PAGE TOP ↑

柔道1

柔道2
柔道4 柔道5

eJudoとは?情報募集・お問い合わせサイトマップ

軽量ながら駒の質揃える松商学園、岡史生中心に勝負どころ弁える敬愛が2強・全国高校選手権女子団体戦展望

(2013年3月18日)


※eJudo携帯版「e柔道」3月17日掲載記事より転載・編集しています。

ドコモ版QRコード KDDI版QRコード
 docomo版QRコード    au版QRコード


軽量ながら駒の質揃える松商学園、岡史生中心に勝負どころ弁える敬愛が2強
全国高校選手権女子団体戦展望


13KS_prevWD_1.jpg
写真:昨年度女子団体の表彰。
松商・出口、新田・月波、埼玉栄・安ら
今年度の主役級の顔がある
先鋒52kg級、中堅63kg級、大将無差別という特異なレギュレーションで行われる女子団体は、このポジションに嵌る駒をしっかり用意出来ているかどうかが最大の勝負の分かれ目。特に先鋒枠は今大会いったいに人材難でここに圧倒的な選手を置く強豪がなく、予想が非常に難しい。

そんな中戦力的に2強と目されるのが第1シードの松商学園高(長野)と第2シードの敬愛高(福岡)。

13KS_prevWD_2.jpg
写真:松商学園のエースは
グランドスラム東京63kg級を
制した津金恵
松商学園は中堅枠に津金恵という圧倒的な駒を持つ。高校2年生にしてインターハイ優勝、全日本ジュニア優勝、そしてなんと12月にはIJFのシニアカテゴリ最高峰大会のひとつであるグランドスラム東京で優勝を飾った、現役の高校生でもっとも期待される選手の1人である。2月に参加した欧州国際大会ではスーパートップに連続で対戦する組み合わせの不運もあり納得いくだけの結果が残しきれず、疲労もあって現在はやや下り坂との情報はあるが、地力の高さはやはり群を抜いている。得意の内股は数種のパターンがあり取り味抜群。

同僚の出口クリスタは1年生時に52kg級でインターハイ制覇、階級アップ後は体重別で圧倒的な成績を残しているわけではないが、インターハイ団体戦で78kg級世界ジュニア王者梅木真美と大接戦を演じるなど大型選手キラーとして新たなアイデンティティを獲得しつつある。3月初旬の北信越女子選手権ではなんと全試合一本で優勝、無差別で女子柔道家日本一を争う皇后盃進出を決めている。もちろん今大会は大将枠起用、こちらは上り調子のまま武道館に乗り込んでくると観測されている。

昨年は出口、津金に大将枠の大型選手1枚という構成で3位入賞を果たした松商学園だが、今年は先鋒に武居沙知を投入して後ろに大駒2枚をずらした。武居は163cmとこの階級にしては長身でやりにくい選手。岐阜国体では出口、津金とともに出場して3位入賞の原動力となった。大駒と呼ぶには至らないがおそらく優勝候補と呼ばれるチームの先鋒枠ではもっとも計算の立つ選手であり、この存在が松商学園の第1シード選出を後押ししたのではと思われる。
計算できる津金を軸に、先鋒武居の得点力、そして無差別枠に挑む軽量出口の我慢が頂点取りのポイント。

13KS_prevWD_3.jpg
写真:若潮杯を圧勝で制した敬愛。
左から岡、山口、堀、芳田
敬愛高は重量級に岡史生、堀歩未、山口凌歌というエース級3枚を擁する大型チーム。しかしレギュレーション上使える重量カードは1枚のみで、おそらく岡史生を投入してくるだろう。大将は岡、中堅には57kg級全日本ジュニア王者芳田司、先鋒に鷲崎風歌というのが今回の布陣。

中学生時代に大刀洗中の全国制覇の原動力となった岡は内股の威力も強烈だが何より足技が切れる。相手を動かしながらでも止めながらでも取りに行ける面白いスタイルの選手だ。上級生に重量選手がひしめいていたこともありここ1年は素質の高さほどの活躍が見られていないが、いよいよ高校カテゴリでのブレイクなるかというところ。
芳田はいわずと知れた57kg級の強豪。比較的調子に波のある選手で今大会も個人戦と連動した調整ぶりが好パフォーマンスのカギだが、今回は減量、体調管理が非常に上手く行っているという事前情報。キレイに投げる勝ちも狙えれば、泥臭い潰れ合いの試合も厭わず寝技も巧み、一言で言って「試合に強い」選手だ。

鷲崎は昨年も出場、準々決勝では松商学園の出口を相手に一本負けを免れる(「有効」「技有」を失って優勢負け)粘りの試合を見せた。持ち前のしぶとさを発揮して、中堅以降の強力2枚に襷を渡せるかどうか。

13KS_prevWD_4.jpg
写真:新田のエース月波光貴穂。
3月には四国地区1位で
皇后盃進出を決めたばかり
この2強を追いかけるのが、新田高(愛媛)、埼玉栄高(埼玉)。それに続くのがAシード評価を受けた東大阪大敬愛高(大阪)だ。

新田はこれも後ろ重心のチームで、大将に座る全日本カデ70kg超級王者の月波光貴穂がエース。安定感抜群で、ポイント失陥の絵が描きにくい選手。課題の積極性も増して来ているとのことで今大会は関係者の期待も大。月波とともに四国地区代表で皇后盃出場を決めた63kg級インターハイ3位の鈴木夏海と合わせた後半での2点奪取が上位進出の至上命題。

13KS_prevWD_5.jpg
写真:埼玉栄は増量した桒原佑佳の
出来がひとつのカギ
昨年王者の埼玉栄は中堅枠の安沙好と無差別の桒原佑佳が得点源。
1年生の桒原はインターハイでは出色のパフォーマンスを見せていたが、以後計画的に15kg以上の増量を実施。体格の変化を持て余して年末まではもたつく試合が多くなっていたが、この選手がインターハイ時のような完成度の高さを見せられるかどうか。その仕上がりぶりがそのままチームの成績に反映すると見て良いのではないだろうか。

全中王者の安は昨年も優勝の原動力となったが、以後はポテンシャルに見合う試合成績を残しているとは言いがたい。主将として臨む今大会が、今後強豪ひしめく63kg級で頂点に届くかどうかのベンチマークになるはずだ。先輩の下でノビノビ「意外性の駒」として結果を残してきた安が、団体と個人を制覇した中学3年時のような集中力の高さを発揮すれば今大会も非常に面白い。
先鋒枠はしぶとい斎藤美穂と164cmの長身柴田理帆を併用しながら戦う方針。4人並べた純戦力評価では上位対戦を勝ち抜くには正直線が細いのではないかと思われるが、昨年に引き続き、チームの力を最大に引き出す本松好正監督の「マジック」采配の妙が発揮されるかどうか、注目したい。

13KS_prevWD_6.jpg
写真:池、米澤の復調で12月の水田杯を
圧勝で制した東大阪大敬愛
東大阪大敬愛は香長中で団体、個人の全中制覇を成し遂げた57kg級の米澤夏帆と63kg級の池絵梨奈という1年生のツートップが柱。両者とも高校入学後爆発的な実績を残したわけではないが、池は7月の金鷲旗大会の序盤戦で肩鎖関節を痛め、以後は密度の濃い稽古を詰める状態にないまま試合に出場し続けて評価を下げたという事情がある。11月以降に復調し、これが負傷のない状態で臨む初の高校全国大会。レギュレーション的に米澤を中堅、池が大将とポジションを本来のものから1つ後ろにずらす必要があるが、伝統的にしぶとい柔道が得手の同校が池、米澤という好素材をどう生かすのか、注目したい。

13KS_prevWD_7.jpg
写真:沖縄尚学の新垣さつき。
全日本カデでは月波と決勝を争った
■1回戦~準々決勝

【Aブロック】

松商学園高(長野)、大分南高(大分)、東北高(宮城)、白鴎大足利高(栃木)、紀央館高(和歌山)、出雲西高(島根)
沖縄尚学高(沖縄)、高松商高(香川)、伊香高(滋賀)、名張高(三重)、土浦日大高(茨城)、西京高(山口)

松商学園のベスト4勝ち上がりはまずまず間違いないというところ。
その過程で松商学園の大将出口クリスタには2つの関門がある。東北高のブロック優勝と若潮杯3位入賞を牽引した93kgの岩佐遥、そして全日本カデ70kg超級2位でインターハイ78kg級でも3位入賞の強豪、沖縄尚学の新垣さつきだ。

岩佐の東北高とは初戦(2回戦)、新垣の沖縄尚学高とは準々決勝での対戦が見込まれる。先鋒、中堅の駒を見る限り松商学園の勝利自体は動かないと見るが、ここで出口が上位対戦に向けてどのような試合を見せるか。また、出口の重量選手との戦い方は、上下にあおって背負投、さらに得意の寝技に連携という消耗の激しいスタイル。前日の個人戦でも最低4試合以上戦うことが確実視される出口がここでどこまでその体力的、そして精神的損耗を抑えられるのか、これが準決勝以降に大きく影響するはずだ。勝敗以上に内容に注目。

13KS_prevWD_8.jpg
写真:東大阪大敬愛の池は復調気配
【Bブロック】

東大阪大敬愛高(大阪)、長崎明誠高(長崎)、金沢学院東高(石川)、東海大四高(北海道)、富士学苑高(山梨)、宮古高(岩手)
埼玉栄高(埼玉)、大垣日大高(岐阜)、高岡龍谷高(富山)、小城高(佐賀)、弘前実高(青森)、板野高(徳島)

ベスト4勝ち上がりという意味では東大阪大敬愛と埼玉栄という2強がいるこのブロックが最激戦区。

それぞれの山場は初戦(2回戦)。東大阪大敬愛は寝技が鍛えこまれている長崎明誠、埼玉栄は大垣日大と対戦する。

東大阪大敬愛は初戦からまことに厄介な相手。米澤と池も寝技は強いが、どこまでつきあい、どこで取るのかを明確にして戦わないと思わぬ縺れも待っている。リードを与えたら泥沼。早い段階でポイントを挙げて手堅く試合を進めたいところだ。

13KS_prevWD_9.jpg
写真:埼玉栄主将の安。
昨年は優勝の原動力となった
埼玉栄がマッチアップする大垣日大には大将にインターハイ78kg級2位の山中満紀がいる。先鋒には昨年選手権ベスト8進出を経験した11年全日本ジュニア44kg級3位の廣木あすかもおり、なんとしても山中が控える大将戦まで勝負を持ち込もうと粘りの試合をしてくるはず。初戦ということもあり、埼玉栄としてはリードを得た状態で桒原-山中戦を迎えたいところ。先鋒戦の失点だけは避けなければならない。

東大阪大敬愛-埼玉栄は、中堅戦の安-米澤、大将戦の桒原-池とビッグマッチが2つある。いずれも、特に大将戦は奥襟タイプの大型選手桒原の地力が勝るか、担ぎも効く池の相性の良さが通用する力関係にそれが収まるのか、と組んでみなければわからない要素が多々あるが、ここは大将戦の前にどういうバックグラウンドが積みあがるかが重要。池、桒原双方ともに「追いかける」試合展開になった場合は苦しい力関係であると見る。

そこで一段さかのぼって中堅戦を考えてみる。互いが勝負を志向した場合は重量と経験、立技の切れ味にまさる安の得点確率が高いが、米澤がはっきり引き分けを志向してくるようだと安が空回りし、泥沼に嵌る可能性も十分。この試合はさらに帰納して、中堅戦のバックグラウンドを決定づける先鋒戦の比重が非常に大きい一戦と考えるべきだろう。
タイスコアでの推移は埼玉栄有利、東大阪大敬愛が勝利するためには先鋒戦の勝利は必須と考えたい。

ここは先鋒戦を最低でも引き分け、安が取り、リードをバックに桒原がリスクを冒さず池を圧殺という、もっとも道幅が広いと思われるシナリオを採って、僅少差での埼玉栄の勝ちあがりを推す。

13KS_prevWD_10.jpg
写真:芳田司と原田千賀子が直接対決した
全日本ジュニア決勝。
芳田が崩上四方固で一本勝ちしている
【Cブロック】

敬愛高(福岡)、大成高(愛知)、湯沢翔北高(秋田)、中村高(高知)、京都学園高(京都)、前橋育英高(群馬)
夙川学園高(兵庫)、鹿児島情報高(鹿児島)、清水ヶ丘高(広島)、児玉高(埼玉)、羽黒高(山形)、福井工大福井高(福井)

敬愛の初戦が大成、夙川学園の山にも激戦区鹿児島を勝ち抜いた鹿児島情報、清水ヶ丘としぶといチームがいるが、ここは敬愛と夙川学院が準々決勝で激突すると見て間違いないだろう。

夙川学院は皇后盃にも出場する115kgの荒巻有可里、57kg級で全日本ジュニア2位入賞の原田千賀子が軸。大型の荒巻も含め、チーム全体がとにかくしぶとい。泥臭い試合を厭わずあくまで勝負にこだわるその徹底振りは敬愛にとっても面倒な相手だ。

乱戦に強く原田に全日本ジュニアの直接対決で一本勝ち(1分46秒、崩上四方固)している芳田司の存在、重量選手相手にガップリ組み合っても足技でポイントを挙げられる岡の柔道の質を考慮してここは敬愛の勝ち上がりと見るが、強者に噛み付くカウンター柔道の得意な夙川学院はおそらくこの試合はやる気満々、全てをかけて食らいついてくる。簡単な試合にはならないはずだ。

13KS_prevWD_11.jpg
写真:今年の阿蘇中央は中堅の
土井雅子を中心にしぶといチーム
【Dブロック】

新田高(愛媛)、修徳高(東京)、宮崎日大高(宮崎)、三浦学苑高(神奈川)、藤枝順心高(静岡)、創志学園高(岡山)
阿蘇中央高(鹿児島)、天理高(奈良)、日大東北高(福島)、八頭高(鳥取)、八千代高(千葉)、日本文理高(新潟)

下側の山はインターハイ優勝メンバーから土井雅子と上村綾香が残った阿蘇中央と、大型選手女良いこまを擁する八千代が3回戦で激突、おそらく阿蘇中央が勝ち上がるだろう。

13KS_prevWD_12.jpg
写真:激戦区東京を勝ち抜いた
軽量チーム、修徳
上側の山も新田の勝ちあがり自体は動かないと見るが、ここは実力校がギッシリの過酷な山。
渋谷教育学園渋谷、帝京と全国優勝候補がひしめく東京予選を、元世界選手権代表北田佳世監督に鍛え抜かれた軽量選手を並べて勝ち抜いた修徳、皇后盃九州予選でともに3位決定戦に進出した戸村井羅と能智亜衣美を擁する宮崎日大、佐俣優依を押し立てて激戦区神奈川を勝ち抜いた三浦学苑、滝川真央擁する富士市立を総合力で倒して代表の座を得た藤枝順心、環太平洋大と連日猛稽古を繰り広げる創志学園と、実力だけで言えばこのブロック全てが全国ベスト8クラスを狙えるレベルのチームだ。

三浦学苑以外はどのチームも大将が薄く、月波を押し立てる新田にとっては戦い易いはず。3回戦、三浦学苑があがってきた場合には面倒な佐俣が月波に噛み付く大将戦の前に勝負を決しておきたいところ。

準々決勝は新田-阿蘇中央の可能性が高い。
大将戦、新田にビハインドがなければ月波は順当に一点獲得できるはずでここは前2戦を大事に戦いたい。中堅戦は気持ちの波の激しい鈴木に、集中力の高さとしぶとさで実績を残してきた土井という好対照的の顔合わせ。鈴木がどれだけ落ち着いて試合が出来るかが、盤面全体を左右する大きなポイントになってくるだろう。手堅く試合が進行する、という順行運転の前提で、ここは新田のベスト4進出を推しておきたい。

13KS_prevWD_13.jpg
写真:インターハイ準決勝で
世界ジュニア78kg級王者梅木真美を攻める
出口クリスタ。小兵ながら重量選手への
対応力も十分
■準決勝

松商学園 - 埼玉栄
敬愛 - 新田

の2カードを予想して考えたい。

松商学園と埼玉栄は若潮杯で対戦歴がある。この時は津金恵が出場せず、出口クリスタが中堅戦、そして代表戦と安沙好に一本勝ちで2連勝(大外返、大外刈)、松商学園が勝利を飾っている。

先鋒戦は松商学園がやや優位と見る。

中堅戦は津金と安。現時点での実績を考えると津金がここで得点を挙げると見るのが妥当だが、津金の国際大会明けの疲労、そして「強い相手に頑張れる」安の性格を考えると試合は意外に縺れる可能性もある。

大将戦は98kgの桒原と57kgの出口が顔合わせ。重量差を考えると桒原有利だが、片襟を先に差して担ぎ技に潜りまくり、連携しての抱きつき大内刈や背負投崩れの大外落という、返される確率の少ない勝負技を持つ出口は相性的には決して悪くない。
勝負を分ける要素は、前述の通り桒原の仕上がりと、出口のここまでの消耗度。桒原の組み手と技の決めが若潮杯時の出来に留まるようであれば出口有利、ただし出口が個人戦とここまでの重量選手との対戦で疲労困憊という状況であれば、桒原がしっかり試合を見て「指導」を重ねつつフィニッシュを狙う王道の試合を繰り広げるという可能性も十分ありうる。

しかし、ここまでを読んでもらえればわかるように埼玉栄の勝利には複数の条件節が満たされることが必要。先鋒戦の地力比べ、中堅戦の実績勝負、大将戦の相性と順行運転の要素を積み上げていくとここは松商学園が有利と言わざるを得ない。決勝進出は松商学園と読んでおきたい。

13KS_prevWD_14.jpg
写真:敬愛の大黒柱、岡史生
敬愛-新田はともに中堅、大将の後ろ2枚に重心が掛かるチーム構成。

大将戦の岡-月波戦。月波が、リスク管理に長けて体捌きの巧みな岡から得点を挙げると言う絵も、動かしながらの足技が得意な岡が112kgで腰の重たい月波の歩みを引きずり出してその出端を転がすという絵も、いずれもなかなか想像し難い。ここでの得点はお互い、少なくとも本戦で事前に織り込んで試合を組み立てるのは難しいだろう。

芳田-鈴木の対決は実績的には芳田が上だが、鈴木が1階級上であること、また鈴木が自らの得意な殴りあうような動きのある試合に引きずり込んだ場合は、どうなるか全くわからない。

よって、もっとも勝負を読むのが難しい先鋒戦の比重がいや増す。先鋒戦の勝利がイコールチームの勝利のこの上ない呼び水となるだろうが、もしこれが引き分けなら2試合ガチンコの力比べ、準個人戦とでも言うべき「勝負」を続けて雌雄を決するしかない。

タイの状況で中堅戦、大将戦をお互いが取ろうと戦った場合、もっとも考えやすいシナリオは2戦引き分け。次点の選択肢の中で確率が最も高いのは、リスク管理に長けた芳田が鈴木の隙をついてポイントを挙げるというものだろう。

まことに試合の様相が想像しにくいカードではるが、ここは小差で敬愛が勝ち抜ける、と仮定して稿を進めたい。

13KS_prevWD_15.jpg
写真:松商学園の先鋒武居。
津金、出口の前衛となるこの選手が
キーマンになる可能性も高い
■決勝

松商学園と敬愛、第1シードと弟2シードによる対決を予想する。

中堅戦の津金と芳田はハイレベル対決。しかしあくまでお互いがタイで勝負を決すべき状況に置かれると仮定すれば、既にシニアの舞台で大活躍している津金が勝利すると考えるのが順当だろう。縺れるとすれば、芳田が引き分けで良いという計算を頭に入れながら攻防を進める場合だ。

大将戦は出口に、岡。ここまで書いてきた通り出口は重量選手への相性が良いが、岡は離れた位置からでも、また組んでからでも足技で相手を崩し続けるクレバーな柔道が出来るタイプで、スタティックな展開を好むこれまでの重量級選手とはやや質が異なる。出口は苦戦必死、是が非でも取らねばという展開を背負った場合は非常に厳しいのではないだろうか。岡が有利、出口が粘るためにはバックグラウンドでのアドバンテージが必須だ。

というわけでまたしても、両軍にとって「周辺戦力」である先鋒戦の帰趨がダイレクトに勝負を決定づける可能性が高い。

先鋒戦は武居を擁する松商が若干有利。ただし、この力関係を織り込んで鷲崎が耐えにきた場合、これを突破するほどの力の差があるかというと難しいはず。互いの監督が盤面をどう読み、どうこの試合を位置づけて指示を出すのか。そして選手にどこまでの使命感が染みているかが勝負の分かれ目。

中堅戦以降の両軍の駒の質は高い。
お互いの駒の質の高さを買って手堅い試合を志向させるか、勝負にいかせるのか。勿論それまでの試合の内容にもよるだろうが、一つの考え方として、ここでもし松商学園が引き分けを志向させた場合は以降の流れは敬愛に、勝負どころと読んであくまで勝負を掛けさせ、ポイントを取った場合は松商学園が勝つ可能性が高いのではないか。

松商学園が先制点を得た場合、芳田が前に出てくるであろう中堅戦が非常に戦い易くなり、ここで勝負を決してしまえる可能性も高い。そして最低でも1点を得れば出口は決して無理をしないはずだ。出たい岡に対して十分間合いを取って片手で組み、出篭手に担ぎを合わせるというような、典型的な「積み上げを狙いながら引き分ける」作戦遂行の可能性も上がり、粘りきれる可能性はいや増す。

一方先鋒戦が引き分けの場合、敬愛は芳田に津金を何がなんでも止めさせ、岡には、どうしても一発を狙いにこなければならず距離を詰めてくる出口を崩しまくり、一方的に圧力を掛ける作戦が可能となる。出口はおそらく相当疲労しているはずで少なくとも「指導」による優勢勝ちという勝ち抜けルートは明確に見えてくるはずだ。実は、互いが順行運転の試合を志向した場合、優勝へと続く道幅がより広いのは、敬愛なのではないだろうか。

戦力の質と相性を見れば、高体連の松商学園2年連続第1シード抜擢はなるほど理解できる。
しかし、これまでの松商学園の戦いぶりは、個々の戦力の高さの割には、なぜか、全国優勝するチームに共通するある種の匂いを感じさせるものではまだなかった。優勝するには何かが足りない、そう評する関係者も多い。

いったいそれが何なのか、それは試合の中でみつかるのか。それは全くわからない。

しかし、順行運転だけでは勝ちきれないはずのこの決勝を勝つとすればそれがおのずと見えてくるのではないだろうか。先鋒が無理をしてでも行くことがチームの総意として染みるような勇気なのか、それとも逆に後ろ2枚の勝負を優位と見極めて「いかない」クレバーさなのか、強敵芳田にもあくまで津金が「一本」を狙いにいくことなのか、重量級続きの厳しい展開を出口が最後まで攻め続けること、その奮闘で生まれる一体感なのか。

その意味でも、第1シードの松商学園は、勝敗だけでなく、決勝までの勝ち上がりの内容が注目されて然るべきだろう。軽量松商の挑戦実るか、敬愛がそれを跳ね返すか。

軽量ながらも松商学園が駒の質と相性でやや有利、しかし勝負どころを弁えた敬愛が再び優勝を浚う可能性十分。こう総括して女子団体の事前展望を終えたい。




※eJudo携帯版「e柔道」3月17日掲載記事より転載・編集しています。

ドコモ版QRコード KDDI版QRコード
 docomo版QRコード    au版QRコード


→eJudoトップページに戻る
→「ニュース・マッチレポート」に戻る


supported by KAYAC 運営会社サイトポリシー  RSS copyright (c) 2005 ejudo all rights reserved.