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全日本柔道選手権展望

2012年4月27日


※eJudo携帯版「e柔道」4月26日掲載記事より転載・編集しています。

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全日本柔道選手権展望

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写真:今年は五輪イヤー。
代表争いに注目が集まる
体重無差別で柔道日本一を争う平成24年全日本柔道選手権は29日、日本武道館で全国各地区から選出された精鋭37名が参加して行われる。

天皇杯の行方はもちろんこと、五輪イヤーである今年は100kg超級の五輪代表争いという文脈でも今大会には大きな注目が集まる。
今年は大会の順番が入れ替わって代表選出の最終予選は全日本選抜体重別選手権(5月12日~13日・福岡)となってはいるが、どの候補にも決定打がなく稀に見る大混戦となっており、今回の代表争いにこの全日本の結果が与える影響は測り知れない。
ワールドランキング上代表への権利を有する鈴木桂治(国士舘大教)、上川大樹(京葉ガス)、高橋和彦(新日本製鐵)の3人いずれも今期の国際大会では決定的な成績を残すには至っておらず、今大会と選抜体重別、2週間という短いスパンで開催されるこの2大会がまさに本番、最後の勝負ということになる。

100kg級で代表の座を事実上確定している昨年準優勝の穴井隆将(天理大職)が出場しないことでやや寂しい顔ぶれになった感はあるが、昨年3位の高井洋平(旭化成)や棟田康幸(警視庁)、生田秀和(ALSOK)といったベテラン、無差別でもっとも力を発揮する曲者・加藤博剛(千葉県警)や九州では圧倒的な力を見せ続ける増渕樹(旭化成)など全日本でこそみたい選手、全日本でこそ勝ちたいという選手たちの活躍も大きな見所、そしてこれらの選手たちを五輪候補たちがどう突破するか、そして代表候補同士の直接対決の行方が大会最大の焦点だ。

組み合わせは昨年王者の鈴木桂治を第1シード、3位の高井洋平を第2シードとして分けた上でのコンピュータ抽選で決定された。

トーナメントを仮にA~Dの4ブロックに分け、ベスト4進出予想を軸に、展望を試みたい。

→組み合わせ表(講道館HP)

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写真:23年大会の
加藤博剛-棟田康幸戦。
このときは加藤が「有効」2つを奪って
圧勝した
【Aブロック】

棟田康幸-遠藤剛(2回戦)
齋藤俊-高井洋平(2回戦)

長尾翔太 - 加藤博剛(2回戦)
香川義篤 -
海老泰博 - 川瀬孝司(1回戦)

ベスト4候補は棟田康幸、昨年度3位の高井洋平、そして加藤博剛の3人。

もと世界王者の棟田、そして世界選手権3位の高井の2人は代表の一線を退いてこの全日本選手権に賭ける重量級の強者。さらに無差別でこそその真価を発揮する玄人好みの寝技師・加藤とこのブロックにはいかにも全日本選手権らしい役者が揃った。

これら3人の登場は2回戦、いずれもその滑り出しが注目されるところだが、みどころは初出場の長尾翔太が加藤博剛に挑む一戦。強者相手でこそ最大の力を発揮する元祖・曲者の実力者加藤に対し長尾も癖のある柔道と奇矯なパフォーマンスで学生時代から名を売ったジョーカー。選手としての格は比べるべくもないが、加藤相手に長尾がどれだけ自分を出せるか、また今回ベスト4候補に名の挙がる加藤が強心臓の長尾をどう料理するかに注目したい。

そしてこのブロックにはトーナメント全体を通した3回戦最大の注目カード、棟田-高井という大一番がある。攻め手の遅さの一方で強烈な一発を持つという共通項のある両者の対戦だが、ここは練習量と懐に潜り込んでの接近戦に向く体格的な相性で棟田に若干分がある印象。

そうなると準々決勝は加藤-棟田ということになるが、この対戦は昨年加藤が支釣込足「有効」、背負投「有効」、さらに「指導2」を奪取して圧勝しているカード。このブロックの勝ち上がりは加藤と見る。

ただし加藤には昨年長身の七戸龍に奥襟を叩かれて何も出来ずに終わったという一面もあり、短躯の棟田ではなく巨漢の高井が上がってきた場合、試合が揉める可能性も十分だ。総合力は加藤が勝ると見るが、高井の圧を潜り抜けて距離が出し入れできるかどうかがカギになるだろう。

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写真:Bブロック勝ち上がり
最右翼の上川大樹
【Bブロック】

猪又秀和 - 七戸龍(2回戦)
岩田勝博 - 百瀬優(2回戦)

仲田直樹 - 平尾譲一(2回戦)
上川大樹 -
榎本収 - 上坂正語(1回戦)

1回戦で登場する四国地区1位の榎本収は73kg級、もちろん今大会最軽量。その戦いぶりは序盤戦の大きな話題だ。

ベスト4勝ち上がり最右翼は東京世界選手権無差別王者上川大樹だが、準々決勝での上川への挑戦権を掛けた3回戦、七戸龍と百瀬優の若手対決は非常に面白い。七戸が奥襟を持ってガンガン仕掛ける得意の展開に持ち込めるかどうかが試合の焦点。百瀬は組み手の操作で距離を取ることが巧みで、また七戸は昨年来、後の先の技を食らって試合を落とすことが続いている。七戸が昨年大会のような積極性を出すことが出来るかどうかがカギとなるだろう。

準々決勝のカードは上川-七戸となる可能性が濃厚。普段から稽古でも手合わせの多い2人、総合力は上川が大きく上回る。七戸は上川の攻め手の遅さに付け込むべく、上川のペースになる前にラッシュを掛け、展開自体で上川を押し込むような試合を志向するべきと思われるが、まだまだやはり地力には差がある。上川は順当に勝ち上がるだろう。

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写真:連覇を狙う鈴木。
写真は昨年度大会決勝
【Cブロック】

野島恒久 - 西村久毅(2回戦)
西潟健太 - 羽賀龍之介(2回戦)
西田勇生 - 生田秀和(2回戦)
鈴木桂治 -
飯田健伍 - 増渕樹(1回戦)

鈴木桂治が配されたこの山は最激戦ブロック。100kg級のホープでランキング上は五輪出場の可能性を残す羽賀龍之介、ベテランの業師・生田秀和に九州王者の増渕樹、さらには増量して破壊力に磨きのかかった西潟健太、初出場のインターハイ王者飯田健伍など多士済々だ。

1回戦で登場する飯田はいきなり増渕樹と対戦するという不運、そして増渕は2回戦で早くも鈴木と当たるということで今回も組み合わせに恵まれなかった印象。鈴木の勝ち上がりは固い。

2回戦の西潟-羽賀戦は目の離せない好カード。長身に加えて増量で圧力も盛った西潟の突進を羽賀が捌けるか、自分の技に繋ぐことが出来るかどうかが焦点。
羽賀は100kg級の国際大会では度々自分のタイミングで鋭い技に入りながら、体の力が足りずにこれを投げきる前に崩れる、または放棄するという場面が目立っている。西潟に技を掛け切れるようであればブレイク間近と見ていいだろう。

3回戦、鈴木と生田秀和の対戦は非常に全日本らしい好カード。この試合は鈴木が得意とするケンカ四つであること、33歳の生田が関東予選では連戦で息切れを起こしていたことを勘案するに鈴木が有利。ただし、しっかり組めれば生田には誰でも一発持っていくだけの技のキレがあり試合は予断を許さない。近年受けに脆さを見せる鈴木がどのような試合ぶりでここを勝ち抜くか、攻撃だけでなく組み手、防御も含めて鈴木の戦い方に注目の一番だ。

準々決勝は鈴木-羽賀の戦いとなると予想する。鈴木は近年相四つに分が悪い傾向はあるものの、ここは五輪に向けたモチベーションの差と地力で鈴木の勝ち上がりが濃厚と見る。このブロックは最激戦区だが超級の相四つという鈴木にとっての鬼門はおらず、増渕、羽賀ともに自身より軽くかつガップリ組んでくるタイプということで比較的戦い易いはず。最大の山場は3回戦の生田戦だが、まずまず順当に鈴木が勝ち上がり、ベスト4に駒を進めることになるだろう。

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写真:講道館杯決勝で棟田を
下して優勝を飾った石井
【Dブロック】

加藤博仁 - 大藤尚哉(2回戦)
石井竜太 -

増田圭省 - 中山将男(2回戦)
中村嘉宏 - 形部安彦(2回戦)
高橋和彦 - (1回戦)
野田嘉明 - 木下泰成(2回戦)

このブロックの焦点は準々決勝の石井竜太と高橋和彦、超級の両雄の対決に絞られる。高橋和彦は東京地区予選で上川に勝って優勝、一方講道館杯王者の石井は昨年冬の勢いがやや失速、東京予選でも上川大樹に大外返で一本負けを喫するなどここのところ成績が残せていない。

しかし高橋が不得手とするケンカ四つであることと負傷の多さ、そして石井の勢いを勘案するとここは石井が若干有利か。ベテランで勝ち方を知る高橋と、ガンガン前に出てくる石井の好対照の勝負になるのではないだろうか。勝ち上がり最右翼は石井、次いで高橋と見る。

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写真:23年選抜体重別決勝、
鈴木-上川戦。鈴木が試合を引っ張り、
後の先の技で上川が一本勝ちした
【準決勝-決勝】

以上、ベスト4に進むのは、
加藤博剛、上川大樹、鈴木桂治、石井竜太

の4選手と仮定して稿を進めたい。

加藤と上川の第1試合。上川は掴まえて十分な形に持ち込んで圧を掛ける、一方の加藤はそうさせまいと早い段階から技を仕掛けて寝技に持ち込んでペースを掴んでいくという必勝パターンに持ち込もうとするだろう。地力に勝る上川がしっかり足技を絡めて崩しながら組んでいくことが出来るかどうかがひとつのポイントになる。
順当に考えれば展開を制しやすいのはむしろ加藤ではないかとも思われるが、しかし苦戦必至の縺れる展開を制して上川が勝ち上がる、というのが最も飲み下しやすいシナリオだ。加藤にも勝機は十分あるが、ここは上川の決勝進出を予想する

石井-鈴木の試合は鈴木の得意なケンカ四つ。鈴木が石井の破壊力を殺しながらいかに攻撃するかがひとつの焦点だ。足元に脆さを見せてきた石井に対し細かい足技が出るようであれば鈴木ペースで試合が進み、石井の突進に簡単に引き手を与えるようであれば試合は縺れると見る。
石井には一発で試合を決める破壊力があるが、国際大会で後の先の業を食い続けた試合ぶりを見る限りまだ腰高。バランスの取り合いとなった「際」で経験豊富な鈴木を確実に制するだけの安定感は未だ獲得していない印象。どう転ぶかわからない試合だが、ここは鈴木の経験が石井を凌駕すると仮定、鈴木の決勝進出を前提として稿を進めたい。

決勝戦。予想されるカードは上川-鈴木。
ともにケンカ四つを得意とする選手だが、上川が一本勝ちした昨年の全日本選抜体重別を例に挙げるまでもなくここまでの対戦相性は上川に凱歌があがる。しかし全日本選手権決勝という極度にプレッシャーの掛かる場、そして全日本での戦い方、勝ち方を熟知しているという部分で鈴木にも勝機は十分だ。

前述の選抜体重別決勝でも、試合をコントロールしたのは鈴木で、上川は一発の恐怖を晒すことでなんとか展開を壊さずに終盤まで試合を持ち込んだという構図だった。「一本」が決まった場面も仕掛けたのは鈴木で、上川の技は後の先であった。今回も鈴木が試合を動かし続け、上川がこれに嵌っていきながら逆転の一発を狙うというのが最も起こりうる可能性の高いシナリオ。上川が勝利するには自ら展開を動かしていく積極性が求められる。試合の行方は予断を許さない。

いずれ、五輪を前に日本柔道のスケールダウンが叫ばれて久しい昨今、選手には全日本という最高峰の大会、柔道を志すもの全ての憧れの大会の畳を踏むものとして、誇りと意地を持った戦いを期待したい。




※eJudo携帯版「e柔道」4月26日掲載記事より転載・編集しています。

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