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【eJudo’s EYE】「因習ベース」はもはや限界、改革は評議員会解体もセットで行うべき

(2013年7月14日)


※eJudo携帯版「e柔道」およびeJudoメルマガ版7月12日掲載記事より転載しています。

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【eJudo’s EYE】「因習ベース」はもはや限界、
改革は評議員会解体もセットで行うべき




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写真:6月25日の全柔連評議員会は大荒れ、
同時にそのあまりの
質の低さも見せ付ける形となった
冒頭、執行部が浅賀健一氏を議長に推薦すると、了徳寺健二氏(千葉)が、「きょうは柔道界にとって大事な会になるから、評議員の中から議長を推薦するべき」と提案。栃木の吉田忠征評議員を推薦すると同時に、無記名投票を訴えた。
これに激怒して「なぜ無記名にせにゃいけんのですか!皆さんがた県を代表してきている立派な方々なのに堂々と手を上げたらええじゃないですか!」と怒声を発したのが広島の平岡康司評議員だ。なぜ県の代表が無記名投票をしたらいけないのか全くもって理解に苦しむが、それはともかくとしてこの唸るような怒声を皮切りに、6月25日に開催された全日本柔道連盟評議員会は荒れに荒れた。


挙手で行われた議長選任は33対17で執行部の勝利。その後、了徳寺評議員が理事解任の動議提出を要求、これは規約上根拠の極めて薄弱なもので執行部としては撥ね付けることも出来たが、了徳寺氏は柔道人口の減退や少年柔道の現場の労苦の話を持ち出しながら粘る。すると中林厚生氏(熊本)が突如それを遮り「ちびっ子はどんどん増えて来とります!おかしなことを言わんでください!上村会長は一生懸命やりよるじゃないですか!失礼だろう!」とべらんめえ口調で怒鳴りあげる。了徳寺氏が「それは問題ですよ。恫喝ではないですか?」と応じると「私は元来声が大きいんですがね。アンタがこのくらいでビビる男じゃないのは良く知っとりますよ!千葉のよっちゃんは私の友達ですから」と重ねて怒鳴る。御年75歳の中林氏の不規則発言に傍聴席の報道陣は唖然。

手詰まりとなった了徳寺氏がそれでも「男なら堂々と受けたらどうですか」と迫ると上村春樹会長は「地方の支持がなければ改革はできません。ここできちんと皆さんの声を聞きたいと思います。私は外に出ますので、挙手でお願いします」と評決をとることを容認。すると先ほどの平岡評議員が「会長がなんで外に出るんですか、会長はみんなの意見を聞かにゃいけんじゃないですか」と遮り、「ついでに」と「この問題についてマスコミが先行していることは皆がご存知と思う。」「理事会の日の朝、執行部の話し合いが新聞に出る。そういうことがあったんでしょうか。なぜそういうことが起こるんですか、現実にしたんですか、もしそうなら柔道界はガタガタです」と誰に何を問うているのか行く先の全く見えない長広舌。さらに、主張するべきタイミングが来たと見た複数の評議員の意見表明に北哲郎評議員(鹿児島)は「いいから議事を進めろ」と野次を飛ばし、中林評議員も再び唸るような怒鳴り声で執行部批判を遮る。

そんな中突如立ち上がった沓澤行雄評議員(山形)、御年これも75歳はしわぶきまじりの声で「東北は3時間にわたる話しあいの末に上村会長を支持することを決定しました!理事会にも文書で出しました!上村会長は立派な人で本当に頭も良く私は尊敬しております!安部総理だって一度は失敗して今はあんなに立派な政治をしているじゃないですか!危機を乗り切るには上村会長しかいない!」と絶叫、「最後に上村会長、体にじゅうぶんお気をつけください」と締めくくる。突っ込みどころ満載の中身のなさであったが、本人は「言ってやった」といわんばかりの満足げな表情で腰を下ろし得意満面。

「無記名投票を否決した」「執行部批判を遮った」「東北ブロックとして会長擁護を表明した」と字に起こすとまだしもまともな会議と感じられるかもしれないが、70歳オーバーの老人が論理性も根拠もなく時には聞き取ることさえ困難な唸り声で、しわぶきと咳払いを交えてひたすら怒鳴り、互いにいいたいことを言うだけで議論の端緒さえ探すのが難しい不規則発言の連続。議論が苦手、高齢、言葉が続かず指示代名詞を連発、論理的説明なく正当性の後押しは「声を荒げること」、要求は不明確、長年自分が発言すること自体が重みを持つと思い込める立場にいたことが透けて見える根拠を示さない言いおろし。言ってしまえばどこにでもいる「柔道界の老人」たちである。

改革派の社会の期待に応えようという思いの強さや「ルールに則って4週間の間を置いての仕切りなおし」との建設的な提案で場を収めた長谷川大恭評議員らに救われた感はあったが、まさしく老人会、醜悪の一言であった。普段から評議員会に出席を続けて評議員会の有形無実化と地方評議員の質を良く知る柔道担当の運動部記者たちにとっては予想通りであったろうが、世間の注目を浴びる中、初めて傍聴した一般メディアの記者たちはあまりの「程度の低さ」に仰天したのではないだろうか。

いわゆる「了徳寺の乱」に対する評と解説は稿を改めて書かせて頂くが、了徳寺氏の評議員会に臨むに当たっての戦略は残念ながらその思いの強さに比して明らかに拙劣で、4週間後に仕切りなおしとなったのは出来すぎ、場あたり的な展開の末に得ることが出来た僥倖ものの好結果だった。

そして了徳寺派を「延命」させたのは不規則発言でたびたび議事を止めた平岡評議員のまさしく場当たり的な感情論の怒声。どうにもやりきれないのは、平岡氏がどちらの立場に与していたかよくわからないということで、無記名投票に因縁をつけたところでは完全な執行部派、その後長々と執行部とメディアを批判したところは立場不鮮明、上村氏の中座を咎めて評決を停止させ、「延命」のきっかけを作ったところでは結果的に反執行部派であるが、おそらく反射神経に任せて発言しているだけで自分が反執行部派を「助けた」という意識すらないのではないか。議長選任時にこの日の票読みはすでに完了しており、上村会長が中座を試みた場面で評決を取ってしまえば反執行部派の目論見はそこで一切が終了となったはずだ。仕掛けた側の戦術も、その節目となったインシデントも、擁護する側の発言のタイミングも質もまったくの場当たりで、到底公益財団法人の運命を決するというような高い平面にあるべき議論に似つかわしいものではなかった。

残念ながら、ここまでの大騒動で誰の目にも明らかになったのは、理事会以上に柔道界の「平均値」といえる評議員会のあまりの質の低さだ。この日の各紙の見出しとなったのは「6週間以内に再度評議員会召集」であったが、報道各位の心中の第一トピックは間違いなく「柔道人の程度の低さ」であっただろう。

と報道陣公開の上で行われた評議委員会の「醜態」について長々書かせて頂いたが、あらためて。以下いずまいを正して。


全柔連の改革が訴えられて久しく、そのもっとも極端な例として理事全員の解任というような案もあがってはいるが、改革を叫ぶのであれば評議委員会も合わせて解体、一からの作り直しが必要である。実務の運営に当たる必要性から知性派をある程度の数以上揃えた理事会を遥かに超えたあまりに情けないその機能不全ぶりは病んだ柔道界のまさに縮図というほかはない。

本来理事会を監視し提言を行うことが評議員会の職務だが、現状これはほとんど全く果たせていないと言って良い。これはゼロベースで再編されるべきである。

理由の一は、単に評議員の質が低いから。評議員会はその人員の質・構成ともに「機能ベース」で選出されたものではなく「因習ベース」で決められているからこれは当然の帰結である。
地方代表の評議員は各地区を代表する論客や見識のある人材が選りすぐられて送り込まれているわけでは全くない。ほとんど全員がそれぞれの都道府県柔道連盟の会長職と単にイコールであり、全柔連の評議員という立場も地方のボス、勢力争いを乗り切ってきた先生方に対する単なるご褒美ポスト、年金ポストとして機械的に割り振られている場合がほとんどである。

もちろんその中には、これはという良識派、知性派も確実に存在する。が、59人というそもそも議論という行為自体が成り立ちようもない大人数で、それもそもそも意見の質の高低を測ることすら難しいレベルにある、かつプライドだけは不可解なまでに高い「不規則発言」をする高齢者が数十人単位でいる中で優秀な人間がどんな正論を説いたところでまともな議論になるわけがない。「お前だけが喋るな」と恫喝されるのがオチの「バカ負け」は目に見えている。評議員会にたとえば数人の切れ者を追加しても改革になり得ないというのはこの状況があるからで、評議員会をまともな機関として機能させるのであればやはりゼロベースからシステムを考え直すのがまっとうだろう。

不規則発言の連発が話題となった25日の評議員会は醜態以外の何ものでもなかったが、「何の意見も言わない輩」もまた問題だ。地方代表にはそういう何のために評議員をやっているのか意味不明なモノ言わぬ人物も多く、こういう人材が結果的に組織の足を引っ張ることとなっているのは間違いない。議長選任の挙手を行う際、キョロキョロと周りを伺いながら半端に手を上げ下げする地方選出評議員のなんと多かったことか。人数が多いだけ、議論の邪魔だというほかはない。

その出身母体の偏りも問題だ。地区柔連で会長ポストに辿りつくのは当然長く地方の柔道界に関った人間であり、つまりは半ば仕事として柔道界に関わり続けられる人間を多く抱える勢力のボスということになる。当然ながら教員、警察にその出身は偏る。具体的には地方代表者47名のうちその4割が教員出身者であり、さらに4割が警察官出身である。当然組織的な性格からしてその長となるのは男性ばかりだ。公益財団法人で特定の団体、勢力に評議員が偏るのは勿論好ましくないはずであるし、かつ男性しか選ばれない構造となるとこれはもはや「論外」の範疇に入ってくるのではないか。 (余談ではあるが、改革派の急先鋒が学校法人経営者の了徳寺氏と薬剤師出身で参議院議員や地方議員を長年務めた常田享詳氏という柔道ムラとは無縁の出自を持つ人間であるのは興味深い)

理由の二は、現在の柔道界の勢力分布が、評議員会の人員構成にまっとうに反映されていないからである。評議員の総数は59名。指名評議員10名を抜きにすれば、その内訳は実業柔道連盟1名、学生柔道連盟1名、そして都道府県柔道連盟47。現在柔道界の中枢にあるのは間違いなく学柔連や実柔連。これが現在の柔道界の実情に即しているとは到底思われない。

評議員制度が定められたのは昭和24年制定の「全日本柔道連盟規約」だが、当時は学校柔道が始まっておらず、よって当然ながら学柔連はまだ存在せず、もちろん実柔連もなく、柔道人口の基盤は各地の道場にあった。地方の代表で理事会の監視組織を構成するというこの構成には合理性があったのである。まだ「何もなかった」時期に作られたルールなのだ。時を経ることすでに半世紀以上、実情に即した、かつ機能ベースの数と比率に構成を改めるべきだろう。

理由の三は、評議員の数が多すぎるから。そもそも何かをつきつめて問題提起したり議論したりする前提の規模になっておらず、理事会の形上の追認組織になっているだけだ。これではどんなに優秀な人材を揃えても実のある議論を行うことは難しい。下記は日本バレーボール協会の評議員リストへのリンクであるが、これは地方代表選出という立場を取らずに地方のしがらみを廃し、人数も議論に最適な20人だ。「機能ベース」で構成されていることが良くわかるだろう。

(ttp://www.jva.or.jp/jva/organization/council.html)

理由の四は、都道府県柔道連盟と全柔連、講道館の直接的な利害関係が強すぎるから、かつその上下関係が明確すぎるから。
都道府県連盟の収入源はほとんどそのすべてが昇段審査料、および全柔連登録費のマージンである。あきらかに利害関係の下流にあり生殺与奪を握られている地区柔道連盟はそもそも全柔連、講道館に対してモノが言える構造になっていないのだ。
利害関係ということでもう一つ重要な要素は、評議員のほとんどすべてが高齢者の地区柔道連盟の柔道会長であり、その老境最後の生きがいである「昇段」を、実効的に支配しているのが講道館長であるということだ。特に九段以上はまったくの専権事項であり、前項の連盟の収入源と合わせて、言葉は悪いが全柔連と講道館に「キンタマを握られている」状態の連盟の会長は構造的にモノが言える立場にない。この日の評議員会を控えて嘉納行光・講道館名誉館長が地方評議員に直接電話して「評議員会ではよろしく」と発言したとの情報があるが、これは受けた側にとっては「逆らったら昇段はないよ」ということと同義である。この立場のものの集合を持って「監視・提言」などまったく現実的ではないことがおわかり頂けるであろうか。

年金的にポストを提供することで、長年評議員会は理事会の単なる追認組織として、むしろその性格を是として培養されてきた感がある。それでよかった時代があるのは認める。が、時代は明らかに変わった。2008年以降の所謂「ビゼール改革」の激動の中で、国内では日本の採るべき道をめぐって議論が沸騰していたが、こういった国際的なトピックに対して評議員会が積極的な提言や議論を理事会に投げかけたことは私が知る限り皆無だ。「私の意見表明」というようなレベルの石つぶてが投げられたことはあったが、国際レベルの議論に鍛えられた理事会メンバーからすれば議論に慣れていない、かつ具体的な要求を伴わない地方評議員のこういった発言は不規則発言として「はい、意見は承りました」と一言答えるのみで処理していく他はなく、そのことによって理事会決議が覆ったり議論が巻き起こるというようなことはついぞなかった。柔道界以外の人間には呆れられるかもしれないが、評議員会というのはその程度の存在だったのである。到底激動、激変する内外の柔道事情に立ち向かえる体制ではない。老人へのご褒美は段でも勲章でもなんでも与えれば良い。が、具体的な機能が必要とされる職責や権限を機械的に与えるのは百害あって一利なしである。

改革案としては、柔道界の実情を反映し、かつ議論が機能する数と人材に絞るということに尽きる。例えば評議員の構成を各ブロック代表の計10名にとどめ、あとは実柔連と学柔連の代表で構成の計20名~25名程度というところが妥当ではないか。「高齢だからと言って能力がないとは限らない」「年配者の叡智も必要」これは確かに正論だがその美名のもと質の低い人材が大量に送り込まれていたこれまでの失敗を踏まえ、高齢者は年功序列ではなくあくまで選任のみとする制度が考えられるべきだろうし、年齢の比率規定も当然あって然るべきだろう。この時点で具体的なプランを提示するのはどうしても乱暴な論にならざるを得ないので恐縮ではあるが、「機能ベース」で考えればこれだけでも現状より数段マシであろう。そのくらい、現時点での評議委員会のレベルは低い。

地方の声を無視するのか、ともし言うのであれば、ではなぜ、少なくとも「声」を論理的に届けられる人材をこれまで送り込んでこなかったのか。中央に対しての追認組織であると自らを規定してきたのは地方そのものだ。今更遅いと言われても仕方がないだろう。

あらためて。執行部と理事会という「機能ベース」で動くことを前提として構成された組織を監視して提言を行うためには、評議員会もまた機能ベース×ゼロベースで再構成されるべきである。今回明らかになったように、一朝有事の際、制度上執行部と理事会に対抗しうるのは評議員会しかないのである。健康な「監視と提言」が行われる体制を切望する。


文責:古田英毅



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