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日本実業団体対抗大会マッチレポート・女子第2部

2012年7月16日


※eJudo携帯版「e柔道」6月21日掲載記事より転載・編集しています。

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全日本実業団体対抗大会マッチレポート・女子第2部

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写真:準決勝、日本エースサポートの
石川笑美子が白石のどかを大内刈で攻める
女子第2部は先鋒57kg級、中堅70kg級、大将無差別という3人制団体戦で優勝を争う。

前回、前々回大会と圧勝と言って良い内容で優勝したフォーリーフジャパンが今大会はエース松本薫のロンドン五輪出場に向けた体制づくりのために欠場。

松本に立山真衣と国際クラスの選手をレギュラーに揃えた同チームの欠場で大きくレベルの落ちる印象となった今大会だが、その中を決勝に進んだのは優勝候補として評判の高かった2チーム。日本エースサポートとJR九州だ。

ベテラン石川笑美子を大将に据え、昨年学生体重別78kg級3位の相馬奈穂を70kg枠の中堅に、安定感のある広村麻衣を先鋒に配した日本エースサポートは1回戦で北関東警備保障を3-0で下す快勝スタート。準々決勝で仙台大柔道クラブを2-0で破ると、準決勝は優勝候補の一角のJR東日本女子柔道部と対戦、この大一番は1-1で迎えた大将戦で石川が白石のどかを内股返「一本」に仕留め、2-1で決勝進出を決めた。

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写真:準決勝、只野-石山の大将対決
一方のJR九州は78kg級学生王者の只野真梨枝、岡山商科大出身の野関晴菜、福岡大の古田恵莉といずれも新卒の若手で固めたチーム。初戦は秋田女子柔道会を相手に3-0の快勝、準々決勝はヤックスケアサービスを1対1の内容差で振り切り、実業王者石山麻弥率いる丸順との準決勝は石山登場までに2点先取というシナリオを完遂、古田、野関がいずれも固技「一本」で勝利し2-1で決勝進出を決めている。

決勝のオーダーは下記。

日本エースサポート - JR九州
(先)広村麻衣 - 古田恵莉
(中)相馬奈穂 - 野関晴菜
(大)石川笑美子 - 只野真利枝

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写真:決勝に臨む日本エースサポート
日本エースサポートは広村、相馬の前2枚、JR九州は大将の78kg級学生王者只野真利枝での得点を計算して戦いたいところだが、相対戦力を比較すると突出した力を持つ選手、確実に1点を計算できる対戦はなく、1試合1試合がそれぞれ勝負となってくる、戦前に勝敗のポイントを決めかねる一列横陣同士の会戦という印象。

前2枚はエースサポートが若干有利、JR九州の得点ポイントは大将戦が唯一だが、これはキャリアに勝る78kg超級のベテラン・石川がマッチアップするポジションで相手にとっても取りどころ。選手の格は石川が上で、事前に勝利を計算するのは難しい試合だ。

戦前に敢えてポイントを考えるのであれば、広村、相馬というエースサポート側の得点を担うべき2枚が、大将只野の得点を希望に我慢の効く試合を展開できるであろうJR九州の古田、野関を相手にしっかり加点することが出来るかどうかだ。一方のJR九州としてもギャンブルの薫り漂う大将戦の前に1点でも得点を挙げ、有利な背景を積み上げて只野を送り出したい。

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写真:広村が右袖釣込腰で古田を崩す
先鋒戦は広村、古田ともに左組みの相四つ。
広村は左一本背負投に右袖釣込腰、古田は左内股に組際の左大外刈と攻めるが、いずれも単発。試合は技数の割には決定的な場面が少ない、掛けては展開が切れる淡々とした「掛け合い」のまま推移。後半、試合を動かそうと広村が抱きつく場面もあったがこれは古田が左大腰に切り返して効果なし、古田の手順を飛ばした左大外刈も間合いを見切った広村があっさりいなし、両者ポイントなしのままこの試合は引き分けに終わった。

エースサポート側としてははここで「有効」ひとつでも奪えば、得点自体はもちろん、以後の盤面配置の心理的効果で一気に試合を決められる可能性があった。引き分けを志向したか、相手とリズムを合わせたかのような広村の試合運びはこの点物足りないものであったが、ここは新卒の古田の頑張りを評価すべきだろう。

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写真:中堅戦、相馬奈穂の圧力に
野関晴菜の頭が下がる
中堅戦は日本エースサポート・相馬、JR九州の野関ともに左組みの相四つ。
序盤は相馬が奥襟を叩いて野関の頭を下げさせ、これをいなすことから試合を始めざるを得なくなって展開で後手を踏んだ野関に1分46秒、片襟の「指導1」。
さらに相馬は奥襟を叩いてプレッシャーを掛け続け、2分39秒には「取り組まない」判断で野関に「指導2」が与えられる。

ここまでは完全な相馬ペース、試合はまずまず順当に進んでいたがこのリード以後相馬がおかしくなる。残り50秒までは体落、内股、大内刈と仕掛けて落ち着きを保っていたものの明らかに技が軽くなり、残り35秒で仕掛けた技は、自ら片手を離してもはや完全な手数志向。これに勢いづいた野関が大外刈、さらに下がった相馬に食いついての朽木倒と技を繋げると相馬は一方的にこれを受け続けて「指導1」を食ってしまう。

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写真:野関の押し込みに
相馬が耐え切れず転んでしまい
「有効」
それでもこの時点で残り時間は僅か15秒。追い込まれているのはビハインドを背負った野関のはずだが、野関が右引き手で相馬の右袖を押さえ、次いで釣手で奥襟を叩くと相馬はいなすことが出来ずにまっすぐ下がってしまい、野関の出足についていけずにバランスを崩す。ここに野関が胸を合わせて押し込み隅落「有効」、残り時間は8秒。

野関さらに抑え込みを狙い、胸を合わされたまま下になった相馬は絶体絶命の形となったがここで終了ブザー。相馬「指導2」、野関「有効」と取り合ってこの試合は引き分け。勝負の行方は大将戦に持ち込まれた。

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写真:大将戦、開始早々の石川笑美子の
体落に只野真利枝が
崩れ伏せる
大将戦はエースサポート・石川笑美子が右、JR九州只野真利枝が左組のケンカ四つ。
開始早々に釣り手で背中を叩いた石川の右体落に只野は派手に崩れ伏せ、どうやら地力では石川に軍配。只野も左体落を打ち返して対抗するが、背中を叩いて圧力を掛けてくる石川の勢いを止めることが出来ず、1分58秒「指導1」失陥。

良い時はやり方を変えない、とばかりにベテラン石川は釣り手で背中を叩いて圧力を掛ける作戦を徹底続行。直後の展開でも同じ形から只野を場外に弾き出し、続くシークエンスでも背中を持っての右体落で只野を膝から畳に伏せさせる。これを見た主審、2分14秒に只野に「指導2」宣告。

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写真:石川の圧力が良く掛かり、
只野は場外にはたき出される展開が続く
以後も石川は背中を持っての圧力と右体落という攻撃を続行。残り40秒を過ぎ、圧力を受けた只野が場外に向かって左背負落を仕掛けるがこれは待ち構えた石川に返しかけられて「待て」。只野はやや手詰まり。

しかし残り30秒を過ぎ、後のなくなった只野が左大内刈、左小外刈、左体落と必死の攻め。石川はこれを受け続けてしまい、残り15秒で石川に「指導1」。

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写真:石川が足を相手の膝裏に
当てて膠着を演出して試合終了
中堅戦の轍を踏むわけにはいかない石川、右の小外刈を只野の左膝裏に叩き込む。相手が下がった瞬間に踵に足をすべり下ろすであろうこの技に只野は止まったまま耐え続け、この膠着で時間を大きく消費。只野が左体落で展開をブレイク、これを石川が右体落で切り返して只野を伏せさせたところで試合終了。石川が「指導2」による優勢勝ちで逃げ切り、1-0で日本エースサポートが優勝を決めた。

日本エースサポート 1-0 JR九州
(先)広村麻衣×引分×古田恵莉
(中)相馬奈穂×引分×野関晴菜
(大)石川笑美子○指導2△只野真利枝

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写真:優勝を喜ぶ
エースサポートの選手たち
勝利の殊勲者は大将を務めた石川。力関係に勝ることを見て取り、自分の持ち札の中に有効な攻撃手段があると確認するや冷静にこれを繰り出し続けて、リスクなく勝利を決めてくる姿にはさすがベテランという貫禄があった。

しかし、ロースコアゲームで、かつ勝ったエースサポートのポイントが全て「指導」であったこと、そして相馬、石川とも逃げ切りを図ったところをつけこまれてあっさり「指導」を失ってしまったことで全体としてはやや締まらない試合、面白みに欠ける試合でもあった。

双方準決勝の大一番を乗り越えてきたばかりという事情はあったが、この決勝に、フォーリーフの圧倒的な陣容に他有力チームが挑戦し続けた前2大会のような緊張感はなし。

復興祈念大会と題されて行われた今大会には地元・北上の一般観客も多数訪れていた。勿論勝利にこだわることは選手としての絶対条件ではあるが、この決勝が観客にとって競技としての説得力を持つ、女子柔道の魅力をアピールできるような位相に到達できなかった、到達できる匂いが漂わなかったことは少々残念だ。本来チャンピオンチームに必要なものを満たさないまま優勝した印象さえ残る、というのは言いすぎであろうか。

これは決勝を戦った両チームのクオリティ云々ではなく、女子2部というカテゴリの層の薄さにもその因を帰すべきであろう。選手たちの頑張りは間違いなく素晴らしいものがあったが、女子の強豪選手が柔道を続けていけるだけの環境の少なさ、安心して稽古を続けられるポジションの少なさ、トップ選手の充実振りと裏腹の、競技として、生涯スポーツとしての「女子柔道」の層の薄さが改めて感じられる大会でもあった。

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写真:初優勝の日本エースサポート
日本エースサポート・壹岐知則監督のコメント
「初戦から強い相手ばかりでこれはきついかな、と思っていましたが選手が良く頑張りました。これまで2位、3位が続いたので優勝できてうれしいです。ひとつ優勝して、これで歴史にも残る。人生のいい記念になるじゃないかと選手にも話そうと思います。1回戦で相馬が肩鎖関節を亜脱臼してしまい、テーピングで固定しての強行出場でした。決勝は優勝候補が相手でしたが、取った石川はもちろんしっかり引き分けてくれた前2人、特に怪我を押して引き分けてきた相馬が隠れたヒロインだと思います。」

【入賞者】
優勝:日本エースサポート
2位:JR九州
3位:JR東日本女子倶楽部、丸順

優秀選手賞:石川笑美子(日本エースサポート)、広村麻衣(日本エースサポート)、野関晴菜(JR九州)

【1回戦】
仙台大柔道クラブ 1-0 日光警備
日本エースサポート 3-0 北関東綜合警備保障
JR東日本グループ 3-0 京都医健専門学校
日本生命○不戦△東京消防庁
ヤックスケアサービス 3-0 K.Ksports
JR九州 3-0 秋田女子柔道会
立川拘置所 3-0 米田柔整専門学校

【準々決勝】
日本エースサポート 2-0 仙台大柔道クラブ
JR東日本グループ 2-0 日本生命
JR九州 ①-1 ヤックスケアサービス
丸順 2-0 立川拘置所

【準決勝】
JR九州 2-1 丸順
(先)古田恵莉○上四方固(2:32)△東美穂
(中)野関晴菜○縦四方固(1:29)△松井陽子
(大)只野真利枝△合技(3:08)○石山麻弥

日本エースサポート 2-1 JR東日本女子柔道部
(先)広村麻衣○優勢[指導2]△上原円
(中)相馬奈穂△反則勝(3:30)○大住有佳
(大)石川笑美子○内股返(2:06)△白石のどか

【決勝】
日本エースサポート 1-0 JR九州
(先)広村麻衣×引分×古田恵莉
(中)相馬奈穂×引分×野関晴菜
(大)石川笑美子○指導2△只野真利枝



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