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金鷲旗高校柔道大会男子マッチレポート・準決勝~決勝

(2012年8月25日)


※eJudo携帯版「e柔道」7月31日掲載記事より転載・編集しています。

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金鷲旗高校柔道大会男子マッチレポート
準決勝~決勝 1/3


準決勝(上)

準決勝第1試合は全国高校選手権準決勝の再現、東海大浦安高と東海大相模高による一戦。 オーダー順は下記。

東海大浦安高 - 東海大相模高
(先)鎌田嵩平 - 高梨優也(先)
(次)女良魁斗 - 春日良太(次)
(中)石神大志 - 秋吉俊太(中)
(副)ウルフアロン - 河端祥也(副)
(大)ベイカー茉秋 - 小原拳哉(大)

盤面配置を超えて、ファンの興味はまだ今期団体戦では対決のない大将同士、ベイカー茉秋と小原拳哉の直接対決があるかどうかに絞られる。
高校関東大会ではベイカーの圧殺と押し出しを許し続けた小原が屈辱の「指導4」負けを喫しているが、ここまでの試合を見る限り明らかに小原は強くなっている。準々決勝、江畑丈夫を組み力だけで「勝負にならない」と言っていいほど圧倒、あっという間に一本勝ちを決めた小原は動きの端々から強者のオーラが漂う。ベイカーが「強化人間」なら小原は「サイボーグ」、その対戦は非常に楽しみだ。

前衛4人の配置だが、攻撃力もあるが脆さも漂う東海大相模に対し、東海大浦安の陣容は分厚い。
東海大相模が敢えて狙いどころを探すなら鎌田、女良の軽量2枚であるが両校とも前衛2枚が軽く、後衛に重量のポイントゲッターを置くという後ろ重心で配列構成は重複する。その、似た構成同士の駒比べを試みると若干東海大浦安に分がある印象だ。

東海大相模としては前2枚をしのぎ、あわよくば加点して、一発のある秋吉、ポイントゲッターの河端に一仕事を期待したいところ。

一方の東海大浦安は副将のウルフ語るところの「ベイカー先輩に仕事をさせないで勝つ」ミッションの最初の難関。。引き分けを重ねすぎ、スコアタイで大将同士対決を迎えるようなことがあればそれは相模の術中。中堅石神の仕事ぶりに試合の様相がかかる。両校の前半戦のキーマンは浦安が石神、相模は河端だ。

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写真:鎌田(右)-高梨の先鋒対決
先鋒戦は東海大浦安・鎌田、東海大相模・高梨ともに右組みの相四つ。
互いに袖の殺し合いで序盤は静かな展開。
鎌田は片襟の右背負投、高梨は右内股と攻めるが互いに警戒心が強く、相手の技を決定的なポジションに入れさせるリスクを冒さない。
終盤、鎌田が相手の右足を右支釣込足で蹴って崩し伏せさせ、国士館返を狙うが不発。さらに鎌田の片襟を差しての右小内刈からスタートしての長い寝技の攻防があってタイムアップ、この試合は引き分け。

後ろに大駒を配する両先鋒の「試合を壊したくない」という意図がカチ合い、決して消極的でもないが両者ともに順行運転、まずは静かなる前哨戦という内容の試合だった。

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写真:女良が横四方固「一本」
次鋒同士の対決は東海大浦安・女良、東海大相模・春日ともに右組みの相四つ。
女良は右片襟を差しての背負投、春日は釣り手を背中に回しての右内股で攻める。右、左と構えを入れ替えながら組み手争いを続ける春日、2分30秒過ぎから春日は釣手で相手の襟、引き手で同側の袖を絞るクロスの組み手で押し込み、時間の消費を志向。

2分40秒過ぎ、女良が両袖の右袖釣込腰に座り込む。春日はこれを潰して寝技に持ち込み、上から被って体重を掛けるが、女良はこれを利して春日の体側に抜け出し、肩車の形で春日を回す。背中から畳に落ちた春日慌てて逃れようとするがあまりにも体勢が悪く女良が上四方固に捉えて主審は「抑え込み」を宣告。春日必死に抗う。女良は敢えて腰を上げて春日の力を逃がしつつこれをコントロール、相手がいったん逃れたところを横四方固に決めなおす。春日今度は動けず「一本」、3分52秒。東海大浦安がまず1人差リード。

女良が畳に残り、東海大相模は次鋒の秋吉が登場。
右組みの相四つ。秋吉は得意の高い背負投を中心に試合を組み立てたいところだが、この試合は女良が徹底的に寝技を狙い続けて秋吉はことごとく攻めのきっかけを外される。女良の厳しい組み手と足技、そして連携しての寝技の攻撃でチャンス自体を徹底減殺された秋吉はなす術なくタイムアップ。この試合は引き分けに終わり東海大浦安は1人差リードをキープ。

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写真:石神大志の内股が「一本」
東海大浦安は中堅の石神、東海大相模は副将の河端が登場。取り味のある両者の登場、試合は早くも山場を迎える。

石神、河端ともに右組みの相四つ。開始早々、石神右内股を放つと河端は腰を切って止めた姿勢のままフワリと浮き、次いで腹ばいに畳に落ちる。石神が国士舘返しを試みるが「待て」。経過時間は30秒。

続く展開、石神再び右内股。河端やはり腰を切り、右肩を相手から遠ざける姿勢でこれを止めたままフワリと真上に浮き上がる。しかし石神、河端が着地する瞬間を狙って再び右内股に入り直す。一撃目の影響で腰高となっている河端に体を残す材料は乏しく、再び浮き上がった河端を石神今度は腰を切って空中でしっかり回す。河端大きく一回転して畳に落ち、文句なしの「一本」。

石神は開始早々の内股で1回浮かせたことで明らかに感触を掴んでいた。河端はこのファーストアタックの受けを誤って石神に自信を持たせることになってしまったという、複線と結果の非常にわかりやすい一撃。

東海大浦安は2人差をリード。3枚を残して東海大相模の大将・小原を引っ張りだした。

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写真:小原拳哉が石神大志を崩す
石神は右、小原は左組みのケンカ四つ。
81kg級の小原、100kg超級の石神に対し臆せず釣り手で奥襟を叩く。そのままグイと引き落とすと石神立っていられず崩れ伏せる。
小原は左小外刈から朽木倒。石神は右内股に切り返して展開を切る。
50秒、釣手をしっかり持った小原が左小外刈を放つと石神慌てて崩れ伏せ、さらに小原が相手の左足を支釣込足の形で蹴ると石神またもや崩れ伏せる。1分18秒、石神に「指導1」。小原のあまりのパワーに場内どよめく。

奮起した石神は釣り手で左襟、引き手で左袖を抑える変形の右内股で展開を切るが小原なんなく捌いて「待て」。

続く展開は小原が左小内刈から朽木倒、さらに左内股と繋ぎ、石神は右出足払で迎え撃って小原を崩し、ようやく反撃。

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写真:小原が石神を
呼び込みながらの大外刈「一本」
再開直後、小原は一方的に高い位置で左釣り手を持ち、みずからの手首を叩いて石神を呼び込む。石神が崩れながらたたらを踏んで前に出てくるところを定石通りに引き手を得た小原、これを腹側に織り込みながら呼び込みの左大外刈一閃。完璧な崩しのこの技に石神抗えず背中から畳に落ちて「一本」、1分55秒。

超級の強豪石神を相手に、基本通りの組み手の手順だけでここまで翻弄してしまう圧倒的なパワー。小原、強さを見せ付けて1人を抜き返す。

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写真:小原はウルフアロンにも
左大外刈を押し込み「有効」
続く試合は東海大浦安の副将・ウルフアロンが畳へ。全国高校選手権では引き分けに終わり、東海大浦安の勝利が確定したカードだ。

ウルフ、小原ともに左組みの相四つ。
小原は相手を押し込んでの左大外刈、左大内刈、さらに右袖釣込腰を二度放って積極的に攻めが、ウルフは落ち着いてこれを潰す。

1分を過ぎ、ウルフ背中に手を回しての引き落とし、組み際の支釣込足で小原を崩し、小原もいったん離れて強気に奥襟を叩き、ウルフはこれをいなす。互いに自分の形で組めば一発で勝負を決めるパワーがあるだけに、組み手争いも過程を飛ばして良い位置を持ちに行き、持たれた側はこれを切り離し、また過程を飛ばして釣手を叩き込むという鉈を振るいあうような様相。
2分を過ぎたあたりから小原明らかに疲労。2分40秒にはウルフが奥を叩き腰を切るフェイントからの支釣込足でウルフを伏せさせ、3分には大外刈を押し込んで伏せさせ小原は苦しいところ。

しかし小原はここからが春とは違う。残り32秒、お互い圧を掛け合って動きが止まったところから、プレッシャーを感じたウルフが自身の右側へ移動。この機を捉えてウルフを呼び込みその動きを増幅させた小原、ウルフの左足の移動の終点にあわせて思い切った左大外刈。引きずりこまれるように崩れたウルフは慌てて身をねじるが、体を捨てた小原の前に抗せず体側から落ちて「有効」、残り時間32秒。

しかし小原はさすがに疲労困憊。再開と同時に走り寄るウルフ、抱きついて伏せさせ、右袖釣込腰を潰し、脇を差して伏せさせ、さらに前に出て小原を場外に押し出すが「指導」はなく試合終了。小原、2人抜きでついに大将のベイカーを引っ張り出した。

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写真:ベイカーと小原の大将戦
ファン注目の一戦はベイカー右、小原は左組みのケンカ四つ。

ベイカー横から手を振って右釣り手で小原の背中を掴むが、ベイカーはいなして脱出。ベイカー再び釣り手を叩き込んで圧を掛けると小原潰れて伏せて「待て」。経過時間12秒。

ベイカー今度は釣り手で脇を差して深く背中を持ち、腰を下げてスタンス広く構える。と見るところに小原ベイカーの釣り手を殺して上から被り、両者もつれたままベイカーごろりと転がって小原のポイントかと思われたが審判団はスルー。ベイカー、命拾い。

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写真:ベイカーが小原の
小外刈を弾き返して「一本」
続く展開。ベイカー再び釣り手を外から回し、小原の肩裏をガッチリ握る。一瞬力を掛け合った後、応じた小原は思い切った左小外刈。ベイカーの足が掬われ、投げの感触を得た小原体を捨てて決めに掛かるが、ベイカーは刈られて足の上がったその姿勢のまま小原をコントロール。上体の力だけで逆に小原を畳に押し付け殺して「一本」。
僅か47秒、またしても規格外の力を見せ付けたベイカーが、唯一その牙城に迫ると思われた小原に一本勝ち。東海大浦安が決勝進出を決めた。

東海大浦安高○大将同士△東海大相模高
(先)鎌田嵩平×引分×高梨優也(先)
(次)女良魁斗○横四方固(2:52)△春日良太(次)
(次)女良魁斗×引分×秋吉俊太(中)
(中)石神大志○内股(0:57)△河端祥也(副)
(中)石神大志△大外刈(1:55)○小原拳哉(大)
(副)ウルフアロン△優勢[有効・大外刈]○小原拳哉(大)
(大)ベイカー茉秋○隅落(0:47)△小原拳哉(大)

小原は強くなっていた。その上ベイカーをよく研究してもいた。ベイカーが横から脇を差した際のスタンスが広すぎ低すぎ、レスリングのような構えになる癖を捉えてそこに被った開始早々の攻撃にそれは明らか、小外刈の選択も間違いではなかった。
ただしベイカーが強すぎた。より具体的にはベイカーの上体の力が予想以上だったのだろう。2人を相手にした後の対戦は気の毒ではあったが、結果的には「サイボーグ」小原をしても今のベイカーには手が届かなかったということになる。

ただし、繰り返すが小原は明らかに強くなった。それは高校関東大会でベイカーに舐めた屈辱があるからに違いなく、これはある意味健全なライバル関係と言える。そして何より頼もしいのは松前旗、高校選手権とベイカーとの対戦を待たずに、緩慢に引き分けを受け入れていた小原が、今回は2人を抜かねばベイカーにたどり着かないという状況を忌避せずに疲労困憊のまま2勝を上げたこと。ベイカー戦の敗退も、小原が敢然と攻めたればこその結果だ。逆境でも攻め抜く、東海大相模のエースらしい小原の敢闘精神の復活。インターハイに向けて東海大相模には何よりの収穫だったに違いない。

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