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金鷲旗高校柔道大会女子展望

(2012年7月22日)


※eJudo携帯版「e柔道」7月20日掲載記事より転載・編集しています。

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金鷲旗高校柔道大会 女子展望

重量級の枚数揃える地元・敬愛が優勝候補筆頭

■有力校

男子同様、体重無差別の5人制抜き試合という過酷なレギュレーションで行われる金鷲旗高校柔道大会女子の部。シード8チームは3月に行われた全国高校選手権の成績を基準に選ばれているが同大会は52kg級、57kg級、無差別という体重制限のある3人戦であり、戦力事情は大きく異なる。
金鷲旗はチームの総合力勝負。より具体的に言うと計算できる重量級の駒数を揃え、その中に取り味のある絶対のエースが存在し、穴のないオーダーで5人を構成出来るという3つの項を満たすチームが強い。

今期この項全てを満たすチームはなく、全体的には決定打なき混戦。

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敬愛が誇る堀、岡、畑村の重量3枚
12月の若潮杯はこの陣容で圧勝だった
その中でダントツの優勝候補筆頭に挙げられるのが地元・福岡のインターハイ代表である敬愛高だ。78kg超級九州王者の畑村愛恵、天才肌で戦闘力は畑村以上と評される78kg超級の岡史生、78kg級九州王者堀歩未、同3位の西田未来に57kg級九州王者芳田司と人材には事欠かない。誰と対戦しても必ず抜くというような絶対のエースはいないが、全国大会上位レベル同士の対戦でも計算の立つ重量級のエースクラスを複数枚擁する「重戦車軍団」とでも呼ぶべき陣容は圧倒的だ。抜いても抜いても重量級のトップレベルが出てくるというこの戦力の厚みで今大会は他校を全て踏み潰してしまうのではないか、というのが大方の観測。

対抗馬はどこかということになるがこれが群雄割拠で非常に難しい。前述の3つの項を2つ以上満たすチームがほとんどないのだ。

今大会、敬愛以外の有力チームは、4つに分類される。
「取り味のあるポイントゲッターが存在するが軽量」、「重量級の大砲はいるが周辺戦力が薄い」、「穴のない中・重量選手を揃えるが絶対のエースが不在」、そして「大駒が負傷中でメンバーの額面通りの戦力が期待できない」だ。

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インターハイ東京予選時の淑徳高
田代、橋本の状態が回復していれば
間違いなく優勝候補
純戦力的な計算で言えば対抗馬は淑徳高(東京)。78kg超級でシニア強化選手クラスの力を持つ橋本朱未に、63kg級世界ジュニア王者の田代未来というスター2人を擁し、この2人が1年次の一昨年大会では田代が上級生を投げまくって見事優勝を飾っている。
しかし今大会の淑徳は「大駒が負傷中」の箱に分類される可能性が高い。昨年の左膝靭帯断裂という大事故から今春復帰、順調に成績を残しつつあった田代がインターハイ東京予選で膝を負傷、大会の出場自体が危ぶまれている状況にあるからだ。橋本も昨年来の体調不良で慣らし運転とフルスロットルを交互に繰り返しながら苦心の試合を続けており、スーパーサブとして期待された78kg級東京代表の山田あかりも東京ジュニアで肘を脱臼したばかり。このチームのポテンシャルは非常に高いが、その評は「田代復活なら優勝候補」というに留めておくしかないだろう。

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高校選手権で準優勝の阿蘇高。
梅木(右)の負傷が気がかりだ
昨季王者で高校選手権では準優勝、大将に世界ジュニア78kg級王者の梅木真美を配する阿蘇中央高(熊本)も本来「大駒1枚」チームとして分類されるべきだが、梅木は膝を負傷し少なくとも6月に行われた九州大会には出場していない。地元・阿蘇市が直前に豪雨災害に見舞われて同校も休校となる事態になっていることも加えて、今大会は100%の力を出すのは難しいと見る。

高校選手権の上位進出組である松商学園高(長野)と宮崎商高(宮崎)はともに間違いなく好チームだがやはりポイントゲッターが軽量。前者は63kg級高校選手権2位の津金恵と52kg級インターハイ王者出口クリスタ、後者は63kg級高校選手権王者の松本千奈津を擁するが、さすがに金鷲旗の厳しいレギュレーションで頂点をうかがうところまで勝ち抜くのは難しい。

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高校選手権優勝の埼玉栄高のポイントゲッター
、63kg級の安と78kg超級の小針
選手権王者の埼玉栄高は78kg超級全国ベスト8の小針由江に、63kg級3位のスター候補安沙好を擁し、急成長の超級選手桒原佑佳、70kg級で埼玉代表の座を勝ち取った前嶋愛弓も加えて戦力的にはバランスが良く、非常に面白い。しかし戦力的な観点から言うと、重戦車軍団の敬愛と切った張ったを繰り広げて優勝を伺うにはやや駒数不足、まだ発展途上のチームという印象は否めない。頂点をうかがうには個の力を出させ切って流れを掴む「本松マジック」の再現が必須だ。

シード校では帝京高(東京)の前評判が高い。重量級の強者はいないが、70kg級ドイツカデ王者の森田智子を筆頭に5人の戦闘力の高さでは大会随一。番狂わせを起こすタイプのチームではないが、その地力だけで少なくとも上位進出は確実だろう。

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帝京高はカデ70kg級王者の森田を中心
に戦闘力の高い選手が揃う
インターハイ愛知県予選で大成を食い、個人戦でもインターハイ代表枠を取り捲って前評判の高い同朋高、選手権ベスト8の大垣日大高(岐阜)、ドイツカデ大会の重量級王者月波光貴穂を擁する新田高(愛媛)は「穴のないチーム」枠。新田は積極性が出てきたという典型的超級選手の月波がどこまでの取り味を見せることができるかどうか、これ次第で非常に面白い。米澤夏帆、池絵梨菜と2人の1年生スターを擁する東大阪大敬愛高も好チームだ。


以上のような混戦にあって、敬愛に抗しうる可能性の最も高いダークホースとして挙げたいのがノーシード校の渋谷教育学園渋谷高(東京)。

明らかな「大駒1枚」チームであるがその大駒が皇后盃3位のシニア強化選手・朝比奈沙羅という最強カード。この1点だけで優勝候補の資格は十分だ。
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渋谷教育学園渋谷高。インターハイ東京予選では
淑徳高との競り合いを制して代表権を獲得した
重戦車をズラリと並べる敬愛に挑む大砲・朝比奈。心躍るこの構図の実現に多いに期待したい。

■組み合わせ

【1回戦~準々決勝】

[Aパート]
シード校:埼玉栄高(埼玉)
有力校:大成高(愛知)

埼玉栄と大成が5回戦で激突。この試合は非常に面白い。
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大成のエース、藤原恵美。
盤面に睨みを利かせるべく大将に座る
大成の大駒・インターハイ78kg超級2位の藤原恵美は取り味こそないが、受けの強さと圧殺の手堅さは全国随一。団体戦であれば超級のトップレベル相手でも少なくとも負けることは考えにくく、埼玉栄は藤原登場までに必ずリードを奪わなければならない。しかし大成も48kg級の近藤亜美に濱田早萌、63kg級の月野珠里ら軽量ながらハイレベルの選手を並べて一筋縄ではいかない相手だ。

埼玉栄は中堅に安、副将に小針を置いて主力を前にズラした好オーダー。この2人の仕事ぶりにベスト8進出がかかる。

[Bパート]
シード校:帝京高(東京)
有力校:南筑高(福岡)修徳高(東京)、同朋高(愛知)


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高校選手権優勝の埼玉栄
修徳と九州大会2位の南筑の対戦の勝者が同朋と戦う4回戦は、東海大会を制した同朋の全国における「器」が測られる試合。これに勝利したほうが5回戦で帝京に挑戦する。

同朋は戦力の厚さが売りだが、帝京も戦力の厚みと個々の戦闘力の高さが売り。修徳、同朋いずれが勝ち上がってもここは帝京優位と考える。

AパートとBパートの勝者が激突する埼玉栄-帝京の準々決勝は全く予断を許さない。全国高校選手権でも大揉めに揉めたカードだが、5人トータルの経験値とより戦闘的な選手を多く配する駒数で帝京優位、前4人に重心を置くという戦略性の高さと安の爆発力を計算に入れると埼玉栄優位ということになる。ただし面子を見る限り「名前」の比較では粒を揃えた帝京有利。埼玉栄は順行運転の試合展開ではやや厳しく、安と小針のポイントゲッターいずれかにキャパを超えるような仕事ぶりが求められるのではないか。まことに読めない試合だが、仮に帝京の勝利として稿を進めたい。

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松商学園のエース、津金恵
[Cパート]
シード校:松商学園高(長野)
有力校:木更津総合高(千葉)、東大阪大敬愛高(大阪)

松商学園の勝ちあがり濃厚。しかし東大阪大敬愛の米澤・池の1年生コンビが松商学園の津金・出口に食らいつく5回戦は非常にみものだ。

[Dパート]
シード校:敬愛高(福岡)
有力校:富士市立高(静岡)、長崎明誠高(長崎)、横須賀学院高(神奈川)

敬愛が圧倒的。高校選手権無差別3位の滝川真央を擁する富士市立高と対戦する4回戦は普通に考えれば山場になり得るが、この4回戦、そして長崎明誠と横須賀学院の勝者と対戦する5回戦、さらにCブロックの勝者松商学園と対戦する準々決勝といずれもが、おそらくは「敬愛強し」と会場がため息を発するような圧勝を見せ付けるのではないだろうか。逆に言えば、敬愛は上位対戦に向けて勢いをつけるべくその内容まで問われるステージ。

敬愛の勝ち上がり堅し、しかし富士市立の滝川、そして松商学園の津金と全国でも有数の「個」の力がどこまで敬愛を苦しめるかがみどころ、というところだろう。

[Dパート]
シード校:阿蘇中央高(熊本)
有力校:清水ヶ丘高(広島)

昨年王者の九州の雄・阿蘇中央の勝ち上がりに配慮したというわけではないだろうが、ここははっきり密度の薄いパート。もし梅木が欠場ということにでもなればここは大きな空白地帯、清水ヶ丘をはじめとする各校には上位進出の大チャンスが訪れる。

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大会随一の大駒、
皇后盃3位の朝比奈
[Fパート]
シード校:大垣日大高(岐阜)
有力校:沖学園高(福岡)、渋谷教育学園渋谷高(東京)、夙川学院高(兵庫)

隣のブロックとは異なり粒の揃った強豪が4つ配置されたパート。
勝ち上がり候補は渋谷教育学園渋谷。
パート全体としては大垣日大高-沖学園と渋谷教育学園渋谷-夙川学院という顔合わせになる4回戦が山場だ。

渋谷教育学園渋谷にとっては、強いが柔道は正統派という沖学園は比較的やりやすい相手のはず。逆に切る、持つ、掛けると繰り返す難剣遣いが揃う夙川学院戦は相性が悪く泥沼にはまりこむ可能性がある。朝比奈という唯一の絵札の体力をどこでどこまで消費させるのか。荻野香澄、柿沢史歩ら周辺戦力の奮闘に期待したい。

阿蘇中央-渋谷教育学園渋谷の対戦が予想される準々決勝は梅木真美が出場するかどうかの1点のみが焦点だが、負傷明けの梅木は例え出場叶ったとしても100%の力を出すことは望めない。ここは渋谷教育学園渋谷の勝ち上がりを推す。

[Gパート]
シード校:新田高(愛媛)
有力校:桐蔭学園高(神奈川)、淑徳高(東京)

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橋本朱未は本来の力を
大会屈指の大駒
ここも密度が高い。新田は初戦でうるさい鶯谷高(岐阜)との対戦があるが、大枠4回戦までは問題なく勝ち上がるだろう。

山本杏を擁する桐蔭学園高-淑徳高の4回戦は淑徳優位。補欠登録の田代が前に入って内尾真子と山本を相手にしてあとは橋本が抜きまくる、という絵は描きやすい。仮に田代が不在でも橋本が本来の力を発揮すればここは淑徳と見てよいだろう。

新田-淑徳は月波-橋本の大将勝負に試合が持ち込まれれば橋本優位。しかし新田は月波の前に中堅鈴木夏海、副将鶴岡来雪を置く堅陣を張っており、淑徳はこの5回戦のステージから田代出場の有無、もしくはその回復具合が厳しく問われることになる。不確定要素が多い対戦だが、ここは大駒橋本のクオリティを勝って淑徳を推しておきたい。

[Hパート]
シード校:宮崎商高(宮崎)
有力校:藤枝順心高(静岡)、鹿児島南高(鹿児島)

このパートもやや薄い。勝ち上がり候補は63kg級高校王者の松本千奈津を擁する宮崎商と鹿児島南高。藤枝順心は全日本選抜体重別で世界選手権王者の浅見八瑠奈(コマツ)を破った岡本理帆というスターがいるが、48kg級の選手1枚でこの厳しい金鷲旗を勝ち抜くのは難しい。
鹿児島南は78kg級九州2位の高山莉加、70kg級九州王者の榎谷有里を擁する強豪。しぶとく、かつ爆発力のある松本を擁する宮崎商業との対戦は予想が難しいが、サイズと、例年夏までに大きく選手の戦闘力が上がる傾向からここは鹿児島南を推しておきたい。いずれこのパートは「九州勢勝ち上がり」が前提とされる山だ。

準々決勝は淑徳が勝ち上がる、と仮に予想するが、G-Hパートは病める淑徳に、大型選手にも食らいつける松本を擁する宮崎商、堅陣の新田、戦力の厚い鹿児島南と本当に混戦で、勝敗はどうなるかわからない。

【準決勝~決勝】

これまでの予想をまとめると、準決勝は仮に、

帝京 - 敬愛
渋谷教育学園渋谷 - 淑徳

ということになる。
準決勝は面子も含めて不確定要素だらけということになるこの展望だが、事がここまで進めば決勝は
敬愛 - 渋谷教育学園渋谷

と予想したい。

これは前述の通り、高校柔道というカテゴリを突き抜けた大駒・朝比奈沙羅の「個」の力と、重量級のトップ選手をズラリとならべた敬愛の堅陣という非常に面白い構図の対決となる。

敬愛は1人でも多くの砲弾を残して朝比奈を止めに掛かりたい、一方の渋谷教育学園渋谷は少しでも敬愛の戦力を減殺しておいてから朝比奈を畳に送り込みたい。お互いの意図があまりに明確な前半戦は大きなポイントだが、「量」vs「個」というこの構図は抜き試合レギュレーションの妙味が一杯、どちらが勝利してもまことに金鷲旗らしい、面白い対決になることは間違いない。

「質・量を揃えた敬愛」の勝利か「戦力構成を超えた圧倒的な個」が伝説を作るのか。まことに楽しみである。

また、優勝候補の敬愛はともかくとして、ダークホース枠の渋谷教育学園渋谷が決勝にたどり着くには超えるべき山が非常に多い。他校の健闘、金鷲旗らしい熱い試合に大いに期待したい。


※eJudo携帯版「e柔道」7月20日掲載記事より転載・編集しています。

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