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【eJudo's EYE】今夏、ベイカーを測る「モノサシ」は見つかるのか?

(2012年7月22日)


※eJudo携帯版「e柔道」7月20日掲載記事より転載・編集しています。

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東海大浦安のエース、ベイカー茉秋。
強さ以上にその存在感が超高校級
高校生の夏、いよいよ開幕。21日から「地獄の金鷲旗」こと金鷲旗高校柔道大会(福岡・マリンメッセ福岡)がスタート、そして8月2日にはいよいよ柔道界の夏の甲子園、インターハイ柔道競技(富山・アルビス小杉総合体育センター)が開幕する。
今期は24日の金鷲旗終了からインターハイ開幕まで僅か1週間しかなく、夏の高校柔道は一続き。強豪高は軒並みきょうから合宿体制、のべ3週間に渡る過酷な大会ツアーを戦い抜くことになる。

さて、今夏の高校柔道界における最大のみどころは何か。

高校選手権で初優勝を遂げた東海大浦安高の3冠達成なるか、を筆頭に語られるトピックは数多い。発言に責任が伴う立場の人間、発言の影響力が強い人間であればあるほど、オフィシャルな場でのコメントは鉄板「浦安の3冠達成なるか」になるであろう。

これは間違いなく本音ではあるが、急所を外してもいる。意識する、しないに関わらずその発言の根にある興味が何かを会話を重ねることで濾していくと、高校柔道関係者、ファンの率直な興味、一番知りたい下世話な本音は「いったいベイカーはどれほど強いのか」という一点であることに辿りつくからだ。

3月の高校選手権をオール一本勝ち、団体・個人の2冠を達成した東海大浦安のエース・ベイカー茉秋の強さはそれほど衝撃的だった。以降もジュニアカテゴリ以下の試合を全て、それも難なく「一本」で圧勝している彼の強さは現在のところ、底が知れない。

超高校級と呼ばれる選手は一定の割合で必ず輩出されるが、この「底の知れなさ」という一点において、ベイカーはそれら再生産される歴代の超高校級選手と一線を画す。

通常、全国上位で活躍するレベルの選手には必ず見るべき前歴がある。超高校級の選手はかつての超小学級であったり超中学級であったりするわけで、それまでの対戦実績や成績、成長の過程といったデータには事欠かない。いかに強くとも「未知の存在」ではありえないわけである。

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高校選手権団体戦決勝、引き分ければ試合
を失うという過酷な状況で試合巧者の
竹内信康を捕まえて一本勝ち
しかし中学時代は無名に近い軽量級選手で高校入学以降、もっと言えば2年生の夏を過ぎてから異次元の成長を遂げたベイカーにはそれがない。

ベイカーがその強さを発揮し始めたのが昨秋、現在の「強化人間」ともいうべき現在の姿のベースが出来上がったのはおそらく今年初頭から3月の高校選手権にかけてであり、昨秋新チームのデビュー戦である黒潮旗で江畑丈夫(国士舘高)に喫した一本負け、さらには昨冬の松前旗で2人を抜いた後に河端祥也(東海大相模高)を相手に演じた引き分け、若潮杯での砂田勇登(国士舘高)からの「技有」優勢勝ちと、「一本」を取れなかった試合全てがもはや参考にならない感あり。高校選手権決勝で敗れた桐蔭学園高・鈴木寛人監督の「ベイカーの強さを見誤っていた」という呻きにそれは端的だ。「変身」とでもいうべきその急激すぎる成長に、周囲の認識が追いついていかなかったのだ。

対人競技である柔道において選手の力を測るにはどうしても対戦相手というモノサシが必要だ。どのレベルの選手とどれくらいの試合を繰り広げ、勝ち、負け、引き分けたのか。現時点の立ち位置という意味でも、将来性という文脈でも、選手の「強さ」はこの実績の集合において判断される。

しかし、「改造人間」に羽化した後のベイカーは以降の全ての試合を、それも難なく「一本」で勝利しており、このモノサシとなるべき相手と状況が現時点では1試合もない。

また、通常このクラスの選手であれば全日本合宿において同カテゴリのライバルたち、または同階級の上位カテゴリの選手たちと猛稽古を繰り広げて良くも悪くもその器の程を開陳していくことになるのだが、少なくとも6月時点まで、ベイカーは全ての全日本合宿を辞退しており1度もその畳に姿を見せていない。他校はベイカーの強さの「底」を測る材料を未だに与えてもらっていないのだ。

参考にすべき過去の実績のなさ、攻略の糸口を見出すべき苦戦すら1試合もなく一切のモノサシを拒否するきょうこの時点での圧倒的な強さ。現在のベイカーが醸し出す存在感、他校に与える恐怖感と違和感は単に強い選手というだけでは表現できない。その存在自体が異質、高校柔道というひとつの価値観に全く違う世界から突然舞い降りた異星人とでも評するべきだろう。

今夏の高校柔道界を規定するテーマは「ベイカーはどれほど強いのか」に尽きる。

より具体的には、規格外と評され、高校での残り試合全て一本勝ちを目指しているというベイカーの強さを規定するモノサシが果たして現れるのか、それは相手の巧みさなのか、体格差なのか、負けという形で現出するのか、勝利しながらの苦戦で糸口が見つかるのか、そもそも選手ではなく圧倒的なビハインドという「状況」なのか、凌ぎに凌がれた時に見せる自身のメンタル上の隙なのか。勝ち負けという興味を超えて、とにかくベイカーが畳にあがる試合を高校柔道ファンは1試合も見逃すべきではない。

先日、ベイカーは自軍のレギュラーが立ち上がれなくなるような数時間の猛稽古のまさしく直後に、ベンチプレス80kgを20回「一息で」挙げたそうである。技術云々を超えたあまりに圧倒的な体力。このエピソードを聞く限り、通常の対策ではベイカーとの溝は容易に埋まりそうにない。

名将揃いの高校柔道界、他校は一体どのような作戦でベイカー潰しに挑んでくるのか。1点捨てれば話の済むインターハイよりも、どうしてもベイカーを殺さねば勝利のない金鷲旗のほうがこの点では断然興味深い。

日本の高校柔道界は果たしてこの異星人を測るモノサシを用意できるのか。 優勝の行方、ベイカーの成績自体はもちろん、今夏、そして今日から始まる金鷲旗はここに注目である。



※eJudo携帯版「e柔道」7月20日掲載記事より転載・編集しています。

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