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【eJudo's EYE】五輪レースの行方は!?
冬季欧州国際大会派遣選手発表「評」 男子

2012年2月6日


※eJudo携帯版「e柔道」1月30日掲載記事より転載・編集しています。

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【eJudo's EYE】五輪レースの行方は!?
冬季欧州国際大会派遣選手発表「評」 男子


男子は選手が絞りきれない81kg級、選考の先が見えない100kg超級の2階級以外は五輪選考対象選手をプロテクト。欧州大会には派遣せず、この数ヶ月間は研究と調整に割くという方針を採った。
ここまで上積みのための稽古がほとんど不可能なハードスケジュールをこなしてきたこと、プラス、手の内をさらすことのリスクがかつてとは比較にならないほど大きい昨今の事情に鑑み、ついに篠原信一監督が「オリンピックシフト」を敷いたということに他ならない。諸手を挙げて支持したい選択だ。

本命とともに僅差で五輪代表を争う対抗馬も同様にプロテクトされた今回、2番手と目された選手にとっては巻き返しの機会が減ったという見方ももちろんある。しかし、これまでアピールの機会が与えられなかった選手は皆無であり、公平性が損なわれたというわけではない。海外勢に向けた攪乱という意味もこめて、「選考」よりも「勝利」を優先した結果としてこの作戦はポジティブに評価したい。

■60kg級

【ワールドマスターズ結果】
平岡拓晃(了徳寺学園):3位
山本浩史(日体大4年):1回戦敗退

【ベルギー国際大会】
石川裕紀(了徳寺学園職職)

【グランドスラムパリ】
川端龍(国士舘大4年)

【ワールドカップ・オーバーヴァルト】
川端龍(国士舘大4年)、高藤直寿(東海大相模高3年)

【グランプリ・デュッセルドルフ】
派遣なし

ワールドマスターズではともに優勝したガルスチャン(ロシア)に破れたものの、残った成績は平岡3位、山本は1回戦負けで、山本は国際大会での安定感のなさを払拭できなかったという評価になるはずだ。世界選手権銀メダリストの平岡を実績で崩すほどの成績を山本が残せなかったことで、相対的に五輪代表レースは平岡が一歩抜け出した形。

欧州国際大会ではこの選考対象選手2人をプロテクト、講道館杯優勝、グランドスラム東京2位と躍進中の川端龍を2大会に派遣することとなった。川端らの台頭で一気に陰が薄くなってしまった実業王者の石川裕紀はベルギー国際大会のみの派遣に留まり、優勝以外に五輪後の出世の道はない。石川にとっては正念場だ。

やや不可解なのは、再三篠原監督が期待を口にしてきた超新星・高藤直寿がワールドカップ・オーバーヴァルト1大会のみの派遣で、五輪出場に全く含みのないスケジュールを組まれていること。試合のインパクトの割に成績が伴っていない(優勝なし)とはいえ、グランドスラム東京でザンタライア(ウクライナ)を倒しての3位、グランプリ青島の2位を勘案すれば、パリとはいかないまでもグランプリ・デュッセルドルフの派遣は妥当な印象であるが、早くも「資格なし」の断を下したということであろうか。追加派遣の噂もあり、ここは続報を待ちたいところだ。出場、かつ2大会連続優勝でも獲得点数は300点、累計ポイントは420点でランキング16位以内は非常に厳しい状況だが、ザンタライアら強豪の出場が噂される同大会での活躍は非常に楽しみだ。

※1月30日「高藤、小野らドイツへ!欧州国際大会追加派遣選手を発表」

■66kg級

【ワールドマスターズ結果】
森下純平(筑波大3年):3位
海老沼匡(明治大4年):3位

【ベルギー国際大会】
小寺将史(筑波大3年)

【グランドスラムパリ】
高上智史(日体大2年)

【ワールドカップ・オーバーヴァルト】
高上智史(日本体育大2年)

【グランプリ・デュッセルドルフ】
吉田惟人(東海大4年)

ワールドマスターズは海老沼、森下ともに3位だったが、内容は海老沼が上と言って良いだろう。直近の世界選手権を勝っている実績、組めないと技が出せないところから手詰まりを起こし国内外を問わず成績が安定しない森下との比較から、五輪代表は今のところ海老沼が「当確」に近いところにいる印象だ。

技術の占める比重の大きさゆえスカウティングが成績に直結する軽量級、それも研究熱心なモンゴル勢が再台頭してきている66kg級という事情も手伝ってか、この階級も五輪選考の対象者である森下、海老沼の両世界王者は派遣なし。海老沼有利の位置関係を留保したまま5月の選抜体重別を迎えさせることとなった。

高上智史はグランドスラム東京優勝を正当に評価され、グランドスラム・パリとワールドカップ・オーバーヴァルトの2大会に出場。継続して成績を残して五輪後につなげることが出来るか。吉田惟人(東海大4年)は抜擢に応えて再び存在感を示したい。

※1月30日「高藤、小野らドイツへ!欧州国際大会追加派遣選手を発表」

■73kg級

【ワールドマスターズ結果】
中矢力(東海大4年):2位
秋本啓之(了徳寺学園職):3位

【ベルギー国際大会】
中村剛教(山梨学院大3年)

【グランドスラムパリ】
大野将平(天理大2年)

【ワールドカップ・オーバーヴァルト】
大野将平(天理大2年)、西山雄希(筑波大2年)

【グランプリ・デュッセルドルフ】
西山雄希(筑波大2年)

中矢、秋本の両世界王者はプロテクト。両者とも疲労困憊、グランドスラム東京での秋本の圧勝「一本」で勝負ありとの感はあるものの直近の対戦成績は一勝一敗(ワールドマスターズで中矢が僅差で勝利)で、選考という観点から見れば両者が一試合も出場しないという派遣計画は少々意外。この階級も技術の切磋琢磨とそこに対するカウンターテクニックの出現というスパンが非常に速く、選考よりも五輪での勝利を考えての措置と言えるだろう。最終選考会である選抜体重別が大一番になる。

両巨頭が抜けた派遣計画だが、シニアで全く実績がなく、学生カテゴリでも入賞歴のない大野将平がグランドスラム・パリとワールドカップ・オーバーヴァルトの2大会に派遣されるという大抜擢。ジュニアで一度勝っただけ、しかも国際大会の選考会であるはずの講道館杯に出場すらできなかった(負傷のため棄権)選手が、「フランス国際」に派遣されるのだからこれは異様。出身の講道学舎、所属の天理大ともに攻撃柔道を標榜しており大野も現行ルールに向く攻撃型の選手であるのは理解出来るが、学生カテゴリで強者として定着し今期はタイトルも獲得した中村剛教が講道館杯での敗戦ゆえに「次代枠」であるベルギー国際への派遣に留まった厳しさと対比するに、ハッキリ客観性を欠く選出となった。なにしろ直近のグランプリ・青島では中村が2位、大野は2試合しか出来ずに3回戦敗退したばかり。大野はチャンスを生かし、選考に説得力を与えるだけの成績が求められる。

好調時に国際大会で実績を残した西山雄希は後半の2大会に派遣。五輪後に向けて復活を期す。

※1月30日「高藤、小野らドイツへ!欧州国際大会追加派遣選手を発表」

■81kg級

【ワールドマスターズ結果】
中井貴裕(流通経済大3年):2位

【ベルギー国際大会】
丸山剛毅(天理大1年)

【グランドスラムパリ】
長島啓太(日本中央競馬会)、春山友紀(国士舘大3年)

【ワールドカップ・オーバーヴァルト】
高松正裕(桐蔭学園高教)、長島啓太(日本中央競馬会)、川上智弘(國學院大4年)

【グランプリ・デュッセルドルフ】
中井貴裕(流通経済大3年)、川上智弘(國學院大4年)

この階級こそ、欧州シリーズが五輪代表に向けたまさにサバイバルマッチ。対象者は世界選手権で2大会連続代表を務めた中井貴裕、グランドスラム東京優勝の川上智弘、グランプリ青島優勝の長島啓太の3人だ。

変則柔道という評価を受けにくいスタイルゆえ成績を残し続けるしかない面のある中井は、講道館杯、グランドスラム東京は落としたもののワールドマスターズでは決勝まで進出する快挙で代表戦線に完全復帰。
川上智弘は組み際の技が巧みで、優勝を飾ったグランドスラム東京で世界選手権連続銀メダリストのギヘイロ(ブラジル)から「一本」で勝利しているように力関係を覆すだけの投技のキレが魅力、長島啓太は正統派柔道で国際大会を勝ち抜けるだけの力が備わってきており、グランプリ青島は圧勝で優勝している。ただし川上はグランプリ青島で初戦敗退のポカ、長島はまさにその正統派ギヘイロにグランドスラム東京で一本負けを喫しており欧州シリーズで捲土重来の機会を得たいところであったが、長島がグランドスラムパリとワールドカップ・オーバーヴァルト、川上がワールドカップ・オーバーヴァルトとグランプリ・デュセルドルフと2大会ずつに派遣としっかりチャンスはもらった形。
3人の同時出場は2人×2回。川上は長島、中井の両者と同じ大会に出場するということになり、この欧州遠征の結果が「玉虫色」で終わる可能性は限りなく低い。終了後、必ず序列がつくことを志向しての派遣計画であると言えるだろう。まさしく天王山のシリーズだ。

中井は1大会のみの派遣。ランキングが高いために同大会では川上よりは有利な組み合わせとなることが確実で、ここで上位進出、もしくは川上を直接叩くことが出来れば五輪は大きく近づく。逆にこのワンチャンスを逃すと長島、川上に抜き去られる可能性も出てくる。大一番だ。

春山友紀もグランドスラム・パリ派遣という大チャンスをもらった。五輪後の階級勢力図再編成に向けてインパクトを示すことが出来るかに注目。

※1月30日「高藤、小野らドイツへ!欧州国際大会追加派遣選手を発表」

■90kg級

【ワールドマスターズ結果】
西山将士(新日本製鐵):優勝
小野卓志(了徳寺学園職):5位
西山大希(筑波大3年):5位

【ベルギー国際大会】
下和田翔平(日本体育大3年)

【グランドスラムパリ】
派遣なし

【ワールドカップ・オーバーヴァルト】
吉田優也(東海大4年)

【グランプリ・デュッセルドルフ】
穴井亮平(了徳寺学園職)

グランドスラム東京優勝の西山将士が、ワールドマスターズではイリディスを倒して優勝という快挙を成し遂げた。篠原信一監督も「頭ひとつ抜け出した」と西山有利を明言したこの状態で、世界選手権2大会連続銀メダリストの西山大希、2大会連続代表でパリ世界選手権銅メダリストの小野卓志に捲土重来のチャンスを与えるかどうかが注目されていたが、結果はこの3人を一大会も派遣しないという思い切ったプロテクト。この欧州国際の派遣メンバーは五輪代表選考には絡まず、よって選考に与える影響もない。

西山将士一歩リードで、残るは最終選考会のみ。5月の選抜体重別が、あまりにも重い。

※1月30日「高藤、小野らドイツへ!欧州国際大会追加派遣選手を発表」

■100kg級

【ワールドマスターズ結果】
穴井隆将(天理大職):3位

【ベルギー国際大会】
浅沼拓海(国士舘大1年)

【グランドスラムパリ】
羽賀龍之介(東海大2年)

【ワールドカップ・オーバーヴァルト】
羽賀龍之介(東海大2年)

【グランプリ・デュッセルドルフ】
派遣なし

この階級の代表選手は穴井隆将(天理大職)でまず確定。羽賀龍之介の2大会派遣で「含み」は持たせたものの、徹底研究されている上に疲労で明らかにパフォーマンスを落としている穴井のプロテクトは当然だろう。
羽賀は次代を担うべく2大会派遣という選択となったが、連続400ポイントを得れば五輪圏内のランキング16位は十分視野に入ってくる。今年は全日本選手権が選抜体重別に先んじて行われるため、ここでの活躍も含めてまだまだ可能性は十分。シナリオを全大会優勝という一つに絞って、挑戦権を得る最後のチャンスを与えたというところか。羽賀は12月の2大会をいずれもファン・ヒーテ(韓国)に敗れて勝ちきれておらず、実力にふさわしい成績は収めていない。選考を迷わすだけの活躍を期待したい。

※1月30日「高藤、小野らドイツへ!欧州国際大会追加派遣選手を発表」

■100kg超級

【ワールドマスターズ結果】
上川大樹(明治大4年):2位
高橋和彦(新日本製鐵):5位

【ベルギー国際大会】
王子谷剛志(東海大1年)

【グランドスラムパリ】
石井竜太(日本中央競馬会)、上川大樹(明治大4年)

【ワールドカップ・オーバーヴァルト】
高橋和彦(新日本製鐵)、上川大樹(明治大4年)

【グランプリ・デュッセルドルフ】
鈴木桂治(国士舘大教)、石井竜太(日本中央競馬会)

肘を手術した鈴木桂治は最終戦のグランプリ・デュッセルドルフに参加。
上川はワールドマスターズ2位でどうやら五輪代表戦線に復帰、最重要大会であるグランドスラムパリと次週のワールドカップ・オーバーヴァルトの2大会に派遣される。

この両者が国際大会での成績、内容ともにいまひとつピリっとせず、「悪い方を落とす」消去法での選考もやむなしかと思われる現在の状況で注目を集めるのが、グランドスラム・パリとグランプリ・デュッセルドルフの最重要2大会に派遣されることとなった石井竜太。この2大会いずれにも派遣されるのは男子全階級で石井のみ。3週にまたがって派遣、おそらくは一旦帰国してまた出直すという「セパレート」という異例のスケジュールを採ってまでも石井を試したいという、首脳陣の期待が非常に良くわかる派遣計画だ。
急激な成長の反面、国際大会での経験のなさがアキレス腱である石井はワールドカップレベルから育てていくという考え方もあるはずだが、あえてこのハイレベル2大会への派遣には「このレベルですぐに戦える選手でなければ要らない」という強烈なシグナルも垣間見える。

注目はリネール(フランス)が本気モードで出場してくるパリでの上川、石井の戦闘力、そして十分な調整期間を得た鈴木の出来だ。

※1月30日「欧州国際大会追加派遣選手を発表」



※eJudo携帯版「e柔道」1月30日掲載記事より転載・編集しています。

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