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【ROAD TO 高校選手権】全国高校柔道選手権神奈川県予選男女団体レポート

(2014年2月5日)

※ eJudo携帯版「e柔道」およびeJudoメルマガ版1月27日掲載記事より転載・編集しています。
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【ROAD TO 高校選手権】
全国高校柔道選手権神奈川県予選男女団体レポート
男子団体戦
桐蔭学園高が劇的勝利で全国へ、東海大相模高と相洋高は「1枠」に手届かず涙
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(写真:2回戦、東海大相模高の島田陸が日大高を相手に4人を抜く)

全国高等学校柔道選手権(3月20日~21日・日本武道館)の神奈川県予選男子団体の部が26日、神奈川県立武道館(横浜市)で行われた。

毎年全国大会進出枠「2」を確保してきた同県だが、昨年は代表校の桐蔭学園高と東海大相模高の両校がともに本戦で3位に入賞するも決勝進出を逃し、今年全国大会進出を許されるのは僅か1校のみ。

優勝候補筆頭は東海大相模高、これに挑むのが国民体育大会少年男子の部神奈川優勝を牽引した込山龍哉と90kg級の神奈川県代表二見省吾を押し立てて今季充実、間違いなく全国上位クラスの力を蓄えた相洋高、この2校に昨年優勝の桐蔭学園高が絡むというのが今大会の構図。

組み合わせは、準決勝で東海大相模と相洋がまず戦い、その勝者を決勝で桐蔭学園高が待ち受けるというもの。負傷者が復帰していよいよ陣容の揃った東海大相模、打倒東海大相模を目指して必死の稽古をこなしてきた相洋、組み合わせ決定以来の1ヶ月強を「決勝一戦集中」を合言葉に戦略を練ってきた桐蔭学園高、3校の思惑が交錯する中大会は午前10時にスタート。

東海大相模高は初戦で日大高を相手に島田陸が4人を抜いて4人残しの圧勝。、以降は長谷川優、浅野未来ら出場順を入れ替えながら3回戦で藤嶺藤沢高を5人残し、準々決勝は横浜高を4人残しと他を寄せ付けずに準決勝進出。

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(写真:準々決勝、相洋高の間瀬勇希が内股で一本勝ち)

組み合わせに恵まれた桐蔭学園高も2回戦で平塚学園高を5人残し、3回戦で鎌倉学園高を5人残し、準々決勝で法政二高を4人残しとこちらも他を寄せ付けずにベスト4入り。

相洋高は2回戦で山手学院高を4人残し、3回戦で湘南学院高を4人残し、日大藤沢高と対戦した準々決勝は込山ら3人が出動したが各人明らかに次戦を意識して体力をセーブ、勝ちと引き分けと順当に積み上げて2人残しでこの試合をクリア。慶應義塾高を加えた4校で準決勝が争われることとなった。

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(写真:準決勝、先鋒戦は飯島俊祐が間瀬勇希を攻める)

■準決勝

会場注目の一番、開示されたオーダー順は下記。

東海大相模高 - 相洋高
(先)飯島俊佑 - 間瀬勇希(先)
(次)長谷川優 - 瀬戸口雄輝(次)
(中)浅野未来 - 込山龍哉(中)
(副)芦川泰隆 - 辻幸之介(副)
(大)中尾旭 - 二見省吾(大)

相洋は大方の予想通り前半に込山、最終盤に二見を置いてくるという2ブロック配置。間瀬、瀬戸口で凌ぎ、込山でリードを作り、あるいは追いついて最低でもタイスコアの相手が「勝負してくる状況」で二見を送り込みたいという比較的オーソドックスな布陣。

東海大相模としてはポイントゲッターの長谷川、中堅の浅野の2枚まででリードを広げ、最悪でも副将の試合巧者芦川を二見に当ててそこで試合を終わらせてしまいたいという布陣。先鋒の飯島を含めた前3枚できっちりリードを作れるかどうかが課題となる試合だ。

そして試合時間3分(準決勝まで)、かつ全国大会に比べて「指導」裁定が遅い今大会の傾向を考えるとこの試合は取りに行く側にきつく、凌ぐ側に有利なはず。なによりも「取る」あるいは「凌ぐ」意志の強さと、開始するなりそれを実行に移すだけのプランの明確さが勝敗を分けることになるはずだ。

先鋒戦は東海大相模の主将飯島俊佑、相洋高の3番手間瀬勇希ともに左組みの相四つ。飯島は左内股で攻め、なんとか失点せずに試合を終えたい間瀬は強気に片膝、あるいは片手の左背負投を仕掛けることで展開を止めに掛かる。
しかし飯島のプレッシャーに耐え切れなくなり中盤掛け潰れて偽装攻撃の「指導1」。飯島は常に引き手側から組み手を得る良い組立てで再び間瀬を追い込み、間瀬が潰れてしまった終盤再び「指導」が宣告され、この試合は飯島の「指導2」による優勢勝ちとなる。

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(写真:瀬戸口雄輝が飯島俊祐から送襟絞で一本勝ち)

毎年全国に出場している強豪東海大相模が先に1点を挙げ、挑戦する立場の相洋としては意気消沈しても仕方のないところだが、この状況を救ったのが次鋒の瀬戸口雄輝。飯島を相手に開始早々袖釣込腰、飯島が崩れて伏せるとみるやすかさず襟に手を掛けて相手をまたぎ送襟絞に入り込む。
場外際の攻防ということもあり成否は微妙と思われたが、初動の遅れた飯島逃れようがなく、意外にも「参った」を表明。

大喜びの自軍ベンチの目の前で「一本」を決めて瀬戸口は拳を握りしめる。相洋、勝負を譲らぬとばかりに試合を押し戻し、スコア差がなくなる。

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>(写真:込山龍哉が長谷川優等を相手に大内刈で攻めまくる)

次鋒同士の第3試合は瀬戸口に東海大相模の長谷川優がマッチアップ。この試合はケンカ四つながら長谷川の圧が良くかかり、残り45秒の時点で瀬戸口に2つの「指導」が累積。この試合は長谷川の優勢勝ち、再び東海大相模が1人差をリード。

第4試合は相洋のポイントゲッター、73kg級神奈川県代表込山龍哉が登場。
右相四つのこの試合、込山は東海大相模のエース長谷川を相手に全く引かず開始するなり袖釣込腰、小内刈、大内刈、背負投を2連発と大技を3つ、4つと繋げて物凄いスタートダッシュ。次のシークエンスからは釣り手で片襟を差し、あおりまくって背負投を連発。49秒長谷川に「指導1」。

さらに込山は片襟を差して背負投、大内刈、小内刈と奔放に攻め続け長谷川は為す術なし。1分28秒には2つ目の「指導」宣告を受けてしまう。

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(写真:込山が長谷川から背負投で「有効」をもぎ取る)

込山は強気のケンケン大内刈をアクセントに袖釣込腰、大内刈とさらに攻めまくり長谷川は技が全く出せない状況に嵌まり込む。
残り17秒、込山が片襟の右大外刈から背負投に繋ぐとこれまで凌いできた長谷川ついに陥落、止まったところから押し込み直されこの技は「有効」となる。

さらに3つ目の「指導」が宣告されて試合終了。この試合は込山の「指導3」による優勢勝ちとなり、再びスコア差はタイとなった。東海大相模は飯島、長谷川とポイントゲッターが2人抜かれる緊急事態。

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(写真:浅野未来が左内股、僅かに足が入ったのみだが軽量の込山吹っ飛び「有効」)

第5試合は東海大相模の浅野未来と込山による中堅同士の対決。

浅野左、込山は右組みのケンカ四つ。込山としては前戦同様に一方的に仕掛けていきたいところだが、浅野が釣り手一本で内股を放つと込山は吹っ飛びかけて危うく畳に落ち、どうやら業師込山を持ってしてもさすがにこの重量差を跳ね返すのは難しい様子。浅野が片手で前進、あるいは両襟で圧を掛けたところから込山は担ぎ技で脱出を試みるものの、相手は崩れず自分だけが潰れる形となってしまう。
1分6秒「取り組まない」判断で込山に「指導」、さらに2つ目の「指導」と反則が累積。残り50秒には浅野が両襟から左内股を引っかけて跳ね上げる。足の入りは浅かったがそれでも重量とパワーを受けた込山砕けるように飛び転がり「有効」。
込山、袖釣込腰に肩車と必死に攻めるが浅野崩れず、この試合は浅野の優勢勝ちで終了。ここに至って東海大相模再び1人差のリードを得る。

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(写真:浅野未来の鋭い出足払、以降試合の流れが変わる)

第6試合は浅野に相洋の副将辻幸之介がマッチアップ。浅野は左、辻は右組みのケンカ四つ。
辻は両袖を制して右小外刈、右背負投、右小内刈と連続して技を出して攻勢。浅野思い切り左内股を仕掛けるも辻はしっかり引き手を切って対応、浅野の疲労もあり状況は辻にやや有利。辻が片手の右背負投を2連発した1分12秒には浅野に「指導1」が宣告される。

しかし直後、浅野が相手を引き寄せながら鋭い左出足払。タイミングドンピシャリのこの技に辻は仰向けに大きく崩れるが、なんとか着地寸前に伏せて「待て」。

この技で明らかに流れが変わる。浅野は出足払をさらして辻の接近を阻み、これを警戒した辻はこれまでのように懐に飛び込めないまま中盤の時間帯を消費。

残り1分を過ぎて辻は再び前に出始めるが、浅野の釣り手の袖を制して押し込んだ場面で袖口を握りこんだとの判断で「指導1」を受けてしまう。

以後は辻の片手背負投を浅野が出足払で迎え撃つという展開が続いて試合終了。この試合は引き分けとなる。

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(写真:二見省吾と芦川泰隆による第7試合)

東海大相模は副将の芦川泰隆、相洋はいよいよエースの大将・二見省吾が登場。

芦川は右、二見は左組みのケンカ四つ。

芦川は釣り手で脇を差して腰を抱き、相手の欲しい間合い以上に密着接近してインパクトをずらす、得意の手段で膠着を演出しに掛かる。

連続二人抜き、あるいは代表戦まで含めて勝ち、引き分け、勝ちというシナリオ以外に道のないはずの二見はスタートダッシュを掛けるかと思われたが、ジックリこれを見て、引き手争いにつきあうという意外な策に出る。

結局お互いが引き手を争ったまま、ほとんど1つの技も掛けないまま試合が進行。最初の「待て」が掛かったときには既に3分のうちの50秒が経過しており、ここで試合の行方はほぼ見えた感あり。

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(写真:残り数秒、二見はなりふり構わぬ強引な内股であわやポイントという場面を作り出す)

芦川は腰を抱いての体落に振り回すような「出し投げ崩し」という得意のパターンに二見を嵌めたまま順行運転で試合を進め、あっという間に試合は最終盤。残り16秒で双方に「取り組まない」判断での「指導」が宣告されるに至り二見はようやくエンジン点火。組み手不十分のまま左内股に飛び込むと芦川がまたぎ捌いたところにさらに一段足を高く上げてもろとも回転して畳に落ち、あわやポイントという場面を現出する。
しかし東海大相模サイドがもっとも怖れていたはずのこの強引な攻めも、あまりに遅く残り時間は僅か数秒。そのままタイムアップとなってこの試合は引き分け。東海大相模高が1人残しで勝利して決勝へと駒を進めることとなった。

東海大相模高○1人残し△相洋高
(先)飯島俊佑○優勢[指導2]△間瀬勇希(先)
(先)飯島俊佑△送襟絞○瀬戸口雄輝(次)
(次)長谷川優○優勢[指導2]△瀬戸口雄輝(次)
(次)長谷川優△優勢[指導3]○込山龍哉(中)
(中)浅野未来○優勢[指導2]△込山龍哉(中)
(中)浅野未来×引分×辻幸之介(副)
(副)芦川泰隆×引分×二見省吾(大)
(大)中尾旭

相洋は善戦したがあと一歩届かず。
東海大相模勝利の要因はまずその用兵。相洋が当然後ろに二見を置いてくるであろうことを読み、巨漢タイプを苦にせず、かつ組んでくる相手に滅法強い二見に対して浅野、長谷川を手当てせずに試合巧者の芦川でクロージングを掛ける配置。飯島、長谷川が失点してなお踏みとどまった勝利の要因は浅野-込山、芦川-二見という対戦相性の良さに尽き、これを演出したの用兵の巧さに尽きる。

そして相洋はここ一番でやはり全国大会上位常連の東海大相模をリスペクトしてしまった感あり。具体的には二見の演じた引き分けにそれが現れてしまった。
まず準備の段階。芦川がケンカ四つの相手に腰を抱いての近距離戦で止めに掛かってくることは自明であったが、二見はこれに対する対策に明らかに欠けた。
もう1つは、何が何でも取らねばならない、開始1秒からラッシュを掛けるべきこの試合で二見に「ジックリ」試合をさせてしまったこと。まるで「自分の柔道をやって一発取ってこい」と力比べに送り出したかのような、試合をしながら方針を決定するかのようなその手だての曖昧さに乗じられての最序盤1分消費は、二見の攻撃力を高く買うからこそ、もったいないと評するほかはない。

招待試合シリーズを見る限り二見の得点能力は全国有数。二見の強さを信じるあまり、ギリギリでこの二見の個人能力に頼り、強豪校が明らかに「止めに来る」はずのこの状況での対策と戦術伝達を誤ったというのは厳しすぎる評であろうか。もし「最初の一分で「指導1」を確実に取ってから試合を始めるつもりでラッシュを掛けろ」という積極策や、最後に二見が見せたような組み手にこだわらない猛ラッシュを一手目に持ってきていれば状況は大いに変わった可能性大だ。二本柱のもう片方である込山にはこの「何としても取る」「そのためには最初の1秒からラッシュを掛ける」という戦い方が染みていただけに、もったいなさはいや増す。

実力互角、しかし潜った修羅場の経験値がモノを言った形で東海大相模が接戦を制したという一番だった。

桐蔭学園高○3人残し△慶應義塾高
(先)渡部甲誠○優勢[技有]△福島大輔(先)
(先)渡部甲誠○優勢[指導2]△小田原洋夢(次)
(先)渡部甲誠×引分×小田島重夫(中)
(次)坂内哲平○袖釣込腰△渡辺大輝(副)
(次)坂内哲平×引分×廣谷凛也(大)
(中)田中太基
(副)大塚翔悟
(大)小原弘暉

準決勝もう1試合は桐蔭学園高が快勝。決勝で出場確実な大塚、小原を後衛に、負傷明けの岡田武志をこの試合は下げるという戦略的布陣で慶應義塾高を圧倒、3人残しで決勝進出を決めた。

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写真:決勝に臨む桐蔭学園高)

■決勝

今年も決勝で相まみえることとなった両校の布陣は下記。

桐蔭学園高 - 東海大相模高
(先)大塚翔悟 - 飯島俊佑(先)
(次)小原弘暉 - 中尾旭(次)
(中)岡田武志 - 長谷川優(中)
(副)田中太基 - 浅野未来(副)
(大)坂内哲平 - 芦川泰隆(大)

東海大相模の得点ポイントは先鋒飯島、中堅長谷川、次いで副将浅野で、クロージングを担うのが芦川。総合力勝負が今年のスローガンではあるが、その中でもゲッター格を分散配置した長い前線と評することが出来る。勝負のポイントは前戦で意外な敗戦、それも「参った」表明という悔しい形で一本負けを喫した負傷明けの飯島が気持ちを切り替えて斬り込み隊長役を果たせるかどうか。

一方の桐蔭学園高はこちらも「全員が同じくらいの力」(高松監督)と言いながら大塚、小原、岡田という得点を狙える3枚を並べて前に突っ込んだ攻撃的布陣。先鋒戦で飯島を止め、中尾、浅野に得点の錐を打ち込んでなんとか試合を作っていきたいところ。

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(写真:大塚翔悟と飯島俊佑の先鋒戦)

先鋒戦は桐蔭学園・大塚翔悟が右、東海大相模・飯島俊佑が左組みの相四つ。
大塚が右内股、飯島が左内股で攻めあう。序盤が過ぎたところで飯島が左内股、しかしここに大塚がタイミング良く右小外刈を合わせると飯島大きく跳ね上がる。が、ジャンプしたその体勢のまましゃがんで着地してなんとかポイントを防ぎ「待て」。

この攻防で飯島やや積極性を失った感あり。以後大塚は右内股で攻めるが飯島は良い組み手を作りながら攻撃を仕掛けられず、ベンチの声に押されるように仕掛けた内股は掛け切ることが出来ず自ら前に潰れてしまう。

残り数秒、飯島が片手の左背負投を掛け潰れたところで飯島に「指導」が宣告されて試合終了。第1試合は引き分けに終わった。

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(写真:桐蔭学園高の次鋒・小原弘暉が東海大相模・中尾旭から内股「一本」)

第2試合、次鋒同士の対決は桐蔭学園・小原弘暉が左、東海大相模・中尾旭が右組みのケンカ四つ。
体格に勝る中尾は両襟を掴んで圧力。小原はこれをずらしながら自分の間合いを探る。
圧を掛けたい中尾、距離を詰めようと両襟のまま相手をグイと引き寄せるが、その瞬間小原は思い切り左内股。
自らが寄った動きの終点に技を合わされた形の中尾は踏ん張りが利かずあっという間に一回転。豪快に決まった一撃は文句なしの「一本」。

あまりに鮮やかな「一本」での先制に会場は騒然、桐蔭学園ベンチは大騒ぎ。桐蔭学園、第2試合で早くも一人差をリードする。

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(写真:長谷川優が小原に圧を掛ける)

第3試合は小原が左、桐蔭学園高の中堅長谷川優が左組みのケンカ四つ。
長谷川は両襟でガッチリ圧を掛けに掛かる。打開したい小原は左腰車を放ち、長谷川がこれをめくり返そうと試みたところで「待て」。

続くシークエンスは長谷川が右大外刈、この技をきっかけに引手で袖、釣り手で襟を確保して上から圧力を掛ける。東海大相模ベンチからは「『指導』じゃない、投げに行くんだ!」と声が掛かるが、主審は長谷川の優位を認めて小原に「極端な防御姿勢」での「指導1」を宣告。

以後も「押さえつけ」に腐心する長谷川だが、残り1分を切ったところで主審はこの行為をブロッキングとみなし長谷川に「指導1」を宣告。

直後、小原が片手で前にいなし崩すと長谷川思わず伏せてしまい、試合を心得た小原は三角絞を試みて時間を消費。最後は小原が低い背負投を仕掛けて長谷川が小外刈を合わせたところで試合終了。

小原は1勝、そしてポイントゲッター相手の引き分けと見事にミッション達成。桐蔭学園高が1人差リードを保ったまま勝負の襷は第四試合へ。

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(写真:東海大相模高の副将浅野未来が岡田武志から「有効」を奪う)

第四試合は桐蔭学園高の中堅岡田武志、東海大相模高の副将浅野未来ともに左組みの相四つ。

浅野が両襟を握って圧力。岡田は人の字の体勢でいったん受け止め、柔道衣をずらしながら間合いを探るが、その岡田の動きに合わせて浅野が支釣込足。岡田が崩れるとすかさず一歩進んで決めに掛かりこれは「有効となる。凌がれると後半きつくなるはずの浅野、序盤にして非常に大きなポイント獲得。

しかし攻撃姿勢の衰えない岡田はガップリの組み合いを受け入れ、柔道衣をずらしながら思い切り左大外刈。踏みとどまった浅野は払巻込で返し掛かるが岡田回避して「待て」。浅野は前戦の影響か、組み合いの中で早くも疲労し始めた印象。

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(写真:岡田武志が逆転の内股「一本」、巨漢浅野を宙に舞わす)

直後。再びの組み合いから一段攻防のリズムを上げた岡田が少ないステップで左内股。浅野一間で跳ね上がり、岡田は落ちた浅野の上に乗りまわるように体を捨てて完璧なフィニッシュ。もちろんこの技は文句なしの「一本」。会場騒然、桐蔭学園サイドは全員が立ち上がって大盛り上がり。桐蔭学園、ここに至って2人差のリードを得る。

ジワジワと桐蔭学園が掴んできた試合の流れは、この一撃で明らかに堰が切れ、奔流となって桐蔭学園の側に流れ込む。

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(写真:岡田武志が裏投「一本」で試合を決める)

会場のどよめき収まらぬ中開始された第五試合は桐蔭学園・岡田が左、芦川泰隆が右組みのケンカ四つ。

芦川は上から背中を握り、岡田は脇を差して下から背中を抱える形で釣り手を持つ。互いに腰を切りながら出足払の打ち合い。会場のどよめき収まらぬ異様な雰囲気の中、極めて展開早く足を出しあい、組み手はスイッチして岡田が上から、芦川が迎え撃って下から背中を抱えあう形となる。

勝負を急ぐ芦川が右大腰。しかし乗り越えて体を入れ替える形で相手の右川にほとんど正対する角度で着地した岡田は芦川の攻撃動作が終わらぬ間に相手の裏に回り込み、左足を高く上げて思い切り裏投を放つ。
自身の技の廻旋運動がさらにその効果を高めることになったこの一撃に芦川は耐えられず、低い軌道で一回転して「一本」。

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(写真:勝利した岡田は会心の表情、会場は大歓声に包まれる)

会場全体が爆発のような歓声に包まれ、桐蔭学園ベンチは総立ちで両手を突き上げ、抱き合って場内はまさしく騒然。岡田はしてやったりの表情で拳を握り締め、投げられた芦川は判定を確認して畳に突っ伏してガックリ、しばしショックで立ち上がれず。

自軍有利の流れを生かし、試合が落ち着く前に大技を仕掛けた岡田の判断は見事の一言。桐蔭学園高、なんと3人残しの大差でこの試合を制し、見事神奈川からたった1枚の日本武道館への切符を手にすることとなった。

桐蔭学園高○3人残し△東海大相模高
(先)大塚翔悟×引分×飯島俊佑(先)
(次)小原弘暉○内股△中尾旭(次)
(次)小原弘暉×引分×長谷川優(中)
(中)岡田武志○内股△浅野未来(副)
(中)岡田武志○裏投△芦川泰隆(大)
(副)田中太基
(大)坂内哲平

12月の水田杯時に、高松正裕監督は神奈川県予選の組み合わせ決定を受けて「県予選は決勝一戦集中。決勝だけに絞って練り上げていく」と目を光らせていた。その通り、準備、当日の決勝までの力の残し方、そして戦い方とまさしく一点突破の戦力集中がもたらした圧勝劇だった。

試合後、高松監督は勝因として「前週の個人戦で誰も代表権を取れず、生徒は泣いて悔しがっていた」ことをまっさきに挙げた。就任以来、大会の度に「選手はもっと必死になれるはず。なぜ死にもの狂いの思いで稽古ができないのか、どうやったらそうなってくれるのか、自分にはまだわからない」と戸惑いを口にしていた高松監督だが、小粒と言われる今代、この週にようやくその最後のピースが埋まった感ありだ。

個人戦の敗退から3日間は猛練習、その内容は決勝を想定して「1人目を抜き、2人目は凌ぎながらチャンスを伺って取りにいき、3人目で確実に引き分ける」という3本稽古を何度も繰り返すというものだったとのこと。その想定が生きた、3勝無敗という圧倒的内容での勝利は見事というほかはない。招待試合シリーズを負傷で1か月休んだ岡田の復帰も、「相手の予想の上を行く」戦力アップに貢献することとなり、すべてが良い方向に転んだ形だ。

高松監督は試合終了後の胴上げに「ここは県武だぞ!日本武道館じゃないぞ!恥ずかしいからやめろ!」と叫びつつ宙を舞わされていた。小粒と評される今季チームだが、そのセリフにも全国優勝への「本気度」は十分窺い知れる。

全国優勝候補の東海大相模も欠け、いよいよ深まる今年度の混戦気配。その中で今季不利を予想された桐蔭学園高が再び存在感を見せつけた神奈川県予選であった。

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(写真:優勝の桐蔭学園高)

【入賞者】
優勝:桐蔭学園高
準優勝:東海大相模高
第三位:慶應義塾高、相洋高

桐蔭学園高・高松正裕監督のコメント
「出来すぎです。私のほうが足が震えてしまいました(笑)。練習でやってきたことがやっと実を結んだ、このチームの100%がようやく出せた気がします。先週の個人戦で誰も優勝できなくて、その悔しさが一番の勝因だと思います。組み合わせの良さという運と、何が何でも勝つという選手の気持ちが噛み合った勝利です。小柄なチームですが、今日の力が発揮できれば十分優勝に絡めると思いますし、こういうチームで勝ってこそ柔道。頑張ります。これから?まずきょうは生徒を誉めますよ(笑)」

桐蔭学園高・大塚翔悟選手のコメント
「個人的には良いところを見せれず、みんなに迷惑を掛けた試合。その代わりみんなが頑張ってくれた。良いチームです。今年はみんなの仲が良いチーム。運の良さに乗れた試合でしたがそれもまとまりがあってこそ。しっかりまとめて、このチームの良さを全国でも発揮したいと思います」

桐蔭学園高・岡田武志選手のコメント
「最初に出た試合がうまく行かずにあれこれ考えましたが、決勝は100%が出せました。疲れはありませんでした。怪我を乗り越えてしっかり試合に合わせられたのが良かった。全国でも自分の柔道を貫いて、優勝目指します」

【準々決勝】

桐蔭学園高○4人残し△法政二高
慶應義塾高○5人残し△渕野辺高
相洋高○2人残し△日大藤沢高
東海大相模高○4人残し△横浜高

【準決勝】

桐蔭学園高○3人残し△慶應義塾高
東海大相模高○1人残し△相洋高

【決勝】

桐蔭学園高○3人残し△東海大相模高

女子団体戦
女子も桐蔭学園高が代表権獲得、嶺井美穂が全勝でチームを牽引
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(写真:決勝、桐蔭学園高の嶺井美穂が横須賀学院高・栗田ひなのから大外刈で一本勝ち)

全国高等学校柔道選手権(3月20日~21日・日本武道館)の神奈川県予選が26日、神奈川県立武道館(横浜市)で行われ、女子は桐蔭学園高が2年連続5回目の優勝を果たし、男子とともに日本武道館行きを決めた。

桐蔭学園高は1年生エースの嶺井美穂を「迷った」(廣川真由美監督)末に63kg級枠の中堅ポジションで起用。嶺井は徹底マークを掻い潜り準決勝の三浦学苑戦は野口あずみを相手に内股「一本」、決勝の横須賀学院戦も栗田ひなのを相手に粘られたが終盤一瞬の隙を突いて右大外刈「一本」でチーム唯一の得点を挙げ、優勝に貢献した。

廣川監督は「嶺井を大将(無差別枠)で起用しようかと考えていたが、嶺井だけでは全国は勝ち抜けない。主将の鈴木を使って、チームワークで勝つことを考えた」と優勝の弁。「チーム全体の力を一段高めて臨みたい」と全国大会への抱負を語っていた。

入賞者と準々決勝の結果、準決勝以降の詳細と廣川監督のコメントは下記。

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(写真:優勝の桐蔭学園高)

【入賞者】
優勝:桐蔭学園高
準優勝:横須賀学院高
第三位:三浦学苑高、白鵬女子高

廣川真由美監督のコメント
「個人戦が思ったほど取れず、優勝できて正直ホッとしています。この1週間、私以上に選手が本当に頑張りました。飛びぬけた選手は嶺井だけですが、チーム全体の力を1歩高める稽古をして、全国大会に備えたいと思います」

【準々決勝】

桐蔭学園高 2-0 伊志田・横浜平沼高
三浦学苑高 3-0 相洋高
白鵬女子高 2-1 日大高
横須賀学院高 3-0 光明学園高

【準決勝】

桐蔭学園高 2-1 三浦学苑高
(先)馬場彩子○優勢[技有]△飯塚亜美
(中)嶺井美穂○内股△野口あずみ
(大)鈴木双葉△優勢[技有]○小林幸奈

横須賀学院高 3-0 白鵬女子高
(先)五十嵐真子○袈裟固△中村優希
(中)栗田ひなの○大外刈△松上莉奈
(大)岡田彩加○背負投△佐藤千尋

【決勝】

桐蔭学園高 1-0 横須賀学院高
(先)馬場彩子×引分×五十嵐真子
(中)嶺井美穂○大外刈△栗田ひなの
(大)鈴木双葉×引分×大川優希


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