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【ROAD TO 高校選手権】松尾三郎杯争奪全国選抜高等学校柔道大会マッチレポート

(2014年1月6日)

※ eJudo携帯版「e柔道」およびeJudoメルマガ版12月26日掲載記事より転載・編集しています。
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【ROAD TO 高校選手権】
松尾三郎杯争奪全国選抜高等学校柔道大会マッチレポート
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(写真:國學院栃木高・赤岩和樹主将による選手宣誓)

第27回國學院大學松尾三郎杯争奪全国選抜高等学校柔道大会は23日、國學院大學たまプラーザキャンパス体育館で北は青森、南は長崎まで全国の精鋭62校が参加して行われた。

前週の黒潮旗武道大会、吉岡杯若鷲柔道大会に続く冬の「招待試合サーキット」第3戦、いよいよ冬休みを迎えた各校の関東圏遠征の出端を飾るこの大会は例年参加校も多く「この大会がもっともレベルが高い」と評する向きも多い重要な大会。

今大会の注目チームはまず今夏のインターハイ王者、恒例の吉岡杯に学校行事のため参加できずこれが冬季第一戦となる崇徳高(広島)、この大会5連覇中の国士舘高(東京)、10月の朱雀杯に勝利して初の全国制覇に向けて意気揚がる白鴎大足利高(栃木)、インターハイ3位の先代チームから大駒が複数残った修徳高(東京)、インターハイ2位で例年に比べ仕上がりが早いと目される作陽高(岡山)、昨年高校選手権と金鷲旗で3位入賞の桐蔭学園高(神奈川)、激戦区神奈川で点取り、体重制限ありという中ではあるが秋季の県新人戦を制した相洋高など。大混戦、未だ大本命が見えない高校柔道界の中でどのチームが抜け出してくるのか、結果、内容ともに全く目の離せない大会だ。

レギュレーションは5人制点取り方式、各試合のオーダー順変更と選手の入れ替え可能、試合時間は3回戦までが3分、準々決勝以降が4分というもの。そして本サイト既報通り、この大会は高校柔道界にサンプルデータを提供すべく、2014年1月から実施されるIJFの"新ルール"および、11月の全日本学生体重別団体で実施された、団体戦の妙味を意識した「指導3までは引き分け」という申し合わせ事項を採用。より各チームの攻撃力、そして忍耐力が試される状況下での大会となった。

まず4ブロックに分かれた序盤戦、1回戦から3回戦までの様相をブロックごとに簡単に紹介したい。

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(写真:3回戦、相洋高・二見省吾が日体荏原高・長井凌志から内股「一本」)

■1回戦~3回戦

【Aブロック】

崇徳高がシードされたブロック。

序盤の注目対決は逆サイド。3回戦で組まれた相洋高と、12年インターハイ2位で今春の高校選手権の東京代表を務めた日体荏原高の一戦。前週の黒潮旗大会では相洋高が勝利しているカードだ。

相洋高 2-1 日体荏原高
(先)込山龍哉×引分×中村親良
(次)瀬戸口雄輝×引分×東部雄大
(中)間瀬勇希○優勢[技有・内股透]△長井達也
(副)二見省吾○内股△長井凌志
(大)辻幸之介△内股○松井海斗

先鋒戦は相洋高の核弾頭・込山龍哉が試合巧者の中村親良のペースに嵌って攻めながらも詰めきれず、結果互いに単発の大技を繰り出す形となって引き分け。
次鋒戦はリーチのある東部雄大の間合いの出し入れを十分心得た相洋・瀬戸口雄輝が相手に決定的な一撃を打たせず、この試合も引き分け。

中堅戦は日体荏原期待の好選手長井達也が登場。しかし相洋・間瀬勇希は敢えて長井に近い間合いを許しておき、長井が内股を試みた瞬間に鋭く腰を切って透かし、1分35秒内股透「技有」奪取。この得点を持ったまま試合を終えて1点リード。
副将戦での相洋のエース・二見省吾と軽中量級で体格に劣る長井凌志というカードを事前に織り込んでおく限り、この中堅戦の得点で試合の様相はほぼ決した感。副将戦は二見が開始早々の左内股で長井を放り投げ、鮮やかな「一本」。この時点で2-0としてチームの勝利を決めた。

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(写真:日体荏原高・松井海斗が内股「一本」で一矢を報いる)

大将戦は1年生世代最大の目玉、日体荏原の松井海斗が内股「一本」で一矢を報いたが時既に遅し。黒潮旗大会に続きこのカードは相洋高が連勝、2-1で準々決勝進出を決めることとなった。

日体荏原高は選手の名前こそ揃っているが、前週に続き戦い方の一貫性、一体感に欠けた印象。まだ選手の向いている方向がひとつでないという感ありだった。1年生中心のチームという事情もあり、成熟度という点で現時点では他の強豪に一歩劣る印象だ。

いよいよ登場した松井は2回戦から出場、2試合をこなしいずれも内股であっさり一本勝ち。力を測るに足る相手が待ち受ける今冬の各種大会、予選が非常に楽しみだ。

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(写真:2回戦、崇徳高の大将香川大吾がつくば秀英高・大鷹俊輔から内股「一本」)

もう1つの準々決勝(ブロック決勝)進出高は第1シードの崇徳高(広島)。
2回戦のつくば秀英高(茨城)戦は、山本健太、増本大輝、村上隆貴、貫目純矢、香川大吾という布陣で戦ったが、中堅村上が橋場果夢利の大外車で叩きつけられ一本負け。香川が大将戦、代表戦と連続一本勝ちで勝ち抜いて1-1代表戦での勝利。
増本を一面護と入れ替えて臨んだ3回戦の木更津総合高(千葉)戦も香川が一本勝ち、他選手が全て引き分けという同様の展開。香川の勝利を守りきって1-0、そして香川以外に得点のないままベスト8入りを果たした。

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(写真:2回戦、崇徳・香川大吾が代表戦でつくば秀英高・橋場果夢利から大内刈で一本勝ち)

[1回戦]

つくば秀英高(茨城) 5-0 茂木高(栃木)
岐阜第一高(岐阜) 1-0 八戸工高(青森)
木更津総合高(千葉) 3-1 佐久長聖高(長野)

日体荏原高(東京) 4-1 前橋育英高(群馬)
箕島高(和歌山) 4-1 武蔵越生高(埼玉)
東京学館新潟高(新潟) 4-0 加藤学園高(静岡)
相洋高(神奈川) 4-0 東京学館高(千葉)

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(写真:2回戦、日体荏原高・東部雄大が箕島高・家高祥平から大外刈で「技有」奪取)

[2回戦]

崇徳高(広島) ①代-1 つくば秀英高
木更津総合高 2-1 岐阜第一高
日体荏原高 3-1 箕島高
相洋高 3-0 東京学館新潟高

[3回戦]

崇徳高 1-0 木更津総合高
相洋高 2-1 日体荏原高

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(写真:1回戦、修徳高・佐藤竜が大原高・渡辺清太から崩上四方固で一本勝ち)

【Bブロック】

黒潮旗3位の修徳高(東京)と桐蔭学園高(神奈川)が順当にベスト8入り。

修徳高は1回戦で大原高(千葉)に全試合一本勝ちの5-0(伊藤祐介、執行雅治、坂口真人、小川雄勢、佐藤竜)で勝利。伊藤に代えて原澤脩司を入れて臨んだ2回戦の桐生第一高(群馬)戦は先鋒の執行が一本負けを喫したものの残り4試合を全て一本勝ちで4-1で勝利。3回戦はおそらく現時点のベストと思われる佐藤、伊藤、原澤、坂口、小川という布陣で臨んで松本第一高に4-0で勝利。悠々ブロック決勝に駒を進めた。

桐蔭学園高は1回戦で國學院大久我山高(東京)を5-0、2回戦で山形工高を4-0、3回戦で東海大翔洋高を2-0で下し、こちらも無失点で準々決勝進出決定。

[1回戦]

修徳高(東京) 5-0 大原高(千葉)
桐生第一高(群馬) 3-2 横浜高(神奈川)
松本第一高(長野) 4-0 京華商高(東京)
水戸啓明高(茨城)○不戦△京都共栄学園高(京都)

桐蔭学園高(神奈川) 5-0 國學院大久我山高(東京)
山形工高(山形) 3-0 市立柏高(千葉)
國學院大栃木高(栃木) ②-2 安田学園高(東京)
東海大翔洋高(静岡) 4-0 武相高(神奈川)

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(写真:3回戦、修徳高・小川雄勢が松本第一高・中澤優太から内股で一本勝ち)

[2回戦]

修徳高 4-1 桐生第一高
松本第一高 3-2 横浜高
桐蔭学園高 4-0 山形工高
東海大翔洋高 3-2 國學院大栃木高

[3回戦]

修徳高 4-0 松本第一高
桐蔭学園高 2-0 東海大翔洋高

【Cブロック】

国士舘高の山。2回戦は日大藤沢高(神奈川)を4-0(米山魁人、浅見貴哉、岩渕将也、山田稔喜、釘丸太一)、3回戦は米山に代えて山田伊織を投入し文星芸大附高(栃木)に5-0で勝利。大過なくブロック決勝進出決定。

逆サイドでは、黒潮旗でも決勝トーナメント進出を果たした習志野高(千葉)が1回戦で豊栄高を3-0の大差で破り3回戦まで進出、台風の目となりかけたが、近大福山高(広島)に1-0で屈して陥落。準々決勝には近大福山高が進出することとなった。

[1回戦]

日大藤沢高(神奈川) 3-2 八千代高(茨城)
阿波高(徳島) ①代-1 八王子学園高(東京)
文星芸大附高(栃木) 3-1 秦野総合高(神奈川)
習志野高(千葉) 3-0 豊栄高(新潟)
和歌山北高(和歌山) 2-1 日本学園高(東京)
浜松商高(静岡) 0○代-0 市立船橋高(千葉)
近大福山高(広島) 5-0 流通経済大柏高(千葉)

[2回戦]

国士舘高(東京) 4-0 日大藤沢高
文星芸大附高 2-1 阿波高
習志野高 4-1 和歌山北高
近大福山高 3-1 浜松商高

[3回戦]

国士舘高 5-0 文星芸大附高
近大福山高 1-0 習志野高

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(写真:2回戦、白鴎大足利高・柳原尚弥が桜丘高・今城祐也から右小内刈で「技有」奪取)

【Dブロック】

シード高は作陽高。水戸葵陵高(茨城)を4-0、盛岡大附高(岩手)を5-0、長崎日大高を3-0といずれも大差で下してベスト8入り。ここまで投入したメンバーは、田村淑真(1回戦)、菊池盛(1回戦、3回戦)、鎌田魁翔、高橋恭平、野地優太、安達健太(2回戦、3回戦)。

逆側の山は白鴎大足利高、四日市中央工高(三重)、足立学園高(東京)が同居する激戦ブロック。

勝ち抜けは白鴎大足利。開会式から選手、監督とも非常に気合の入った様子で、1回戦は浅野大輔、佐俣楓、太田竜聖、柳原尚弥、太田彪雅という布陣で常葉学園橘高(静岡)を5-0、浅野と山中勇希を入れ替えて臨んだ2回戦は桜丘高(愛知)をこれも5-0で一蹴すると、3回戦の四日市中央工高戦は副将山中が原田昌寛に「技有」優勢で敗れはしたものの、次鋒太田竜聖が山本涼平に送襟絞「一本」、中堅柳原が谷口真英に内股「一本」、大将太田が佐野世純に縦四方固「一本」と3点を獲得してまずまず危なげなく勝利。3-1でベスト8入りを決めた。

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(写真:3回戦、四日市中央工・原田昌寛が170kgの巨漢・白鴎大足利高の山中勇希から内股透で「技有」を奪う)

[1回戦]

作陽高(岡山) 4-0 水戸葵陵高(茨城)
盛岡大附高(岩手) ②代-2 成田高(千葉)
松商学園高(長野) ②-2 清風学園高(大阪)
長崎日大高(長崎) 4-0 工学院大付高(東京)

白鴎大足利高(栃木) 5-0 常葉学園橘高(静岡)
桜丘高(愛知) 4-0 山形電波工高(山形)

四日市中央工高(三重) 4-1 千葉商大付高(千葉)
足立学園高(東京) 2-1 前橋商高(群馬)

[2回戦]

作陽高 5-0 盛岡大附高
長崎日大高 2-1 松商学園高
白鴎大足利高 5-0 桜丘高
四日市中央工高 ①-1 足立学園高

[3回戦]

作陽高 3-0 長崎日大高
白鴎大足利高 3-1 四日市中央工高

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(写真:準々決勝、崇徳高中堅の香川大吾が間瀬勇希から小外刈「一本」)

■準々決勝

崇徳高 ①代-1 相洋高
(先)一面護×引分×込山龍哉
(次)貫目純矢×引分×瀬戸口雄輝
(中)山本健太△隅落○二見省吾
(副)香川大吾○小外刈△間瀬勇希
(大)増本大輝×引分×辻幸之介
(代)香川大吾○内股△二見省吾

会場注目の好カード。
先鋒戦は高校選手権60kg級ベスト8の一面護を突っ込んだ崇徳高・加美富章監督の采配が当たり、試合のステージは軽量級同士の一種典型的なヒットアンドアウェイに固定。相洋高の斬り込み隊長込山龍哉の担ぎ技は不発に終わり、崇徳にとっては勝ちに等しい、相洋にとってはまことに痛い引き分け。

次鋒戦は貫目純矢を相手に瀬戸口雄輝が粘り切り、今度は崇徳サイドにとって痛い引き分け。
中堅戦は相洋のエース二見省吾が登場。相手が攻撃型であればあるほど力を発揮するタイプの曲者・山本健太が相手だったが、背負投「有効」、隅落「一本」と立て続けに奪って快勝。ポイントゲッターの仕事をしっかり果たす。

副将戦は崇徳のエース香川大吾が登場、間瀬勇希を相手にその力を測るように序盤戦を戦うと、機が熟したとみるや一瞬スピードアップして相手を引き寄せながらの小外刈。動かされ、かつ次の抗おうとする反射動作に合わせて上体を固められた間瀬は抗えず胸を合わされて転がり「一本」、1分44秒。

大将戦は引き分けに終わり、本戦5試合は1-1のタイスコアで終了。代表戦はともに本戦でしっかり仕事を果たしたポイントゲッター同士、香川と二見の対戦となった。

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(写真:代表戦、香川が二見を左内股で追いかけ「一本」)

香川、二見ともに左組みの相四つ。香川圧を掛けて前へ、二見は得意の左背負投を放つが、心得た香川待ち構えて引き落として転がし「待て」。

香川はさらに左大外刈を引っ掛けるなど積極的に攻めて攻勢。試合は香川が主導権を保ったまま進む。
57秒、奥襟を得た香川が相手を引き寄せながらの左大内刈、この技で近接距離まで体を寄せると迷いなく左内股に連絡。一撃目で懐への侵入を許していた二見は力の外側へ逃れようとするが、香川の突進を捌けずグシャリと落ちて「一本」。崇徳、ベスト4入り決定。

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(写真:小川雄勢が渡部甲誠に圧力、淡々と試合を運んで追い詰める)

修徳高 4-0 桐蔭学園高
(先)伊藤祐介○反則△稲山怜央
(次)坂口真人○優勢[技有・大外刈]△長澤透
(中)原澤脩司○横四方固△戸崎碧海
(副)佐藤竜×引分×大塚翔悟
(大)小川雄勢○腕挫十字固△渡部甲誠

Bブロック決勝は黒潮旗大会の再戦となる修徳高-桐蔭学園高という顔合わせ。
この試合は修徳高の圧勝。伊藤、坂口、原澤と並べた前衛3枚で3得点と有無を言わさず勝負を決め、エース格の大塚翔悟には1年生の佐藤竜がファイターぶりを発揮してきっちり引き分け。
最後は大将小川の腕挫十字固「一本」でフィニッシュ。4-0という大差でベスト4入りを決めた。桐蔭学園は黒潮旗での同校との対戦で負傷した岡田武志をはじめ、小原弘暉、田中太基ら3枚を欠き1年生中心の布陣。なんとかここまで勝ち抜いたがさすがに上位対戦では我慢が利かなかった。

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(写真:国士舘高・釘丸将太がが左背負投で「技有」)

国士舘高 5-0 近大福山高
(先)浅見貴哉○抑込△神森拓馬
(次)竹村昂大○優勢[有効・小内刈]△左近智輝
(中)釘丸将太○合技△一色勇輝
(副)山田稔喜○背負投△佐藤友哉
(大)山田伊織○反則△前杢宏輝

※公式記録ママ

Cブロック決勝は国士舘がまたしても圧勝。前2戦からのローテーションを引き継ぐ形で先鋒には浅見貴哉を起用。竹村昂大、釘丸将太、山田稔喜、山田伊織と以降の4名は吉良儀城を欠く現時点での、おそらくはベストオーダーで準々決勝に臨んだ。

中堅の釘丸が「技有」リード後に隅返で「有効」を奪われる場面はあったが、最後は合技の一本勝ちで大過なく乗り切り、大枠隙を見せずに5-0で圧勝。個々の試合は決して圧勝ではなく爆発力を感じさせるものはなかったが、淡々と点を積み上げて終わってみれば大差。いかにも国士舘らしい手堅さと力強さで近大福山高を寄せ付けなかった。

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(写真:太田彪雅と野地優太の大将対決)

白鴎大足利高 1-0 作陽高
(先)浅野大輔×引分×鎌田魁翔
(次)佐俣楓×引分×田村淑真
(中)柳原尚弥○優勢[有効]△高橋恭平
(副)太田竜聖×引分×安達健太
(大)太田彪雅×引分×野地優太

準々決勝4試合中、もっとも注目を集めた好カード。
白鴎大足利は170kgの大型選手山中勇希を前戦の負傷で失い、5番手に佐俣楓を据えて布陣。対する作陽高は1年生の、こちらも130kgの巨漢菊地盛を下げて、計算の立つ野地優太ら2年生4人と田村淑真を入れた手堅い布陣。

ともに強気が売りの浅野と鎌田がかちあった先鋒戦、互いが安定感を欠き、そして双方ともに試合を壊しにいけずに動的膠着に陥った次鋒戦は引き分け。

中堅戦は白鴎大足利の柳原尚弥が場外際の右小内刈で「有効」を奪って勝利。先制点を得て一気に突き放したい白鴎大足利は副将戦で太田竜聖が「技有」をリードして試合の行方は見えたかに思われたが残り1分を切ったところで安達健太が追いつき、押せ押せムードのまま引き分け。大将戦はこの流れを引き継いだ作陽・野地優太が追撃戦を仕掛けるが、終盤は太田の力と後の先を警戒してしまい攻撃意欲が減退、ベンチの「返されてもいいから行け!」との攻撃指示を完遂できずに引き分け。

5戦通じてどこでどちらが得点し、どこで試合が壊れてもおかしくない緊張感のあるゲームだったが、結果は虎の子の一点を守りきった白鴎大足利の勝利。1-0でベスト4へと駒を進めることとなった。

敗れはしたものの、今夏のインターハイで2位入賞を果たした作陽高の骨太の戦いぶりはやはり出色であった。例年この時期は選手の体が細く、粘りや相手の予想を超えた連続攻撃などの「作陽らしさ」は選手に染みていない育成期のはずだが、今年は登録7人いずれもが90kg以上、うち100kg以上の選手が4人で、そのうち高橋、菊池と130kgクラスが2名とサイズが揃っており、かつ作陽らしい芯の太さが既に身につき始めている。あくまで夏のインターハイを狙ってチームを作り上げていくのが同校例年の戦略だが、仕上がりの早い今期は高校選手権までに「出来上がる」可能性も大だ。このまま関東に残って合宿で鍛え上げ、新年早々にも合同合宿に参加する作陽。高校選手権まで試合参加は県予選のみのようだが、「まずは県予選をしっかり勝ちたい。強いチームがあるので油断ならない」という川野一道監督がどのようなチームを作って全国大会に現れるか、非常に楽しみなところだ。

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(写真:準決勝、白鴎大足利高の先鋒浅野大輔が岩渕将也から左大腰「一本」)

■準決勝

白鴎大足利高 3-2 国士舘高
(先)浅野大輔○大腰△岩渕将也
(次)佐俣楓△合技○竹村昂大
(中)柳原尚弥○反則△山田伊織
(副)太田竜聖△反則[指導4]○釘丸将太
(大)太田彪雅○優勢[有効・払巻込]△山田稔喜

先鋒戦、開始早々に国士舘の岩渕将也が軽量の浅野大輔の腰を抱いて裏投で放り投げるが、浅野空中で身を翻して残し「待て」。
感触を得た岩渕は再び裏投。しかし浅野は回避せずに小内刈に切り返し、岩渕のけぞり落ちる。ポイントとも思われたが、これは岩渕が自ら崩れたと見なされたか主審はスルー、「待て」。
直後、双方が場外際に滑り出ると浅野、ここでなんと左大腰の大技。軽量のはずの浅野の超強気の一撃に腰に乗ってしまった岩渕あっという間に一回転「一本」、1分20秒。

流れの取り合いとなっていた序盤戦。裏投でいける、と踏んだ岩渕に対し回避するのではなく攻撃に切り返した浅野の強気が利いた。岩渕が出端のラッシュを止められてやや怯んだ、その潮目の変化を見逃さず、そして順方向の大腰というこれ以上ない強気の一撃。浅野の、後続を勇気づけるような素晴らしいパフォーマンスで白鴎大足利一点先制。

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(写真:竹村昂大が左内股を押し込んで「技有」奪取)

次鋒戦は国士舘・竹村昂大が内股で粘り強く攻めて、2分2秒に佐俣楓から「指導1」奪取。残り1分を切っても攻撃の手を緩めず、腰をぶつけるようにして左内股。佐俣が股中で透かそうとしたところをあくまで押し込んで「技有」奪取、そのまま袈裟固に抑え込んで合技「一本」。白鴎大足利の勢いを押し戻す意地の勝利で、試合は1-1のタイスコアとなる。

中堅戦は白鴎大足利のポイントゲッター柳原尚弥に、山田伊織がマッチアップ。柳原は右内股、ケンカ四つの山田は出足払で対抗するが、1分15秒に山田が足技から朽木倒へと技を繋いでしまう。今大会は2013年春から国際大会で試行、2013年から正式採用される新ルールを採用しており、連絡技であっても「足取り」は禁止。主審は試合場外の副審に確認を取った上で山田のダイレクト反則負けを宣告。2-1、再び白鴎大足利が1点をリード。

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(写真:釘丸将太が太田竜聖を攻める)

副将戦は国士舘高の主将・釘丸将太が登場。ところが序盤、白鴎大足利・太田竜聖が攻め合いの中で機を掴んで、横四方固で釘丸を抑え込むことに成功。釘丸必死に場外に逃れて隙間を作りなんとか逃れるが既に12秒経過、これは「有効」。

このまま試合を終えればチームの負けが決まる状況、そして攻撃ポイントなら「有効」以上、反則ポイントなら「指導4」を奪わねばこの状況を覆せない釘丸はしかし冷静に技を打ち込み続け、残り1分で「指導3」まで漕ぎ着ける。双方明らかな勝負どころだったが釘丸は左大内刈、出足払、左体落と一息に技を繋げて攻勢。直後の残り35秒、太田に四つ目の「指導」が宣告されて試合終了。太田の反則負けで、釘丸の勝利とばり。2-2、双方いずれも得点も「一本」という全くのタイスコアで試合の行方は大将戦に委ねられる。

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(写真:太田彪雅が山田稔喜を攻める)

大将戦は白鴎大足利・太田彪雅、国士舘・山田稔喜ともに右組みの相四つ。横変形に近い形でガップリと組み合う。
山田が支釣込足で蹴って太田を崩し展開をブレイク。しかし以後は大枠「蹴りあい」の牽制が続く静かな、しかし緊張感溢れる展開。
2分48秒、太田が右払腰、山田を引っ掛けると払巻込へと連絡。太田独特の、一見得点の可能性が薄く見える体を開いた入りから相手を固定して一気に回す決め、というこの技に山田引っかかって転がり「有効」。太田は隙を見せずに残り時間を戦いきって優勢勝ち。通算スコア3-2で白鴎大足利高が決勝へと駒を進めることとなった。

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(写真:貫目純矢と佐藤竜の中堅戦)

修徳高 1-0 崇徳高
(先)伊藤祐介×引分×村上隆貴
(次)坂口真人×引分×山本健太
(中)佐藤竜×引分×貫目純矢
(副)原澤脩司×引分×香川大吾
(大)小川雄勢○横四方固△増本大輝

修徳・坂口真人は崇徳のエースキラー山本健太に、崇徳・貫目純矢は修徳の突貫ファイター佐藤竜に、とそれぞれポイントゲッターが封じられ、中堅戦までの3試合は引き分け。試合の行方は双方のエースが交互に登場する後半2戦に委ねられた。

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(写真:原澤脩司が大外刈、香川大吾を相手に先に攻めてペースを掴む)

副将戦は今期高校柔道界屈指の抜き役と目される崇徳・香川大吾に修徳高の巨漢・原澤脩司がマッチアップ。修徳の大将に小川雄勢という絶対のポイントゲッターが控える盤面配置を考えるとここはなんとしても香川が取らねばならないところだが、原沢は相四つの香川に対し序盤から左大外刈を連発する勇気のある試合を披露。技は繋げないものの、この波状攻撃で香川の出端を挫く。
その後試合はいったん膠着し、2分22秒には双方に「指導」。
直後、双方ガップリ組み合う圧の掛け合い。ここで原澤は安易に攻めて片足になるリスクを採らず、後の先も巧みな香川の圧力に耐えて今度は一転勇気ある我慢を選択。
香川はここで試合を動かしにいけず、残り1分を切ったところで放った左大内刈から内股の連絡技の後はややこの膠着を受け入れた感。そのまま試合は引き分けに終わる。

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(写真:小川雄勢が増本大輝に支釣込足、手固から腕を抱いて転がし「有効」)

大将戦は修徳のエース小川雄勢が登場。小川、崇徳高の増本大輝ともに左組みの相四つ。

小川、圧を掛け増本が切らずにこれを耐えると見るや手固で相手の左腕を抱えて支釣込足。小川が得意とする寝技への移行技だが増本転ばずに逃れて「待て」。
小川今度は圧を掛けてからの左内股。増本転がり伏せて「待て」。
小川は肩越し、奥襟と釣り手の位置を変えながら圧力、さらに大内刈と内股で追い詰めて2分11秒経過の時点で増本に3つの「指導」が累積。

直後、小川は増本が奥襟を叩いてくると見るや再び手固で腕を抱えながら支釣込足で相手を崩す。増本耐えて伏せるが小川胸を合わせるようにして押し込んで「有効」。そのまま横四方固に固めて「一本」、2分54秒。

ポイントゲッターがしっかり仕事を果たした修徳が1-0で勝利し、決勝へと駒を進めることとなった。

インターハイから連戦連勝の香川、最高学年となりその得点力は他校にとって脅威の的であったが、この試合でついに引き分け。二本持って相手が嫌がる、かつ自分が投げやすくなる行動をしつこく続けながら大技を仕掛けるのが香川の魅力だが、この試合は勝負できるタイミングを幾度か作りながら肝心の投技を完遂出来ず。2回戦で負傷、ふくらはぎに違和感を抱きながらの試合であったが、この引き分けにより、ここまで天井知らずであった今期の香川の得点力に一応の物差しが与えられた感がある。また、小川雄勢との対決が持ち越されたことは選手権本番で予想される両校の対決に、白紙部分が残されたということでもある。重要な一番であった。

そして今大会4試合を戦った王者・崇徳、その得点者は最後まで香川1人のみ。相手方にポイントゲッターとしてマークされた貫目純矢は「指導2」を再三積み上げるも具体的な得点に繋げられず、全戦引き分けという結果に甘んじた。

「指導3」までが引き分けという大会ルールと、後の先の技が制限される新ルールが相まってのものであったが、加美監督の「うちは毎年こんなものです」という言葉の通り、インターハイでいったん完成したチームがややスケールダウン、例年の冬季シーズンスタート時の状態にリセットされたという印象。

とはいえ、冬期の遠征で一気に伸びるのがここ数年の崇徳の成長カーブの定番。「課題を見つけにきた関東遠征だが、初戦からやるべきことが一杯見つけられました」という加美監督の言葉に期待して今後を見守りたいところだ。

結果決まった決勝のカードは、

白鴎大足利 - 修徳

となった。

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(写真:決勝に臨む修徳高)

■決勝

インターハイ3位メンバーから小川雄勢、坂口真人、原澤脩司、佐藤竜が残った修徳高は今大会は前評判通りの攻撃力を披露。1回戦で大原高(千葉)を5-0、2回戦は桐生第一高(群馬)を4-0、3回戦は松本第一高(長野)を4-0、準々決勝は桐蔭学園高(神奈川)を4-0とその勝ち上がりは抜群。準決勝はエース小川雄勢の得点を織り込んだ手堅い戦いで1-0で勝利、見事決勝への勝ち上がりを決めた。戦力では今年度最高チームという評価もある中、その力を証明するべく招待試合シリーズ最初の優勝なるか。

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(写真:白鴎大足利は朱雀杯に続く大規模招待試合2タイトル目を狙う)

一方の白鴎大足利も今期全国優勝候補に上がる、前評判の高いチーム。1回戦は常葉学園橘高(静岡)を5-0、2回戦は桜丘高(愛知)を5-0、3回戦は四日市中央工高(三重)を3-1、この試合で負傷した山中勇希を以後失ったが準々決勝は作陽高(岡山)を1-0、準決勝は国士舘高(東京)を3-2と強豪2校に競り勝っての決勝進出。10月の朱雀杯に勝利したが、体重制限のある前週の黒潮旗ではタイトル奪取に失敗。「勝ち続けることで必要なことを見つけて全国制覇を目指したい」(蓬田正郎監督)という意図を再び軌道に乗せ、ライバル校、そして全国高校選手権シード校選定に向けて各校の戦いぶりをジッと見つめる関係者にアピールすることが出来るか。

開示されたオーダーは下記。

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(写真:決勝が開始される)

修徳高 - 白鴎大足利高
(先)佐藤竜 - 浅野大輔
(次)坂口真人 - 柳原尚弥
(中)伊藤祐介 - 太田竜聖
(副)小川雄勢 - 佐俣楓
(大)原澤脩司 - 太田彪雅

盤面配置は非常にシビア。
先鋒戦は双方強気の斬り込み隊長タイプ、かつ担ぎ技ファイター同士である佐藤と浅野がぶつかり、相性的には事前に得点を織り込むのが難しい。次鋒戦も二本持ちさえすえば投げ一発に絶対の力を持つ坂口に突進力で間合いを殺しては近接距離から力のある技を打ち込む柳原がぶつかるポイントゲッター対決、組み立てと一瞬のフェイントで取り味のある技を繰り出す太田竜聖が防御力と対応力に長けた伊藤にぶつかる副将戦、攻撃と我慢の見極めが上手く腰の重い原澤に、動かすことで重い選手を投げる機を作るタイプの太田彪雅がマッチアップする大将戦と、事前に得点を織り込むことが難しい試合ばかり。

具体的な得点ポイントとして事前予測に挙げられるのは修徳のエース小川が、山中勇希の負傷を受けて入った佐俣楓と対戦する副将戦のみだ。

ということは修徳としては最低でも負けずに試合を運べば小川の1点で勝利することが可能、一方の白鴎大足利としては順行運転に甘んじず多少無理をしても他4戦で2点を拾っていくしかないということになる。盤面配置は双方にシビアながらも修徳優位というところ。白鴎大足利としては、試合中におそらく訪れる「この力関係なら引き分けもやむなし」と感じる瞬間に試合を壊しにいく度胸、上から目線の強気が発揮できるかというメンタルの強さが正味の実力以上に問われる試合。

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(写真:浅野の左一本背負投を佐藤が返して「有効」)

先鋒戦は修徳・佐藤が右、白鴎大足利・浅野が左組みのケンカ四つ。佐藤が過程を飛ばして食いつくと浅野は間髪入れず左内股に切り返し双方やる気十分。

1分3秒、浅野が左一本背負投。佐藤反応良く潰して逆側に進出して返しを狙う。浅野抗うが佐藤に半ば首を締められる形になって抗えず転がり、これは佐藤の「有効」。

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(写真:浅野が左内股で乗り込む)

浅野はここから奮起。右一本背負投に肩車、左背負投と猛攻を見せて1分58秒佐藤に「指導1」、2分25秒には「指導2」が与えられる。佐藤ここで右一本背負投を放つが浅野左内股で迎え撃ち、崩れた佐藤の上に乗り込んであわやポイントという場面を作る。

残り21秒でついに佐藤に「指導3」。しかしあまりに時間が少なくこのまま佐藤が逃げ切りかと思われた残り15秒、浅野が相手の懐に飛び込んで浮技一発。もろとも投げ切る。主審は「一本」を宣告。しかし開始線に戻したところで副審との試合場外での合議、確認となりこの技は「有効」に訂正。

結果、「有効」ひとつずつを奪い合ってこの試合は引き分けに終わった。

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(写真:柳原(右)と坂口の次鋒戦)

次鋒戦は修徳・坂口が左、白鴎大足利・柳原が右組みのケンカ四つ。
双方内股で攻めあう。31秒には柳原がケンケン内股で坂口をしつこく追い、あわやという場面を現出。
しかし1分過ぎから坂口は左内股、左大内刈、そして左内股と得意の連続技を披露、1分16秒柳原に「指導1」。

双方組み手を作っては内股、という展開が続くが互いに受けが柔らかく、かつ連続技で崩すシークエンスが作れずやや手詰まり。2分35秒に双方に「指導」、反則累積は坂口が1つ目、柳原は2つ目。
坂口は内股、大外刈で攻撃を立て直す。一方の柳原は片手技で展開を切る消耗時の悪い癖が飛び出し、少々苦しい時間帯。
しかし残り40秒を切ったところで柳原が気持ちを作り直し、右大外刈、右内股、右大内刈から右小内刈と技を4つ繋げる好組み立て。残り26秒で坂口に「指導2」が与えられる。
ここで試合は終了。この試合も引き分けとなり、スコアレスのまま試合の襷は中堅戦へ。

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(写真:太田竜聖(左)と伊藤の中堅戦)

中堅戦は修徳・伊藤、白鴎大足利・太田竜聖ともに右組みの相四つ。太田が肩越しに釣り手を入れた右大外刈、相手の重心移動の際を捉えた支釣込足、そこから繋いでの右払巻込と良く攻めて攻勢。1分15秒、伊藤に「指導1」。

互いが横変形で体重を掛け合い、大内刈、そして支釣込足の蹴りあい。この中で伊藤が場外に滑り出て2分24秒場外の「指導2」。

直後横変形の形から太田が左内股の形で相手を跳ね上げる奇襲。しかし崩れかかった伊藤は素早く対応、右背負投を仕掛けて逆に投げ掛かりあわやポイントという場面を作る。

双方取り味のあるこの攻防の影響か以後試合は落ち着き、残り17秒で伊藤が放った浮技を太田が被さって防いだ場面で実質試合は終了。そのまま時間となってこの試合も引き分けに終わった。

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(写真:修徳・小川が佐俣を崩し、釣り手を離さず首を固めて横四方固に移行)

副将戦は修徳のエース・小川が左、白鴎大足利・佐俣が右組みのケンカ四つ。
小川は釣り手を締めて圧力。佐俣屈して伏せ落ち「待て」、経過時間は14秒。

小川、組み付きながらの左小外刈。崩れた佐俣に素早く被り、深く奥襟を握った釣り手をあくまで離さず首を極めて横四方固に抑え込む。崩しから寝技への移行、抑え込むまでが一連の技というべき手順の進行に佐俣逆らえず「一本」、43秒。小川この試合もしっかり仕事を果たして修徳が貴重な一点先制。

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(写真:太田彪雅がケンケン内股、原澤はバランス良く捌いて防ぐ)

大将戦は修徳・原澤が左、白鴎大足利・太田彪雅が右組みのケンカ四つ。
原澤は両襟で圧力。太田は巧みに間合いを作って右内股で攻める。
1分過ぎ、原沢が右払巻込。力を逃がした太田は隅落でめくり返すが、中途で一旦技が完全に止まっており、かつ寝姿勢ということでポイントにならず「待て」。

太田足技に内股と良く攻め、2分23秒原澤に「指導1」。奮起した原澤左大内刈を見せるが太田は体を捌いて小外刈を当て、当てた感触を確認してから回旋を呉れる。原澤崩れて「待て」。

この攻防以後、原澤は再び敢えて試合を動かさない圧力志向にシフト。太田は間合いを作ってケンケン内股で攻め立てるが、バランス重視の原澤の構えにポイントに繋げるところまでは攻め入れず。

残り5秒で原澤が右払巻込。この技は主審が偽装攻撃と判断して「指導3」を宣告するが、ここで試合は終了。

5戦合計1-0で修徳高が6年ぶり2度目の松尾杯制覇を成し遂げた。

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(写真:副将戦、小川の「一本」)

(写真:副将戦、小川の「一本」)


修徳高 1-0 白鴎大足利高
(先)佐藤竜×引分×浅野大輔
(次)坂口真人×引分×柳原尚弥
(中)伊藤祐介×引分×太田竜聖
(副)小川雄勢○横四方固△佐俣楓
(大)原澤脩司×引分×太田彪雅


修徳高の今年度戦力はやはり充実。
小川、原澤は最高学年となって地力は勿論、相対的にその位置を一段上げた印象。
小川は釣り手の使い方が巧くなり、圧力の掛かりが格段に良くなった。また、技が抜群に切れるわけではないが足腰とバランスの良さがあり、かつ上背があって圧力を掛けられるという自らの特性に対する理解が進み、これを前提とした「取る」組み立てをしっかり、それも複数確立している。黒潮旗以来の戦い方を見ていると、その力と手立てはもちろん、自分がどう戦うかということに対する「迷いのなさ」が得点力を一段も二段も押し上げていることは間違いない。全国大会の上位対戦でも抜き役を担える力は十分、エース同士の対戦でどれだけやれるかが見ものだ。

そして大きいのが原澤の成長。春までは大型選手特有の脆さを合わせ持ち勝ち負けがハッキリしていた印象だが、足腰が出来たのかその勝敗分岐の垂直位置が大幅に押し上げられたように見受けられる。その分精神的にも余裕が出て、行くべき場面と我慢すべき場面の見極めが良くなり、計算の立つ選手になってきた。小川というエースがいる中で試合を弁えた大型選手1枚が備わったことは非常に大きい。飛び道具的な一発が売りであるはずの坂口の元気のなさがやや気に掛かるが、全国優勝を狙える戦力であることは間違いない。

修徳の松尾杯制覇は6年ぶり2度目。岩尾敬太、児玉雄一を擁して全国制覇を狙い、高校選手権でヘスト4に進出したチーム以来ということになる。

あれから幾度も頂点に迫りながら全国制覇にいま一歩手が届かなかった指揮官・大森淳司監督が最後の階段を上るべく打ち出したのはどうやら「自主性」。前週の黒潮旗大会ではマスクをして一言も発せず試合を見守る様が関係者の話題となっていたが、今大会も試合中のアドバイスはほとんどゼロ。意図を問うと「結局自分たちでなんとかするしかないですから」とのこと。本来非常に時間が掛かる育成方針のはずだが、前週戦い方がバラけていた印象の選手たちが今大会は迷いなく戦っていた印象で早くも一定の成果が見えてきている。1月の東京予選の出来次第では高校選手権本番も相当期待が出来そうだ。

一方の白鴎大足利。10月の朱雀杯に続く2タイトル目の獲得はならなかったが「山中が負傷した中、良く決勝まで辿り着いた。ここで勝ったりしたら勘違いしてしまいますから」と蓬田正郎監督は存外明るい表情。「選手たちにはベイカーやウルフのようなモンスターになりたいなら、そのつもりで稽古をしなければならないと話している」とのこと。確かに順行運転を受け入れた感のある決勝の試合を見る限り、エース1枚のレベルアップは勿論のこと、チーム全体に良い意味での「勘違い」、V1時の東海大浦安高のような上から目線がないと頂点を獲るには至らない印象だが、蓬田監督はその点は十分理解した上でチームの成長を見つめているようだ。「浅野の試合(準決勝)は収穫だった。あの強気が全員に欲しい」という言葉に端的な、蓬田イズムがチームに浸透するかどうか。次戦以降を楽しみに待ちたい。

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(写真:優勝の修徳高)

【入賞者】

優勝:修徳高(東京)
準優勝:白鴎大足利高(栃木)
第三位:国士舘高(東京)、崇徳高(広島)

優秀選手:小川雄勢、坂口真人(修徳高)、太田彪雅(白鴎大足利高)、釘丸将太(国士舘高)

修徳高・大森淳司監督のコメント
「この時期は目の前の一戦一戦を戦って課題を見つけることと修正していくことが何より一番大事で、今日も1試合でも多く試合をすることが目的でした。ですので優勝は正直少々早すぎましたね(苦笑)。東京予選も非常に厳しい戦いが待っていますし、とにかく課題を見つけてクリアしていくことだけです。個々には色々ありますが、全体としては上手い相手に対して精度を上げていくことですね。全員、もっと出来るはず。そして自分たちで考えて取り組む、ということが今のテーマ。少しずつ出来てきているとは思います」

白鴎大足利高・蓬田正郎監督のコメント
「山中を欠いた状況でよく決勝まで行きました。力の確認は出来ましたし、この状況で勝ってしまうと選手たちが勘違いしてしまいますからね。勝つことの執念があと一歩どうしても必要で、その点では浅野が凄く良かった。準決勝の一本勝ちとあの強気は今後のチームの糧になります。現状の力も課題も確認出来て、この大会に出場して本当に良かった。決勝では負けてしまいましたが、ここで喜ぶのではなく、日本武道館で喜びます。」


【準々決勝】

崇徳高(広島) ①代-1 相洋高(神奈川)
修徳高(東京) 4-0 桐蔭学園高(神奈川)
国士舘高(東京) 5-0 近大福山高(広島)
白鴎大足利高(栃木) 1-0 作陽高(岡山)

【準決勝】

白鴎大足利高 3-2 国士舘高
修徳高 1-0 崇徳高


【決勝】

修徳高 1-0 白鴎大足利高


※ eJudo携帯版「e柔道」およびeJudoメルマガ版12月26日掲載記事より転載・編集しています。
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