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【ROAD TO 高校選手権】水田三喜男杯争奪選抜高等学校柔道大会マッチレポート

(2014年1月17日)

※ eJudo携帯版「e柔道」およびeJudoメルマガ版1月5日掲載記事より転載・編集しています。
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【ROAD TO 高校選手権】
水田三喜男杯争奪選抜高等学校柔道大会
マッチレポート
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(写真:開会式、選手宣誓を務めるのは桐蔭学園高・坂内哲平と東大阪大敬愛高・池絵梨菜

第13回水田三喜男杯争奪選抜高等学校柔道大会は26日、城西国際大学スポーツ文化センター(東金市)で男子59校、女子33校が参加して行われた。

今年度の高校柔道がおそらく史上最大級の混戦で有力校があまりに多く、かつこの翌日行われることとなっている、これまで選手権展望の招待試合としては決定版と位置づけられてきた若潮杯武道大会の参加チームは16校のみであり、そして、有望とされるチームの中に若潮杯に招聘されていないチームが多く存在するという状況下、各校の冬季関東遠征まっただ中に行われる今大会の意味は例年以上に大きい。

昨年の成績を参考に選ばれたシード4校は、桐蔭学園高(神奈川)、崇徳高(広島)、修徳高(東京)、足立学園高(東京)。いずれも順当に勝ち進み、ベスト8には上記4チームに加え、田村高(福島)、四日市中央工高(三重)、白鴎大足利高(栃木)、國學院栃木高(栃木)が勝ち残った。

概ね順当に進んだ序盤戦だが、ブロックを4つに分けて注目カードの結果と各校の勝ち上がりを簡単に紹介したい。

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(写真:2回戦、桐蔭学園高の1年生稲山怜央が文星芸大附・伊藤城から引込返、袈裟固と繋いで一本勝ち)

■1回戦~3回戦

【Aブロック】

勝ち上がり校:桐蔭学園高、田村高

第1シードの桐蔭学園高(神奈川)は前戦の松尾杯に続き岡田武志、小原弘暉、田中太基を欠く苦しい布陣。それでも2回戦で文星芸大附高(栃木)を5-0、木更津総合高(千葉)を3-0で降して順調にベスト8入り決定。

田村高 ②-2 近大福山高
(先)星優平○内股透△左近智輝
(次)熊田流星×引分×神森拓馬
(中)増子智也△優勢[有効・内股透]△一色勇輝
(副)田辺巧△優勢[指導2]○前杢宏輝
(大)安部晴輝○優勢[有効]△大西健介

3回戦、逆側の山でベスト8進出を争ったのは松尾杯ベスト8の近大福山高(広島)と東北の雄・田村高(福島)。
田村高の先鋒・星優平の内股透「一本」をきっかけにこの試合はシーソーゲーム。中堅戦では近大福山高の一色勇輝が田村高のポイントゲッター増子智也から内股透「有効」で勝利、副将戦も前杢宏輝が「指導2」で勝利して2-1としたが大将戦は田村高・安部晴輝が踏ん張って優勢勝ち。先鋒戦の「一本」が最後まで効き、2対2の内容差で近大福山高が準々決勝へと駒を進めることとなった。

[1回戦]

文星芸大附高(栃木) 5-0 明野高(茨城)
盛岡中央高(岩手) 5-0 東海大高輪台高(東京)
木更津総合高(千葉)○不戦△西部台高(埼玉)
近大福山高(広島) 5-0 岩手高(岩手)
士気高(千葉) 3-2 武蔵越生高(埼玉)
田村高(福島) 2-0 新潟工高(新潟)
前橋商高(群馬) ②-2 秋田商高(秋田)

[2回戦]

桐蔭学園高(神奈川) 5-0 文星芸大附高
木更津総合高 2-1 盛岡中央高
近大福山高 4-0 士気高
田村高 3-1 前橋商高

[3回戦]

桐蔭学園高 3-0 木更津総合高
田村高 ②-2 近大福山高

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(写真:1回戦、四日市中央工高の大将佐野世純が若松商・目黒達也から内股で一本勝ち)

■Bブロック

勝ち上がり校:足立学園高、四日市中央工高

有力チームのC、Dブロック集中を受けこのブロックは混戦。
第3シードの足立学園高(東京)と、エース原田昌寛を押し立てて粘りの戦いを繰り広げた四日市中央工高(三重)がベスト8進出を果たした。

[1回戦]

作新学院高(栃木) 4-1 千葉商大高(千葉)
長崎日大高(長崎) 5-0 高体連第2地区選抜(千葉)
桐生第一高(群馬) 4-0 京華商高(東京)
盛岡大附高(岩手) 2-1 市立習志野高(千葉)
東北高(宮城) 4-1 東京学館高(千葉)
四日市中央工高(三重) 5-0 若松商高(福島)
成田高(千葉) 3-0 水戸葵陵高(茨城)

[2回戦]

足立学園高(東京) 4-0 作新学院高
長崎日大高 ①代-1 桐生第一高
東北高 3-0 盛岡大附高
四日市中央工高 ①代-1 成田高

[3回戦]

足立学園高 3-0 長崎日大高
四日市中央工高 1-0 東北高

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(写真:2回戦、崇徳高の山本健太が一関学院・高橋尚馬から払腰で一本勝ち)

■Cブロック

勝ち上がり校:崇徳高、白鴎大足利高

崇徳高 ②-2 山形工高
(先)村上隆貴△優勢[技有]○渡部匠
(次)山本健太○上四方固(2:26)△後藤昌毅
(中)一面護×引分×庄司湧貴
(副)増本大輝△優勢[有効]○須賀皓成
(大)貫目純矢○袈裟固(2:50)△峯田龍祈


23日の松尾杯から中2日、そして翌27日に若潮杯武道大会を控える崇徳高は松尾杯勝ち上がりの中途で足に違和感を訴えていたエース香川大吾をさすがに起用せず。3回戦では山形工高(山形)を相手に2点を失う接戦、大将貫目純矢の一本勝ちでなんとか追いつき、内容差でベスト8勝ち上がりを決めた。

山形工は高校選手権予選を負傷欠場した石山蒔恩らが未だ復帰出来ず。苦しい布陣だったが、来期に向けて粘りのあるところを見せた。

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(写真:3回戦、白鴎大足利高・浅野大輔が関西高・福岡克仁から背負投で一本勝ち)

白鴎大足利高 5-0 関西高
(先)浅野大輔○背負投△福岡克仁
(次)山中勇希○優勢[有効・体落]△藤原知弘
(中)柳原尚弥○払腰△大治慶伍
(副)太田竜聖○内股△渡辺蓮
(大)太田彪雅○合技[内股・上四方固]△池田大地

松尾杯準優勝から2日経ち、白鴎大足利は同大会中途で負傷のため退いた170kgの巨漢・山中勇希が戦列に復帰。こちらはベストメンバーでの布陣。

岡山の強豪・関西高と対戦した3回戦では斬り込み隊長役の浅野大輔と、インターハイ66kg級3位で来年の軽中量級の目玉の1人と目される福岡克仁との先鋒戦に注目が集まったが、この試合は浅野が開始早々に出足払「有効」、さらにポイント失陥に戸惑った福岡の体勢が整う前に左背負投「一本」を奪ってあっという間に勝負を決する。
浅野の一番槍に勇気付けられた白鴎大足利は、以後も次々得点。中堅以降は一本勝ちを3つ並べて5-0で最初の山場を乗り切り、ベスト8進出決定。

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(写真:3回戦、白鴎大足利高・太田彪雅が関西高・池田大地を内股に捉える。回りすぎて「技有」)

[1回戦]

一関学院高(岩手) ②-2 正則学園高(東京)
山形工高(山形) 5-0 前橋東高(群馬)
つくば秀英高(茨城) 3-1 市立柏高(千葉)
白鴎大足利高(栃木) 5-0 沼津工高(静岡)
千葉経済大附高(千葉) 2-0 東日本国際大附昌平高(福島)
安田学園高(東京) 5-0 千葉黎明高(千葉)
関西高(岡山) 4-0 八戸学院光星高(青森)

[2回戦]

崇徳高(広島) 5-0 一関学院高
山形工高 3-② つくば秀英高
白鴎大足利高(栃木) 5-0 千葉経済大附高
関西高 ①代-1 安田学園高

[3回戦]

崇徳高 ②-2 山形工高
白鴎大足利高 5-0 関西高

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(写真:2回戦、修徳高・坂口真人が箕島高・杉元拳右から鮮やかな内股「一本」)

■Dブロック

勝ち上がり校:修徳高、國學院栃木高

松尾杯を制したばかりの修徳高は小川雄勢、坂口真人、原澤脩司、佐藤竜のレギュラー4人を初戦から投入。2回戦で武相高(神奈川)、3回戦で箕島高(和歌山)をいずれも5-0で降して順当にベスト8入り。

混戦が予想された逆側の山は國學院栃木高が前橋育英高(群馬)、大宮工高(埼玉)と関東勢対決に連勝してこちらも大過なく準々決勝進出を決めた。

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(写真:1回戦、修徳高・小川雄勢が武相高・小林康介から内股で一本勝ち)

[1回戦]

武相高(神奈川) 4-0 大原高(千葉)
弘前実業高(青森) 4-0 第3地区(千葉)
箕島高(和歌山) 5-0 拓大紅陵高(千葉)
前橋育英高(群馬) 4-1 古川工高(宮城)
國學院栃木高(栃木) 5-0 盛岡南高(岩手)
豊栄高(新潟) 5-0 湯沢翔北高(秋田)
大宮工高(埼玉) 3-0 市立船橋高(千葉)

[2回戦]

修徳高(東京) 5-0 武相高
箕島高 2-1 弘前実業高
國學院栃木高 3-0 前橋育英高
大宮工高 2-1 豊栄高

[3回戦]

修徳高 5-0 箕島高
國學院栃木高 2-1 大宮工高

■準々決勝

桐蔭学園高 2-1 田村高
(先)戸崎碧海×引分×星優平
(次)稲山怜央△優勢[有効]○熊田流星
(中)渡部甲誠○背負投△田辺巧
(副)坂内哲平×引分×増子智也
(大)大塚翔悟○優勢[有効]△安部晴輝

桐蔭学園高は1年生3人の苦しい布陣。次鋒戦では稲山怜央が熊田流星を相手に小内刈「有効」で失点、追いかける立場となるが、中堅渡辺甲誠の背負投「一本」で追いつくと大将のエース大塚翔悟が内股「有効」で安部晴輝を破って勝ち越し。辛くも準決勝進出を決めた。田村高は抜き役を担うべき増子らポイントゲッターが全国上位対戦を想定したこの日の最重要試合でいずれも得点出来ず。全国大会で勝ち上がるには1月に控える東北大会を経てもう一段、二段のスケールアップが求められるところ。

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(写真:四日市中央工高・原田昌寛が中神正紘を巴投で攻める)

四日市中央工高 ②-2 足立学園高
(先)羽田野航△優勢[有効]○藤阪泰恒
(次)谷口真英△優勢[技有]○丸健二
(中)山本涼平○一本背負投△村山三四郎
(副)佐野世純×引分×泊耕大
(大)原田昌寛○優勢[技有]△中神正紘

ともに小型の好選手を揃えた両校の対決。
足立学園高が優勢勝ちを2つ並べてリードするが、四日市中央工高は大将に控えるエース・原田の登場を前に中堅山本涼平が奮起、一本背負投「一本」で勝利して望みを繋ぐと、その大将原田が場外際の背負投で「技有」を奪取。2-2の内容差で見事ベスト4へと駒を進めることとなった。

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(写真:準々決勝、白鴎大足利高の先鋒浅野大輔が一面護を攻める)

白鴎大足利高 4-0 崇徳高
(先)浅野大輔○優勢[有効]△一面護
(次)山中勇希○優勢[有効]△村上隆貴
(中)柳原尚弥○優勢[指導3]△山本健太
(副)太田竜聖○崩袈裟固△増本大輝
(大)太田彪雅×引分×貫目純矢

準々決勝4試合のうち、おそらく最も注目を集めた好カード。
先鋒戦は浅野大輔が軽量級の好選手・一面護を肩車、左背負投で追い詰め、「有効」を奪取して勝利。次鋒戦は山中勇希が村上隆貴から残り48秒で払巻込「有効」、さらに大内返「有効」と2つのポイントを積み上げてさらに1点を追加する。

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(写真:準々決勝、白鴎大足利高の次鋒山中勇希が村上隆貴から払巻込「有効」を奪う)

崇徳高が我慢すべき前衛の2ポジションで白鴎大足利高が連勝したことで、試合の様相はほぼ確定。中堅戦は柳原尚弥が3つの「指導」を積み上げ、山本健太も得意の裏投で「有効」を取り返すが及ばず白鴎大足利高が勝利を決定づける3点目を獲得。副将戦も太田竜聖が増本大輝を相手に右内股「有効」、右背負投「有効」と立て続けに獲得し、最後は1分47秒、相手の腕を極めたままの崩袈裟固で一本勝ち。

大将戦は太田彪雅が崇徳高のポイントゲッター貫目純矢をしっかり止めて引き分け。白鴎大足利高が気合の入った試合ぶりで崇徳高を圧倒、なんと4-0という大差で勝利して準決勝進出を決めた。

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(写真:準々決勝、修徳高の副将原澤脩司が大井陽平から大外刈「一本」)

修徳高 3-1 國學院栃木高
(先)佐藤竜○上四方固△大中志津
(次)坂口真人△優勢[技有]○新井輝
(中)伊藤祐介×引分×宮崎雄樹
(副)原澤脩司○大外刈△大井陽平
(大)小川雄勢○内股△橡本貴明

修徳高が順当に3点を獲得して勝ち抜け。佐藤、原澤、小川の得点者3人ともに力まずに淡々と実力を発揮、順当に勝利したという一番であった。

この試合の驚きは次鋒戦。國學院栃木高の1年生・新井輝が修徳高インターハイ3位の立役者の1人・坂口真人から朽木倒「有効」、小内巻込「技有」と立て続けに奪って勝利。チーム唯一の得点を挙げた。

坂口は新シーズン開幕以来各校の徹底マークに晒され、得意の内股に入る形をここまでほとんど作らせてもらえず。毎大会苦心の試合を強いられ続けていたが、この試合ではついに失点。好調のチームの中にあって、1月に迫る高校選手権東京予選に向け「止めにくる相手を取る」ポイントゲッターとして一皮剥けることが出来るか、試練の時だ。

結果決まった準決勝のカードは、

桐蔭学園高 - 四日市中央工高
白鴎大足利高 - 修徳高

となった。

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(写真:準決勝、白鴎大足利高の次鋒柳原尚弥が修徳高・佐藤竜の右背負投を首を固定して返しに掛かる)

■準決勝

23日の松尾杯決勝に続く、事実上の決勝と目される大一番。
開示されたオーダー順は下記。

白鴎大足利高 - 修徳高
(先)浅野大輔 - 伊藤祐介
(次)柳原尚弥 - 佐藤竜
(中)山中勇希 - 坂口真人
(副)太田彪雅 - 原澤脩司
(大)太田竜聖 - 小川雄勢

対戦配列は変わったが、順行運転で試合が進めばやはり小川という大駒1枚を擁する修徳が一歩有利。
白鴎大足利としては先鋒の浅野、次鋒の柳原でなんとか得点し、中堅の山中に我慢させた上で後半戦を迎えたいところ。

大きな見どころは松尾杯の再戦となる副将戦。小、中時代から重量選手には抜群の取り味を発揮する太田彪雅が新シーズン抜群の安定感を見せる原澤脩司という巨漢選手に対して、おそらく得点必須という背景を強いられる中でポイントを挙げることが出来るのかどうか。絶対のエースがまだいない白鴎大足利の得点力を測るという観点から、高校選手権本番に向けて見逃せない一番。

先鋒戦は白鴎大足利・浅野が左、修徳・伊藤が右組みのケンカ四つ。
浅野が主導権をとり掛かるが伊藤上背を生かした圧力と先手の技でことごとく流れをフラットに戻し、1分28秒双方に「指導1」。
その後浅野が攻撃意欲を剥き出しに左背負投を連発するが、伊藤は対照的にあくまで冷静な試合運びでしっかり捌き、この試合は引き分け。

次鋒戦は白鴎大足利・柳原、修徳・佐藤ともに右組みの相四つ。
開始早々佐藤が得意の右背負投、しかし心得た柳原が首を固定して返し「待て」。直後柳原が組み付きながらの小外刈、ケンケンで激しく追う場面を作り主導権を得る。

しかし佐藤は巴投で展開を切り、粘り強く試合を展開。なかなか取れない柳原、終盤戦は自らいったん組み手をやり直す悪い癖が出てしまい、体格に劣る佐藤の術中に嵌った感あり。結局この試合、終盤は互いにチャンス僅少のまま引き分け。

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(写真:修徳高の中堅・坂口真人が左大外刈、左体落で白鴎大足利・山中勇希を攻める)

中堅戦は白鴎大足利・山中、修徳・坂口ともに左組みの相四つ。

山中は得意の左払巻込の大砲を序盤から一発、二発と打ち込む。二本持った形では抜群の技の切れを持つ坂口、敢えて切らずに横変形に構え強気の左大外刈を連発、さらに左小内刈で相手の出足を止め、左体落で対抗。

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(写真:山中勇希が左内股巻込を押し込んで坂口真人から「有効」を奪う)

しかし、とにもかくにも技に入らせてもらえることに感触を得た山中は掛け潰れを峻拒して粘り強くチャンスを伺い、2分11秒には再び思い切った左内股巻込。攻撃志向の分初動が遅れた坂口は足を一歩捌くが大きく崩れ、柔道衣がスッポ抜けたまま崩れて腹ばいに落ちかかる。山中、引き手を放さず脇を締めて体で押し込むと場外で坂口転がり、これは山中の「有効」となる。

ビハインドを負った坂口は取り返さんと前に出るが、山中あくまで下がらず、払腰、払巻込と前技でシークエンスを終えて必死の試合を展開。残り時間20秒を過ぎたところから坂口が大外刈を3連発するが、時すでに遅し。山中の「有効」優勢、事前予測を覆す貴重な一点で白鴎大足利高が先制。

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(写真:白鴎大足利・太田彪雅が原澤脩司の腕を極めてめくり返す)

副将戦は白鴎大足利・太田彪雅が右、原澤脩司が左組みのケンカ四つ。松尾杯では太田が「指導3」まで奪うもレギュレーション上引き分けに終わっている一番。

原澤組み止めに掛かるが、太田は二本持ったまま柔道衣をずらして右内股。前戦で感触を掴んでいたか、自信満々に攻めを展開し、55秒原澤に「指導1」。

直後、太田が釣り手一本の右小内刈。原澤が崩れると膝をついた相手に対し釣り手で後襟、引き手で左腕を抱えて自らの右袖を掴んで固定して寝技を展開。腕挫腕固で肘を極めながらめくり返しを試みる。

今まで原澤を相手に脇を差し、あるいは首を抱えてめくり返しを試みた選手はあったがいずれも原澤のサイズを制すことが出来ず「待て」の声に甘んじてきた。しかし先に関節を極め、かつあくまで粘る太田の前についに陥落、体が横倒しに、顔は天井側を向く体勢となる。太田は胸を合わせてめくって横四方固、次いで上四方固と連絡し「一本」。

白鴎大足利、この時点で2-0としてチームの勝利を決めた。

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(写真:修徳高・小川雄勢が太田竜聖を攻め、反則による勝利で一矢を報いる)

大将戦は修徳・小川がチームの敗戦にもあくまで自分のペースを乱さず冷静に圧力を掛け続ける。消極、偽装攻撃と次々に太田竜聖に反則が累積し、残り31秒4つ目の「指導」で試合は終了。反則による小川の勝利によって通算スコアは2-1、白鴎大足利高が決勝へと駒を進めることとなった。

白鴎大足利高 2-1 修徳高
(先)浅野大輔×引分×伊藤祐介
(次)柳原尚弥×引分×佐藤竜
(中)山中勇希○優勢[有効・内股巻込]△坂口真人
(副)太田彪雅○崩上四方固△原澤脩司
(大)太田竜聖△反則[指導4]○小川雄勢

勝敗を分けたのはなんと言っても中堅戦。相手のポイントゲッター相手に、とかく淡白な選手が多い巨漢選手らしからぬ執念と丁寧さで攻め続けた山中の一点が盤面を大きく変えた一番であった。

他校の指揮官たちから戦力ナンバーワンと高い評価を受ける修徳高はポイントゲッター坂口の不調が響いた形で、2大会連続の優勝には手が届かず。例年この期間は育成重視、例年は戦術性よりも攻撃の練磨と課題の克服に重点を置く修徳高が高校選手権東京都予選にどう戦力を研ぎ澄まして臨んでくるのか、非常に注目されるところ。

ひとつ気に掛けておきたいのは「生徒の自主性に任せる」と試合中ほとんど一切のアドバイスを止めた大森淳志監督の新戦略がチームをもう一段押し上げるはずのブレイクポイントがどの時点で訪れるかだ。修徳高が全国の頂点に迫った歴代チームは、明らかに同監督の熱い指揮ぶりに「盛り上げられて」その位置まで勝ち上がったという経緯がある。頂点に立つためにスタイルを変え、即効性のある陣頭指揮型のスタイルから、ある意味時間が掛かるがより大きい成長を見込めるはずの方法論にシフトしたニュー修徳スタイルの結実はいつか。1年通じて注目したいポイントのひとつだ。

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(写真:桐蔭学園高・渡部甲誠が背負投で一本勝ち)

桐蔭学園高 3-1 四日市中央工高
(先)長澤透○内股△谷口真英
(次)渡部甲誠○背負投△山本涼平
(中)赤川広大○大外刈△千葉和志
(副)坂内哲平×引分×佐野世純
(大)大塚翔悟△優勢[有効]○原田昌寛

準決勝もう1試合は桐蔭学園高が四日市中央工高を圧倒。前衛3枚で3つの「一本」を並べて試合を決めた。

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(写真:四日市中央工高・原田昌寛が大塚翔悟の右小外刈を透かし、浮落「有効」で一矢を報いる)

四日市中央工高は大将戦のエース対決で原田昌寛が体を投げ出しての浮落「有効」で勝利、一矢を報いた。大本命のいない混戦ブロックではあったが、谷口、山本に序盤戦で起用した羽田野航と60kg台の選手3人を使いながらの3位入賞は見事。持ち前の勝負力がいっそう鍛えられた関東遠征であった。

結果、決勝は

桐蔭学園高 - 白鴎大足利高

という顔合わせとなった。

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(写真:大きな山場2つを乗り越えて決勝に臨む白鴎大足利高)

■決勝

白鴎大足利高は充実の内容での勝ち上がり。招待試合シリーズを戦う中で浅野、柳原、山中に太田兄弟とどうやら現時点でのベスト布陣が確定、前2大会とは一段違う覚悟が漂う戦いぶりで沼津工高(静岡)を5-0、2回戦で千葉経済大附高(千葉)を5-0、3回戦で関西高(岡山)を5-0といずれも圧勝。準々決勝は崇徳高(広島)を4-0、準決勝は修徳高(東京)を2-1と優勝候補2チームを倒しての堂々の決勝進出だ。大山場を2度超え、あとは結果を手にすべく決勝の畳に臨む。

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(写真:苦しい布陣ながら今年も決勝まで勝ち上がった桐蔭学園高)

一方の桐蔭学園高は故障者続出の苦しい布陣。それでもチーム総体の地力の高さと組み合わせの良さを利して2回戦で文星芸大附高(栃木)を5-0、3回戦で木更津総合高(千葉)を3-0、準々決勝は田村高(福島)を2-0、準決勝は四日市中央工高(三重)を3-1で倒して、2年連続の決勝進出を決めてきた。

オーダー順は下記。

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(写真:決勝が開始される)

白鴎大足利高 - 桐蔭学園高
(先)浅野大輔 - 渡部甲誠
(次)柳原尚弥 - 大塚翔悟
(中)山中勇希 - 坂内哲平
(副)太田竜聖 - 戸崎碧海
(大)太田彪雅 - 稲山怜央

盤面は白鴎大足利有利。戦力3枚落ちの桐蔭学園は抜き役を担うべきエースの大塚が、体力と体格のある柳原とポイントゲッター対決を演じることになってしまい、事前予測の段階で得点を織り込むポジションがほとんどない状況。全戦で長い防衛線を張り、その中でチャンスを見つけて斬り込んでいくしかない。
敢えて言えば、この日の白鴎大足利の快進撃を支える先鋒・浅野を叩く、最低でも止めることでまずその出端を挫いておき、相手の動揺を誘った上で大塚を送り込みたいところ。

一方の白鴎大足利は、戦力的に優位とはいえ、チームとしての地力があって個々の戦術練度も高い桐蔭学園に対してポリシーなく戦うと、「優位だが得点できない」試合を続けてしまい流れを失う可能性大。一人一人が順行運転に陥らず、一段強い気持ちを持って仕事が出来るかどうか、かつ点ではなく線、チームとして戦う団体戦仕様の試合が出来るかどうかが厳しく問われる、全国大会に向けてこれ以上ない試金石となる試合。

桐蔭学園にチャンスが生まれるとすれば粘り続けてのロースコアゲーム、白鴎大足利としては持ち前の攻撃力を前面に押し出して戦いたい試合。

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(写真:白鴎大足利高・浅野大輔が変則の右背負投で渡部甲誠から「技有」奪取)

白鴎大足利・浅野と桐蔭学園高・渡部の先鋒戦は1分27秒、渡部が場外際のもつれ合いから浅野の背負投を返し「有効」奪取。しかし浅野は左大外刈から左背負投、右袖釣込腰と取り味のある技を打ち込み続けてまず「指導」1つを得ると、2分34秒左袖を握った右背負投に深々と入り込む。渡部右手を畳について耐えるが、浅野は縦回転に突っ込んで転がし「技有」奪取で逆転。
浅野はさらに右肩車、支釣込足と攻め続けて渡部に反撃の隙を与えず。この試合は浅野の「技有」による優勢で終了、白鴎大足利が1点を先制。

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(写真:柳原尚弥が大塚翔悟から大外返「一本」)

次鋒戦は白鴎大足利・柳原尚弥に桐蔭学園高・大塚翔悟ともに右組みの相四つ。柳原は釣り手で奥襟を握っての右大外刈、片襟からの右大外刈に支釣込足で良く攻め、大塚は組み手を直すことに時間を使ってしまいまとまった攻撃がなかなか出来ず2分42秒の時点で大塚に2つの「指導」が累積。
盤面を考えるとなんとしてもここで取らねばならない大塚、必死で攻め返すが残り1秒、大塚の右大外刈を待ち構えた柳原の大外返が炸裂。疲労した大塚に残す力はなく、これは文句なしの「一本」。白鴎大足利、2-0と桐蔭学園を引き離す。

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(写真:山中勇希が坂内哲平を相手にめくり返しを試みる)

中堅戦は白鴎大足利・山中勇希が左、桐蔭学園高・坂内哲平が右組みのケンカ四つ。試合はゆっくり歩んで近寄る山中に、片方を持った坂内が周囲を回りながら足技を合わせるという巨漢対軽量の典型的な様相となり、31秒双方に「指導1」。
直後坂内同様の展開から右背負投。山中これを潰し、帯を握ると伏せた相手の肩に体重を掛けてめくり返す。坂内足を絡んで耐え切り1分12秒「待て」の声を聞くが170kgの体重を受けたこの攻防で消耗、1分47秒には「取り組まない」判断で2つ目の「指導」を受けてしまう。

山中は釣り手を振りながら前進、左払腰に右方向への巻き込みも織り交ぜながら攻撃を続けて坂内に反撃機会を与えないままタイムアップ。この試合は「指導」2つによる優勢で山中の勝利となりスコアは3-0、この時点で白鴎大足利高の優勝が決まった。

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(写真:太田竜聖が戸崎碧海から小外刈「一本」)

副将戦は白鴎大足利・太田竜聖が右、桐蔭学園高・戸崎碧海が左組みのケンカ四つ。戸崎押し込んで出し投げの形で相手を振るが、太田捌いて動ぜず。
2分、太田が抱きつきの右小外刈。戸崎がひざを着くと再度押し込み直し、密着されて力を逃がせない戸崎は真裏に落ちて「一本」。ここに至ってスコアは4-0となる。

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(写真:白鴎大足利の大将太田彪雅が稲山怜央から払巻込「一本」)

大将戦は白鴎大足利・太田彪雅、桐蔭学園高・稲山怜央ともに右組みの相四つ。稲山片襟を握った右体落に軸足を回しこんでの右内股を放つが、太田落ちついて稲山の釣り手を切り離すと、太田だけが一方的に二本持つ形が現出。稲山耐え切れずに膝を屈し、1分35秒稲山に「指導1」。

組み手の力関係を把握した太田は落ち着き払った試合ぶり。再開後再び自分だけが二本持つ一方的な形を作ると、嫌った稲山が釣り手を片襟に置いた横変形の姿勢から右払腰。稲山の体がついてくるとみるやそのまま払巻込に連絡して回し切り「一本」、1分40秒。

これで5戦が終了、通算スコア5-0で白鴎大足利が勝利して6年ぶり3度目の優勝を飾った。

白鴎大足利高 5-0 桐蔭学園高
(先)浅野大輔○優勢[技有・背負投]△渡部甲誠
(次)柳原尚弥○大外返△大塚翔悟
(中)山中勇希○優勢[有効・払巻込]△坂内哲平
(副)太田竜聖○小外刈△戸崎碧海
(大)太田彪雅○払巻込△稲山玲央

この試合の趨勢を決めたのは先鋒・浅野の逆転勝ちだが、決勝という一局面だけでなく、この日の白鴎大足利の戦いぶりには一貫してこれまでと一段違う決意の高さが感じられた。自らの力が通用するか測るかのように、見方によっては慎重に試合に臨んでいた松尾杯までから一転、各自が各自なりの「上から目線」で、勝つという責任にまっすぐ立ち向かっていたように見受けられた。

蓬田正郎監督は「松尾杯の決勝で負けた悔しさが2日間で染みたこと、山中の復帰、そして何より浅野の強気がチーム全体に浸透したこと」と勝因を分析。個性派チームが一丸となった試合にかなりの手ごたえを感じた様子だった。

天才肌で重量級を苦にしない太田彪雅に、体の芯が太い柳原と太田竜聖、超巨漢の山中に突貫タイプの浅野と、いかにも地方から頂点をうかがう強豪らしく個性派の役者を揃えた白鴎大足利。この型のチームで全国を獲るには全員一段、二段のスケールアップが必須と思われる未完成のチームでもあったが、この日見せた一体感、「勝つ」という行為への切迫感、そして各自に生まれつつある責任感はこれを埋める可能性を感じさせるものであった。

招待試合シリーズの出場をこれで締め、高校選手権予選に集中するという白鴎大足利。全国大会までにどのような形で仕上がってくるか、その出来を楽しみに待ちたい。

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(写真:優勝の白鴎大足利高)

【入賞者】
優勝:白鴎大足利高(栃木)
準優勝:桐蔭学園高(神奈川)
第三位:修徳高(東京)、四日市中央工高(三重)
優秀校:田村高(福島)、足立学園高(東京)、崇徳高(広島)、國學院栃木高(栃木)

最優秀選手:浅野大輔(白鴎大足利高)
優秀選手:山中勇希(白鴎大足利高)、長澤透(桐蔭学園高)、小川雄勢(修徳高)
原田昌寛(四日市中央工高)、丸健二(足立学園高)、貫目純矢(崇徳高)、新井輝(國學院栃木高)、安倍晴輝(田村高)


白鴎大足利高・蓬田正郎監督のコメント
「松尾杯の決勝で負けたことが良かったのだと思います。次男の悔しがりばっかりが揃ったチーム。この2日間は練習も少なめで考えさせる時間を作ったのですが、よほど悔しかったんでしょう。今日の試合は全く違いましたね。松尾杯の敗戦の悔しさ、山中の復活、そして松尾杯で見せた浅野の強気がチーム全体に染みたことが大きかった。招待試合を戦う中で、浅野がキーマンであること、たとえ読まれても浅野を使うということが私自身わかってきた気がします。一番強いチームはうちではないと思いますが、やり方次第で十分戦える、力を確認できたことも良かった。今日勝てて、これで年を越す勇気が出ました(笑)。明日の若潮杯を視察して、選手権の予選に備えます」

【準々決勝】

桐蔭学園高(神奈川) ②-1 田村高(福島)
四日市中央工高(三重) ②-2 足立学園高(東京)
白鴎大足利高(岐阜) 4-0 崇徳高(広島)
修徳高(東京) 4-1 國學院栃木高(栃木)

【準決勝】

桐蔭学園高 3-1 四日市中央工高

白鴎大足利高 2-1 修徳高

【決勝】

白鴎大足利高 5-0 桐蔭学園高


※ eJudo携帯版「e柔道」およびeJudoメルマガ版1月5日掲載記事より転載・編集しています。
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