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インターハイ柔道競技女子団体戦レポート

(2013年10月23日)

※ eJudo携帯版「e柔道」およびeJudoメルマガ版9月24日掲載記事より転載・編集しています。
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インターハイ柔道競技女子団体戦レポート
■ 1回戦
松商学園が初戦敗退の波乱、大成は夙川学院に完勝
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(写真:敬愛高・堀歩未による選手宣誓)

インターハイ柔道競技、9日の第3日は男子個人戦終了後に女子団体戦の1回戦と2回戦が行われた。

1人に掛かる比重が大きく、アップセットが勝ちに直結する一方ミスの取り返しがつかない3人制団体。それもオーダー順は自由(2010年大会から)ということもあり、各校の布陣、そして選手のコンディションは何よりの注目の的。各校がオープンしたカードがどう並べられどう機能するかが詳らかになるのがこの日、有力校にとっても単なる「初日」では済まないのがこのインターハイ女子団体戦第1日だ。

優勝候補筆頭は3月の高校選手権と7月の金鷲旗大会を圧勝で制した敬愛高(福岡)。戦力が巨大過ぎるゆえ対抗馬を探すのは難しいが、軽量ながら津金恵と出口クリスタの個人戦王者を2人揃えて高校選手権2位入賞の松商学園高(長野)、高校選手権無差別2位で皇后盃も経験したエース月波真貴穂を押し立てる新田高(愛媛)、1年生の超級選手冨田若春を加えたことでいきなり戦力バランスが一段上がった埼玉栄高(埼玉)、昨年中学3冠の黄金世代が繰り上がり軽量ながら破壊力のある選手を並べた1年生チーム大成高(愛知)、2年生の池絵梨菜と米澤夏帆に後輩の1年生斉藤芽衣を加えた「香長中トリオ」で金鷲旗2位とブレイクしたばかりの東大阪大敬愛高(大阪)、激戦区東京を勝ち上がった金鷲旗3位の淑徳高(東京)などが有力チーム。

トーナメントはこれら強豪高から埼玉栄のみがセパレート配置、他優勝候補は全て逆側(C、Dブロック)に詰め込まれるというかなり偏りのある組み合わせ。序盤の注目対決は必然的にC、Dブロックに集まることとなった。

強豪高の勝ち上がりを中心にまず序盤戦をレポートしてみたい。

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(写真:1回戦、埼玉栄の先鋒冨田若春が日本文理高の原広夢から大内刈「一本」)

【Aブロック】

優勝を狙う平面にあると思われるチームのうち、唯一A、Bブロック側に配されたのが埼玉栄高。

冨田、桒原の超級選手2人で主将の63kg級の有力選手安沙好を挟むという好布陣で初戦の日本文理高(新潟)戦に挑む。

埼玉栄高 3-0 日本文理高
(先)冨田若春○大内刈(0:18)△原広夢
(中)安沙好○優勢[有効]△砂井有紀
(大)桒原佑佳○大外刈(0:44)△小熊実花

埼玉栄は好発進。金鷲旗では仕上がり今ひとつと思われた1年生冨田がわずか18秒で一本勝ち。安が優勢勝ちで手堅く繋ぐと大将桒原も1分掛からずに大外刈「一本」でフィニッシュ。問題なく初戦を突破した。

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(写真:大垣日大高の先鋒廣木あすかが高岡龍谷高・藤井古都里から背負投「一本」)

ほか、このブロックでは山中満紀、廣木あすかを擁する大垣日大高(岐阜)が11年インターハイ王者高岡龍谷高(富山)を3-0で下す好スタート。東北地区王者の東北高(宮城)も京都学園高(京都)を3-0で下して2回戦進出を決めた。

[Aブロック1回戦結果]
東北高(宮城) 3-0 京都学園高
大垣日大高(岐阜) 3-0 高岡龍谷高(富山)

小城高(佐賀) 2-1 八頭高(鳥取)
埼玉栄高(埼玉) 3-0 日本文理高(新潟)

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(写真:阿蘇中央・土井雅子が橋間叶を攻める)

【Bブロック】

阿蘇中央高(熊本)が先鋒土井雅子の横四方固「一本」(2:21)、大将上村綾香の大外刈「一本」(1:29)で山形中央高(山形)に2-0で快勝。

滝川真央を擁する富士市立高(静岡)も中国地区の強豪広島皆実高(広島)を相手に、先鋒川本優「技有」優勢、中堅高野春花が「指導3」優勢、滝川は背負投「一本」(1:01)と点を積み重ね3-0の圧勝で2回戦進出。

地元・福岡の第2代表の沖学園高も徳島北高(徳島)を相手に、山本絵玲奈「指導2」優勢、多田隈玲菜の内股「一本」(0:56)、エース永瀬貴子の小外刈「一本」(1:03)と3-0で完勝。2回戦に駒を進めている。

[Bブロック1回戦結果]

阿蘇中央高(熊本) 2-0 山形中央高(山形)
富士市立高(静岡) 3-0 広島皆実高(広島)

沖学園高(福岡) 3-0 徳島北高(徳島)
紀央館高(和歌山) 1-0 前橋育英高(群馬)

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(写真:大成・鈴木伊織が大内刈「一本」)

【Cブロック】

大成高 2-0 夙川学院高
(先)鈴木伊織○大内刈(2:39)△中村まゆ
(中)鍋倉那美×引分×荒巻有可里
(大)中江美裕○腕挫十字固(2:47)△原田千賀子

オール1年生の大成高がベスト4を伺おうかという実力校・夙川学院高と対戦。

大成は先鋒の鈴木が両袖を志向して粘る中村まゆを左右の背負投と大内刈で攻め続けて「取り組まない」判断の「指導1」を奪取。直後、相手の立ち際に片襟の左大内刈を入れて一本勝ち。

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(写真:大成・中江美裕が腕挫十字固「一本」)

中堅のエース鍋倉は超級の強豪・荒巻有可里に対して得意の内股を連発。残り1分半を過ぎてからはさらにアグレッシブに内股を仕掛け続けて3分11秒「指導1」を奪取。そのまま試合をまとめて引き分け。

大将の中江はこれもしぶとい原田千賀子を相手に先手の掛け潰れを許し続けてしまい2分17秒に「指導1」を失ったが、相手の背負投を潰したところから腕挫十字固に繋いで「一本」。大成、2-0の大差で強敵夙川学院を下した。

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(写真:大成・鍋倉那美が荒巻有可里を攻める)

金鷲旗大会では中学時代の強気が嘘のような慎重な試合ぶりが目立った大成チームだが、2週間でしっかり修正。この試合は3戦通じて相手を呑んでかかる大成らしさが復活した印象の快勝だった。

ただし、大型選手相手にそれでも内股で投げるしかない鍋倉が強さとともにその危うさを見せた試合でもあった。快勝の一方、担ぎ技や足技という技種ではなく内股一択の能力の高さで試合を構成する鍋倉の特徴、そして大型選手相手の取り味がなにより要求される無差別団体戦の中でこの鍋倉をエースとして勝ちあがらねばならない大成の戦力構成のナイーブさも垣間見えた試合であった。

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(写真:岡史生が内股で攻め込む)

敬愛高 2-0 近江高
(先)堀歩未○合技(0:48)△山岡恭子
(中)山口凌歌×引分×志賀瑞希
(大)岡史生○内股(1:14)△古賀寿璃奈

補欠に金鷲旗で大活躍した1年生の梅津志穂、登録外にも57kg級全日本ジュニア王者芳田司ら軽量の好選手を置く敬愛だが、ここは78kg級の個人優勝候補堀歩未、全国中学大会超級王者の2年生山口凌歌、そして大黒柱の岡史生と登録通りの大駒3枚を並べる重量布陣で1回戦に臨む。
先鋒堀は1分掛からず内股「技有」から横四方固に繋ぎ合技で一本勝ち、山口は単調な試合で引き分けという意外な結果だったが、大将岡のこれも1分弱の内股「一本」でフィニッシュ、大過なく2-0で1回戦突破。金鷲旗制覇時の勢いは感じられなかったが、まずは順当に初戦を勝ち抜けた。

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(写真:嶺井美穂が高松商高・野中咲希から内股「一本」)

ほか、桐蔭学園高(神奈川)は1年生エースの中堅嶺井美穂の内股「一本」(0:33)、大将内尾真子の横四方固「一本」(2:19)で高松商高(高松)に2-0で快勝。鹿児島情報高は大将に座った好選手青柳麗美の大内刈「一本」(0:12)で決着、1-0で西京高(山口)を下している。

[Cブロック1回戦結果]
桐蔭学園高(神奈川) 2-0 高松商高(香川)
大成高(愛知) 2-0 夙川学院高(兵庫)
鹿児島情報高(鹿児島) 1-0 西京高(山口)
敬愛高(福岡) 2-0 近江高(滋賀)

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(写真:創志学園高の中堅・友清あかりが高澤眞冴を攻め込む)

【Dブロック】

創志学園高 2-1 淑徳高
(先)井上あかり○崩袈裟固(3:29)△浜未悠
(中)友清あかり○優勢[有効]△高澤眞冴
(大)黒木佳菜△小外掛(2:52)○井上舞子


有力校、そしてこれらを追う第2グループの中堅校がギッシリ詰め込まれたDブロックは波乱の連続。

まずオープニングゲームで金鷲旗3位の淑徳高(東京)があっさり敗退。創志学園高(岡山)を相手に78kg級東京王者山田あかりを温存する布陣で臨んだが、先鋒の浜未悠が井上あかりを相手に序盤一時は抑え込むなど優位に試合を進めたものの、終盤消耗し崩袈裟固で一本負け。

大将に井上舞子というポイントゲッターを置く淑徳は中堅戦さえ無傷で乗り切れればというところだったが、63kg級の高澤眞冴は体格差を克服できず。序盤は先手攻撃を仕掛けることで凌いでいたが友清あかりの前進に場外に弾き出される場面が続き、中盤場外際で縺れたところで「有効」を奪われて優勢負け。この時点で初戦敗退が決定した。

5人制の金鷲旗大会で3位入賞した通り選手の戦力の平均値が高い淑徳だが、まだ1年生で不安定さのある浜にポイントゲッターを委ねねばならず、かつその浜に東京予選で勝った山田をレギュラーに固定できず、そして柔道のアイデンティティが軽量タイプである高澤をレギュラーに起用せねばならなかったチーム事情は決して楽なものではなかった。ここ数年磨きこまれた攻撃力で売ってきた淑徳であったが、今期はメンバーの名前以上に「選ばれた3人」の錬度という点で歴代チームに一歩及ばぬ印象であった。

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(写真:松商学園高・津金恵が大外刈「一本」で同点に追いつく)

そして淑徳が敗れたばかりの同じ第2試合場で第1日最大のアップセットが現出。高校選手権2位の松商学園に大分西高(大分)が挑んだ一番だ。

大分西高 ①代-1 松商学園高
(先)吉原櫻子○内股(2:18)△原琳々子
(中)岡田果穂×引分×小野華菜恵
(大)岡邊まゆ△大外刈(0:55)○津金恵
(代)岡田果穂○優勢[僅差3-0]△津金恵


「昨年のこともあるので一試合でも多く休ませたかった」(山口泰志監督)と、重量選手との連続対戦でポイントゲッターが消耗し準決勝で敗退した昨年大会を踏まえて高校選手権57kg級王者の出口クリスタを温存して臨んだ松商学園だったが、これが完全に裏目。

大分西は先鋒吉原櫻子が原琳々子から内股「一本」とこれしかないという仕事を果たして先制。
松商学園高は金鷲旗大会で朝比奈沙羅(渋谷教育学園渋谷高)から背負投で「技有」を獲得した(結果は朝比奈の逆転勝ち)中堅小野華菜恵に期待を託すが、小野は大分西高のエース、70kg級大分県代表岡田果穂にその背負投をことごとく捌かれてしまい引き分け。

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(写真:代表戦、岡田果穂が先んじて攻め込む)

それでも松商学園は大黒柱の津金恵が体調不良を跳ね返し、105kgの大型選手岡邊まゆからあっという間の大外刈「一本」で勝利、試合を代表戦に持ち込んだが、肝心の代表戦ではパフォーマンスが継続できない。津金らしい攻撃意欲が続かず技は散発、岡田果穂に先手を許し続け、立ち上がり際には自らため息をついてしまうようなローパフォーマンスで明らかにコンディション不良。結局「指導1」を失ったままタイムアップ、旗判定は3本が岡田に揃い、松商学園の敗退が決まった。

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(写真:敗退を見つめる松商学園ベンチ。出口は団体戦の出場なしで最後のインターハイを終えた)

山口監督は試合後「負けるときはこういうもの。それぞれの力が出なかったのは監督の責任。相手は必死で倒しにくるし、その中で勝ち上がるのは大変です」と冷静に語ったが「金鷲旗の頑張りを見て、十分このオーダーでいけると思ったのですが・・・」と悔しさを隠せず。高校選手権決勝で敗れた際は個人戦に向けて「おちゃらけて見せて切り替えさせます」と語って笑顔を見せていた同監督だが「今日はそういうわけにはいかんでしょう」とさすがに表情は硬く、津金・出口と揃えた黄金世代の集大成となるはずだった今夏のあまりに早い終戦にショックが隠せない様子だった。


新田高 3-0 日大東北高
(先)佐藤史織○合技(2:40)△岡本涼夏
(中)月波光貴穂○払腰(0:08)△浅野遥香
(大)奥本華月○体落(1:37)△岡本彩夏

新田高は充実の3-0、全試合「一本」の発進。埼玉栄同様、1年生の超級選手奥本華月が加入したことでいきなり戦力が底上げされた感。昨年までの「月波+戦闘力のある中量選手2枚」という攻略ポイントのハッキリしていた構成から「大型選手2枚プラス戦闘力のある先鋒」という厚みのある布陣に脱皮し、大駒月波の価値もいや増した印象。この1回戦を終えた時点で優勝候補に浮上したと言って良い充実の試合ぶりだった。

[Dブロック1回戦結果]

創志学園高(岡山) 2-1 淑徳高(東京)
新田高(愛媛) 3-0 日大東北高(福島)
大分西高(大分) ①代-1 松商学園高(長野)
土浦日大高(茨城) 3-0 秋田商高(秋田)

■ 2回戦
新田が東大阪大敬愛に快勝、王者敬愛は八千代に大苦戦も代表戦制して3回戦進出
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(写真:中堅戦の残り10秒、月波光貴穂が斉藤芽衣から小外刈で「技有」を奪う)

2回戦最大の注目対決はDブロック、金鷲旗2位の東大阪大敬愛と新田が激突した一番。

新田高 2-0 東大阪大敬愛高
(先)佐藤史織×引分×池絵梨菜
(中)月波光貴穂○合技(4:17)△斉藤芽衣
(大)奥本華月○合技(3:32)△米澤夏帆

この試合は新田高の完勝。
先鋒戦では佐藤史織が東大阪大敬愛のエース池をしっかり抑えて引き分け。東大阪大敬愛にとっては痛い引き分けであったが、池はこの試合中、相手の技を止めた瞬間に右膝を負傷するアクシデント。難敵佐藤を相手にむしろ良く引き分けたという形の試合であった。

重量選手同士がマッチアップした中堅戦は月波光貴穂が貫禄を見せる。東大阪大敬愛の中堅は金鷲旗大会では先手攻撃の「指導」累積で朝比奈沙羅に勝利した経緯がある斉藤だが、月波は左相四つの斉藤に対し前進、そして左大外刈と圧力プラス具体的な攻撃という実直な構成を崩さず攻勢を確保。斉藤も中盤から大外刈を打ち返して失点を2分8秒に受けた「指導1」のみに抑えて終盤までたどり着くが月波の度重なる攻撃がボディブローのように効き、残り10秒、月波の小外刈についに転がり決定的な「技有」。
月波はそのまま横四方固に固めて一本勝ち。新田が値千金、そしてほぼ試合を決定付ける先制点を獲得した。

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(写真:奥本華月が米澤夏帆の背負投を後ろに引きずり落として「技有」獲得)

大将戦は奥本華月が体格差とリードをバックに優位に試合を展開。右相四つの米澤夏帆に圧力を掛けて払巻込を仕掛け、組み手争いの中でも引き手の腕上に釣り手を載せて下方向に圧力を掛けて担ぎ技を狙う米澤の身を起こさせない。

1分47秒、奥本が釣り手で肩越し、奥襟と持ち替えて圧力を掛けると米澤が潰れてしまい、米澤に「指導1」。

2分45秒、これまで足技一辺倒だった米澤が初めて背負投を見せるが入りきれず。
3分10秒、米澤が左背負投。待ち構えた奥本は後ろに引きずり落として「技有」奪取。そのまま抑え込んで合技「一本」で勝負を決めた。

試合は2-0で新田の完勝。新田が地力の高さを見せつけ、正面突破で難敵・東大阪大敬愛を下したという一番だった。

東大阪大敬愛は米澤が金鷲旗大会準決勝で肘を負傷、この日の試合で池も負傷と満身創痍。出来次第では頂点も狙えると思われたチームだったが、金鷲旗以来の連戦の疲労が累積した形で無念の初戦敗退となった。
平田勝美監督は「今年は凄く雰囲気の良いチーム、(全国優勝を)獲れるのはこういうチームかもしれないと思っていたので残念」と無念の表情。「来年、忘れ物を取りにこれるように頑張ります」とレギュラー3人が丸ごと残る来年度の再起を誓って会場を後にした。

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(写真:堀歩未が左払巻込で「有効」獲得)

敬愛高 0代-0 八千代高
(先)堀歩未×引分×高木茜
(中)山口凌歌×引分×宮内未希
(大)岡史生×引分×女良いこま
(代)岡史生○優勢[指導2]△女良いこま

敬愛高が1回戦で見せていた不調の予感、僅かな角度の狂いが歯車の噛み合わなさとして早くも顕在化した試合。相手は千葉の強豪・八千代高。

先鋒堀歩未は「有効」を先制するが、残り僅かとなったところで高木茜の小外刈を食ってしまい「有効」失陥で引き分け。

ここで奮起すべきは中堅の山口凌歌、相手が大将にエースの女良いこまを残している盤面配置を見てもここは勝負に行くべきポジションのはずだが、山口は初戦に続いてまたしても意外なほどに淡白な試合を展開。圧力の積み重ねもなく攻略のポリシーも定かならぬ組み手の叩き合いと散発の掛け潰れを続け、「後ろに勝負を流した」と評されても仕方のない単調な内容のままあっさり引き分け。試合の行方は大将対決に持ち込まれた。

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(写真:岡史生が女良いこまを得意の足技で崩す)

大将戦は身長162cm体重88kgの岡と165cm、86kgの女良がマッチアップ。
女良は決意溢れる表情で左右の背負投に右内股で攻め込む。岡も回りこんでの出足払、支釣込足で度々大きく崩すが岡の足技の巧みさを良く知る女良は警戒十分、足を払われながら角度をずらして踏ん張って耐え続け、中盤までは拮抗。

後半、女良が消耗すると地力の差が出始め、岡が相手の頭を下げさせて左内股、出足払と繋いだ直後の3分38秒に女良に「指導1」。そのまま試合は引き分けで終了となり、勝敗の行方は代表戦へと縺れ込むこととなった。

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(写真:女良の背負投に岡が乗りかかり、場内息を呑む)

代表戦はいよいよ圧力が掛かり始めて岡が優位。左内股に送足払、ハンドル操作の隅落で度々女良を崩して2分38秒に「指導1」奪取。直後、岡の送足払に女良がタイミングドンピシャリの右背負投を合わせて場内騒然となる場面があったが、激しく畳に落ちた岡の体勢は腹ばいでノーポイント。終盤の膠着を経た残り20秒で女良に「指導2」が宣告される。そのまま試合は終了、タイムアップと同時に岡は思わず天井を仰いで一息。代表岡の「指導2」による優勢勝ち。敬愛、大苦戦を制してなんとか2日目に駒を進めることとなった。

高校選手権の図太さ、金鷲旗の勢いいずれも感じられない、なんとも敬愛らしくない試合だった。何より今シーズン敬愛が一貫して纏っていた強者の雰囲気が失われていることが気に掛かった一番。

地元優勝のプレッシャーが掛かる3年生の堀、岡の硬さは勿論だがこの試合の苦戦の最大の因は山口。前戦も引き分けている山口だがこの試合の内容は単なる「一引き分け」に留まらない。

決して体が大きいわけではない敬愛のエース岡はこのクラスの選手としては稀有な技の鋭さを持つ業師だが超級選手に対しては「追いかけて取る」絶対値の高い型ではなく、むしろ相手が出てくることを前提に足技で勝ち抜けるカウンタータイプ。相手が出てこなければその取り味は減殺されるし、自身が良く動くタイプであるだけに大型選手に対してアクシデントの一発を食う可能性も排除できない。山口の消極的試合によりリードなしで難剣タイプの女良戦を戦うことになった岡が、他チームにこの特徴を改めて見せてしまったことは今後の戦いに向けてマイナス材料。盤面、後ろでマッチアップする選手のタイプ、そして3年生が緊張で硬くなっているこの状況で抜擢された2年生の自身とこれだけ条件が揃えばその仕事は勝敗を超えて積極的試合でこの雰囲気に風穴を空けて敬愛本来のポテンシャルを引き出すことにあるはずだ。決してセーフティな試合で後ろに勝敗を先送りすることではないはずだし、ましてや引き分けを受け入れて状況を悪くすることではない。硬さの取れない3年生、核弾頭になれない2年生。そして土壇場、集大成となるはずのインターハイという最終決戦の場に至ってなお、チームに勝利のポリシーが「染みていない」ことが見えてしまった中堅戦。王者敬愛、課題を抱えたままの第2日進出となった。

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(写真:冨田若春は1回戦に続き大内刈「一本」)

埼玉栄高 3-0 高知高
(先)冨田若春○大内刈(0:46)△吉本朝香
(中)安沙好○大内刈(0:50)△甲藤由美香
(大)桒原佑佳○大外刈(1:36)△畠山花菜

Aブロックの埼玉栄高の好調は快勝の1回戦を経てさらに加速。高知高(高知)を相手に3試合全て大内刈「一本」。3戦合計3分12秒という圧勝で3回戦に駒を進めた。

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(写真:中江美裕が戸村井羅から大外返で「技有」獲得)

大成高 2-0 宮崎日大高
(先)鈴木伊織○合技(1:11)△屋北楓
(中)鍋倉那美×引分×能智亜衣美
(大)中江美裕○合技(2:37)△戸村井羅

Cブロックでは大成高がまたしても強豪、宮崎日大高と対戦。
この試合もエース対決は中堅戦、この試合は鍋倉那美と能智亜衣美が引き分け、先鋒戦と大将戦をしっかり取った大成が2-0と快勝で3回戦進出を決めた。

ほか、Aブロックでは沖縄尚学高(沖縄)が大垣日大高に2-1と競り勝ち。大垣日大は中堅山中満紀が大内刈「一本」、沖縄尚学は大将新垣さつきが「有効」とエースがそれぞれ1点ずつを獲得したが、先鋒戦で島袋玲海が廣木あすかを「指導2」で破った1点が効いて沖縄尚学が3回戦進出を決めた。

Bブロックでは國學院栃木高(栃木)が富士市立高を相手に敵方のエース・大将滝川真央が登場する前の2試合で2点獲得。2-1で勝利して3回戦進出を決めている。

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(写真:嶺井美穂が橋高朱里から大内刈「一本」で勝利)

Cブロック、桐蔭学園高と金沢学院東高(石川)の試合は1-1で迎えた代表戦で桐蔭学園の1年生エース嶺井美穂が全国高校選手権70kg級王者の橋高朱里から大内刈で一本勝ち。桐蔭学園が3回戦に駒を進めた。

Dブロック、淑徳高を食った創志学園高は長崎明誠高(長崎)を3-0で下し順当に3回戦進出。一方松商学園高を下した大分西高は名張高(三重)を相手に中堅岡田果穂が榎谷ともみに「有効」優勢で星を落とし、大将岡邊まゆも一本負け。0-2で敗退しトーナメントを去ることとなった。

[2回戦結果]

[Aブロック]
東北高 2-1 富士学苑高(山梨)
沖縄尚学高(沖縄) 2-1 大垣日大高

小城高 2-0 弘前実高(青森)
埼玉栄高 3-0 高知高(高知)

[Bブロック]

阿蘇中央高 2-0 奈良中央高(奈良)
國學院栃木高(栃木) 2-1 富士市立高

沖学園高 3-0 出雲西高(島根)
紀央館高 2-0 福井工大福井高(福井)

[Cブロック]

桐蔭学園高 ①代-1 金沢学院東高(石川)
大成高 2-0 宮崎日大高(宮崎)

鹿児島情報高 3-0 盛岡南高(岩手)
敬愛高 0代-0 八千代高(千葉)

[Dブロック]

創志学園高 3-0 長崎明誠高(長崎)
新田高 2-0 東大阪大敬愛高(大阪)

名張高(三重) 2-0 大分西高
東海大四高(北海道) 1-0 土浦日大高

■ 3回戦
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(写真:敬愛の中堅・山口凌歌が青柳美希の体落を振り返して浴びせ「技有」奪取)

2回戦の激戦から1日明けて10日は3回戦がスタート。

敬愛高 3-0 鹿児島情報高
(先)堀歩未○優勢[技有]△鬼塚葉瑠奈
(中)山口凌歌○優勢[技有]△青柳美希
(大)岡史生○大外返(1:53)△青柳麗美

Cブロックでは前日の2回戦で薄氷の試合を演じた王者・敬愛が好チーム鹿児島情報高を下す。
先鋒の堀は「技有」優勢で勝利。中堅山口はなかなら自らチャンスを作りにいけなかったが、2分35秒に青柳美希の体落を振り返して落とし「技有」奪取で優勢勝ち。

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(写真:今大会好調の鹿児島情報高・青柳麗美が岡史生を左大外刈に捕まえ「有効」奪取)

この時点で敬愛の勝利自体は確定。あとは次戦に向けて上向きの流れを作り出すことが残った課題だが、エースの岡史生がその役割を担う大将戦でまたもやハプニング。青柳麗美がスルリと仕掛けた左大外刈に決定的な位置まで侵入を許してしまい、首を制されたまま押し倒されて36秒「有効」失陥。

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(写真:岡が大外刈「一本」で試合をまとめ、敬愛は3-0での勝ち抜けが決定)

崩された瞬間は「一本」すら想起される危ない体勢だったがこれをなんとか最小失点で切り抜けた岡は以後ケンケン内股と大内刈を連発してペースを掴みなおし、1分42秒、相手が小外刈で追いかけてきたところに低い背負投を合わせて「有効」奪回。さらに直後の1分53秒には青柳の左大外刈を返して「一本」、試合を作り直して3-0で勝利を決めた。

スコアは3-0と圧勝。しかし後の先の技での勝利が2つ、中堅山口はチャンスを自ら作りにいけずもたついた感が否めず、リードを背に登場して以後の試合への流れを作るべき岡はまさかのポイント失陥。最後は岡が底力を見せてスコア的には体勢を立て直したものの、敬愛、どうしても波に乗れない。

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(写真:全国中学大会63kg級決勝の再現、鍋倉那美と嶺井美穂による中堅戦)

大成高 2-0 桐蔭学園高
(先)鈴木伊織○合技(2:39)△中山侑香
(中)鍋倉那美×引分×嶺井美穂
(大)中江美裕○横四方固(3:04)△内尾真子

同じくCブロックでは大成が桐蔭学園と激突。昨年全国中学大会の決勝を争った鍋倉-嶺井が激突した中堅戦が注目を浴びたがこの試合は残り6秒で鍋倉に「指導1」が与えられたのみで引き分け

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(写真:鈴木伊織が右袖釣込腰「有効」から崩袈裟固に繋ぐ)

先鋒戦では鈴木伊織が2分35秒「指導1」奪取、2分20秒にはケンカ四つの中山侑香が奥襟を叩いてきたところに右大内刈を合わせて「技有」、さらに右袖釣込腰「有効」から崩袈裟固、横四方固めと繋いで合技「一本」の快勝。大将戦はもと70kg級全中王者の中江美裕が52kg級インターハイ・高校選手権王者の内尾真子を圧倒、相手の内股を二本持ったまま潰し、めくり返して横四方固で一本勝ち。大成が"エース対決"に勝敗を委ねることなく取るべきところをしっかり取っての地力勝ち。2-0でしっかりこの試合をモノにした。

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(写真:冨田若春が大外刈で2つ目の「技有」獲得。素晴らしい踏み込みの一撃)

埼玉栄高 3-0 小城高
(先)冨田若春○合技(2:16)△中村芙奈美
(中)安沙好○大内刈(2:48)△西谷史佳
(大)桒原佑佳○優勢[指導3]△辻村梨那

埼玉栄が3試合連続の3-0勝ち。ここまで連続一本勝ちの先鋒・冨田は1分28秒にまず右背負投で「技有」、さらに2分16秒には釣り手を肩越しに叩き入れながら素晴らしい踏み込みで右大外刈に飛び込み、真裏に刈り倒して2つ目の「技有」獲得で合技の一本勝ち。

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(写真:安沙好が大内刈「一本」でチームの勝利を決定付ける)

中堅の安も1分1秒大内刈「有効」、1分27秒大外刈「技有」、2分48秒大内刈「一本」と西谷史佳を寄せ付けず。大将戦は桒原佑佳が手堅く3つの「指導」を奪って危なげなく勝利を決めた。快進撃の1回戦、2回戦から日が明けても埼玉栄の勢いは止まらず。
埼玉栄、余裕を持ってベスト8進出決定。

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(写真:新田高・月波光貴穂が払巻込でまず「技有」奪取)

新田高 1-0 創志学園高
(先)佐藤史織×引分×井上あかり
(中)月波光貴穂○小外掛(1:50)△友清あかり
(大)奥本華月×引分×安枝香奈

Dブロックでは1回戦で淑徳高、2回戦で長崎明誠高を破って好調の創志学園高を新田高が完封。中堅に置かれたエース月波光貴の得点力を前提に先鋒佐藤史織、大将奥本華月が手堅く試合を纏め、月波が払巻込「技有」に小外掛「一本」と連取して挙げた一点を守りきって1-0で勝利を決めた。

國學院栃木高 ①-1 阿蘇中央高
(先)小林未奈×引分×土井雅子
(中)青山紗綾△優勢[指導2]○矢吹みずほ
(大)山内真子○合技(1:21)△上村綾香

Bブロックでは昨年王者の阿蘇中央高が陥落。
國學院栃木高は我慢どころの先鋒戦で小林未奈が土井雅子を相手に殊勲の引き分け。中堅戦も青山紗綾が矢吹みずほを相手に失点を「指導2」に抑えると迎えた大将戦で1年生エースの山内真子が上村綾香に合技で一本勝ち。1-1の内容差でアップセットを完成させ、ベスト8へと駒を進めることとなった。

◇      ◇      ◇
[3回戦結果]

[Aブロック]
沖縄尚学高 1-0 東北高
埼玉栄高 3-0 小城高

[Bブロック]

國學院栃木高 ①-1 阿蘇中央高
沖学園高 2-0 紀央館高

[Cブロック]
大成高 2-0 桐蔭学園高
敬愛高 3-0 鹿児島情報高

[Dブロック]
新田高 1-0 創志学園高
東海大四高 2-1 名張高

■ 準々決勝
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(写真:埼玉栄高・桒原佑佳が沖縄尚学高のエース新垣さつきから大外刈「一本」)

埼玉栄高 3-0 沖縄尚学高
(先)冨田若春○払腰(2:20)△島袋玲海
(中)安沙好○大外刈(0:46)△山内月
(大)桒原佑佳○大外刈(1:33)△新垣さつき

Aブロックではいよいよ強豪との対決を迎えた埼玉栄高がまたしても3-0のパーフェクトゲーム。冨田若は島袋玲海を相手に肩越しに釣り手を入れ、崩れた相手の立ち際に足を開かせるような右大内刈でまず「技有」、さらに払腰「一本」と全く相手を寄せつけずに圧勝。安沙好も大外刈「一本」で山内月を退け、この連続一本勝ちの勢いを受け継いだ大将桒原は沖縄尚学の牽引車であるエース新垣さつきをなんと大外刈「一本」に仕留める快勝。埼玉栄、破竹の勢いでベスト4入り決定。

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(写真:國學院大栃木高・山内真子が永瀬貴子を攻める)

沖学園高 2-1 國學院大栃木高
(先)山本絵玲奈○優勢[技有]△小林未奈
(中)多田隈玲菜○優勢[有効]△青山沙綾
(大)永瀬貴子△内股(3:08)○山内真子

Bブロックからは地元・沖学園高がベスト4入り。
國學院栃木は前戦で阿蘇中央高の上村綾香を破って会場を沸かせた1年生山内真子が大将に座るが、沖学園は先鋒山本絵玲奈、中堅多田隈玲菜が連勝。勝負を大将戦に持ち込ませずにこの時点で勝利を決めた。

大将戦は山内が沖学園のエース永瀬貴子を内股「一本」に仕留め再び会場をどよめかせたが時すでに遅し。福岡第二代表の沖学園、堂々のベスト4進出。

新田高 2-0 東海大第四高
(先)佐藤史織×引分×佐藤杏香
(中)月波光貴穂○後袈裟固(1:02)△杉村和加菜
(大)奥本華月○優勢[有効]△前谷真唯

Dブロックは新田高が順当に勝利。中堅月波、大将奥本の大型二枚で東海大四高を圧倒、 2-0でベスト4入りを決めている。

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(写真:敬愛はオーダー変更、この試合から中堅に1年生の梅津志悠を起用)

大成高 - 敬愛高
(先)鈴木伊織 - 堀歩未
(中)鍋倉那美 - 梅津志悠
(大)中江美裕 - 岡史生

そして準々決勝最大の注目を集めたのが1年生チーム・大成が敬愛に挑戦したこの一番。
敬愛はこの試合から中堅を変更。ここまで精彩を欠いた超級選手山口凌歌を外して金鷲旗大会終盤戦で斬り込み隊長役を務めた長身の1年生、78kg級の梅津志悠を投入した。

体格差と実績を考える限り、先鋒に堀、大将に岡と大駒級を揃えた敬愛が盤面上は有利。ただし大成が中堅に取り味のある鍋倉がいること、その鍋倉の相手がここまでその特徴である一発の力を殺されてきた超級選手ではなく、かつ間合いに入ってくるタイプで技が効く可能性がある78kg級の梅津であること、大成の鈴木と中江がその攻撃力の一方泥試合を厭わない粘りのある選手であること、そして何よりここまでの3戦で敬愛が見せている意外なまでの大人しい試合振りを掛け算すると勝負の行方は予断を許さない。

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(写真:堀歩未(左)と鈴木伊織の先鋒戦)

先鋒戦は鈴木が右、堀が左組みのケンカ四つ。
鈴木が腰の差しあいの中から片手の袖釣込腰に片手の大内刈と先手を志向して試合を展開。堀は左右に繰り出される鈴木の技をいなしつつ、1分2秒には強烈な払腰を叩き込んで鈴木は腹ばい、場内は堀の一撃の強さに沸く。
しかしこの一撃で鈴木の警戒感は加速、片袖、両袖から袖釣込腰を放ち続けて堀に主導権を渡さない。。単に潰れるのではなく寝技への連携を意識して最後まで粘るその技は一発一発の終了までに要する時間が長く、堀は投げに至る作りを行う時間帯がなかなか確保できない。

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(写真:堀が支釣込足を放って鈴木を崩す)

それでも前に出る堀、2分過ぎには支釣込足で鈴木を大きく崩して送襟絞を試みるが取り切れず「待て」。直後の2分13秒には「取り組まない」判断で鈴木に「指導1」は宣告される。

しかし堀の技は以降も散発。両袖で袖釣込腰、体落を仕掛け続ける鈴木の前に戸惑ったような柔道のまま打開策を打ち出せず、あっという間に4分間が過ぎ去りこの試合は引き分け。スコア0-0ながら大成は一歩前進して砲撃位置を確保、敬愛は大枠の優位を保ちながらも陣地を一歩下げたという感で先鋒戦は終了。

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(写真:鍋倉那美が見事な右内股「一本」で梅津志悠に勝利)

中堅戦は大成・鍋倉、敬愛・梅津ともに右組みの相四つ。
170cmと長身の梅津に奥襟を与えまいと鍋倉はその右袖を厳しく管理。切り、掴み、両袖に持ち込みながらチャンスを伺い、一方の梅津は釣り手を一旦振り切っての右払腰で攻める。鍋倉が組み手にこだわりすぎ、1分12秒鍋倉に「取り組まない」判断の「指導1」。

直後鍋倉が右内股。梅津長い脚で全身をまたいで捌くが、鍋倉はまたがれたまま背負投の形で追いかけて梅津を畳に叩き落とす。梅津崩れて激しく落ちるが鍋倉に上体をコントロールする材料がなく、腹ばいに落ちてノーポイント。

鍋倉なおも梅津をいなして大外刈で攻めるが、2分20秒を過ぎたあたりから梅津が奮起。釣り手肩越しにで背中を持つ得意の形を作り上げると強烈な右内股。鍋倉は得意の掬投の形で受け止めるが梅津相手に体を抱かせておいてタイミング良く大内刈に切り返し鍋倉を叩き落す。鍋倉腹ばいに伏せて「待て」。経過時間は2分54秒。

この梅津優位の展開の直後。釣り手で奥襟を得た鍋倉が梅津の頭を下げさせて一歩下がりつつ相手をあおりだすと、斜めから脚を差し入れて場外方向に向かって遠心力を効かせた右内股。前に出ようとしていた梅津に回旋力がまともに伝わり、前に引きずり出されて振り回るように崩れた梅津は唸る勢いで大きく宙を舞いこれは文句なしの「一本」。

まことに鍋倉らしい一撃。今大会初めて「力が伝わる位置関係」を得たファーストチャンス、正面から崩すのが難しい体格差を遠心力を使うことで補った見事な一発に場内は大歓声、大成・大石公平監督も拳を握り締めて会心の表情。

敬愛は今大会初失点。そして3月の高校選手権決勝以来のビハインド。「一本」をリードされたまま大将戦に縺れ込むという今期チーム結成以来最大のピンチに陥った。

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(写真:敬愛・岡史生が試合開始早々の左内股で「有効」)

大将戦は大成が中江美裕、敬愛はエースの岡史生がマッチアップ。中江は身長165cm、体重70kg、対する岡は身長161cm、88kg。

中江が右、岡が左組みのケンカ四つ。
腰の差しあいが続く中、22秒に岡が鋭い左内股で中江を大きく浮かし、腹ばいで逃れようとする中江が畳に落ちる瞬間を逃さず体を押し込んでめくり「有効」。岡のボディバランスの良さが生きた素晴らしい一撃。

しかし、中江は以後引き手の位置をしっかり管理しながら再度試合を腰の差し合いに持ち込み、先ほどの内股の手ごたえゆえにこれに乗って内股を繰り返した岡は以降の1分を詰め切れないまま消費。

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(写真:岡が片手の左内股で中江を崩し続ける)

「一本」奪取が至上命題の岡、このままでは機を失うとみたか1分10秒を過ぎたあたりから片手のまま脚を先に入れ、蹴り上げるような左内股で度々中江を跳ね上げ続けて攻勢確保。しかし2分過ぎからこの攻撃の間合いを掴み始めた中江は次第に落ち着きを取り戻し、2分半を過ぎると首を抱えた右体落でもろとも潰れつつ寝技に繋ぐという得意の攻撃を繰り出し始める。

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(写真:残り14秒、岡が内股から体を捨ててもろとも回し掛けるが、中江逃れて「待て」)

岡も片手の内股でひとまず攻勢確保、さらに引き手を求めて激しく前に出るが今一歩の強引さを欠き、重い一撃を繰り出せる距離と形を作り出すことが出来ない。残り36秒で「指導2」まで奪取以後も猛攻、残り14秒には片手の左内股から縦に体を回し捨ててもろとも中江を転がしかかるが、中江が力の圏外に逃れて「待て」。敬愛の観客席から悲鳴があがる。
このまま中江が踏ん張り、タイムアップ。

会場中にどよめき。敬愛は大将岡が勝利も「優勢」に留まり、1-1の内容差で試合は決着。1年生チームの大成が大本命の敬愛を下して見事ベスト4進出を決めた。

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(写真:高校選手権、金鷲旗を圧勝で制した敬愛、インターハイはベスト8で敗退)

大成高 ①-1 敬愛高
(先)鈴木伊織×引分×堀歩未
(中)鍋倉那美○内股(3:17)△梅津志悠
(大)中江美裕△優勢[有効]○岡史生

敗れた敬愛・吉本幸洋監督は「情けないです。結果が出たので何も言うことはない。(選手の煮え切らなさの理由は?)わからない。もう一つ追いかけてくれるかと思いましたが、慎重になり過ぎていた。これが勝負というものの難しさ」とさすがにショックの表情。「集大成のつもりで一生懸命やったが、私では力不足。新しい世代に託すことを考えなければいけない」とまで語り、口調は冷静ながらも受けた衝撃の大きさが偲ばれた。

敗因は地元の重圧、そして敬愛のストロングポイントとして謳われていた重量3枚を並べるというそのチーム構成自体にあったと見る。

シニアから中学生まで、どのカテゴリにおいても、女子重量級は性格の優しい選手が多いというのは多くの指導者が口を揃えるところだ。

インターハイ団体戦のオーダー順が自由配列となってから4年。ポジション別に体重制限のある高校選手権、五人制抜き試合で総合力の問われる金鷲旗大会と育成の目当てがはっきりしている2大会に比してなかなか必要とされる条件の「答え」が出ないこのインターハイにおいて、日本一を狙うレベルの重量級を3枚並べて"重戦車"とも評されたこの敬愛の布陣は各チームの垂涎の的、理想の形を実現したものであるかに思われた。

だが、地元開催の重圧の中でクローズアップされたのはこの重量3枚という「優しい」同タイプを掛け算したことによるチームの意外なまでの大人しさ、順行運転の域からはみ出せない慎重さ、歯車が狂ったときに状況を直すことが出来ないギアの少なさ。

五人制で行われる男子団体戦では、全員がエース格というようなチームを作り上げることは難しく、斬り込み役や止め役、繋ぎ役という「職能」を集めてチームを構成すること当然の前提となっており、選手も自身の役割を規定することでそのパフォーマンスを引っ張り上げている感がすらある。しかし女子は3人という少人数構成であること、1点の持つ重みが大きすぎることでこの点がやや曖昧になりがちだ。

巨大戦力と言われた敬愛の敗退はこの団体戦の「職能」の大事さを改めて思い起こさせるものであった。

吉本監督もこの重要性についてはわかり過ぎるほどにわかっていたはずだ。だから金鷲旗大会では準々決勝までは飯島彩加、準決勝以降は梅津志悠というファイタータイプを先鋒に起用してチームに勢いをつけ、57kg級ながら攻めも守りも効き試合をどんな方向にも動かせる芳田司を起用して重量3人の前に試合を作ることに腐心していた。

それでも純戦力の高さがこれを補うと判断して敢えて重量3枚を並べる策を採った吉元監督は、だからこそ、第1日のこの3人のあまりに大人しい試合ぶりには激しい危機感を感じたはずだ。地元のプレッシャーの中、なおかつすべてのチームにターゲットとして狙われる今大会でこの試合振りでは到底勝利はおぼつかない。しかし「優しい」重量選手3人にはこの状況を壊せるタイプの選手がおらず、激しい試合でチームに喝を入れることが出来るはずのバランサー・3年生の芳田は登録外。それでもオーダーを動かさねば勝ちはないと思った吉元監督は3人のうちもっとも消極的だった山口を外して吶喊タイプの梅津を入れた。その策はまことにもって妥当だったが、こと大成戦、腰の重いタイプに対しては取り味がいまひとつだが攻撃タイプの選手に対しては抜群の力を発揮する鍋倉に対してだけは相性が悪かった。これが敬愛敗退の構図であり、よりマクロな見方としては、吶喊タイプの1年生・梅津を入れるというカンフル剤を打ってなお、第1日の消極的試合によって出来上がった悪い流れが払拭できなかったと捉えられる。

近年インターハイの上位進出校はいずれもタイプ的に凸凹のある個性派チームで、重量級のエース格を3枚並べるというような豪華な布陣のチームは存在しなかった。それは競技人口が男子ほど多くない女子柔道にあって"望んでも得られない構成"であったからと思われていたが、重量3枚、それも強豪を並べ、そしてその3人いずれもが重量級特有のメンタルを持つがゆえに起こった敬愛の敗退はこの意識を大きく変える可能性がある。
体重制限のある高校選手権の出場校いずれもが自身の役割を選手が弁えた「締まった」好チームであることも示唆に富む。女子団体戦で勝つには重量級のエース格を並べてしまっては実は勝利は難しく、軽量級に多いチームを鼓舞できるようなファイタータイプ、バランサーとして機能するようなリーダータイプを敢えてオーダーに加えることが必須ということが戦術上の常識になる時代が来るのかもしれない。

それほど衝撃的な、大型選手を並べることで今期の高校柔道界を席巻し、そして重量級選手の特性ゆえに星を落とした、敬愛の劇的敗退であった。


結果決まった準決勝のカードは、

埼玉栄高 - 沖学園高
大成高 - 新田高

の2試合となった。

■ 準決勝
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写真:埼玉栄・冨田若春が小外刈「一本」で山本絵玲奈を下す)

埼玉栄高 2-0 沖学園高
(先)冨田若春○小外刈(0:47)△山本絵玲奈
(中)安沙好○優勢[指導3]△多田隈玲菜
(大)桒原佑佳×引分×永瀬貴子

準決勝第1試合は埼玉栄がまたもや圧勝。

先鋒戦は冨田若春が右相四つの山本絵玲奈を内股、小外刈と攻め続けて圧倒。40秒過ぎに相手に奥襟を持たせたところから首を抱き返して制し、左小外刈で一本勝ち。

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(写真:埼玉栄・安沙好が多田隈玲菜から右大内刈で「有効」)

中堅戦も安沙好が得意の大内刈を中心に攻め続け、27秒に右大内刈で「有効」を奪うと以後も猛攻を続けて残り33秒の時点で「指導3」まで獲得。そのまま試合を終えて優勢勝ち、この時点で決勝進出を決めた。

沖学園は大将のエース永瀬貴子でなんとか一矢を報いたいところだったが、桒原佑佳がこの試合は手堅く引き分け。埼玉栄がこの試合も無失点、2-0の快勝で決勝進出を決めた。埼玉栄はここまで5戦を戦い実に14勝0敗1分けという圧倒的な成績。

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(写真:準決勝に臨む大成高)

新田高 - 大成高
(先)佐藤史織 - 鈴木伊織
(中)月波光貴穂 - 鍋倉那美
(大)奥本華月 - 中江美裕

準々決勝で大本命・敬愛を食った1年生チーム大成と、2回戦で金鷲旗2位の東大阪大敬愛を撃破して以後は安定した戦いぶりで勝ちあがってきた新田が激突。

新田の得点ポイントはなんといっても大黒柱の月波光貴穂が座る中堅戦。対するは大成のエース鍋倉那美だ。
鍋倉は今大会すばらしい攻撃力の一方、得意の内股一択の攻撃でなかなか重量選手を崩せないという面も見せている。月波は圧力の強さに加えて相手が片足を上げる前技を見せたときに止め返す後の先の技術にはもちろん長けており、鍋倉に対しての相性は悪くないはず。エース対決ではあるがここは新田にとっては得点ポジション、大成にとってはミスなくなんとか試合を終わらせてしまいたい防御ポジションだ。ここで新田が取るか、大成が守りきることが出来るかどうかがこの試合第1のポイント。

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(写真:中堅月波を中心に試合を組み立てる新田高)

先鋒戦はこれまでの2人のパフォーマンスとエース対決を後ろに控えるチーム事情を考えれば得点を事前に織り込むのは難しい。大将戦はここまで「70kg級のもと全中王者」という単なる個人成績を超えるタフな柔道で今期の大成を引っ張ってきた中江と、同じく1年生ながら168cm、91kgの体格を生かしてエース月波の後詰を務めて来た奥本華月の対戦。奥本はここまで中量級以下の強者との対戦で強さを発揮してきているが軽重量級ともいうべき、そして泥臭い試合を厭わずパワーもある中江相手にも同様のパフォーマンスを発揮できるかどうかが試される。実績と柔道の質の噛み合わせから事前予想としては若干中江が有利か。

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(写真:佐藤と鈴木の先鋒戦)

先鋒戦は新田・佐藤と大成・鈴木ともに右組みの相四つ。
序盤は佐藤が右大内刈、1分過ぎから鈴木が両袖の右体落から寝技への繋ぎを狙ったアフターの押し込み、さらに右袖釣込腰と仕掛けて試合を引っ張る。佐藤も右背負投、右袖釣込腰で対抗。
中盤からは鈴木が仕掛け、後ろにエース月波登場を控えて試合を壊したくない佐藤が必死で粘るという様相。3分半に鈴木が右体落から押し込み続ける得意の形で佐藤を畳に押さえ付け「抑え込み」の宣告を受けるが、佐藤必死で逃れ3秒で「待て」。

以後は危機を感じた佐藤が組み手の一手目を厳しく管理。鈴木は粘る佐藤を最後まで崩せず、この試合は両者ノーポイントのまま引き分け。

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(写真:鍋倉が右内股、月波は足首を持って鍋倉を場外に弾き出す)

中堅戦は新田・月波が左、大成・鍋倉が右組みのケンカ四つ。
体格差を補うべく鍋倉は引き手で左袖を持つ「ケンカ四つクロス」の右内股で崩しを試み続ける。月波構わず前進して圧力を掛け、44秒にはフェイントの左小外掛から突進、鍋倉を腹ばいに転がして大成ベンチは冷や汗。直後鍋倉再びケンカ四つクロスの内股で攻撃を演出に掛かるが、月波は鍋倉の右足首を持って前に倒し崩して防ぐ。

1分10秒、下から釣り手を持った月波が鍋倉の釣り手を叩き払って前に出るが、月波が技を仕掛けるはずのこのタイミングに合わせて鍋倉一足早く右内股。月波がガッチリ止めてこのシークエンスは終了。

1分28秒、月波がまず釣り手で相手の袖を殺す手堅い組み手から持ち替えて引き手で袖、釣り手で奥襟という完璧な形を完成。圧力を掛けると鍋倉たまらず膝から畳に落ちて「待て」。このシークエンスの評価として鍋倉に「指導1」が宣告される。

危機を感じた鍋倉はケンカ四つクロスの右内股を連発して流れを一旦押しとどめ、2分30秒には組み手十分の形を作るが、ここに月波は鋭い動きでフェイントを入れた左小外掛。タイミング抜群の一撃だったが鍋倉は右内股を合わせることでこれを回避して「待て」。

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(写真:月波が鍋倉を振り崩して体を浴びせ、鍋倉はいち早く立ち上がって抜け出す)

残り1分を過ぎたところで明らかに鍋倉が疲労。これを見極めた月波は作戦変更、ケンカ四つクロスの形で鍋倉を振り回し、鍋倉が崩れて膝を屈するとその腕を抱えて体を浴びせてめくりに掛かる好判断。その場で粘っては危ないと判断した鍋倉、立ち上がって抜け出すこれも良い判断を見せて逃れ「待て」。

残り時間はこの時点で25秒。鍋倉はケンカ四つクロスの内股に足を差し入れての「サリハニ状態」の膠着を織り交ぜて月波の追撃を許さずフィニッシュ。

結果この試合は引き分け。大成は安堵のため息、ここでの勝利が至上命題と思われた新田にとっては痛い結果。

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(写真:中江が奥本に抱えられながらも右大内刈、あわやポイント)

大将戦は新田・奥本と大成・中江ともに右組みの相四つ。

中江が両袖の右体落、奥本は片襟を差した右大外刈を打ち返し中江を大きく崩す。

1分17秒、中江が釣り手を肩越しに入れて右大内刈。奥本は左手で脇を差して抱きついて応じ裏投を試みる。し込み、奥本激しく畳に落ちる。あわやポイントという一撃だったがこれはノーポイント。

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(写真:中江が右体落崩れの右内股、奥本が倒れたところで脇固に繋ぐ)

直後の展開。手先の組み手争い一合を経て釣り手で後襟を得た中江が右体落。場外際で奥本が膝をつくと内股の形で足を差し入れ相手を伏せさせつつ、残った奥本の左腕を引っ張り出して腕挫脇固。

副審は場外のゼスチャーを示し、主審は「待て」を宣告。しかし一瞬目を切って時計を確認した主審が振り返っても、声が聞こえなかったのか中江は脇固を解かない。

主審がゆっくりと歩み寄るが中江は気づかず、中江の背中側、近い位置で事の推移を見つめる副審も場外のゼスチャーを示し続けるのみ。

ようやく中江が気がついて技を解いたが、奥本は左肘を押さえて立ち上がれず。会場は騒然。

三審が集まって協議、ジュリーに意見を求める長い合議の末に下された判定は、「待て」の後も関節技を解かなかったという咎で中江の反則負け。

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(写真:反則負けの宣告に中江は呆然)

納得いかない中江はベンチの指示もあり畳を降りられず。審判委員長が試合場に駆け寄って主審に監督への注意と試合の終了を促し、場内ざわめき続ける異様な雰囲気の中で試合は決着。1-0で新田が決勝進出の切符を掴んだ。

試合後の中江は「(「待て」の声が)聞こえなかった」と会場の隅にうずくまって号泣。非常に後味の悪い結末となった。

原因は2つ。会場の環境と審判の意識だ。

今大会が非常に盛り上がった理由のひとつに、会場サイズの適正さがある。収容人員の「ビン」に近く空席はなし、かつスタンドが試合場に近く観客席のリアクションが選手に非常に伝わりやすい。男女通じての「良いチームはますます乗り、悪いチームはますます沈む」傾向と白熱した試合は、この会場の環境に負うところが非常に大きい。

よって耳をつんざく大歓声と、その雰囲気に乗せられて視野が狭くなった選手に審判宣告が届かないという事態は十分ありうるものであった。
試合通じて「落ち着いていた」(好意的な表現である)主審の立ち振る舞いがこの状況、そして「選手の肘が壊れるかもしれない」という緊急事態に似つかわしいものであったかどうかには疑問が残る。

一声「待て」を掛けた直後、主審は一旦選手から目を切って時計を見、振り返って事態の進行を目撃。しかしその後走りよることもなく殆ど開始位置に足を留めたまま、時計に向かって手を挙げ続けて遠くから「待て」の声を繰り返すのみであったというのが筆者のメモである。また、副審は前述のとおり目の前で進行する事態に対し手を左右に振り続けるのみ(極めに掛かった体勢の際、副審は中江の背中側でこれが見えた可能性は低い)で、歩み寄るどころか腰を浮かすこともなく、悪い言い方をすればその動作は「億劫」なものにすら見えた。

反則適用はIJF試合審判規定の「相手を傷つけたり危害を及ぼしたり、あるいは柔道精神に反するような動作をすること」との条文に基づくものと思われるが、であれば高校生が「傷つく」「危害を及ぼされる」事態に際して危険行為を止めること対しても、「待て」を理解させるという事に対しても審判団の動作は正直緩慢に思えた。

判定結果に異を唱えるものではないが、プロセスには釈然としないものが残る。大きな声での発声でも、「寄る」行為による視覚的介入でも事態は救える可能性が大いにあった。負けた中江、負傷を抱えて決勝に望む奥本、そしてそれぞれのチームにとってなんともやりきれない結末であった。

結果、決勝戦のカードは

埼玉栄 - 新田

という顔合わせとなった。

■ 決勝
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(写真:圧勝続きで決勝に進んだ埼玉栄高)

埼玉栄高は4年ぶりの決勝進出。チームの大黒柱、63kg級の主将・安沙好と昨年からポイントゲッターとなるべくじっくり育てられてきた超級選手の桒原佑佳というタイプの違うエース格2名で戦った高校選手権時メンバーに1年生の重量級選手冨田若春という最後のピースがプラスされたことで戦力バランスが高い平面で揃った。金鷲旗大会では意外なほどにあっさりしたパフォーマンスで上位に登りつめることなく敗退(ベスト16)したが、このインターハイではコンディション調整がしっかり嵌って3人ともに素晴らしいパフォーマンスを披露。1回戦は日本文理高(新潟)、2回戦は高知高(高知)、3回戦は小城高(佐賀)、準々決勝は沖縄尚学高(沖縄)を全て3-0という完璧なスコアで下して準決勝に進出すると、準決勝は沖学園高(福岡)を2-0で下し、この試合も無失点を保ったまま圧勝。仕上がりの良さに組み合わせの優位が乗算され、5試合を戦って14勝0敗1分けという圧倒的なスコアで勝ち上がった決勝の畳。

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一方の新田高は最激戦区からの勝ち上がり、そしてこちらも重量級の1年生の加入で総体の戦力が一段アップしたチーム。超級の大駒月波光貴穂が取って佐藤史織ら中量以下のファイタータイプが凌ぎながら追加の1点を狙うというこれまでの一点豪華主義の構成から奥本華月の加入で一気に本格派チームへと脱皮。1回戦で日大東北高(福島)を3-0と一蹴して周囲にこの布陣の完成度の高さを披露すると2回戦は金鷲旗2位の優勝候補・東大阪大敬愛高(大阪)を寄せ付けず2-0で圧勝。3回戦は初戦で金鷲旗3位の淑徳高(東京)を倒して勢いに乗る創志学園高(岡山)を1-0で手堅く下し、準々決勝は土浦日大高に2-0と余裕を持っての勝利。大成高との準決勝は月波が任を果たしきれず引き分けたが大将戦で反則勝ちを拾い、1-0ながら隙を見せることなく勝利。こちらもここまで無失点、8勝0敗7分という素晴らしい成績での決勝進出。

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(写真:決勝戦が開始される)

オーダー順は下記。

埼玉栄高 - 新田高
(先)冨田若春 - 佐藤史織
(中)安沙好 - 月波光貴穂
(大)桒原佑佳 - 奥本華月


埼玉栄と新田は2週間前の金鷲旗大会で対戦、新田高が1人残しで勝利している。この時のIHレギュラーの対戦成績は安が奥本と引き分け、冨田が佐藤と引き分け、月波が桒原に勝利というものであった。

盤面を見る限り、まず1点確実に織り込むことが可能なのは中堅ポジションでの新田の1点。安は意外性の一発の可能性を常に秘める面白い選手だが、月波が中量選手を手堅く殺す手段に長けていること、特に安の最大の勝負技である大内刈を崩れながらでも大内返に捕まえる柔らかいバランスがある型であることを考えると事前予測としては月波の1点獲得と考えるのが妥当、埼玉栄としては攻めながら引き分けることが手の届く限り最上位のシナリオという防衛ポジションになるはずだ。

桒原と奥本の大将戦はやってみるまでわからないところはあるが、技の組み立てが典型的な奥本が同タイプの桒原を倒すにはパワーで勝ることが絶対条件で、これは少々難しいシナリオと思われる。超級選手としてのキャリアとこの日の出来、そして奥本が準決勝で左肘を負傷しているであろうことを勘案すると、桒原優位と見るのが妥当。

となると勝負のポイントは先鋒戦の冨田-佐藤ということになる。
金鷲旗大会での戦いは佐藤が引き分けというゴールに向けて間合いを出し入れしながら試合を引っ張り、冨田がそれに乗ってしまったという形での引き分けだった。チームの勝利を考えれば無理にでも行かなければならない状況で最後まで冨田がスクランブルを掛けずに引き分けを受け入れてしまったという体の試合だったが、今日の冨田は絶好調。金鷲旗の様相を覆す可能性が十分にある。

この先鋒戦が金鷲旗の再現となって引き分けとなれば、仮に代表戦にもつれ込んでも代表戦になっても月波という大駒を持つ新田が最終的には有利、冨田が好パフォーマンスを持続してともかくもポイントを挙げさえすれば盤面は一気に埼玉栄優位に傾くというところ。勝敗の行方は先鋒戦に掛かる。

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(写真:冨田-佐藤の先鋒戦)

先鋒戦は冨田、佐藤ともに右組みの相四つ。冨田は身長165cm、体重100kg、対する佐藤は162cm、62kg。

引き手側から持った冨田、釣り手を高く上げて佐藤を牽制。佐藤の左手が釣り手に絡むと自身の左腕の上にその釣手を載せながら右大内刈、次いで右内股巻込に連絡。佐藤股中で捌き、バランスを崩しながらも先に潰れた冨田の背中の上に落ちて「待て」。経過時間は28秒。

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(写真:冨田の右払巻込、佐藤危うく腹ばいで逃れる)

冨田は佐藤に敢えて先に持たせて距離を詰め、次いで自身が持つという上から目線の組み手。佐藤が冨田の釣り手の袖を絞るが冨田これを利用して右払巻込。佐藤勢い良く畳に落ちるが相手の右側でなんとか腹ばいとなり、危うくポイント失陥を免れる。ここで佐藤に「指導1」宣告。経過時間は1分8秒。

奮起した佐藤は釣り手で片襟を差した右大外刈、右背負投、さらに奥襟を叩いた冨田の釣り手を切り離しておいての右袖釣込腰と攻勢。冨田やや慌て、両袖を絞られた状態を回避するために右払巻込に潰れる。経過時間は2分6秒、この中盤30秒は初めて佐藤が試合をコントロール。

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(写真:佐藤の右背負投と冨田の右大外刈がかち合う)

しかし再開早々に冨田が相手を引き寄せながらの巧い右大外刈を見せ、この取り味十分の技をきっかけに再び主導権は冨田へ。相手の右足を支釣込足の形で蹴って振り回し伏せさせ、2分30秒からは再び釣り手を頭上に高く掲げたまま前進。降って来る釣り手の恐怖に晒された佐藤は座り込みの背負投を合わせ続けて打開を図るが圧力に抗せず3分6秒「場外」の判断で「指導2」、さらに3分14秒には「指導3」を受けてしまう。

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(写真:冨田の右大内刈が決まり、「一本」)

佐藤片襟の右背負投、しかし冨田は左小外刈に切り返して体を捨て、佐藤は僅かの距離の差で力の圏外に逃れて腹ばいで畳に落ちる。体力差が出始めたこともあり、佐藤はやや集中が切れてきた感。

ここで引き手で袖、釣り手で奥と冨田が完璧な形を作り上げる。形勢の悪さにやや佐藤の腰が浮いた感あり、窮したその下がり際に冨田が得意の右大内刈一閃。佐藤残せず思い切り畳に倒れ「一本」、3分40秒。

埼玉栄が貴重な1点先制。冨田はこれで全勝、全試合一本勝ち達成。

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(写真:安-月波の中堅戦)

中堅戦は埼玉栄・安が右、月波が左組みのケンカ四つ。
月波両襟を握って左払腰、さらに肩越し、奥襟と釣り手を持ち替えながら前進。安は抗えず場外に出てしまい、45秒、「場外」の判断で安に「指導1」。

月波再び前進、安は場外に向かって右内股を仕掛けるが月波落ち着いて回し潰して「待て」。

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(写真:月波の小外刈)

月波は前進継続、安は右背負投で展開を保とうと試みるも心得た月波は左小外刈を放って迎え撃ち、安は腹ばい。ほぼ同じ展開が2度続き、1分30秒に安に2つ目の「指導」。

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(写真:安がケンケンの大内刈)

直後の組み際、釣り手で強気に奥襟を叩いた安が右大内刈。タイミングも深さも絶妙、さらに一歩踏み込んでケンケンで追い込みに掛かるが、月波は踏みとどまって耐え切る。

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(写真:月波が首を抱えて左払腰「技有」)

観客席の歓声と悲鳴が交錯する中、安は脇を差してもう一段の攻撃を企図、しかしいち早くバランスを立て直した月波は安の首を抱えて左払腰を合わせる。技を出し切った後、次の攻防に移るまでのエアポケットに入り込んでいた安はこの技をまともに食って一回転、なんとか身を捻ったものの初動の勢いに逆らえず、「技有」。経過時間は1分36秒。

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(写真:月波が大内返で2つ目の「技有」獲得)

あと1つの「指導」獲得で総合勝ちが決まる月波、場が荒れたこの状況をチャンスと見て再び激しく前へ。もはや攻めるしかない安は再び得意の右大内刈を合わせて会場再び大いに沸くが月波これを抱いて迎え撃ち、゛ランスを崩しながらも大内返一閃。安は身をねじり側面から落ちたかに思われたが月波いち早く体を浴びせて押し込んみ背中をつかせ「技有」、1分36秒。これで合技「一本」、月波の勝利が確定。

試合は1-1のタイスコアとなり、勝敗の行方は大将戦へと持ち込まれることとなった。

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(写真:桒原が圧力、奥本の頭が下がる)

大将戦は桒原、奥本ともに右組みの相四つ。

桒原両襟を掴んで圧力。頭の下がった奥本は抵抗出来ず。しかし桒原ここはまず「指導」の獲得というシナリオを狙ったか敢えて具体的な技を出さず、腰を切る牽制で圧力継続。奥本がこの形のまま耐え続けると17秒に主審が「待て」を宣告。ブロッキングを行ったとの判断で桒原の側に「指導」が与えられる。展開の膠着を企図したということでこの判断はまずまず妥当、やや「楽をして」得点を狙った桒原に罰が与えられる形となった。

思わぬ「指導」を失ったものの以後も桒原の優位は変わらず、奥本は苦しい試合が続く。
30秒を過ぎて桒原が釣り手を肩越しに入れて圧力。奥本は頭を下げたまま、敢えて持たずにいた引き手で脇を差して迎撃体勢。

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(写真:桒原の右払腰「一本」)

ここで勝負を決意した桒原は背中をグイと握りなおして右大外刈。奥本腰を抱いて迎え撃つが初動で右側に大きく崩され耐えるだけの足幅が確保できない。たたらを踏んで右へ逃れようとするが桒原は右払巻込に連絡して潰しに掛かる。逃げ場のない奥本に腰を抱かせたまま巻き込むと奥本グシャリと膝を折って畳に転がり、「一本」。経過時間41秒。

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(写真:優勝決定の瞬間。埼玉栄ベンチは大喜び)

最終スコア2-1。この瞬間、埼玉栄高4年ぶり3度目の優勝が決定。6試合を戦って16勝1敗1分けという圧倒的な勝利だった。

【決勝】
埼玉栄高 2-1 新田高
(先)冨田若春○大内刈(3:40)△佐藤史織
(中)安沙好△合技(1:55)○月波光貴穂
(大)桒原佑佳○払巻込(0:41)△奥本華月

試合終了直後、畳上で3年生の安、2年生の桒原、1年生の冨田が抱き合って感涙にむせぶと観客席からは大拍手。今大会一番と言って良い長く、大きな拍手が会場を包んだ。

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(写真:畳を降りる桒原を迎え、感涙にむせぶ3人)

埼玉栄は「インターハイしか考えていなかった」との本松好正監督の一点突破戦略が見事当たっての優勝達成。高校選手権は独走した敬愛の逆サイドでの3位、金鷲旗ではベスト16というこれまでの成績だけを見ればまたしても"本松マジック"発動と評したいところだが、今回の成功は瞬間芸的なニュアンスの強い"マジック"や"戦術"という言葉よりはよりスパンの長い"戦略"という言葉で括られるべきだ。なにより評価されるべきは下準備。埼玉栄の長期に渡るチームマネジメントの上手さ、目標を設定して淡々とそこに向かって為すべきことを見定め、それを積み重ねる目的意識の高さと実行力が結実しての戴冠であった。

まず昨夏のインターハイで78kg級の強豪選手として一旦まとまっていた桒原佑佳の体格、柔道のスケールアップ。昨秋「一旦柔道を壊す」と明言していたとおり、全国大会上位の超級同士の対戦を見据えてサイズアップを指示。当初は身体把握がついて行かず掛け潰れが増え、一言で言って柔道のバランスを崩した状態。得点力はむしろ低下し目標としていた高校選手権にもいま一歩間に合わなかった印象だが、成長が追いついた今大会では貴重な超級のポイントゲッターとして爆発力と安定感を見せつけ優勝に大きく貢献した。昨夏の時点から常識的な成長曲線を描いたとしても十分強い選手でありえたとは思われるが、63kg級の安を押し立てるチーム構成の中では超級同士の対戦で1点獲得できる選手の育成は必須。あくまで上位対戦でポイントゲッターとして機能させるため一段上のレベルを求め続けた長期戦略、育成期間である秋季、冬季の勝ち負けをある程度「捨てた」その引き算の上手さと信念がまず評価されるべきだろう。

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(写真:試合直後の埼玉栄チーム)

次に徹底してインターハイにのみフォーカスした調整日程。本松監督は「金鷲旗も狙おうと思えば狙えたが、あくまでインターハイを狙うための調整の場として位置づけた」と述懐。大会前に選手に「申し訳ないけど金鷲旗は練習の場ということで納得してくれ」と語りかけ、金鷲旗以後は男女ともに福岡に居座っての長期合宿を敢行。「2つ狙うのは無理だがきちんと調整すればインターハイは奪取可能」との目論見通り、金鷲旗で活躍した有力各校がプレッシャー、疲労、負傷と様々な要因で潰れていく中で見事ピークを今大会に合わせて圧倒的なパフォーマンスを発揮した。特に春から負傷を抱え続けていた冨田をギリギリまで試合に使わず、テスト起用した金鷲旗でも「無理をさせなかった」その割り切りぶりは見事であった。

そして団体戦の勝利にどうしても必要なチームワークの醸成のため、移動や食事などの行動を全て共にさせて意思の疎通を図らせたとのこと。レギュラー3人全員が学年が違うチーム構成の中でこれはかなり効いた模様だ。

目標設定、育成、調整、コミニュケーション。と書くのは簡単だが、気負うことなく勝利に必要なことを割り出し、そしてチーム力を勘案しての現実的な取捨選択、何よりその実行、と大会レギュレーションの違いと過密日程に振り回される強豪が多い中で埼玉栄の「勝負」の巧さは際立っていた。特にその「引き算」の判断の確かさには凄みすら漂う。埼玉栄の優勝の因に組み合わせの良さを挙げる評価を多く耳にしたがむしろこれは最後のピース、為すべき準備を為した上で最後に嵌った一要因(決して小さい要因ではなかったが)に過ぎなかったのではないかとすら思われる。

地元で集大成の時を迎えるはずだった大本命・敬愛の陥落、充実が謳われた東大阪大敬愛の早期敗退、そして準決勝の大激戦で新田を勝利させしめた反則裁定と今大会もまことにドラマに満ちていたインターハイ団体戦は、ダークホース・埼玉栄の圧勝という結果で幕を閉じた。3人制の過酷さ、そして「チームを作る」ことと団体戦の妙味を再び我々ファンに知らしめる、すばらしい大会であった。

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(写真:優勝の埼玉栄高)

【入賞校】
優勝:埼玉栄高(埼玉)
準優勝:新田高(愛媛)
第三位:沖学園高(福岡)、大成高(愛知)
優秀校:沖縄尚学高(沖縄)、國學院大栃木高(栃木)、敬愛高(福岡)、東海大第四高(北海道)

本松好正・埼玉栄高監督のコメント
「インターハイだけを狙っていました。金鷲旗はオーダー順次第では勝つ目もある、具体的な策も導きだせていたのですが、我慢してこの大会に賭けました。選手にもそのことを話して『金鷲旗は練習に使う』と納得して貰いました。インターハイで勝つという選手の強い気持ち、これを実現するにはこれしかないという思いでした。今大会の組み合わせは確かに悪くなかったですが、そこで取りこぼしては何にもならない。安が『新田の方が戦いを組み立てやすい』というのでまずお前達がしっかりやることだ、ちゃんとやっていればそういう風に転がってくるぞと話したのですが、その通りになりましたね(笑)。金鷲旗以後埼玉に帰らず福岡に居残っての調整でしたが、男子の団体と個人(100kg級で渡辺大樹が優勝)の仕上がりを見て、これは疲れていない、いけると確信が持てました。3人が全員学年が違うので移動の車も食事も一緒にさせて意思の疎通を図らせたのも大きかったと思います。仲の良いチームになりました。三冠を獲るのは本当に大変なので、成し遂げた先輩達のためにも絶対に(敬愛に)獲らせない、という思いもあったかと思います。本当に良く頑張ってくれました」

【準々決勝】

埼玉栄高(埼玉) 3-0 沖縄尚学高(沖縄)
沖学園高(福岡) 2-1 國學院栃木高(栃木)
大成高(愛知) 2-1 敬愛高(福岡)
新田高(愛媛) 2-0 東海大四高(北海道)

【準決勝】

埼玉栄高 2-0 沖学園高
新田高 1-0 大成高

【決勝】

埼玉栄高 2-1 新田高


※ eJudo携帯版「e柔道」およびeJudoメルマガ版9月24日掲載記事より転載・編集しています。
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