PAGE TOP ↑

柔道1

柔道2
柔道4 柔道5

eJudoとは?情報募集・お問い合わせサイトマップ

皇后盃全日本女子柔道選手権マッチレポート・準々決勝~決勝

(2013年5月28日)


※eJudo携帯版「e柔道」5月6日掲載記事より転載・編集しています。

ドコモ版QRコード KDDI版QRコード
 docomo版QRコード    au版QRコード


1    

皇后盃全日本女子柔道選手権マッチレポート
準々決勝~決勝 1/3


準々決勝

13EPC_QF_1.jpg
写真:山部が良く攻め、
序盤は攻勢
山部佳苗○優勢[僅差2-1]△烏帽子美久

烏帽子は左、山部は右組みのケンカ四つ。

開始早々に上から釣り手を得た山部が腰を切って右内股。烏帽子返そうと試みるが山部はそこに再度内股を合わせて展開が切れ、「待て」。経過時間は13秒。

以後は引き手争いが続き、山部は右体落、烏帽子は再三腰を入れて前技の構えを見せて拮抗。山部が出足払、さらに股中に右体落を落とした直後の1分20秒、烏帽子に「指導1」。その後も山部が出足払、右内股と良く攻める。

2分、烏帽子が内股のフェイントから鋭い左小外掛。山部はこれを受けて場外へ。

再開後、烏帽子は釣り手の肘を上げて山部の圧力をずらし、左大内刈。山部が崩れると見るや右一本背負投に繋ぐ。山部崩れて「待て」。烏帽子が反抗を開始した感。経過時間は2分21秒。
流れを取り戻そうとした山部が奥襟を叩くと、烏帽子は釣り手を横から回して抱きつく。山部すかさず支釣込足、烏帽子は回って伏せる。

13EPC_QF_2.jpg
写真:烏帽子の右一本背負投、
山部大きく崩れるがポイントには至らず
「待て」
このあたりから烏帽子が釣り手で横襟を高く握り、山部の顔を突いて明らかな攻勢に出る。3分19秒には左内股で山部を腹ばいに落とし、3分43秒にもタイミングの良い左小外掛で山部を大きく崩す。山部はこの後釣り手を下から握る作戦に切り替えて片手の右体落で反抗するが、散発。4分11秒からのシークエンスでは烏帽子が左内股、右内股を合わせ返した山部がまっすぐ前に出てくるとその勢いを利して場外に向かって右一本背負投。山部は烏帽子の背中に深く乗り、会場大いに沸く。山部は頭から畳に落ち、ついでポイントなるかと満場息を呑む中、緩やかに腹ばいに落ち「待て」。中盤は烏帽子攻勢。

13EPC_QF_3.jpg
写真:終盤は拮抗も、
山部が旗判定2-1で勝利
ここで烏帽子がもう一段攻めを加速できれば山部への「指導」宣告という間合いだが、以降の展開は引き手争いが主。烏帽子は出足払、さらに山部の右体落に反応した右一本背負投と必死に攻めるが、山部は烏帽子の技を潰し、あるいは組み手を持ち変えることを強いてはその機を狙って右体落を入れ、緩やかに主導権を取り続ける。

試合はそのまま双方の攻撃ポイントなく終了。
旗判定は副審1人が紅の烏帽子、主審と副審1人が白の山部を支持。僅差2-1の優勢勝ちで山部が準決勝進出を決めた。

序盤は烏帽子への「指導」という明確な評価もあり山部が攻勢。中盤の烏帽子の攻勢と、山部の圧力と烏帽子の手数が拮抗した終盤の攻防をどう評価するかが判断の分かれ目になったかと思われるが、率直に言ってどちらが勝ってもおかしくない試合ではあった。ゆえに旗1本差での山部勝利という結果は妥当。「指導」という明確なポイントの差と前年度優勝者としての「名前」が勝敗を分けたという印象の一戦だった。

山部の攻撃意欲の薄さはこの試合も修正出来ず。出来の良かった初戦が相四つ、以降の2戦はケンカ四つだが、準決勝は緒方、上野のどちらが勝ちあがってきてもケンカ四つが確定している。次戦に向けて不安のいや増す準々決勝であった。

13EPC_QF_4.jpg
写真:緒方が奥襟を叩くが
上野は支釣込足で脱出
緒方亜香里○優勢[指導2]△上野巴恵

上野、緒方ともに右組みの相四つ。2011年にもこの大会で対戦歴があり、その際は上野が組み手で緒方を完封、豪快な大内刈「一本」で勝利しているカードだ。

緒方が高い位置で釣り手を確保し得意の相四つ変形の構え。上野はすかさず緒方の釣り手を引き手でこじ上げながら支釣込足でいなし崩して脱出、組み手はやりなおしとなる。

上野が左小内刈、緒方押し込み返して釣り手で奥襟を得るが下がった上野ともども場外に出てしまい「待て」。経過時間は28秒。

緒方に奥襟を与えたくない上野、先に引き手で袖を絞り、両袖の形を作る。生命線の釣り手が持てない緒方は幾度か切り離そうと試みるが上野押し込んであくまで離さず。緒方は過剰な反応で上野にチャンスを与えることを嫌ったかここはこの形を一旦受け入れ、双方小内刈の形で相手の左足を蹴りあう牽制に終始。この形が40秒から約1分近くの長きに渡り続く。

13EPC_QF_5.jpg
写真:緒方が奥襟を叩いて
試合を引っ張り続ける
両者が場外に出た「待て」の後、試合は仕切り直し。緒方はまず釣り手で肩越しに背中を触り、ついで奥襟に持ち替えるというこの日再三見せている手順で得意の形を作り、上野はジワリとこの釣手を落として対抗。釣り手が低くなったことに危機を感じた緒方は一旦自ら切り、再び肩越しに釣り手を入れて上野の頭を下げさせると、上野の頭を釣り手でまたいで、「引き手で袖、釣手で奥襟」という完璧な体勢を確立。しかしその完璧さゆえ、このシークエンスの位置づけを割り切った上野は腰を遠くに置いて専守防衛。緒方二度、三度と大内刈を放つが上野の腰が遠すぎて届かず、間合いを見た上野は支釣込足の形で緒方の左足内側を蹴りまわし、緒方はズルリと滑るように伏せてシークエンス終了。「待て」。

ここで主審は前段の緒方の攻勢を評価し、上野に「指導」を宣告する。経過時間は1分53秒。

再開直後、緒方はまず引き手で襟を掴み、釣手で奥襟を狙う。上野うまくキャッチするが、緒方は一旦釣り手を引き、今度は肩越しに釣り手を入れて左大外刈。下がった上野は距離を取り直して両袖の形に持ち込んで左大外刈を打ち返す。

中盤戦は奥襟を叩いて圧力をかける緒方、そしてこれを落とし、あるいはいなして二段の小外刈に支釣込足、そして緒方の圧力を後ろ回り捌きのハンドル操作で自分の左技に変換して対抗する上野という構図で拮抗。3分45秒には奥襟から釣り手を下げられた緒方がこれを握りあげようとした機を捉えて、上野が支釣込足を入れて緒方が崩れ伏せるという場面が現出。展開は大枠緒方優位もなかなか具体的な差がつかない。

13EPC_QF_6.jpg
写真:緒方の左大内刈、
上野は場外に崩れ伏せる
4分過ぎ、緒方が引き手で袖、釣り手で奥襟という完璧な形。上野は両腕を狭く絞って対抗。緒方は圧を掛けて上野を前に引きずりだしながら左大内刈と良い攻めを見せる。この展開は上野の左大外刈で一旦切られたが、直後にも引き手で襟、ついで奥襟と王道の手順で攻撃姿勢を作り上げて攻勢。緒方がハンドル操作で反時計回りに上野を振ろうとすると上野は反応して左大外刈、緒方は今度は逆回りに振り返して上野を前に送ってたたらを踏ませ、この攻防は緒方が攻めた形で終了。緒方はさらに、またもや引き手で襟、次いで釣り手を肩越し、頭を下げさせておいて奥襟に持ち替えるという手堅い手順を披露して上野の頭を固定、前にあおり出して優位に試合を運ぶ。

ここで主審は上野に2つ目の「指導」を宣告、4分52秒。

緒方は再度同様の手順で組み手を完成させると横変形に上野の釣り手を噛み殺し、前にあおり出して大内刈を2連発。上野は場外で腹ばい。

以降も緒方は組み手で妥協せず、組み合うたびに組み手のやりなおしを強いられる上野は攻撃の橋頭堡を築くことが全く出来ない。

試合はそのまま終了。緒方が「指導2」による優勢で勝利を決めた。

11年の対決では大内刈「一本」で上野が勝利しているこのカード。前回の対戦は決着の劇的さもさることながら、上野が組み手の巧さで緒方を完封したその内容に、単なる勝ち負けを超えた緒方の上野に対する相性の悪さ、そして柔道の質の差を感じたものであったが、この日の試合の様相はまるで逆。組み手と試合構成の粗さが積年の課題であるはずの緒方が、巧者上野にそのストロングポイントである組み手でことごとく上を行き、むしろ「組み手の上手い選手」に分類すべき質の高い柔道を見せた試合であった。

パワー自慢の緒方に備わり始めた組み手の上手さと、妥協なくそれを完遂するメンタルの強さ。これならばあるいは山部超えもあり得るのでは、と次戦への期待をかきたてながら、緒方堂々のベスト4進出決定。

13EPC_QF_7.jpg
写真:田知本の出足払が「技有」
田知本愛○合技[出足払・内股](1:31)△穴井さやか

田知本は左、穴井は右組みのケンカ四つ。
穴井、奥襟を叩いてひきずるように田知本を引っ張り出す非常にアグレッシブな出だし。田知本は釣り手を突いて一旦展開を落ち着かせようとするが、穴井は右大内刈、右小外刈を入れて勢いを保ち、試合を動かそうと試み続ける。田知本が左払腰、穴井は引き手を切って展開をリセット、「待て」。経過時間は30秒。

再開直後、田知本は両襟を握って圧を掛けると、相手を引き寄せながら鋭い左出足払。穴井が足を高く上げて崩れると左内股に繋ぐ。軸足の位置が遠く相手の力の圏内に入ることは出来なかったが、穴井は頭を下に大きく崩れ、腹ばいに畳に落ちて「待て」。経過時間は39秒。

再開直後、両襟を握って力が伝わる状態を作った田知本、奥襟を叩いてきた穴井が僅かに下がる、その重心の移動の際にタイミング良く左の出足払。鋭い一撃に穴井吹っ飛ぶ勢いで畳に落ち、主審は「一本」を宣告。
しかしこれは副審2人のアピールで「技有」に降格訂正。田知本は横四方固に押さえ込むが長身の穴井は必死に抵抗、隙間を作って相手と一直線になるまで角度を戻すと、回り伏せて「解けた」の声を聞く。経過時間は1分8秒。

13EPC_QF_8.jpg
写真:田知本が穴井の右小外掛を
左内股に切り返して2つ目の
「技有」奪取
もはや攻めるしかない穴井、激しく前に出る。引き手、次いで釣り手で奥襟を掴んで、右内股のフェイントから長い足を伸ばして右小外掛を仕掛け、背中を抱えて田知本の腰の裏に食いつく。しかし田知本は反応よくこれを左内股に捕まえ、持ち上げて回旋を呉れる。足を大きく開いてバランスを失っていた穴井は逆らえず一回転「技有」、1分31秒。

田知本、合技「一本」の完璧な勝利。危なげなくベスト4進出を決めた。

敗れた穴井は緒方亜香里と佐藤瑠香という大物2人の出現後数年に渡り映えない試合が続いていたが、今大会は復活を感じさせる好パフォーマンス。組むこと自体で相手を崩せる長身と膂力というストロングポイントはそのままに、所属のミキハウスへの皇后盃王者山部佳苗の加入が刺激となったか、何より今回はかつてのような攻撃意欲、ガツガツ攻める貪欲さが復活していた。緒方と佐藤が独走を続ける78kg級戦線にあって存在感の薄くなっていた穴井だが、今年は大いに期待できそうな気配だ。

13EPC_QF_9.jpg
写真:佐藤が釣り手で
奥襟を叩いて主導権を得る
白石のどか○優勢[技有・小外刈]△佐藤瑠香

準々決勝最終戦は白石、佐藤ともに左組みの相四つ。
佐藤は釣り手で奥襟をガッチリ捕らえ、白石は釣り手を横から背中に回して対応。佐藤の圧が良く掛かり、佐藤が背筋を伸ばし、白石は頭を下げながらの攻防。

佐藤が白石を前にあおりだし、苦しい体勢の白石は左大腰を放って打開を試みる。しかし佐藤が位置を入れ替えて着地、再び圧力を掛けると白石は姿勢を小さくせざるを得ず、佐藤が右大内刈、右小内刈と足技で攻め続けて攻勢。

13EPC_QF_10.jpg
写真:白石は苦しい体勢の中から
左大腰を放ち、展開を保つ
不利な体勢が続く白石だが、左釣込腰に左大腰、片手の左内股と放ち続けて展開に差をつけさせない。攻防は2分過ぎから足技の打ち合いに一旦収束、2分17秒に双方に「指導1」が宣告される。

再開直後、佐藤はジャンプして奥襟を叩き、両襟で圧力をかける。右大内刈、右払腰、右小内刈、さらに右体落と残存体力を考慮しないかのような集中攻撃。白石は滑るように畳に伏せて「待て」。経過時間は2分37秒。

佐藤は奥襟を叩き、白石は背中を握って前に出て対抗。双方場外に出かけるが佐藤が前にあおって白石を場内に誘導、白石の頭が下がる。試合の流れは再び佐藤に傾いてきた印象。

2分56秒に場外の「待て」が掛かると、両者は一旦動きを止めて、肩で息。双方ともに疲労の色が濃い。

13EPC_QF_11.jpg
写真:白石が小外刈で突進、
「有効」を得る
直後、佐藤は再び相手をあおり引き出して右大外刈。かわした白石は左大腰を放つが腰の入りが浅く佐藤は腰の外側で回り、位置を入れ替えて足から畳に降りる。その降り際に白石、突如と言って良いスピードアップで左小外刈を入れ、体を預けて突進。両者場外に向かってドウと崩れ、佐藤は必死に身を捻ろうとするが白石の袖を絞った引き手の決めが良く、横倒しに倒れる。これは白石の「有効」。経過時間は3分24秒。

攻勢を一発でひっくり返された佐藤は俄然奮起。白石を引きずり回して小内刈、足を先に引っ掛けての大外刈と攻めるが、あと1つの「指導」で追いつかれる白石も左大外刈を打ち返して対抗。双方疲労の色が濃くなる中、必死の攻防が続く。

13EPC_QF_12.jpg
写真:佐藤が担ぎ技を連発、
「指導2」を得て追いつく
3分50秒、佐藤が右背負投、さらに右一本背負投と繋ぐが、状況を心得た白石はここで差をつけさせてはならじと双方畳に膝をついたところから自ら立ち上がって左小外刈、ついで大内刈で佐藤を追う。

それでも心の折れない佐藤はジャンプして奥襟を叩き右内股、右小内刈、さらに右内股と連発。この執念が実り、4分23秒ついに白石に「指導2」が宣告される。ここに至って佐藤がついに追いつき、試合はタイスコアにリセット。

さらにその直後。激しく前に出て奥襟を叩いた白石を佐藤が迎え撃つ形で右小外刈。腕を伸ばした瞬間に食いつかれた形の白石は弾き飛ばされて畳に激しく転がる。佐藤は両手を離してしまったが、勢いが評価されてこれは「有効」となる。経過時間は4分30秒。佐藤、ついにこの試合初めてのリード。

13EPC_QF_13.jpg
写真:白石が左小外刈から
体を浴びせ「技有」で再逆転
しかしこの試合はまだ終わらない。それでも前に出る白石が左小外刈を引っ掛ける。やや虚を突かれた佐藤はバックステップを踏もうとするがその一歩目の着地に合わせて白石突進、体を浴びせて「技有」、4分45秒。僅か22秒間に同点の「指導2」、逆転の「有効」、さらに再逆転の「技有」と3つのポイントが立て続けに生まれるノーガードの打ち合い。

13EPC_QF_14.jpg
写真:消耗が激しい両者が必死で
攻めあう。佐藤の大腰は場外で
白石が伏せてノーポイント
場が荒れているうちに再々逆転の一打が欲しい佐藤は激しく前へ。右背負投を2連発するがこれは白石が左内股に吸収。白石さらに左大外刈を引っ掛けて攻め、クロージングを図る。佐藤は右大内刈から右大腰、これはあわやと思われたが白石が場外で伏せて「待て」。残り時間は31秒。重量に劣る佐藤はさすがに攻め疲れ、誰の目にも疲労が明らか。

白石飛びつくように組みに出るが、佐藤が右小外刈で跳ね返し白石は頭から畳に落ちて伏せ「待て」。

残り20秒となってからは奥襟を叩いた佐藤が攻めに攻める。右内股、右大外で前進すると白石が左大腰に切り返すが、佐藤はこれをはたきこむように前にいなし、帯を掴んで伏せさせる。
この時点で残り時間は7秒。白石への「指導」があるかと思われたが審判団はスルー、佐藤が背中を掴んで小内刈を放ったところで終了ブザーが鳴り響く。

大激戦は白石の「技有」による優勢勝ちで決着。白石、世界選手権経験者の佐藤を下して堂々の、そして初の皇后盃ベスト4入り決定。

結果決まった準決勝のカードは、

山部佳苗 - 緒方亜香里
田知本愛 - 白石のどか
の2戦となった。

[準々決勝]
山部佳苗○優勢[僅差2-1]△烏帽子美久
緒方亜香里○優勢[指導2]△上野巴恵
田知本愛○合技[出足払・内股](1:31)△穴井さやか
白石のどか○優勢[技有・小外刈]△佐藤瑠香


次へ

1    



※eJudo携帯版「e柔道」5月6日掲載記事より転載・編集しています。

ドコモ版QRコード KDDI版QRコード
 docomo版QRコード    au版QRコード


→eJudoトップページに戻る
→「ニュース・マッチレポート」に戻る


supported by KAYAC 運営会社サイトポリシー  RSS copyright (c) 2005 ejudo all rights reserved.