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東海大浦安が一歩リード、各校の「上積み」の高さが勝負の分かれ目
金鷲旗高校柔道大会男子展望

(2013年7月22日)

※ eJudo携帯版「e柔道」7月22日掲載記事より転載・編集しています。
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東海大浦安が一歩リード、各校の「上積み」の高さが勝負の分かれ目
金鷲旗高校柔道大会男子展望
金鷲旗高校柔道大会、男子の部は22日に開幕、24日の決勝まで3日間に渡り激戦が繰り広げられる。

体重無差別の五人制×選手配列固定という過酷なレギュレーションで「地獄の金鷲旗」と呼ばれる今大会は、エースの得点力、総合力、そしてレギュラー5人に留まらないチーム全体としてのタフさ、と要求される到達点が非常に高い大会であると同時に、春の高校選手権からの「上積み」をインターハイの前に晒してその様相を半ば以上決定づけてしまう過酷な面を持つ大会でもある。

有力校にチームの性格や質をガラリと変えるような飛びぬけた新戦力の加入がなく、かつ高校選手権における上位対戦の対戦成績が紙一重であった今大会の優勝争いは、その「同じ顔」の成長ぶりがよりシビアに問われる大会。例年、強いチームほど冬から春、そして春から夏に掛けての上積みが大きい高校柔道界、この記事もその「上積み」という線に沿って展望を試みたい。

有力校
優勝候補筆頭は、2年連続三冠に向かって驀進中、「金鷲旗さえ獲ればインターハイはそのまま勝てる」(竹内徹監督)とこの大会に掛ける意気込みのひときわ高い東海大浦安高(千葉)。
上積みポイントは「(高校選手権で優勝して研究されると踏んで)試合で取れる技種を増やした」というエースのウルフアロン、ポイントゲッターの前田宗哉、そして村田大祐という抜き役を担うべき3人の得点力アップと、弱点であったはずの5人目に粟野孝平の戦闘力強化が見られること。千葉県予選では常に圧勝のためなかなかその力を測ることが難しいが、関東ジュニアでのウルフの圧倒的な勝ち上がりを考えるに、控えめに見ても夏にあるべき成長カーブは外さずに強化が進んでいることが伺える。一時不調だった前田の復調も好材料だ。

この東海大浦安がわずかにリード、そして優勝に絡みうるのは国士舘高(東京)、東海大相模高(神奈川)、桐蔭学園高(神奈川)の3校までと戦前予想の段階においてはほぼ断言してもよいだろう。1校プラス3校のこの4チームが頭ひとつ抜けた存在で、混戦状態にある好チーム数校がこの一角を崩さんと挑みかかるというのが今大会の構図だ。

高校選手権2位の国士舘高の上積みは、2年生吉良儀城の体格アップと攻撃力アップ。そして辛口で知られる岩渕公一監督が「良くなっている」と認めるエース江畑丈夫の復活だ。田崎は負傷から復帰したばかりで、どちらかというと地力を発揮すべく「調整」を主眼に追い込みを行っている印象だが、中学時代にその技の威力で周囲を震え上がらせた江畑が攻撃性の高い試合を行えるとなるとこれは大きい。その凄みが記憶に刷り込まれている同世代にはその強さが数段増幅されて映るであろうからだ。ここ数年緩やかな低下傾向にあった印象のチームとしてのベクトルが、今期は上昇に向かっていることも買い。

東海大相模高の上積みはなんといっても尾方寿應の成長に尽きる。もともとのセンスと技に加えてパワーを上積みした今期は攻撃力が飛躍的にアップ。関東ジュニアも制し、中量級ながらいかにも相模らしい、力関係に関わらずどこからでも得点を狙える取り味を身につけつつある。1年生の早川佑斗が加入してレギュラークラスの厚みが増したことも好材料。おそらくは早川が先鋒として抜き役を担う前半戦で勢いに乗れれば戴冠の可能性も十分だ。

桐蔭学園高の売りは藤井靖剛と根津信太の重量2枚だが、両者とも3年間怪我に泣かされ続け、今期は藤井がインターハイ神奈川県予選に出場できず本戦の出場を逃した。関東ジュニアで改めて強さを見せ付けた根津の成長はもちろんだが、このチームの上積みは両エースではなくその脇を固める八幡大輝と荒巻泰蔵の戦闘力アップ。荒巻は神奈川県団体決勝で前述の尾方と取って取られる大激戦を演じており、チーム全体として、2枚看板抜きでも全国上位までに勝ち上がる力を十分蓄えた印象だ。ライバル3チームに比べると全体としての上積み幅が少々小さい印象があるが、2枚を落として戦うトーナメント4回戦までの出来で明らかになるであろう「周辺」の強さが周囲の予想を超えるようであれば、上位対戦でも十分チャンスはあると見る。

この4チームに東海大仰星高(大阪)、豊栄高(新潟)、天理高(奈良)、小杉高(富山)、田村高(福島)、日体荏原高(東京)、高川学園高(山口)など高校選手権で存在感を見せたチームが挑むというのが上位争いの様相だが、これらの上を行く4強攻略の最右翼として高校選手権不出場チームの足立学園高(東京)と崇徳高(広島)の2チームを挙げておきたい。前者は竹中英士を中心にいずれも軽量ながら戦闘力のある選手を揃える昭和の香り漂う好チーム、後者は個人戦全国上位クラスの選手を並べるスターチームだ。いずれも勝負の学年と評されながらまだ全国でのパフォーマンス自体がなく、勝利への渇望が地力以上のパワーを生み出す可能性も大。最注目だ。

組み合わせ
各パートの配置と展望を簡単に確認しておきたい。
パートはAからHの8つ。それぞれにシード校が配され、刺客としての準シードチームが置かれている。パート決勝まで有力対決のないチームとベスト32の段階で「勝負」カードが置かれているチームで勝ちあがりの難易度は異なるが、「4強」の勝ち上がり自体はまずまず堅いという印象。

【Aパート】

シードはもちろん東海大浦安。ブロック決勝までの4試合はほぼ問題なさそうだ。
最初の刺客は、逆側の山で激突するシードチーム作陽高(岡山)と無印扱いの足立学園高による対戦の勝者。作陽はサイズのある選手も複数おり間違いなくシードに値する強者、激戦は必至だが、手順をしっかり踏んでくる作陽に対しどこからでも攻撃の手が出る足立学園が相性的に有利と見る。

東海大浦安と足立学園が激突するパートファイナルはファン垂涎の一番。錐をもみこむように得点奪取、そして次戦を確実に分けるという「昭和の試合」を足立学園が演じれば揉める可能性も十分ではないだろうか。上がった、と評される東海大浦安の面々の「取り味」がひとつ確実なモノサシで測られる、大会の行方自体を占う重要な一番。

【Bパート】

シードは大成高(愛知)と松都(韓国)だが、ここはこの序列が意味を為さない大混戦。振り分けは、

○大成高・那覇西高(沖縄)・富士学苑高(山梨)
○静岡学園高(静岡)・安田学園高(東京)
○松戸(韓国)
○修徳高(東京)、田村高(福島)

大成高がシードチームだが、1年生中心で戦った東海総体で予選リーグ敗退を喫するなど今期は一貫してチーム状態が安定しない印象。
最注目は高校選手権無差別王者の佐藤和哉を擁する静岡学園高だが、高校選手権の団体戦を見る限り佐藤は凌がれる試合を何試合も抜き続けるというタイプではない。

ここは春以降の上積みでインターハイ東京都第二代表の座を勝ち取った修徳の勝ち上がりを推しておきたい。試合ごとに成長を見せている2年生の小川雄勢が今期はどのくらいやれるのか、非常に楽しみだ。

【Cパート】

シード校・桐蔭学園の勝ち上がり自体は動かしがたいのではないか。逆サイドにシードを得た柳ヶ浦高、九州大会2位の長崎南山高をはじめ好チームがそれなりの密度で配されているが、その密度の高さに比して絶対の刺客がいないという印象。桐蔭学園の山は5回戦(パート準決勝)の近大福山高(広島)戦か。攻撃力の高いチームとの試合に慣れている近大福山に対し、桐蔭はおそらくこの時点から根津、藤井の2枚のいずれかを使ってくるはず。その出来が問われる注目の一番。

【Dパート】

本命不在。シード校は高校選手権で大活躍を見せた高川学園と逆サイドの松本第一高だが、京都学園(京都)、大垣日大高(岐阜)と勝ち上がり候補は数多い。
京都学園の試合巧者ぶりが他をしのぐか、高川学園のパワーがそれを粉砕するかというところ。選手権を見る限り地力に勝るのは高川学園だが、戦い方をハッキリ決めて臨めるぶん巧者をそろえた京都学園の戦術性の高さがそれを凌ぐ、という見立てをひとつ提示しておきたい。

【Eパート】

シードは国士舘と豊栄で、国士舘はパートファイナルまでは無風。
豊栄の山は非常に面白い。4回戦で四日市中央工高(三重)との好チーム対決、5回戦にはこれもしぶとい埼玉栄高(埼玉)があがってくる可能性が大。

豊栄-四日市中央工の対戦だが、強さに意外なまでのナイーブさが同居する豊栄に比べ、同じくサイズに難のあるチームながら試合度胸のある選手を並べた四日市中央工がここは優位と見る。この山は四日市中央工の勝ち上がりを推す。

そして国士舘にとってはサイズのない四日市中央工は決してやりにくい相手ではない。ミスがミスを誘うような荒れた展開に持ち込めれば試合が揺れる可能性はあるが、高校選手権では自滅に近い形で初戦敗退を喫した四日市中央工にその揉みこむ「錐」となるべき駒が育っているかどうか。まことに楽しみな対決だが、ここは順当に国士舘の勝ち上がりを推しておきたい。

【Fパート】

シードチームは東海大仰星と日体荏原。
東海大仰星が崇徳と戦うパート準決勝が最大の山場。日体荏原のポイントゲッターがいずれも担ぎの威力を引き出すための組み手の上手さが売り、というチーム特性を考え、比較的柔道が素直でまっこう地力勝負を挑みがちな東海大仰星が勝ち上がれば日体荏原が、戦術性と攻撃力を兼ね備えた崇徳が勝てばそのまま崇徳が勝ち上がる可能性が高いのではないだろうか。中途の過程は無風に近いと思われるが、ラスト2戦は大会屈指の好カード。

【Gパート】

シードチームは東海大相模高と「九州枠」でピックアップの沖縄尚学高。東海大相模は5回戦で影浦心を擁する新田高(愛媛)との対戦があるが、戦力層の厚さでは東海大相模が一枚も二枚も上。ここは東海大相模の勝ち上がりと見てまずまず間違いないだろう。

【Hパート】

シードは小杉と大牟田高(福岡)で、特に大牟田の山は密度が薄い印象。
小杉は4回戦で東海大山形高、5回戦で東海大甲府高という好チームとの対戦がありこれは縺れる可能性十分。しかしここを勝ったほうが、そのまま大牟田を凌ぐと見て良いのではないだろうか。地元開催のインターハイをすぐ後に控えた福岡王者・大牟田の意地に期待。

以上を踏まえると、ベスト8の対戦は、

東海大浦安 - 修徳
桐蔭学園 - 京都学園(高川学園)、
国士舘 - 崇徳(日体荏原)
東海大相模 - 小杉(大牟田)

となる。
勝負がもっとも揺れそうなのは、ここまで比較的「楽をして」勝ち上がってきた国士館に崇徳が挑む一番だが、それでも戦前予想としては「4強」の勝ち上がりを推しておくのが妥当だろう。

高校選手権を踏まえた上積みが勝負を分けると冒頭に書かせて頂いたが、踏まえるべき当時の様相は下記。

・東海大浦安のウルフを除いたポイントゲッター同士の対決では、国士舘と東海大相模は引けをとっていなかった。
・しかし国士舘はこの4強の中でもっともウルフに抗しうるはずの江畑丈夫、田崎健祐という2枚の大駒で3連戦を挑んだが、それでもウルフは戦いきって勝利した。

率直に言ってウルフと五分で勝負して勝利を収めることを、少なくとも事前に織り込める選手は「4強」の中にはいない。

であれば、ウルフが抜ききれないほどの枚数を残すだけの、あるいは自チームのエースが優位になるだけの消耗をウルフに強いるだけの戦力と厚みをこれら3チームが獲得しているか、そして「何枚でも抜く」と覚悟を決めているとされるウルフはその予想を覆しうるだけのスタミナと強さを獲得しているかどうか、これが最大の焦点だ。

おそらく、前者は準決勝が始まるまでにある程度の予測が立つ。
そして、後者が試されるのはおそらく準決勝以降、互いがギリギリのところに立つ勝負どころだけである。あの、3戦プラスGS延長戦を戦いぬいて仁王立ちしたウルフの強さは再び見られるのか、それとも国士館の、あるいは東海大相模の、はたまた桐蔭学園の意地がこの厚い壁を突き破るのか。選手権に負けない熱戦を期待したい。



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