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グランドスラム東京マッチレポート 81、90、100、100㎏超級

(2013年1月15日)


※eJudo携帯版「e柔道」12月19日掲載記事より転載・編集しています。

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グランドスラム東京マッチレポート 81、90、100、100㎏超級 1/3

キムジェブンが持ち味発揮で貫禄の優勝、日本勢は伏兵ヴォロビエフに「3人抜き」食らう
81㎏級

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写真:2回戦、ヴォロビエフが
長島啓太から右小外刈で「一本」
【日本人出場選手】
中井貴裕(流通経済大4年・WR6位)
川上智弘(國學院大職・WR26位)
長島啓太(日本中央競馬会・WR12位)
春山友紀(国士舘大4年)

ロンドン五輪代表の中井貴裕を筆頭に昨年この大会を制した川上智弘、昨年3位で11月の講道館杯を充実の内容で制した長島啓太、試合巧者の春山友紀と充実の布陣で臨んだ日本勢だが、伏兵ヴォロビエフ(ロシア・WR31位)に3人が立て続けに敗退。

ロシア国内の序列では四番手というヴォロビエフはこの大会で大ブレイク。1回戦でムーニッチ(ドイツ)に小外刈「一本」(4:36)で勝ち抜くと、まず2回戦で長島を1分58秒に抱きついてまたしても右小外刈「一本」に屠る。

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写真:2回戦、ヴォロビエフが
中井貴裕からまたしても右小外刈で「一本」
そして迎えた準々決勝の中井戦は中井が左、ヴォロビエフが右組みのケンカ四つ。
中井は無表情、無拍子で淡々と攻撃を繰り出し、メリハリのなさがやりにくさを生むという相変わらずの試合巧者振り。ペースを掴みかけたかに見えたが、1分過ぎにヴォロビエフが抱きつきの右小外掛。一気に胸を合わせてきたが中井辛うじて逃れて「待て」。
危機を回避した中井は動揺することなく冷静に左大内刈、座り込んで足を絡み付けるような左小外刈と攻め続け、1分45秒にはヴォロビエフに「指導1」。
どうやら中井ペースに試合が移ったかと思われたがここに落とし穴。2分過ぎ、パターンを変えて引き手から持った中井が左大内刈を絡みつけようとすると一段加速したヴォロビエフが再び抱きつきの右小外掛。中井吹っ飛んで「一本」、2分5秒。
「釣り手を切られるので引き手から行ってみたがそこで抱きつかれてしまった」と中井は無念の表情。五輪5位の中井から「完全に負けた」とのコメントを引っ張り出したヴォロビエフは見事準決勝進出。

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写真:準決勝、ヴォロビエフが前へ、
場外に追い込まれた川上は袖釣込腰で展開を切る
準決勝は川上が左、ヴォロビエフが右組み、中井戦に続きこの試合もケンカ四つ。
川上両袖、ヴォロビエフは両襟を握って前へ。

川上は釣り手で襟、ヴォロビエフは背中を欲しがる。お互いに釣り手側の足を使った小外刈が得意ということもあり、両者一手目を与えることを警戒し、絞りあうために両袖の展開が増える。ヴォロビエフ前に出て、川上が場外際で技を仕掛けて展開が切れるという試合進行。

1分過ぎ、ヴォロビエフが飛び込みの右内股、川上弾き飛ばされて、崩れながら立って踏ん張る。
続く展開、ヴォロビエフは両袖を握って前へ。明らかに押し出し志向のこの作戦の前にジリジリと下げられた川上、場外際の背負投で展開を切るが主審は場外の判断で「指導1」を宣告、1分20秒。

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写真:ヴォロビエフ、小外刈に
抱きついてきた川上を右内股で転がし「有効」
川上、両袖から左小外刈を試みるがヴォロビエフは鋭く右内股を放って切り返す。川上手順を変えて引き手から取ると、ヴォロビエフ釣り手で背中を抱えて右内股、右体落。川上は「指導」失陥でやや焦ったか、この時間帯もヴォロビエフがやや優勢。経過時間は1分48秒。

川上、ダッシュして左小外刈を試みるがヴォロビエフは立ったまま右内股で跳ね返す。釣り手で背中を握ってくるヴォロビエフに対し川上は大内刈、小外刈で試合を作り直し、中盤戦は一進一退。

2分59秒、場外際で縺れたところから川上、ひざ裏に左小外刈。さらに踏み込んで二段の小外刈の形でヴォロビエフの左足を刈り込みに抱きつくが、ヴォロビエフはここに右内股をあわせて川上を転がし「有効」。川上、痛恨の失点。

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写真:ヴォロビエフ、川上に一本勝ち。
いずれも抱きつきの右小外刈で日本選手に3連勝
取り返そうと川上は猛然と前へ。またもや一手目を引き手にチェンジ、左袖を得ると織り込んでヴォロビエフに横を向かせながら前に出て、左小外刈、さらに左大外刈を試みる。 ところがこの展開の中、ヴォロビエフは引き手で川上の左袖を手繰り寄せて畳み、釣り手で上から背中を叩く。川上の左大外刈の戻り際に左引き手を右脇に回して抱きつくと、右小外刈で真裏に刈り込む。

もっとも与えてはいけない形で、一番警戒すべき技を仕掛けられてしまった川上はだるま落しのように背中から畳に落ちて「一本」。

川上、思わず天井を仰ぐ無念の一本負けで日本人選手の全滅決定。ヴォロビエフは1回戦からすべて小外刈で4連続「一本」、日本人のトップ選手3人をことごとく屠り去る圧倒的な強さで決勝進出を決めた。

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写真:1回戦、
キムが大外刈でエルハッダドに一本勝ち
もう1人の決勝進出者は第1シード、世界選手権連覇者にしてロンドン五輪金メダリストのキム・ジェブン。
キムは1回戦でエルハッダド(エジプト)を大外刈「一本」(1:40)に仕留め、2回戦はヴ゛ィエツゾレック(ドイツ・WR81位)を背負投「有効」、内股返「一本」と一蹴。準々決勝の春山友紀戦を迎えた。

キムは圧倒的なパワーの全てを組み手に注ぎ込んで展開を握るのが身上の「パワー系試合巧者」。一方の春山も試合技術の上手さが売りの選手で、その戦術性が注目を集めた一戦。

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写真:準々決勝、キム・ジェブンを相手に
春山が朽木倒で「有効」を奪い先制
キムはやはり、全力を掛けて展開を握ることに集中。組み手の豊富さと連動した一手目の技で展開を握って1分26秒に「指導1」を得るが、春山は粘り強く組み手を進めながらチャンスを探し続け、2分35秒に片手の右大内刈から連絡した朽木倒で「有効」を奪う。

このビハインドでスイッチの入ったキムは片襟を差して一方通行の攻撃を開始。片襟の右背負投、あおりを入れての片襟支釣込足、右片襟を差したまま座り込みの左背負投と相手との対話を完全に拒否した技を連発、3分30秒に「指導2」で追いつき、最終盤の4分45秒には春山を圧殺、狙い通りに「極端な防御姿勢」の「指導3」を奪って逆転。試合巧者春山をパワーと展開力で封殺して準決勝進出を決めた。

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写真:準決勝、先んじて技を仕掛けるキム。
ペナウベルはなかなかしっかり二本持てない
準決勝は第3シードのペナウベル(ブラジル)がマッチアップ。キムはケンカ四つのペナウベルに奥襟、両袖、釣り手一本と形を変えながら技を仕掛け続けて展開を握る。中盤から引き手で袖、釣り手で奥と完璧な組み手を得る場面が増えたキムは積極的な攻撃、一方のペナウベルも巧みに技を打ち返し、2分には右大外刈から座り込んでの横落とスピード溢れる好連携を披露、キムが抜け出そうとする度にすがりつき、展開になかなか差がつかない。

残り1分を切り、キムが片手の引き出し右小内刈、さらに内股、組み際の右背負投から巴投の連携と山場を作った4分17秒にペナウベルに「指導1」。

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写真:終了間際、キムの右小内刈が「技有」
残り30秒を切ってからキムの攻撃はさらに加速。引き出しの右小内刈から右体落、これはペナウベルが乗り越えたが、さらに支釣込足でいなし崩して場外にはたきだす。

再開直後、キムが低い右背負投。その戻り際を狙ってペナウベルは長い足を伸ばして左小外刈で奥足を刈りにいくが、キムはここに右小内刈を合わせて「技有」奪取。
残り時間は8秒、そのまま試合は終了となり、キムが優勢勝ちで決勝進出決定。

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写真:ヴォロビエフは左肘を敢えて晒し、
右袖が欲しいはずのキムを誘う
決勝はキム、ヴォロビエフともに右組みの相四つ。

開始早々キムは釣り手で右片襟を差して支釣込足でヴォロビエフを伏せさせる。組み際の出足払を合わせながら飛び込む機会をうかがっていたヴォロビエフだが、キムに引き手と片襟を与えては厄介とみたか、左肘を前にさらし、敢えてキムに釣り手側から袖を与えて組み手を開始。キムが応じると両袖のまま押し込んで前に出る。

キムはこのジャブを打ち合うような手合わせを掻い潜り、組み際の袖釣込腰を連発。再びキムに釣り手側から持たせたヴォロビエフ、両袖の支釣込足でキムを伏せさせるが、主審はキムの優位を取り、直後の1分40秒にヴォロビエフに「指導1」。

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写真:組みながら足技に担ぎ、次いで朽木倒と、
キムは厄介な連携を連発
ヴォロビエフ、前戦とは逆の左小外掛に抱きつき飛び込むが、キム耐え切ってポイントはなし。
キムは片襟から持ち替えて両袖を絞り、ヴォロビエフはキムの頭の右側の空間に右拳を突き出し、引き戻して切り離そうとするがキムはあくまで離さない。慌てたヴォロビエフ内股巻込に連絡して展開を切って「待て」。

キムの優位は変わらず、キムが左小内刈から朽木倒に連絡してヴォロビエフを伏せさせた3分51秒、ヴォロビエフに「指導2」が宣告される。

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写真:ヴォロビエフの「スープレックス」。
しかし体を捨てる角度がキムの真裏からずれ、
キムは相手の上に乗っかって危機を回避
3分53秒、クロージングを早まりやや相手を見すぎたキムに「取り組まない」判断の「指導1」が与えられ、勢いを得たヴォロビエフは再び前へ。キムが支釣込足でいなすと、裏側に抜けて背中側からキムの脚の根元を抱えて両腕でクラッチ、キムの頭を下にして持ち上げて体を捨て、会場は大歓声に包まれる。しかし自身がまっすぐに座り込んだためキムの真裏方向とは角度がずれてしまい力が伝わりきらず。キムは出来上がった隙間を使って相手の体の上に載りこれを回避。「待て」。

残り時間は13秒。最後の山場を抜けた感のキムは距離を取って時間を使いきり、終了ブザー。
第1シードのキム、徹底マークを受けながら見事グランドスラム東京制覇を決めた。

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写真:優勝のキム・ジェブン
ベストコンディションで試合に臨めなかったというキムだが、さすがの強さ。81kg級で世界大会3連覇中という成績はダテではない。
しつこく、あるいは目先を変えながら一手目を伸ばし足技と担ぎ技を絡み合わせる先制攻撃に奥襟圧殺と今大会も持ち味を発揮、コンディションの不出来を地力の高さでカバーしたという体の優勝であった。

ただし組み手の優位と先手の攻撃が身上のキムの柔道は、あまりに一方通行。「組み合う」新ルールの下でスタイルチェンジするのか、それとも手持ちの手段の中から組み際の技の連発という方向にフォーカスして加速するのか。このタイプの試合巧者が新ルールに対応する一つの類型を提示してくれそうな気配のキム、来年の国際大会が非常に楽しみだ。

ヴォロベフは、IJFの中継班も「これまであまり印象がない」と首を捻るロシアの4番手選手。抱きつきの小外刈が得意だが、「得意技の練磨」と「得意技に持ち込む手段の獲得」という、長所を生かした、生かすための指導を受けてきた匂いが漂う。一発ファイターにメソッドを獲得させ、「使える」選手として仕上げてきている印象だ。現在最強国と言って間違いないロシア、厚くなりつつあるその選手層と、その所以を見せ付けるようなこの日の大活躍だった。

日本勢は非常に厳しい結果。井上康生代表監督は「地元というすべての条件が揃っている中でこの結果。やはり地力がない。どう上げていくかを真剣に考えないと大変なことになる」と厳しい表情。「81kg級は人数が多く、世界のレベルが高い。この階級では万能の選手、大げさに言えば右でも左でも、跳ねる、担げる、返せる、と何でも出来る選手でないと勝っていけないのではないか」と強化の展望を語っていた。

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写真:入賞者。
左からヴォロビエフ、キム、ペナウベル、川上
【入賞者】
1.KIM, Jae-Bum(KOR)
2.VOROBEV, Ivan(RUS)
3.KAWAKAMI, Tomohiro(JPN)
3.PENALBER, Victor(BRA)
5.ARSLANOV, Shukhratjon(UZB)
5.HARUYAMA, Yuki(JPN)
5.NAKAI, Takahiro(JPN)
5.SCHMITT, Alain(FRA)

キム・ジェブン選手のコメント
「オリンピックから3ヶ月、体力的にきつかったです。新監督になったので優勝したかった。次の世界選手権に向けて頑張ります」

【準決勝】
KIM, Jae-Bum(KOR)○優勢[指導2]△PENALBER, Victor(BRA)
VOROBEV, Ivan(RUS)○小外刈(3:36)△川上智弘

【決勝】
KIM, Jae-Bum(KOR)○優勢[指導2]△VOROBEV, Ivan(RUS)

【日本人選手勝ちあがり】

川上智弘(國學院大職):2位
[1回戦]
川上智弘○内股透(2:13)△ZHAKYPOV, Dauletkhan(KAZ)
[2回戦]
川上智弘○優勢[技有・小外掛]△VALOIS-FORTIER, Antoine(CAN)
[準々決勝]
川上智弘○小外掛(0:53)△ARSLANOV, Shukhratjon(UZB)
[準決勝]
川上智弘△小外刈(3:36)○VOROBEV, Ivan(RUS)

中井貴裕(流通経済大4年):5位
[1回戦]
中井貴裕○横四方固(1:38)△WU, Wen Shun(台湾)
[2回戦]
中井貴裕○横四方固(4:40)△PACEK, Robin(SWE)
[準々決勝]
中井貴裕△小外刈(2:05)△VOROBEV, Ivan(RUS)

春山友樹(国士舘大4年):5位
[1回戦]
春山友紀○縦四方固(4:11)△BOTTIEAU, Joachim(BEL)
[2回戦]
春山友紀○横四方固(4:43)△IMAMOV, Yakhyo(UZB)
[準々決勝]
春山友紀△優勢[指導3]○KIM, Jae-Bum(KOR)

長島啓太(日本中央競馬会):2回戦敗退
[1回戦]
長島啓太○上四方固(3:22)△ABDELAAL, Mohamed(EGY)
[2回戦]
長島啓太△小外刈(1:58)○VOROBEV, Ivan(RUS)


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※eJudo携帯版「e柔道」12月19日掲載記事より転載・編集しています。

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