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全日本柔道選手権マッチレポート 1回戦~準々決勝

2012年5月18日


※eJudo携帯版「e柔道」4月30、5月1日掲載記事より転載・編集しています。

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全日本柔道選手権マッチレポート
1回戦~準々決勝 1/4


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写真:開会式。独特の緊張感の中、
選手宣誓は加藤博仁が務めた
体重無差別で柔道日本一の座を競う全日本柔道選手権は今年も4月29日「みどりの日」に東京・日本武道館で行われた。

大会の焦点はまず昨年復活優勝を遂げた鈴木桂治(国士舘大教)の連覇なるか、そして鈴木とともにロンドン五輪100kg超級代表選考レースの渦中にある上川大樹(京葉ガス)、高橋和彦(新日本製鐵)による優勝争いだ。

さらに昨年講道館杯100kg超級を圧勝で制し、この全日本で上記3人を一気に凌がんとする上り調子の新鋭・石井竜太、全日本一本に絞って執念の稽古を積んできたベテラン棟田康幸の2人が優勝に絡むか、昨年棟田を倒して今年も関東地区予選を連覇してきた勝負師・加藤博剛(千葉県警)と数字上は五輪代表への挑戦権を保持する若武者・羽賀龍之介(東海大3年)、超級のホープ候補で昨年会場を大いに沸かせた七戸龍(九州電力)らの活躍ぶりが大会のみどころ。

オリンピックイヤーということもあり多数の報道陣が詰め掛け、中継局のNHKも今年は2回に分けて生中継を実施する気合の入れよう。緊張感に包まれる中、最年長の加藤博仁(千葉県警)選手の選手宣誓で大会はスタート、熱戦の火蓋が切って落とされた。

1回戦

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写真:1回戦、増渕樹は
飯田健伍を払腰「一本」で一蹴
1回戦は5試合。天皇杯に絡むと目された選手らの登場はなし。
注目を集めたのは昨年インターハイ100kg超級を制した新鋭飯田健伍(山梨学院大1年)が九州地区予選王者の強豪・増渕樹に挑んだ一戦。
この試合は飯田、増渕ともに左組みの相四つ。初出場の飯田が前に出ようとするが、23秒に増渕が組み際の左足車で大きく飯田を浮かせて攻勢。2分3秒、場外際での飯田の左大外刈を増渕が左払腰で鋭く切り返すと飯田ゴロリと回転、一旦技は止まったが、増渕キメよくそのまま巻き回して飯田の背中を着かせて「一本」。
飯田がらしさを見せたのは1分すぎに増渕の腰を切る牽制に度胸良く掬投で反応して伏せさせた場面のみ、増渕が格の違いを見せつけた試合だった。

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写真:1回戦、上坂正語が右体落に
体を捨て、榎本収は捌き切れずに
「有効」失陥
最軽量選手として注目された四国地区王者、73kg級の榎本収(新田高教)は90kg級の上坂正語(大阪府警)と対戦。
相四つ、中量級の上坂に徹底的に釣り手を落とされて力を発揮できず。1分22秒に上坂が組み際に放った、釣り手で榎本の右袖を押しこむ右体落で「有効」失陥、終盤は得意の背負投に果敢な大外刈も交えて追撃したが及ばず、優勢負けで全日本への挑戦を終えた。

ほか、海老泰博(旭化成)-川瀬孝司(岐健)戦は、川瀬が再三右片襟を握った背負投で深く海老の懐に侵入して有効打を放ったものの海老が手数でこれを振り切って僅差3-0で勝利。

意外にも全日本初出場の野田嘉明(旭化成)は同じく初出場の木下泰成(兵庫県警)と対戦、相四つの木下が右小外刈から背中をまるめてかぶりこんだところをそのまま右一本背負投の形で前に落とす(公式記録は浮落)巧みな技で「有効」を奪って優勢勝ち。

同じく初出場の中山将男(大阪府警)も出場2回目の増田圭省(静岡県警)を僅差3-0で下して全日本選手権初勝利を挙げている。

1回戦の結果は下記。

【1回戦結果】

海老泰博○優勢[僅差3-0]△川瀬孝司
上坂正語○優勢[有効・体落]△榎本収
増渕樹○払腰(2:03)△飯田健伍
中山将男○優勢[僅差3-0]増田圭省
野田嘉明○優勢[有効・浮落]△木下泰成

2回戦

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写真:鈴木桂治が膝車で増渕樹を崩す。
「指導3」まで奪う圧勝だった
2回戦はいよいよシード選手が登場。まずは有力選手の勝ちあがりを追ってみたい。
鈴木桂治は初戦にして強豪増渕樹とマッチアップする大一番。
双方左組みの相四つ、両者とも両襟を握って釣り手で奥襟を叩く。しかし鈴木が地力に勝るため、増渕は鈴木の釣り手を顎で噛み殺し、頭を下げて横変形の形にズレて圧力を逃がさざるを得なくなる。良くも悪くもガップリ持って組み勝たないと持ち味の出ない増渕は苦しい戦いが続き、1分31秒に鈴木の放った膝車を受けて場外に向けて伏せたところで「指導1」、3分37秒に「指導2」、4分16秒にも鈴木の突進の前にあっさり畳を割って「指導3」と立て続けにポイントを失う。
直後、増渕は鈴木に圧を掛けられた苦しい体勢から左払腰を試みるがこれは回転のための隙間がほとんどなく、待ち構えた鈴木が小外掛で畳に叩きつける。場外の技でノーポイントではあったがこれで反撃のモチベーションを殺された増渕、以後は組み手争いで鈴木の攻撃をいなすのみで攻撃の機会を掴めずタイムアップ。
地力で追い詰めてポイントを積み上げ、苦しくなった相手の自滅を狙う。鈴木、一本勝ちでこそなかったが手堅い試合振りで隙を見せず、しっかり初戦を勝ち抜いた。

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写真:上川大樹は
小外刈「技有」で総合勝ちを決める
上川大樹は上坂正語と対戦。上川、中量級の上坂の組み手争いを封じるべくスタスタと前に歩んで無造作に距離を詰め続けると、1分13秒、1分57秒と上坂あっさり畳を割ってそれぞれに「指導」。上川、以後も相四つの上坂に闇雲な圧力は掛けず、左で引き手、右で前襟という嫌な距離で上坂を棒立ちにさせるとから足技のみを繰り出し続けて追い詰め、3分56秒ついに上坂に「指導3」が宣せられる。
残り9秒、窮した上坂の場外際での右体落を上川は小外刈で振り返す。上坂が手を突いたところを押し込むとこれが「技有」となって上川の総合勝ちが決まった。
上川はまだエンジンが掛かりきらない印象ではあるが、これも鈴木同様手堅い試合ぶり。隙を見せることなく3回戦進出を決めた。

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写真:高橋和彦は完璧な試合。
野田嘉明を左払腰に切って落とす
短躯の試合巧者・野田嘉明とマッチアップした高橋和彦はケンカ四つの相手に両襟で圧を掛け続けて攻勢。3分28秒、高橋がガッチリ寄せて野田の首を固定すると、一旦は応じて高橋の首を釣り手で横抱きにして寄せ合いに応じた野田、数秒の膠着の後、状況を打開すべく右小内刈に打って出る。しかしこれを待ち構えた高橋が左払腰に切り返して豪快な「一本」。
状況を作り上げ、逃れようとする相手の仕掛けを誘って取りきった高橋、己の地力の高さを前提とした見事な組み立てで初戦を突破した。

棟田康幸は遠藤剛(北海道警)と対戦。左相四つの遠藤の釣り手を絞って前に出ては圧力を掛け、距離の詰まったところから得意の支釣込足を仕掛けて攻勢、4分40秒までで「指導3」までを奪取する。残り48秒では遠藤が左大外刈から体を巻き捨てるところに合わせて逆側に体を捨てて「有効」も追加、余裕の「指導3」優勢で初戦を突破した。
一本勝ちでこそなかったが、往年の弾むような身のこなし、相手が切った瞬間、離れた瞬間も常に先んじて前への一歩が出る動きの軽さが見られ、調整の充実振りの伺われる初戦であった。

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写真:石井竜太は開始早々の「一本」。
「礼」の瞬間から気迫が違った
上位陣がおしなべて慎重な試合ぶりを見せた初戦にあって持ち味を発揮したのが石井竜太。 中山将男を相手に組み手争いすらさせず、組むなりの豪快な右内股で「一本」、僅か14秒。実力から推し量れば結果自体は驚くべきものではないが、その集中力、一太刀で相手の首を刈り取る気迫のすさまじさに会場は大いに沸いた。

加藤博剛は学生時代から癖のある試合ぶりとパフォーマンスで名を売った初出場の長尾翔太(兵庫県警)と対戦。
開始早々の21秒に組み手争いの中から両手で相手の左袖を握った左背負投「技有」、1分17秒にまたもや左背負投「有効」と圧倒し、3分17秒には気持ちの切れた長尾の左小内刈を透かし、立ち上がり際に両袖、両脚を使った巴投。突いて耐えた長尾の右手を掬い上げるように横にコントロールしてで放り投げ「一本」。内容、結果とも文句なしの初戦だった。
長尾は組み手争いの中一瞬相手に背中を見せて回転し会場を沸かせる場面があったのみで、全く持ち味を出すことが出来ないまま初の全日本を終えた。

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写真:七戸龍は苦しみながらも
ワンチャンスを生かして大内刈「一本」
身長193cm、体重も112kgに増量して迫力の増した七戸龍は同じく長身、185cmの猪又秀和(東京学館新潟高教)と対戦。この対戦は右相四つの猪又が徹底して引き手側から襟を突いて七戸の力を出させず、七戸が妥協して釣り手から持った1分半過ぎに右内股に右片襟大外刈と技を集中して2分2秒に「指導1」奪取、さらに3分7秒には「指導2」まで奪って七戸は窮地。
しかしここから奮起した七戸、引き手で袖、釣り手で奥襟を持つ万全の形を作ると腰を切って一瞬相手を牽制、長い足を伸ばして右大内刈に飛び込んで豪快な「一本」。なんとか初戦を突破した。
七戸、初めて万全の形を得たファーストチャンスを逃さず「一本」を取りきってその技の威力を見せ付けた一方、組み手の引き出しのなさが目立った試合でもあった。

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写真:羽賀龍之介は苦しい体勢から
も内股を仕掛けて試合展開をキープ
鈴木-増渕戦に次ぐ2回戦屈指の好カード、羽賀龍之介-西潟健太(旭化成)の試合は辛くも羽賀が勝利。
両者左組みの相四つ。羽賀が両手で突いて立ち位置をズラしているのにも関わらず西潟のリーチは羽賀の奥襟をあっさり捕らえ、戦前の予想通り圧力に勝る西潟が試合を引っ張る。
しかし羽賀は臆せず、隙間のないところから果敢に左内股を仕掛ける。2分すぎには両襟を握ってステップを切っての左小内刈、左内股と連続攻撃。組み手で優勢を続ける西潟も左大外刈で攻め続けて譲らず。2分40秒からの、西潟が奥襟を叩いたところから羽賀が左大内刈、左小内刈、左内股と連続して攻め、これを西潟が圧力で場外に叩き出したというシークエンスがこの試合の構造の典型で、西潟優位であわや「指導」かというところを逆に羽賀が手数で自らの山場に変換して「待て」を貰うという場面が数度続く。

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写真:残り30秒、
羽賀の左内股で西潟が伏せ、
審判の評価は羽賀優勢に固まる
しかし西潟の圧力がジワジワと羽賀を侵食、コントロールに勝る西潟がやや優位のまま試合は終盤戦。このままいけば旗は西潟というところだったが、羽賀は残り30秒に思い切った左内股で西潟を伏せさせる大きな印象点。しかも羽賀はそのまま相手を立たせず横三角に移行、相手の頭をロックしたまま終了ブザーを聞く。
この終盤の攻防が効き、旗は3本が羽賀に揃う。
西潟のクロージングミスとも言える試合であったが、それ以上に羽賀の試合展開を見る目、そして劣勢に怖じずに攻める勇気とこれを可能にする技術的の高さが印象的な一戦であった。

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写真:高井洋平が手詰まりとなった
齋藤俊を左内股「一本」に仕留める
昨年3位の高井洋平は中量級の強豪斎藤俊(新日本製鐵)と対戦。捌きの巧みな齋藤に積極的に仕掛けることで展開を握り、2分11秒には左内股、ケンカ四つの齋藤が引き手を切ろうとしたその姿勢のまま固定して腰に乗せて投げきり「有効」奪取。さらに「指導2」まで奪って齋藤が手詰まりになった4分26秒、両襟を握った左内股一閃で「一本」。集中力と積極性、高井も非常に良い内容で初戦を突破し、3回戦で山場の棟田康幸戦を迎えることとなった。

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写真:生田秀和は持ち味の技の切れ味を
見せつけ開始早々の右内股「一本」
ほか、「全日本の門番」生田秀和(ALSOK)は開始37秒、釣り手で右片襟を差したところから実に生田らしい鮮やかな右内股で初出場の西田勇生(天理大3年)を放り投げて一本勝ち。

悲願の初出場を果たした西村久毅(敦賀高教)は野島恒久(福島県警)を終了間際の左払巻込で潰し投げて一本勝ち。

仲田直樹(仙台大職)は両手を絞ってくる平尾譲一(パーク24)の変則柔道に苦しみ、主導権を握るが試合は拮抗。平尾が頭を下げすぎたことで評価が傾き僅差2-1でなんとか勝ち抜けを決めた。

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写真:香川義篤は海老泰博を
踏み潰す勢いで圧倒。
腕挫十字固で一本勝ち
香川義篤(岡山県警)は海老泰博をパワーで弾き返し続け、海老の左背負投を潰して腕挫十字固で一本勝ち。

百瀬優(旭化成)はファイター岩田勝博(兵庫県警)の持ち味を殺し続けて「指導2」奪取、これも非常に百瀬らしい試合で3回戦へ。

加藤博仁(千葉県警)は大藤尚哉(警視庁)から「指導2」奪取、逆転を狙った大藤が小外掛で体を捨てるところを浴びせ返して隅落「一本」で勝利。

初出場の中村嘉宏(北海道警)は73kg級の形部安彦(香川県警)から背負投「一本」を奪い嬉しい全日本選手権初勝利を挙げている。

2回戦結果は下記。

【2回戦結果】

棟田康幸○優勢[指導3]△遠藤剛
高井洋平○内股(4:26)△齋藤俊
加藤博剛○巴投(3:17)△長尾翔太
香川義篤○腕挫十字固(3:10)△海老泰博
七戸龍○大内刈(3:38)△猪又秀和
百瀬優○優勢[指導2]△岩田勝博
仲田直樹○優勢[僅差2-1]△平尾譲一
上川大樹○総合勝(5:51)△上坂正語
西村久毅○払巻込(5:26)△野島恒久
羽賀龍之介○優勢[僅差3-0]△西潟健太
生田秀和○内股(0:37)△西田勇生
鈴木桂治○優勢[指導3]△増渕樹
加藤博仁○隅落(5:20)△大藤尚哉
石井竜太○内股(0:14)△中山将男
中村嘉宏○背負投(1:54)△形部安彦
高橋和彦○払腰(3:28)△野田嘉明


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※eJudo携帯版「e柔道」4月30、5月1日掲載記事より転載・編集しています。

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