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インターハイ女子個人戦マッチレポート

2011年9月4日

※eJudo携帯版「e柔道」8月19日掲載記事より転載・編集しています。

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インターハイ女子個人戦マッチレポート 1/4
48㎏級、52㎏級


■48㎏級 急成長の1年生山田樹、ジュニア王者玉置桃を降して初優勝

11年8月12日インターハイ女子個人・48㎏級準決勝・玉置桃
写真:玉置桃(右)と濱田早萌の準決勝
決勝に進出したのは優勝候補筆頭の玉置桃(藤村女子高)とダークホースの1年生選手・山田樹(宮崎商高)の2名。

22年全日本ジュニア王者の2年生・玉置は1回戦で井下築(大垣日大高)を僅か39秒で一本背負投、佐藤友美(好間高)を内股(2:59)で退ける連続一本勝ちの立ち上がり。3回戦は安達紗緒里(阿蘇高)に僅差とやや苦戦したが、準々決勝は川久保七彩(西京高)に2分10秒小外掛を決めて一本勝ち。準決勝は22年度世界ジュニア44kg級王者濱田早萌(大成高)との大一番を左袖釣込腰、右体落と攻め続けて「指導2」を奪って優勢勝ち。評判に違わぬ強さで決勝進出を決めた。

11年8月12日インターハイ女子個人・48㎏級決勝・決勝進出の山田樹
写真:決勝進出の山田樹
一方の山田は九州大会では圧勝で優勝しているものの戦前評では全く無印と言ってよかった存在。
2回戦は名越絵美(新田高)から「技有」の優勢勝ち、3回戦は関東3位の岸本京子(龍ヶ崎第一高)から「指導2」の優勢勝ちでこのあたりまでは組み合わせに恵まれた感もあったが、準々決勝では22年チューリンゲン国際44kg級優勝の岡本理帆(藤枝順心高)に旗判定の末に僅差の優勢勝ち、準決勝では昨年3位の當間まみ(沖縄尚学高)を「指導2」で破るなど強豪を連続撃破しての決勝進出だ。

11年8月12日インターハイ女子個人・48㎏級決勝・山田樹が担ぎ技を継続
写真:山田が
玉置の股中に潜り込んでの担ぎ技を継続
決勝は玉置、山田ともに右組みの相四つ。
山田両袖を掴んで玉置の組み手を殺しに掛かる。玉置組み手をなおさず右小内刈を放つが山田これを左出足払に切り返す。玉置、左一本背負投を放つが山田崩れず。

山田、右背負投で股中にもぐりこむ。玉置表情を変えずにこれをまたいで突き飛ばすが、山田さらに食いつき続けて玉置を無理やり伏せさせる。

山田再度両袖の袖釣込腰、玉置も左袖釣込腰を打ち返すが、山田左大腰に右体落と先んじて技を仕掛ける。2分過ぎまでやや淡々とした攻防。


11年8月12日インターハイ女子個人・48㎏級決勝・玉置桃は自分の形を作れない
写真:玉置は組み手の一手目で後手を踏み、
自分の形を作れない
そろそろ玉置はエンジンを掛けたいところだが、山田徹底して左引き手で玉置の右脇を突いて距離を取り、玉置が前に出る、あるいは組み手を直そうとする刹那に右背負投、左袖釣込腰に掛け潰れ、玉置なかなか十分な形での攻撃が出来ない。山田が再び玉置の右脇を突き、右背負投に潰れた残り49秒で玉置に「指導1」。

ようやく焦りの見えてきた玉置、遠い間合いから足を差し入れて右内股で山田を伏せさせるものの、相変わらず正面からの接近にこだわり、ことごとく組み手の一手目で山田に右脇を掴まれて距離をとられてしまう。山田が座りこむような右背負投、これを玉置が膝車に切り返すが山田朽木倒で食いついて玉置を伏せさせる。
山田が手数の優位を保ったまま試合はGS延長戦へ。

11年8月12日インターハイ女子個人・48㎏級決勝・山田樹仕掛け続ける
写真:山田は担ぎ技を仕掛け続ける
玉置この段にいたっても正面からの接近を続け、壁を2枚向かい合わせたようなその位置関係の中で、山田にことごとく右襟、あるいは右釣り手袖を先に掴まれてしまう。山田は右体落に両袖を持っての右内股と立て続けに仕掛け攻勢。

GS30秒過ぎの右背負投は玉置余裕を持って回り込んでいなすが、手数は山田。実は試合のアクションは強い玉置を止めるというところからスタートしているのだが、形としては山田の攻勢で試合は推移を続ける。

攻勢を悟った山田、一転奥襟を叩いて状況の保全を図るが、玉置すかさず右背負投で展開を切る。
残り40秒を切り後のなくなった玉置、膝車に右小内刈、左一本背負投で猛攻。右内股、右大内刈を打ち返していた山田、残り30秒を切ったあたりからこの玉置の猛攻にさらされ厳しい時間帯となったが、なんとかこれを逃げ切り時間。
旗判定は3本が山田に揃い試合は決着。僅差3-0の優勢勝ちで山田が1年生にしてインターハイ王者の座を獲得した。
疲労と感激で思わずその場で膝に手をつき、涙を見せた山田。もちろん本人にとってはこれが全国大会初タイトルである。

決勝は淡々と進行した本戦前半の展開がポイント。実力に大きく勝ると見られた玉置は、相手の良いところを殺してくる山田の手堅い組み手に対して安閑と構え、「いつかは取れる」とばかりに正面から接近、釣り手で前襟をまっすぐ狙いにいく安易な組み手に終始した。
壁に石を投げつけるようなこの組み手はことごとく山田の張った網に捕まり、常に引き手を得ることに成功した山田の連続攻撃を許した。スクランブルを掛けたときには山田は玉置の間合いを掴んで勢いづいておりもはや止めることは叶わず。山田の柔道は決して華麗ではなかったが、相四つの相手に引き手側から持つ、先に掛けるという基本を愚直に繰り返したその覚悟が、天才玉置の一発に勝ったという試合だった。

山田は大阪・長尾中からこの春宮崎商に入学したばかり。中学時代は全国大会でも2回戦敗退で入賞歴すらなかったが「環境が合ったのか、一気に伸びた」(菊川慶一・宮崎商監督)とのこと。今回は強い相手に挑むという立ち位置で日本一の座を獲得した山田、インターハイチャンピオンという栄光を手に入れて今後その柔道がどう成長していくか、楽しみである。

山田樹選手のコメント
「優勝は狙っていました。技術では負けても心では負けない、気持ちで勝つ、と頑張りました。(急に強くなったのは)高校から地元を離れて、覚悟ができたことが大きいと思います。宮崎商の練習は厳しいけど内容が素晴らしいです。次の目標はインターハイ連覇。将来は世界で優勝する選手になりたい」

11年8月12日インターハイ女子個人・48㎏級・優勝の山田樹
写真:優勝の山田樹
【入賞者】
優勝:山田樹(宮崎商高)
準優勝:玉置桃(藤村女子高)
第3位:當間まみ(沖縄尚学高)
第3位:濱田早萌(大成高)
ベスト8:岡本理帆(藤枝順心高)、大塚桃代(久留米商高)、川久保七彩(西京高)、経澤絵奈(おかやま山陽高)

【準々決勝】
山田樹○優勢[指導2]△岡本理帆
當間まみ○GS有効(GS0:07)△大塚桃代
玉置桃○小外掛(2:10)△川久保七彩
濱田早萌○横四方固(3:37)△経澤絵奈



【準決勝】
山田樹○優勢[指導2]△當間まみ
玉置桃○優勢[指導2]△濱田早萌

【決勝】
山田樹○GS僅差△玉置桃


■52㎏級 1年生チャンプ続出、出口クリスタが待望の全国初制覇

11年8月12日インターハイ女子個人・52㎏級準決勝・返しを狙う宮川拓美
写真:志々目の内股巻込に返しを狙う宮川
決勝に進出したのは志々目愛(宮崎日大高)と出口クリスタ(松商学園高)の2名。

優勝候補の一角である志々目は1回戦で上村愛(星翔高)に内股(2:20)、2回戦は増田彩花(福井工大福井高)に合技(4:08)、3回戦は関谷栞菜(桜丘)に内股(0:06)、準々決勝、強豪の太田千鶴にはGS延長戦の末大内返(SG1:41)とオール一本の圧倒的な強さで勝ち上がり、準決勝で優勝候補筆頭、これもここまでオール一本勝ちの昨年度王者・宮川拓美(小松大谷高)と対戦。

この試合は志々目、宮川ともに左組みの相四つ。
序盤、志々目は宮川の左内股を崩すと背中について寝技を選択。応じた宮川は下から引き込むが、志々目逆に覆いかぶさり抑え込みに移行。が、これは宮川4秒で逃れる。
宮川の攻撃力をまともに浴びたくない志々目、先、先に技を掛けて展開を切る。これを追いかけたいい宮川、相手の袖口を握ってしまい1分48秒宮川に「指導1」。
以降志々目は宮川がしっかり組む前に左払巻込、内股巻込に掛け潰れ続け、宮川時折威力十分の左内股、右一本背負投を打ち返し、いずれも志々目大きく浮くが辛くも伏せて耐える。手数の志々目、一発の予感を漂わす宮川という展開。
試合後半に入ると志々目の掛け潰れは頻度を増し、巻き込みを仕掛けるなり頭を下げて潰れること多々。しかし宮川の体も傾く、あるいは返しを狙って食いつくためにこれは偽装攻撃とは判断されず、試合は両者ポイントの上積みなくGS延長戦へ。

11年8月12日インターハイ女子個人・52㎏級準決勝・志々目愛の技有
写真:志々目、お互い両膝をついたところから
軸足を振り上げ回して1回転し「技有」奪取
GS1分41秒、志々目またも左内股巻込を仕掛け、これも掛けつぶれて両膝が畳に着く。宮川が体を寄せて食いつき、横についてこれを止める。いったん両者の動きが止まったが、志々目得たりとばかりにそこから軸足を振り上げて体を回し、宮川の背中で横回転する形で身体を捨てて強引にめくり返す。宮川しばし耐えるが接近している分耐え切れず回ってしまい「技有」。試合は意外なあっけなさで終了。

先、先に低い技を仕掛け、返される前に潰れ、相手がこれに乗ってきたと見るや一転粘って決めに掛かる。決して見目良い柔道ではなかったが、宮川を強者と規定して根気強く自分のやり方を貫いた志々目が勝利という果実を得た形で、見事決勝へと駒を進めた。

11年8月12日インターハイ女子個人・52㎏級準決勝・出口クリスタ
写真:決勝進出を決めた出口クリスタ
逆側の山からは、ダークホースと言ってよい、22年全国中学大会3位、23年全日本カデ選手権2位の出口クリスタ(松商学園)が決勝進出。

出口のブロックには優勝候補の楠智恵(奈良育英高)も配されていたが楠は2回戦で橋本恵理子(三浦学苑高)に「技有」を取られて早々に敗退。
出口は本命の消えた混戦ブロックを1回戦で田村静香(板野高)を巴投(0:57)、2回戦は江越理恵(佐賀東高)を横四方固(1:27)、3回戦は岡本貴子(伊香高)を腕挫十字固(2:07)、準々決勝は鶴岡来雪(新田高)を大内刈(0:47)とオール一本で勝ち上がり準決勝進出。準決勝は地元・秋田代表の阿部菜那(本荘高)を攻めまくり「有効」を奪って勝利し、5戦して4つの一本勝ちという好成績で決勝へと駒を進めた。

11年8月12日インターハイ女子個人・52㎏級決勝・出口クリスタの有効
写真:出口、出足払「有効」で先制
決勝は志々目が左、出口が右組みのケンカ四つ。

出口長いリーチで右釣り手を突き、巴投の先制攻撃。
対抗して左釣り手を操作しながら志々目、真横へ移動して出口の動きを引き出そうとするが、その刹那、志々目の横へのステップに出口は鋭い出足払を合わせる。タイミングドンピシャリ、一間早い感覚で技を打たれてさすがに志々目も反応が遅れ、膝をついたところを出口が胸を合わせて押し込んで「有効」。36秒。
リードを得た出口、志々目の突進力の前にやや下げられながらも右小外刈に巴投といなしながら攻撃継続。1分過ぎの右小外刈は志々目の左背負投に切り返されるが、1分31秒には組み際の右大内刈で志々目を伏せさせて展開をキープ。2分、志々目に「指導1」。

2分10秒、出口の右背負投を志々目が左内股に切り返す。徐々に志々目の圧力が掛かり始めた2分11秒、出口が片襟を両手で握り続けたという判断で出口に「指導1」。

11年8月12日インターハイ女子個人・52㎏級決勝・出口クリスタがしのぐ
写真:志々目猛攻も出口なんとかしのぎ続ける
攻めるしかない志々目だが、出口は二段の右小外刈に出足払と足技を繰り出して志々目の攻撃のきっかけを挫く。志々目、左内股に左背負投で攻め続けなんとかあと一つの「指導」を得んとするが、出口、相手の技を受けて支釣込足、右背負投に右内股と丹念に打ち返して差はつかず。このまま時間となり、出口が「有効」による優勢勝ちで初の全国タイトルを獲得した。

出口は前述の通り全国中学大会では3位、4月の全日本カデ選手権でも2位と、一学年下の米澤夏帆(香長中3年)に蓋をされて全国タイトルはなし。下馬評も「上位候補」というランクに留まっていたがその評価を覆す大活躍を見せての優勝だった。

急成長の理由を問われ、「高校に入って親のありがたみ、支えてくれる周囲の温かさに気づいたから」と分析してみせた出口。カナダ人の父親を持ち、女子では初の外国籍チャンピオンと話題性も十分、抜群のルックスも相まってインタビューには一般紙の記者も列をなす人気ぶりだったが、足技のセンスに勝負どころを見極めるカンとその柔道は間違いなく本物。まだ組み際の技、相手が攻めに出てきたときの技が多いのが気になるが、しっかり地力をつければ、久々に「柔道」発のスポーツ界のヒロインに成長する可能性もある。まずは連敗中の米澤超えが課題となるが、間違いなく今後要注目の選手だ。

出口クリスタ選手のコメント
「決勝に出て宮川(拓美・小松大谷高)選手と試合すると心に決めていたので、準決勝で負けてびっくりしました。決勝は自分が去年負けた悔しさを思い出して頑張りました。(急成長の理由は?)中学までは自分1人と先生で柔道をしていた気がしますが、高校に入って親のありがたみがわかりましたし、技を受けてくれる人や支えてくれる人たちのために頑張るという気持ちが出てきたからだと思います。日本からでもカナダからでもいいので、将来はオリンピックの舞台に立ちたいです」

11年8月12日インターハイ女子個人・52㎏級決勝・優勝の出口クリスタ
写真:優勝の出口クリスタ
【入賞者】
優勝:出口クリスタ(松商学園高)
第2位:志々目愛(宮崎日大高)
第3位:宮川拓美(小松大谷高)
第3位:阿部菜那(本荘高)
ベスト8:坪田和美(八千代高)、太田千鶴(埼玉栄高)、佐々木愛(小牛田農林高)、鶴岡来雪(新田高)

【準々決勝】
宮川拓美○縦四方固(1:45)△坪田和美
志々目愛○GS大内返(GS1:31)△太田千鶴
阿部菜那○優勢[有効]△佐々木愛
出口クリスタ○優勢[有効]△鶴岡来雪

【準決勝】
志々目愛○GS技有(GS1:41)△宮川拓美
出口クリスタ○優勢[有効]△阿部菜那

【決勝】
出口クリスタ○優勢[有効]△志々目愛

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※eJudo携帯版「e柔道」8月19日掲載記事より転載・編集しています。

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