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ロンドン五輪90kg級プレビュー×組み合わせ展望

(2012年8月1日)


※eJudo携帯版「e柔道」7月31日掲載記事より転載・編集しています。

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絶対王者イリアディスに噛み付く西山、
カギは最初の1分間
ロンドン五輪90kg級プレビュー×組み合わせ展望


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逆転で代表に選出された
苦労人・西山将士
日本代表選手:西山将士
年齢:27歳
所属:新日本製鐵

東京、パリと2大会連続で銀メダルを獲得した西山大希、そしてパリで銅メダルを獲得した小野卓志と2人の世界選手権メダルホルダーが君臨した90kg級、しかし五輪代表の座を射止めたのは世界大会未経験の苦労人・西山将士だった。

代表の座を分けたのはなんといっても世界選手権で連続優勝を収めている絶対王者イリアディス(ギリシャ)の存在。この2年間、ベテラン小野と業師西山大希という本格派2人をぶつけ続けてどうしても超えられなかったこの高い壁を、西山将士は1月のワールドマスターズでしっかりと超えて優勝してみせたのだ。

もともと西山は講道館杯全日本体重別選手権を4連覇(2008-2011)するほどの実力者。相手の良さを消すことが巧みな試合巧者であったが、小野や西山大希のような一発の魅力に乏しかったせいか国際大会への起用は僅少。しかし「ブラジル団体戦」で日本代表として活躍、優勝に貢献するなど地道な努力を続けるうちに首脳陣の信頼と国際級の技の威力を獲得。そしてワールドマスターズの大舞台で「相手の良いところを消しながら攻める」真骨頂の試合振りでジャイアントキリングを演じたのだ。

強化陣がメダル確実な西山大希、そして小野ではなく西山将士を選んだのは「金メダル以外要らない」という強烈なメッセージ。安定感と攻撃力を兼ね備えた西山の、覚悟のある戦いぶりに期待したい。

かつての西山と、2011年グランドスラム優勝-2012ワールドマスターズ優勝モデルの「最新型」西山の差を考えるとまず前述の通り投げ技の威力の差。そして次に挙げられるのが組み手と攻撃の連動性である。かつての西山の組み手は「相手の良いところを消す」もの「自分だけが攻めるための圧倒的優位を作る」ためのものだった。相手の攻撃力も消すが、持たせずに一方的に組むがゆえに相手を守備の殻に閉じ込める、もしくは切り離しあいの泥沼に嵌りこむ。寝技というフィニッシュホールドがあるがゆえ、そして試合を決めるべき投げ技の威力という終着点の欠如により現出したこの現象により、西山の試合は勝っても負けても面白くない、地味なものになりがちであった。

しかし組み手、そして連動した攻撃のバリエーションが水準点に達した最新型の西山は増した投げ技の威力との乗算で大ブレイク。ワールドマスターズにおける西山の組み手のシナリオのあらゆる分岐点には次の攻撃へ連なるトラップが仕込まれており、海外選手は持つたび、切るたび、スタンスを変えるたび、持たれる度に二の矢の組み手、そして同時にオートマチックに飛んでくる投げ技に辟易、心折られ続けて最後は西山の投げ技に屈した。おそらくここまで組み手と投げ技の連動性を磨き、高水準に持っていっているのは81kg級で金メダルを獲得したキム・ジェブン(韓国)のみ。出し入れのバリエーションの多さゆえ研究も困難であろうかと思われる。非常に楽しみだ。

危惧されるのは、五輪出場のプレッシャーがかかった全日本選抜体重別ではこの「11年冬-12年春」モデルの西山の流れるような組み手の連動性が全く見られなかったこと。大学生のような単純な「持つ、掛ける、できなければ切る」といういう組み手を繰り広げ、優位が作れないことに焦っては思考停止の大技に走る悪循環に陥っていた。自身の持ち味をしっかり自覚して、西山らしいしぶとく、かつ取り味のある試合を繰り広げてもらいたい。

■有力選手

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世界最強と称される
イリアディス
なんといっても最大最強の敵はイリアディス(ギリシャ)。100kg超級のリネール(フランス)と並びロンドン大会全体を象徴する選手だ。パワー、そしてバツグンの腰の強さが特徴で、奥襟に背中、肩越しの組み手で相手を圧殺し、手詰まりになったところを腰車、内股、払腰に大外刈に横落と豪快な技で投げつける。移り腰に裏投など「際」の強さも素晴らしい。強者が揃う階級だがその力は抜けていると見てよいだろう。

以降は横一線に近い混戦で、続くグループにいるのが西山、そしてリパルテリアニ(グルジア)、チョリエフ(ウズベキスタン)、デニソフ(ロシア)、グランドスラム東京2位のゴンザレス(キューバ)ら。リパルテリアニは23歳、今期はフランプリ・デュッセルドルフと欧州選手権を制している。チョリエフは大会によって出来不出来の激しい選手でこれまで日本選手は相性が良かったが、最高到達点は低くない。 今大会恒例、そして大会が進むごとに注目の必要性を増している「死んだふり」枠では30歳になったカミロ(ブラジル)を挙げておきたい。ただしこれまでのこの枠の活用者はキューバを除けばヨーロッパと東アジアに集中しており、昨日81kg級でギヘイロが潰れたばかりのブラジルにはチームとしていまひとつ脅威を感じない。

■組み合わせ

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チョリエフは
第3シードを勝ち得た
イリアディスと西山はブロックが分かれ、対戦があるとすれば決勝。 しかし西山が置かれたのはなかなかの激戦ブロック。まず準決勝までのこのサバイバルを生き残るのが至上命題だ。

→81kg級組み合わせ

【プールA】

第1シードのイリアディスの山で、ここは事前予想の段階でイリアディス以外の勝ち上がりを考えるのはナンセンス。国全体として好調のロシアの代表・デニソフが準々決勝で挑戦するが、これが最初の山場か。

【プールB】

リパルテリアニのブロック。準々決勝はゴンザレス(キューバ)とゲラシメンコ(セルビア)の勝者との対戦ということになる。

【プールC】

第2シード西山将士の山。初戦のマメドフ(キルギスタン)は問題ないと思われるが、次戦からはメスバハ(エジプト)、ソン・デナム(韓国)と実力者との対戦が続く。

韓国は、難剣遣いのイ・ギュウオンではなくソンを代表として送り込んできた。ソンは担ぎ技もあるがかつては奥襟を掴んで内股、大外刈という比較的まともなスタイルがベースで、組み手は厳しいがイに比べると格段にやりやすい選手のはず。日本に燃やしてくる闘志だけが厄介だ。

【プールD】

チョリエフの山で、ここが大激戦区。ニマン(スウェーデン)、カミロ、怪力が代名詞のゴンチュク(ウクライナ)、メロニ(イタリア)と揃う。最有力はチョリエフだが、平均値、最高到達点のいずれで考えても、誰が勝ちあがってくるかは計算しがたい。

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グランドスラム東京
2位のゴンザレス
【準決勝-決勝】

イリアディス-西山の対戦と仮定したい。

イリアディスが強敵と戦う際のやり口は、一発秒殺志向ではない。組み手で相手の上半身を殺し続けるその状況自体で消耗させ、「指導」を奪い、相手が心身ともに疲弊したところで勝負に出るというオースドックスな組み立てをしてくる。もちろんこのような組み立てを一撃で翻す技の威力があるから怖いのだが、西山はまずこのイリアディスの組み立てを潰しながら攻撃を続け、先に状況を積み上げて勝負したい。イリアディス相手にビハインドを背負い、スクランブルを掛けなければいけない状況はもはやそれ自体が嵌り。相手のシナリオを壊して、すこしづつそのコンピューターを狂わせていきたい。止めるだけではだめ、攻撃しながらこれを行うことで流れをもってこなければ勝利はない。イリアディスが最初の1分で取りにくる「指導1」、これを凌ぐのではなく、こちらが先に奪う展開でイリアディスの精神を壊していきたい。
相手の攻撃意図を吸収して、あらゆるシークエンスを逆に自身の攻撃で終える、西山の組み手の真骨頂に期待したい。


※eJudo携帯版「e柔道」7月31日掲載記事より転載・編集しています。

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