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ワールドマスターズ2013・女子各階級概況×詳細

(2013年6月27日)


※eJudo携帯版「e柔道」5月29日掲載記事より転載・編集しています。

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ワールドマスターズ2013・女子各階級概況×詳細

遠藤宏美が五輪王者メネゼスに勝利、09年世界ジュニアのリベンジなる
48kg級

13WM_48.jpg
写真:覚悟溢れる試合振りで
優勝を果たした遠藤宏美
※写真は11年グランドスラム東京時
【入賞者】
1.ENDO, Hiromi(JPN)
2.MENEZES, Sarah(BRA)
3.MESTRE ALVAREZ, Dayaris(CUB)
3.OKAMOTO, Riho(JPN)
5.MUNKHBAT, Urantsetseg(MGL)
5.VAN SNICK, Charline(BEL)
7.GALBADRAKH, Otgontsetseg(MGL)
7.PARETO, Paula(ARG)

第1シードのロンドン五輪王者メネゼス(ブラジル・WR1位)と日本の遠藤宏美(筑波大3年・WR15位)が決勝で対戦。

メネゼスは1回戦でリマ(ギニアビサウ)の左内股の戻りに右小外刈を合わせて一本勝ち(3:17)、2回戦はガフバドラフ(モンゴル)から左体落で「一本」(3:20)を奪ってベスト4入り。準決勝は岡本理帆(国士舘大1年)と対戦、ケンカ四つの岡本に片手の右背負投で対抗し「指導」2つをリードすると、2分9秒、岡本の左内股の入り際に膝を畳に突きながら右小外刈を入れて真裏に転がし一本勝ち。3試合連続の「一本」という圧倒的な勝ち上がりで決勝進出を決めてきた。

一方の遠藤はノーシードからの勝ち上がり。1回戦はペイエ(フランス)に開始早々に引込返で「技有」を失う大ピンチだったが、直後の展開で組み際の右背負投「有効」を奪って展開を保つと、終盤に背負投で「技有」を追加して逆転勝利。2回戦は第2シードのファンスニック(ベルギー・WR3位)と対戦、44秒にファンスニックが左釣り手を叩き込んできた瞬間右小内刈を突っ込んで「有効」奪取、残り22秒には場外際で燕返を入れて「有効」を追加して快勝。準決勝は開始37秒でムンクバット(モンゴル)を送襟絞に仕留めて一本勝ち、こちらも素晴らしい出来で決勝へと駒を進めてきた。

決勝はメネゼス、遠藤ともに右組みの相四つ。横変形に遠藤の釣り手を抱きこむメネゼスに対し遠藤引かずに右背負投を打ち込んで1分1秒メネゼスに「指導1」。

以後メネゼスは両袖、両襟、横変形と形を変えながら右体落、右小内刈と仕掛けてくるが遠藤粘り強く技を打ち返して引かず。3分15秒には打開を狙ったメネゼスが釣り手で奥襟を叩いてくるが遠藤は釣り手でメネゼスの両襟をまとめて持ち、動きを制して粘り強く打開。

残り1分、メネゼスがラッシュを掛けようとする時間帯だが遠藤は先んじて両襟の右背負投、片襟の右小内刈を入れてこの意図を封殺、起死回生を狙ったメネゼスの右大外刈も大外返で持ち上げ返し、あわや失点という場面を作られたメネゼスの攻撃意欲は一気に減退する。最後も遠藤が出足払で攻め込んだままタイムアップ。

遠藤、五輪王者メネゼスを「指導1」で下し見事ビッグタイトルを獲得、ワールドマスターズ制覇の偉業を成し遂げた。

遠藤はメネゼスと2009年世界ジュニア決勝で対戦歴があり、このときは背負投「技有」で敗れている。比叡山高1年時の08年に全日本ジュニアを制し09年に連覇、まさに快進撃の途上にあった遠藤のキャリアに最初のミソをつけたのがメネゼスであり、以降の遠藤はやや伸び悩んだ感がある。

この日の遠藤は初戦から非常に良い表情、そして覚悟溢れる試合ぶり。近年の成績的な行き詰まり、そして奥襟タイプで爆発力のある山崎珠美(山梨学院大1年)や岡本理帆(国士舘大1年)といった下の世代の突き上げにあって、やや存在感が薄れ始めていた正統派軽量級選手の遠藤だが、この日の晴れ舞台には賭けるものがあったのだろう。

そんな中、ジュニア時代の快進撃を止められたメネゼス、しかも五輪王者にまで登り詰めた相手にワールドマスターズという大舞台で4年ぶりのリベンジ。岡本、山崎がホープの代名詞となりつつある48kg級だが、今年は遠藤の逆襲にも大いに注目して良いだろう。

岡本理帆は順当に準決勝まで勝ち残ったが前述の通りメネゼスに一本負け。しかし3位決定戦では第2シードのファンスニックを下して表彰台を確保、しっかり成績をまとめて大会を終えている。

【日本人選手勝ちあがり】

遠藤宏美(筑波大3年)
成績:優勝
[1回戦]
遠藤宏美○優勢[技有・背負投]△ペイエ(フランス)
[2回戦]
遠藤宏美○優勢[有効・小内刈]△ファンスニック(ベルギー)
[準決勝]
遠藤宏美○送襟絞(0:37)△ムンクバット(モンゴル)
[決勝]
遠藤宏美○優勢[指導1]△メネゼス(ブラジル)

岡本理帆(国士舘大1年)
成績:3位
[1回戦]
岡本理帆○大外落△ジョン・ボキョン(韓国)
[2回戦]
岡本理帆○反則[指導4]△メストレアルバレス(キューバ)
[準決勝]
岡本理帆△小外刈(2:51)○メネゼス(ブラジル)
[3位決定戦]
岡本理帆○優勢[有効・内股]△ファンスニック(ベルギー)


五輪後充実のケルメンディが優勝、日本勢は宮川拓美が3位
52kg級

【入賞者】
1.KELMENDI, Majlinda(KOS)
2.ADIYASAMBUU, Tsolmon(MGL)
3.CHITU, Andreea(ROU)
3.MIYAKAWA, Takumi(JPN)
5.GOMEZ, Laura(ESP)
5.SUNDBERG, Jaana(FIN)
7.MIRANDA, Erika(BRA)
7.MUNKHBAATAR, Bundmaa(MGL)

第1シードのケルメンディ(コソボ・WR1位)が順当に優勝を飾った。2月のグランプリ・デュッセルドルフ優勝、4月のグランプリ・サムスン優勝の勢いを持ち込み2回戦はケルメンディ同様今春の欧州選手権で3位入賞のローラ・ゴメス(スペイン・WR22位)から左大内刈で「有効」を奪って勝利、準決勝は欧州選手権2位のキトゥ(ルーマニア・WR5位)に左大腰「有効」で勝利して決勝進出。決勝はダークホースのアディヤサンブ(モンゴル・WR14位)が抱きついて来たところを左大内刈で弾き返して1分29秒「有効」奪取、追撃許さずそのまま試合を終えて優勝を決めた。

第2シードのベルモイ(キューバ・WR3位)は直前で出場を回避。
2位のアディヤサンブはこれで初戦は不戦勝、2回戦はスンドベルグ(フィンランド・WR12位)を裏投「一本」で破り、準決勝は宮川拓美(コマツ)を横落「一本」で食っての決勝進出だった。

宮川は3位入賞。1回戦はバルジンヤム(モンゴル・WR18位)から内股で「技有」「一本」と連取して快勝、2回戦はミランダ・エリカ(ブラジル・WR4位)に横四方固で一本勝ちと順調な勝ち上がりだったが、前述のとおり準決勝でダークホースのアディヤサンブに体の左側に座り込まれ、横落で一本負け。3位決定戦は実力者ローラ・ゴメスに「有効」「技有」、さらに袈裟固「一本」で快勝して表彰台は確保、素晴らしい出来であっただけに準決勝の一瞬の油断が悔やまれる大会であった。

谷本和(環太平洋大4年)は1回戦でキトゥと対戦。2分29秒に大内返で振り回すように飛ばされてしまい一本負け、敗者復活戦に進むことも叶わなかった。

【日本人選手勝ちあがり】

谷本和(環太平洋大4年)
成績:1回戦敗退
[1回戦]
谷本和△大内返(2:29)○キトゥ(ルーマニア)

宮川拓美(コマツ)
成績:3位
[1回戦]
宮川拓美○内股(3:55)△バルジンヤム(モンゴル)
[2回戦]
宮川拓美○横四方固(5:00)△ミランダ(ブラジル)
[準決勝]
宮川拓美△横落(1:16)○アディヤサンブ(モンゴル)
[3位決定戦]
宮川拓美○袈裟固(3:13)△ゴメス(スペイン)

ドルジスレンがパヴィアの連勝止める、山本杏は元気なく5位に沈む
57kg級

【入賞者】
1.DORJSUREN, Sumiya(MGL)
2.PAVIA, Automne(FRA)
3.CAPRIORIU, Corina(ROU)
3.MONTEIRO, Telma(POR)
5.QUADROS, Ketleyn(BRA)
5.YAMAMOTO, Anzu(JPN)
7.SILVA, Rafaela(BRA)
7.ZELTNER, Tina(AUT)

優勝はダークホースのドルジスレン・スミヤ(モンゴル・WR8位)。1回戦はザブルディナ(ロシア)を崩上四方固(2:19)、2回戦はシウバ・ラファエラ(ブラジル)を合技「一本」で下すと準決勝は山本杏(国士舘大1年)を相手に序盤に奪った「指導1」を守りきって勝利。

決勝は大本命のパヴィア(フランス・WR1位)を相手に「指導1」を失ったが直後の1分45秒に横落で「有効」を獲得。以降もパヴィア得意の内股を抱きついて返すなど強気の試合を進め、残り2分を過ぎてからは片手の左内股、右一本背負投と割り切った試合運びで時間を消費。見事優勝を飾った。

2位のパヴィアは新ルール施行後グランドスラムパリ、グランプリデュッセルドルフ、欧州選手権と続いていた連勝街道がついにストップ。山場と目された2回戦のモンテイロ(ポーランド・WR10位)戦は相手を追い詰め続けて残り5秒で大外刈を叩き込み「一本」、準決勝はベテランのクアドロス(ブラジル・WR13位)を内股で投げつけて「技有」獲得の優勢勝ちと調子は決して悪くなかったが、悲願の世界選手権制覇に向けて連勝ストップ、ライバルたちへの弱点露呈とまことに悔やまれる一敗だった。

戦術性の高さが売りのパヴィア、新ルール施行後は力強い柔道で「一本」を奪う場面も増えてきたが、パワーファイターを投げ切る技の欠如、そして追いかける展開になったときの詰めの甘さとやはりこの人の柔道は「地力で勝つ」ことが前提で、パワーで勝る場合には圧倒的な試合を演じる一方、苦しい時に一発で力関係を覆すような切れる技があるタイプではないようだ。松本薫に圧倒されて偽装攻撃を続けた五輪の苦しい試合ぶりを考えても、この構図は明らか。世界選手権はコンディション調整、仕上がりの良し悪しで勝負どころのパフォーマンスが大きく分かれることになりそうだ。

山本杏は前述の通り準決勝敗退。3位決定戦もモンテイロを相手に2つの「指導」を失い、取り返す気配のないまま終戦、5位に終わった。

山本は全試合通じて淡々とした試合ぶり。代名詞であった組み際の足技もほとんど出ず、山本らしい爆発力や意外性の見られない低調な内容であった。投げるための形、パターンに相手を嵌めることを狙った順行運転のまま、その段に至らないまま時間を消費し続けている印象。自ら仕掛けて良い意味で「試合を壊す」ことが得手の山本が、単調なヒットアンドアウェイを繰り返し相手の間合いに入っていけない。覇気のない試合で初戦敗退した選抜体重別に引き続く、この元気のなさは深刻だ。

同大会の初戦敗退を受けた「追試」とでもいうべき今大会でまたもや見せてしまった出来の悪さ。おそらく世界選手権前に再度の国際大会派遣があるだろうが、そこでもこの不調が続くようであれば世界選手権の展望は暗い。奮起に期待したい。

石川慈(コマツ)は初戦敗退。クアドロス(ブラジル)を相手に1分24秒「指導」を失うと、直後股中に落とされた左体落で「技有」を失う。焦って仕掛けた右内股巻込は1度目が掛け潰れ、2度目は潰れようとするところを狙い済まして抱き付き返され隅落「有効」失陥。さらに3分30秒には巴投で自ら畳に落ちてしまい偽装攻撃の「指導」と思わぬ連続失点。力関係的には勝利が現実的と思われていたが、ひとつの「指導」をきっかけに完全に流れを失い、思わぬ大差での敗戦となった。

一頃松本薫のライバルとして名を売ったモンテイロは前述の通り、2回戦でパヴィアに攻めまくられた末に敗戦。調整不足かスタミナにもパワーにもハッキリ難があり、持ち前の手数攻撃による戦術性の高さこそ見せたもののいずれも率直に言って掛け逃げギリギリ、実力発揮には遠い出来であった。そしてこの出来の悪いモンテイロに先手攻撃を許して敗戦することとなった山本の元気のなさは重症。57kg級の世界選手権王座争いは、山本の復調と、不確定要素のパワーファイタードルジルスレンの出来、そしてパヴィアの調整具合が鍵を握ることになるだろう。

【日本人選手勝ちあがり】

石川慈(コマツ)
成績:1回戦敗退
[1回戦]
石川慈△優勢[技有・体落]○クアドロス(ブラジル)

山本杏(国士舘大1年)
成績:5位
[1回戦]
山本杏○GS指導2△カラカス(ハンガリー)
[2回戦]
山本杏○優勢[技有・小内刈]△カプリオリウ(ルーマニア)
[準決勝]
山本杏△優勢[指導1]○ドルジスレン(モンゴル)
[3位決定戦]
山本杏△優勢[指導2]○モンテイロ(ポーランド)


手堅さと爆発力見せた阿部が見事優勝、アグベニューは直前で出場回避
63kg級

13WM_63.jpg
写真:優勝の阿部香菜
※写真は13年選抜体重別時
【入賞者】
1.ABE, Kana(JPN)
2.GERBI, Yarden(ISR)
3.JOUNG, Da-Woon(KOR)
3.VAN EMDEN, Anicka(NED)
5.GWEND, Edwige(ITA)
5.UNTERWURZACHER, Kathrin(AUT)
7.BALDORJ, Mungunchimeg(MGL)
7.DREXLER, Hilde(AUT)

優勝は第1シードの阿部香菜(三井住友海上・WR9位)。1回戦はラバジナ(ロシア・WR27位)から「指導」2つを奪っての優勢勝ち、2回戦はうるさいジョン・ダウン(韓国・WR18位)に終盤まで「指導1」をリードされる接戦だったが、残り20秒を切ったところで左大外刈から「巴十字」に連携、これを起点に縦四方固に捕まえて一本勝ち。最大の山場と思われた準決勝のファンエムデン戦はケンカ四つの相手に対し細かく足技を入れ続けて前に出、引き手争い、腰の差し合いとどの局面でも主導権を握り続ける。結果1分17秒、2分15秒と2つの「指導」を得ての快勝で決勝進出決定。

決勝は第1シードのゲルビ(イスラエル・WR2位)を瞬殺。開始22秒の「巴十字」で相手の腕を捕まえて腕挫十字固で一本勝ち。見事ビッグタイトル獲得を決めた。

2度目の世界選手権代表が決定したばかりとあってこの日の阿部は非常に気合の入った試合ぶり。決勝で見せた爆発力、準決勝のファンエムデン戦で見せた手堅くかつ積極的な試合運び、そしてジョンダウン戦で見せた「ここで抑えなければ勝ちはない」という厳しい場面、危うく「解けた」が宣告されそうなせめぎあいをあきらめずに制しきった根性。初戦の立ち上がりの遅さはあったが、この日の阿部は素晴らしい出来であった。

ファンエムデンは相変わらずのパワーだが、単調さもまた変わらず。試合内容は悪くないが結果としては負けてしまうという、日本人への相性の悪さを今大会も払拭できなかった。

大目玉のアグベニュー(フランス・WR1位)はエントリーリストには名前があったが直前で出場を回避。畳に姿を見せることはなかった。

【日本人選手勝ちあがり】
阿部香菜(三井住友海上)
成績:優勝
[1回戦]
阿部香菜○優勢[指導2]△ラバジナ(ロシア)
[2回戦]
阿部香菜○縦四方固△ジョンダウン(韓国)
[準決勝]
阿部香菜○優勢[指導2]△ファンエムデン(オランダ)
[決勝]
阿部香菜○腕挫十字固△ゲルビ(イスラエル)


新ルール下全勝中のポリングが優勝、デコスにも連勝で勢い止まらず
70kg級

【入賞者】
1.POLLING, Kim(NED)
2.ZUPANCIC, Kelita(CAN)
3.BOLDER, Linda(NED)
3.DECOSSE, Lucie(FRA)
5.CORTES ALDAMA, Onix(CUB)
5.KIM, Seongyeon(KOR)
7.CONWAY, Sally(GBR)
7.GRAF, Bernadette(AUT)

グランドスラムパリ優勝、グランプリデュッセルドルフ優勝、欧州選手権優勝と大ブレイク中のポリング(オランダ・WR3位)の勢いが止まらない。

今大会は第3シード。2回戦でボルダー(カナダ・WR9位)から僅か1分48秒で「技有」「一本」と連取して勝利すると、準決勝はロンドン五輪王者デコス(フランス・WR2位)とのグランドスラムパリ以来の再戦に挑む。

グランドスラムパリでは裏投「一本」ででポリングが勝利しているこのカードはポリングが右、デコスが左組みのケンカ四つ。序盤は引き手争いの中からポリングが逆技の左一本背負投を仕掛け続けて1分18秒デコスに「指導1」。ポリングさらに前に出続け、デコスは片手の左大内刈で対抗するものの全体的には後退が続く。以後も右内股、左一本背負投で攻め続けるポリングの優位は変わらず2分51秒「指導2」、3分46秒「指導3」とデコスに立て続けに「指導」が宣告される。
直後、ポリングの右内股をデコスが狙い済まして返すシーンがあったがポリングはこらえて「待て」。
残り30秒を切ったところで、デコスが左内股でポリングを振り回し腕挫十字固を狙うシーンがあったが詰めの気力を欠いて「待て」。
残り数秒、ポリングの左一本背負投でデコスが場外で転がり「待て」。ここで試合は終了。ポリングまたしてもデコスに勝利、「指導3」の優勢で決勝進出を決めた。

ポリングは決勝戦で第1シードのズパンシック(カナダ・WR1位)と対戦。左一本背負投で巻き込んでまず「技有」、さらに3分3秒に再度の左一本背負投「一本」と相手を寄せ付けず、見事今大会も優勝を決めた。

ポリングは新ルール施行後の全勝継続。世界選手権は優勝候補の一番手に挙げておいて間違いないだろう。

デコスは大会通じて非常に淡々とした戦いぶり。3位決定戦はコルテス(キューバ)に勝利して表彰台を確保したが、2回戦のコンウェイ(カナダ)戦、ポリング戦、そしてこのコルテス戦といずれも立ち上がりが遅く「指導」を連続で失ってビハインドを背負うという非常に苦しい試合ぶり。コンウェイ戦、コルテス戦は終盤に一瞬加速し、前者は残り15秒の左小内刈「技有」、後者は大内刈「技有」と小外掛「有効」で逆転勝ちしたが、パワーで拮抗するポリング相手にこの緩やかな戦いぶり、技一発の威力という「貯金」で前半の懈怠をリセットしようという要領の良い省エネ戦法では間に合うはずもなかった。

もともとデコスはフォーカスする大会がハッキリしており、勝ち負けにも波がある選手。試合ぶりから考えるに今大会に臨むモチベーションが高かったとは到底思えず、実力の最高到達点をこの大会で測ることは難しい。しかし、「指導」が早い現行ルールの中3試合を戦ってなお立ち上がりを修正できなかった対応の遅さはいささか気に掛かる。なにしろ3戦で受けた「指導」の数は実に7つだ。簡単には戻せないほど気力と体力が落ちているのではないだろうか、という疑問を抱かざるを得ない。

試合後、明らかに内容に不満を見せたコーチとの温度差も気に掛かる。この敗戦も、内容の悪さも、どうやらプランしたものではなく、世界選手権に向けた現在地として飲み込める範疇におさまらない出来だったのではないだろうか。

年齢も32歳、明らかにフォーカスするべき世界選手権に果たしてその調整は間に合うのか。勝ち負け以上に、デコスの気力の低さ、内容の悪さが気に掛かる大会であった。




アギアール順当に優勝、佐藤瑠香は単調な戦い続けて2敗の5位
78kg級

13WM_78.jpg
写真:78kg級優勝のアギアール
※写真は11年グランドスラム東京時
【入賞者】
1.AGUIAR, Mayra(BRA)
2.JOO, Abigel(HUN)
3.JEONG, Gyeong-Mi(KOR)
3.TCHEUMEO, Audrey(FRA)
5.LOUETTE, Lucie(FRA)
5.SATO, Ruika(JPN)
7.TURKS, Victoria(UKR)
7.VELENSEK, Anamari(SLO)

第1シードのアギアール(ブラジル・WR2位)が順当に優勝。2回戦はマラニッチ(クロアチア)を内股「有効」、小外刈「技有」と寄せ付けず、準決勝は前戦でチュメオ(フランス・WR7位)を破ったジョンギョンミ(韓国・WR9位)を左小外掛「一本」で一蹴、決勝は第2シードのジョー(ハンガリー)を左小外掛「技有」で破って優勝決定。ワールドマスターズ2連覇を決めた。

11年冬-12年春の国際大会シーズンに見せた圧倒的なパフォーマンスには及ばないが、今回は仕上がっていない中で地力の高さを見せ付けたという試合。この階級はハリソン(アメリカ・WR1位)、チュメオ、緒方とアギアールが4強だが、この構図から少なくともアギアールがこぼれ落ちることは当面なさそうだ。

上記4強のうちハリソンと緒方は欠場。

11年世界選手権王者のチュメオは前述の通りジョンギョンミに2回戦で敗退。手数にこだわって掛け潰れ続けるジョンの先手作戦を崩せず3つの「指導」を失ったまま打つ手なく優勢で敗れた。3位決定戦は同国のルエット(フランス・WR4位)に一本勝ちを収めたものの覇気のなさは変わらず、表彰台では祝福を受けるアギアールの脇で横を向いて不貞腐れたような表情も見せた。
もともと練習嫌いで気持ちにムラのあるチュメオが見せた、明らかに精神面に難のある戦いぶりと振る舞い。世界選手権に向けて実力の程を測りかねる大会であった。

佐藤瑠香(コマツ)は5位。初戦はモントゥオプ(フランス)から4つの「指導」を奪って勝ち抜けたが、2回戦はジョーを相手に淡々と試合を進めて「指導」2つを失っての敗戦。3位決定戦はジョンギョンミと対戦。右相四つのジョンが明らかに反則を取りにきた1分過ぎの展開をあっさり受け入れて頭を下げて「指導1」(1:20)、肩越しと片襟の組み手を細かく出し入れした2分20秒には片襟の「指導2」、さらに肩越しに釣り手を入れたまま奥襟のジョンと圧を掛け合ってともに頭を下げるという理解しがたい攻防を演じた2分56秒には決定的な「指導3」を失ってまったく映えない内容のまま敗戦。

常々試合の構成力が課題とされる佐藤。2つ目の「指導」はやや不可解ではあったが、少なくとも片襟に厳しい、組み手の反則をキッチリ見ようとしている審判であることはこれでわかったはず。これを受けたその後の展開で、自身のみが反則の片襟(肩越し)組み手のまま相手と圧を掛け合った3つ目の「指導」は到底言い訳が出来る性質の反則ではない。地力を生かせず、試合が見えない。佐藤の積年の課題が露骨に出たワールドマスターズの3試合であった。

ジョー、ジョンギョンミともに新ルール施行前の力関係でいえば日本の緒方、佐藤が負ける相手ではない。ジョンギョンミは今回チュメオをも、この組み手の出し入れと先手作戦で下している。

組み合うことを目指した新ルールが、地力のある選手よりもルールへの対応を先んじて進めた技巧派の戦術ファイターに現時点では有利、という構図をハッキリ見せた、この78kg級でのジョンの3位入賞であった。

【日本人選手勝ちあがり】
佐藤瑠香(コマツ)
成績:5位
[1回戦]
佐藤瑠香○反則[指導4](4:34)△モントゥオプ(フランス)
[2回戦]
佐藤瑠香△優勢[指導2]○ジョー(ハンガリー)
[敗者復活最終戦]
佐藤瑠香○優勢[有効・小外刈]△ヴェレンセク(スロバニア)
[3位決定戦]
佐藤瑠香△優勢[指導3]○ジョンギョンミ(韓国)


中国の新兵器ユースンが優勝、ポラウデルとオルティス破る衝撃デビュー
78kg超級

【入賞者】
1.YU, Song(CHN)
2.ALTHEMAN, Maria Suelen(BRA)
3.ORTIZ, Idalys(CUB)
3.POLAVDER, Lucija(SLO)
5.ABREU, Heidy(CUB)
5.ANDEOL, Emilie(FRA)
7.KINDZERSKA, Iryna(UKR)
7.LEE, Jung Eun(KOR)

優勝は無印、ランキング24位のユー・スン(中国)。1回戦でレオニゼ(グルジア)を破ると2回戦でロンドン五輪金メダリストのオルティス(キューバ・WR1位)に「指導」2つを失いながらも「指導3」を獲得して勝ち抜け、準決勝は欧州の第一人者ポラウデル(スロベニア・WR7位)から僅か27秒で一本勝ち。ユーの左大外刈をポラウデルがかわし、足が股中に落ちたがそのまま勢いで転がし投げるというパワー溢れる一発だった。

決勝は第2シードのアルセマム(ブラジル・WR2位)と対戦。圧力を掛けながら右背負投、左一本背負投と繰り出し続けて、2分28秒にアルセマムに「指導2」宣告。以後もユーは守ることなく右大内刈、右一本背負投と繰り出し続けてタイムアップの声を聞き、「指導」2つによる優勢勝ち。ワールドマスターズ初制覇を成し遂げた。

五輪王者オルディス、欧州王者ポラウデル、そしてアルセマムと強者3人をいずれも下したこの日の結果は見事の一言。トウブン、キン、リウと重量級の強者がそろう中国にあって、ニューカマーのユーはこれが事実上のメジャー大会デビュー戦。そのユーがあっさり優勝したことであらためて中国がその層の厚さを見せ付けることとなった。

ユーは別科生として国際武道大に留学経験のある25歳。中国はロンドン五輪後まだ一線級を国際大会に送り込んできていないが、ワールドマスターズ優勝、そしてかつてトウブンを転がしたアルセマムを問題にしなかったことで、今後はこのユーが中国の重量級の序列上位に割って入る可能性がある。世界選手権、中国は重量級への2枠投入が濃厚。左右が利き、日本の柔道も良く知るユーが出場するとなれば要警戒だ。




※eJudo携帯版「e柔道」5月29日掲載記事より転載・編集しています。

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