑え込む。

[準々決勝]
橋本優貴○横四方固(3:41)△マリーン・ケリー(ドイツ)
 内股で「有効」を先取。相手の隅返をそのまま抑えて「一本」。

[準決勝]
橋本優貴○優勢[指導2]△エリカ・ミランダ(ブラジル)
 常に組み手で優位に立ち「指導1」差で勝利。僅差ながら危うさは見受けられず。

[決勝]
橋本優貴△優勢[指導1]○KUZIUTINA, Natalia(RUS)
 同年齢、ともに世界選手権で銅メダルを獲得している選手同士の対決。序盤は橋本が攻勢、48秒には内股で跳ね上げてクズティナを横倒しにする場面も作るが惜しくも「有効」の声はかからず。膠着した試合、残り1分を切ったところでクズティナが袖釣込腰を掛け潰れると試合展開に差をつけたい主審救われたように橋本に「指導」を宣告。直後橋本寝技を挑むがクズティナ応じて腕挫十字固に切り返して時間を大量消費。そのままタイムアップ。

■57kg級

-松本薫が圧勝V、格の違い見せ付ける-

【入賞者】 エントリー23名
1.MATSUMOTO, Kaori(JPN)
2.DORJSUREN, Sumiya(MGL)
3.QUADROS, Ketleyn(BRA)
3.ZABLUDINA, Irina(RUS)
5.CARMICHAEL, Hana(USA)
5.ROPER, Miryam(GER)
7.BEAUCHEMIN-PINARD, Catherine(CAN)
7.FILZMOSER, Sabrina(AUT)

グランドスラム東京を欠場しこれが復帰戦となる王者・松本薫(フォーリーフジャパン)が見事優勝。昨年1年国際大会を休養したこともありノーシードからのスタート、組み合わせも2試合目でいきなりロンドン五輪銀メダリストのカプリオリウ(ルーマニア)、続いてフィルツモザー(オーストリア)、ザブルディナ(ロシア)、ワールドマスターズ王者のドルジスレン・スミヤ(モンゴル)と今大会の主役級ほぼ全員と順番に対戦する厳しいものだったが、準決勝までの4試合を全て「一本」で勝利するという圧倒的な勝ち上がり。決勝も序盤は袖を絞ってくる相手に対し委細かまわず出足払に袖釣込腰で前に出、相手が奥襟を叩きに来た中盤以降も左片襟の背負投に先手の寝技と隙を見せずに戦い続けて「指導2」で勝利。復帰戦を当然のように優勝で飾って見せた。

他選手に目をみやると、この日目立っていたのはザブルディナ(ロシア)。準々決勝では第1シードのミリアム・ローパー(ドイツ)を腕挫十字固「一本」、3位決定戦ではハナ・カーマイケル(アメリカ)をこれも腕挫十字固「一本」で下して3位入賞を果たした。3位決定戦は再三腕十字を狙われたカーマイケルが根負けした感もあり、相当固技には自信を持っている模様。要警戒だ。

世界ジュニア決勝で出口クリスタ(松商学園高3年)を下した19歳のキャサリン・ブーシェミンピナード(カナダ)は準々決勝でクアドロス(ブラジル)に敗退、敗者復活戦でもカーマイケルに敗れて表彰台には上がれなかった。同大会以降9月のグランプリリエカ3位を経て東京、パリ、ローマと連戦したが今大会の7位が最高成績で、インパクトでは出口にかなりの差をつけられてしまっている。


【日本人選手勝ちあがり】

松本薫(フォーリーフジャパン)
成績:優勝

[2回戦]
松本薫○合技[袖釣込腰・横四方固](2:24)△セリナ・ディッツェル(ドイツ)
 終始攻め続け相手に「指導2」。袖釣込腰で「技有」を奪った直後、隅返に来た相手をそのまま抑え込んで合技「一本」。

[2回戦]
松本薫○横四方固(3:13)△コリナ・カプリオリウ(ルーマニア)
 ロンドン五輪決勝と同じ顔合わせ。場外に逃げるカプリオリウに追う松本という構図。一方的に攻め続け「指導3」をリードし、最後は小外刈「有効」から横四方固「一本」。

[準々決勝]
松本薫○優勢[有効・袖釣込腰]△サブリナ・フィルツモザー(オーストリア)
 相手に奥襟を叩かせておいての左袖釣込腰で「有効」。以後も終始攻め続ける。
 
[準決勝]
松本薫○横四方固(1:30)△イリーナ・ザブルディナ(ロシア)
 大外刈で相手を伏せさせ、相手の下に潜り込みながら返し横四方固「一本」。

[決勝]
松本薫○優勢[指導2]△DORJSUREN, Sumiya(MGL)
 相手は序盤は両袖を絞り、「指導」失陥以降の中盤は右釣り手で奥襟を叩いて圧力を掛けようとする、がいずれも松本は前に出続けることで封殺、「指導2」を得る。ドルジスレンは片手の出足払から繋いだ一本背負投、横落と取り味のある技も見せるがいずれも潰され松本の寝技での攻勢に変換される。危なげなく松本の勝利決定。


※ eJudo携帯版「e柔道」およびeJudoメルマガ版2月25日掲載記事より転載・編集しています。
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