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グランドスラム東京マッチレポート 48、52、57㎏級

(2013年1月8日)


※eJudo携帯版「e柔道」12月7日掲載記事より転載・編集しています。

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グランドスラム東京マッチレポート 48、52、57㎏級 1/3

浅見八瑠奈が連覇達成、世界選手権に向け準備着々
48㎏級

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写真:1回戦、岡本理帆の
左内股を山岸絵美が掬投で止める
【日本人出場選手】
浅見八瑠奈(コマツ・WR1位)
十田美里(近畿大4年・WR50位)
岡本理帆(藤枝順心高3年)
山岸絵美(三井住友海上・WR26位)

出場選手僅か11名。世界大会でメダルを争うレベルの海外勢も参加せず、トーナメントのテーマは日本人選手4人それぞれが抱えるこの大会で実現すべきシナリオの達成なるかが焦点。
五輪を逃した浅見にとっては世界選手権に向けて第一人者の立場のまま第一歩を踏み出せるかどうか、同じく五輪を逃し浅見のみならず若手の足音が背後に迫り始めた山岸はもう一度存在感を見せて「三強時代」の地位に踏みとどまれるか、講道館杯で出色の強さを見せた十田は得たばかりの国内の序列を国際大会を経ても保持して戦っていけるのか、そして選抜体重別で浅見を破ったジュニアチャンピオン岡本はシニアの国際大会でパワーファイターを相手にしても持ち前の奥襟戦術で戦える可能性を見せることができるのかどうか。

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写真:山岸、右袖釣込腰から
逆側に抜け落としつつ左大外落の形で
刈り落とし「技有」を奪う
そんな中、1回戦で山岸-岡本というファン垂涎、この日行われた4階級すべてを通して前半戦の最注目カードというべき対決が実現。

この試合は山岸、岡本ともに左組みの相四つ。
試合は山岸の左一本背負投で幕開け。かわした岡本、これしかないとばかりに奥襟を叩いて左内股に飛び込むが山岸掬投で受け止めて「待て」。岡本、引き続いて左内股の矢を放ち続けるが山岸はことごとく掬投でインパクトを殺して揺るがず。

1分45秒、山岸が場外際で右袖釣込腰、岡本の左足が自らの左足に引っかかると見るや左手を襟から離して両手で左袖を抱え、岡本の左腕を右肩に担いだまま自ら額から畳に落ちて刈り倒し、大外落「技有」奪取。

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写真:山岸は左足車、足は抜かれたが
内股の形で回り手「有効」
技一発よりも展開を握り続けて「指導」を積み重ねてから勝負していくタイプの岡本、巧者山岸を相手にこの失点は絶望的。さすがに動揺したか直後の2分8秒には山岸が片襟を差して放った左足車に両足を揃えて引っかかってしまい時計回りに回転、「有効」も失う。

岡本が落ち着きを取り戻した頃には試合は終盤。3分40秒頃からラッシュを掛け始めた岡本を山岸がやや持て余して残り31秒で山岸に「指導1」。

あと1つ「指導」を奪って場の荒れ、アクシデントの起こる空気を作り出したい岡本だが、しかしここで左払腰を掛け潰れる痛恨の選択。百戦錬磨の山岸、片足になった岡本を潰して頭に圧を掛けながら寝技で時間を消費し、脚を制したところでタイムアップ。山岸、講道館杯での山崎珠美戦に続いてジュニア世代のホープ岡本に完勝、格の違いを見せ付ける勝利だった。

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写真:山岸必死に攻めるが、
疲労困憊のメストレに逃げ切りを許す
しかし山岸は準々決勝でメストレ(キューバ・WR9位)にまさかの敗退。
山岸とはケンカ四つのメストレは偽装攻撃を織り交ぜながら一発を狙う典型的なキューバ戦術。近いほうの袖から持つなり左右の袖釣込腰に掛けつぶれる手数志向を止め切れなかった山岸は中盤の2分52秒で「指導2」まで失ってしまう。

リードを得た後のメストレは終盤を待たずにバテバテ。、「待て」の後は開始線になかなか戻らず意図的に時間を消費し、挙句の果てには帯を自ら解いて露骨な時間稼ぎの連続。再開するなり場外際まで下がり、担ぎ潰れては肩で息をして立ち上がらないメストレの見苦しい戦いにさすがに偽装攻撃の「指導1」が宣告されるが、この時点で残り時間は僅か25秒。メストレは最後まで場外に向かって技を仕掛け続け、一方通行の柔道を貫いてタイムアップ。山岸、「指導2」による優勢で敗戦決定、表彰台にすら上がることなく地元開催のグランドスラムを終えた。

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写真:準々決勝、
十田美里を大内刈で攻める浅見八瑠奈
最強階級と呼ばれた日本の48kg級だが、地元開催の今大会でベスト4に残ったのは浅見のみ。

準決勝第1試合は浅見とジョン・ボギョン(韓国・WR16位)がマッチアップ。浅見は初戦(準々決勝)で十田美里と対戦、講道館杯決勝では僅差3-0と粘られた相手を積極的な攻撃で追い詰め「指導2」優勢で破っての準決勝。一方のジョンはこれも1試合のみ、チバナ(ブラジル・WR16位)を掬投「技有」で下してのベスト4の畳。

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写真:準決勝、
浅見の横四方固が「一本」
浅見は右、ジョンは左組みのケンカ四つ。
ジョンは両袖を絞って粘りの試合を志向するが浅見慌てずに足を飛ばしてジョンを追い詰める。ジョンが左小内刈から畳に伏せて展開が切れ「待て」。経過時間は27秒。

再開後、ジョンが左小内刈。浅見これを透かし、ほとんど燕返と言って良い攻防一致の動作で残ったジョンの左足に時計回りの膝車を入れるとジョンは大きく崩れて伏せる。

浅見すかさず横三角。必死に畳に張り付くジョンを一回でめくり返すことはできなかったが両手で肘を引っ張り出すことに成功。浅見はこれを橋頭堡に片手を差し返して胸を合わせてめくり、横四方固に移行する。

一旦足を絡められて「解けた」が宣告されたが浅見慌てずにまず腕を取り、さらに頭を固定してから脚を抜き、今度はガッチリ抑え込む。1分33秒、横四方固「一本」。段が違うとしか言いようのない圧勝だった。

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写真:準決勝、
メストレが右背負投で「有効」を先行
準決勝もう1試合はメストレとロッセネウ(ベルギー)が対戦。
両者右組みの相四つ。
両者引き手を欲しがって相手の周囲を回り、手先の組み手争いで慎重な立ち上がり。2度の「待て」を経た51秒に「取り組まない」判断で両者に「指導」が与えられるが、1度目の「待て」の際にメストレが奥襟圧殺でロッセネウを伏せさせて展開を終えていたことでイニシアチブが認められたか、メストレへの反則は取り消し。ロッセネウにのみ「指導1」となる。

ビハインドのロッセネウ前に出るが試合巧者のメストレここに組み際の右片襟背負投を合わせて「有効」、1分8秒。
リードを得るなりメストレのいかにもキューバ選手らしい老獪な戦い方がスタート。「待て」の後は敢えてゆっくり試合場に戻って体力の回復を図り、組み際の大内刈、さらに右袖釣込腰を仕掛けて潰れると今度は負傷をアピール、しばし痛がってまたもや時間を消費。試合は完全にメストレペース。

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写真:メストレ再度の右背負投で
「技有」奪取
ロッセネウ大内刈を引っ掛けておいてからの右大内刈に右内股、崩れたメストレに腕挫十字固を狙うが「待て」。しかしこれで感触を得たかロッセネウ再び大内刈から高い打点の内股につなぐ展開をさらに2度作って山場を演出。

しかしメストレは組み際の担ぎ技でチャンスを伺い、場外に出てはゆっくり息を整えて戻るというマイペースをあくまで崩さず。3分14秒には場外に向かってまたもや右の片襟背負投に巻き込んで「技有」を奪う。

ロッセネウ度々高い右内股に飛び込み、疲労困憊のメストレは3分47秒、4分8秒と立て続けに偽装攻撃の「指導」を受けて陥落寸前。しかし場外に担ぎ技を仕掛けては潰れては休み、4分44秒には自ら帯を解いて結び直す行為まで繰り出して必死に体力回復を図る。

結局このまま終了ブザー。フラフラのメストレ、開始線になかなか戻れず主審に促されてようやく勝利の宣告を受け、決勝進出決定。現在持てるものを総動員しての勝利という一戦であった。

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写真:決勝、浅見は先に釣り手で
片襟を差して相手の掛け潰れを封殺、
メストレは後退
決勝は浅見、メストレともに右組みの相四つ。

メストレ始まるなり右一本背負投に座り込み、浅見の腕を抱き巻き込んだまま静止。浅見しっかり潰して「待て」。

掛け逃げされる前に手を打ちたい浅見、釣り手でメストレの右片襟を差してあおりを入れ、両手で右襟を握った右背負投。しかし下がり続けるメストレには距離が合わず、メストレ崩れ伏せて「待て」。

再開後、メストレ離れた位置からいきなり右袖釣腰に座り込む。当然自分だけ回って潰れてしまい「待て」。経過時間は38秒。

浅見両手で右片襟を握り右大内刈、メストレは左一本背負投に座り込んで「待て」。
浅見手立てを変えて両袖で機会をうかがうがメストレは右袖釣込腰に潰れ「待て」、さらに組み際に左袖を握った右背負投に座り込んで一方通行の柔道を継続。

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写真:浅見が得意の右小外刈で
攻め込む
浅見は片襟を橋頭堡に小外刈、右背負投と粘り強く先手を打ち続け、2分過ぎには両襟の組み手から反時計周りに相手を誘導しながらの右足車。これはメストレが脚を持って潰すが、直後の2分7秒にメストレに「指導1」。

浅見若干ペースを上げ、片襟の小内刈に小外刈で足元を攻める。圧力を感じたメストレ右一本背負投に座り込むが、浅見あっさり潰し、さらに切って姿勢を崩さず「待て」。
直後、メストレ右一本背負投に潰れる。あまりに一方的な座り込みに主審は偽装攻撃の判断で「指導2」を宣告、2分32秒。

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写真:浅見が三角でメストレの
頭をロック、横四方固「一本」
リードを得た浅見は右背負投に片襟の右体落でメストレを伏せさせ、一方打つべき手の幅がどんどん刈り込まれていくメストレは完全に手詰まり。
3分30秒、浅見が左袖釣込腰。後退動作の最中であったメストレは崩れ伏せるにとどまるが、浅見はすかさず上に被って横三角。

メストレ足を絡めて耐えるが、浅見がこれを抜くと両足でメストレの頭と右肩を完全ロックの「三角固」の状態が完成。浅見は足を解かずに相手の体を横断する形で「抑え込み」の声を聞く。

メストレまったく動けず「一本」、4分1秒。
浅見、見事グランドスラム東京連覇を成し遂げた。

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写真:優勝の浅見八瑠奈
世界選手権連覇者である浅見は確実視されてきた五輪出場を逃し、精神的にも肉体的にもその消耗はピークにあった、しかし、しばしの休息期間を置くのではという一部の観測をよそに8月の実業個人、11月の講道館杯、そしてこのグランドスラム東京と、強化クラスの選手が出るべき試合全てに皆勤。どの試合も浅見の立場であれば勝って得られるものよりも負けた場合に失うもののほうが遥かに大きい大会、リスクの大きい選択だった。五輪を逃したとはいえ世界選手権2連覇の実績は圧倒的、もし一連の大会に出なくても浅見の第一人者としての地位は向こう一年は留保されただろう。

しかしこの日の勝利の後に見せた笑顔と発したポジティブなコメントから推し量る限り、やはりこれは浅見の再出発に必要な通過儀礼、プロセスだったのだと納得するしかない。

五輪終了直後の8月の全日本実業個人48kg級1回戦。会場に姿を現した浅見の顔色は冴えず、世界選手権制覇時に見せた強者のオーラも漂わず。畳上の動きも精彩を欠き、いまだ五輪落選のショックから立ち直れていないことは明らかだった。
それが同日の大会では一戦ごとに調子を上げて優勝、10月の講道館杯も制し、この大会でも堂々の優勝。講道館杯で8分間食らいついてきた十田を完封したこの日の試合を見る限り内容も徐々に良くなっていると言っていいだろう。もし実業個人の畳に姿を現したときの状態のままで欧州国際大会シリーズ、もしくは選抜体重別に臨むことになったらと考えると、浅見の皆勤は目論見通り、浅見は自分の復活に必要なプロセスを考え、しっかり向き合い、そしてここまで戻ってきたのだと評したい。「福見がいないと仮定するならダントツ」との園田隆二監督の言葉を待つまでもなく、世界選手権代表は現時点でほぼ確実だ。五輪落選という辛酸を舐め、さらに逞しくなった浅見の躍進を期待したい。

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写真:48kg級入賞者。
左からメストレ、浅見、ジョン、ロッセネウ
【入賞者】 エントリー11名
1.ASAMI, Haruna(JPN)
2.MESTRE ALVAREZ, Dayaris(CUB)
3.JEONG, Bo Kyeong(KOR)
3.ROSSENEU, Amelie(BEL)
5.CHIBANA, Gabriela(BRA)
5.CHOI, Soohee(KOR)
5.TODA, Miri(JPN)
5.YAMAGISHI, Emi(JPN)

浅見八瑠奈選手のコメント
「前に出て攻める自分らしい柔道をしたかった。声援に背中を押してもらったと思う。感謝したい。五輪に出れなかったけれど、人ってこんなに優しいんだと思うくらい、周りが温かかった。その優しさに勝つことで応えたいという気持ちがありました。次の目標は世界選手権の3連覇。これからも頑張ります」

【準決勝】
浅見八瑠奈○横四方固(3:26)△JEONG, Bo Kyeong(KOR)
MESTRE ALVAREZ, Dayaris(CUB)○優勢[技有・背負投]△ROSSENEU, Amelie(BEL)
【決勝】
浅見八瑠奈○横四方固(4:01)△MESTRE ALVAREZ, Dayaris(CUB)

【日本人選手勝ちあがり】

浅見八瑠奈(コマツ):優勝
[準々決勝]
浅見八瑠奈○優勢[指導2]△十田美里
[準決勝]
浅見八瑠奈○横四方固(3:26)△JEONG, Bo Kyeong(KOR)
[決勝]
浅見八瑠奈○横四方固(4:01)△MESTRE ALVAREZ, Dayaris(CUB)

山岸絵美(三井住友海上):5位
[1回戦]
山岸絵美○優勢[技有・大外落]△岡本理帆
[準々決勝]
山岸絵美△優勢[指導2]○ESTRE ALVAREZ, Dayaris(CUB)

十田美里(近畿大4年):5位
[1回戦]
十田美里○優勢[技有・大外刈]△RISONY, Sjira(ISR)

岡本理帆(藤枝順心高3年):1回戦敗退
[1回戦]
岡本理帆△優勢[技有・大外落]○山岸絵美


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※eJudo携帯版「e柔道」12月7日掲載記事より転載・編集しています。

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