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グランドスラム東京マッチレポート 63、70、78、78㎏超級

(2013年1月15日)


※eJudo携帯版「e柔道」12月22日掲載記事より転載・編集しています。

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グランドスラム東京マッチレポート
63、70、78、78㎏超級 1/4


高校2年生の津金が優勝、世界選手権代表の阿部を倒す
63㎏級

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写真:田代がアグベニューに挑んだ2回戦
【日本人出場選手】
阿部香菜(三井住友海上・WR25位)
片桐夏海(コマツ)
田代未来(淑徳高3年)
津金恵(松商学園高2年)

序盤戦最大の注目は一昨年の覇者、エマヌとともにフランスで2強を張るアグベニュー(WR10位)ともと世界ジュニア王者田代未来がマッチアップした2回戦。
田代、アグベニューともに左組みの相四つ。
田代を面倒な相手と見たかアグベニューは肩越しのクロス組み手から巻き込みを連発、田代はこれに掬投で食いつき止めながら試合を進める。やや手詰まり感の出たアグベニュー、肩越しの組み手を長く続けてしまい、2分30秒に主審は片襟の判断でアグベニューに「指導1」を宣告。

このあたりで攻勢に出たい田代、片襟の左大外刈を仕掛けるがアグベニューが弾き返す。まともに組んではパワーで不利の田代は組み際に抱きついて肩越しに釣り手を持ち左大内刈、アグベニューが持ち上げたところを大外巻込に連絡して試合を切る。田代が釣り手を振りたててアグベニューを牽制すると耐えかねたアグベニューは無理な体勢から左大外刈、しかしこれを田代が返しかかり、アグベニューはなんとか逃れる。
再開直後、田代奥襟を叩きながらの左大内刈、アグベニューは辛うじて体を捻り、腹ばいで伏せる。
経過時間は3分48秒、中盤はアグベニューのパワーをかわしながら攻めた田代がやや優勢。

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写真:アグベニューが田代の
左大外刈を掬投で持ち上げ
投げて「一本」
しかし終盤からアグベニューがジワジワと前に出始め、地力で展開を塗りつぶし始める。田代はいなし、技を打ち返すが中盤とは試合の雰囲気が違う。一見拮抗も、深層の潮目はアグベニューへと流れている印象。ポイント上は試合は動かず、勝敗の行方はGS延長戦へ。

延長、アグベニューは田代を押し込んで出足払を放ちながら前へ。田代は侵入角を変えて引き手で袖をキープするが、後退が避けられず苦しい情勢。GS53秒にアグベニューが放った背負投に乗りかかり、これは危うく防いで「待て」。

直後、展開に窮した田代が起死回生を狙って肩越しに釣り手で背中を持ち、思い切った左大外刈。しかしこれを待ち構えたアグベニューが捕まえて持ち上げる。自らが深く入った分ガッチリ嵌ってしまった田代にこれを残す術はなく掬投「一本」、GS1分4秒。

田代善戦も力尽き、アグベニューが順当に準々決勝に進出した。

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写真:準々決勝、片桐夏海と戦うシウバ
しかしアグベニューは次戦でエスピノサ(キューバ)に食われ、ベスト4のメンバーはシウバ・ラファエラ(ブラジル)、津金恵、阿部香菜、エスピノサとなった。

第1試合はシウバと津金がマッチアップ。
57kg級から転向してきたシウバは2回戦で第1シードのジョン・ダウン(韓国・WR8位)を内股返「技有」で食って上々の立ち上がり。準々決勝は片桐夏海を谷落「一本」(1:32)で下してのベスト4入り。

一方高校2年生の津金は1回戦でドレクスラー(オーストリア・WR18位)に「指導2」で勝利してシニア国際大会初勝利。2回戦はボーシャメンピナー(カナダ・WR87位)から内股で「有効」「一本」(3:06)と連取して快勝、準々決勝は第4シードのトラドス(ドイツ・WR13位)に内股「技有」、続いての袈裟固は解かれて「有効」に留まったがそこから腕挫十字固に繋いで「一本」(1:44)とこれも快勝。組み合わせにも恵まれ、しり上がりに調子を上げての決勝ラウンド進出。

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写真:準決勝、シウバが津金の右内股を
またぎ、腕挫十字固を狙う
シウバ左、津金は右組みのケンカ四つ。
津金、序盤から得意の右内股を仕掛け続けてシウバは受けに回り、1分54秒シウバに「指導1」。
その後は腰の切りあい、内股の仕掛け合いに終始。中盤から間合いを掴み始めたシウバは長いリーチを生かして釣り手で背中を深く叩き、遠間から早めに腰を切る左内股で一方的に攻めようとするが、津金は思い切りよく右内股を仕掛けて展開を譲らない。

津金の右内股をシウバがまたいで腕挫十字固を決めかかるシーンがあり、これでイメージを掴んだシウバ、以後は懐の深さとリーチを生かし、背中を深く叩き、技と平行して返しを狙う作戦。3分には津金の右内股を振り回し返しあわやという場面があったが、津金引かずに右内股を仕掛け続けて展開拮抗。終盤からシウバの返し技狙いが加速し、試合の行方はGS延長戦へ。

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写真:津金が右内股で「技有」を奪う
延長も津金が仕掛け、シウバが返しを狙う展開が継続。開始早々、津金の右内股を跨いだシウバがまたもや腕挫十字固を狙う場面があったが津金は以後も全く引かない。GS45秒には両袖の右内股を引っ掛けて前に体を捨てるが、シウバの体が長すぎ、頭から畳に突き刺したのみでノーポイント。審判団はシウバへの「指導」宣告を合議するが、結局これはスルーで試合は継続。

再開後、シウバが釣り手で背中を抱えると、津金は右体落を仕掛けて崩す。片ひざをついたシウバの立ち上がり際を狙って津金思い切りの良い右内股。頭から畳に突っこんだシウバ、なんとか耐えようとするが、津金は脚を高く上げながら自ら前方に一回転。その脚に押されてシウバの体がめくられ「技有」、GS1分28秒。

津金、強豪シウバとの競り合いに一歩も引かず完勝。みごと決勝の畳へとたどり着いた。

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写真:準々決勝、
強敵ゲルビを寝技で攻める阿部
第2試合は阿部とエスピノサがマッチアップ。

阿部は2回戦でアーヘンス(ドイツ)から横四方固で一本勝ち。第2シードのゲルビ(イスラエル・WR9位)との大一番も内股で「有効」、「一本」(1:17)と連取し持ち味を発揮してのベスト4入り。

一方のエスピノサは2回戦でバロス(ブラジル・WR23位)に崩上四方固で一本勝ち。準々決勝では前述の通りなんとアグベニューを大内刈「一本」で破る番狂わせを演じ、堂々決勝ラウンドの畳に勝ち上がってきた。

パリ世界選手権1回戦で対戦、阿部が肘を脱臼する大怪我を負った因縁のあるこのカード。 阿部は左、エスピノサは右組みのケンカ四つ。

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写真:準決勝、阿部が左小外掛で
エスピノサを真裏に崩す
組み手争いから阿部はまず引き手で襟を得るが、エスピノサは反射行動で阿部の釣り手の袖を押さえ、阿部は右組みの形を強いられることとなる。
この時間が長く続いたが、阿部は慌てずに小外刈を打ち続け、場外にエスピノサを崩し出して「待て」、経過時間は47秒。

阿部、今度は釣り手から組み手を開始、まず両襟を握り、次いで引き手を袖に持ち換えると完璧な組み手が出来上がる。

エスピノサ片手の右内股で展開を切ろうとするが阿部は許さず、小外刈を打って圧を掛ける。互いに前傾した姿勢から阿部が背筋を伸ばすと、窮したエスピノサが右内股を絡み付ける。受け止めた阿部は一瞬遅れて左小外刈。これは深く入り、後方に倒れ掛かったエスピノサは辛うじて身を捻って腹ばいで畳に落ちる。

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写真:阿部、冷静にエスピノサの上体を
固めて横四方固を狙う
背中についた阿部は右腕、次いで左腕を手繰ってめくり返し、腕緘への移行をちらつかせながら上体を極める。肩越しに帯を掴んだところで絡まれた足を抜き、右からの横四方固が完成。エスピノサは右脚を絡ませようとわずかに動かすのみでほとんど抵抗できず「一本」、2分6秒。阿部、因縁の相手を全く寄せ付けず見事決勝進出を決めた。

決勝は津金が右、阿部が左組みのケンカ四つ。
津金が下から、阿部が上から釣り手を持ち、互いに小外刈を打ち合いながらの引き手争い。32秒に津金が釣り手一本の内股を仕掛けて展開をブレイク、阿部が伏せて「待て」。

再開直後、阿部が巴投、さらに下から腕挫十字固の連携。11月の講道館杯で津金を下した技だが、津金心得て距離を取り、持ち上げ外して「待て」。

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写真:決勝、津金は内股の三段攻撃。
阿部、大きく浮いて伏せる
再び津金が下から、阿部が上から釣り手を持っての引き手争い。腰を差しあう駆け引きの中から互いに小外刈に内股で攻め合うが、2分を過ぎたあたりで津金が右内股を2連発。2発目に阿部が腰を抱きに食いつくと、津金は入りなおして3発目の右内股。阿部が大きく浮いて伏せ、直後の2分18秒、阿部に「指導1」。

再び引き手争い。津金が下から、阿部が上からという釣り手の構図変わらず。
前回圧勝している自信か阿部は鷹揚な試合運びだが、津金は釣り手の手首を高い位置でしっかり立てており、若干有利。互いに腰を差し合っての内股、体落が続くが津金は着実に技を打ち返して世界選手権代表歴のある阿部に一歩も譲らず。

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写真:津金、右小内刈を引っ掛けて追い
「有効」を奪う
2分50秒を過ぎ、引き手争いの中からお互いが手首をつかみ合うような形で、阿部が引き手を抱きこみに掛かる。双方前傾の姿勢から津金が股中に右体落を落とすと、津金の腕のハンドル操作で阿部の頭が下がり、津金はこの操作を続けながら右小内刈に連絡して阿部の右足を引っ掛ける。
この好組み立てにやや虚を突かれたか、ケンケンで追われた阿部耐え切れずに転がり「有効」、3分57秒。

「有効」さらに「指導1」のビハンインドとなった阿部、追いかけたいところだがこれまでのゆったりしたペースをいきなり切り替えることは難しい。小外刈を2発当てて思い切って左内股を放つが、十分間合いを見極めた津金に透かされて伏せ「待て」。残り時間は28秒。

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写真:阿部、再び十字固を狙うが果たせず
タイムアップ
逆転に向けたラッシュと繋ぎの終着点であるべき内股を透かされた阿部は反抗の出鼻を挫かれた形。前傾姿勢で構えあった状態からの小外刈に体落、残り時間が少なくなったところでまたもや巴投からの腕挫十字固と攻めるが、もっとも得意な内股を繰り出せないまま、十字固が外されたところで残り時間は僅か5秒。

結局スコアは動かずタイムアップ。高校2年生の津金、シニア国際大会初参戦にして激戦の63kg級を制し、グランドスラム初制覇を成し遂げた。

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写真:優勝の津金恵
今年インターハイ、全日本ジュニアを制した津金は前述の通り、講道館杯では阿部に完敗で3位。しかし研究の成果か、この日は阿部を封殺しながら自身の良いところを出し続けて勝利に繋げた。長所である思い切りの良さだけでなく適応力、「成長する」能力を見せたところが素晴らしい。

若手だけでも学生王者の太田晴奈(淑徳大2年)、安松晴香(環太平洋大3年)、昨年の全日本ジュニア王者佐野賀世子(山梨学院大1年)、世界ジュニア王者田代未来(淑徳高3年)、何度も高校カテゴリで激戦を繰り広げて来た松本千奈津(宮崎商高3年)、下の世代ではカデ王者の嶺井美穂(東松山南中3年)、嶺井に勝利して全国中学大会を制した鍋倉那美(大成中3年)とこの階級は世界を伺える好素材がミッシリだ。

そんな中、明らかにこれで津金は抜け出した。
おそらくは派遣が確実な欧州国際大会でどれだけの成績を残し、そしてライバルたちにどれだけの差をつけるか。阿部、田中美衣(了徳寺学園職職)ら大物を投げつける取り味と思い切りの良さ、そして何よりこの「成長する」能力。狙われる立場になってもこの長所を保って、さらなる躍進を期待したい。

そして上野順恵(三井住友海上)の去就が定かならぬこの状況で、第一人者候補だった阿部、田中と世界選手権経験者2人がいずれも津金に撃破され、この階級の世界選手権代表争いは混沌。
そして津金に負けまいと人材豊富なジュニア世代が奮起したとき、この階級は一気に世代交代が進む可能性もある。

阿部、田中が序列を守るのか、ジュニア世代からのスター誕生なるか。
北京五輪終了後、上野の存在により代表1名の選出に関して全く揉めることのなかったこの階級。代表争いという観点でも非常に面白くなってきた。

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写真:入賞者。
左から阿部、津金、シウバ、エスピノサ
【入賞者】 エントリー18名
1.TSUGANE, Megumi(JPN)
2.ABE, Kana(JPN)
3.ESPINOSA, Maricet(CUB)
3.SILVA, Rafaela(BRA)
5.AGBEGNENOU, Clarisse(FRA)
5.GERBI, Yarden(ISR)
5.KATAGIRI, Natsumi(JPN)
5.TRAJDOS, Martyna(GER)

津金恵選手のコメント
「うれしいです。挑戦者なので思い切りやろうと思っていました。攻める柔道、思い切りの良い柔道が出来たと思います。課題はまだまだ一杯なので、ひとつひとつクリアして上を目指したい。来年の目標ですか?やることをしっかりやって一つ一つ、出る大会に優勝していきたいです」

【準決勝】
津金恵○優勢[技有・内股]△SILVA, Rafaela(BRA)
阿部香菜○横四方固(2:26)△ESPINOSA, Maricet(CUB)

【決勝】
津金恵○優勢[有効・小内刈]△阿部香菜

【日本人選手勝ちあがり】

津金恵(松商学園高2年):優勝
[1回戦]
津金恵○優勢[指導2]△DREXLER, Hilde(AUT)
[2回戦]
津金恵○内股(3:06)△BEAUCHEMIN-PINARD, Catherine(CAN)
[準々決勝]
津金恵○腕挫十字固(3:16)△TRAJDOS, Martyna(GER)
[準決勝]
津金恵○優勢[技有・内股]△SILVA, Rafaela(BRA)
[決勝]
津金恵○優勢[有効・小内刈]△阿部香菜

阿部香菜(三井住友海上):2位
[2回戦]
阿部香菜○横四方固(2:16)△AGBEGNENOU, Clarisse(FRA)
[準々決勝]
阿部香菜○内股(1:17)△GERBI, Yarden(ISR)
[準決勝]
阿部香菜○横四方固(2:26)△ESPINOSA, Maricet(CUB)
[決勝]
阿部香菜△優勢[有効・小内刈]○津金恵

片桐夏海(コマツ):5位
[1回戦]
片桐夏海○優勢[有効・大内刈]△BEDETI, Vlora(SLO)
[2回戦]
片桐夏海○横四方固(3:29)△BERNHOLM, Anna(SWE)
[準々決勝]
片桐夏海△谷落(1:32)△SILVA, Rafaela(BRA)

田代未来:2回戦敗退
[2回戦]
田代未来△GS掬投(GS1:06)△AGBEGNENOU, Clarisse(FRA)


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