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【ROAD TO 高校選手権】第30回若潮杯争奪武道大会レポート

(2014年2月1日)

※ eJudo携帯版「e柔道」およびeJudoメルマガ版1月14日掲載記事より転載・編集しています。
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【ROAD TO 高校選手権】
第30回若潮杯争奪武道大会レポート
予選リーグ
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(写真:選手宣誓を務めたのは大会2連覇中の東海大浦安高・村田大祐)

春の高校選手権を控えた新シーズンの高校柔道界の様相を占う第30回若潮杯争奪武道大会が12月27日、国際武道大学第1体育館(勝浦市)で行われた。

この大会に参加を許されるのは全国から選抜された男女それぞれ16校のみ。長年招待試合シリーズ中最重要と位置付けられてきた権威ある大会だ。

上位候補は負傷者を抱えながらも潜在的な戦力と戦闘能力で評価が高い東海大相模高(神奈川)、同じく大黒柱の吉良儀城を欠きながらもしぶとい選手を揃えた国士舘高(東京)、インターハイ制覇メンバーからポイントゲッターの香川大吾と貫目純矢が残った崇徳高(広島)、現在この大会2連覇中で先代の2冠チームからポイントゲッター村田大祐が残った東海大浦安高(千葉)、冬季シリーズ今大会だけの参加となる西の雄大・天理高(奈良)など。

「混戦」と称される状況が2年続いた高校柔道界だが、今年はそれを遥かに越える、史上稀に見る大混戦。高校選手権を前にした勢力図がいったいどうマップされのか、冬期休暇の最後の大規模招待試合となる今大会を持っていったんこれに答えが出るはずということもありその注目度はいやが上にも高まる。

大会は例年通りに4校×4ブロックに分かれた予選リーグが行われ、その上位2校が決勝トーナメントに進むという形式。

勝ちあがり校を中心にまず予選リーグを簡単に振り返ってみたい。

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(写真:東海大浦安高・向井俊輔が豊栄高・廣川魁から掬投「一本」で逆転勝ち)

■予選リーグ

【Aブロック】

エントリー校:東海大浦安高(千葉)、大垣日大高(岐阜)、神戸国際大附高(兵庫)

2連覇中の東海大浦安高が配されたブロック。第1試合は東海大浦安高が、豊栄高を相手に5-0の圧勝。中堅向井俊輔が廣川魁を相手に一時払巻込で「技有」をリードされる場面もあったが、掬投で逆転の一本勝ち。前年度王者の意地を見せてまずは順当な立ち上がり。

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(写真:神戸国際大附高・新井滉燿が吉田優平から大外刈「技有」)

神戸国際大附高 3-2 大垣日大高
(先)高木育純○出足払△伊藤寛康
(次)新井滉燿○優勢[技有・大外刈]△吉田優平
(中)鳥居天凱△優勢[技有]○松垣渓太
(副)光明駿△優勢[有効・出足払]○牛丸了英
(大)石山潤平○優勢[有効]△高井佳太

続く第2試合はニューカマーの神戸国際大附高が全国大会の上位候補に挙がる好チーム大垣日大高に競り勝ち。次鋒戦では大垣日大のエース・インターハイ73kg級2位の吉田優平を相手に115kgの1年生新井滉燿が大外刈で「技有」を奪って堂々の勝利。若潮杯招待の栄を得たチームとしての実力の程を早くも証明した。

東海大浦安高 2-2 大垣日大高
(先)染谷涼央○小外刈△伊藤寛康
(次)田島優人△抑込※○吉田優平
(中)向井俊輔△隅落○松垣渓太
(副)村田大祐○小外刈△牛丸了英
(大)杉本洸太郎×引分×高井佳太

迎えたブロック第3試合、東海大浦安高は2試合目を勝ち切れず。

防衛ポイントとなるはずの次鋒戦と中堅戦をこらえきれずに「一本」で失点。
先鋒染谷涼央と副将に控える村田大祐の得点をテコに勝ち抜けようという星勘定はこの時点で崩壊。副将村田は小外刈「一本」できっちり仕事を果たしたが、大将杉本洸太郎は終盤疲労して取り味のある技を繰り出せず、均衡状態に陥った試合を壊しにいくことができないまま引き分け。通算スコア2-2、内容でも差がつかずこの試合は引き分けに終わった。

神戸国際大附高 4-1 東海大浦安高
(先)高木育純○払腰△田島優人
(次)新井滉燿○横四方固△向井俊輔
(中)光明駿○横四方固△染谷涼央
(副)鳥居天凱△払腰○村田大祐
(大)石山潤平○支釣込足△杉本洸太郎

そして第4試合は神戸国際大附高の攻撃力が爆発。比較的軽量の選手を揃えた東海大浦安の前衛3枚を相手に90kg級の高木育純、115kgの新井滉燿、128kgの光明駿の3人で一本勝ちを3つ並べて早々に勝利決定。副将戦は落としたが、大将戦は1年生の90kg級高校選手権兵庫県代表石山潤平が杉本洸太郎を支釣込足「一本」で下してフィニッシュ。4-1の衝撃的な大差で東海大浦安を破り、このブロック1位での勝ちあがりを決めた。

東海大浦安と大垣日大はともに1勝1敗1分、「一本」「技有」の数も並んだが「有効」を含めた総勝利数で大垣日大がブロック2位を確定。東海大浦安はまさかの予選リーグ敗退となった。

東海大浦安は、10月の朱雀杯、12月中旬の黒潮旗に続き今大会も厳しい戦い。優勝した白鴎大足利と早い段階で対戦した朱雀杯、体重制限がありかつ指揮官・竹内徹監督を欠いた黒潮旗のようなエクスキューズも今回はなく、改めて今期の戦力ダウン、そして村田以外の周辺戦力の仕上がりの意外な遅さを知らしめることとなってしまった。既に高校選手権進出自体は決めており、3月までにあと一段、二段の戦力アップがあるのか、全国優勝の味を知る今代の選手の覚悟、そしてこれまでも高く評価されてきた育成力が問われるところだ。

[予選Aブロック結果]

①神戸国際大附高(兵庫) 3勝0敗 一本勝ち9
②大垣日大高(岐阜) 1勝1敗1分 一本勝ち7
③東海大浦安高(千葉) 1勝1敗1分 一本勝ち7
④豊栄高(新潟) 0勝3敗 一本勝ち0

東海大浦安高 5-0 豊栄高
神戸国際大附高 3-2 大垣日大高
東海大浦安高 2-2 大垣日大高
神戸国際大附高 5-0 豊栄高
神戸国際大附高 4-1 東海大浦安高

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(写真:国士舘高・山田伊織が東海大翔洋高・岡村康平から払巻込「技有」)

【Bブロック】

エントリー校:国士舘高(東京)、東海大仰星高(大阪)、近大福山高(広島)、東海大翔洋高(静岡)

国士舘高が順当に勝ち抜け。起用メンバーは釘丸将太、山田稔喜、山田伊織、竹村昂大の4人が固定、浅見貴哉と岩渕将也を入れ替えながらという計6人。初戦の東海大翔洋戦で竹村昂大が横山稜悟に浮落「一本」で、東海大仰星戦では山田伊織が奥野拓未に大外返「一本」で、近大福山戦では竹村が神森拓馬に背負投「技有」でとそれぞれ失点はあったが、3試合ともに3-1とまずまず危なげなく勝利し、1位の成績で予選リーグ通過を決めた。2位にはエース奥野拓未の3戦オール一本勝ちをテコに近大福山を2-1、東海大翔洋を3-1で下した東海大仰星が入り、決勝トーナメント進出決定。

[予選Bブロック結果]

①国士舘高(東京) 3勝0敗 一本勝ち7
②東海大仰星高(大阪) 2勝1敗 一本勝ち5
③近大福山高(広島) 1勝2敗 一本勝ち2
④東海大翔洋高(静岡) 0勝3敗 一本勝ち3

国士舘高 3-1 東海大翔洋高
東海大仰星高 2-1 近大福山高
国士舘高 3-1 東海大仰星高
近大福山高 2-1 東海大翔洋高
国士舘高 3-1 近大福山高

【Cブロック】

エントリー校:東海大相模高(神奈川)、天理高(奈良)、津幡高(石川)、関西高(岡山)

天理高 2-1 東海大相模高
(先)村上陣亮○支釣込足△芦川泰孝
(次)並里樹×引分×中尾旭
(中)古田伸吾△小外刈○長谷川優
(副)西岡丈×引分×浅野未来
(大)古川裕熙○大内返△瀬戸孝矩

事実上のブロック決勝と目された第2試合で天理高が東海大相模高に競り勝ち。
先鋒戦の村上陣亮の一本勝ちが非常に利いた試合。東海大相模は以降の顔合わせで事前に得点を織り込めるのは中堅のエース長谷川優のみで、長谷川が一本勝ちを果たして1-1で迎えた副将戦で浅野未来が西岡丈に止められると手が詰まってしまう。大将戦では7番手として大会に登録された瀬戸孝矩が我慢できず、古川裕熙に大内刈を返されて一本負け。この1点で天理高の勝利が決まった。

東海大相模は10日前の黒潮旗で島田陸が負傷、いまだ戦線復帰出来ぬ主将の飯島俊佑と松井巧希も含めて3枚を落としての苦しい布陣。骨太の天理の柔道を止めることが出来ず、痛恨の一敗となった。

全5試合を終えた結果、天理高が1位、東海大相模高が2位で決勝トーナメント進出決定。

関西高は第1試合の天理戦、第2試合の津幡戦に先鋒で出場した福岡克仁が2つの一本勝ちでチーム全ての得点を叩き出すなど、1人気を吐いた。

[予選Cブロック結果]
①天理高(奈良) 3勝0敗 一本勝ち6
②東海大相模高(神奈川) 2勝1敗 一本勝ち8
③津幡高(石川) 1勝2敗 一本勝ち1
④関西高(岡山) 0勝3敗 一本勝ち2

東海大相模高 3-0 津幡高
天理高 3-1 関西高
天理高 2-1 東海大相模高
東海大相模高 5-0 関西高
津幡高 2-1 関西高

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(写真:崇徳高・香川大吾が東海大第五高・田中英二朗の脇を差し、横四方固で一本勝ち)

【Dブロック】

エントリー校:崇徳高(広島)、足立学園高(東京)、東海大第五高(福岡)、東海大第四高(北海道)

崇徳高は23日の松尾杯で負傷、今大会前日の水田杯は大事をとって出場を回避したエース香川大吾を初戦から投入。
第1試合の東海大第五高戦は香川の一本勝ちと貫目の「指導2」優勢勝ちで2-1で勝利。第2試合は東海大第四高と対戦することとなった。

崇徳高 ②-2 東海大第四高
(先)村上隆貴×引分×壬生雄大
(次)増本大輝○崩上四方固△瀬川勇気
(中)貫目純矢△大腰○堀川拓哉
(副)香川大吾○合技△五十公野敬幸
(大)山本健太△優勢[指導2]○永岡樹

この試合では中堅に入った貫目純矢が堀川拓哉の大腰「一本」に沈み思わぬ失点。副将香川の一本勝ちで逆転も大将山本健太が追いすがられて「指導2」優勢で星を落とし、2-2の内容差と僅差の試合を演じることとなった。

しかしこの試合で気合を入れなおしたか、第3戦の足立学園高戦は5-0と大差で勝利。3戦で8つの一本勝ちを並べ、予選リーグ1位で決勝トーナメントへ進むこととなった。

[予選Dブロック結果]
①崇徳高(広島) 3勝0敗 一本勝ち8
②東海大第五高(福岡) 2勝1敗 一本勝ち8
③東海大第四高(北海道) 1勝1敗1分 一本勝ち5
④足立学園高(東京) 0勝3敗 一本勝ち2

東海大第四高 3-1 足立学園高
崇徳高 2-1 東海大第五高
崇徳高 ②-2 東海大第四高
東海大第五高 3-2 足立学園高
東海大第五高 4-1 東海大第四高
崇徳高 5-0 足立学園高

結果決まった決勝トーナメント1回戦のカードは、

国士舘高 - 東海大相模高
天理高 - 東海大第五高
崇徳高 - 大垣日大高
神戸国際大附高 - 東海大仰星高

の4試合となった。

決勝トーナメント1回戦~決勝
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(写真:神戸国際大附高・高木育純が東海大仰星高の山内凌太から掬投「一本」)

■決勝トーナメント1回戦

神戸国際大附高 2-1 東海大仰星高

(先)高木育純○掬投△山内凌太
(次)新井滉燿○掬投△西村崇志
(中)石山潤平×引分×福迫大幸
(副)鳥居天凱△小外掛○奥野拓未
(大)光明駿×引分×池上大貴

台風の目となった神戸国際大附高が、同じ近畿地区の強豪東海大仰星に完勝。東海大仰星が副将に大駒・奥野拓未を置くという事情から前半戦での2点獲得が必須となる盤面配置だったが、予選リーグの勢い衰えず先鋒高木育純、次鋒新井滉燿の前衛2枚であっさりこのノルマを突破。大将光明駿もしっかり引き分け、2-1でベスト4進出決定。

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(写真:香川大吾が松垣渓太の首に襟を食い込ませ、絞めながらめくり返す)

崇徳高 2-1 大垣日大高

(先)村上隆貴○内股△伊藤寛康
(次)山本健太△出足払○吉田優平
(中)香川大吾○横四方固△松垣渓太
(副)貫目純矢×引分×牛丸了英
(大)増本大輝×引分×高井佳大

崇徳高が手堅くベスト4進出決定。大垣日大に吉田優平というエースがいることを考えると安全圏は2点以上という試合だったが、先鋒戦で村上隆貴が一本勝ちを果たし、後衛三枚の戦力構図を考えるとこれでほぼ試合の行方は決定。

次鋒戦では吉田の一本勝ちで大垣日大が一点を返したが、中堅戦では崇徳のエース香川大吾が隙を見せずに左大外刈でまず「有効」、さらに松垣渓太の左背負投を潰すと首を絞めながらめくり返し、横四方固「一本」で勝利。副将貫目純矢、大将増本大輝も手堅く引き分け、通算スコア2-1で崇徳が準決勝進出を果たした。

天理高 3-2 東海大第五高

(先)山崎壱盛○出足払△堀田恭平
(次)古田伸悟○払腰△河部光仁
(中)村上陣亮△優勢[技有・隅返]○川野義文
(副)西岡丈○払巻込△田中英二朗
(大)古川裕熙△内股透○大柿祐真

天理高が東海大五高に競り勝ち。先鋒山崎壱盛、次鋒古田伸悟の連続一本勝ちで流れを掴むと、中堅戦の1敗を受けた副将戦で西岡丈が払巻込で一本勝ち。試合が縺れる前に持ち前の攻撃力を発揮した形で、スコア3-2ながらも勝負の進行は危なげなし。しっかりベスト4入りを決めた。

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(写真:浅見貴哉が一本勝ち、思わず拳を握り締める)

国士舘高 2-1 東海大相模高

(先)浅見貴哉○燕返△中尾旭
(次)竹村昂大×引分×芦川泰孝
(中)釘丸将太△小外掛○長谷川優
(副)山田稔喜×引分×浅野未来
(大)山田伊織○大外刈△松井巧希

積年のライバル同士が準々決勝という早い段階で対戦。

ともに補欠登録の2人が対戦した先鋒戦がこの試合最大のポイント。結果は国士舘・浅見貴哉が燕返「一本」で勝利、ガッツポーズでチームに勢いをもたらす。

ポイントゲッター同士が対戦した中堅戦では東海大相模・長谷川優が一本勝ちを果たしたが、大将戦では山田伊織が復帰間もない松井巧希から大外刈で一本勝ち。2-1で国士舘が勝ち抜け決定、準決勝進出を果たした。

結果決まった準決勝のカードは、

神戸国際大附高 - 天理高
崇徳高 - 国士舘高

となった。

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(写真:神戸国際大附高先鋒の高木育純が村上陣亮から大外刈で「有効」を奪う)

■準決勝

神戸国際大附高 ②-2 天理高
(先)高木育純○片羽絞△村上陣亮
(次)新井滉耀△反則[指導4]○古田伸悟
(中)光明駿△優勢[指導2]○並里樹
(副)鳥居天凱×引分×西岡丈
(大)石山潤平○合技[浮落・崩袈裟固]△古川裕煕

神戸国際大附高は先鋒の高木育純が村上陣亮を相手に2分45秒右大外刈で「有効」奪取。さらに攻撃意欲は衰えず、最終盤に古田が横変形から半身になったところに釣り手を利かせて押し込み、村上が伏せるとそのまま襟を首に食い込ませて片羽絞。村上抗うが初動の段階で襟が首にガッチリ食い込んでおり、回避かなわず「参った」。

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(写真:高木が残り3秒、片羽絞を決めて一本勝ち)

この時残り時間は僅か3秒。最後まであくまで「一本」を狙った高木のこの勝利が盤面に大きく効くこととなる。

次鋒戦は天理大・古田伸悟が右相四つの新井滉耀を良く攻め「指導」4つを奪っての反則で勝利。スコアを1-1に戻すと、中堅戦も並里樹が128kgの巨漢光明駿を相手に2つの「指導」を奪う優勢勝ちで勝ち越し。

副将戦は引き分けに終わり、勝敗の行方は大将戦に委ねられることとなった。

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(写真:天理高・古川裕煕が支釣込足「有効」で先制)

大将戦は神戸国際大附の1年生エース石山潤平、天理・古川裕煕ともに右組みの相四つ。開始早々古川が左脚を伸ばしての支釣込脚で石山を転がし「有効」奪取。

しかし以後は幾度も威力のある大内刈を打ち込む石山が主導権を握り、古川はそのたびなんとか伏せて展開を切る。

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(写真:石山潤平が逆転の浮落「技有」)

2分40秒、双方横変形の形から石山が圧を掛けると、我慢できなくなった市川が支釣込足。しかし待ち構えた石山はインパクトの前に体を浴びせて相手をコントロール、胸を合わせて乗り込み「技有」を獲得。そのまま崩袈裟固で抑え込み、必死に抗う古川を制し続けて合技「一本」。

これで5戦が終了、2対2の内容差で神戸国際大附高がついに決勝へと駒を進めることとなった。

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(写真:竹村昂大が山本健太から袈裟固で一本勝ち)

崇徳高 2-1 国士舘高
(先)村上隆貴×引分×浅見貴哉
(次)山本健太△袈裟固○竹村昂大
(中)香川大吾○合技△釘丸将太
(副)貫目純矢×引分×山田稔喜
(大)増本大輝○合技△山田伊織

崇徳高はエースの香川大吾による1点を見込み、ポイントゲッター貫目純矢、さらに山本健太、増本大輝のいずれかで勝利圏となるはずの2点目を狙おうという布陣。

一方の国士舘はエース吉良儀城が不在で、確実に得点を織り込めるポジションはない。釘丸が香川を止め、残る4枚が崇徳の隙を見つけて点を重ねていくしかない総合力勝負。現実的にはこの4ポジションで2点獲得が勝利の絶対条件になるはずだ。

5番手同士がぶつかることとなった先鋒戦は崇徳・村上隆貴、国士舘・浅見貴哉ともに手堅い試合運びで引き分け。
次鋒戦は国士舘・竹村昂大が中盤に首を抱えた左内股を押し込んで「有効」獲得、そのまま袈裟固で抑え切って2分30秒、一本勝ちを果たす。国士舘は"4ポジションで2点"の勝利に向けた星勘定のうちまず最初の1点を得ることに成功。

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(写真:香川大吾が釘丸太一の内股を捌いて「技有」獲得)

中堅戦は崇徳・香川、国士舘・釘丸ともに左組みの相四つ。
釘丸が巧みな組み手パターンの出し入れと機を見ての左への「出し投げ崩し」で上手く試合を構成、なかなか香川に的を絞らせない。香川は圧力を掛けようとするがその都度巧みに柔道衣をずらして回避、あっという間に2分が過ぎ去る。
しかし香川は慌てず前進を続けて圧を掛け続ける。これをやや持て余した釘丸が左内股に飛び込んだその瞬間、香川さらに一歩出て釘丸のインパクトを余らせ、釣り手側にめくりかえして内股透「技有」奪取。

香川はそのまま胸を合わせて横四方固、3分36秒「技有」が宣告されて試合終了。崇徳、目論見通りエース香川でしっかり1点獲得。スコアは1-1のタイとなる。

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(写真:山田稔喜が裏投、貫目純矢は大内刈に切り返して対抗)

崇徳・貫目純矢と国士舘・山田稔喜の副将戦は貫目が序盤から左内股で良く攻める。
2分、山田が貫目の背中側に進出することに成功、腰を抱いて裏投を放つが貫目大内刈に切り返し、山田はその体勢のまま背中から畳に落ちる。
あわやポイントという技だったが、山田の自爆と判断されたか審判団はこれをスルー。しかしこの攻防を経て慎重になった山田は以後腰を寄せての一発勝負を忌避、中盤戦を慎重に戦わざるを得なくなる。
残り1分を過ぎてから山田再び攻め始め、一本背負投の形に腕を抱えた右大外刈、左背負投に支釣込足と猛攻を見せるが、すでに残り時間は僅少。この試合は引き分けに終わり、勝敗の行方は大将戦に委ねられることとなった。

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(写真:増本大輝が左大内刈で「有効」を追加)

大将戦は崇徳・増本大輝と国士舘・山田伊織ともに左組みの相四つ。
開始早々の19秒、増本が山田の左大外刈を跳ねるように返して大外返「技有」。

始まるなりチームの勝利に繋がるポイントを貰った増本は以後余裕を持って試合を展開。1分20秒、横変形の圧の掛け合いから左大内刈を仕掛けて山田を落とし「有効」獲得。そのまま体を乗せて素早く寝技に移行、山田足を絡んでこらえるが増本落ち着いてこれを抜き、横四方固に抑え込む。
山田逃れること叶わず「技有」、となり増本の合技一本で試合は決着。

これで五試合が終了。通算スコアは2-1、崇徳高が決勝へと駒を進めることとなった。

今年の国士舘高は吉良が不在のまま冬季シリーズを戦い抜いたが、「国士舘らしい」しぶとさを前面に押し立てるべき代のチームでありながら、まさしくそのストロングポイントであるべきはずの勝負どころでの失点の多さが気にかかる。吉良が復帰したとしても、この意外とも言うべき脆さの克服は今代最大の課題だろう。1月の東京予選で見込まれる吉良の復帰をきっかけに、チームがもう一段まとまることが出来るのか。選手権本番に向けての戦力整備の程、そして今期充実の修徳高との決戦の結果以上にその「まとまり」ぶりが注目されるところだ。

結果、決勝のカードは、

崇徳高 - 神戸国際大附高

となった。

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(写真:決勝に臨む崇徳高)

■決勝

インターハイ優勝の崇徳高は今期のナンバーワンポイントゲッターの呼び声高い香川大吾を軸に手堅く、かつ勝負どころを譲らない強気の戦いを披露。予選リーグで東海大第五高を2-1、東海大第四高を2-2の内容差、足立学園高を5-0で下して決勝トーナメントに進出すると、準々決勝で大垣日大高を2-1、準決勝で国士舘高を2-1で下して決勝まで勝ち上がった。ここまで5戦して得点「2」が4試合と決して爆発力があるわけではないが香川の得点力、そして隙のない戦いからチャンスと見るやどこからでも点をもぎ取りに掛かる5人共通した気持ちの強さがチームの売り。

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(写真:大躍進の神戸国際大附高)

一方の神戸国際大附高は今大会の台風の目。予選リーグで大垣日大高を3-2、豊栄高を5-0、そして前年度王者の東海大浦安高を4-1という大差で下すと準々決勝は東海大仰星高を2-1、準決勝は天理高を2-2の内容差で下して、若潮杯という招待試合最高権威大会で堂々の決勝進出を果たした。ことらは爆発力となによりダークホースならではの勢いを利して若潮杯初勝利を狙う。

開示されたオーダーは下記。

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(写真:決勝が開始される)

崇徳高 - 神戸国際大附高
(先)村上隆貴 - 高木育純
(次)山本健太 - 新井滉耀
(中)香川大吾 - 光明駿
(副)貫目純矢 - 鳥居天凱
(大)増本大輝 - 石山潤平

盤面から得点が想起されるのは中堅戦の100kg超級対決。体の芯の強い選手を揃えた神戸国際大附の選手たちだが中堅の光明は腰の高い超級選手らしい脆さもまた合わせ持ち、超級同士の対戦を苦にしない崇徳・香川の1点獲得は十分計算が立つ。

ほか4戦は神戸国際大附が全国的には「ニューカマー」であることもあり、事前予想は不透明。一つ言えるとすれば、西のチームらしからぬ試合技術の高さを持つ崇徳は反面東の「技術で立つ」チーム同様のナイーブさも合わせ持っており、縦横のサイズと体幹の力を備え、それを前提に典型的な「現在の試合技術」の一手先を読んで体を合わせてくる神戸国際大附の柔道はそのナイーブさに付け入って一発得点する可能性を十分持っている。

試合を揺らすことができる可能性があるのは、崇徳としてはポイントゲッター貫目純矢に神戸国際大の最軽量選手鳥居天凱がマッチアップする副将戦。神戸国際大附としては1年生ポイントゲッターの石山潤平が登場する大将戦、今大会躍進の因となった斬り込み役の高木育純が村上隆貴とマッチアップする先鋒戦、そして新井滉耀が取り味と脆さの同居する曲者・山本健太と対戦する次鋒戦のいずれかでなんとか得点して試合を揺さぶっていきたいところ。

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(写真:高木育純が一本背負投、村上隆貴が迎え撃つ)

先鋒戦は崇徳・村上隆貴、神戸国際大附・高木育純ともに右組みの相四つ。高木が右一本背負投で先制攻撃、しかし村上これを潰して体勢を立て直すと次の展開では相手の頭を下げさせ、右小内刈を連発して高木を崩す。48秒、高木に「指導1」。

奮起した高木は右一本背負投、さらに釣り手のコースを変えて横襟を握るなりの右払腰と攻め返す。右一本背負投、左袖釣込腰と取り味のある技を続けた直後の2分11秒、村上に「指導1」。

以降は高木が組みにいき、村上がやや嫌いながら捌くという様相のまま試合が推移。このまま両者ポイントなく先鋒戦は引き分けに終わった。

次鋒戦は崇徳・山本健太が左、神戸国際大附・新井滉耀が右組みのケンカ四つ。互いに脇を差しての引き手争いが続き、1分48秒に山本、終盤の3分0秒に新井にそれぞれ「指導」が与えらるが、大きく展開が動くことはなくこの試合も引き分け。

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(写真:香川大吾が光明駿を相手に内股、巻き込んで「有効」)

迎えた中堅戦は崇徳・香川大吾が左、光明駿が右組みのケンカ四つ。
開始早々光明が両襟を握って圧力。しかし香川落ち着いていったん相手の引き手を切り離し自分だけが一方的に持つ形を作ると、近接距離からの左大内刈。さらに余った足を振り上げて左内股に連絡して巻き込むと光明転がって「有効」。経過時間は50秒。

以降も香川だけが引き手の袖を握る一方的な組み手が続き、光明は非常に苦しいところ。香川が左内股で光明を場外に送り出した直後の1分13秒、光明に「指導1」。
左大内刈、左小内刈と繋いでジックリと攻め続ける香川の前に後退気味の光明、押し込まれる状況を打開せんと1分42秒思い切った右内股。

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(写真:香川が内股透で2つ目の「有効」獲得)

しかし待ち構えた香川、腰を切ってこの技を透かして光明を落とし、相手の逆側に乗り込んでめくり返して2つ目の「有効」獲得。そのまま逆側に降りると脇を差し、腕を差し換え、胸を合わせてと流れるように手順を進めて横四方固。光明動けず「一本」、2分27秒。崇徳高が目論見通りに1点を先制。

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(写真:貫目純矢が肩越しに背中をたたくと鳥居天凱は迷いなく大内刈を選択)

副将戦は崇徳高・貫目純矢、神戸国際大附高・鳥居天凱ともに右組みの相四つ。
貫目はリードを背景に、鳥居は大将に石山が控える中でのポイントゲッター貫目との戦いというバックグランドを背にこの試合は双方慎重。互いに嫌いあい、離れあうことの繰り返しで序盤戦が暮れ、1分44秒鳥居に「取り組まない」判断での「指導1」。

奮起した鳥居、釣り手で奥襟を叩くと応じた貫目は肩越しに背中を叩く。鳥居迷いなく足持ちの右大内刈を選択、崩れた貫目腹ばいに畳に降りて「待て」。

ここで続けて攻めれば鳥居が「指導」を獲得しうる時間帯だが、心得た貫目は鳥居の巴投に乗じて寝技に持ち込み、得意の横三角を試みて攻め続けて試合の流れは再びフラットに。「待て」が宣告されたときには残り時間は僅か49秒。

鳥居気を取り直して内股で攻めるが、試合の潮目は既に引き分けに向けて収束の気配。鳥居の散発の技に得点の気配はなくこの試合も引き分けに終わった。

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(写真:増本(左)と石山の大将戦)

大将戦は崇徳・増本大輝が右、神戸国際大附・石山潤平が左組みのケンカ四つ。

引き手争いが続く中、増本30秒過ぎから思い切って両襟を握る。組んで勝負したい石山はチャンスと見て相手を前に引き出しながら技を狙うがもろとも場外に出て「待て」。

以後も近接戦闘から石山が相手の力をずらしながらの右内股、右小外刈と取り味のある技を繰り出すが増本あくまで冷静に試合を壊さず、引き手争いを交えながらじっくり対応。

2分を過ぎたところで石山が釣り手を内側から、かつ高い位置で襟を確保する絶好の組み手を作り出す。ここから石山が思い切りの良い右内股を放った直後の2分18秒、増本に「指導1」。

石山としては取り続けてきた主導権を具体的なポイントに昇華させるべき勝負どころが訪れた形だが、しかしこの時間帯の重要性を心得た増本は再開後すかさず奥襟を叩いて圧力。石山が思わずひざを屈するとひきずって左小内刈、さらに寝技に持ち込んで時間を使い、流れは完全にフラットに戻る。

増本は残り1分を比較的スローな展開の腰の差しあいに持ち込み、リスクを採ることなく試合を締める。この試合も引き分けに終わり全五試合が終了。トータルスコア1対0で崇徳高の勝利が決まった。

崇徳高 1-0 神戸国際大附高
(先)村上隆貴×引分×高木育純
(次)山本健太×引分×新井滉耀
(中)香川大吾○横四方固△光明駿
(副)貫目純矢×引分×鳥居天凱
(大)増本大輝×引分×石山潤平

初優勝の崇徳高・加味富章監督は「勝ててしまいましたね」と笑顔の中にもやや意外そうな様子。「冬季の遠征はチームの穴ボコを見つけてそこを埋めていくことが最大の課題。遠征通じてチームの状態は上がってきていますが、まだ全国がどうというよりは、予選に向かってチームを引き締めていかねばいけない段階」とのことで、勝利を喜ぶというよりは、課題を抱える中で「勝てた」という結果をどう値踏みするか、冷静に現時点の達成度を観察しているかのような様子だった。

エース香川の得点能力はもちろんのこと、冬季遠征を通じて感じられた崇徳最大の武器は、レギュラー登録6人が共通して持つプライドの高さ。インターハイ優勝という経験が生んだ「負けてはならない」というプライド、「取れるはず」という強気が各人に気負いなく染みており、特に香川と貫目がマークされる中で飛び道具的に得点を生み出す山本と増本の存在は選手権に向けて心強い。インターハイの成績とこの若潮杯優勝で、高校選手権本番は少なくとも「4つ角」シードは確実だろう。

神戸国際大附はこの若潮杯2位で一気に全国区。天理大出身の長沢伸昭監督の教え込む「一本」を目指す柔道スタイル、ウエイトトレーニングを一切拒否して「腕立てや綱のぼりなど昔ながらの鍛え方」(長澤監督)で作り上げた強い体、明らかにプログラムされた連続攻撃や後の先の技など"取る"ことに率直なメソッドの数々と、その試合振りは全国大会でも十分活躍を想起させる骨の太さがある。点取り制ではあるが、天理高や東海大仰星高との再戦が予想される1月の近畿大会を勝ちきるようであれば、間違いなく優勝候補の一角だろう。

繰り返し書いて来たとおり、今期の高校柔道界は史上最大と評されてしかるべき大混戦。

若潮杯は「これを見ればその年の高校柔道がわかる」とまで言われてきた少数精鋭大会だが、今年は白鴎大足利、修徳、大成など全国大会の主役級と目されるチームが相当数不在で、この構造は少なくとも今期に限ってははっきり崩れた感がある。試合後、記者に大会関係者の一人が語ってくれた「若潮杯はこのやり方で30年やってきたが、その構図がついに崩れたのが今年度」という総括は、今年の大混戦を示すものとして端的だ。

10月の朱雀杯も交え、ここまでのいわゆる「招待試合サーキット」で2勝したチームは白鴎大足利のみ。多くの指揮官が「高校選手権を5回やったら、全大会優勝チームが違うのではないか」とまで語る大混戦の今期、全国大会を勝ちきるチームはどこか、そして主催者はどう「シード順」を捌くのか。例年に比べレベルの低下もまた指摘される今期の高校柔道ではあるが、大会に向けてファンの興味は尽きない。

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(写真:優勝の崇徳高)

【入賞者】

優勝:崇徳高(広島)
準優勝:神戸国際大附高(兵庫)
第三位:国士舘高(東京)、天理高(奈良)

加美富章・崇徳高監督のコメント
「この時期は改善点を探してそこを埋めていくのが一番の課題。冬季遠征はチーム状態も上がってきましたし、穴ボコは減ってきました。優勝以上にこれが収穫だと思います。全国云々よりは広島県予選に向けてチームを引き締めていくことを考えたいです。今後の課題ですか?失点を減らすことを考えないといけない。失点しているのは集中力が切れるところ、ここをしぶとく埋めていきたいと思います」

神戸国際大附高・長沢伸昭監督のコメントト
「強化を始めて8年目、選手も集まりだして、今日はどれくらい出来るか楽しみにして試合に臨みました。優勝を狙うのはあつかましいですが、若潮杯という大きな戦いでここまで出来て自信にはなったと思います。技術的には最後まで攻めることを徹底しているというだけです。ウエイトトレーニングはせずに腕立てや綱のぼりなど自分の体を使った昔ながらのトレーニングをして、あとはご飯をしっかり食べてもらうために体重測定はしっかりしていますかね(笑)。今日は思い切りいく、ということが目標でした。抜き試合はまた違うと思いますが、全国までしっかり稽古してがんばりたいと思います」

【決勝トーナメント1回戦】

国士舘高(東京) 2-1 東海大相模高
天理高(奈良) 3-2 東海大第五高(福岡)
崇徳高(広島) 2-1 大垣日大高(岐阜)
神戸国際大附高(兵庫) 2-1 東海大仰星高(大阪)

【準決勝】

神戸国際大附高 ②-2 天理高
崇徳高 2-1 国士舘高

【決勝】

崇徳高 1-0 神戸国際大附高


※ eJudo携帯版「e柔道」およびeJudoメルマガ版1月14日掲載記事より転載・編集しています。
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