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全日本実業団体対抗大会マッチレポート・男子第1部

2012年6月27日


※eJudo携帯版「e柔道」6月15日掲載記事より転載・編集しています。

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全日本実業団体対抗大会マッチレポート
男子第1部 (上)


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写真:開会式の様子。
全カテゴリ合わせて106のチームが集った
団体戦で社会人の柔道日本一を争う全日本実業団体対抗大会は6月2日に北上総合体育館(岩手県・北上市)で開幕、最終日となる3日は最高峰カテゴリである男子第一部の競技が行われた。

一部に参加を許されたのは12チーム。最有力候補は高井洋平、西潟健太に百瀬優とベテラン、中堅、若手それぞれにポイントゲッター格の選手を揃えて分厚い戦力構成の旭化成。絶対のエースがいるわけではないがどこからでも点が取れるメンバーを揃えて充実の陣容だ。
これを追うのが五輪代表14人の中で唯一今大会に出場する上川大樹という大駒を擁する京葉ガス、上り調子の石井竜太と立山広喜という超級の強豪2枚を持つ日本中央競馬会の2チーム。さらに高橋和彦をエースに据え、吉永慎哉らしぶとい選手を揃えて3連覇を狙う新日本製鐵とベテラン生田秀和、業師小林大輔らを擁するALSOKがここに食い込んでくるというのが戦前の展望だ。

五人制、毎試合ごとのオーダー変更自由というレギュレーションで行われるこの大会は人員配置も結果を左右する大きなポイント。2連覇中の新日本製鐵はこの点毎年非常に巧みな戦力運用を行ってきたが、今回は京葉ガスが新加入の上川という日本屈指のタレントをどう生かすか、これが大きなみどころ。

■1回戦~2回戦

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写真:1回戦、ALSOKのエース
生田秀和の豪快な内股「一本」
新日本製鐵、日本中央競馬会、旭化成A、旭化成Bの4チームはシードされて1回戦はなし。1回戦、優勝戦線に絡むと目されるチームの中では京葉ガスが登場し東芝Bを5-0、ALSOKが東洋水産を5-0とともに快勝でベスト8へ駒を進めた。

【1回戦結果】
京葉ガス 5-0 東芝B
ALSOK 5-0 旭化成B
ダイコロ 3-2 日本通運
センコー ①-1 東芝A

出揃ったベスト8は新日本製鐵、京葉ガス、旭化成B、ALSOK、日本中央競馬会、ダイコロ、旭化成A、センコーという顔ぶれ。

この2回戦最大の注目対決は、京葉ガスが連覇中の新日本製鐵と早くも激突したこの一番だ。

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写真:新日本製鐵は
齋藤俊の上四方固「一本」で先制
京葉ガス - 新日本製鐵
(先)手塚龍大 - 齋藤俊
(次)須藤紘司 - 高橋和彦
(中)花本隆司 - 小野勇輝
(副)上川大樹 - 吉永慎也
(大)河原正太 - 松宮広

京葉ガスの上川大樹には吉永慎哉、新日本製鐵の高橋和彦には須藤紘司とそれぞれのポイントゲッターに重量級の強者を殺すのが得手の試合巧者がマッチアップ。まずこのエース2人がしっかり仕事が出来るかどうかが試合のポイント。

京葉ガスはファイター花本とベテラン河原が相手の弱点位置に配され、星勘定的にはやや有利。新日本製鐵は先鋒の齋藤が取り役だが、ここには同階級の強者手塚龍大が配され、仕事の難易度は上記の2人よりはっきり上。盤面配置は京葉ガスが有利だ。

この試合はその困難な先鋒戦を齋藤俊が手堅く技を積み重ねて戦い抜き、最後はキッチリ上四方固「一本」で取り切って新日本製鐵が先制。

幸先良いスタートを切った新日本製鐵だが、次鋒戦は得点必須のはずの高橋和彦が須藤紘司に完封されてしまう。1分21秒の「指導1」以外にポイントを挙げることが出来ずこの試合は引き分け。

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写真:組み手と足技で
辛抱強く攻め続けた上川大樹
京葉ガス 2-1 新日本製鐵
(先)手塚龍大△上四方固(2:29)○齋藤俊
(次)須藤紘司×引分×高橋和彦
(中)花本隆司○背負投(2:06)△小野勇輝
(副)上川大樹○優勢[指導2]△吉永慎也
(大)河原正太×引分×松宮広

上川は煮え切らない試合ぶりであったが、大物食いの得意な吉永は上川の圧力と足技のみという超安全運転の前に逆に勝負どころを作り出せず、懐深くもぐりこむ得意の攻めを繰り出すタイミングのないままあっさり敗退。

最重量級の五輪代表という柔道界の番付最上位を張る上川の、軽量の、それも現在は強化選手から漏れている選手からの「指導2」勝利という結果をどう捉えるか。
とにかく覇気のなさがクローズアップされる上川だけに、これが果たして団体戦を踏まえた戦略的な試合なのか。はたまた「一本」を取れなかった落第点の試合と考えるべきか会場内でも評価の分かれる一戦であった。しかし、少なくとも相手がリスクを犯して攻め込んでくる、そのヤマ気に付け込んで試合を優位に進めるタイプの吉永にとってもっとも嫌な戦い方であったことだけは確かだ。

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写真:旭化成は大将の高井洋平も
引き分け、1-0の辛勝
ALSOK 3-0 旭化成B
(先)小林大輔×引分×木村純
(次)熊代佑輔○払巻込(1:45)△西田泰悟
(中)生田秀和○優勢[指導2]△野田嘉明
(副)今井敏弘○大外刈(1:59)△辻玄太
(大)法兼真×引分×田中貴大

ALSOKは旭化成Bに対して3-0と大差の勝利。旭化成Bの取りどころとなるべき木村純、野田嘉明に対しそれぞれ小林大輔が引き分け、生田秀和が「指導2」の優勢勝ち。得点すべき位置に配された熊代佑輔と今井敏弘がしっかり一本勝ちして隙のない試合ぶりだった。

旭化成A 1-0 センコー
(先)吉田優也×引分×杉淵雄太朗
(次)百瀬優×引分×石本光樹
(中)西潟健太○払巻込(3:12)△武井寛明
(副)増渕樹×引分×駒瀬雅洋
(大)高井洋平×引分×沼田貴廣

今期から1部に昇格したセンコーが大善戦。スター軍団を相手に4戦引き分けという粘りの試合を繰り広げたが、旭化成・西潟健太を相手に失った一点を取り返すだけの得点力はさすがになく、1-0で苦杯を喫した。
これが初戦の旭化成はまだエンジンが掛かり切らず。次戦以降に課題の残る1戦だった。

日本中央競馬会 3-1 ダイコロ
(先)池田賢生○腕緘(2:15)△反中佑起
(次)長島啓太×引分×合田良太
(中)石井竜太○隅返(0:50)△井原徹也
(副)立山広喜△優勢[指導2]○稲葉将太
(大)佐藤充弘○優勢[指導2]△吉薗勇太

日本中央競馬会は順当勝ちも、副将の立山広喜が稲葉将太に敗れるという失態。昨年この大会の決勝で石井竜太を押し退け、志願して代表戦に出場しながら不甲斐ない試合であっさり勝利を逃した立山だが、あの代表戦同様我慢のきかない試合振りで、チームの一体感が最重要となる団体戦で一人波に乗り遅れてしまった形。これも次戦以降に大きな課題を残す一番だった。

結果決まった準決勝のカードは、

旭化成 - 日本中央競馬会
京葉ガス - ALSOK

となった。

■準決勝

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写真:吉田優也と山本宣秀という
好選手同士がマッチアップした先鋒戦
準決勝第1試合は事実上の決勝とでもいうべき好カード。
昨年決勝で代表戦に縺れ込む激戦の末2位に終わった日本中央競馬会と旭化成が激突する一戦だ。

旭化成 - 日本中央競馬会
(先)吉田優也 - 山本宣秀
(次)百瀬優 - 池田賢生
(中)西潟健太 - 片渕慎弥
(副)大鋸新 - 石井竜太
(大)高井洋平 - 佐藤充弘

ところが開示されたオーダーの中に日本中央競馬会のポイントゲッター、立山広喜の名前がない。片渕慎弥、山本宣秀とこの試合から強豪2枚を投入してはいるものの、立山不在は明らかに戦力ダウン。

目下絶好調の石井竜太が配される副将戦は日本中央競馬会の得点を織り込むとして、旭化成は次鋒戦、次いで大将戦が得点ポイント。ここは2人で1点、もしくは2点を考えていいはず。双方この3戦でしっかり点を積み上げあうとしてその場合スコアは小差、もしくはタイ。星勘定的には強豪同士がカチ合う先鋒戦、中堅戦の2試合が試合のカギを握るはずだ。

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写真:山本の手指負傷は重傷、
ドクターストップで無念の棄権となる
先鋒戦は旭化成の新入部員・吉田優也と日本中央競馬会・山本宣秀による90kg級の強豪対決。
この好カードは意外な形で決着。1分21秒、場外際で回り込もうとした山本に吉田が出色の動き出しの良さで強烈な送足払。鋭い一撃に山本の両足は完全に畳を離れて宙を舞い、しかし辛うじて身を捻って畳に激しく落ちる。
「一本」にならなかったのが不思議なほどの強烈な一撃だったが、これは山本の身体能力が勝りノーポイント。しかし山本はこの回避行動と引き換えに負傷。落ちた左手指を開放脱臼、骨がむき出しの状態では試合続行は叶わず無念の棄権となり、旭化成がまず1点を先制した。

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写真:次鋒戦の最終盤、
百瀬優が大内刈を押し込んで「技有」奪取
次鋒戦は旭化成・百瀬優に日本中央競馬会の池田賢生がマッチアップ。全日本選手権で3位に入ったばかりの巨漢・百瀬が有利と思われたこのカードだが、池田は右一本背負投を駆使して攻め続け、百瀬は序盤片襟の「指導1」を貰ってしまいなかなか詰め切れない。ようやく池田に「指導1」が与えられた時には既に残り時間30秒、もはや引き分けが濃厚だったがここで池田が痛恨のクロージングミス。残り3秒、自身の攻撃姿勢で相手の技を封じようと明らかに見せ技の右大外刈に足を伸ばしたところに百瀬の右大内刈が炸裂、「技有」となる。もちろん試合はこのまま終了、旭化成が早くも2-0と大きなリードを奪った。

こうなると流れは完全に旭化成。中堅西潟健太は長身を利して短躯重量の片渕慎弥の奥襟を叩いて試合を優位に運び、残り43秒、もつれたところから左釣り手で脇をガップリさして片渕の体をキャッチ、反時計回りにクルリと回して浴びせ倒し「一本」。前3人で3-0という大量リード、早くも試合の勝利を決めた。

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写真:石井竜太は遠間から一足で
右大外刈、豪快に決めて「一本」
日本中央競馬会は副将石井竜太が大外刈「一本」で一矢を報いたが時既に遅し。旭化成は大将の高井洋平がリスクなく試合を運んで試合をまとめて引き分け、3-1の大差で決勝進出を決めた。

旭化成 - 日本中央競馬会
(先)吉田優也○負傷勝(1:21)△山本宣秀
(次)百瀬優○優勢[技有・大内刈]△池田賢生
(中)西潟健太○隅落4:32)△片渕慎弥
(副)大鋸新△大外刈(3:56)○石井竜太
(大)高井洋平×引分×佐藤充弘

敵方の大駒・石井登場を待たずに前3人で一気に勝負を決める、旭化成にとっては理想的な試合だった。

一方の日本中央競馬会はなんと言っても立山の欠場が痛かった。これは前戦の敗戦後に指の腫れを申告した立山に賀持道明監督が「ならば下げる」と怒りの欠場指令を下したという経緯が判明。
この準決勝は立山の欠場、山本の負傷と柔道の内容以外のところで出来てしまった悪い流れを押し留められず、為す術がなかった印象。石井竜太の躍進、来期の有望選手獲得決定と好材料が多いはずの畳外の状況とは裏腹の、雰囲気の悪い試合となってしまった。

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写真:準決勝に臨む京葉ガスチーム
京葉ガス - ALSOK
(先)手塚龍大 - 小林大輔
(次)上川大樹 - 法兼真
(中)林立峰 - 生田秀和
(副)須藤紘司 - 今井敏博
(大)花本隆司 - 熊代祐輔

この試合は京葉ガスにとっては上川大樹が登場する次鋒戦、ALSOKにとっては生田秀和が畳にあがる中堅戦が明らかな得点ポイント。
ここでの得点を織り込んで、好選手同士がマッチアップする副将戦と大将戦でどちらが点差をつけるかが勝敗を分けるという盤面配置。先鋒戦はALSOKがやや有利で、よって盤面配置上は小差ながらALSOKに軍配があがる印象。

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写真:上川大樹が
右大外刈から押し込んで「一本」
先鋒戦は京葉ガスの手塚龍大が袖を殺して組み手を開始、さらに一本背負投で相手の裏に抜けて寝技、と凌ぐ試合を志向したテクニックで試合を組み立てるが、ALSOK・小林大輔は得意の内股を中心に我慢強く攻め続け、残り1秒で「指導2」を積み上げて試合終了。最低限の仕事は果たし、優勢勝ちでALSOKが1点先制。

次鋒戦は京葉ガスの上川大樹がケンカ四つの法兼真に送足払、内股と冷静に攻め続けて残り50秒で「指導3」まで奪取。終盤、場外際に追い詰められてやや焦った法兼が左出足払を放った戻りに合わせて大外刈一閃、刈り足は途中で抜けたものの上体の決めが強く、そのままグシャリと押し込んで「一本」。上川らしいパワフルな技でスコアは1-1、内容差で京葉ガスがリード。

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写真:生田秀和が
豪快な右内股を決めて「一本」
中堅戦はALSOK・生田秀和を相手に林立峰が大善戦。どころか49秒には背負投で「有効」を得て会場を大いに沸かすが、2分25秒に生田の右内股が炸裂。いかにも生田らしい、美しく豪快な一撃は文句なしの「一本」。ALSOKが2-1でリードというスコアで試合は大将戦に引き継がれる。

大将戦は京葉ガスが花本隆司、ALSOKは熊代祐輔という強豪同士の対決。引き分けならばALSOKの勝利決定、花本は「技有」以上の勝利で逆転が叶う。

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写真:最終盤、
花本は深く右背負投に飛び込むが
これは「有効」に留まる
花本右、熊代左組みのケンカ四つ。熊代は釣り手で奥襟、引き手で前襟をつかんで腹を出して圧力をかけてくるが、花本はこれを縫って右背負投を連発。熊代この技をまたいで受けてしまい、機と見た花本は熊代を前に叩き落しながら回して「有効」、1分41秒。

このまま試合を終えれば代表戦だが花本は妥協せずに攻め続け、残り23秒に再び右背負投。熊代またもやまたぐところまで侵入を許し、激しく畳に落とされる。「技有」があってもおかしくないところだったが主審の判定は「有効」。悲鳴と怒号が交錯する中試合は終了、花本の「有効」優勢勝ちにより双方のスコアは1つの「一本」と1つの「有効」優勢でまったくのタイ。勝敗は代表者1名による決定戦にもつれ込むこととなった。

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写真:代表戦、上川が生田を
豪快な払腰「一本」に仕留める
代表戦は京葉ガスが上川大樹、ALSOKが生田秀和という予想通りのエース対決。
上川、生田ともに右組みの相四つ。
上川は送足払を中心に慎重な攻め、一方の生田は右内股を繰り出して積極的に攻める。
1分を過ぎ、上川が腰を切って前技のフェイント。反応した生田が右大内刈を仕掛けると上川は生田の掛け脚を抜いて体を切り返しながら鋭い右払腰。自身の前に出る勢いを利用された生田全く抗えずあっという間に畳に叩き落され豪快な「一本」。京葉ガス、大物新人上川の力を余すことなく使って決勝進出決定。

京葉ガス ②代-2 ALSOK
(先)手塚龍大△優勢[指導2]○小林大輔
(次)上川大樹○大外刈(4:48)△法兼真
(中)林立峰△内股(2:25)○生田秀和
(副)須藤紘司×引分×今井敏博
(大)花本隆司○優勢[有効]△熊代祐輔
(代)上川大樹○払腰(1:04)△生田秀和

この試合の殊勲者はもちろん上川だが、ふた階級上の100kg級でシニアの国際大会の経験もある熊代をしっかり2回投げて代表戦のおぜん立てをした花本の活躍も見逃せない。昨秋は五輪代表候補のダークホースとして関係者の評判も高かった花本、この日は全試合通じて非常に動きが良く、久々の本領発揮という印象だった。

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