PAGE TOP ↑

柔道1

柔道2
柔道4 柔道5

eJudoとは?情報募集・お問い合わせサイトマップ

講道館杯全日本体重別選手権女子展望②63kg級、70kg級、78kg級、78kg超級

(2013年11月9日)

※ eJudo携帯版「e柔道」およびeJudoメルマガ版11月10日掲載記事より転載・編集しています。
ドコモ版QRコード
docomo版QRコード
KDDI版QRコード
au版QRコード
講道館杯全日本体重別選手権女子展望
63kg級、70kg級、78kg級、78kg超級
■ 63kg級 階級の重心は若手にシフト、優勝争いは津金と大住が軸
eJudo Photo
(写真:昨年はGS東京優勝、一頃の不調から立ち直りつつある津金)

【概況】

もともとジュニア以下の若手に人材が密集しているこの階級。阿部香菜と田中美衣という階級を牽引してきたシニアの強豪2人が出場免除で、階級の重心が一気にひと世代下へと移った印象だ。

優勝候補は昨年グランドスラム東京を制した津金恵(松商学園高3年)。上の世代の有望選手が高校卒業後次々にスケールダウンしていく印象のこの階級にあってその成長曲線は未だ止まらず、力関係を覆す持ち前の一発に加え着実に地力を養っている。

対抗するのは実業優勝の大住有加(JR東日本)。70kg級で強化指定を受けて国際大会にも参戦してきたが「海外ではパワー差を感じた」と階級ダウン。天才肌が揃う大学生以下の強豪に線の細さが目立つ中、これをねじ伏せて自分の柔道に塗りつぶしてしまうだけのパワーがある。

対抗勢力は世界ジュニア王者田代未来(コマツ)ともと全日本ジュニア王者佐野賀世子(山梨学院大)の2人。さらに追うグループは高校1年生の嶺井美穂(桐蔭学園高)、片桐夏海(コマツ)、塩瀬絢子(三井住友海上)というところ。

田代は怪我で高校柔道の後半を棒に振ったが復活の途上にあり、まだ実績のないシニアでそろそろ成績を残したいところ。佐野はストロングポイントの足技の鋭さと連続攻撃の組み立ての面白さを失って単発のオーソドックススタイルに変質しつつある印象、かつてほどの爆発力が感じられない。伸びるべき時期を逃した感も漂い始め今回は正念場。

若手の期待枠としてはカデ王者、高校1年生の鍋倉那美(大成高)を挙げておきたい。高校入学後はこれまでの「不完全な形でも持てば一発持って行く」というストロングポイントが「崩さないまま早く仕掛け過ぎる」という目に出ている感ありで持ち前の爆発力を発揮するに至っていない。結果を狙うか、育成と捉えた戦いをするか、来年の高校柔道を占う意味でもその試合ぶり、そしてそこに透けて見えるであろう育成方針は見逃せない。

【組み合わせ】

[Aブロック]

田代の山。準々決勝までの勝ち上がりは堅い。

逆側の山には嶺井がいるが、こちらはしぶとい能智亜衣美(宮崎日大高)を突破してから準々決勝で田代に挑むことになる。田代-嶺井は3学年差のスター候補対決。田代の勝利を予想するが、腰の強さとバランスを生かしてとにかく総合力の高い嶺井は厄介な相手。勝ち負けは勿論、その内容が示すであろう現時点での力関係が注目される一番。

[Bブロック]

準々決勝の佐野-大住戦が唯一最大の注目対決。佐野はガップリ組んで間合いを詰め「抜きあげる小外刈」に頼る近年の組み立てでは大住のパワーに抗するのは難しいのではないか。二本持って間合いを出し入れしながら足技から組み立てる、ジュニア制覇時のような柔道であれば勝利の可能性濃厚、一発狙いの近距離戦を挑むのであれば大住の鉈で断ち割るような技と寝技に凱歌があがる可能性大としておきたい。

[Cブロック]

津金の山。2回戦の渡辺華奈(JR東日本)戦を抜ければベスト8。

準々決勝での対戦相手を決める逆側の山には鍋倉がいるが初戦で伊勢崎詩乃(帝京科学大)という難関が立ちはだかる。派手さはないが地力十分の伊勢崎との試合は現時点の鍋倉の戦闘力を推し量るに格好の顔合わせ。ぜひ突破して津金-鍋倉という垂涎カードを実現してもらいたいところ。

ブロック勝ち抜けは津金と見る。

[Dブロック]

片桐の山。逆サイドの塩瀬絢子-松本千奈津(帝京大)戦がブロック内第1の山場、次の山場が準々決勝。

片桐のパワーが塩瀬の巧さを凌ぐと予想したい。勝ち上がり候補の第一は片桐。

[準決勝-決勝]

田代 - 大住
津金 -片桐

という、ジュニアの天才肌vsシニアのパワーファイターという2カードを予想する。
第1試合は大住、第2試合は津金優位と見るが、グランドスラム東京の枠が「2」しかないはずのこの階級ではこの準決勝を勝ち抜くかどうかでその後の運命が大きく変わる。賭ける気持ちの強さが試合の様相を左右する可能性十分、決勝以上に注目すべきは、準決勝だ。

■ 70kg級 役者出揃いレベル底上げ、新井千鶴ら中心に階級再編始まる
eJudo Photo
(写真:階級再編の70kg級、中心にいるのは新井)

【概況】

田知本遥が世界大会で3連続代表を務め、そして全く結果が出ていないという苦しい階級だが今大会は若手の有望株にベテランとなかなか役者が揃った。冬の時代の終わりは来るのか、今後数年のターニングポイントになりそうな興味深い大会。

トーナメントを牽引するのは新井千鶴(三井住友海上)、ヌンイラ華蓮(環太平洋大)、上野巴恵(自衛隊体育学校)、今井優子(了徳寺学園職)の4人。

新井はグランプリ・モスクワでは2位入賞、どうやら国際大会に適性があるようで関係者の期待も大きい。まだ線が細い印象だが内股に出足払と離れた間合いからでも一気に飛び込める爆発力と技の切れ味が売り、国内でコンスタントに成績を残せるようであれば今後の主役となる可能性がある。

5月に選抜体重別優勝を成し遂げたヌンイラは自他ともに認めるパワーファイター。鉈の一撃、というべき技は威力の一方粗さも指摘されてきたが前週の体重別団体の鋭い動きを見る限り明らかに一段この点にも成長があった模様だ。日本におけるパワーファイターは国内の勝利だけではなかなか評価されにくく、国際大会の勝利にこそその評価の基準が置かれる傾向がある。ヌンイラとしてはなんとしてもGS東京進出権を得たいところ。

上野はシナリオさえ間違わなければロンドン五輪の代表選出さえ有り得た強者。昨冬の移籍後沈黙していたが実業個人では好パフォーマンスを発揮してどうやら再び上昇気流に乗った気配。

ベテラン・今井は国体では新井千鶴を見事な内股で投げつけて「一本」を奪ったばかり。国内では強さを発揮し続けて勝負師の風格漂う「門番」だ。昨年のハイレベル国際大会ではいずれも優勝者と早い段階でマッチアップする不運で実績が残らなかったが実力は疑いなし。どの選手にとっても嫌な相手だ。

第2グループにも大野陽子(コマツ)、高橋ルイ(環太平洋大)、階級を上げたばかりの安松春香(環太平洋大)、若手ではこれも階級を上げた池絵梨菜(東大阪大敬愛高)もおりまさに多士済々。楽しみな大会だ。

【組み合わせ】

[Aブロック]

ヌンイラの山。直下に石井優花(三井住友海上)、逆側に古屋梓(筑波大)がいるがタイプ的にアップセット要素を持つのはまだ年若、かつ後輩の千葉英理子のみ。ベスト4進出はまずまず確実。

[Bブロック]

大野陽子の山。逆側の山では2回戦で上野と前田奈恵子(帝京大)が激突するという序盤戦屈指の好カードが現出するはずで、これは見逃せない一番。上野が勝つのか、ここ一番で組み合わせに恵まれずなかなか結果が出ない実力者・前田がついに主役に躍り出るのか。内容、結果ともに気に留めておきたい一番。

勝ち上がりの第一候補は上野。

[Cブロック]

新井千鶴の山。高橋ルイとの準々決勝が最大のみどころ。

[Dブロック]

今井の山。2回戦で池の挑戦を受けるが、アップセットの可能性はほとんどないだろう。
逆側は安松が配され、2回戦で森田智子-松延祐里の勝者と対戦するというここはなかなか密度の高い山。安松が勝ちあがり、今井と準々決勝を戦うと見ておきたい。

安松-今井は、組んでも、形が出来ないところからでも技を繰り出せる今井が優位と見る。安松は詰め将棋の完成を待ってからの攻撃では今井に展開を持って行かれる。早く捕まえ、早く仕掛ける手立てが必要。

勝ち上がり候補は今井としておきたい。

[準決勝-決勝]

ヌンイラ - 上野
新井 - 今井

という顔合わせを予想する。個性クッキリのこの面子を対戦相性で仕分けると勝ち抜けは上野、今井ということになりそうだが力関係の接近した今回、準々決勝までの勝ち上がりを見ずに予測することは本質を失う。当日を楽しみに待ちたい。

■ 78kg級 V争いは岡村、渡邉が軸。梅木、吉村のジュニア世代の躍進に期待
eJudo Photo
(写真:若手の台頭が待たれる中、期待は1年生で学生体重別を制した梅木)

【概況】

緒方亜香里と佐藤瑠香という図抜けた2トップを欠いた大会。国際大会を戦う陣容の底上げという高いレベルを物差しとした場合、どうしてもこの階級は層の薄さを隠せない。比較的どの階級も「面白い」今年度大会の中では少々見どころの少ない階級だ。

優勝争いという観点では実業個人で決勝を争った渡邉美奈(了徳寺学園職)と岡村智美(コマツ)が最有力。

若手で期待すべきは第1シードに配されたもと世界ジュニア王者梅木真美(環太平洋大)と、梅木と高校の同門同期で先日の世界ジュニアを制したばかりの吉村静織(三井住友海上)。梅木は学生体重別団体、吉村は世界ジュニアと直近の大会で好パフォーマンスを見せており上昇機運に乗った感ありで非常に期待が持てる。おそらく化学変化的なひと伸びを考慮しても優勝ラインに届く、国際大会出場に値するのはこれに日高美沙希(大阪体育大)を加えたところまで。

長身・大物タイプの日高はグランプリ・ウランバートルで決勝まで進むも、相手の巻込技で崩れかかるや恐怖を露にして以後は不可解なまでに弱気な柔道を披露、あっさり「指導」累積で自滅した経緯がある。体格、技と肉体的資質には恵まれている日高が課題のメンタルの弱さを露呈した同大会を経て今回どのような試合を見せるのか、注目。

【組み合わせ】

[Aブロック]

梅木の山。初戦(2回戦)で川島巴瑠菜(北海道警察)と戦ってベスト8入りするところまでは問題なさそう。

逆側に配されたのは濱田尚里(自衛隊体育学校)、堀歩未(敬愛高)、そして岡村。
釣り手で肩越しに背中を叩いて巻き込み、そして横三角を狙うという梅木スタイルが、シニアレベルでもパワーと上背を生かして戦えるレベルにある岡村に通用するところまで到達しているのかどうか。体重別団体を見る限り大学以降稽古量を積んだ梅木のレベルアップは確実ではあるが、ここは実績と近年「格上食い」のない梅木の柔道のタイプから延長線を引いて岡村の勝ち上がりを推しておきたい。

[Bブロック]

シード選手は高松彩香(山梨学院大)で、直下に渡邉が配された。
ここは渡邉が高松を破り、余勢を駆ってのベスト4入りと読みたい。勝ち上がり第一候補は渡邉。

[Cブロック]

日高の山。逆サイドに浜未悠(淑徳高)、山内真子(國學院大栃木高)という高校カテゴリのスター2人が配された。ともに大物食いが出来るタイプだが、さすがにここはまだ差があるとみるべき。日高の勝ち上がりを推す。浜と山内はともに来期の高校カテゴリの優勝候補で、ベスト8争いが注目される。

[Dブロック]

吉村の山。
逆サイドは西田香穂(山梨学院大)、只野真梨枝(九州旅客鉄道)に重永聡美(広島大)となかなかの面子。西田が勝ちあがり準々決勝で吉村と激突、と読んでおきたい。

[準決勝-決勝]

A、Bブロックに強豪が偏っており、そちら側の準決勝を勝ち上がった選手がそのまま走る可能性が高い。
準決勝第2試合で対戦が予想される吉村-日高戦は、「上から目線」で柔道をする吉村が体格に大きく勝る日高にどのような試合をするかが注目される。勝負の様相は読めない、というより楽しみという他はないが、実績からここは日高を推しておきたい。
上側の山に有力候補集中という組み合わせの優位が誰の目にも明らかな中、日高が決勝に進むようであれば勝敗以上にそのメンタル面でのポテンシャルを示すことが求められるのではないか。もしあっさり屈するようだと決勝進出に見合う評価を得られない可能性もある。勇気のある試合を期待したい。

■ 78kg超級 V候補は白石と山部、稲森-朝比奈の準々決勝は必見
eJudo Photo
(写真:コンスタントに力を発揮できるか、山部はまたしても試される大会)

【概況】

優勝を争うのは白石のどか(JR東日本)と山部佳苗(ミキハウス)。この2人は他の有力候補より実力的に一段高い平面にいると見て良い。

続く勢力は朝比奈沙羅(渋谷教育学園渋谷高)と世界ジュニアで圧勝したばかりの稲森奈見(三井住友海上)。これに烏帽子美久(東海大)と井上愛美(山梨学院大)、市橋寿々華(大阪府警察)を加えたところまでが第2グループ。

そして第2グループの中で、力関係を覆すような爆発力を見せる可能性があるのは朝比奈と稲森。つまりは白石と山部の本命2人に若手の朝比奈、稲森が挑むというのがこの階級の大きな構図と言っていいだろう。


[Aブロック]

山部の山。
直下に新田沙也加(日本エースサポート)、逆サイドに土屋文香(松前柔道クラブ)、月波貴穂(新田高)、藤原恵美(筑波大)と皇后盃出場レベルの選手が目白押しだが、どれも典型的超級タイプで山部を倒すには決め手とすべき材料が足りない印象。山部のベスト4勝ち上がりと読みたい。

[Bブロック]

市橋の山。直下に岡史生(敬愛高)、逆サイドに井上愛美、後藤美和(創価大)、滝川真央(富士市立高)と揃ってなかなかの混戦。地力、技と揃いつつある今年度後半の出来に鑑み、勝ち上がりは井上を推しておきたい。

[Cブロック]

この山の準々決勝で朝比奈と稲森が激突。皇后盃予選で稲森が僅差で勝利し、選抜体重別では朝比奈が「指導1」で勝利しているといういずれも小差の因縁カードだ。見逃せない一番。2試合いずれも試合自体を引っ張っていたのは朝比奈。どちらが勝ってもおかしくないが、この点を考慮して朝比奈の勝ち上がりを予想する。

[Dブロック]

白石の山。逆サイドには烏帽子、谷村美咲(帝京科学大)、橋本朱未(淑徳大)、町純香(山梨学院大)となかなかの役者が揃った。

白石にとっては烏帽子がもっとも歯ごたえのある相手と思われるが、烏帽子は谷村、橋本(町)に続けて噛み付かれるという厳しい組み合わせで、展開次第では何が起こるかわからない。白石の勝ち上がり自体は動かないと見るが、敗者復活戦出場枠であるベスト8を賭けた戦いも要注目。

[準決勝-決勝]

山部 - 井上
朝比奈 - 白石

と予測する。白石が実業団体で意外な脆さを見せていることもあり特に第2試合は縺れる要素が多分にあるが、今期の実績から延長線を引けば山部と白石の決勝と予測するのが妥当。選抜体重別では山部が「指導」2つをリードしながら詰めを欠き、残り1分で白石が追いつき、焦った山部が「頭突っ込み」の反則を犯して反則負け。階級内屈指の技の切れを持ちながらなかなか勝ちきれない山部、不十分な組み手からでもラッシュを掛けられる白石を攻略するには積年の課題であるメンタル面の上積みが必須。出来不出来に差があり、メンタル面での脆さが指摘されている山部だが、「表の山部」がコンスタントに出せれば世界に届きうる素材。実業個人で見せた好パフォーマンスをまずここで一回、続けることが出来るか。注目したい。


※ eJudo携帯版「e柔道」およびeJudoメルマガ版11月10日掲載記事より転載・編集しています。
ドコモ版QRコード
docomo版QRコード
KDDI版QRコード
au版QRコード

→eJudoトップページに戻る
→「ニュース・マッチレポート」に戻る



supported by KAYAC 運営会社サイトポリシー  RSS copyright (c) 2005 ejudo all rights reserved.