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【ROAD TO 高校選手権】黒潮旗武道大会男子団体マッチレポート

(2014年1月1日)

※ eJudo携帯版「e柔道」およびeJudoメルマガ版12月23日掲載記事より転載・編集しています。
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【ROAD TO 高校選手権】
黒潮旗武道大会男子団体マッチレポート
マッチレポート(上) 予選リーグ~決勝トーナメント1回戦
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(写真:国士舘高・釘丸将太による選手宣誓)

全国高等学校柔道選手権大会(3月20日~21日・日本武道館)に向けた冬季招待試合シリーズの開幕戦と位置づけられる第38回黒潮旗武道大会が12月14日、東海大付翔洋高等学校アリーナ(静岡市)にて、全国の精鋭48校が集って開催された。

トーナメントには今年の高校選手権と金鷲旗を制した東海大浦安高(千葉)、負傷者が復帰して戦力が整いつつある東海大相模高(神奈川)、前回大会(2011年)で3冠世代の東海大浦安高を倒して優勝している国士舘高(東京)、10月の朱雀杯を制して全国制覇挑戦を明言した白鴎大足利高(栃木)、インターハイ3位の今夏チームから小川雄勢と坂口真人という先代のポイントゲッター複数が残った修徳高(東京)、一時の元気のなさから今夏復活、再び頂点を狙う態勢が整いつつある大成高(愛知)など、新年度の高校柔道界の様相を占うにふさわしい役者がズラリと並んだ。

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(写真:相洋高の二見省吾が日体荏原高・長井達也から左背負投で1つ目の「技有」)

■予選リーグ

大会のレギュレーションは5人制(66kg、81kg、無差別、無差別、無差別)の点取り方式。3校ずつに分かれた予選ブロックがまず行われ、各ブロック1位の計16校が決勝トーナメントに進むという形。強豪各校はリーグを分けられおおむね順当に勝ち上がったが、中にはいきなりの強豪対決も散見された。

相洋高(神奈川) 3-1 日体荏原高(東京)
(先)関野晴矢○優勢[技有・一本背負投]△杉本大虎
(次)間瀬勇希×引分×中村親良
(中)瀬戸口雄輝△優勢[有効・大外刈]○東部雄大
(副)二見省吾○合技△長井達也
(大)辻幸之介○優勢[指導2]△横山麻人

激戦区の神奈川県新人戦を制したばかりの注目チーム・相洋高が、前回の高校選手権東京代表の日体荏原高に快勝。先鋒戦は国民体育大会少年男子優勝にレギュラーとして貢献した関野晴矢が、1年生ながらインターハイベスト8入賞を果たしたスター候補杉本大虎との注目対決に一本背負投「技有」で勝利。
1-1で迎えた勝負どころの副将戦では開始早々に二見省吾が長井達也の股中に潜り込む左背負投で「技有」獲得。さらに日体荏原サイドの「担ぎ技を狙っているぞ!」との声をものともせずに残り33秒で再び左背負投に飛び込んで「技有」を獲得、見事合技で一本勝ち。大将辻幸之介も2つの「指導」を獲得して3-1という大差で勝利を決めた。

全日本カデ66kg級で2回準優勝で国体優勝時にはエース級の活躍を見せたチームの目玉・込山龍哉を起用せずにこの出来は見事。チームとしての充実を感じさせる内容だった。

一方の日体荏原高は1年生中心、そしてもっとも期待される松井海斗を起用していないという事情はあるものの松井、長井、東部の「小野中トリオ」というこの学年の高校柔道の主役級3枚に杉本とスター候補をずらりと揃え、かつ昨年全国大会を経験している中村親良を投入してこの内容は少々期待外れの感あり。中学時代にはクレバーな戦いも披露していた長井が同じ技で二度投げられるなど、意外な場面の多い試合だった。「金の卵」を預かった形の同校が今後どうこれらの才能を開花させていくか、期待して見守りたいところだ。

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写真:残り時間9秒、島田陸が左大内刈、返そうとした野村琢眞に体を浴びせて落とし「有効」奪取)

東海大相模高 3-1 明大中野高
(先)山本達彦△優勢[有効]○鈴木海志
(次)島田陸○優勢[有効]△野村琢眞
(中)芦川泰隆○大内刈△川崎友凰
(副)浅野未来○優勢[指導2]△生井絃二朗
(大)長谷川優×引分×大塚薫

第1試合で富士宮北高(静岡)を全試合一本勝ちの5-0で下した東海大相模高はオーダーを動かさず第2戦に臨み、野村琢眞を擁する明大中野高に3-1で手堅く勝利。先鋒戦は落としたものの、次鋒島田陸がその野村に「有効」優勢で勝利。中堅芦川、副将浅野も加点して危なげなく初戦の勝利を決めた。

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(写真:国士舘高・岩渕将也が飛龍高・林拓真から裏投「技有」)

ほか、国士舘高は常盤高を4-1(阿部北斗、川脇翼、竹村昂大、山田稔喜、岩渕将也)、飛龍高(静岡)をこれも4-1(平田直樹、川脇、竹村、山田、岩渕)で勝利して決勝トーナメント進出決定。

大成高は石崎流惟、太田敦也、神鳥剛、川田修平、並木泰雅というメンバーで前橋商高(群馬)と木更津総合高(千葉)と戦い、いずれも太田が分けたものの4-0で快勝。危なげなく予選リーグを突破。

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(写真:白鴎大足利高・山中勇希が島田樟誠高・松坂樹から払腰「一本」)

修徳高は小川雄勢を温存し、星野隼秀、佐藤竜、坂口真人、原澤脩司、伊藤祐介というメンバー。東京学館新潟高(新潟)と富士学苑高(山梨)をいずれも3-0で下して決勝トーナメントへ。

朱雀杯王者の白鴎大足利高は今大会最注目チーム。前2人に体重制限のある今大会のスターティングは鈴木、浅野大輔、柳原尚弥、山中勇希、太田彪雅というもの。武相高(神奈川)に4-0、島田樟誠高(静岡)に4-0と気合の入った試合ぶりで圧勝。無失点で決勝トーナメント進出。

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(写真:東海大浦安高・村田大祐が浜松商・植田蒼太郎から大内返「一本」)

東海大浦安高の予選リーグの布陣は檜貝幹太、杉本洸太郎、染谷涼央、村田大祐、橘洋功。浜松商高(静岡)に4-0、國學院栃木高に3-1で勝利して危なげなく決勝トーナメントへ。村田は浜松商高戦で、静岡県の少年男子久々の国体本戦進出の原動力となった好選手植田蒼太郎に粘られ引き分け濃厚かと思われたが、残り時間がほとんどなくなったところで大内返で思い切り放り投げて一本勝ち。チームの勝利が決まっている状況下であるがあくまで引き分けを受け入れず、さすがのプライドの高さを見せていた。

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(写真:小杉高・明石将太が加藤学園高・高柳翔太から払腰「技有」)

混戦となったDブロックは東北ブロック優勝候補の田村高(福島)と津幡高(石川)という強豪2校を抑えた習志野高(千葉)が決勝トーナメントへ。

明石将太を中心に今期充実が伝えられる小杉高(富山)、インターハイ73kg級2位の吉田優平を擁する大垣日大高(岐阜)らも順当に決勝トーナメント進出を決めた。

予選リーグ各ブロックの結果は下記。

【予選リーグAブロック】

決勝トーナメント進出校:国士舘高

国士舘高(東京) 4-1 常盤高(群馬)
国士舘高 4-1 飛龍高(静岡)
常盤高 3-1 飛龍高

【予選リーグBブロック】

決勝トーナメント進出校:近江高

近江高(滋賀) 5-0 下田高(静岡)
近江高 1-0 東海大高輪高(東京)
東海大高輪高 4-1 下田高


【予選リーグCブロック】

決勝トーナメント進出校:東海大甲府高

東海大甲府高(山梨) 1-0 京都学園高(京都)
東海大甲府高 5-0 光明学園高(神奈川)
京都学園高 4-0 光明学園高

【予選リーグDブロック】

決勝トーナメント進出校:習志野高

習志野高(千葉) ①-1 津幡高(石川)
田村高(福島) 1-0 田村高(福島)
習志野高 1-0 田村高

【予選リーグEブロック】

決勝トーナメント進出校:小杉高

小杉高(富山) 3-0 作新学院高(栃木)
小杉高 3-2 加藤学園高(静岡)
作新学院高 3-2 加藤学園高

【予選リーグFブロック】

決勝トーナメント進出校:盛岡中央高

前橋育英高(群馬) 3-2 常葉橘高(静岡)
盛岡中央高(岩手) 3-0 常葉橘高
前橋育英高 1-1 盛岡中央高

【予選リーグGブロック】

決勝トーナメント進出校:大垣日大高

大垣日大高(岐阜) 5-0 武蔵越生高(埼玉)
大垣日大高 5-0 鈴鹿高(三重)
鈴鹿高 2-1 武蔵越生高

【予選リーグHブロック】

決勝トーナメント進出校:東海大相模高

東海大相模高(神奈川) 5-0 富士宮北高(静岡)
東海大相模高 3-1 明大中野高(東京)
明大中野高 5-0 富士宮北高

【予選リーグIブロック】

決勝トーナメント進出校:大成高

大成高(愛知) 4-0 前橋商高(群馬)
大成高 4-0 木更津総合高(千葉)
前橋商高 3-1 木更津総合高

【予選リーグJブロック】

決勝トーナメント進出校:相洋高

相洋高(神奈川) 3-1 日体荏原高(東京)
相洋高 5-0 沼津工高(静岡)
日体荏原高 5-0 沼津工高


【予選リーグKブロック】

決勝トーナメント進出校:東海大翔洋高

北陸高(福井) 2-1 山形工高(山形)
東海大翔洋高(静岡) 3-0 山形工高
東海大翔洋高 2-1 北陸高

【予選リーグLブロック】

決勝トーナメント進出校:白鴎大足利高

白鴎大足利高 5-0 島田樟誠高(静岡)
白鴎大足利高 4-0 武相高(神奈川)
武相高 4-0 島田樟誠高


【予選リーグMブロック】

決勝トーナメント進出校:修徳高

修徳高(東京) 3-0 東京学館新潟高(新潟)
修徳高 3-0 富士学苑高(山梨)
東京学館新潟高 4-1 富士学苑高

【予選リーグNブロック】

決勝トーナメント進出校:桐蔭学園高

桐蔭学園高(神奈川) 4-1 東海大菅生高(東京)
桐蔭学園高 5-0 川根高(静岡)
東海大菅生高 4-0 川根高

【予選リーグOブロック】

決勝トーナメント進出校:四日市中央高

四日市中央高(三重) 4-1 静岡学園高(静岡)
静岡学園高 2-2 桐生第一高(群馬)
四日市中央高 3-1 桐生第一航

【予選リーグPブロック】

決勝トーナメント進出校:東海大浦安高

東海大浦安高(千葉) 4-0 浜松商高(静岡)
東海大浦安高 3-1 國學院栃木高(千葉)
國學院栃木高 2-1 浜松商高

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(写真:神鳥剛が瀬戸口雄輝から払腰「一本」)

■決勝トーナメント1回戦

大成高 ①-1 相洋高
(先)永山竜樹×引分×関野晴矢
(次)古賀颯人×引分×間瀬勇希
(中)神鳥剛○払腰△瀬戸口雄輝
(副)川田修平△優勢[有効]○二見省吾
(大)並木泰雅×引分×辻幸之介

予選リーグから勢いの良さを見せていた両校が激突。大成高は先鋒にもと世界ジュニア55kg級王者永山竜樹、次鋒に24年全国中学大会73kg級王者古賀颯人という今大会の「目玉」と呼ぶべき核弾頭2枚をこの試合から投入、相洋高の強力な前衛に抗する策に出る。
前衛2枚は強豪同士がぶつかる形になり、引き分け。
大成高は踏ん張りどころの中堅戦、ここで得点するしかないというポジションで「どうしても試したかった」(石田輝也監督)とのスタメン起用に応えた神鳥剛が払腰で見事一本勝ち。
またもや強豪対決となった副将戦は相洋・二見省吾が川田修平の巻き込み潰れをめくり返しての隅落「有効」奪取で追いすがったが今一歩届かず。大将戦は引き分けで、大成高が1-1の内容差で相洋高を振り切り、ベスト8進出を決めた。

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(写真:吉田優平が島田陸から逆転の袖釣込腰「一本」)

東海大相模高 2-1 大垣日大高
(先)山本達彦○優勢[指導2]△伊藤寛康
(次)島田陸△袖釣込腰○吉田優平
(中)芦川泰隆×引分×松垣渓太
(副)浅野未来×引分×牛丸了英
(大)長谷川優○払腰△高井佳太

試合の焦点は、大垣日大にとってほぼ唯一の得点ポイントと目される次鋒戦で、吉田優平が島田陸という強敵相手に得点を挙げることが出来るかどうか。

東海大相模の1点リードで迎えたこの対決は島田が左背負投で思い切りめくり回して「技有」先制。「一本」でもおかしくない強烈な技に東海大相模サイドの意気は大いに揚がる。

気合を入れなおした吉田は終盤、クロージングに向けてやや動きの精度が落ちた島田に対して座りこみの左袖釣込腰。逆側に降りようとした島田を背中を密着させたままもろとも回して逆転の「一本」奪取。この時点で内容差ながら大垣日大がリードを奪う。

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(写真:長谷川優が高井佳太から払腰「一本」)

しかし東海大相模は以降の2戦を手堅く進め、芦川泰隆と浅野未来はリスクを冒さず引き分け。
最後は大将長谷川優の払腰「一本」で逆転に成功。2-1でベスト8進出を決めた。

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(写真:小川雄勢が岡田武志を大外刈で叩き落とし「技有」奪取)


修徳高 2-0 桐蔭学園高
(先)星野隼秀×引分×坂内哲平
(次)佐藤竜×引分×渡部甲誠
(中)坂口真人×引分×戸崎碧海
(副)原澤脩司○合技△大塚翔悟
(大)小川雄勢○優勢[技有・大外刈]△岡田武志

修徳高はこの試合から大将に小川雄勢を投入。前3戦を引き分けた後の副将原澤脩司、大将小川雄勢の重量2枚の連続得点でしっかり試合を決めた。小川は強豪岡田を相手に「上から目線」で圧力を掛け続け、終盤とうとう岡田を捕まえてのけぞらせるような左大外刈で「技有」奪取。スケールの大きさを見せ付けていた。

ほか、東海大浦安高はこの試合から起用された次鋒田島優人の大内刈「一本」、中堅染谷の小外刈「一本」で四日市中央工(三重)に2-0で快勝。

白鴎大足利高は東海大翔洋高(静岡)を相手に次鋒戦で浅野大輔が横山稜悟に「有効」で敗れて先制されたものの、柳原、山中、太田の後衛3枚の連続得点で3-1と快勝。

国士舘高は中堅を釘丸将太に入れ替えて近江高(滋賀)を4-0と寄せ付けず、順当にベスト8入りを決めた。

【決勝トーナメント1回戦】

国士舘高(東京) 4-0 近江高(滋賀)
東海大甲府高(山梨) 2-1 習志野高(千葉)
小杉高(富山) 3-1 盛岡中央高(岩手)
東海大相模高(神奈川) 2-1 大垣日大高(岐阜)
大成高(愛知) ①-1 相洋高(神奈川)
白鴎大足利高(栃木) 3-1 東海大翔洋高(静岡)
修徳高(東京) 2-0 桐蔭学園高(神奈川)
東海大浦安高(千葉) 2-0 四日市中央工高(三重)

マッチレポート(下) 準々決勝~決勝
■準々決勝

国士舘高 4-0 東海大甲府高
(先)平田直樹×引分×鈴木舜平
(次)川脇翼○引込返△酒井勇輝
(中)釘丸将太○横四方固△前田圭壱
(副)山田稔喜○横四方固△鈴木連次
(大)山田伊織○腕挫十字固△中川将嗣

国士舘高は大将に1年生の山田伊織を起用。吉良儀城を負傷で欠く中、今回の登録ではおそらくこれがベストメンバー。
先鋒戦の引き分けを受けた後は次鋒以下が4連勝。あっさりベスト4進出決定。

東海大相模高 2-0 小杉高
(先)山本達彦×引分×原田誠丈
(次)島田陸○優勢[有効・背負投]△鍛冶拓実
(中)芦川泰隆×引分×明石将太
(副)浅野未来×引分×坂田豊志
(大)長谷川優○優勢[指導2]△北山達也


好チーム小杉高を迎えた東海大相模高が、隙を見せずに快勝。次鋒戦の得点をテコに終始リードを保ったまま試合を進め、最後は大将長谷川優の「指導2」勝ちで決着。2-0で準決勝進出を決めた。

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(写真:大成高・永山竜樹が白鴎大足利高・荻原将太から裏投で一本勝ち)

大成高 2-1 白鴎大足利高
(先)永山竜樹○裏投△荻原将太
(次)古賀颯人×引分×浅野大輔
(中)神鳥剛×引分×柳原尚弥
(副)川田修平○優勢[有効・払巻込]△山中勇希
(大)並木泰雅△優勢[指導2]○太田彪雅


準々決勝でもっとも注目を集めた一番。
前衛2人が強力な大成、中堅以下にポイントゲッターを揃える白鴎大足利という構図の中、大成高は先鋒の永山が裏投「一本」でしっかり仕事。次鋒戦も古賀颯人が手堅く引き分けてリードを保ったまま中堅以降に試合を繋ぐ。

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(写真:副将戦、川田修平が山中勇希から払巻込で「有効」)

ここで白鴎大足利はポイントゲッターの柳原尚弥が登場。是が非でも「一本」が欲しい場面だったが、ケンカ四つの神鳥剛を相手に詰め切れず引き分け。この試合が分水嶺で、副将戦は170kgの巨漢山中勇希が追いかける試合を展開せざるを得ず、終盤に左内股に打って出たところを左払巻込で転がされ「有効」失陥。この副将戦を落としたことでチームの敗戦が決まり、大将太田彪雅が「指導2」で一矢を報いたものの時すでに遅し。この試合は2-1で大成の快勝に終わった。

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(写真:中堅戦、柳原尚弥は中盤まで意欲的に攻めるが神鳥剛が捌いて得点を許さず)

朱雀杯優勝、「チームとしてまだ全国優勝をしていないという経験の無さを補うために、勝ち続けることで何が必要かを探していきたい」と蓬田正郎監督が語っていた白鴎大足利だが、その「探す旅」はこの黒潮旗でまず最初のつまずきを経験することとなってしまった。

分水嶺は中堅戦。そしてこの中堅戦は、この試合だけでなく今期を決める大きな分岐点となりうる可能性がある一番だった。

どんなチームにもそのシーズン全体を決めるような大事な一試合、局面がある。たとえば、東海大浦安が「三冠」を達成した一昨年のチームにおいては若潮杯武道大会決勝の次鋒戦で鎌田嵩平が宮川嘉軌に一本勝ちした一番がそれだった。前評判は抜群だがまだ全国優勝したことが一度もない自軍が、前戦の黒潮旗では破れている名門・国士舘に対し絶対に与えてはならない先制点を奪われてしまうという状況、ここで引き分けに終われば自らの実力に猜疑心が生まれ「地方の一有力校」の座に押し戻されても仕方のないところだったが、ここで東海大浦安はエースではない軽量選手の鎌田が当たり前のような「上から目線」で一本を取りきった。東海大浦安が本気であること、そしてその「本気」がチームの隅々まで染みていることがチームの外にも内にも示された一戦であり、結果東海大浦安は同大会に優勝、高校選手権に至る力関係が「上」として確定されるに至った。

好選手を揃えた白鴎大足利が、挑戦者としてではなく強豪と規定されて全国上位レベルの強豪高が「止めにくる」という未体験の状況に置かれ、そしてその中でも柳原がポイントゲッターとして取る力と手立てがあるか、何よりそこで是が非でも獲らねばならない「上」の選手であると自らを規定するだけの心の強さがあるかどうかが問われる一番であったのだが、結果は、攻める場面を探しながら、「優位だが具体的なポイントが取れない」状況を一種受け入れてしまっての引き分け。

今大会は前衛2枚が体重別という変則レギュレーション、一概にその戦力を評価できない大会ではあるが、今後の白鴎大足利の「旅」を見守る上で、それが上向くにせよ落ち着くにせよ、この一戦の内容と結果は現時点の同校を示す基準点として記憶にとどめておくべき重要な一番であった。

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(写真:修徳高の小川雄勢が合技で一本勝ち)

修徳高 2-1 東海大浦安高
(先)星野隼秀×引分×檜貝幹太
(次)佐藤竜×引分×田島優人
(中)坂口真人○内股△染谷涼央
(副)原澤脩司△小外刈○村田大祐
(大)小川雄勢○合技△橘洋功

インターハイ準々決勝の再現となる因縁対決は、またしても坂口真人の見事な内股「一本」が非常に効いた一番。
副将戦は東海大浦安・村田大祐が「一本」を取り返したものの、大将戦は小川の圧力が良く効き、結果は合技の一本勝ち。2-1で修徳高がベスト4へと名乗りを挙げることとなった。

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(写真:山本達彦が平田直樹から袖釣込腰で「技有」を奪う)

■準決勝

東海大相模高 3-1 国士舘高
(先)山本達彦○小内巻込△平田直樹
(次)島田陸○優勢[技有・小外掛]△川脇翼
(中)芦川泰隆○優勢[有効・小内刈]△釘丸将太
(副)浅野未来△優勢[技有・一本背負投]○山田稔喜
(大)長谷川優×引分×山田伊織

東海大相模は先鋒の山本達彦が平田直樹を相手に袖釣込腰「技有」、右大内刈「有効」と立て続けに得点。最後は小内巻込「一本」でフィニッシュして先制。

次鋒戦もこの日好調の島田陸が右相四つの川脇翼を相手に積極的に攻め、1分16秒には互いに横変形で構えたところから川脇の支釣込足に反応して豪快な内股で川脇を畳に叩き付ける。
これは場外でノーポイントだったが、毒気を抜かれた川脇に対して直後今度は小外掛を打ち込んで「技有」奪取。その後も「全部出し切れ」とのベンチの声に応えて良く攻め抜いて優勢勝ち。

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(写真:芦川泰隆が釘丸将太から右小内刈で「有効」を奪う)

中堅戦は東海大相模・芦川泰隆が右小内刈で「有効」を奪って勝利。この時点でスコアは3-0となり早くも東海大相模の勝利が決定。

副将戦は国士舘の山田稔喜が左一本背負投で巨漢・浅野未来を良く攻め、場外ながら左一本背負投で浅野を転がすと、これで感触をつかんだとばかりに1分39秒には再度の左一本背負投で「技有」獲得。以降も左一本背負投に、一本背負投の形に腕を抱えた右大外刈と奔放に攻めて優勢勝ち、一矢を報いる。

大将戦は引き分けとなり、東海大相模高がライバル国士舘高を3-1で下して決勝進出を決めた。

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(写真:永山竜樹が星野隼秀から内股「一本」)

大成高 3-1 修徳高
(先)永山竜樹○内股△星野隼秀
(次)古賀颯人○大内刈△佐藤竜
(中)神鳥剛△優勢[技有・内股]○坂口真人
(副)川田修平○優勢[技有・大外刈]△原澤脩司
(大)並木泰雅×引分×小川雄勢

大成高は先鋒永山が内股「一本」、そして次鋒古賀颯人が修徳のインターハイでの躍進の因となった担ぎ技ファイター・1年生の佐藤竜から大内刈で「一本」を奪う殊勲。この2試合で大勢は決した。

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(写真:川田修平が原澤脩司から左大外刈で「技有」を奪う)

中堅戦は修徳・坂口真人が払腰から連絡した内股で「技有」を奪って勝利、逆転に向けて追いすがるが、副将戦は大成・川田が典型的重量選手の原澤から24秒に放った左払巻込で「技有」を奪い、さらに2分27秒には左大内刈「有効」を加えてフィニッシュ。この時点で3点を奪って試合を決めた。

修徳としては次鋒戦が誤算であったが、これは佐藤に対してあくまで「一本」を奪いにいき、そして実行した古賀の出来を評価するべき。大成、インターハイ3位の修徳にも3-0の圧勝を果たし、勢いに乗ったまま決勝進出決定。

結果決まった決勝のカードは、

東海大相模 - 大成

となった。

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(写真:決勝開始を控え、円陣で気合を入れる大成高のメンバー)

■決勝

東海大相模高 - 大成高
(先)山本達彦 - 永山竜樹
(次)杢康次郎 - 古賀颯人
(中)芦川泰隆 - 三輪龍志
(副)浅野未来 - 川田修平
(大)長谷川優 - 並木泰雅

東海大相模は負傷の影響で「一杯一杯」(高橋洋樹監督)の島田陸を下げて杢康次郎を投入、次鋒戦は古賀-杢という小学、中学カテゴリで激戦を繰り広げてきた因縁対決が実現。
一方の大成は満を持してエース格の三輪龍志を中堅に投入、双方準決勝から1人ずつを入れ替えての決勝の畳となった。

盤面は、前衛2枚が強力な大成、試合が読みがたいが大枠の動的膠着が想起される中盤戦、大将長谷川を擁して東海大相模の得点が濃厚な大将戦という様相。

大成としては前2人が得点して副将川田がその流れに乗るというこれまでの勝利パターンを踏襲したい試合。逆に東海大相模は前でしのぎ、大将に控える長谷川のプレッシャーを盤面に効かせながら、得点を積み重ねていきたいところ。

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(写真:永山竜樹の裏投、山本達彦は身を切って腹ばいに逃れる)

先鋒戦は東海大相模・山本、大成・永山ともに右組みの相四つ。

山本は右一本背負投からの小内巻込に巴投、永山は左袖釣込腰で攻める。
35秒、山本が右小内巻込。永山は裏投に捕まえて放り投げるが、どよめきの中高く宙を舞った山本は腹ばいに着地して「待て」。

1分過ぎ、永山が左一本背負投から右内股に連絡。山本驚異的なバランスで右払巻込に切り返すが永山はさらに一段ギアをあげて掬投に捉え、山本はこれもバランス良く身を翻して腹ばいに落ちて「待て」。軽量級らしい、そして強気の両選手らしい攻防に場内大いに沸く。

1分46秒、山本が釣り手を肩越しに入れて背中を握ると、永山すかさず食いついて裏投で放り投げる。軌道は「一本」を想起させるものだったが山本またもや驚異的なバランスで伏せ、ポイント失陥はなんとか回避。

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(写真:永山が縦四方固「一本」)

しかし優位な態勢で寝技を開始した永山は山本の上体を固めて抑え込みの態勢。必死で足を絡む山本の両足を抜き捌くと横四方固、次いで縦四方固に連絡して「一本」奪取。大成、最高の出だしで一点先制。

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(写真:古賀颯人が杢康次郎から体落で一本勝ち)

次鋒戦は2012年全国中学大会73kg級決勝の再現。東海大相模の杢が左、大成高の古賀が右組みのケンカ四つ。杢は左体落、古賀は右内股に右大腰と腰の差し合いからの攻防が続く。

互いに相手の手の内を知ったこの攻防、双方緩やかに場外を目指しながらの腰の差し合いが続き得点の気配ないまま試合は最終盤。しかしここで古賀が一段ギアを上げる。泥沼の腰の差し合いからタイミングを半拍早く、高さを思い切って低く、そして入射角をより狭くして右体落。通常弾の連発に混ぜ込んだこの一撃に不意を突かれた杢が大きく崩れると古賀すかさずその体の上に乗り込むように体を浴びせ回して叩きつける。主審は迷わず「一本」を宣告。
残り時間僅か2秒、杢の死角から入り込んだ鮮やかな一撃で古賀が一本勝ち。大成はこの時点で2-0と大量リードを奪うこととなった。

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(写真:川田修平が浅野未来から左大外刈で「技有」奪取)

中堅戦は芦川泰隆が右、三輪龍志が左組みのケンカ四つ。芦川は右内股、三輪は左内股で攻めあうが、芦川は大量リードをバックに戦う三輪の順行運転の組み立てを崩すことが出来ず、20秒、1分17秒と双方に「取り組まない」判断の「指導」が与えられる。以後試合は腰の差し合いという動的膠着に陥り、この試合は引き分け。

副将戦は浅野未来と川田修平ともに左組みの相四つ。浅野は身長183cm、体重127kgの巨漢、一方の川田は181cm、85kgでデータ以上に「長身」の印象が残る痩身体型。

試合開始早々から双方ガップリと組み合う。41秒、意を決した川田が思い切ったの大外刈。入りが深く、初動で上体を固められてしまった浅野はこれを残せない。川田が刈り上げると浅野の巨体ドウと崩れてこれは「技有」。

全国少年大会優勝時から重量級の象徴的存在としてこの学年を牽引、担ぎ技ファイターに転がされることこそあったが、受けが強く本格派相手には明確な敗北がほとんどなかった浅野の陥落に、場内にはどよめきが走る。

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(写真:浅野が小外掛、もろとも場外に出て「待て」)

奮起した浅野は前に出るが川田は浅野が釣り手を伸ばして奥襟を叩くその瞬間に左大内刈を合わせ、浅野は転がって伏せて「待て」。以後も川田のノーモーションで繰り出す大内刈に浅野は反抗のきっかけをことごとく潰されて試合を動かすことが出来ない。

残り20秒、もう行くしかない浅野が両襟を掴んで左小外刈に打って出るがもろとも場外に出て「待て」。これが浅野の実質最後の反撃で、この試合はスコア動かず終了。川田の「技有」による優勢勝ちで、大成の勝利が確定。この時点でスコアはなんと3-0に広がった。

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(写真:大将戦、長谷川優が大外刈で「有効」奪取)

大将戦は東海大相模の長谷川優、大成・並木泰雅ともに右組みの相四つ。横変形で圧を掛け合ったところから1分40秒に長谷川が右大外刈で「有効」奪取。以後も大外刈と支釣込足で良く攻めて攻勢。

並木は1分40秒に思い切った右大外刈を見せるが長谷川は後ろ回り捌きで返しを試み、並木が崩れて「待て」。この一撃で並木の攻撃意欲がやや減退、残り29秒となったところで長谷川が組み際の右小外刈で「有効」を追加して試合は終了。この試合は「有効」による優勢で長谷川の勝利となった。

結果、通算スコア3-1という大差で大成が勝利、見事黒潮旗大会初優勝を決めることとなった

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(写真:決勝は3-1という大差で決着)

大成高 3-1 東海大相模高
(先)永山竜樹○縦四方固△山本達彦
(次)古賀颯人○体落△杢康次郎
(中)三輪龍志×引分×芦川泰隆
(副)川田修平○優勢[技有・大外刈]△浅野未来
(大)並木泰雅△優勢[有効・大外刈]○長谷川優

勝負のポイントはなんと言っても前衛の2戦。わけてもかつてのライバル相手に引き分けを受け入れずあくまで「一本」を取りにいった古賀の執念と技術は特筆ものであった。小、中と全国優勝してきており記録上は圧倒的な成績を残している古賀だが、これまではどちらかというと「強さ」よりも「巧さ」が心に残る戦術派の選手という印象だった。
しかし準決勝、決勝を見る限り現在の古賀が醸し出すのは圧倒的な「強さ」。高校カテゴリ以上でのブレイクの可能性も十分見えてきた感ありだ。体重制限なしでもレギュラー5人に入るという古賀の羽化の過程も今期の注目トピックのひとつだろう。

そして最大の注目選手は大成の副将川田修平。まだ線が細い印象で技も粗削りだが、浅野、原澤、山中と揃った巨漢選手に思い切って技を仕掛けられるその心意気、そしてなによりそれを本人に決意させるだけの地力の高さは非常な魅力だ。

一時の、精神的に何かを失ったかのような低迷から完全に立ち直りつつある大成。以後招待試合シリーズに出場せず地区予選に集中する大成の力を測る機会は高校選手権まで訪れないが、現時点でも実力的にはまずますシード8校入りは確実。悲願の全国優勝も十分視野に入ってくる地力の高さを証明した黒潮旗大会であった。

とはいえ、今大会の様相全体が体重制限のある前衛2枚の戦力に大きく影響されたものであることは否めない。複数の指揮官が「後ろ3枚はどのチームも互角」と語った通り、今期の高校柔道界は混戦と評された昨年以上の大混戦だ。

大黒柱の吉良が復帰の途上にある国士舘。主将飯島俊佑が復帰すれば飯島・島田・芦川と中量級に核が3枚揃う東海大相模。熱さが売りのはずの指揮官が試合中ただの一言も発せず何かを確かめるように黙々と戦い、そして3位に入賞している修徳。指揮官不在(竹内徹監督は高体連フランス遠征の引率中)の中、こちらも淡々と選手権に向けて戦力を整えつつある東海大浦安に、選手の粒を揃えて全国制覇へのカギを探し続る白鴎大足利。高校柔道界に大成が太い楔を打ち入れ、しかし混戦模様は継続と総括される、冬季開幕戦黒潮旗の様相であった。

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(写真:優勝の大成高)

【入賞者】
優勝:大成高(愛知)
準優勝:東海大相模高(神奈川)
第三位:国士舘高(東京)、修徳高(東京)

優秀選手:永山竜樹(大成高)、長谷川優(東海大相模高)

大成高・石田輝也監督のコメント
「先鋒と次鋒が常になくしっかり試合をしてくれて、これはいけるかなという感触がありました。古賀は勝ちたいという気持ちが強かったですね。三輪を決勝まで使わなかったのは、神鳥を試したかったから。思った以上の収穫がありました。中学の時に悔しい思いをした選手が多いので、それが良い方向に転がってチームの力になっていると感じます。怪我から復帰したばかりの並木のコンディションが戻って思い通りのオーダーが組めるようになれば、十分全国でも戦えるという手ごたえを感じています。常日ごろから全国優勝を意識して稽古を積んでいますが、まずは県予選に集中して、ひとつひとつ戦っていきたいと思います」


※ eJudo携帯版「e柔道」およびeJudoメルマガ版12月23日掲載記事より転載・編集しています。
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