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【eJudo's EYE】不運なディティール超えて結果は妥当・ロンドン五輪第5日評

(2012年8月3日)


※eJudo携帯版「e柔道」8月2日掲載記事より転載・編集しています。

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不運なディティール超えて結果は妥当

90kg級の西山将士(新日本製鐵)は準々決勝で、ソン・デナム(韓国)に敗退。「技有」と「有効」ビハインドの残り33秒に「一本」級の左大外刈を押し込んだが、当初「一本」だった評価は「技有」に変更。ポイント差僅かに届かずこの試合で 落とした。しかし敗者復活戦でチョリエフ(カザフスタン)、3位決定戦はデニソ フ(ロシア)を相 手にいずれも泥沼の消耗戦を勝ち抜いて僅差3-0で勝利、銅メダルを確保した。

西山は大枠力を出したと言えるが、やはりその戦いぶりは「飴玉の芯」、組み手と技の連動性、展開終了と同時に次の仕掛けが始める組み手の連続性という西山の「旨み」の部分は発揮できず。核となる歩留まりが良さは発揮できたが、組み手のうまさそれ自体が攻撃力を引っ張り出す2011年冬-2012年春モデルの西山のレベルには遠く及ばなかった。

組み負けたときに膠着する時間も長く、一手先の局面が悪いと見抜くやとっとと仕掛けて相手のほうから組み手をやりなおさせる西山の高い危機察知能力、嗅覚までがやや鈍っていた印象。この日の西山、少なくとも本調子ではなかった。

しかし世界大会未経験の西山が初の五輪で銅メダル確保という結果は上出来、率直に言って実力的には妥当な成績だろう。気落ちするはずの敗者復活戦、3位決定戦をそれぞれ8分フルタイム戦い、いずれも僅差判定ながら3-0と大差で勝利を確保したという結果はまさしく「負けない」西山の良さが出たと評価することも出来る。
もともとイリアディスという王者がおり金メダル奪取は難しい階級。不運な技判定にもめげずに持ち味を発揮、メダル確保という最低限の仕事は果たしたとポジティブに評価したい。

男子はここまで金メダルゼロであるがその一方まったくの惨敗もなく、メダルを確保し続けて大枠実力に近い結果を残し続けている。西山もその流れを引き継いだということだ。

一方の田知本遥は準々決勝でチェン・フェイ(中国)を相手に「有効」2つを奪う順調な試合振りだったが試合中に左肘を負傷し状況暗転。この試合を落としたばかりか敗者復活戦でも力を発揮できず敗退、7位に沈んだ。こちらは、「敢えて反省すべき点を挙げるならば」というような無理やりの理由探し、反省のための反省をこの時点で行うことにさほどの意味を感じない。田知本は不運であった、とのみ総括したい。

ただし田知本は直近の世界選手権でも表彰台にあがっていない選手。国際大会で継続して圧倒的な成績を収めてきたというわけでもなく、その点では7位という成績はこれまた妥当すぎるほど妥当。

技評価の不運、負傷の不運。それでも勝ち得た一定の結果。
プロセスから反省点を無理やり探すよりも、結果自体をきわめて穏当、妥当と評価することのほうが的確。そんな印象の1日だった。

「刺客」のミッションは空振り、ゼニの取れる取り組みは実現せず

さて、この日の代表2人には選考事情的な共通項がある。100kg級にはイリアディス(ギリシャ)、70kg級にはデコス(フランス)という絶対の優勝候補がおり、両者はこれに勝利した事実を根拠に五輪に送り込まれた「刺客」であったということである。

もちろん最終選考会である選抜体重別で国内のライバルたちが下位に沈んだという事実が彼らの選出を後押しした事実は否めないが、男女両監督、そして強化委員長ともに「王者に勝てるから選んだ」「最高到達点の高さを買った」という理由を少なくとも否定することはないだろう。

その意味では直接対決まで勝ちあがれずにトーナメントから姿を消したというこの結果はまことに残念。ただしこれは「代表としての責任いかに」というような生真面目な問責でまったくなく(そもそもイリアディスは中途で敗退している)、「やってくれれば面白かったのに」という外野の身勝手な願望である。

今大会は、見るべきドラマが少ない。柔道の面白さをアピールするうえで投技の美しさの持つ魅力はもちろん重要だが、その畳上に至る役者2人のストーリー、そして絶対の強者に挑むというドラマの構造自体の面白さもまた、強く人をひきつけるものがあるはずだ。

世界選手権2連覇中の絶対の強者イリアディス、そこに挑戦する無印の叩き上げ・西山がそのパワーを封じんと異次元の組み手を駆使する。世界選手権覇者で押し出しのゴツいデコスに、一見華奢な田知本が戦略、戦術でもってこれに立ち向かう。1秒、10秒、1分と試合を壊さずに粘るだけで客がヒートアップできるようなこの勝負劇場をTVの電波に乗せられなかったのはいかにも勿体なかった。

デコスの五輪挑戦3回目にして悲願の初優勝という落としどころが定まった70kg級はともかく、イリアディスまで負けてしまった男子90kg級はシナリオとしてはグズグズ。またもや柔道は一般大衆向けの「興行」に失敗してしまった、と酒をひとあおりする5日目の晩であった。

文責:古田英毅


※eJudo携帯版「e柔道」8月2日掲載記事より転載・編集しています。

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