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ロンドン五輪81kg級プレビュー×組み合わせ展望

(2012年7月31日)


※eJudo携帯版「e柔道」7月31日掲載記事より転載・編集しています。

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キムジェブンが最有力、
中井は準決勝でギヘイロ超えに挑む
ロンドン五輪81kg級プレビュー×組み合わせ展望


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激戦区で代表を勝ち取った
中井貴裕
日本代表選手:中井貴裕
年齢:21歳
所属:流通経済大

朴訥な受け答え、素朴な風貌がキャラクターとして定着しつつある中井だがその戦闘スタイルは実にクレバーだ。基本のしっかりしていた小中学生時代、攻守のバランスの良い好選手だった高校時代を経て、まだ線が細かった大学1年生時にトップ選手との戦いを志向。「やっていこうとするとこうなってしまう」とハイレベルファイターとの戦いに対応して変形柔道にスタイルを調整。相手の嫌なところを瞬時に見抜いては長い手足を駆使して距離と立ち位置を巧みにコントロール、死角からその弱点をコツコツと攻め、機と見れば躊躇なく飛び道具の大技を仕掛ける。

本格派が重用される柔道界は若手の変形選手に対する評価が厳しく、将来性にも疑問符がつけられがち。しかし中井が国際大会に起用されるようになってから3年近く、高松正裕(この人は片手技ファイターだが)、川上智弘、長島啓太、花本隆二と幾多の本格派選手が中井とともに畳に送り込まれてきたが、強豪がギッシリ揃ったこの厳しい階級で最後まで生き残ったのは変形柔道、相手を見抜く力と対応力が命の中井だったのだ。当初は苦戦した中井だが揉まれる続ける中で徐々に成績を残し始め、現在はコンスタントに入賞が狙えるところまで地力をつけてきた。
2010年東京世界選手権時の小外刈中心の組み立てから、前後左右に内、外と「巻き捲くる」「返し捲くる」2012年冬ワールドマスターズモデル、そして大外刈の切れ味を盛った2012年春選抜体重別モデルと実は確実に使える武器を増やしてモデルチェンジを繰り返している選手でもあり、その特徴は実は「変形」ではなく「停滞なき成長」なのかもしれない。

パワーのキム・ジェブン(韓国)、本格派で柔道の完成度が高いギヘイロ(ブラジル)を筆頭に息の抜ける相手が全くいないこの階級だが、中井はメダル圏内に迫っていると見ていいだろう。

上積み要素としては、5月の全日本選抜体重別では川上智弘を大外刈で投げつけるなど、ここにきてなんと正統派投げ技の切れ味が増していること。この進化は欧州国際大会がクローズした後に起こったもので、いまだ海外勢の研究にさらされていない可能性が高い。研究、対応の詰め将棋の様相を呈してきている今大会において、相手の想定外の成長が有り得るというのは非常に面白い。

もう1つ。平岡、海老沼、中矢とこれまで計算できる選手が送り込まれてきた男子代表にあって中井は初めて「勝ったら儲け」枠の選手でもある。上位進出を現実的に考える選手が多く、またガチガチに硬くなる選手も多いであろう81kg級。ここに思い切りの良い柔道を叩きつければ、予想以上の快進撃の可能性も十分あると見る。

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世界選手権連覇中の
「体力王」キム・ジェブン
■有力選手

前述のキム・ジェブン(韓国)が最有力。
パワー、スピード、テクニックと体格の鎧に全ての要素を詰め込みうるこの81kg級は当然ながら選手の入れ替わりの激しい激戦階級であるが、その中で10年、11年と世界選手権を連覇している。武器はパワーと、実は組み手。「いきなり奥襟を叩く」というような単純なものではなく、回る、いなす、手繰る、織り込む、離す、持たせながら掛けるとバリエーションが豊か。持てるパワーとメソッドの全てを「組み手で圧倒的優位を作る」ことに傾けてくる。その上かつて勝ちきれない時代から韓国内で「体力王」の異名を取った異次元のスタミナ。厄介な相手だ。

キムと並んでAグループ扱いされるのがギヘイロ(ブラジル)。しっかり組んで切れ味鋭い足技を繰り出し、大技の威力もあるという日本人以上に日本的、競技者というよりも「柔道家」と称したくなる格調高い柔道をしてくる。2011年グランドスラム東京では五輪代表「裏」最有力候補と言われた長島啓太を信じがたい身体能力の高さで内股透「一本」に捉えている。まともな柔道ゆえ必然的に生み出される線の細さが玉に瑕だが、メダルに絡むのは間違いない。

パワーファイター優勢の今大会の流れの中で名前があがってくるのは73kg級で北京五輪を制しているママドリ(アゼルバイジャン)と今期の欧州王者マゴメドフを退けて出てきた元世界選手権王者ニフォントフ(ロシア)。近年全く映えなかった選手だがマゴメドフを押しのけて出てくるということはよほど出来は良いのだろう。ロシアは今大会好調、その意味でも非常に怖い選手だ。

ニフォントフ同様の「死んだふり」枠では08年北京五輪王者のビショフ(ドイツ)、御年32歳。こちらも完全に終わった選手と思われていたが、今期は突如グランドスラムパリとグランプリデュッセルドルフという最重要2大会を連続制覇。目標がどこにあるかは明らかだ。

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正統派柔道の強者、
ギヘイロ(ブラジル)
■組み合わせ

最激戦区はプールAで、中井はビショフがシードされるプールBに配された。ベスト4進出までを考えると比較的戦いやすい山。

→81kg級組み合わせ

【プールA】

ギヘイロの山。準々決勝はスティーブンス(アメリカ)、セデジュ(スロベニア)、マリジャノビック(クロアチア)、チキラウリ(グルジア)という激戦地区の勝者とぶつかるが、ここはチキラウリの可能性が高い。ギヘイロ優位だが、チキラウリのパワーの前にどれだけやれるか。上位進出の最初の関門。

【プールB】

ビショフの山。ビショフは初戦がシアノ(イタリア)で準々決勝が中井とトーマ(モルドバ)の勝者ということになるのではないか。
正直ここまで「死んだふり」枠の選手の活躍が続くと、どうにもビショフが強敵に思えてしまう。それほど融通が利くタイプの選手ではないので、嫌なところ、嫌な角度から攻め続ける中井の柔道を貫いてほしい。

【プールC】

キム・ジェブンの山。強敵エルモント(オランダ)にシュミット(フランス)がいるが正直キムを脅かすレベルの選手は見当たらない。

【プールD】

ママドリの山。2回戦でいきなりバートン(イギリス)という山場がある。準々決勝はニフォントフか。この山には流通経済大柔道部出身のナウル(フィジー)もおり注目したい。

【準決勝-決勝】

ギヘイロ、願望こみで中井、キム、ママドリorニフォントフというのがベスト4予想。

中井はギヘイロには徹底した変則、嫌な角度から攻めてまず「指導2」を積み上げたい。異次元ファイトはそれからだ。

しかし誰があがっても、まともにコンディションが作れていればキムにはちょっと叶わないのではないだろうか。データのない強豪ということで、ギャンブル性込みで予測すると対抗馬はビショフとニフォントフ、思い切ってこう予想して稿を終えることにする。


※eJudo携帯版「e柔道」7月31日掲載記事より転載・編集しています。

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