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大混戦もウルフアロン擁する東海大浦安が一歩リード、国士舘巻き返しのカギは江畑丈夫・全国高校選手権男子団体戦展望

(2013年3月18日)


※eJudo携帯版「e柔道」3月16日掲載記事より転載・編集しています。

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大混戦もウルフアロン擁する東海大浦安が一歩リード、国士舘巻き返しのカギは江畑丈夫
全国高校選手権男子団体戦展望


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写真:昨年度大会開会式。
昨年は東海大浦安高が初優勝を飾った
第35回全国高等学校柔道選手権大会は3月19日、20日の両日に日本武道館(東京)で行われる。

「高校三冠」最初の大会であるこの高校選手権は例年にない混戦との前評判。昨年三冠制覇を成し遂げた東海大浦安高(千葉)を軸に、国士舘高(東京)、桐蔭学園高(神奈川)、東海大相模高(神奈川)のAシード校4チームがトップグループを構成、これを日体荏原高(東京)、東海大仰星高(大阪)らのBシードチームが追うという展開だが、絶対的な戦力を持つチームはない。

オーダー順、試合の流れ、エースの活躍、そして4、5番手の踏ん張りとまことに不確定要素の多い大会ではあるが、例年通り有力校の戦力分析、各ブロックの勝ち上がり予想、そして準決勝以降の仮想シナリオという形でトーナメントの展望を試みたいと思う。

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写真:第1シードに挙がる
東海大浦安高。写真は朱雀杯制覇時
■有力校

混戦の中、優勝候補の最右翼と目されるのが東海大浦安高(千葉)。昨季三冠獲得の勢いをそのままに、新チーム結成後も10月の朱雀杯、12月の松前旗と若潮杯、2月の女川町長旗三春大会と出場したハイレベル大会で全て優勝を飾っている。昨年全国高校選手権無差別準優勝のウルフアロンという絶対的エースを擁し、前田宗哉、さらに村田大祐と3枚揃った攻撃陣は強力。

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写真:今シーズン最大の大駒と目される
ウルフアロン。パワーは勿論、
後の先まで含めた全方位性が売りだ
今期の高校生では桁外れという評の漂うウルフはパワーファイター。図抜けた膂力は勿論だが、内股に大内刈、小外掛、隅返に後の先の隅落、「両脇を差しての振りまわし支釣込足」と、実は仕掛ける技が意外に幅広い。前技、後技、右への技、左への技、そして奇襲技。技種が物凄く多いわけではないが、相四つにケンカ四つ、正統派に横変形、長身に小柄、パワーファイターに止め屋、そして掛け逃げファイターとそれぞれのタイプを仕留めるために効く技をしっかり押さえていて、取り味の全方位性とでも言うべき柔道の質を獲得している。若潮杯では組み手を誤って崇徳の三村暁之の小外掛を食い一本負けする場面があったが、以後は組み手の手堅さも一段増して数少ない隙を克服した形。その出来がイコール大会全体の様相を左右する、今大会の主役の一人だ。

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写真:超攻撃的なスタイルが売りの前田宗哉。
写真は若潮杯決勝で決めた独特の右大外刈
そしてウルフ以上にクローズアップしておきたいのが2番手と目される90kg級の前田宗哉。「悪ガキチーム」と呼ばれた前代のDNAを継ぐのはこの人、とでも言うべき超攻撃型柔道が売りで、捻じ伏せるような組み手と勝負の早さ、そしてその右大外刈の威力は出色。鉈を振り下ろすように刈り足を叩き込み、耐えられると見れば相手の上半身によじ登ってでも決めるこの豪快な右大外刈が決まれば、それは単なる1点獲得に留まらないインパクトを相手に残す。近年稀な、勝ち振りの良さ自体で試合の流れを変えることの出来る面白い選手だ。2月の女川町長旗三春大会の予選リーグで大外刈を返され一本負け、これをどう捉えるかが見ものだったが、以後の試合では一本勝ちを連発、しかも「まだまだ中途半端だったのが敗因」とさらに攻撃的な稽古を繰り返しているとのこと。ウルフが徹底マークを受ける中、ポイントになる選手になることは間違いない。

村田も強気に攻めること自体で流れを持ってくるタイプの選手で、前代では1年生ながらインターハイ終盤戦でレギュラーを務め、ポイントゲッター級の活躍を見せた。
4番手は全国中学大会81kg級2位の折原虹之介。5番手は前述4人から一段落ちて未だ固定できていないようだが、パワーのあって寝技の上手い山寺裕斗、上位対戦でも我慢の効く粟野孝平、試合巧者の田島優人から2人を併用してくる見込み。おそらく序盤戦で粟野と山寺を交代で起用しながら、調子を見極めて上位対戦での選手を決めてくるだろう。

前代と変わらずこのチームのモットーは「攻撃」だが、どこからでも飛び道具が飛び出した前代と比べると攻撃の枚数自体は落ち、駒の質もやや異なる。
2番手の前田は前述の通り攻撃力は抜群だがその柔道のタイプからどうしても後の先を食う可能性が払拭できない。リスクを厭わずに攻める、こういう型の選手の存在を同種の枚数を分厚く揃えること自体でフォローしていた前代と比べると、周辺の線が細い今回は前田に掛かる責任の割合が上がっており、万が一失敗した場合はチームに与えるダメージが大きい。

村田は取り味十分だが、相手のタイプに関わらず自分の型に無理やり持ち込んで投げつけるという型ではなく、「ここを粘れば」という展開をバックに相手が徹底的に引き分けに来た場合には苦しくなる可能性がある。

よって今回の勝利のシナリオは絶対的エースのウルフの存在を晒しながらの総力戦ということになるはず。村田と前田の得点、そして折原と5番手選手の粘りでリードを得て、出来得れば試合終了、可能ならリード、最悪でもタイスコアでウルフに襷を渡すことが今回の勝利の道程ということになるはずだ。カギは前田、そして汗かき役を担う折原の活躍。

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写真:打倒東海大浦安に燃える国士館高。
中学時代に圧倒的な強さを誇った黄金世代だ
東海大浦安を猛追するのが第2シードの国士舘高。江畑丈夫と田崎健祐という大駒2枚に、1年生ながらポイントゲッター級の駒にのし上ってきた吉良儀城、73kg級でインターハイ王者に輝いた磯田範仁とこちらも手札が揃っている。

2年生世代は全国中学大会の団体戦を圧勝優勝、ポイントゲッターの江畑、田崎、磯田がいずれも個人戦で全国優勝を果たした黄金世代。これに、叩き上げから奇跡の全中制覇を成し遂げた1年生世代のエースだった吉良を加えて、2学年越しの「ドリームチーム」とでも言うべき布陣だ。

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写真:国士舘高の大黒柱は田崎健祐
田崎健祐は中学時代のような一発の威力は鳴りを潜めたが、組み手の手堅さをベースに攻撃の分厚さで勝負するスタイルに変貌、取り味の高さと安定感で今大会はエースとしての活躍が期待される。

江畑は攻撃型選手で、武器は独特の踵でカットするような右大外刈。踵さえ入ればどんな形でも一回転というこの技で中学時代から勝ちまくり、高校1年生時の秋には東海大浦安のエース・ベイカー茉秋をこの技で豪快に舞わせて一本勝ち、どこまで強くなるのかと騒がれたが、以後の1年間は負傷もあり沈黙。昨夏からの復帰後もスケールダウンが否めない印象だった。

が、この冬から緩やかに復調。勝負どころで引かないかつての江畑らしさが見え始め、苦手のケンカ四つに対しても右体落をベースに攻め続ける新スタイルを確立しつつある。夏のインターハイでは体の力に自信がなくなったのかかつてのような決めの強引さが鳴りを潜めていたが、1月以降に行った計画的な増量でこれが払拭されているかどうかがひとつのカギ。江畑がかつてのように輝き、大駒としての活躍が出来れば国士舘は勝利に大きく近づくだろう。

3番手が、ジョーカーとしての活躍が期待される1年生の吉良。崩しの巧さと寝技の強さ、勝負どころの見極めの良さと非常に国士館らしい選手。江畑、田崎の存在を晒してこの吉良が抜きまくるというのが国士舘の理想のシナリオ。

磯田範仁は足技の名手。73kg級ということもありさすがに上位対戦での得点は厳しそうだが、精神的支柱としてチームを引っ張る。

そしてこのチームも東海大浦安同様5番手の選抜に苦労している。ただし年明けから、全中優勝メンバーの森翔平に山田稔喜ら複数の選手が力を伸ばしており、若潮杯時よりは一段戦力はアップしていると見て良い。打倒東海大浦安にもっとも近い位置にいるのはこのチームだろう。

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写真:桐蔭学園高。
写真は12月の水田杯制覇時
第3シードは神奈川県予選を制した桐蔭学園高。昨秋から世界選手権銅メダリスト高松正裕監督が監督に就任、新体制で臨む初の全国大会で頂点獲りを目指す。全中超級王者の藤井靖剛、135kgの根津信太という重量2枚を押し立てる、近年では珍しい型のチームだ。

180cmの長身藤井は内股と大外刈をベースにしたスケール感のあるスタイル、175cmの根津は斜めに仕掛ける大内刈と内股でグシャリと体ごと相手を押しつぶすような圧力の強さが売り。

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写真:藤井靖剛はスケール感のある柔道、
昨年もレギュラーを務めた
この2人の存在を根拠に桐蔭学園を推す声が多いが、現在目を引くのは小原正大、荒巻泰蔵ら周辺戦力の成長ぶり。決して抜群の取り味があるわけではないが全員がしぶとく、かつ一発取ってくる武器を獲得している。直近のハイレベル大会である2月の女川町長旗三春大会では根津と藤井抜き、そして3番手の小原をも反則のアクシデントで失う中で堂々の3位入賞を果たしており、根津と藤井の対策に追われるライバル各校にとってはこのあたりまことに不気味なはず。

高松監督は12月の水田杯では、団体戦が比較的苦手な藤井にやりやすいポジションを務めさせ、笑顔の采配でプレッシャーを減殺させての戦力テストを行った。そして県大会では一転、周辺戦力の要と目された荒巻をレギュラーから外す荒療治でチームを引き締めに掛かり、女川町長旗では前述の通り重量2枚を外し厳しい表情での采配、大会直前の3月15日からは異例の2日間完全オフを実施するなど、新任監督ながら非常に積極的に動いている。選手時代の経験を信じ、行ってきたこれらの施策が吉と出るか凶と出るか、また、予想外の展開となったときにどのような指揮でチームを持ち上げるのか。大会当日は、周囲の名将たちとは毛色の違う、高松采配にも注目である。

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写真:東海大相模の斬り込み隊長
尾方寿應。写真は若潮杯で磯田範仁から
「一本」奪取
第4シードの東海大相模高も、戦力構成的には頂点に届くだけのものを持っている。182cmの長身を生かし強気の波状攻撃を繰り返す眞砂谷幸弥と総合力の高い春日良太という昨年からレギュラーを務めた2枚看板に、81kg級の全国優勝候補に挙がる尾方寿應、11年全中超級王者の大型選手浅野未来、全中90kg級2位で攻撃力の高い長谷川優、安定感のある藤田圭一と、絶対的なエースはいないが手駒は粒揃い。

中でも現在乗っているのが尾方。もともとは66kg級の選手で軽量のイメージがあったが、増量とともにその強気に磨きが掛かり、いかにも東海大相模らしい攻めの柔道が高いレベルで出来るようになってきた。技の切れ味も十分で、眞砂谷、春日がクローズアップされる中で、実は一番取り味があるのは尾方と評する向きも多い。当日は間違いなくキーマンになるはずだ。

中量選手の粒を揃えてきた今年の相模だが、「潜在能力は高いが荒削り」という昨年から続く病が払拭できているかが一つのカギ。地力を上げることと、試合を睨んでそこに鑢をかけて仕上がること。全国制覇に必要なミッション2つのうち、昨年とうとう間に合わなかった後者、仕上げの部分でどれだけの上積みを得たかがひとつのポイントだ。

ほか、前述の日体荏原高に東海大仰星高、四日市中央高(三重)、大成高(愛知)など好チームが続くが、これらについては以下のブロック勝ちあがりの中で触れていきたい。


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