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【eJudo's EYE】五輪レースの行方は!?
冬季国際大会派遣選手発表「評」 女子

2012年2月6日


※eJudo携帯版「e柔道」1月26日掲載記事より転載・編集しています。

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【eJudo's EYE】五輪レースの行方は!?
冬季国際大会派遣選手発表「評」 女子


男子同様、五輪代表争いが収束しつつある階級の代表候補は派遣回避の傾向だが、「本命」「対抗」の複数名をはっきりプロテクトした男子に対し、女子は負傷で欧州シリーズを辞退した48kg級の浅見八瑠奈(コマツ)ら、プロテクトは各階級最大1名。代表争いが混迷している階級はもちろん複数名、課題の残る階級、また試合調整が必要と判断された階級に関しては第1候補も派遣するという策に打って出た。日本女子は世界選手権で3階級、ワールドマスターズでは4階級を制しており優勢が明らか。勝利への道程がハッキリ見えているぶん、ひとつの方針というよりも、階級別に具体的な作戦が異なる印象だ。結果、2番手選手にチャンスを与えることになる階級もあり、代表争いは予断を許さない。

■48kg級

【ワールドマスターズ結果】
福見友子(了徳寺学園職):優勝
浅見八瑠奈(コマツ):2位

【ベルギー国際大会】
山崎珠美(三浦学苑高3年)、濱田早萌(大成高2年)

【ワールドカップ・ソフィア】
派遣なし

【グランドスラム・パリ】
福見友子(了徳寺学園職)

【ワールドカップ・オーバーヴァルト】
遠藤宏美(筑波大1年)

【グランプリ・デュッセルドルフ】
遠藤宏美(筑波大1年)

前述の通り目下五輪代表本命の浅見八瑠奈は膝のケガのため出場を回避。ライバルの福見友子1人のみがグランドスラムパリに派遣されることになった。

与えられたチャンスはこれ1回。よって、例えば連戦連勝を果たして、公欠中の浅見との力関係に化学変化を起こすというようなシナリオは不可能で、これは福見がしっかり優勝して、現状の位置関係をキープするというところまでが今シリーズで為しうる最大限、そして最も可能性の高いシナリオだろう。

福見以外、IJF主催大会への派遣は遠藤宏美1人のみ。昨年まで3強として代表枠に関わり続けた山岸絵美(三井住友海上)、そしてこれに絡み続けた伊部尚子(ぎふ柔道クラブ24)、近藤香(日本生命)の2人が第2グループを形成した時代から、次世代を見据えて強化の軸足を若手に移しつつある印象だ。

■52kg級

【ワールドマスターズ結果】
西田優香(了徳寺学園職):優勝
中村美里(三井住友海上):2位

【ベルギー国際大会】
黒木美晴(宮崎商業高3年)、志々目愛(宮崎日大高3年)

【ワールドカップ・ソフィア】
谷本和(環太平洋大2年)

【グランドスラム・パリ】
西田優香(了徳寺学園職)

【ワールドカップ・ブダベスト】
橋本優貴(金沢学院大4年)、加賀谷千保(山梨学院大3年)

【グランプリ・デュッセルドルフ】
橋本優貴(金沢学院大4年)
加賀谷千保(山梨学院大3年)

トピックは3つ。1つは中村美里のプロテクト、もう1つは西田優香のグランドスラムパリ派遣、最後は宮川拓美(小松大谷高3年)の不出場。

中村がパリ世界選手権に優勝し、かつ西田は講道館杯直前欠場のペナルティでグランドスラム東京に出場できず。「講道館杯がなければグランドスラムはない、グランドスラムがなければ五輪はない」という首脳陣の発言とも相まって五輪代表は中村に決定かと思われる情勢だったが、西田はワールドマスターズで中村から一本勝ちを果たして優勝。自力で五輪代表争いの土俵の中に戻ってきた。

グランドスラム・パリへの派遣はもちろんワールドマスターズ優勝を評価してのものだろう。中村の地力への評価の高さと信頼感は別として、どうやら最後まで「競らせる」腹を固めたと見て良い情勢になってきた。もちろん西田はパリでの優勝が生き残りの必須条件ではあるが、52kg級の欧州勢との実力差を考えるに勝利の可能性は限りなく高い。5月の選抜体重別が唯一最大の山場となるだろう。

グランドスラム東京で優勝し、一躍若手一番手の座に躍り出た宮川拓美は負傷のため欧州シリーズ参加を辞退。国際大会の本格デビューは春以降に持ち越しとなった。

橋本優貴は国際大会では安定して力を示しているが、ファイナリストレベルを倒しての優勝が次の課題。
講道館杯で勝ちながらグランドスラム東京を落とした加賀谷は大チャンス。実力は十分、この2大会を浮上のきっかけとすることが出来るか。

■57kg級

【ワールドマスターズ結果】
松本薫(フォーリーフジャパン):優勝
佐藤愛子(了徳寺学園職):3位

【ベルギー国際大会】
派遣なし

【ワールドカップ・ソフィア】
派遣なし

【グランドスラム・パリ】
佐藤愛子(了徳寺学園職)

【ワールドカップ・ブダベスト】
石川慈(コマツ)、山本杏(桐蔭学園高2年)

【グランプリ・デュッセルドルフ】
松本薫(フォーリーフジャパン)、山本杏(桐蔭学園高2年)

松本薫、佐藤愛子と2人の世界王者を抱える日本だが、グランドスラム東京での直接対決の決着(松本の勝利)、またワールドマスターズの成績から代表争いは松本が大きくリード。佐藤は世界選手権での勝利の後はパヴィア(フランス)に連敗、松本に敗退、さらに松本が圧勝したモンテイロ(ポルトガル)に2回投げられて敗退とかなり分が悪くなっている。

そんな状況下で、佐藤は最重要大会であるグランドスラム・パリに派遣決定、松本への挑戦権を得るべくチャンスは与えられた形だ。一方の松本はプロテクトされることなく、グランプリ・デュッセルドルフに派遣が決定。世界王者2人が重要大会1つずつに派遣ということで「競らせる」形、例年同様のプログラムを採ることとなった。

しかし松本はどちらかというと課題を自分の中に求めるタイプ、戦いの中で成長する実戦派タイプで、秋以降は自ら「試したいことがいっぱいある」と明言して試合に臨んでいる状況。首脳陣がここに配慮し、十分稽古を積んだ後のシリーズ最終盤に1試合実戦を組んだという見方も成り立つ。競争ではなく松本の調整、修行にフォーカスしての策というのは穿ちすぎた見方だろうか。

両者優勝なら松本優位の関係性は留保したままで決着は5月の選抜体重別ということになるだろう。
松本は圧勝の陰に潜む受けの脆さを払拭できるかどうかが一つの課題。

■63kg級

【ワールドマスターズ結果】
上野順恵(三井住友海上):優勝
田中美衣(了徳寺学園職):2位

【ベルギー国際大会】
松本千奈津(宮崎商業高2年)、津金恵(松商学園高1年)

【ワールドカップ・ソフィア】
太田春奈(淑徳大1年)

【グランドスラム・パリ】
田中美衣(了徳寺学園職)、阿部香菜(三井住友海上)

【ワールドカップ・ブダベスト】
田中美衣(了徳寺学園職)、阿部香菜(三井住友海上)、安松春香(環太平洋大2年)

【グランプリ・デュッセルドルフ】
田中美衣(了徳寺学園職)、阿部香菜(三井住友海上)

世界チャンピオンの上野順恵はプロテクト。五輪代表は実績から現状上野以外にありえず、かつ上野が巧みな組み手と勝負を見極める戦術眼の良さで勝ち上がるタイプであり、ワールドランキングも1位、そして2位のエマヌとともに3位以下に500点以上の差をつけている(五輪はエマヌとブロックが分かれることが確実)な状況とあればもはや試合に出る必要は全くない。これは当然の措置だろう。

この階級は、田中美衣と阿部香菜を同時に、それも3大会連続で送り込むというやや極端なシフト。グランドスラム東京でファンエムデン(オランダ)、ワールドマスターズでファンエムデンとウィルボーダス(オランダ)と強豪を次々屠って絶好調の田中、そして負傷離脱前は上野を凌ぐ圧倒的な勝ちぶりで世界選手権金メダルも有りうると目された阿部の有力2候補を徹底して競らせる方針のようだ。今回から復帰の阿部は離脱前のニッチを留保された形。

田中、阿部が国際大会の実績、内容において3番手以降を大きく引き離している現状においては、派遣が偏ったと見るよりは、階級の勢力図を正当に反映したものと考えるべきだろう。

学生カテゴリで圧倒的な強さを示した安松春香(環太平洋大2年)は、ワールドカップ1大会のみの派遣。素材への期待感を買ってグランプリに送り込まれたとしても周囲は納得したと思うが、ここはシニアの壁に弾き返されているという講道館杯以降の成績が正当に反映された形となった。

「次代枠」のベルギー国際には、インターハイ2位の津金恵、同ベスト16の松本千奈津、ワールドカップ・ソフィアには全日本ジュニア2位の太田晴奈が選出された。しかしインターハイと全日本ジュニア王者でこの3人に直接対決で全て勝利している佐野賀世子(高岡龍谷高3年)はまたもや全く声が掛からず。3人は講道館杯で実績をあげた(太田は3位、松本は5位)とはいえ、佐野はそもそもその講道館杯出場権すら与えられなかった。世界ジュニアの選考漏れ以降機会すら与えられず完全に潰されている状態で、ジュニア以下のメンバー構成は明らかに客観性を欠くと言わざるを得ない。

シニアは実力と実績を反映して公平、一方ジュニアは昨年後半の「選ぶ側」のひずみを最後まで修正できなかった派遣計画と評したい。

■70kg級

【ワールドマスターズ結果】
國原頼子(自衛隊体育学校:2位
田知本遥(東海大3年):3位

【ベルギー国際大会】
新井千鶴(児玉高3年)、古屋梓(大成高3年)

【ワールドカップ・ソフィア】
ヌンイラ華連(環太平洋大2年)、高橋ルイ(環太平洋大2年)

【グランドスラム・パリ】
國原頼子(自衛隊体育学校)、田知本遥(東海大3年)

【ワールドカップ・ブダベスト】
上野巴恵(三井住友海上)

【グランプリ・デュッセルドルフ】
國原頼子(自衛隊体育学校)、上野巴恵(三井住友海上)

上野巴恵が講道館杯、そしてグランドスラム東京と田知本遥に連勝して急速に存在感を増している。
そんな中、講道館杯で負傷した國原頼子がワールドマスターズで復帰、気合の入った柔道で2位に食い込んで大きくアピール、というのがこの階級の目下の現状だ。代表争いはまさしくこの欧州シリーズが正念場、男子81kg級、100kg超級と並んでもっとも熱い階級と考えて良いだろう。

そんな中採られた派遣計画は國原がパリとデュッセルドルフの最重要2大会、上野がブダベストとデュッセルドルフの2大会、田知本は1大会のみだが最重要であるパリ派遣というもの。

まず透けて見えるのは國原の厚遇。これは実績から言って当然だろう。安定感がある國原を五輪起用となった場合フォーカスすべきはまずメダルの確保、これにはランキングを上げるだけ上げておきたいはずで、日程的に離れた2大会をまたいでの派遣には明らかにポイント獲得という意図がある。これは納得できるところだ。

最近低調の田知本にも、パリ派遣でチャンスは残された形。ワールドマスターズでデコス(フランス)に田知本と國原が連敗したばかりということを考えれば、いっそ上野を、デコスの出場が確実なパリに突っ込んで「デコスに勝って金メダルを獲得できるか」という観点で競らせるという策もひとつあったとは思うが、ここは田知本の経験とランキングの高さに配慮した形か。

田知本に連勝してひとつ階段を上った上野は、最終戦のグランプリ・デュッセルドルフで國原との直接対決が待ち受ける。これが実現、さらに上野が勝利して優勝というようなことになれば、選抜体重別は國原と上野が対等の立場で一騎打ち、というシナリオ進行があり得る。両者にとってはもちろん正念場。田知本も再びここに割って入るにはパリでの上位進出は必須だ。

ベルギー国際は高校カテゴリ、ワールドカップ・ソフィアは大学カテゴリのファイナリスト2人が派遣。シニアの競争の密度が高いこともあり、この階級の若手枠は非常にわかりやすい形となった。

■78kg級

【ワールドマスターズ結果】
緒方亜香里(筑波大3年):3位

【ベルギー国際大会】
西田香穂(甲府工業高3年)、吉村静織(阿蘇中央高3年)

【ワールドカップ・ソフィア】
派遣なし

【グランドスラム・パリ】
緒方亜香里(筑波大2年)、佐藤瑠香(コマツ)

【ワールドカップ・ブダベスト】
岡村智美(コマツ)

【グランプリ・デュッセルドルフ】
岡村智美(コマツ)、佐藤瑠香(コマツ)

緒方のグランドスラム東京での圧勝劇により五輪代表争いはほぼ決したかに見えたが、欧州国際は緒方とライバルである佐藤瑠香(コマツ)がグランドスラム・パリに同時派遣、さらに佐藤は1週空けてグランプリ・デュッセルドルフにも派遣されるという「競争」シフト。

現在ワールドランキング1位に君臨する緒方にとっては「まだやらなければいけないのか」と嘆息したとしても無理からぬ事態、佐藤にとっては両大会優勝なら500点獲得でランキング1桁台も十分可能、かつパリでは緒方と直接対決もあり得るということでこれは大チャンスをもらったといって良い派遣計画だ。

「まだまだ競らせる」という意思表示とも、あまりにも勝ち負けが大味、ワールドマスターズでも不用意な受けで一本負けを喫した緒方はまだまだ地力を鍛えねばならずプロテクトする段階にない、という態度にも取れる。いずれ、ワールドマスターズで緒方が安定感を見せ切れなかったということは事実で、緒方は首脳陣の信頼を勝ち取れるだけの内容、佐藤は2大会連続優勝がこのシリーズの課題だ。

ベルギー国際には2選手が派遣、世界ジュニア王者の梅木真美(阿蘇中央高2年)は負傷で辞退した11月の講道館杯以降まだ試合出場がなく、今回は選出されなかった。

■78kg超級

【ワールドマスターズ結果】
杉本美香(コマツ):3位
田知本愛(ALSOK):5位

【ベルギー国際大会】
稲森奈見(鹿児島南高3年)、朝比奈沙羅(渋谷教育学園渋谷中3年)

【ワールドカップ・ソフィア】
派遣なし

【グランドスラム・パリ】
田知本愛(ALSOK)

【ワールドカップ・ブダベスト】
橋口ななみ(近畿大3年)

【グランプリ・デュッセルドルフ】
橋口ななみ(近畿大3年)

グランドスラム東京でライバル田知本愛に勝利して優勝、ワールドマスターズでも3位に入った杉本美香はプロテクト、今シリーズの派遣はなし。
田知本はグランドスラム・パリに派遣されることとなったが、これは惨敗に終わったワールドマスターズ、杉本に敗れたグランドスラム東京の失敗を取り戻す可能性のある「追試」を課されたということでもあり、ひとつ大きなチャンス。もともと安定感と実績の積み上げで勝負していくタイプだけに、ここを再びトウブン(出場の有無は不明)以外に落とすようだと五輪代表は非常に厳しい。チャンスであるとともにもはや絶対に負けられない正念場でもある。

後半の2大会にはまたしても実績がゼロに等しい橋口ななみ(近畿大3年)が選出された。学生体重別2回戦敗退、講道館杯では中学生の朝比奈沙羅に吹っ飛ばされるという失態を犯しながらのこの厚遇。学生王者で講道館杯2位の山部佳苗、世界ジュニア連覇者井上愛美の山梨学院大コンビが2人合わせて派遣大会ゼロという中これだけの期待を受け、今度こそどうしても成績を残さなければならない状況となった。



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