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インターハイ柔道競技男子団体マッチレポート・準決勝~決勝

(2012年9月7日)


※eJudo携帯版「e柔道」8月9日掲載記事より転載・編集しています。

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インターハイ柔道競技男子団体マッチレポート
準決勝~決勝 1/3


準決勝

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写真:日体荏原-國學院栃木による
関東勢同士の準決勝
日体荏原高 - 國學院大栃木高
(先)岡田大希 - 中沢嵩史
(次)渕原槙一 - 田村優樹
(中)長谷河雅也 - 天谷賢二
(副)松村翼 - 横山尭世
(大)嶌田勝斗 - 神尾啓太

日体荏原は次鋒の渕原槙一、副将の松村翼がポイントゲッター。中堅長谷河雅也、大将嶌田勝斗もサイズがあり取り味がある。一方の國學院大栃木は先鋒の中沢嵩史、副将の横山尭世の2枚でどうしても点を挙げないといけないチーム。

ポイントゲッターがカチ合う副将戦は高校選手権無差別王者の横山を要する國學院大栃木が有利。ここでの國學院大栃木の1点は織り込んでおいて良いであろう。

よって國學院大栃木の先鋒・中沢、日体荏原の次鋒・渕原というそれぞれのチームのポイントゲッターがどのような仕事が出来るか、これが最大の焦点だ。

日体荏原はこの81kg級東京代表・渕原の出来が今大会はいまひとつ。「指導」積み上げでの勝利は収めているが持ち前の、一発で相手チーム全員のやる気を刈り取ってしまうような技の切れ味が発揮出来ていない。それでも上位対戦でもっとも取り味があるのは力関係に左右されない一発のある渕原のはずで、準決勝というこの段階から本領発揮なるかが注目される。

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写真:日体荏原の先鋒・岡田大希が
掬投「技有」の殊勲
先鋒戦、ところが國學院大栃木の中沢嵩史が小兵選手の岡田大希に対し全く相性が合わない。岡田はほぼ全時間帯に渡って中沢の袖を殺して押し込み、得意の出足払を放って度々中沢を伏せさせ「有効」をリード。盤面を睨むともう行くしかない中沢、残り6秒で遮二無二飛び込んで肩越しの組み手から左大内刈を試みるが岡田は冷静に食いつき、場外際で掬投に切り返して逆に「技有」を奪取。そのまま試合は終了し、日体荏原が1点をリード。

國學院大栃木にとっては取りどころ、日体荏原にとっては凌ぎどころのはずのこの先鋒戦の結果で、早くもほぼ勝敗は決した印象。

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写真:日体荏原のポイントゲッター、
渕原の技は散発
しかし次鋒戦は日体荏原・渕原槙一に対し、今度は國學院大栃木・田村優樹が袖を押し込んで巧みに距離を調整、試合をまとめて引き分け獲得。ギリギリなんとか試合を壊さずに襷を中堅戦に繋ぐ。

中堅戦は互いに相手の技をめくり返して「有効」1個ずつを得るが、サイズに勝る長谷河が押し込み続け、終盤「指導2」まで得て勝利。この時点でスコアは2-0、日体荏原が大きくリード。

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写真:國學院大栃木のエース、
横山尭世が小外掛「技有」
副将戦は「一本」奪取が至上命題の國學院大栃木・横山尭世が登場。横山は左相四つの松村に対し左払腰、支釣込足と迫力十分の攻め。51秒に松村に「指導1」、2分13秒に「指導2」が宣告されると、直後焦った松村は払巻込で自ら潰れてしまい、2分24秒に偽装攻撃の判断で「指導3」が与えられる。
あと一つの「指導」でミッション遂行となる横山は残り1分を過ぎたところでズイと前に出て、得意の左小外掛で松村を転がし「有効」奪取。そのまま胸を合わせて横四方固を決め、「技有」奪取で総合勝ち決定。國學院大栃木が1点を返し、試合の行方は大将戦にゆだねられる。

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写真:日体荏原・嶌田勝斗が
僅か28秒で一本勝ち
大将戦は日体荏原・嶌田勝斗が僅か28秒、イチかバチかの抱きつき大内刈という勝負に出た神尾啓太の体をガッチリ捕まえ、小外刈を叩き込んで一本勝ち。

スコアは3-1。東京都第二代表の日体荏原高は圧勝でこの準決勝を勝利し、ついに全国大会決勝の畳へと駒を進めた。

日体荏原高 3-1 國學院大栃木高
(先)岡田大希○優勢[技有・掬投]△中沢嵩史
(次)渕原槙一×引分×田村優樹
(中)長谷河雅也○優勢[指導2]△天谷賢二
(副)松村翼△総合勝[指導3・横四方固]○横山尭世
(大)嶌田勝斗○小外刈(0:28)△神尾啓太

ともに先鋒、次鋒のポイントゲッターがミッションに失敗した試合だが、そこを失点した國學院大栃木、とにもかくにも引き分けで終えた日体荏原と、ともにネガティブな結果ながらまず一つここで差がついた。
加えて、重量戦力を揃えた日体荏原の戦力の厚みが國學院大栃木を凌駕したということであろう。日体荏原は枚数において明らかに優勢だった。この試合を評する言葉は「地力勝ち」だろう。

新人戦の段階から非常に前評判の高かった日体荏原、今期最後の大会でついにその力が爆発。インターハイ決勝という桧舞台にたどり着いた。

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写真:東海大浦安-天理の準決勝
東海大浦安高 - 天理高
(先)ウルフアロン - 具志堅一弘
(次)石神大志 - 長友幹斉
(中)村田大祐 - 西尾徹
(副)ベイカー茉秋 - 石井湧磨
(大)女良魁斗 - 大岩郁弥

東海大浦安高はこの試合から中堅に1年生の村田大祐を投入。村田は千葉県の国体予選の副将枠優勝者。金鷲旗前半戦の大活躍によって2年生の折原虹之介から補欠登録をもぎ取り、土壇場でチーム内の序列をひっくり返してのインターハイ登場だ。

東海大浦安は副将のベイカーの前に1点でもリードを得て、相手が前に出てくる状況を作りたい。逆に天理はタイ、もしくはリードを得て副将戦を迎え、ベイカーのミスを誘いたいところ。マッチアップするのは高校選手権での国士舘高撃破の立役者・石井湧磨で「何か」が起こった場合にチャンスをモノにするサイズと地力は十分持っている。天理としてはまず前半戦で浦安のリードプランを崩し、大将のポイントゲッター大岩郁弥で勝負を掛けたいというところ。勝負は、前半戦だ。

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写真:東海大浦安は先鋒のウルフアロンが
冷静な試合運びで一本勝ち
先鋒戦は東海大浦安・ウルフアロンに対し天理・具志堅一弘が距離を取ってその力を殺しながら試合を進める。
序盤戦に双方に「指導1」が与えられ、試合は意外にも静かな展開。
1分を過ぎ、力関係を見極めた、とでもいうかのようにウルフがギアを踏み込んでペースアップ。上下にあおりながらの大内刈を繰り返すうちに間合いをつかみ、1分26秒、右大内刈に具志堅を捕まえて「有効」。
このポイントリードで落ち着いたウルフ、3分20秒には右大内刈で完全に具志堅の重心を捕まえ、背中から相手を叩き落して「一本」。リードが至上命題の中、距離をとってくる相手に慌てずにまずリード、そして決定打と技を繰り出すウルフの冷静さが光る試合だった。

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写真:天理の次鋒・長友(白)が
石神を裏投で転がして「有効」
次鋒戦は東海大浦安が石神大志、一方の天理は短躯ながら大型選手を苦にしない長友幹斉が登場。
石神は右、長友は左組みのケンカ四つ。引き手争いから腰を差しあい、互いに片手小内刈、片手の大内刈などで攻めあう。
双方遠間から飛び込みながら足技での押し込みあい、この展開の中から1分29秒、石神に「場外」の判断で「指導1」。
まかり間違ってあと1つの「指導」を受ければ失点、という状況が石神の体を硬くしたか、2分30秒、腰の差しあいから長友が思い切って裏投に食いつくと石神あっという間に畳に転がされ、長友の「有効」。天理ベンチは大歓声、一方の浦安サイドは凍りつく。

ここまで順調の東海大浦安、ベンチに控えるおそらく全員の脳裏に最悪の展開がよぎる。もしこのまま石神が負けて流れが変われば、次に控えるのはこの試合がインターハイ初出場の1年生・村田。いかにタフな村田でも1年生、初めての試合で逆風で襷を渡せばメンタルで自壊する可能性もある。副将のベイカーもサイズのある石井にこの展開を織り込んで戦われるとどうなるかわからない。そして他校に狙われている大将の女良には天理のポイントゲッター、大岩がマッチアップしている。女良は好調だがサイズのある相手が嵩に掛かってくる状況は明らかに逆風だ。万全のはずのシナリオが一気に不確定要素だらけ、見えなかったはずの敗退に至る分岐点が盤面のそこここに浮上し始める。

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写真:石神は長友の背負投を捕まえ返して
「技有」
しかしこの悪いシナリオを丸めて屑篭に放り込んだのは畳上の石神。まず直後の展開でガップリ長友を捕まえての小内刈。これを起点に展開を取り続けると長友の動きが固まり2分43秒にまず「指導1」奪取。
これであとひとつの「指導」を得ればとにもかくにも負けがなくなるという状況を作った石神、与えられた残り時間は1分17秒。
さらに石神は冷静。逃げ切りを図る長友が左背負投に飛び込んでくるところを待ち構えて腰を捕まえ、振り回し返し「技有」奪取。経過時間は3分11秒、残り時間は49秒。初日からここまでほとんど大きなアクションのなかった浦安ベンチの竹内監督、両手を突き上げて会心の表情。

試合はこのまま終了。石神の「技有」による優勢勝ちでスコアは2-0、試合の襷は中堅戦へ。

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写真:天理・西尾の左小内刈が「一本」
東海大浦安・村田大祐は右、天理・西尾徹は左組みのケンカ四つ。
強気の西尾、開始早々からガップリ奥襟をつかんでの左小内刈、そして左内股で攻め込む。感触を得た西尾、ケンケンで激しく追い込むが受けの柔らかい村田は足を上げて股中でこれを捌き切って「待て」。
その後は西尾が左内股、村田は右背負投で攻めあう。
1分50秒過ぎ、西尾が再び左内股。村田はまたも足を高く揚げて捌きを試み、西尾はケンケンで追い込む。村田が辛くも捌き切るかと思われたところで西尾は機は十分とばかりに左小内刈に変化。ほとんど指一本で畳に着地していた村田、一瞬抗うもの西尾の決めは厳しく、畳に刺さる勢いで引っくり返り「一本」。天理が1点を返す。

西尾は試合を見る目の確かさとさすがの技の威力を披露。一方の村田には厳しいインターハイの洗礼。いかに自らの受けが強くとも、全国上位レベルの対戦であそこまで技を受けて感触を掴ませてしまってはさすがに厳しい。相手の優位の「芽」を潰せず、瞬間芸で捌き続けた甘さの罰を食った形の「一本」だった。

スコアは2-1、東海大浦安がリードという状況で試合は副将戦へ。ベイカー茉秋と石井湧磨による好カードだ。

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写真:ベイカーの大内返が「技有」
ベイカー、石井ともに右組みの相四つ。石井は左構えからまず引き手で襟を狙う慎重な組み手だが、ベイカーはこのシナリオを敢えて受け入れ、石井に奥襟を叩かせてから自らが奥襟を叩き返すという強者の組み立て。
30秒、ベイカーが抱きつきの大内刈を放ち、石井はギリギリでなんとか伏せてこれを逃れる。

45秒、石井の大内刈をベイカーはあっさり大内返に捕まえて叩きつけ「技有」奪取。あまりの強さに場内どよめく。

石井は払巻込に小外刈と攻め手を繰り出すが、ベイカーにとっては石井が片足になる瞬間は全てチャンス、掬投に隅落と切り返し続けて攻勢継続。単に切り返すのではなく全てに「被って『一本』にしてしまう」意思が感じられ、石井は徐々に手詰まり。

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写真:ベイカーの支釣込足が「技有」、
合技で試合終了
2分32秒、ベイカーは自ら畳に伏せるような低い右体落。ほとんどアフター、力のみで石井は転がされ「有効」。ベイカーはそのまま袈裟固に抑え込むが袖口に指を入れてしまい「待て」。
もはや死に体の石井にを゛イカーは小外掛で背中から叩き落とし(場外)、3分27秒、石井をゆったりと腹に乗せるように、スローな支釣込足を決めて「技有」、合技で試合終了。袈裟固、場外での小外掛、そしてこの支釣込足と実質3つの「一本」を奪う圧勝だった。

東海大浦安、これであっさり3点奪取。この時点で試合を決めた。
大将戦はリードを背景に女良魁斗が大岩郁弥を組みとめ、相手の右足を右支釣込足の形で蹴って崩しまくり、まったく隙を与えないまま引き分け。

東海大浦安、勝負どころの準決勝を3-1の大差で乗り切り、見事決勝進出を決めた。

東海大浦安高 3-1 天理高
(先)ウルフアロン○大内刈(3:20)△具志堅一弘
(次)石神大志○優勢[技有・谷落]△長友幹斉
(中)村田大祐△小内刈(1:54)○西尾徹
(副)ベイカー茉秋○合技(3:28)△石井湧磨
(大)女良魁斗×引分×大岩郁弥

殊勲者は先鋒のウルフ、そして何と言っても次鋒の石神だ。
裏投での「有効」失陥、このビハインドから石神が「指導」を得るまでが僅か13秒、「技有」で逆転するまでが41秒。集中力を一瞬欠いた「有効」失陥はいかにもムラ気の石神らしいミスだが、金鷲旗で泥沼の11試合を戦い抜いて優勝の立役者となった石神のメンタルはやはり違った。焦りを見せること自体で盤面が崩れ落ちかねない難しい状況だったが、隙を全く見せずあっという間に傷を塞いで、どころか勝利で中堅に襷を繋いだ。結果論だが、盤面が穏当に推移するよりも、一瞬勝利へのチャンスを見せられ、そして再び突き落とされたことで天理のメンタルは却って折れてしまった感もある。

どんな強者でもインターハイでは必ず「これは」という勝負どころ、敗退の路地にチームを引きずりこむ曲がり角が用意されている。おそらくはそれがこの試合、具体的には石神が「有効」を失った後の数十秒だったのではと思われるが、石神は顔色も変えずに引かれた袖を振り切って、日のあたる道にあっさり復帰。

高校三冠への道を驀進する東海大浦安、いよいよその道程もあと一試合となった。敵は新人戦の段階から「浦安を止めるには、このチームしかない」と噂され続けた、知る人ぞ知る東京の強豪・日体荏原高。


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※eJudo携帯版「e柔道」8月9日掲載記事より転載・編集しています。

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