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優勝候補次々敗退、最激戦階級は丸山城志郎が制す・講道館杯66kg級レポート

(2013年12月1日)

※ eJudo携帯版「e柔道」およびeJudoメルマガ版11月14日掲載記事より転載・編集しています。
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優勝候補次々敗退、最激戦階級は丸山城志郎が制す
講道館杯66kg級レポート
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(写真:2回戦、青木勇介が森下純平から左背負投「技有」)

日本の男子でもっとも有望人材が集中しているとされるこの階級は国際レベルの強豪が多士済々。しかし当然ながらこれらを追う参加選手全体の平均レベルも極めて高く、序盤から注目対決、そしてアップセットが数多く見られた。

第1シードの10年世界選手権王者森下純平(了徳寺学園職)は初戦(2回戦)敗退。左相四つの今期実業個人3位・青木勇介(パーク24)を相手に片襟を差した左背負投で思い切り放られ1分8秒に「技有」失陥。戦術に確信を得た青木は以後も釣り手で片襟を差した左技を連発、森下はこれを捌けず潜られ続け2分49秒に片襟の左体落「有効」、もはや出るしかないと飛びついた4分55秒にまたもや左体落で「技有」と立て続けに失ってまったくいいところなし。合技「一本」で早々に畳を去った。

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(写真:青木勇介は左体落「技有」も追加して一本勝ち。森下は為す術なし)

攻撃力と裏腹のポカの多さ、秋の空のような不安定さはいかにも天才肌の森下らしい、と言ってしまえばそれまでだが、先に引き手で左袖を得て優位を作ろうとする青木に対し攻防の生命線であるはずの左袖をあっさり与え続け、そして片襟攻撃一辺倒の青木にいいようにやられたその試合ぶりはあまりにも内容に乏しく、昨季グランドスラム東京を圧勝で制したあの素晴らしい柔道を想起することは難しかった。青木は森下の対応の悪さを見抜いて敢えて最後まで戦術を変えずに圧勝。その強さを称えるのは当然のこととして、一矢も報いることなく終わった森下の出来の悪さはやはり深刻だ。準備不足なのか、展開を誤ったのか、それともやはり対応力に難があるのか。森下はグランドスラム東京の代表から漏れたがこれは強化側としては当然の判断。国際大会代表にピックアップするような「発揮できなかったストロングポイント」の存在をそもそも感じさせない、それほど一方的な敗退だった。

第2シードで今大会優勝候補筆頭と目されていた高上智史(日体大4年)も最初の勝負どころとなった2戦目(3回戦)の高市賢悟(東海大2年)戦で、開始17秒の背負投「一本」で陥落。早々にトーナメントから姿を消すこととなった。ワールドマスターズ2位、ユニバーシアード優勝と来期の世界選手権代表権獲得に向けて着々と積み上げてきた実績が一気にひっくり返りかねない痛い一敗だったが、国際大会での実績が評価されてグランドスラム東京代表には無事選出。同大会で巻き返しを図ることとなった。

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(写真:江藤康太が左背負投、橋口祐葵は自ら跳んで回避するが技数で後手を踏む)

今大会から階級変更した平岡拓晃(了徳寺学園職)の66kg級初戦の相手は鳥居天翔(山梨学院大1年)。平岡は動き良く48秒には「指導」1つを先行するがスタミナが切れたか中盤以降は失速。1分46秒、4分20秒と2つの「指導」を失って敗戦となった。
手術後初戦、乱取り復帰1ヶ月半の平岡は出場自体がひとつの驚き。ロングスパンで見てこの大会は「慣らし運転」と考えるべきで、むしろ休んでも誰にも文句を言われないはずのこの段で一度出ておくべきと敢えて畳に上がったその事実にこそ平岡の「本気」が感じられる。真価発揮は来年以降、その時を楽しみに待ちたい。

10月の世界ジュニア選手権で決勝を争ったばかりのスター候補、橋口祐葵(明治大1年)と竪山将(鹿屋体育大2年)はいずれも大学生の実力派に敗れて早期敗退。

橋口はユニバーシアードでサンボの日本代表を務めた江藤康太(東海大2年)との初戦を「指導1」対「指導2」で落として2回戦で終戦。竪山は2戦目となった本間大地(東海大4年)との3回戦に払腰「有効」で敗れて上位進出の道を絶たれた。ワールドマスターズから続く過密日程は多くの先人が講道館杯の出場自体を回避した厳しいもので、ここで100%の出来を求めるのは酷というもの。この2人も真価発揮は来年以降となるはずだ。

第3シード評価を受けた吉田惟人(神奈川県警察)は初戦で警察選手権を制して復活を果たした新卒のもとインターハイ王者黒瀬遼(警視庁)に大内刈「一本」で敗退。

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(写真:3回戦、六郷雄平が清水健登から大内刈で一本勝ち)

ベスト4に進んだのは六郷雄平(明治大4年)、宮崎廉(桐蔭横浜大4年)、高市賢悟、丸山城志郎(天理大2年)という顔ぶれ。

第1試合では六郷と宮崎が対戦。

六郷は初戦(2回戦)で前野将吾(旭化成)、3回戦で清水健登(山梨学院大4年)と連戦するという極めて厳しい組み合わせだったが、1回戦は「指導2」を取り合った末に大内刈「有効」で勝ち抜け、3回戦は2分21秒にこれも大内刈を決めて一本勝ち。準々決勝は青木勇介をまたもや大内刈「一本」(1:40)に仕留め、強豪3人を屠り去っての準決勝進出。

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(写真:準決勝、六郷を攻める宮崎蓮)

一方の宮崎は今年2月の全国体育系大会優勝、10月の学生体重別では3位入賞の実力者だが国際レベルの強豪ひしめく66kg級では全くのダークホースと言って良い存在。2回戦は八巻祐(松前柔道クラブ)に「指導1」優勢という僅差の試合だったが、3回戦では第4シードの小寺将史(警視庁)を浮落「有効」で食うアップセットを演じてベスト8入り。準々決勝では本間大地を相手に2つの「指導」を失いながらも大腰「技有」で突き放して勝利、堂々講道館杯準決勝の畳までたどり着いた。

この準決勝は「偽装攻撃」と「取り組まない」という判断で宮崎に1分0秒、2分10秒と立て続けに「指導」が与えられて六郷が優位。しかし落ち際、投げられ際に驚異的なバランスで畳に残り続けた宮崎の粘りが残り53秒に結実、「有効」を奪って逆転を果たす。これで様相一変、郷必死に追いかけるが宮崎が作り出した動的膠着を突破できずそのまま試合終了。「有効」優勢で宮崎が勝利、六郷は前野と清水に連勝する素晴らしい出来を見せながら勝負どころでまたもや勝ちきれず、3位決定戦に回ることとなった。

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(写真:準々決勝、丸山城志郎が小倉武蔵から背負投「技有」を奪って攻撃ポイントで追いつく)

第2試合では丸山と高市、同学年の2人がマッチアップ。

丸山は昨年のジュニア王者。2回戦は杉下健(中央大2年)を背負投「一本」、3回戦で警察王者黒瀬遼を内股「一本」(3:11)で下し準々決勝では小倉武蔵(了徳寺学園職)と対戦した。

この試合丸山は1分20秒に払腰を思い切り返され「技有」失陥。「指導1」を取り返すものの残り時間は1分を切り敗色濃厚、このまま終戦かと思われたが残り43秒に背負投で「技有」を取り返し、「指導」ポイント差で小差ながら逆転。残り10秒を過ぎたところでは小倉の浮技に転がされて冷や汗を?くが主審はこれをスルー、そのまま「指導1」差による優勢で勝利して準決勝進出を決めた。

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(写真:小倉(右)の浮技に転がる丸山。ポイントが宣告されてもおかしくない一撃だった)

この試合、小倉の払腰返は「一本」級で、そこで試合が終わっても丸山としては文句の言えないものであった。一方丸山の背負投は両手が離れ「有効」とジャッジされてもおかしくないもので、残り時間僅かで小倉が放った浮技も丸山は捌けずに転がっており「有効」相当が妥当。丸山にとっては幸運、小倉にとっては不運としか言いようがない一戦だった。

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(写真:準決勝進出を決めた高市賢吾)

一方の高市は2回戦で宇多浩之(陸上自衛隊)に背負投「一本」(3:13)、2回戦は前述のとおり高上智史を開始早々の背負投「一本」で食い、準々決勝は浅野大輔(自衛隊体育学校)から3つの「指導」を奪った末に縦四方固で一本勝ち(5:10)。強豪2人を含む3試合をオール一本勝ちと久々存在感を発揮、見事準決勝へと駒を進めてきた。

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(写真:準決勝、丸山の巴投に高市反応が遅れ「有効」で試合決着)

準決勝第2試合は丸山が左、高市が右組みのケンカ四つ。
高市が左襟を両手で握った右背負投と巴投で試合を引っ張り、1分59秒に丸山に「指導1」。高市は片手の内股で攻め続けるが、丸山は釣り手を激しく振っておいての巴投で対抗して「指導1」を取り返し、試合は本戦5分で決着つかず、GS延長戦へ。

35秒、高市が右小外刈から突進、丸山が勢いを利用して巴投を仕掛けると高市吹っ飛ぶ勢いで場外へ放り出される。主審は「有効」を宣告するが場外の判断でこれは取り消し。しかしこれに高市毒気を抜かれたが、再開直後に丸山が放った横巴投に対応出来ずに転がりこれは「有効」。自身の投げで出来た勢いを殺さず、そして膠着気味の試合が動いた機を見逃さず勝負に出た丸山の強気と勝負勘が光る試合だった。丸山、見事決勝進出。

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(写真:決勝、宮崎が右背負投で先んじて攻める)

決勝は宮崎、丸山ともに左組みの相四つ。

宮崎は左小内刈、対抗して巴投を放った丸山は不発と見るや自ら立って攻撃継続、と立ちあがりから双方体の切れの良さが際立つ。

宮崎は丸山の左足を内側から払う「小内払」に右出足払と足技を使いながら引き手でまず左襟、ついで釣り手で奥襟を確保。近い距離から左大内刈を狙うが空振り、丸山ここに左内股をあわせるが予期した宮崎が潰して「待て」。経過時間は45秒。

動きの良い宮崎は組み手争いの中から片襟を差した右方向への背負投、さらにいったん左釣り手で奥襟を触っておいて片手の右背負投と快調に攻めて試合を引っ張る。一方の丸山は右一本背負投を一発見せたのみで、焦らずジックリ試合を進めている印象。

1分半を過ぎたところで丸山が左小内刈、さらに右小外刈から巴投と繋ぐ。宮崎は捌きつつ自ら高く跳んで畳に降り、丸山の立ち際を狙って右腰車と強気の攻撃を継続。

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(写真:丸山の豪快な左大外刈が決まって「一本」)

2分を過ぎたところから丸山が両襟を志向、ここから明らかに展開を掴み始める。宮崎突如技が止まり、2分20秒には丸山が引き手で袖を確保して右袖釣込腰。宮崎腰を引っ掛けられてしまうがなんとか耐え切り「待て」。ここで宮崎の側に「指導1」。

直後。両襟を掴んで宮崎を組み合う展開に引きずり込んだ丸山が左大外刈を引っ掛ける。両足を一本にまとめられた宮崎が仰け反り崩れると相手の体が伸びきるところまでその後方に踏み込み、抱きとめるようにして一気に投げ切り「一本」、2分41秒。

最後はいかにも丸山らしい豪快な一発で決着。丸山城志郎、大学2年生にして見事講道館杯初優勝を成し遂げた。

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(写真:投げたそのままの勢いで立ち上がり、拳を握り締める丸山)

宮崎が細かく技を入れて優位にたった決勝だが、互いが組み合う展開となってからは様相一遍、いきなり試合は丸山のものになった。担ぎ系に内股系、スピードファイターに、奇襲の一発屋、足技の切れる業師と個性豊かな強豪揃うこの階級にあって「組み合う」強さを見せた丸山は優勝という結果とともに地力の高さと、そして新ルールへの適性もアピールした格好。グランドスラム東京に向けて一段存在感を高めた大会だった。

高いレベルの争いとなったレペチャージと3位決定戦は高市と六郷の大学生2人が勝ち抜き、それそれ3位入賞を確保した。丸山との準々決勝で不運な負けがついた小倉は3位決定戦で六郷に敗れ、入賞はならなかった。

入賞者と優勝者のコメント、準々決勝以降の結果は下記

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(写真:優勝の丸山城志郎)

【入賞者】
優勝:丸山城志郎(天理大2年)
準優勝:宮崎廉(桐蔭横浜大4年)
第三位:高市賢悟(東海大2年)、六郷雄平(明治大)

丸山城志郎選手のコメント
「正直練習も全然出来ておらず、結果がついてきてホッとしています。大野(将平)先輩から教わった大外刈が決まってうれしい。正直負けている試合もあったので、運もありました。今日出た選手の中では一番自分が『勝ちたい』と思っていたということだと思います。グランドスラム東京は初めてなので、チャンスを逃さず一つ一つしっかり勝っていくことを考えたい。頑張ります。」

【準々決勝】

六郷雄平(明治大)○大内刈(1:40)△青木勇介(パーク24)
宮崎廉(桐蔭横浜大4年)○優勢[技有・大腰]△本間大地
高市賢悟(東海大2年)○縦四方固(5:10)△浅野大輔(自衛隊体育学校)
丸山城志郎(天理大2年)○優勢[指導1]△小倉武蔵(了徳寺学園職)

【敗者復活戦】

本間大地○優勢[有効・大内刈]△青木勇介
小倉武蔵○優勢[指導1]△浅野大輔

【準決勝】

丸山城志郎○GS有効・巴投(GS0:40)△高市賢悟
宮崎廉○優勢[有効・払腰]△六郷雄平

【3位決定戦】

高市賢悟○内股(4:47)△本間大地
六郷雄平○優勢[指導2]△小倉武蔵

【決勝】

丸山城志郎○大外刈(2:41)△宮崎廉


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