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【eJudo’s EYE】低迷脱した大躍進、日本は「ロシアになる」ことが出来るのか?

(2012年10月20日)


※eJudo携帯版「e柔道」10月20日掲載記事より転載・編集しています。

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ロンドン五輪が終了してから初のグランプリ大会、グランプリ・アブダビが10月11日から13日までの3日間、UAEで開催された。

60kg級の絶対王者ソビロフ(ウズベキスタン)の66kg級デビュー、かつて60kg級でカイロ世界選手権銅メダル、将来を嘱望されながらドーピング規定に引っ掛かり表舞台から姿を消していたシカリサダ(アゼルバイジャン)の66kg級圧勝Vなど、開催規模に比してなかなか話題の多い大会であったが、注目すべきはなんといっても五輪に続いてのロシア勢の好成績だろう。

五輪で3階級を制したばかりのロシア、この大会もちろん五輪出場者の参加はなし。それでも60kg級のムドラノフ、73kg級のコドゾコフ、90kg級のヴォプロソフ、100kg級のサモイロビッチと当たり前のように4階級を制覇。81kg級の優勝候補マゴメドフは2位に終わったが、選手を送った6階級で4つの金メダル、それも2番手以下の選手でのこの成績はまさしく圧勝、「ロシアの勢い衰えず」と評して差し支えないだろう。
参加選手のレベルを云々する声もあるだろうが、五輪直後の大会にこの濃い陣容を編成し、グランプリに臨んでくるバイタリティ自体がまず他国を圧している。五輪の好成績を受けて選手のモチベーションも高い。ロシアは、強い。

さて、五輪以降、特に柔道関係者以外の方々から「日本はここまで落ち込んで、復活には相当時間が掛かるでしょうね」と声を掛けられることが非常に増えた。おそらく柔道関係者であれば大なり小なり誰でも同じようなことが起こっているであろう。日本は再び立ち上がることが出来るのか。我々はどうそれを説明すればいいのか。

ここで考えて欲しいのは、現時点で世界最強に位置づけられるこのロシアの3年前。

北京五輪で金1個、ロッテルダム世界選手権でも金1個を確保したもののロシアは2000年代に入ってからの緩やかな低落傾向を止められず、2009年12月にはIJFのルール変更を受けて、東京で「足取り禁止には反対」との記者会見を行った。「足取り禁止は技の安易な切捨てだ。IJFの少数の人間の意志だけでこんな重大決定をすべきではない」というのがその要旨だが、当時は、足取りが得手(実は本当にそうであったかというと評価の分かれるところだが)のロシアが自身が不利になるルール変更に露骨に反対した、という文脈でこれを捉える人間が多かった。

得意とされる足を持つ技術の封殺。しかしそこからたった3年でロシアは世界最強と言えるところまで上がってきたのである。

ならば、日本も、十分、出来る。
進むべき方向と判断を間違わなければ、出来る。
選手のポテンシャルは高い。選手を導く側の意識さえ変われば、日本は必ず再び栄光を取り戻すことが出来る。
ロシアに出来たことが日本に出来ない理由はない。成功した国が何を考え、どう行ったか、これをまず真摯に分析してもらいたい。モデルケースとすべき国は多々あろうが、「伝統的選手育成という土壌があり」、「低迷から短期間で脱した」、バックグラウンドと目指すべき到達点に相似のあるロシアケースはもっとも参考にすべき例になるだろう。

と日本の可能性への期待とロシアの賛辞を表明したところで、これに絡めてもう1つ。

2009年のロシアは、IJFの「足取り禁止」強行に対して、自らの柔道観に従って毅然と意思を表明した。是非を議論する場がそもそもなかった以上、記者会見を自ら開くという方法も至極当然だ。

個人的には「足取り禁止」はいつか揺り返しが来て廃せられるものと信じているが、将来そうなったときに、ロシアが「本来これはあってはならないことだ」という意思を国として明確に表明していたということは歴史的にしっかり記憶されるべきだ。

柔道はこうあるべきだという確固たるポリシーがあり、それをしっかり意思表示するという胆がある。ロシアの躍進はガンバという優秀な外国人ヘッドコーチ招聘の賜物とか、プーチンの支援による資金投下ゆえとか色々な評価が為されていて、それは多分すべて当たりだが、何よりもIJF中枢に居座るビゼール一派を恐れず「足取り禁止は武道性を損なう」と世界に向けて堂々主張するポリシーと胆力、これが骨にあるのだと思う。

あるのか、我が国に、これが。
柔道いかにあるべきかというポリシー、それを世界に対して堂々主張する肝と覚悟、低迷を受け入れ見つめて原因を見出す見識の高さ、そこから脱するための明確なビジョン、過去の栄光と決別しての大胆なイノベーション。

果たして、日本には、あるのか、これが。
問われる。そして透けて見えるはずだ。反省が、覚悟が、そしてあの明らかに「チームが壊れている」状態、選手と監督の信頼関係が損なわれている中で戦わざるを得なかった、成績だけでは測り切れないあの惨敗をいったいどう捉えているのかが。

次期強化体制が発表される、きょう20日の全日本柔道連盟理事会で、だ。



※eJudo携帯版「e柔道」10月20日掲載記事より転載・編集しています。

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