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インターハイ柔道競技男子団体戦マッチレポート準々決勝~決勝

(2013年9月11日)

※ eJudo携帯版「e柔道」およびeJudoメルマガ版8月17日掲載記事より転載・編集しています。
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インターハイ柔道競技男子団体戦
マッチレポート 準々決勝~決勝 1/3
三冠狙う東海大浦安も陥落、ベスト4は崇徳、修徳、作陽、国士舘
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(写真:大一番に臨む修徳高)

修徳高 - 東海大浦安
(先)前野玲音 - 折原虹之介
(次)佐藤竜 - 前田宗哉
(中)小川雄勢 - 村田大祐
(副)坂口真人 - 粟野孝平
(大)原澤脩司 - ウルフアロン


準々決勝最大の注目対決は修徳高と東海大浦安高が戦うBブロックの一番。

修徳高のポイントゲッターは先鋒前野、次鋒小川、副将坂口。一方の東海大浦安は次鋒前田、中堅村田、大将ウルフ。
ポイントゲッターが被っているのは中堅ポジションの小川-村田戦の1試合のみ。当然ながらこの中堅戦が大きなポイントになる。

盤面通じて得点確実と見込んでいいのは東海大浦安が次鋒前田と大将ウルフの2ポジション、一方の修徳は副将坂口の1ポジションのみで、折原を相手にする前野と村田を相手にする小川は乗り越えなければならない仕事のハードルが高い、チャレンジとなるポジション。

副将と大将の後半戦は双方1点づつの積み上げがあると仮定して、勝負はどう考えても前半3試合。ここでリードを得たほうがそのまま勝利となる可能性が非常に高い。

修徳としてはまず先鋒前野が得点を挙げることが絶対条件。次鋒佐藤は前田を相手に少しでもダメージ少なく、出来ることなら引き分けで試合を終え、中堅小川がそのサイズを利して、大型選手へのもろさを持つ村田を相手になんとか勝利をもぎとって副将の坂口へ繋ぐというのが勝利のシナリオ。この場合勝敗を分けるポイントはポイントゲッター同士がマッチアップする中堅戦だ。引き分けに終われば浦安有利、修徳としては得点が是が非でも必要。ミッションとしては厳しいが、対戦相性的に実現は決して不可能ではないというところ。

一方の東海大浦安としては、折原で引き分け、あわよくば奇襲の一撃で勝利をもぎ取り、次鋒戦で前田が得点、中堅戦はリスクなく戦って引き分けさせ、「ウルフが1点取れば勝利決定」というバックグラウンドを作り上げた上で副将以下に繋ぐというのが勝利のシナリオ。

修徳のシナリオは十分実現可能なところにあるが、順行運転で試合が進む限り、より勝利の確率が高いのは東海大浦安。1試合1試合の選手の出来、相性がチームの勝敗に直結する、勝負の天秤上の、いずれにも傾く位置に両軍の選手がバランスされた好カードだ。

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(写真:折原、思い切った右大外刈で「技有」獲得、修徳の出端を挫く)

先鋒戦は修徳・前野、東海大浦安・折原ともに右組みの相四つ。
ポジションとしては修徳・前野が取りに行き折原が守るという位置づけのはずだが、しかし開始15秒、折原が右釣り手を自身の左腕に乗せた防御の組み手から一転、思い切った右大外刈。思い切り自体が技の「作り」とでもいうべき、この踏み込み深い一撃で前野後方に巻き込まれて落ちこれは「技有」。

王者に挑む相手がどうしても欲しい第一戦、その出端、相手の緊張解けぬところ、そしておそらくは自身の不利が予想される中で力関係が明確になる前に繰り出したこの痛打、「喧嘩がわかっている」としかいいようのないこの見事な一撃に東海大浦安サイドは大いに沸く。

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(写真:前野が前進して圧力、折原は苦しい場面が増える)

ビハインドを負った前野はしかし慌てず、冷静に圧力を掛け続ける。折原は両袖からの右袖釣込腰、変則の左袖釣込腰で展開を保つが、奥襟を叩いて来る前野に対して右釣り手を自身の左腕に乗せて耐える展開が増え始め、2分8秒に片襟の「指導1」。展開の良く見えている前野、続くシークエンスでもすかさず釣り手で奥襟を叩き、僅か12秒後の2分20秒に同じく片襟で2つ目の「指導」が折原に宣告される。

結局この試合は2分55秒に折原に対する4つ目の「指導」宣告で決着。前野が反則で勝利、修徳はどうしても欲しいポジションで、それも「一本」相当の1点獲得で先制。

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(写真:前田が大外刈、佐藤は掬投で迎え撃つ)

次鋒戦は修徳・佐藤、東海大浦安・前田ともに右組みの相四つ。
前田、「始め」の声が掛かるなり突進して肩越しに釣り手で背中を掴む。佐藤は右背負投でこの体勢をクリア。
前田は大外刈、佐藤が崩れると横三角と激しい攻撃を連続。佐藤必死の防戦も、1分過ぎに「指導」、さらに前田に頭を下げられた1分52秒には2つ目の「指導」が宣告される。

不利な体勢からでも背負投を打ち込んで反撃姿勢を崩さない佐藤にやや手を焼き始めた前田、直後のシークエンスで手立てを変えて引込返。佐藤をめくり返すと横四方固に繋ぎ「抑え込み」が宣告される。

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(写真:抑え込まれた佐藤が逆に前田を横四方固、前田は必死で逃れ「解けた」)

しかし佐藤はあくまで抵抗を止めず「鉄砲返し」で抗い続ける。前田思わぬ抵抗に必死に抑え込みを継続するが、佐藤なんと数度目の鉄砲返しで体勢を入れ換え、逆に前田を横四方固で抑え込む。歓声と悲鳴、怒号が交錯する中今度は前田が必死で逃れ、5秒で「解けた」が宣告される。経過時間は2分31秒。

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(写真:前田が右大外巻込で「技有」獲得)

残り1分を過ぎたところでついに前田が得意の右大外刈で佐藤の右膝を捕まえる。佐藤は体を前に倒し、さらに体を開いて我慢するが入りが深すぎて耐え切れず、あくまで体を捨てる前田が強引に巻き込み切って3分12秒大外巻込「技有」。

佐藤、残り時間も巴投、背負投と技を打ち込み続けて前田に追加点を許さずタイムアップ。前田が優勢勝ち、しかし1年生のファイター佐藤が度胸と粘りで一本勝ちを許さなかったということで盤面は修徳優位の状況のまま、1-1、内容差で修徳がリードというスコアで試合は中堅戦へと引き継がれる。

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(写真:小川が圧力、村田が凌ぎながら技を仕掛けるという展開)

中堅戦は修徳・小川雄勢が左、東海大浦安・村田大祐が右組みのケンカ四つ。
村田がまず右内股、小川は左内股で切り返すというオープニング。村田は背負落で攻めの形を作りつつ引き手争いを進める。小川は引き手争いの中なかなかしっかり圧力を掛けられないが、前進が評価されて村田に「指導1」。

小川は両襟を握って圧力を掛け、左大外刈に左小外刈、村田は右背負投に朽木倒で攻めあう中で2分30秒に小川に「指導1」。タイスコアのまま試合は終盤戦へと持ち込まれる。

残り1分を過ぎて小川ややペースを上げ、両襟の支釣込足で村田が崩れると見るやハンドルを切りながら組み手とは逆の右への内股で場外ながら「一本」級の投げで村田を転がす。

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(写真:小川が隅落で「有効」獲得、残り数秒で試合の盤面がひっくり返る)

このまま引き分けが濃厚かと思われた残り数秒。小川のケンケン大内刈を受けた村田は、返す刀で右内股。小川の攻めのプレッシャーが村田の判断を誤らせたか、それとも盤面を睨んで引き分けでは不十分と計算したか、大型選手の小川相手にやってはいけない片足の前技。小川待ってましたとばかりに釣り手側に体を捨ててめくり返すとこれは「有効」。

この「有効」宣告とほぼ同時にタイムアップ。わずか数秒で盤面の様相は激変、修徳が勝利への必須条件、そしてもっとも困難と思われた2点目を獲得してスコアは2-1、試合は高い確率で「1点ずつ取り合う」はずの後半戦へ。

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(写真:坂口が粟野を出足払で伏せさせる)

副将戦は修徳・坂口が左、東海大浦安・粟野が右組みのケンカ四つ。
序盤は払腰の仕掛け合い。坂口は落ち着いた様子で出足払を入れて粟野を崩し、引き手争いを優位に進める。

1分20秒過ぎ、引き手争いを縫って坂口が左内股。これは粟野が両手を突いて耐え切ったが、間合いを掴んだ坂口は左小内刈、左出足払で呼吸を整えると1分50秒に再度の左内股。引き手が切れたがインパクトで浮いた両者の体はともに畳に落ち、これは「有効」。

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(写真:坂口の左内股が決まって「一本」、修徳の勝利が決まる)

このまま試合が終われば3点獲得で修徳の勝利が確定する。もはや行くしかない粟野、片手の内股を仕掛けつつチャンスを伺うが、冷静にこれを観察した坂口、粟野の弾幕が止んだ3分25秒に鋭い左内股。

飛び込んだ一撃のインパクトで粟野の体は既に中空、もはや受身を取るしか選択肢がない状態。粟野は坂口のイメージする軌道に逆らえないまま宙を舞い、激しく畳に落ちて文句なしの「一本」。

この瞬間、修徳の勝利が確定。そして12年3月の高校選手権以来ここまで全国大会5連続優勝、今大会で2年連続の三冠獲得に挑んだ王者・東海大浦安の敗北が確定した。

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(写真:ウルフアロンが小外刈「一本」)

大将戦は修徳・原澤脩司に対し東海大浦安・ウルフアロンがマッチアップ。
悔しさを押し殺して畳にあがったウルフはまず組むなりの左大内刈で「有効」。さらに1分18秒に左小外刈で「一本」獲得。まったく表情を変えないまま勝ちの宣告を受ける。

5戦終了。最終スコア3-2でこの試合は修徳高の勝利に終わった。

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(写真:勝利決定、観客席の大騒ぎを見て笑顔を浮かべる修徳の選手たち)

修徳高 3-2 東海大浦安
(先)前野玲音○反則(2:55)△折原虹之介
(次)佐藤竜△優勢[有効]○前田宗哉
(中)小川雄勢○優勢[有効]△村田大祐
(副)坂口真人○内股(2:21)△粟野孝平
(大)原澤脩司△小外刈(1:18)○ウルフアロン

修徳勝利の因の第一は、大森淳司監督が明らかに打倒浦安を意識して組んだオーダー順の妙。大将ウルフにポイントゲッターをぶつけることは避け、先鋒にエース前野を起用して折原(折原の先鋒起用も規定路線としてほとんどの監督が読みきっていたはずだ)を潰し、高い確率で村田大祐が起用されるはずの中堅には村田の苦手な「サイズがあってリスクを冒さない」パワータイプの小川を起用した。
浦安が駒として手元に残しておいた前田が副将に入った場合はポイントゲッター坂口の得点の目が薄くなることになるが、その場合は敵の次鋒は粟野か山寺裕斗ということになり、組み手の完成に手順を要するこのタイプの重量選手には、どの形からでも担ぎ技を仕掛け続けるファイター佐藤の柔道がガッチリ噛み合う。オーダー開示を見た時点で各チームの監督たちが「修徳が来るかもしれない」と唸ったのもうなずける、対戦相性まで練りに練られた「浦安殺し」の好オーダーだ。

第二はもちろん選手の頑張り、特に90kg級高校王者の前田にあくまで一本勝ちを許さなかった1年生次鋒の佐藤の粘りと、「技有」ビハインドに慌てず反則4つを取りきった前野の冷静さを挙げておくべきだろう。

冷静さと試合を見る目に長けた中堅村田が残り数秒で勝負に「出てしまった」のは眼前の小川のプレッシャーよりも、内容差ビハインドで後半に襷を渡さねばならないというその盤面の不利を考えてのことだろう。であればこれは佐藤の粘りが直接に作用してのことである。事実上の決勝点となった小川の「有効は小川1人の功ではなく、前野と佐藤が作った状況の積み上げが生んだ、チーム全体で奪ったポイントであった。

そして前野。前野に対する折原の先制の一撃は、王者の戦い方としては完璧であった。王者相手にどこまで出来るか、という修徳の不安の中、4人でリードを作るという長い射程でのその目論見に対し、いきなりそれらすべてを壊す一撃。わずか15秒で盤面全体を決してしまうほどのインパクトのある一撃であった。ここで動揺を見せずにあるべき力関係に天秤を引きずり戻し、かつ仕事を果たした前野の落ち着きと地力は素晴らしい。先鋒、次鋒、中堅と試合を事実上決したこの3試合すべてには試合全体を揺らす勝負のポイントがあり、修徳はそれをことごとくモノにした。狙いに狙ってのジャイアントキリング、素晴らしい戦いであった。

一方の東海大浦安。不利な状況で圧力を受けた場合の折原の試合の最構成力、固定までに時間の掛かった5番手、とシーズン通じての課題が払拭できなかった点、また村田がサイズのある相手との戦いでの脆さを匂わせつつも夏まで持たせたきたその潜在的弱点が土壇場に来て決壊したという見立て、と敗因を挙げることは出来るが、大枠選手は力を出し切り、ミスと呼べるようなミスはなかった。この試合に関してはむしろ修徳の善戦を称えるべきかと思われる。

ただ、各校にオーダーをほぼ完全に読まれた点、それ以上にオーダー順が「これしかない」というところまで組み合わせが限定されるほどに、選手のタイプが異なる、凹凸のある集団であったという事情はひとつ挙げておきたい。それでも高校選手権、金鷲旗と全国大会を連勝するだけの力はあったが、オーダーを読みきられた上で、そして各校に完全にターゲットにされる状況でもなお勝ち抜くだけのタフさ、歴代三冠チームに連なるだけのたくましさには一歩足りなかったと総括したい。

荒れるインターハイ、ついに王者・浦安まで姿を消すこととなり、Bブロックからは修徳がベスト4進出決定。

東海大浦安高・竹内徹監督のコメント
「オーダー的はどちらが勝っても1点勝負だと思っていました。修徳さんの執念が勝ったということだと思います。前田が一本勝ちできれば流れが変わったと思いますが、佐藤選手があそこで抑え込みを返したのは本当に立派。村田は引き分けではこの先が厳しいということをわかって取りに行ったのだと思います。仕方がありません。プレッシャーもあったし、選手は本当にきつかったと思います。これまでギリギリで勝ってきたチームですが、今日はいいところが出せなかった。悔しいですが、終わったことは仕方がない。しっかり切り替えて個人戦で頑張ってもらいます」

◇      ◇      ◇
崇徳高 2-1 大牟田高
(先)野々内悠真×引分×八木拓巳
(次)香川大吾○払腰(3:03)△山口智広
(中)山本健太△優勢[指導2]○迫村一輝
(副)三村暁之○合技(2:11)△菊池洵那
(大)貫目純矢×引分×田中力也


Aブロックは前戦でアップセットを演じた崇徳が順当に勝ち抜け。
前戦大活躍した中堅山本健太が「指導2」で一点を失ったが、ポイントゲッターの次鋒香川と副将三村が一本勝ち。ビハインドを負う場面のないまま順当に準決勝進出を決めた。

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(写真:安田隼人が一本勝ち、作陽は選手、ベンチ、観客一体となって大いに盛り上がる)

作陽高 2-1 天理高
(先)安達健太○優勢[有効]△副島望夢
(次)小野翼×引分×並里樹
(中)安田隼人○横車(3:34)△村上陣亮
(副)野地優太△優勢[指導3]○西尾徹
(大)寺尾拓真×引分×古田伸悟

混戦のCブロックからは作陽がベスト4に名乗り。天理の副将西尾の前に2点以上獲得というミッションを成し遂げるべく、中堅安田隼人が村上陣亮から横車で「一本」獲得。反撃を西尾の「指導3」優勢の1点に抑えて3-1で準決勝進出を決めた。

国士舘高 4-1 東海大甲府高
(先)森翔平△腕挫十字固(2:36)○中川将嗣
(次)片山大旗○横四方固(1:56)△山本雄太
(中)吉良儀城○後袈裟固(1:36)△清水圭三郎
(副)江畑丈夫○優勢[指導3]△藤田矩明
(大)田崎健祐○内股(0:29)△坂牛つばさ


国士舘は大差でのベスト4入り決定。ここまで絶好調の東海大甲府は先鋒の中川将嗣が腕挫十字固「一本」で森翔平を下して先制点を挙げたが、国士舘は次鋒の片山大旗の横四方固「一本」であっさり追いつくとあっという間の4連勝。この段に至るまで主将・磯田範仁を温存することにも成功し、余裕を持ってのベスト4入り。

結果決まった準決勝のカードは、

崇徳高 - 修徳高
作陽高 - 国士舘高

の2試合となった。


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