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グランドスラム東京マッチレポート 第1日(60㎏、66㎏、48㎏、52㎏級)

2011年12月31日


※eJudo携帯版「e柔道」12月12日掲載記事より転載・編集しています。

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グランドスラム東京マッチレポート
第1日(60㎏、66㎏、48㎏、52㎏級) 1/4


60㎏級
山本浩史が2連覇
高藤直寿はザンタライア破って3位入賞


【日本人出場選手】
平岡拓晃(了徳寺学園職)
山本浩史(日体大4年)
川端龍(国士舘大4年)
高藤直寿(東海大相模高3年)

11年12月9~11日グランドスラム東京・60㎏級・2回戦・平岡拓晃
写真:初戦、エシムベトフを攻める平岡拓晃
世界選手権2連覇者ソビロフ抜きの「準・世界選手権」とも言うべき豪華なメンバーのトーナメントを準決勝まで勝ちあがったのはいずれも日本人。第1シードの平岡拓晃(了徳寺学園職・WR2位)、第2シードの山本浩史(日体大4年)、講道館杯王者の川端龍(国士舘大4年)、そして高藤直寿(東海大相模高3年)だ。

川端は初戦のガルスチャン(ロシア・WR5位)と3回戦のムーレン(オランダ・WR17位)、山本は4回戦のチョ・ガンヘン(韓国・WR9位)とそれぞれ山場があったが、前半戦最大のみどころは何といっても3回戦、今大会優勝候補ナンバーワンのロッテルダム世界選手権王者ザンタライア(ウクライナ・WR4位)に高校生の高藤直寿が挑んだ試合。

高藤はここまで1回戦でチェン(台湾)を釣込腰「一本」、2回戦では北京五輪金メダリストのペイシャー(オーストリア・WR18位)を大内刈「技有」、隅返「技有」の合技で圧倒しての勝ちあがり。

11年12月9~11日グランドスラム東京・60㎏級・3回戦・高藤直寿の有効
写真:3回戦、高藤直寿が元世界王者
ザンタライアから掬投「有効」で先制
高藤、ザンタライアともに左組みの相四つ。
開始から高藤、左背負投に右袖釣込腰とよく技が出る。59秒、長身のザンタライア釣り手で肩越しに帯を持ち引込返を見せるが身の軽い高藤は自ら跳ねて相手の上にかぶさって「待て」。

高藤の先制攻撃を嫌ったザンタライア、再び釣り手で肩越しに背中を持ち左大外刈。これを待ち構えていた高藤はすかさず得意の掬投。ザンタライア、足が天井まで上がる勢いで持ち上がり、なんとか伏せながらこれを回避するが「有効」、1分24秒。ザンタライアの日本人相手のポイント失陥はおそらくこれが初めて。場内大歓声。

高藤はなおも組み際の腰車に横落で攻めるが、ザンタライアは腰車は小外掛、横落はタイミングを完全に読んで逆側に抜けさして上手く回避。
釣り手で肩越しに背中を持っての攻撃が得意パターンの1つであるザンタライアだが、高藤は相手が肩越しの変形で釣り手を持つ瞬間に前進して足を獲り掬投に飛び込む訓練を十分に積んでおり、ザンタライアは釣り手を叩きいれる度に持ち上げられ窮地に陥る。ザンタライアの意を決した引込返も高藤攻防一致のタイミングで捌き、ザンタライアが体を捨てた瞬間には相手を跳び越えて抑え込みに近い形を作る。ザンタライアやや手詰まり。

11年12月9~11日グランドスラム東京・60㎏級・3回戦・ザンタライアの有効
写真:ザンタライアの力任せの左払腰に
高藤巻き込まれて「有効」
2分45秒過ぎから肩越しの攻撃をあきらめたザンタライア、パターンを変えて突如巻き込み技を連発し始める。高藤は相手の左足を狙った支釣込足などでバランスを崩し接近を防ぐが、3分20秒、ザンタライアが飛び込みながら振り回すような左払腰。巻き込みに変化して思い切り体重を捨てたこの技に小兵の高藤、思わず回ってしまい「有効」。

追いついたザンタライア、小外掛で食いつくが高藤横落で切り返す。ザンタライアが肩越しに背中を持つと高藤すかさず掬投、ザンタアイア手をついて耐えるが高藤は一旦ザンタライアを抱えなおして縦にすると自らの足でその手を刈り倒そうとする。場内沸く。

高藤さらに踵返で相手を伏せさせ攻勢。
一方のザンタライアは先ほどの払巻込に感触を得たか巻込技を連発、疲労した自分を鼓舞するように大きな気合の声を発しながら体を捨てるがことごとくこれは効かず。

11年12月9~11日グランドスラム東京・60㎏級・3回戦・高藤直寿の技有
写真:高藤、ザンタライアの左大外刈を
掬投で切り返し、
相手を乗り越える勢いで体を捨てて「技有」
ザンタライア今度は釣り手で横襟を握って引き手を抱き込み、相四つ変形の形でジリリと圧力を掛ける。圧力負けした相手が内股を掛けて来るところに内股返を狙うこれもザンタライア得意の形だが、高藤はこれにひっかからず細かく立ち位置を変えながら左小内刈に出足払、支釣込足でザンタライアを崩し続ける。焦れたザンタライアの払腰は高藤が返しかかり、ザンタライアは完全に手詰まり。

疲労が明らかなザンタライア、延長戦は不利とみたか残り20秒を切ったところで大きく足を伸ばして左大外刈。高藤、これを一段速い動きで掬投に切り返すとザンタライア高々と持ち上がる。高藤丁寧にこれをコントロールしながら前に走って体を捨てると「技有」。

残り時間はまったくなくこのまま試合終了。高藤、見事日本人では初めての「ザンタライア狩り」に成功した。それも、ザンタライアの背中を取っての攻撃、横変形に構えての返し技狙いという2大攻撃パターンを完全に潰しての完勝。ザンタライアは思考を停止しての巻込技狙いにまで追い詰められており、内容と結果全てを手にする文句なしの勝利であった。

長くソビロフと2強を形成してきたザンタライアの壁を破った意味は大きい。これまで山本や志々目徹(日体大2年)などポスト平岡としてクローズアップされてきた選手はことごとく2強の壁に跳ね返され、ゆえに国内の序列をひっくり返すに至らなかった経緯がある。高藤は早くもこれまでの挑戦者とは位相が違う位置に身を置いたことになる。

高藤は4回戦(準々決勝)の強敵ダバドルジ戦も快勝。序盤その圧倒的なパワーを前に厳しい戦いが予感されたが、2分13秒に横落をねじ込んでの「有効」、3分32秒にケンカ四つの背中を持たれたところを左背負投で「技有」、3分45秒に掬投「技有」、4分23秒には釣り手で脇を差してお互いの動きを殺しあったところに鋭い左小内刈を合わせて「一本」。有効、技有、一本と全てを得るサイクルヒット状態でこの試合を突破、見事準決勝へと駒を進めた。

11年12月9~11日グランドスラム東京・60㎏級・1回戦・川端龍
写真:初戦、
ガルスチャンを上四方固で降す川端
準決勝第1試合は平岡拓晃と、平岡の近大福山高の後輩でもある川端龍が激突。

平岡は2回戦でエシムベトフ(ウズベキスタン)を背負投「技有」、3回戦はエンゲルマイアー(ドイツ・WR20位)を小内刈「一本」(4:24)、ムシュキエフ(アゼルバイジャン・WR10位)を小内巻込「技有」という勝ち上がり。

一方の川端は初戦でいきなりガルスチャン(ロシア・WR5位)を巴投「有効」と上四方固(3:14)で降し、3回戦はしぶとさが身上のムーレン(オランダ・WR17位)から「指導1」を奪った末にGS僅差3-0で競り勝って4回戦へ。キタダイ(ブラジル・WR16位)、ムラドノフ(ロシア・WR7位)を降して勝ち上がってきたキム・ウォンジン(韓国)をGS延長戦の末に腕挫十字固に仕留め、厳しいブロックを勝ち抜いてのベスト4。

11年12月9~11日グランドスラム東京・60㎏級・準決勝・川端龍の一本
写真:準決勝開始早々、川端の朽木倒が
決まり平岡は裏返し、「一本」
平岡、川端ともに右の相四つ。
開始最初の手合わせ、川端は両襟で平岡の右片襟を握って上下に煽ると右小内刈、すかさず引き手で足を取って朽木倒に繋ぐ。川端得意のこの技に平岡身を捻って逃れようとするが、片襟を握った石川の釣り手が効いており回避しきれない。平岡あっさり背中から畳に突き刺さり「一本」。僅か15秒。

しぶとい川端を相手に長期戦を覚悟していたのか、平岡の入り方ははあまりに不用意だった。篠原信一・男子監督は「怪我が多くて詰めた稽古をしていない」とかばったが、講道館杯に続いての一本負けはイメージダウン必至。反射神経と空中感覚、身体能力の高さが売りの平岡だが、後ろ側への足技に反応が遅れてまっすぐ背中をついたこの2試合は加齢による衰えを指摘されても文句が言えない負け方であった。階級全体を見渡したときに日本の一番手はまだまだ平岡であることは間違いなく、ワールドマスターズでの復調を期待したいところ。

11年12月9~11日グランドスラム東京・60㎏級・準決勝・山本浩史の技有
写真:準決勝、
山本の左内股が高藤を捕らえ「技有」
準決勝第2試合は第2シードの山本浩史と高藤直寿がマッチアップ。若手一番手として世界選手権にも出場した山本、今大会でその「2番手」の地位を奪いたい高藤という構造の一戦だ。山本はここまで2回戦でアルベス(ブラジル)を内股(0:44)、3回戦はコサエフ(カザフスタン・19位)に「指導3」、準々決勝はチョ・ガンヘン(韓国・WR9位)と「指導2」(いずれも同時)を取り合った末にGS僅差3-0で勝利という勝ち上がり。

山本、高藤ともに左組みの相四つ。
高藤開始早々に相手の左側から接近して引き手を得ると得意の横落。しかしこれは山本が潰して「待て」。
再開後、山本が上からかぶり、接近したまま引き手の手繰りあいを選択。両者が釣り手を殺しあった両袖の形から双方が左小内刈で攻めあう。

1分1秒、再びお互い前屈して折り重なり、引き手を手繰りあった展開で主審は「待て」。極端な防御姿勢の判断で両者に「指導1」。この前屈膠着の展開は2度目であり、以降の試合展開に及ぼす影響を考えて早い段階で「指導」を与えた、これは主審の好ジャッジ。

直後、再び両袖を握り合ったところから山本が高藤を時計回りに動かしながら、スピードアップして軸足を外側に回して左内股。長身の山本が遠心力を利用したこの技に高藤抗えず吹っ飛び「技有」。

11年12月9~11日グランドスラム東京・60㎏級・準決勝・抑込
写真:山本が肩固でガッチリ高藤を抑え込む
相手を飛び越えて1回転した山本は高藤の下に入り込み、高藤が横四方固を狙おうとするところを脇下をさしてめくり返し、絡んだ高藤の足を突き離すと肩固に抑え込む。高藤ブリッジで抵抗するが動けず「一本」。山本が貫禄を見せ付けた試合だった。

山本の内股は小兵の高藤の技術を粉砕する、ザンタライアが「有効」を奪った場面を彷彿とさせる技だった。潜在能力の高さと可能性を見せ付けながら2回投げられて敗れた高藤はこの大会で、シニアで戦っていく上での課題がひとつ見つかった印象だ。

11年12月9~11日グランドスラム東京・60㎏級・決勝・ケンカ四つ
写真:決勝、ケンカ四つの川端は
片手の右背負投に体落で攻める
大学4年生同士の対決となった決勝は山本が左、川端は右組みのケンカ四つ。

山本は片襟の左小内刈、川端は右体落で攻めあう。

40秒、組み手の膠着を嫌った山本、相手を外側にすべり動かしながら釣り手で奥襟を持って片手の左内股で川端を跳ね上げる。川端場外に逃れ「待て」。

ジックリ勝負したい川端、釣り手を上から絞るが山本は脱出。川端は引き手を争いながら片手の右背負投、釣り手を小さく畳んでの右背負投で攻め、山本は機を見て左小内刈に左内股で攻める。

内股ファイターの山本は本来ガップリ2本持たないとなかなか攻撃ができないはずだが、組み手にこだわり過ぎて展開を失ってはならじと釣り手で背中をもった片手の左内股で川端を大きく浮かせ、引き手で相手の左裾を握った左小内刈などで徐々に流れをつかみ始める。

3分過ぎ、山本が片襟を握った変則の左内股、さらに奥襟を握った左内股で攻め込むが川端得意の出足払で大きくこれを切り返し、山本畳に勢いよく伏せ落ちる。しかし山本の攻撃は止まらず、4分1秒ついに川端に「指導1」。
直後、山本が左小内刈を押し込むと川端は伏せて逃れ、流れはどうやら完全に山本。

11年12月9~11日グランドスラム東京・60㎏級・決勝・一本
写真:山本が朽木倒「一本」で勝負を決める
4分26秒、釣り手で奥襟を握った山本、長い足を伸ばして鋭い左小内刈。すかさず朽木倒に変化して川端を押し込むと、伏せようとした川端を釣り手でしっかりコントロールしながら体を捨てる。後襟で首を制された川端は頭から畳に突き刺さり文句なしの「一本」。山本が2年連続のグランドスラム東京優勝を達成した。

平岡追撃の一番手に挙げられ、順当に世界選手権代表となった山本だったが初の世界大会は入賞なし。実業王者の石川裕紀(了徳寺学園職)に川端、そして新鋭高藤と2番手の座を狙う勢力に狙われる立場となったが、今大会でしっかりこの追撃を跳ね返し、国内2番手の座を確保しなおした大会となった。現状、五輪代表レースは一番手平岡、2番手に山本という序列は保留。しかし、山本は3番手以降を突き放し、GS東京2連覇で平岡との差も詰めたと言っていいだろう。両者の直接対決が待たれる。

11年12月9~11日グランドスラム東京・60㎏級・優勝・山本浩史
写真:国旗掲揚に臨む山本
【入賞者】 (エントリー39名)
1.YAMAMOTO, Hirofumi(JPN)
2.KAWABATA, Ryo(JPN)
3.HIRAOKA, Hiroaki(JPN)
3.TAKATO, Naohisa(JPN)
5.CHOI, Gwang-Hyeon(KOR)
5.DAVAADORJ, Tumurkhuleg(MGL)
5.KIM, Won Jin(KOR)
5.MUSHKIYEV, Ilgar(AZE)

【準決勝】
川端龍○朽木倒(0:15)△平岡拓晃
山本浩史○合技[内股・肩固](2:04)△高藤直寿

【決勝】
山本浩史○朽木倒(4:26)△川端龍

11年12月9~11日グランドスラム東京・60㎏級・入賞者
写真:入賞の4人。
左から川端、山本、高藤、平岡
山本浩史選手のコメント
「決勝は同世代の選手なので絶対に負けられないと思って臨みました。勝てて嬉しいです。篠原監督にも『強い外国人選手を他の選手が倒してくれた』と言われましたが、その通りで、ラッキーな部分もありました。首の皮がなんとかつながったという感じです。世界選手権に負けてからなかなか勝てず、これではダメだと思っていたので、まだ自分がいるということをアピールできて良かったです。オリンピックで金メダルを獲りたいと強く思っていますので、これからも頑張ります」

平岡拓晃選手のコメント
「どうしてあのような柔道をしてしまったのかという思いが強い。まだまだです。先、先、と技を掛けられてしまいましたし、自分の柔道が出来なかった。怪我を治して、もう一度気を引き締めて、頑張りたいです」

高藤直寿選手のコメント
「誰に勝ったとかではなく、優勝しなければ意味がないと思います。まだまだ練習が足りない。来週、中国の大会(グランプリ・青島)があるのでそこでしっかり優勝して今年を終わりたいです」


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※eJudo携帯版「e柔道」12月12日掲載記事より転載・編集しています。

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