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五輪後一皮剥けた田知本愛がV候補筆頭、連覇狙う山部佳苗はメンタルの浮揚がカギ・皇后盃全日本女子選手権展望

(2013年4月21日)


※eJudo携帯版「e柔道」4月20日掲載記事より転載・編集しています。

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五輪後一皮剥けた田知本愛がV候補筆頭、
連覇狙う山部佳苗はメンタルの浮揚がカギ
皇后盃全日本女子選手権展望


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写真:昨年大会の開会式
体重無差別で日本一を争う第27回皇后盃全日本女子柔道選手権大会は21日、横浜文化体育館で全国の予選を勝ち上がった精鋭36名によって争われる。

優勝候補筆頭は昨年12月のグランドスラム東京、2月のグランドスラム・パリを出色の出来で制した田知本愛(ALSOK)。今大会は、ロンドン五輪代表の杉本美香の引退後、この田知本が日本の大看板、ワントップのエースとして君臨することが出来るか、その結果と内容が問われる大会。田知本の優勝なるか、そしてその勝ちぶりは如何、というのが25年度皇后盃最大のトピックだ。

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写真:優勝候補筆頭は田知本。
結果以上にその内容、
柔道の質に注目が集まる
田知本の昨秋以降のパフォーマンスは素晴らしい。勝負どころでは圧殺オンリーと言って良かった以前のスタイルと完全に決別、釣り手の手首を巧みに動かして相手を動かし、自ら展開を作りながら左右に投げを狙い続ける攻撃的柔道が好調の因だ。試合を動かせるようになったことで、以前からの長所であった圧力の強さ、そして寝技の移行への速さがさらに生きるようになり、現在は無敵に近い強さ。皇后盃という特殊な場、いまだ獲得し得ぬ賜杯獲得への挑戦、そして唯一最大の優勝候補であるということから来る心理的圧力のみが不確定要素か。
メンタルの問題が度々指摘されてきた田知本だが、何かを吹っ切ったような五輪後の快進撃はこの皇后盃という場でも続くのか、この好パフォーマンスはハイプレッシャー状態でも発揮出来るのか。注目である。

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写真:昨年大会で初優勝、
皇后盃を受け取る山部佳苗
対抗馬は昨年大会の王者、今大会は推薦枠で出場する山部佳苗(ミキハウス)。武器は投技の切れ味と、大技一発に繋げるまでの組み立ての良さ。
しかし山部の昨秋以降のパフォーマンスは決して良くはなく、講道館杯では煮え切らない試合のまま市橋寿々華(大阪府警)に敗退して3位、グランドスラム東京もアルセマム(ブラジル)に敗れてファイナルラウンドに進めず。ヨーロッパオープン・オーバーヴァルトは優勝したが続くグランプリ・デュッセルドルフでも準決勝で一本負け。好不調の波が激しくメンタルの揺れが露骨に試合成績に表れる山部が、精神的にどこまで復調しているか。これが勝ち上がり最大のポイント。田知本との相性自体はこれまでさほど悪くなく、問題はむしろ中途の勝ち上がりにあるはず。

ほか、近畿予選で二連覇の市橋寿々華、講道館杯優勝で、東京地区予選も1位で勝ち抜けた白石のどか(JR東日本女子柔道部)が超級の有力候補。ロンドン五輪出場の緒方亜香里(了徳寺学園職)、佐藤瑠香(コマツ)の78kg級勢2人も十分上位を伺う力がある。

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写真:中学生の三浦裕香理
は今大会最年少
昨年朝比奈沙羅(渋谷学園渋谷高)のベスト4躍進に沸いた若手枠では、東北2位で、なんと中学新3年生の三浦裕香理(天王南中)が初出場。昨年の全国中学大会では63kg級で鍋倉那美(大成高)と嶺井美穂(桐蔭学園高)に混じってベスト4入りを果たし、今期の全日本カデでも3位に入賞している。実績、実力とも皇后盃の水準点に達しているとはまだまだ言えない選手だが、これをきっかけに大化けなるか、今期の中学注目選手としてその戦いぶりには注目しておきたい。

57kg級ながら北信越予選を1位で勝ち抜けた出口クリスタ(松商学園高)、四国予選1位の月波光貴穂(新田高)と同2位の鈴木夏海(新田高)、インターハイ2位で2年連続の出場となる滝川真央(富士市立高)、荒巻有可里(夙川学院高)と高校生も5人が参戦。超級のホープ候補である月波と滝川には入賞の期待も掛かる。

組み合わせをA~Dの4ブロックに分けて、序盤の注目対決とベスト4進出をめぐる争いを主眼に簡単に展望を試みたい。

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写真:Aブロックは山部が
絶対の勝ち上がり候補
■組み合わせ展望

恒例のコンピューター抽選。Bブロックのに中堅の強豪がやや偏り、また随所に序盤に持ってくるには勿体無いカードも散見されるが、大枠今期は比較的順当な組み合わせ。もちろん田知本(Cブロック)と山部(Aブロック)はセパレート配置、この2人がいないBブロックで混戦が演出された形で、比較的受け入れやすい組み合わせとなっている。優勝争いに絡むレベルの上位候補に関しては、比較的穏当な結果が予想される。

【Aブロック】

烏帽子美久 - 下田美紗季(2回戦)
柴田まどか(2回戦)
月波光貴穂 - 日高美沙季(1回戦)

荒巻有可里 - 大住有加(2回戦)
山部佳苗 - 石井優花(2回戦)

烏帽子-下田、月波-日高、荒巻-大住の序盤3試合はいずれもなかなかの好カード。
分けても月波と荒巻という高校カテゴリの超級の強豪に、70kg級の大住、78kg級の日高という中量級のシニア強化選手がそれぞれマッチアップする後者2試合はなかなか面白い。

月波は圧力に加えて試合を動かす力が出てきている。日高も圧力を掛けて戦うタイプの選手だが、78kg級の選手としては圧の掛け合いよりは動く展開のほうが優位のはず。勝敗はもちろん、両者がいずれのスタイルでの戦いを選択するのか、大物月波の今後の伸びしろを占うという意味でも興味深い一戦。

荒巻は超級ながら切って仕掛けてまた切って、という泥試合が出来る選手で、対する大住は自身の階級では両手で捕まえて圧を掛け、一発の投げに掛ける本格派の戦いで出世してきた選手。階級適性的には戦闘スタイルの逆転している両者がどんな試合を繰り広げるか。大住優位とみるがこの試合も面白い。

山部-石井は山部の勝利自体は動かないはず。好不調の波が激しい山部のこの日の出来を測るべく、その立ち上がりの動きに注目。

烏帽子-下田は好カードだが、順当であれば烏帽子の勝ち上がりが予想される。

ベスト4への勝ち上がり自体は山部でほぼ間違いない。アップセットを起こしうるとすれば烏帽子だが、山部は動きのあるタイプには比較的強く、相性的には悪くないはず。

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写真:2年連続ベスト8の
市橋寿々華
【Bブロック】

畑村亜希 - 市橋寿々華(2回戦)
上野巴恵 - 村瀬晴香(2回戦)

滝川真央 - 只野真梨枝(2回戦)
緒方亜香里(2回戦)
高橋ルイ ー 稲森奈見(1回戦)

Bブロックは混戦。勝ち上がりの第1候補は市橋だが、重量級狩りの得意な上野巴恵、ロンドン五輪78kg級代表の緒方亜香里という国際級の中量選手に加え、重量選手ながら超級相手に担ぎ技で対抗できるタイプの高校生滝川真央、サンボで最重量級のユニバーシアード代表の村瀬晴香、70kg級で2年連続学生2位の高橋ルイ、11年インターハイ78kg超級王者で今期の躍進を狙う稲森奈見、11年学生78級王者の只野真梨枝、帝京大の学生体重別団体優勝を支えた畑村亜希と全員が一癖も二癖もある選手。序盤から勝ち抜け者決定まで非常に面白いカードが続く。

上野-村瀬は、70kg級ながら重量選手狩りが得手の上野優位と見るべきだが、村瀬もこのところ好調。超級同士の対戦で見せる一発の破壊力は見るべきものがある。面白い試合が期待できそう。

高橋と稲森の対戦も面白い。高橋はサンボのユニバーシアード日本代表を決めており、選考会では関節技での「一本」を連発していた。11年インターハイ超級王者の稲森ももともとは寝技の強さを活かしてのしあがってきた選手で

畑村-市橋は序列から言えば市橋だが、正直試合はどちらに転んでもおかしくない。

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写真:厳しい組み合わせ
ながら勝ち上がり候補に
推される緒方亜香里
3回戦以降は、誰がどう勝ちあがってくるか、相性の掛け算で様相が全く変わってしまう。手堅く考えていけば市橋と緒方が準々決勝を争い、圧力の掛け合いだけでなく試合を動かしていける緒方が勝利するというのが飲み下しやすいシナリオだが、ジョーカー的な活躍が期待できる上野、泥臭い試合をいとわず受けの強い滝川、瞬間的な爆発力を得た畑村がそれぞれ初戦を勝ち上がった場合以後の様相は読みがたい。

ここは緒方を押しておくが、まことに読めないブロックであるという注釈をつけておきたい。誰があがってもおかしくないブロックだ。

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写真:57kg級の高校王者、
北信越予選を
オール一本勝ちの出口。
3回戦で田知本に挑む
【Cブロック】

田知本愛 - 後藤美和(2回戦)
出口クリスタ - 三浦裕香理(2回戦)
鈴木夏海 - 穴井さやか(2回戦)
谷村美咲(2回戦)
濵田尚里 - 川島巴瑠菜(1回戦)

勝ち上がりという観点では田知本が堅い。初戦から後藤美和という難敵だが、超級同士の対戦ということで力関係がそのまま結果に反映される確率が高い。ここは問題ないだろう。おそらく3回戦で出口、準々決勝で谷村という過程を経て、ベスト4進出自体は揺るがない。

57kg級の高校生出口と63kg級の中学3年生三浦の対戦は、どうにも無粋なカード。大型選手狩りが得意な出口がシニア、大学の大型選手の中堅どころと泥沼の試合を繰り広げるというのが一つ面白かったのではないかと思うが、出口の次戦がおそらく勝ち目のない田知本であることも含めて非常に勿体ない配置。三浦が中学生としては抜群に受けの強い選手ではあるが、ここは出口が得意の寝技に持ち込んで勝利する可能性が高いのではないか。

鈴木-穴井の対戦は、粘りが身上で短躯の鈴木と、長身で技の豪快さが武器、そしてそれと裏腹の淡白さという弱点を持つ穴井という戦い。柔道の相性自体は鈴木だが、さすがに地力が違うのではないか。穴井が勝ち上がるだろう。

濱田-川島は78kg級の強者同士。川島の学生時の序列を考えれば川島だが、ここは稽古環境と近年の上昇カーブを考えて濱田の勝利を推したい。この勝者と谷村美咲が戦い、谷村が勝利、そして穴井を倒してベスト8進出ということになるのではないだろうか。

田知本-谷村の準々決勝となると、前述の、田知本が実力を出しやすい超級選手の「幅」に谷村は嵌る。やはりここは田知本の勝ち上がりと見て間違いないところ。

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写真:講道館杯優勝の白石。
国際大会では
成績を残せなかったが
今大会での復権を狙う
【Dブロック】

白石のどか - 塚越加奈(2回戦)
牧野夢果 - 石川笑美子(2回戦)
佐藤瑠香(2回戦)
藤原恵美 - 藤原祐美(1回戦)

白石は3回戦で石川笑美子という関門があるが、東京予選の出来の良さを考える限りアップセットの可能性は低そう。
佐藤は3回戦で大学新1年生の藤原恵美との対戦はあるが、かつての佐藤の重量選手との戦いと藤原の攻め手の遅さを考える限り、佐藤が得意の大内刈を効かせて勝ち上がると見て良いのではないか。

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写真:大型選手を苦にしない佐藤瑠香。
攻め手の遅い超級選手とは対照的な
戦闘的スタイルで、上位進出を目論む
よってこのブロックは準々決勝の白石のどか-佐藤瑠香戦が唯一最大の山場と見て良いだろう。

おそらく試合は佐藤が仕掛ける展開。予想の難しい試合だが、最終的には白石が捌ききれず、佐藤に試合の流れが傾くのではないか。白石は気持ちの切れ易い佐藤に対して粘って終盤まで試合を持ち込み、単調になった隙を突きたいところ。

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写真:昨年大会の準々決勝、
山部が田知本を相手に攻め込む
【準決勝-決勝】

山部佳苗 - 緒方亜香里
田知本愛 - 佐藤瑠香

と、前述の通り、超級2人、78kg級2人の強豪4人による対決をここでは予想しておく。

山部と緒方の試合は、緒方が得手とするケンカ四つ。そして田知本と佐藤の試合は、気持ちの優しい田知本に対して荒々しい攻めが身上の佐藤がマッチアップと、超級の2人にとっては一つ出来が試される、試練の試合だ。
体格差が試合に影響するところの大きい女子ということもあり、地力は山部、田知本が上。緒方は山部の一発を食わないように得意の小外刈からコツコツと、佐藤はどう圧力を受けずに攻め続けるかがポイントになるはず。

決勝は順当に山部-田知本と考えたい。

田知本は好調だが、それは圧殺に満足せず、相手を動かし続けて攻める積極的なスタイルが嵌ったもの。しかし山部はどちらかというと試合が流動的な中、相手が動いてくる試合で自分の技を活かすのが得手。かつては全日本ジュニアの決勝で田知本の内股を内股透に切って落とした実績もある。

好不調の波が激しくともするとメンタルが下を向きがちな山部だが、たとえ不調でも試合を動かされることでかえってその「際」の強さ、一発の強さが呼び覚まされる可能性もある。田知本にとっての安全策はかつての通りの「圧殺」で動きと展開を封じて、試合展開を静かなものに持ち込みながら「指導」を重ねていくもののはずだ。

しかし、杉本の去った超級で、世界選手権金メダルの最有力候補に挙げられる田知本はそれを良しとするのかどうか。あくまで、現在絶好調の所以である攻撃的なスタイルを貫いて勝ちきるのか、それを貫けるだけの地力を練れているのか、それともここは順行運転での勝利を目指すのか。
いずれが勝つにしても、勝敗を超えた次の焦点が田知本の柔道の「内容」であることは間違いない。田知本が勝てば初優勝、山部が勝てば2年連続2度目の優勝。好試合を期待したい。



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