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金鷲旗全国高校柔道大会・女子マッチレポート

(2013年8月18日)

※ eJudo携帯版「e柔道」およびeJudoメルマガ版8月5日掲載記事より転載・編集しています。
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金鷲旗全国高校柔道大会
女子マッチレポート 1/4
1回戦~5回戦
5人制抜き試合で高校柔道日本一を争う平成25年度金鷲旗高校柔道大会は21日開幕、22日からは男子に先んじて女子の競技が行われた。

優勝候補筆頭は3月の高校選手権を制し今大会では2連覇を狙う地元・福岡の王者敬愛高(福岡)。岡史生、山口凌歌、堀歩未と揃った重量3枚に全日本ジュニア57kg級覇者の芳田司、新戦力の梅津志悠、補欠にも長身で取り味のある飯島彩加と全日本カデ57kg級2位の立川莉奈を備えてその戦力の分厚さはまさに他を圧するものがある。

高校選手権2位でグランドスラム東京63kg級王者の津金恵と高校選手権57kg級王者の出口クリスタを擁する松商学園高(長野)も対抗するには軽量に過ぎ、総合力で敬愛に対抗できるチームは見当たらない。

抜き試合という女子では今大会のみで採用されr特殊なレギュレーションを考慮に入れると、唯一対抗できる可能性があるのは78kg超級全日本強化選手朝比奈沙羅を擁する渋谷教育学園高(東京)ではないかと思われるが、アウェイの地・福岡で行われた組み合わせ抽選の結果は、「渋谷シフト」とでも言うべき厳しい配置。

高校選手権に出場しておらずノーシード扱いの渋谷教育学園渋谷高は決勝まで敬愛と対戦のないEパートに配されたが、このパートのシードチームは第2シードの松商学園。この2チームの混在だけでも大変な組み合わせだが、ここに「台風の目」候補、昨年中学柔道界を席巻した最強世代がそっくり繰り上がった大成高(愛知)も配されてまさにEパートは「死のブロック」。

渋谷教育学園渋谷が勝ち上がるには予選の段階で大阪の強豪星翔高、さらに大成、そして松商学園と立て続けに対戦せねばならず、勝ち上がると準々決勝は高校選手権東京予選で渋谷教育学園渋谷高を破っている強豪・帝京高(東京)とのマッチレースが控えている。おそらく勝ち上がる段階で朝比奈はヘトヘトに疲弊するであろうというのが大方の見方だ。

勢い注目対決は強豪が、それも手堅いだけではなく力関係を超える「確変要素」というべき面白さを持ち合わせたチームが集中して配されたEパートに集まる。

敬愛は先鋒に起用した飯島が5回戦までに9勝2敗2分、次鋒に配した立川が4勝2分と大活躍。2回戦の千葉明徳(千葉)、5回戦の大垣日大高(岐阜)と山場はあったがそれぞれ3人残しで順当に勝ち上がり、中堅以降は堀歩未が1回畳に上がったのみで順当に準々決勝進出。

もう片方の雄と言われた渋谷教育学園渋谷の配されたEパートから注目対決を2試合抜き出してみたい。


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(写真:4回戦、大成の次鋒鈴木伊織が伴美弥子を攻め、「指導2」で勝利)
【4回戦】

渋谷教育学園渋谷高○1人残し△大成高
(先)千葉未来×引分×黒木七都美(先)
(次)伴美弥子△優勢[指導2]○鈴木伊織(次)
(中)渡辺心実×引分×鈴木伊織(次)
(副)柿沢史歩×引分×鍋倉那美(中)
(大)朝比奈沙羅○優勢[指導2]△中江美裕(副)
(大)朝比奈沙羅○優勢[技有]△月野珠里(大)

4回戦最大の注目対決は渋谷教育学園渋谷高が勝利。
先鋒戦は千葉未来が黒木七都美の攻撃意図を早い段階で潰し続けて、やや緊張気味の黒木が展開を受け入れてしまい、詰め切れないまま引き分け。

次鋒同士の対決は大成・鈴木伊織が右大内刈、右背負投に袖釣込腰と良く攻めて伴美弥子から1分50秒、2分42秒と2つの「指導」を奪って優勢勝ち。鈴木を渡辺心実が引き分けで止め、大成は抜き役を担うべき63kg級全日本カデ王者鍋倉那美が畳に上がる。


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(写真:柿沢史歩が右内股、中盤以降鍋倉那美はこれに対応しての掬投に追われる)
鍋倉は渋谷教育学園渋谷の副将格である柿沢史歩とマッチアップ。両袖の右内股、肩越しに釣り手を抱えての隅返と繰り出すが柿沢は淡々と捌き、寝技、先手攻撃と鍋倉に山場を与えない。中盤からは柿沢が釣り手を肩越しに入れて大内刈、内股と繰り出して鍋倉は後の先の掬投に内股透と攻めるというよりは対応に追われる感あり。試合は柿沢ペースのおそらくは「山場を作らない」という意図に嵌ったまま終了し、両者ノーポイントの引き分け。大成の1人差リードで試合は第5試合へと引き継がれる。


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(写真:朝比奈沙羅が中江美裕が放った両袖からの右大外刈を引き落とし返す)
渋谷教育学園渋谷は大将の朝比奈が登場、大成は試合をまとめるべく11年全中70kg級王者の中江美裕が畳に上がる。

朝比奈は支釣込足を中心に攻め込んで1分47秒中江に「指導1」。しかし柔道の線の太い中江は以後朝比奈の動きを封じつつしぶとく攻め続けて試合は拮抗したまま終盤戦。しかし残り37秒、右体落に中江が潰れたところで偽装攻撃の「指導2」が宣告される。中江右大外刈で攻めに出るが状況が良く見えている朝比奈に逆に返されかかり、そのまま試合終了。朝比奈が「指導2」による優勢で勝利し、試合の行方は大将同士の対決へと持ち込まれた。


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(写真:朝比奈沙羅が月野珠里から大外刈「技有」を奪う)
大将同士の対決は大成唯一の3年生レギュラー月野珠里が強さと巧さを発揮、右大外刈で攻め続け、返し狙いの構図にはまった朝比奈に対し1分31秒「指導1」。しかし朝比奈が足を振り上げて右大外刈の牽制を見せゆつ前に出始めた中盤からペースは完全に朝比奈に移り、2分48秒には右大外刈から右払巻込に繋いで「技有」奪取。

朝比奈は気力の挫けた月野に対し、一発の恐怖を晒しながら優位に試合を進め続けてタイムアップ。渋谷教育学園渋谷高が1人残しで最初の山を抜けた。

大成は中量、軽量選手中心ながらその戦力は粒揃い。しかしこの試合は持ち味の攻撃意欲が鳴りを潜め、どこか相手をリスペクトしたおとなしい試合に終始した。その象徴は中堅のエース・鍋倉。相手の柿沢は強敵だが後ろの戦力配置を考えれば1人でも多く朝比奈に当てるべく必死で抜きに行かねばならない場面のはずだったが、淡白な攻めで引き分け。中江1枚で十分止められるという計算、そして実際に中江が食った2つ目の「指導」が微妙であったことで鍋倉の「試合を壊さない」意図は正当と捉えることが出来るかもしれないが、持ち味のガツガツした攻撃意欲、どこからでも投げの飛び出す貪欲さを失った大成は魅力半減。先鋒黒木の1試合目、次鋒鈴木の2試合目、そして鍋倉とおっかなびっくり試合を進めるような「らしくない」大成は、朝比奈にとってはもはやさほど怖いものではなかったのではないだろうか。中江の食った「指導」は、具体的な状況以上にこの流れがその裁定を後押ししたものだったように思われる。

あるいは旋風を巻き起こすかと思われた大成、健闘むなしく4回戦で敗退。今回で高校カテゴリの全国大会という貴重な経験を一度経た上での、インターハイでの本領発揮に期待したい。

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(写真:全国高校選手権2位の松商学園高。次鋒に出口クリスタ、副将の津金恵を配する)
【5回戦】

好カードが揃ったパートファイナル(5回戦)、最大の注目対決も渋谷教育学園渋谷絡み。高校選手権2位の松商学園高とのハイレベル対決だ。
オーダー順は下記。

渋谷教育学園渋谷高 - 松商学園高
(先)千葉未来 - 武居沙知(先)
(次)伴美弥子 - 出口クリスタ(次)
(中)渡辺心実 - 原淋々子(中)
(副)柿沢史歩 - 津金恵(副)
(大)朝比奈沙羅 - 小野華菜恵(大)

渋谷教育学園渋谷は絶対のエース朝比奈が大将に控え、その前に強豪を止め得る「壁」として好選手柿沢を配置。

一方の松商学園はなんと言っても次鋒の出口、副将津金というそれぞれ57kg級、63kg級のジュニア世代きっての強者が抜き役ということになる。
勝負のポイントは松商学園が何枚、それも大駒を残して朝比奈に当たることが出来るかの一点に尽きる。

出口は57kg級、津金は63kg級だが大型選手に我慢が効き、かつ担ぎ技という大型選手用の武器を持つのは体重の軽い出口の方。ただし出場順は出口が先で、となると松商学園が描く絵は出口で抜き、津金で分けるというシナリオしかない。軽量同士なら十分ポイントゲッターとして機能する先鋒武居も含めた3人で勝ちを重ねて朝比奈に「数」で対抗出来るか、はたまた渋谷教育学園渋谷が手堅く試合を進め、あっさり朝比奈で勝負を決めるのか。
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(写真:出口クリスタが内股から自身の腰を相手の股中に突っ込み、伴美弥子から「技有」奪取)
先鋒戦は松商学園・武居が長身から左内股を繰り出して大枠試合を支配するが、千葉未来が釣り手を畳んでの右体落で良く抗して試合展開に差をつけさせず。両者ノーポイントのまま引き分け。

第2試合の次鋒対決にはいよいよ松商学園の「一の矢」出口クリスタが登場。渋谷教育学園渋谷の伴美弥子に対して開始早々に釣り手で横から背中を抱えた右内股、伴はこれをまたいで回避するが、出口は技をあきらめず一旦膝をついたところから立ち直し、背負投よろしく股中に腰を入れて相手を前に送って投げ切り「技有」、ここまで僅か32秒。
出口はさらに右体落、右内股と立て続けに放って攻勢、2分43秒に鋭い巴投に飛び込んで2つ目の「技有」を奪って合技の一本勝ち。鮮やかな勝利にも出口表情を変えずに服装を直し、まだまだやる気十分。


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(写真:出口クリスタが渡辺心実から大内刈で「一本」、2人抜きを果たす)
第3試合は渋谷教育学園渋谷の中堅渡辺心実が登場。右相四つで体格に勝る渡辺は圧力を掛けて右大内刈で攻めるが、柔道衣をずらして背筋を伸ばした出口は1分過ぎから反撃に出、伏せた渡辺の腕を引っ張り出して腕緘、ほとんど極め切るのではという場面も作って攻勢。1分50秒に右大内刈、身を捻る渡辺を両手で制して畳に押し付け「一本」。出口、2人抜き決定。


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(写真:出口が座り込みの右大外刈、柿沢史歩は淡々と捌く)
第4試合、渋谷教育学園渋谷は朝比奈の前に置かれた「壁」の柿沢史歩が登場。
出口右大内刈、座り込みの右大外刈と激しく攻めるが柿沢はいずれも腹ばいに逃れる。淡々と試合を進める柿沢の前に出口はエンジンの掛けどころを見出せないまま中盤を消費、疲労もあってか終盤は膠着を受け入れた印象でこの試合は引き分けに終わる。

ここで試合の前半戦とも言うべき「朝比奈登場までに松商学園が何人抜くか」ステージが終了。原、津金、小野と中堅以降の3枚残した松商学園、この3人を持って朝比奈を止めることが出来るか。それとも朝比奈が3人を抜きさって逆転勝利を飾るのか。


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(写真:朝比奈沙羅が原淋々子から大外刈で「一本」を奪う)
第5試合、朝比奈に対して右相四つの原は周囲を回って牽制を試みるが、朝比奈は支釣込足、さらに原の動き出しに合わせて鋭い送有払を放ってその動きを止める。苦しい状況の原に29秒「指導1」。
圧を掛けてチャンスを探し続ける朝比奈に対し、窮した原が右大外刈。朝比奈その戻り際を狙って右大外刈を叩き込み、振り回すように投げ切って「一本」、1分9秒。朝比奈、まず1人を抜く。


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(写真:津金-朝比奈の注目対決)
第6試合は朝比奈と津金という全日本強化選手同士の対決。
ともに右組みの相四つ。開始早々に朝比奈が右払巻込を放つが、津金斜めに落ちてなんとか腹ばいで耐え切り「待て」。
津金、体格差に怖じずに回り込んでの右内股で攻撃。持ち前の攻撃姿勢を崩さない。


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(写真:朝比奈が払巻込「一本」で津金を下す)
朝比奈、釣り手で上から奥襟を叩くと嫌った津金がこの袖を制し、自身の右側へ流して払いのける。これを察した朝比奈、津金の流す動きに合わせて右払巻込に飛び込む。制した袖を握ったまま体を持っていかれた津金鋭角に畳に突き刺さり「一本」。朝比奈、最大の難関津金を突破して2人抜き決定。試合の行方は大将同士の対決に持ち込まれた。


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(写真:小野華菜恵が左背負投、この位置から朝比奈を回して「技有」を奪う)
津金突破の時点で八割がた勝負は決していた、と思われたが開始早々、小野華菜恵が座り込みの左背負投。朝比奈しっかり潰したかに見えたが、潰したはずの上体に食いつく判断がやや早すぎ、小野そこから伸び上がって回し切ろうと試みる。朝比奈の体は一旦頭、そして左肩から着地したに見えたが小野の引き手の抱きこみが深く、こらえきれずに回ってしまう。小野が背中で朝比奈の体を畳に押し付けてフィニッシュ、これは「技有」。松商学園の選手たちは手を叩いて大歓声。


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(写真:朝比奈が後袈裟固で逆転勝利)
しかし喜びも束の間。寝技を選択した小野が伏せた朝比奈の左脇に左手を突っ込むと、朝比奈はその手を挟み込んで巻き込み、めくり返して後袈裟固。
原は抗せず「一本」。朝比奈、結果的には見事3人抜きを果たし、渋谷教育学園渋谷高が1人残しでこの大一番を制することとなった。


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(写真:意外な「技有」奪取も金星を逃がし、松商学園サイドは苦笑い)
渋谷教育学園渋谷高○1人残し△松商学園高
(先)千葉未来×引分×武居沙知(先)
(次)伴美弥子△合技○出口クリスタ(次)
(中)渡辺心実△大内刈○出口クリスタ(次)
(副)柿沢史歩×引分×出口クリスタ(次)
(大)朝比奈沙羅○大外刈△原淋々子(中)
(大)朝比奈沙羅○払巻込△津金恵(副)
(大)朝比奈沙羅○後袈裟固△小野華菜恵(大)

出口の2人抜き、朝比奈の3人抜き、そして松商学園小野による朝比奈からの「技有」奪取と見どころの多い試合だった。渋谷教育学園渋谷の勝因は柿沢がしっかり出口を止めたことで、松商学園としては2人抜きの後で過酷な仕事ながらも、出口が柿沢を抜いて朝比奈を矛を交えるところまでたどり着いておかないと厳しい試合であった。

とはいえ松商学園は健闘。大将対決における小野の「技有」奪取は勿論のこと、出口は今大会非常に動きが良く、スピード、力強さと間違いなく高校選手権優勝時以上の出来。2週間後に迫るインターハイが非常に楽しみな好パフォーマンスであった。


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(写真:5回戦、大将対決で新田高・月波光貴穂が埼玉栄高・桒原佑佳を左小外刈で畳に押し付ける)
5回戦8試合を経て、決定した準々決勝のカードは以下となった。
新田高は埼玉栄高とガップリ4つ、大将同士の激戦を制してのベスト8入り。

敬愛高 - 藤枝順心高
淑徳高 - 桐蔭学園高
渋谷教育学園渋谷高 - 帝京高
東大阪大敬愛高 - 新田高



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