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全日本柔道選手権マッチレポート・1回戦~3回戦

(2013年6月6日)


※eJudo携帯版「e柔道」5月17日掲載記事より転載・編集しています。

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全日本柔道選手権マッチレポート
1回戦~3回戦 1/4


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写真:開会式、棟田康幸による選手宣誓
体重無差別で柔道日本一を争う全日本柔道選手権は今年も4月29日「みどりの日」に聖地・日本武道館に各地区の予選を勝ち抜いた精鋭37名が集って開催された。

本年度大会は優勝争いに本命のいない大混戦。加藤博剛(推薦・千葉県警)、穴井隆将(天理大職)、石井竜太(推薦・日本中央競馬会)、七戸龍(九州電力)、原沢久喜(日本大)が横一線に並び、ここにぴたりとつける百瀬優(旭化成)を合わせた6人による鍔迫り合いの様相。賜杯獲得の行方は混沌、と表現するほかはない。

冬季の国際大会で成績を残せず不調だった加藤、五輪後は強化選手を辞退して半引退状態だった穴井、肘の手術による長期離脱から2月に復帰したばかりの石井、初めて「優勝候補」として全日本に臨む七戸、そして初出場の原沢と優勝候補五人はいずれも蓋を開けてみるまで仕上がり具合がわからないバックグラウンドをそれぞれ抱えており、まずは序盤戦の出来でこれが測られる。原沢は3回戦で増渕樹(旭化成)、七戸は同じく3回戦で棟田康幸(警視庁)、石井は3回戦で吉永慎也(新日鐵住金)、加藤は準々決勝で高橋和彦(新日鐵住金)、そして穴井は準々決勝で百瀬とそれぞれ早い段階で山場が設定されており、立ち上がりの遅さはそのまま敗退に直結しかねない。注目は各選手の序盤の出来だ。

広い日本武道館の国旗直下に設置されたたった一つの試合場に会場中の視線が注がれ、いよいよ今年も柔道日本一を決める激戦の火蓋が切って落とされた。

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写真:小林大輔の大内刈「有効」
1回戦

1回戦は5試合。もっとも注目を集めたのは小林大輔(ALSOK)と松本雄史(兵庫県警察)がマッチアップした第3試合。

この試合は小林、松本ともに右組みの相四つ。前に出て追い詰める小林、切っては組み際に片襟を差した右背負投、小内刈を撃って攻勢を確保しようとする松本という形で推移。序盤はやや小林がつきあい過ぎたが、2分26秒に小林が松本を追い詰めてこの日初めての右内股。松本立って受けるが直後に主審は松本に「指導」を宣告。
松本は右一本背負投、右小内刈からの朽木倒と手数を積み重ねるが、主審は小林の主導権確保を見極めて5分3秒松本に2つ目の「指導」を宣告する。

直後の組み際、松本の失意で生まれた隙を突いて小林が右大内刈を流し込み「有効」奪取。窮した松本はなんとか打開を図ろうと組み手争いの中からチャンスを伺うが残り21秒に放った左一本背負投が偽装攻撃と判断され決定的な「指導3」を失ってしまう。
そのまま試合は終了、小林「指導3」による優勢で危なげなく2回戦進出を決定した。

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写真:小林悠輔が遠藤剛を攻める
ほか、第1試合では初出場の19歳、小林悠輔(筑波大2年)がベテランの31歳遠藤剛(北海道警)を僅差3-0で破って優勢勝ち。ケンカ四つの遠藤に対して組み際の左背負投、左大内刈で手数を積み重ねて全日本選手権初出場、初勝利を決めた。

第3試合、森本翔太(札幌山の手高教員)と影野裕和(愛媛県警)による100kg級対決は森本が1分54秒に「指導」を奪取、これ以上のポイントの積み上げがないまま森本は巴投に大外刈、影野は内股で攻めあって試合終了。影野にも内股で「有効」に近い印象点があって非常に評価の難しい試合であったが、旗判定は2本が森本を支持して決着。僅差2-1の優勢で森本が勝利、2回戦へと駒を進めることとなった。

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写真:田中大貴が左内股から
押し込んで「有効」を獲得
第4試合では東海地区を1位で勝ち抜けた稲垣亮(三重県警)が奥嶋聡(山口県警)と対戦。右相四つの攻め合いの中で2分46秒に奥嶋に「指導1」、以後は互いに片襟の右大外刈に小内刈、両袖の大外刈など十分に組み合えないままの攻め合いで時間を消費し6分間が終了。旗判定の結果、僅差2-1で稲垣が2回戦進出を決めた。

第5試合はこれも初出場の田中大貴(国士舘大3年)が野島恒久(福島県警)を相手に体格差を生かして優位に試合を進め、「指導」奪取後の2分22秒に左内股をから体を預けてめくり返し「有効」ポイントを獲得。その後も左内股で攻め続けて4分57秒には2つ目の「指導」も追加して危なげなくクロージング。「有効」による優勢で勝ち抜けを決めた。

1回戦5試合は攻撃ポイントで決着した試合が1つのみで、僅差判定が3試合に、「指導」累積による優勢決着が1試合。
全日本選手権は序盤戦が「一本」で決まる大会は好試合が多くなり、逆に序盤戦が低調の場合はそれをひきずる傾向があると言われている。この時点では明らかに低調傾向、以後の盛り上がりが危惧される全体的にややもたついた1回戦であった。

[1回戦結果]
小林悠輔(筑波大2年)○優勢[僅差3-0]△遠藤剛(北海道警)
小林大輔(ALSOK)○優勢[指導3]△松本雄史(兵庫県警)
森本翔太(札幌山の手高教)○優勢[僅差2-1]△影野裕和(愛知県警)
稲垣亮(三重県警)○優勢[僅差2-1]△奥嶋聡(山口県警)
田中大貴(国士舘大3年)○優勢[有効・内股]△野島恒久(福島県警)

2回戦

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写真:穴井が出足払で佐々木智哉を崩す
【Aブロック】

穴井隆将○大内返(2:18)△佐々木智哉
注目の穴井、緒戦の相手は出場3回目の佐々木智哉(青森県警)。
穴井は左、佐々木は右のケンカ四つ。リラックスした表情で畳にあがった穴井は出足払、相手の左足を蹴っての支釣込足と足技を繰り出しつつ組み手争いを優位に運ぶ。穴井は決して無理をせず、佐々木もペースを上げすぎず淡々と組み手の状況を見極めて足技を打ち返し、双方リスクを冒さずに試合が進む。佐々木は時折右内股を繰り出すが引き手不十分、もしくは穴井の体捌きに腰を回すことが出来ずに不発。静かな展開で最初の2分が推移。

2分過ぎの組み際に穴井狙い済まして左内股を放つ。会場沸くがこれは足が抜けてしまい「待て」。

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写真:穴井が大内返「一本」
直後、先ほどの内股でいよいよ穴井がペースを上げに来たと見た佐々木は先んじて攻撃、組み際に両襟を握ると思い切った右大内刈。
しかしこれは待ち構えた穴井が首を捕まえ、小外掛の形で真裏に掛け倒す。佐々木のけぞるように背中から畳に落ちて文句なしの「一本」、2分18秒。

気負い過ぎず、かつ勝負どころは逃さず。穴井は文句なしの出来で3回戦進出決定。br>
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写真:初戦を戦う佐藤和哉
佐藤和哉○優勢[指導3]△菊川顕
井上康生以来17年ぶり5人目の高校生出場を果たした佐藤和哉(静岡学園高3年)の全日本選手権初試合。相手は出場6回目のベテラン菊川顕(岡山商科大教)。
この試合は佐藤が右、菊川が左組みのケンカ四つ。
緊張ゆえか動きの硬い佐藤だがジワリと前に出続けて、1分47秒に菊川が「指導1」を受ける。
佐藤は以降も前に出続け、引き手争いの中で左右の出足払を細かく繰り出す。菊川は1分50秒に釣り手で背中を握った形から巴投を打つが佐藤崩れず「待て」。

直後、佐藤が遠間から伸び上がるように腹を出し、足を伸ばして右大外刈を試みる。しかしこれは足を引っ掛けるに至らず、危機を感じた菊川は左大内刈を打ち返して展開を留保。そのまま菊川が袖を絞る形で膠着して2分58秒、双方に「指導」。

中盤は佐藤が右大内刈から左出足払、さらに奥襟を叩いての右大外刈に左出足払と、足技を連続する組み立てで優位を確保、4分16秒に菊川に「指導3」が宣告される。

残り1分を過ぎてから菊川が左大外刈、左出足払、両襟を握った左内股で反抗開始。頭の下がった佐藤に残り9秒で「指導2」が与えられるが試合はここで終戦。「指導3」対「指導2」、反則累積ポイント1つの差で佐藤が勝利を収めた。高校生の佐藤は全日本選手権初出場でうれしい初勝利。

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写真:百瀬は90kg級の
大学2年生・小林悠輔を捕まえきれず
僅差の旗判定で勝ち抜け
百瀬優○優勢[僅差2-1]△小林悠輔
百瀬優と小林悠輔の試合は体格に大きく劣る小林が良く粘り、百瀬のエンジンが掛からないままあっというまに6分が過ぎ去って試合終了。前に出る圧力と序盤の「指導1」奪取が評価された百瀬が旗2本を獲得、僅差の優勢2-1で辛うじて勝ち抜けを決めた。百瀬は身長で13cm、体重で30kgという体格的アドバンテージを生かせず、一種典型的な「なんとなく進めた」試合。ビジョンも覇気も全く感じられず、今後に不安を抱かせる内容の一番だった。

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写真:北見剛が辻玄太から
一本背負投で「技有」を奪う
北見剛(警視庁)○合技(6:12)△辻玄太
東京地区予選で上川大樹を破って男を上げた北見剛(警視庁)が辻玄太(旭化成)を相手に見事な一本勝ち。序盤は体格に勝る辻のラッシュを許し1分39秒に「指導」を受けたが、粘り強く試合を進めるうちに辻が疲労、巻き込み潰れを連発する展開となる。4分過ぎに巻き込み潰れた辻がなかなか立ち上がれない場面が現出、辻が明らかに疲労したと見極めた北見が直後の組み際に右一本背負投一閃、見事「技有」を奪取。終了間際には再び掛け潰れた辻に寝技を挑み、辻が後袈裟固を狙いつつ北見の上に乗って一旦展開を切ろうとところに下から絡み付き横三角の形で頭をロック。そのまま相手の体に上って崩上四方固で抑え込み、合技「一本」で試合を決めた。
勝負どころが訪れるまで我慢を重ね、機と見るやそれまで封印していた勝負技一発で確実にポイント奪取。北見の勝負師ぶりが際立つ一戦であった。

[Aブロック2回戦]
北見剛(警視庁)○合技(6:12)△辻玄太(旭化成)
穴井隆将(天理大職)○大内返(2:18)△佐々木智哉(青森県警)
佐藤和哉(静岡学園高3年)○優勢[指導3]△菊川顕(岡山県警)
百瀬優(旭化成)○優勢[僅差2-1]△小林悠輔(筑波大2年)

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写真:石井竜太は圧倒的優勢も、
野田嘉明の粘りの前にあと一歩の
詰めを欠き反則累積での勝利
【Bブロック】

石井竜太○優勢[指導3]△野田嘉明
昨年2位の石井、初戦の相手は試合巧者の野田嘉明(旭化成)。
石井は身長193cm、体重135kg。一方の野田は174cmで98kgと体格、特に身長差は対照の妙。
両者右組みの相四つ。石井が両襟で圧を掛けると野田は頭を下げ、引き手で腰を突いて守勢となる。54秒、「極端な防御姿勢」の判断で野田に「指導」。

石井は良い立ち上がりだが、組み勝ったところから肝心の詰めの一手が決め切れず、距離を出し入れしながら技を仕掛ける野田に粘りの試合を許してしまう。石井がケンケンの右大内刈で野田を場外に弾き出した直後の2分5秒に「指導2」、近接戦闘から石井が右小内刈で野田を腹ばいに落とした直後の3分43秒に「指導3」と反則ポイントが積み重なるが、以降はポイントなく試合終了。石井が「指導」3つの優勢勝ちで3回戦進出を決めた。

石井が、「際」に強い野田に対して万が一のアクシデントが起こる可能性を考え、あと一歩を詰め切れなかったという印象。相変わらずのパワーをベースに手堅い試合を見せた石井はまずますの初戦。コンディションの評価は次戦以降に持ち越しといったところ。

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写真:大辻康太が左袖釣込腰、
小林に組み止められるのを待たず積極的に技を出す
小林大輔○合技[内股・横四方固](3:30)△大辻康太
関東予選で優勝、勢いに乗っている昨年度学生81kg級王者大辻康太が小林大輔に挑戦したこの一番は、小林の貫禄勝ち。

大辻左、小林は右組みのケンカ四つ。序盤から組んで投げたい小林、いなしながら組み際の背負投に活路を見出す大辻と試合の構図は明確。序盤は大辻が小林に捕まる前に技を仕掛け続け、左背負投で懐に侵入することに成功した直後の1分30秒に小林に「指導1」。

しかし小林はここから組み手の厳しさを一段上げて大辻を追い詰めに掛かる。釣り手で袖を殺すと、引き寄せて引き手を握って右大内刈、右大外刈。窮した大辻が左一本背負投を仕掛けたところで両襟を得て右内股、大辻は場外に逃れて「待て」、経過時間は2分21秒。

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写真:小林大輔が大辻康太から
内股で「技有」奪取
小林は組み立てを変えて引き手から先に握り、大辻は左背負投に活路を求めるが小林あっさり回りこんで立って受け止める。大辻は手詰まり。

頃合良しと見た小林は釣り手で奥襟を得ると思い切った右内股。これは打点が合わなかったが、大辻の腰が浮くと見るや追いかけてもう一度入り直し、宙を舞わせて「技有」奪取。そのまま横四方固で抑え込んで一本勝ち、見事3回戦進出を決めた。

小林は体のキレ抜群、回りが良く見えている印象で明らかな好調。以降に期待を抱かせる内容だった。

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写真:渡辺の圧力を凌ぐ吉永
渡辺智斗○優勢[指導3]△吉永慎也
石井竜太への「刺客」と成り得ると思われた試合巧者吉永が、同タイプの新卒重量選手渡辺智斗(パーク24)に敗退。

吉永、序盤は渡辺の圧力をかわしながら巴投、右一本背負投に右袖釣込腰と繰り出して視界良好、1分10秒には「指導1」を得て試合を優位に展開する。

しかし、渡辺の圧力は吉永の想定以上。引き手で脇、釣り手で奥襟を叩いて圧力を掛けては前進し、相手を蹴り飛ばすような足技を繰り出す渡辺の前に吉永は苦しい組み手が続く。

「いなしながら一発潜り込む」のが吉永の対重量級の基本戦術だが、渡辺は吉永の巴投、背負投、袖釣込腰という勝負技をことごとく畳に叩き落して動ぜず。「指導1」を奪取して追いついた3分過ぎには右一本背負投で伏せた吉永を掬投で高々と持ち上げて一回転させ(寝姿勢の判断でポイントはなし)、明らかな攻勢。試合を決めるべき技をことごとく、それも希望が感じられない形で封ぜられた吉永は苦境、精神的にも肉体的にも消耗が加速していく。

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写真:吉永が疲労した後半は一方的な
渡辺ペース
この構造の差は残り1分半を過ぎてからポイントとして結実。4分43秒、吉永に偽装攻撃の「指導2」、5分33秒吉永に再び偽装攻撃の「指導3」と立て続けに反則ポイントが積み重なる。

渡辺のパワーが吉永の技術と「勝負力」を完封する形でこの試合は終了。渡辺が「指導」3つによる優勢勝ちで3回戦進出を決めた。実績から下馬評は吉永有利であったが、残酷なまでに一方的だった試合の構造からすればむしろ吉永が6分間良く凌いで戦いきった、とすら言える一戦だった。

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写真:残り数秒、
形部安彦の右小外刈が決まり「一本」
形部安彦○小外刈(5:52)△桶谷知生
この試合は73kg級の形部安彦(香川県警)が110kgの桶谷知生(朝日町柔道協会)に鮮やかな一本勝ち。互いにポイントなく試合終了かと思われた残り8秒に、形部が釣り手一本のままタイミング抜群の右小外刈。桶谷の巨体は一文字に浮いて棒のように固まり、そのまま横から激しく畳に落ちる。形部落下に合わせて思い切り体を浴びせて背中を着かせ「一本」。左脚から落ちた桶谷が負傷し、立ち上がないほどの強烈な一撃だった。

[Bブロック2回戦]
石井竜太(日本中央競馬会)○優勢[指導3]△野田嘉明(旭化成)
渡辺智斗(パーク24)○優勢[指導3]△吉永慎也(新日鐵住金)
形部安彦(香川県警)○小外刈(5:52)△桶谷知生(朝日町柔道協会)
小林大輔(ALSOK)○合技[内股・横四方固](3:30)△大辻康太(日本エースサポート)


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