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【eJudo's EYE】ロンドン五輪総評(3)女子日本代表総評・採点表

(2012年8月29日)


※eJudo携帯版「e柔道」8月16日掲載記事より転載・編集しています。

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【eJudo's EYE】ロンドン五輪総評(3)
女子日本代表総評・採点表


【選手総評】

まずまず力量通りに結果を残した男子に比して、アテネ五輪の陣容に迫る最強チームとも称された女子は「金」1、「銀」1、「銅」1という非常に厳しい結果。少なくとも金3個は確実という事前評もあっただけに、十分な実力を持ちながらそれを発揮することができなかった悔しい五輪、ミッション失敗の大会だと総括される。
メンタルに問題を抱えていたと目される福見、上野、緒方、勝負どころで腹を括れず金メダル獲得の大チャンスを逃した杉本など検証すべきところは多々あるが、今回の女子でもっとも注目すべきは福見、中村、上野という鉄板候補(上野をV候補とするには賛否両論あるが)、これまで世界選手権の獲得歴がある優等生たちの敗退だろう。

この世界選手権覇者たちに共通するのは、強さのみならず、その手堅さ、勝つための「シナリオ」がしっかり出来上がっていたこと。組み手で優位を取り、足技で崩し、下がったと見れば大技、崩れたと見れば取り味のある固技で取り切って試合を決めてしまう。開始の瞬間から勝利の確定まで常に相手に流れを渡さず、リスクを最小限に、詰め将棋の巧さで試合を作り上げていく。もちろん爆発力もある3人だが、それを裏打ちするのはこの「負けないシナリオ」の確かさ。代表には漏れたが、48kg級で世界選手権を2連覇している浅見八瑠奈も含めて、これらの選手たちは強さのみならずこの点で、非常に起用しやすい、園田ジャパンの優等生だった。

しかし五輪という究極の一発勝負の場で現出したのは、この「確かなシナリオ」の要所要所に打ち込まれる研究の楔。明瞭なシナリオはつぶしどころもまたわかりやすい。徹底して持たせず、一手目を封じ、シナリオの分岐点を殺し、そして先に掛けることで相手のチャンスと時間を潰していく海外勢の前に、ただでさえメンタルのバランスを崩していた日本勢は力を出し切れず。それぞれ敗退の直接の原因はまちまちだが、アクシデントが起こる、もしくは起こったあとにあるべき「状況」が作れなかったのはこれが大きかった。あまりにも強すぎた日本女子はその強さゆえに徹底研究にさらされ、そして敗北したと総括してよいだろう。

イコールこれが手堅い柔道、メソッド柔道の否定であるわけではない。ただし、この「徹底研究にさらされる」、それも特定のライバルではなく出場者全員が精度高い研究を行ってくるというこの事実は前提条件として強化計画に織り込むべきだろう。
試合期間中の評にも書いた通り、現在巷に溢れかえる映像情報の量は異常だ。大会数か限りなく多く、かつIJFがほぼ全試合をweb中継するという現状では日本のような映像班を持たない国でも同等の情報が容易に手に入ってしまう。男子評とも重複するが、地力の錬成はもちろんのこと、五輪カスタムの対策、事前研究の上を行く「最後の一伸び」はなんであるべきなのか。地力を養い、完璧な調整をしてもなお難しい五輪という場で勝つためには何が必要なのか。もはやここを思考停止しての強化計画は成り立たないところまで来ている。果たして世界選手権で勝ちたいのか、五輪で勝ちたいのか、その序列もしっかり見極めなければならない。

【監督総評】

最強チームを作り上げた功績、そしてチームの力が出し切れなかった本番の評価、ということになる。現場指揮に関しては、48kg級と52kg級の惨敗という意外な結果を受けた第3日から、園田監督はそれまでの観客席からセコンド席へと場所を移し現場の最前線から指揮を執った。同日に松本薫が金メダルを獲得したという結果も含め、戦う姿勢の「示し方」は高く評価したい。
悪い流れにカンフル剤を打てなかったという評もできなくはないが、最強チームを作り上げてきた園田監督に現場で出来ることは逆に少ない。上記の通り、出来ることをしっかり行って畳上の選手に下駄を預けたという印象だ。
メディアに語る敗因分析も的確、女子に関してはのっけに書いたとおり、最強チームを作り上げた手腕を評価し、本番で力を出し切れなかったその原因をしっかり検証するという、「健康的な」反省と評価を行うのが正当だろう。

【女子採点】

※eJudo編集部採点
※最低3.0点~最高7.0点。中間点は5.0点

福見友子 4.5
明らかな不調の中でなんとか準決勝まで勝ちあがったが、一点突破で研究を重ねてきたドゥミトルの前に堤防決壊。気持ちが切れたか3位決定戦もまさかの敗退を喫した。準備期間の3年間で海外勢にまったく負けていない福見がメダルなしという結果。無念というほかはない。逆転での五輪選出は強いメンタルを買われてという側面も色濃く、この点でも期待に応えたとは言いがたい。

中村美里 4.5
決勝を争うべき力関係のアン・クンメと初戦でマッチアップする不運。ビハインドに際し、本来エマージェンシーの技に欠けるはずの中村が「有効」「指導2」と追いすがる根性を見せたが残った成績は初戦敗退だった。中村と福見に関しては、絶対の優勝候補、手堅さと強さの両方を獲得していた選手がなぜ負けたのか、今後に有益なはずの分析材料が満載のはず。監督、委員長の総括コメントというような曖昧な形でなく、クレバーな総括、精度の高いレポートを望みたい。

松本薫 6.5
極端な包囲網が敷かれる中を見事勝ち上がり男女通じて唯一の金メダル獲得。松本最大のストロングポイントである気持ちの強さは、全ての研究の上を行った。

上野順恵 5.0
実力発揮にはほど遠い内容。それでも残した銅メダル獲得という成績は地力の強さと評するほかはない。昨年の世界選手権以降の試合内容を勘案する限り、内容はともかく、結果自体は識者たちの予測の範囲内。あまりの実績ゆえに期待は過剰だったが、極端な不調の中しっかり仕事は果たしたと言えるだろう。

田知本遥 5.0
試合中に肘を負傷のトラブル、以後の試合は一気に暗転した。しかしこの人も5位という成績は国際大会を見る限り飲み込める範囲内。デコスを倒してグランドスラムパリ優勝という最高到達点があった今年、結果は本人には到底納得できるものではないだろうが、一定の仕事は果たした。メダル確実と考えられた國原頼子を外し、デコス超えに賭けた首脳陣であるが、今回の五輪の様相では國原投入でも大きく結果が変わるとは思いがたい。投入すべき人が投入され、あるべき結果に終わった階級。

緒方亜香里 4.0
チュメオ、アギアール、ハリソンと緒方と「4強」を形成した残り3人は全員がメダルを獲得した。柔道の質も、ランキング的なステージも、勝敗の裏表の不確かさも相似の4人の中でなぜ緒方だけが早々に脱落したのか。北京後「弱点階級」と名指しされ、その中から世界選手権銀メダリストの緒方を育て上げたこの階級、その成績の積み上げは果たして意味があったのか。油断と切って捨てるにはあまりにも痛い敗退だった。事故を起こしやすい緒方の柔道のスタイル、ではなぜ世界選手権では勝ち、この本番では事故が起こったのか。検証が待たれる。


杉本美香 5.0
準決勝の勝利まではほぼ実力発揮。トウブン敗退で目の前に届かなかったはずの金メダルがぶらさげられた格好になったが、まるで事前に「銀メダルでいい」とでも決めていたかのような決勝の煮え切らない試合ぶりは「銀では納得できない」というコメントとは裏腹、周囲を納得させるのが難しいものであった。選手は、絶対に金メダルを獲得するという使命を負っているわけではない。しかし、取り得る時には取りに行くべきではないだろうか。幣サイトは、代表候補者全員が総崩れとなった皇后盃のレポートで「代表選出に関わるのは、絶対王者トウブンに向かっていく「勇気のポテンシャル」の見極めだ」と提示した。果たして杉本は勇気を出したのか。獲得した銀メダル以上に、ファンに対して失ったものは大きい。

園田隆二 5.5
「鉄板」のはずの2階級でメダルなしという結果に終わった第3日からセコンド席に場所を移し最前線から指揮を執った。同アグレッシブな現場指揮と的確な分析は高く買いたい。最強チームを作り上げながらの金「1」という結果については責めを負うべきだが、やるべきことはやったという五輪だった。



※eJudo携帯版「e柔道」8月16日掲載記事より転載・編集しています。

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