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人材密集の激戦をユニバーシアード王者永瀬貴規が制す・講道館杯81kg級レポート

(2013年12月1日)

※ eJudo携帯版「e柔道」およびeJudoメルマガ版11月19日掲載記事より転載・編集しています。
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人材密集の激戦をユニバーシアード王者永瀬貴規が制す
講道館杯81kg級レポート
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(写真:1回戦、尾方寿應が左大外落で大辻康太を転がす)

国際大会では苦戦の続くこの階級だが、国内は人材が揃いつつありこの講道館杯は序盤から注目対決が目白押し。

今期インターハイ王者尾方寿應(東海大相模高3年)に、昨年の学生王者にして今期の全日本選手権関東地区予選王者の大辻康太(日本エースサポート)がマッチアップした1回戦は、尾方が「指導2」対「指導1」で勝利。凌ぐのではなく地力を生かしながら淡々と攻め続けて展開を掴んだその戦いぶりは高校生らしからぬふてぶてしさ、不調ながらも掴んだインターハイ王座、先輩小原拳哉から「有効」ポイントを奪う善戦を見せた全日本ジュニアと潜り抜けてきた経験で一段「試合力」が上がった印象だった。

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(写真:小原拳哉が大内刈、抱きついた平尾譲一は返しを狙ったまま転がる)

世界ジュニア2位の小原拳哉(東海大1年)と昨季の実業王者平尾譲一(パーク24)が対戦した1回戦は小原が「指導2」を奪っての優勢勝ち。小原は昨年のこの大会に続いてこの顔合わせに連勝、平尾はまたもや国際大会に至る道筋を小原に閉ざされ、初戦で畳を後にすることとなった。

序盤に会場を沸かせたのがダークホースの山下諒輔(静岡県警)。初戦で上位候補の一角、90kg級から1階級下げてエントリーした北野裕一(パーク24)からまず「指導2」奪取、さらに3分25秒には大外刈で投げつけて「技有」奪取でアップセットを演じ、2回戦の海老泰博(旭化成)戦は「指導2」を失いながらも残り7秒の大内刈「有効」で逆転、有力選手2人を倒して見事ベスト8への勝ち上がりを決めた。

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(写真:2回戦、丸山剛毅が平井将太を一本背負投で攻める)

これらダークホース的存在の注目選手を倒して、準決勝に進んだのは丸山剛毅(天理大3年)、永瀬貴規(筑波大2年)、中井貴裕(パーク24)、川上智弘(國學院大職)。シード選手4人が順当に勝ち上がった形となった。

第1試合では丸山と永瀬が激突。

選抜体重別王者の丸山は2回戦で、前戦で難敵片岡仁(日本大4年)を破った平井将太(東海大2年)と対戦しGS延長戦の大腰「一本」で勝利(GS1:08)。準々決勝は黒田賢司(同志社大3年)を巴投「有効」、さらに背負投「一本」(2:00)と圧倒してのベスト4入り。

一方今期ユニバーシアード王者の永瀬は1回戦で寺本裕基(関西大4年)を「指導3」の優勢で下した後はエンジン全開。2回戦で渕原慎一から隅落「有効」、腕挫十字固「一本」(1:41)と連取して勝利すると、準々決勝は山下諒輔から内股返「有効」、内股「技有」、体落「一本」(3:22)と3連続ポイントで勝利。こちらも圧勝続きで準決勝へと駒を進めてきた。

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(写真:準決勝、序盤に永瀬が内股透で「有効」を奪う)

この試合は丸山が左。永瀬が右組みのケンカ四つ。
1分10秒に丸山が左内股。永瀬股中で透かして回し、場外際で丸山の背中を畳に押し付けて内股透「技有」奪取。
奮起した丸山は前へ。序盤で大きなリードを奪った永瀬は丸山との腰の差しあいに応じつつ、一本背負投も織り交ぜて動的膠着を作り出そうとするが、丸山の前進に思わず畳を割ってしまい、1分40秒永瀬に場外の「指導1」。

丸山は腰の差し合いを挑んでは得意の内股を狙い続け、2分8秒にはついに永瀬に「指導2」が宣告される。丸山の追撃体勢が整いつつあるこの時間帯はどうやら試合の分水嶺。ここで永瀬は引かずに腰の差し合いに積極的に応じ、出し投げの形の振り崩しで丸山の前進に対抗して展開を保つ。

2分8秒、釣り手で奥襟を叩いた丸山が左小内刈。永瀬この技にタイミングを合わせて抱きついての右小外掛をかち合わせ、丸山を真裏に転がして「有効」を奪う。

突き放された丸山必死に追いかけるが一度確定した試合の流れを覆すのは難しい。残り22秒には丸山が巴投、展開を切るまいと自ら立ち上がったその立ち際を狙い済ました永瀬が大外刈に捉えて決定的な「有効」追加。

勢いは「一本」級のこの一撃で事実上試合は終了。そのままスコア動かずタイムアップとなり、「技有」優勢で永瀬の勝利が決まった。永瀬、選抜体重別王者を3回投げる堂々の試合ぶりで見事決勝進出決定。

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(写真:1回戦、中井貴裕が豊田純から体落で一本勝ち)

第2試合の顔合わせは中井-川上というリオ世界選手権の代表争いを演じたライバル同士の対決。

中井は好調。1回戦はもとジュニア王者豊田純(日体大3年)からまず「指導3」まで奪うと、今期度々決めている場外際で相手に横移動を強いておいての左体落で「一本」(2:58)。2回戦はインターハイ王者尾方寿應に仕掛ける隙を与えず「指導3」の優勢で勝利し、準々決勝の学生王者渡辺勇人(東海大3年)戦はこれも手堅く試合を進めて「指導」3つを奪っての優勢勝ち。若手の実力者3人に全く付け入る隙を与えない、いかにも中井らしい順調な勝ち上がりでのベスト4入り。

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(写真:1回戦、川上智弘が武藤力也に左小内刈を差し込んで一本勝ち)

一方の川上は初戦の相手が相性の悪い武藤力也(神奈川県警)という試練の組み合わせだったが、「指導」差でリードを得た4分30秒の組み際に一本背負投の形に腕を抱えた左小内刈で転がし「一本」でこの難関を突破。2回戦は山邉雄己(自衛隊体育学校)を支釣込足「技有」に小外刈「一本」(2:53)と圧倒して勝利し、準々決勝は小原拳哉を相手に「指導」差でビハインドを負ったが、2分53秒に左払巻込に捕まえて逆転の「一本」奪取。3戦連続一本勝ち、抜群の勝ち上がりでいよいよライバル中井との直接対決に臨む。

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(写真:川上の左大外刈。立ったまま耐えた中井が反転して腹ばいに逃れる)

両者左組みの相四つ。中井は大外刈で攻め、川上は引き手で袖を確保して奥襟を叩き、強気の組み手で優位を取り続ける。

川上が奥襟で圧力、中井がこれをいなし押し返して体勢を整えるというこの形の展開が数合続き、1分5秒に中井に「指導1」。

直後川上が左大外刈。受け止めた中井は立ったまま耐えるひと間を経て腹ばいに伏せ、ここに川上が体を浴びせて押し込んで「待て」。
さらに再開直後の組み際、川上が一本背負投の形に腕を抱えた左小内刈を差し込み、中井が立ったまま耐えたのちに両者崩れてブレイク。さらに川上は続いて思い切り左一本背負投に入り込み、背中に乗りかけた中井はなんとか横について回転を止めてやりすごす。

ここで主審は中井に2つ目の「指導」を宣告、経過時間は1分38秒。

中井は左払巻込を放って川上優位のこの展開に抗うが、川上はいったん奥襟を触るフェイントを入れてからの左一本背負投を放って攻勢継続、イニシアチブを渡さない。

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(写真:大外刈の返しあいから後ろに抜け出した中井が再度の大外刈に入り込んで「一本」)

組み手、技と川上が優位に立つが、しかし勝利の果実を得たのは中井。続く展開は両者奥襟を持ち合うガップリの横変形、ここで中井が左大外刈。川上は回避せずに自身も大外刈で迎え撃ち、両者は刈り足を差し込みあったまま一瞬拮抗。川上はさらに刈り込もうと片足のまま一歩前に出るがその際釣り手がずれて相手の頭を超えて肩越しに背中を掴む形となり、中井の体が抜けてしまう。圧から解放された中井は川上の後方に両足で進出、引き手を川上の脇下裏に握り換えて力を加えると、川上は後ろ髪を引かれる形でたたらを踏んで崩れる。中井間をおかずほとんど体落の形で体を投げ出して左大外刈。全体重を受けた川上に残す材料はなく、真裏に刈り倒されてこれは文句なしの「一本」。

中井の仕掛けから川上の大外返、中井再度の大外刈とまさしくあっという間に起こった劇的決着に場内大歓声。中井、大きな山場を越えて決勝進出決定。

この日の川上は初戦から非常に集中していた。出来不出来に波のあるこの選手が今大会に照準を合わせてしっかり心を整えてきたという印象でこの大会に掛ける決意の程が伺われる戦いぶりであったが、この準決勝では順行運転で手堅く試合を進めるべき状況で中井との返しあいに応じてしまい思わぬ逆転負け。冷静に試合を進めていたがギリギリで生来の攻撃本能をコントロール仕切れなかったという印象だ。

川上は3位決定戦を制してグランドスラム東京代表には無事選出。同大会で捲土重来を図る。

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(写真:中井と永瀬の決勝はケンカ四つの引き手争いからスタート)

注目の決勝は永瀬が右、中井は左組みのケンカ四つ。

永瀬両手を使って中井の襟を引き寄せ、まずしっかり右手で中井の左襟を確保。出し投げの形で前に中井を送り出して崩すと中井は腹ばいに伏せて「待て」。

中井は釣り手一本で肘を畳んだまま前進。場外際に追い込まれた永瀬は左右にスライドして力をずらそうとするが抗いきれず一旦畳を割り、36秒永瀬に場外の「指導1」。

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(写真:中井が脇を差しての左大内刈)

中井は支釣込足の形で永瀬の左足を蹴って崩し、次いで釣り手で脇を差して飛び込みの左大内刈。永瀬一歩下がって隙間を作り出し、時計周りに振り返して対処、追い足がついていかない中井は膝をついて攻撃を終え「待て」。経過時間は50秒。

ここから両者釣り手一本を持っての引き手争いが続く。中井は両襟も織り交ぜながら巧みに展開を保つが打開しようと前進する永瀬をややもてあまし、1分15秒、「取り組まない」判断で中井に「指導1」。

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(写真:中井の左体落に永瀬は腹ばいに落ちる)

互いが背中を叩き合う展開から中井が前へ。永瀬両襟を握って支釣込足気味の小外刈を放つが、中井が今期の決め技である両腕を畳んでの左体落を放つと、一瞬体が宙に浮き鋭角に畳に落ちる。なんとか腹ばいに伏せた永瀬はすぐさま立ち上がるが立ったまま待ち構えた中井は左大外刈でさらに一段攻めて場外に追い込み「待て」。経過時間は1分48秒。

中井は片手で前進。永瀬が払腰で迎え撃って中井を腹ばいに転がし状況は攻め合いとなるが、この攻防で中井が変則の組み手を長く続けてしまい、2分37秒中井に片襟の「指導2」が宣告される。

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(写真:永瀬の右小外刈が「有効」)

ビハインドを負った中井は「ケンカ四つクロス」の形で背中と右袖を掴み前進。前に出ることで攻勢権の再奪取を図るが、腰を抱くようにして永瀬を場外際に追い込んで左小外刈を放とうとしたその刹那、永瀬が身を翻して右小外刈。

相手に後ろを取られかかった体勢から振り向きながら放った鋭い一撃、中井はつっかい棒を外されたように崩れ、永瀬が体を浴びせると肩から畳に叩きつけられる。主審は「有効」を宣告。経過時間は3分43秒、残り時間は1分18秒。

奮起した中井は釣り手で奥襟、背中を掴んで前進。残り26秒で永瀬に2つ目の「指導」が宣告されるがなかなか効果的な技が放てる間合いに入れない。

残り20秒で放った二段の小外刈がラストチャンスかと思われたが、永瀬は出し投げの形で振り返し、中井が伏せて倒れてこのシークエンスは終了。そのままスコアは動かずタイムアップ、「有効」による優勢で永瀬の勝利が確定。激戦の81kg級は大学2年生の永瀬が制することとなった。

ユニバーシアードに続くビッグタイトル獲得の永瀬はいまがまさに伸び盛り。粗削りな部分を残したまま勝ち抜き続けているのが永瀬の魅力だが、高校時代に苦手としていた左組みとの5連戦をいずれも確とした手立てを提示して勝ち抜いたこの講道館杯はその魅力の上に柔道頭の良さ、成長ベクトルの正しさが透けてみえるもので、今後がますます楽しみになってきた。

一方の中井は世界選手権代表こそ逃したものの、6月の実業団体とこの日の講道館杯を見る限り、腕力、突進力、相手を追い込んでの体落等の決め技の威力と明らかに一段地力を挙げている。線の細い技巧派タイプの戦術派として名を売った東京世界選手権-ロンドン五輪期とはもはや違う選手になりつつある印象だ。試合技術の高さの上に地力と投げ一発の威力を盛るという常人とは逆の成長プロセスを経て高い平面で「強い選手」の要件が揃いつつあり、この人も今後が非常に楽しみになってきた。

グランドスラム東京には長島、永瀬、中井、川上が選出された。

◇      ◇      ◇
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(写真:優勝の永瀬貴規選手)

【入賞者】

優勝:永瀬貴規(筑波大2年)
準優勝:中井貴裕(パーク24)
第三位:川上智弘(國學院大職)、小原拳哉(東海大1年)

【準々決勝】

丸山剛毅(天理大3年)○背負投(2:00)△黒田賢司(同志社大3年)
永瀬貴規(筑波大2年)○優勢[技有・内股透]△山下諒輔(静岡県警)
中井貴裕(パーク24)○優勢[指導3]△渡辺勇人(東海大3年)
川上智弘(國學院大職)○払巻込(2:13)△小原拳哉(東海大1年)

【敗者復活戦】

山下諒輔○優勢[有効・内股透]△黒田賢司
小原拳哉○不戦△渡辺勇人

【準決勝】

永瀬貴規(筑波大)○優勢[技有・内股透]△丸山剛毅(天理大)
中井貴裕(パーク24)○大外刈(2:27)△川上智弘(國學院大職)

【3位決定戦】

小原拳哉(東海大)○優勢[指導2]△丸山剛毅
川上智弘○小内刈(3:30)△山下諒輔(静岡県警)

【決勝】

永瀬貴規○優勢[有効・浮落]△中井貴裕


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