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皇后盃全日本女子柔道選手権展望

2012年4月14日


※eJudo携帯版「e柔道」4月13日掲載記事より転載・編集しています。

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皇后盃全日本女子柔道選手権展望

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写真:昨年大会は
東京世界選手権2階級王者・杉本美香が
制した
体重無差別で日本一を争う第27回皇后盃全日本女子柔道選手権大会は15日、横浜文化体育館で全国の予選を勝ち上がった精鋭36名によって争われる。

優勝争い、そしてこの大会の成績が大きな影響をもたらすロンドン五輪78kg超級代表争いは杉本美香(コマツ)と田知本愛(ALSOK)の2人に絞られる。
杉本は昨年今大会王者、一方の田知本は2回戦で敗退(緒方亜香里に大内刈「技有」)しており、五輪最終選考会である5月の全日本選抜体重別、そして五輪本戦を控えたこの大会でどのようなパフォーマンスを見せるかが最大のみどころだ。

組み合わせをA~Dの4ブロックに分けて、序盤の注目対決とベスト4進出をめぐる争いを主眼に簡単に展望を試みたい。

→皇后盃組み合わせ(全日本柔道連盟サイト)

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写真:23年大会、決勝を戦う杉本美香
組み合わせ展望

今年度も恒例のコンピュータ抽選。シード扱いの選手は山が分かれたが、他はまたしても同階級同士、同カテゴリ同士が早い段階で対戦する無粋な配置、勿体無い組み合わせが散見される。とはいえ超級選手優勢の今回の大会では上位への勝ち上がりという点ではまずまず穏当な組み合わせと言えるだろう。

【Aブロック】

柴野亜希-前田奈恵子(2回戦)
木村輝美-市橋寿々華(2回戦)
吉村静織-土屋文香(2回戦)
杉本美香(2回戦)
濵田尚里-松尾千香(1回戦)

このブロックは杉本とシニア強化選手の市橋が準々決勝で戦い、杉本がベスト4に進出すると見てほぼ間違いないだろう。市橋は典型的な超級選手であり、杉本に対する波乱要素の持ち合わせは少ないと見る。

中国地区から初出場の木村輝美は63kg級、70kg級が主戦場。組みとめたまま、組みとめられたままの状態から相手がずれる瞬間の大内刈、内股が得手で大型選手狩りが得意の選手だが、初戦の相手がいきなり市橋ではさすがに荷が重い。

今春から三井住友海上入りする78kg級の吉村静織はパワーが売りだが、マッチアップする土屋は超級のパワーファイターで相手を弾き返すような力強さがあり、軽量選手狩りは得意とするところ。吉村は大きい選手を想定した技があるタイプではないためここも波乱を起こすには難しい。初出場の2人にとっては厳しい組み合わせになった。

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写真:23年講道館杯3位決定戦、
橋口ななみと立山真衣の一戦。
この時は橋口が「指導2」で勝利している
【Bブロック】

橋口ななみ -谷村美咲(2回戦)
菊池舞美 - 上野巴恵(2回戦)
岡村智美 - 穴井さやか(2回戦)
立山真衣
藤原恵美 - 津金恵(1回戦)

勝ち上がり候補は橋口ななみだが、このブロックはなかなか面白い。国内実績がほとんどない状態から強化陣に目をつけられて国際大会で起用され続け一定の立ち位置を獲得しつつある橋口に、他選手が次々に噛み付くという構造だ。
新大学生の谷村美咲は勝ち負けのはっきりしている選手だが一発もあり、受けの脆さを併せ持つ橋口にとっては油断のならない相手。
そして3回戦では同階級よりも大型選手との対戦で力を発揮するタイプの70kg級の強者上野巴恵との対戦が濃厚。上野にとっては絶好のパフォーマンスの場で、この1戦に焦点を合わせて気合を入れてくることは間違いない。橋口は組み手争いに嵌ると、先手を許すどころか思わぬ一発を食う可能性もある。

そして準々決勝は最大の難関、昨年3位の立山真衣が控える。立山は圧殺ファイトだけでなく切れ味のある技、一発もある選手。組み手で主導権を得たときの技の爆発力と勝負どころを見極める目は衰えていない。
本来であればベスト4候補は立山だが、度々国際大会に派遣されてきた橋口はこれまでの重用ぶり、厚遇に応えるためにはベスト4進出は必須の課題であり最低限の責任。橋口がこの仕事をしっかりこなすか、実力者立山がこれを阻止するか。まずここに注目だ。

立山は力関係が優位の相手には圧倒的に試合を進めて一発も出るという一方、技の組み立てが超級のステレオタイプに過ぎることもあり、競る相手に組み手で不利をかこち、流れを先に作られるとこれを変えられない傾向がある。橋口-立山戦が実現するのであればこの対戦は橋口の現在位置を測るものとしてこの上なく良いモノサシになるだろう。

78kg級で上位勢に蓋をされ続け。この大会で存在感を示したかった穴井さやかは同階級の3番手岡村智美と初戦でマッチアップ。高校生で地区予選1位を勝ち取った2人がいきなり顔合わせする藤原恵美-津金恵戦と合わせてなんとも無粋、興ざめな配置となってしまった。
前者は線の細い穴井に対して最大の武器である圧力が効きやすい岡村が有利、後者は藤原の圧力を津金がかいくぐれるかどうかがポイント。高校生の2人はともに高校選手権個人戦では決勝で敗退し、内容・結果とも戦前のインパクトを失ってしまったばかり。夏に向けて周囲に圧力を掛けるべくこの日の試合ぶりは重要だ。

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写真:昨年大会は2位、得意の無差別で本領を発揮した萩原久美子
【Cブロック】

烏帽子美久 - 萩原久美子(2回戦)
谷口亜弥 - 渡邉悠季(2回戦)
朝比奈沙羅 - 清水真琴(2回戦)
池田ひとみ
中西優美 - 柴田まどか(1回戦)

このブロックも非常に面白い。勝ち上がり候補は烏帽子美久、萩原久美子、朝比奈沙羅、池田ひとみの4人で、烏帽子と萩原は2回戦で対戦する。

烏帽子は東京地区予選1位で今が伸び盛り。昨年本大会2位の萩原は超級ファイターを足技と担ぎ技で崩しながら一発を狙うスタイルの「ミス皇后盃」(既婚だが)、戦法が皇后盃に噛む選手だが無差別体格的なバランスが良くパワーとスピードを併せ持つ烏帽子にこれが通じるかどうか。試合のポイントは29歳になる萩原の調整具合と本気度に掛かっている。
萩原は推薦出場で今回予選を戦っておらず、勝利した場合のその後の可能性も含め、この試合で明らかになることは多い。
負傷が多く大舞台を踏めず、ために成長の機会を逸してきた烏帽子の浮揚は超級全体のカンフル剤に成り得る要素の一つだけに初戦で難敵萩原と対戦するという組み合わせはやや勿体無い気もするが、烏帽子のキャリアアップには避けて通れない対戦ということも出来る。注目の一戦だ。

この春から高校生になった朝比奈は強化陣の評価も非常に高く、ブロック勝ち上がり候補に推す声も多い。山場はなんといっても3回戦の池田ひとみ戦。78kg級の池田は担ぎ技に鋭い小内刈が武器で、昨年の実業団体では世界王者の杉本美香の肘を腕挫十字固で破壊、チームを勝利に導いた実績もある。先に袖を得て朝比奈を前に引っ張り出して動かしながらその出端を小内刈で崩しにかかる池田、圧を掛けて池田の動きを殺しに掛かるであろう朝比奈と両者の思惑は想定しやすい。これも注目したい試合だ。

超級タイプの朝比奈、烏帽子が勝ち上がるか、はたまた変化球的存在の萩原、池田が勝ち上がるかはベスト4で対戦するであろう田知本愛にとっては大きな問題。絶対の勝ち上がり候補はいないが大会の全体様相を左右するのはこのCブロックの結果かもしれない。

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写真:田知本愛は現在も
ワールドランキング1位に君臨する。
写真は講道館杯決勝の山部佳苗戦
【Dブロック】

山部佳苗 - 滝川真央(2回戦)
後藤美和 - 稲森奈見(2回戦)
田知本愛 - 畑村亜希(2回戦)
大野陽子
木村知畝 - 川島巴瑠菜(1回戦)

準々決勝は高い確率で山部佳苗と田知本愛との戦いになるだろう。講道館杯と今大会の関東予選で田知本がともに投技の「一本」で勝利しているという力関係、五輪に向けたモチベーションの高さからここは田知本が勝利すると見る。
山部は実績十分ながら国際大会への派遣ゼロ、4枠あったグランドスラム東京への出場すら見送られた厳しい評価を覆すだけのパフォーマンスを見せることができるか。技術的な成長と裏腹の冷遇から一気に脱却するチャンスでもある。

そのベスト8をめぐる周辺事情は面白い。
インターハイチャンピオンにして今大会九州地区予選王者稲森奈見は門番的な強豪、昨年ベスト8の後藤美和との対戦がある。今春三井住友海上に進んだ稲森は次代のエースという評もあり、ここでまずその器が問われるという一戦だ。

大学新卒でコマツに入社した70kg級大野陽子は2回戦でかつての78kg級学生王者川島巴瑠菜と対戦。両者ともガップリ組むパワーファイターだが、川島は北海道に引っ込んで体重別の一線からは引きつつある選手で、これから国際級へと浮揚を狙う大野としてはたとえ階級が上でも遅れを取るわけにはいかないだろう。殴り合い必死の面白い試合が期待できそうだ。

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写真:グランドスラム東京決勝の
杉本美香-田知本愛戦。
この時は杉本がGS僅差3-0で勝利している
【準決勝-決勝】

Aブロックは杉本、Bブロックは橋口(立山、上野)、Cブロックは前述4人のうちいずれか、Dブロックは田知本というのがここまでの勝ち上がり予想だが、決勝には杉本と田知本が勝ち上がると見て間違いないだろう。
うるさい萩原、講道館杯で「指導2」まで粘った朝比奈、大物食いの可能性を秘める池田らとの対戦が予想される田知本のほうがカード的には厳しい。萩原、池田に圧力が掛かりきらず懐で暴れられると縺れる可能性も十分あるが、ここに来て圧力に加えて投技の威力も盛ってきている田知本のパフォーマンスは向上気配。道程のもつれはあれど、結果自体は動かないだろう。

決勝の杉本-田知本戦はグランドスラム東京では杉本が僅差3-0で勝利しているカード。この時は杉本が前に出て試合を引っ張り、ともに技は散発ながらも杉本が前に出ることと自分の技で展開を終えることをキッチリこなして、両襟スタイルでディフェンシブな印象の残りやすい田知本の上をいったという試合だった。田知本が圧殺を志向し、リスクのない場面での攻撃だけを考えると試合は同様の展開に陥る可能性大。

思考に飛躍なくオーソドックスに試合展開を予想すれば、いずれが勝利するにしても決着は小差。
間違いなく試合を動かしてくる杉本に対し、田知本が得意のスタティックな展開だけでなくどこまで打ち合いに応じていけるか、これが一つのポイントになるのではないだろうか。

そして、五輪で待ち受けるトウブンに対し、日本勢に必要とされるものは勇気。絶対優位の状況を待ってから仕掛けるような手堅さだけでは乗り越えられないこの壁を突破するだけの勇気ある試合ができるか、一枠しかない国家代表に求められるものはそこに集約されるはずだ。五輪のかかる大一番、最大のライバルとの対戦は強化陣とファンがその「勇気のポテンシャル」を見極められる絶好の場だ。熱戦に期待したい。




※eJudo携帯版「e柔道」4月13日掲載記事より転載・編集しています。

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