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インターハイ男子個人戦マッチレポート

2011年8月27日

※eJudo携帯版「e柔道」8月16日掲載記事より転載・編集しています。

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インターハイ男子個人戦マッチレポート 1/4
60㎏級、66㎏級


■60㎏級 高藤直寿が悠々2連覇

11年8月10日インターハイ男子個人・準決勝・高藤直寿
写真:準決勝、高藤直寿(上)が掬投「一本」
決勝に進出したのは高藤直寿(東海大相模高)と田中崇晃(白鴎大足利高)の2名。

2連覇を狙う高藤は優勝候補筆頭。1回戦の大石豊(徳島商高)戦は投げられまいと前に出てこない相手を逆(右)側への肩車「技有」、さらに左内股「技有」の合技で僅か1分39秒で一蹴。2回戦は柴田峻輔(久留米商高)を1分24秒で合技、3回戦は田中雄二郎(福井工大福井高)をこれも1分55秒という短い時間で肩車に仕留め一本勝ち。準々決勝の勝野智大(埼玉栄高)戦こそ「技有」による優勢勝ちだったが準決勝は僅か55秒で枠谷逸平(箕島高)に52秒で掬投を決めて一本勝ち。いずれの技も豪快かつ鋭く、投げるたびに観客席から思わずどよめきが起こること多々。まさに大会の華と言って良い勝ちっぷりの良さでの決勝進出だった。

11年8月10日インターハイ男子個人・決勝・田中崇晃
写真:一本勝ちを連発して
決勝に進出した田中崇晃
一方、高藤以下が大混戦となっている今大会を決勝まで勝ちあがった田中は1回戦で10年全国中学大会55kg級1位の中原諒人(比叡山高)を背負投「一本」で降すと、2回戦の真田基生(中京高)から「有効」を奪って勝利。ここからは福本翔平(西陵高)から背負投(2:18)、大きな山場と見られた藤澤征憲(足立学園高)との準々決勝も背負投(0:32)、準決勝では末木貴将(近大福山高)を払巻込(GS0:09)と一本勝ちを連発。こちらも圧勝と評して良い勝ち上がりの良さでの決勝進出。

11年8月8日インターハイ男子個人・決勝・袖釣込腰
写真:序盤、高藤は右袖釣込腰を連発
決勝は高藤、田中ともに左組みの相四つ。
高藤、両袖を絞ってくる田中に対し右袖釣込腰。セオリー通りに引き手側から組み、横移動して田中を引き出す。対抗した田中、組際に釣り手で高藤の左内中袖を叩くような左背負投を見せるが不十分。高藤は右袖釣込腰での対抗を続ける。

攻めのギアを上げることなく冷静に試合を進めていた印象の高藤だったが、1分20秒の田中の左背負投に乗りかかってしまい、若干拮抗の匂いが漂い始めたこのタイミングで攻めて出る。2分43秒、引き手で袖、釣り手で横襟という十分な組み手を得ると右袖釣込腰のモーションで相手を釣り出しておき、鋭い左小内刈を放つ。やや間合いが遠く高藤の体が伸びたが、決めのコントロールがすばらしく、田中は一歩下げられたときには完全に制動を失っていた。そのまま一気に追い込んで背中をついた田中に覆いかぶされば文句なしの「一本」。センス抜群、と思わず手を打ちたくなるような切れ味鋭い技で、あっさりと大会2連覇を決めてみせた。

11年8月10日インターハイ男子個人・決勝・高藤直寿の小内刈
写真:高藤の左小内刈が炸裂
この日の高藤、技の切れは勿論、技の組み合わせというその運用面が素晴らしかった。頭ひとつもふたつも抜けた優勝候補の高藤には当然相手はディフェンス前提で来るわけだが、内股の跳ねを警戒する相手には担ぎ、左技が警戒されれば餌を巻いておいて右側への肩車(横落)、相手に掛けさせておいての掬投、そして決勝で決めた小内刈と、相手の弱い方向、苦しい方向へいずれも「一本」を狙える大技があることとそれを瞬時に見極める柔道頭の良さ、技個々の切れよりもこれが光っていた。

そして高藤と言えば、「足取り禁止」ルールの国内施行第1回大会となった09年全日本ジュニアでダイレクト反則負け、以降得意としていた掬投や肩車を封印せざるを得なくなったという経緯が有名だが、あれから2年、すっかり新しいスタイルを確立した感がある。その柔道は内股に担ぎ技、足技が軸。大技の肩車も「足を持たない」ニュースタイルを確立、掬投はルール適用の落ち着きを受けて「ボディコンタクト」と「受け」の2要素を満たして運用、攻撃のアクセント、バリエーションとして本来あるべき姿でキッチリ残している。担ぎ、跳ね、刈り、払いに奇襲の捨て身技とバリエーション豊かなこのスタイルははっきり言ってかつての高藤よりも数段魅力的だ。才能と努力が押し上げた現在の高藤が今後のジュニア大会でどこまで成績を残すか、そして人材が薄くなった感のあるシニアカテゴリの60kg級でどこまでやれるのか、興味は尽きない。

上位候補の55kg級勢は藤澤征憲が前述の通り田中に準々決勝で敗退。中学時代から数々の国際大会に抜擢されてきた泉谷僚児(天理高)は初戦で丸山勇輝(東日本国際大昌平高)にGS僅差で敗れて上位進出はならなかった。

高藤直寿選手のコメント
「(2連覇の)プレッシャーは全くありませんでした。オール一本ではなかったし、合格点ではないですね。決勝の相手は自分の地元の選手でもあるし、しっかり勝たなければとは思っていました。お互い合同稽古などでやり方をしっている選手ですが、二つ持てれば行けるだろうと焦りはありませんでした。なので前半は今練習している相四つの袖釣込腰を掛けていくことができて、それは良かったと思います。(パワーが増した?)ウエイトトレーニングよりは、試合がないときに重量級の選手と稽古をして柔道力をつけています。減量もないですし。目の前の目標をひとつひとつ、次は全日本ジュニアで優勝を目指します」

11年8月10日インターハイ男子個人・優勝・高藤直寿
写真:優勝の高藤直寿
【入賞者】
優勝:高藤直寿(神奈川・東海大相模高)
準優勝:田中崇晃(栃木・白鴎大足利高)
第3位:末木貴将(広島・近大福山高)
第3位:枠谷逸平(和歌山・簑島高)
ベスト8:坂田尚也(東京学館新潟高)、藤澤征憲(足立学園高)、勝野智大(埼玉栄高)、丸山勇輝(東日本国際大昌平高)

【準々決勝】
末木貴将○体落(1:27)△坂田尚也
田中崇晃○背負投(0:32)△藤澤征憲

高藤直寿
○優勢[技有]△勝野智大
枠谷逸平○内股(1:59)△丸山勇輝

【準決勝】
田中崇晃○GS払巻込(GS0:09)△末木貴将
高藤直寿○掬投(0:52)△枠谷逸平

【決勝】
高藤直寿○小内刈(1:53)△田中崇晃


■66㎏級 高市賢悟、苦しい試合を粘って久々の日本一

11年8月10日インターハイ男子個人・3回戦・高市賢悟
写真:3回戦、小内刈を決めて一本勝ちの
高市賢悟(右)
人材豊富な66kg級、昨年王者の橋口祐葵(延岡学園高)が2回戦で畑中秀飛(箕島高)に「技有」優勢で敗退、早々に畳を後にするという波乱を経て決勝に進出したのは、高市賢悟(新田高)と仁田隆一(大牟田高)というともに前評判の高かった2人。

高市は1回戦で高橋亨介(山形工高)を横四方固(1:53)、勝負どころの2回戦で強豪の島谷隼平(崇徳高)をGS有効(GS1:03)、3回戦は仲保一輝(福井工大福井高)を小内刈(2:54)、準々決勝で吉野隆(大垣日大高)に総合勝ちで準決勝進出。準決勝では昨年ベスト8、今期九州大会2位の強敵・堅山将(鹿児島情報高)と対戦。

この試合は48秒に高市が引込返「有効」で先制したが以降は竪山が左背負投に左内股と圧倒的に攻め、2分40秒で高市に「指導2」まで与えられスコアはタイに。残り17秒では一旦高市に「指導3」が宣告される(取り消し)ところまで追い詰められたが、GS延長戦突入後は高市が奥襟を叩いて右内股を連発、残り57秒で「指導1」を奪うと、タイムアップ直後ながら右背負投で竪山を1回転させる。延長での優位とこの印象点が効いて、旗判定はいずれも高市、僅差3-0でこれをモノにして辛くも決勝進出を決めた。

11年8月10日インターハイ男子個人・決勝・仁田隆一
写真:仁田隆一はオール一本勝ちで決勝に進出
一方九州王者・仁田隆一は優勝候補にふさわしい勝ち上がり。2回戦は長野章太郎(松本第一高)を大外刈(2:27)、3回戦は強豪の小野大樹(大成高)を横四方固(0:54)で一蹴、準々決勝は山田大樹(花咲徳栄高)をこれも横四方固(1:03)で降すと、準決勝は佐藤剛(國學院栃木高)を僅か54秒の内股「一本」で片付け、全試合一本勝ちという圧倒的な成績で決勝へと勝ち上がってきた。

11年8月10日インターハイ男子個人・66㎏級決勝・出足払、有効
写真:仁田が出足払「有効」で先制、試合を支配する
決勝は高市が右、仁田が左組みのケンカ四つ。高市開始早々の右内股をあっさり透した新田、気合の声とともにこれを畳に叩きつけ(ノーポイント)、すかさず寝技を狙い気合十分。
新田前に出続けては左小内刈、左小外刈で攻め高市は守勢。1分3秒に見せた高市の巴投も下がりながらの技で仁田あっさり捌く。ならばと高市が相手の背中を取って膝をつき、体を捨てるように飛び込んだ右大内刈むが仁田これをなんなく左内股に切り返し、再開直後には出足払一発で高市がドウと崩れ伏せる。どうやらパワーでは圧倒的に仁田優勢で、1分36秒高市に「指導1」。

直後、再開と同時に前に出た仁田が左出足払を鋭く放てば高市これにつかまり「有効」。試合の流れは完全に仁田。
しかし高市、1分59秒に右背負投。両手で相手の片襟を握って仕掛けるこの技に仁田虚を突かれたか大きく1回転して「技有」。

11年8月10日インターハイ男子個人・66㎏級決勝・高藤直寿
写真:リードを奪った高市、
右背負投を仕掛け仁田の攻撃を止める
圧倒的優勢から一点、ビハインドを負った仁田奮起して猛攻。前に出て出足払を連発、そこから払腰、内股に繋ぎ、2分44秒には左体落で高市を伏せさせ、2分50秒には奇襲の肩車も見せる。
しかし、この数十秒を凌ぐとさしもの仁田の猛攻も一段落。高市は釣り手一本の右背負投、ケンケンの大内刈、巴投に寝技を織り交ぜて時間を消費。残り30秒過ぎからの再度の仁田の波状攻撃に、残り5秒で「指導2」を失ったがなんとか逃げ切り、「技有」による優勢勝ち。見事インターハイチャンピオンの座を射止めた。

地力は明らかに仁田が上、しかもその仁田にリードを許すという苦しい展開だったが「練習してきた」という変形の背負投の一発で逆転、質的に異なる一発を備えていたことで厳しい試合を乗り切った。逆転直後の相手の波状攻撃を凌ぎきった精神力も見事。明らかに不利だった試合を延長戦で逆転した準決勝も含め、高市の勝因はこのメンタル面でのタフさと勝負どころを誤らない集中力だったと言える。

高市は小学生時、体重30kg台で無差別のタイトル(全国少年柔道大会個人戦)を獲得して以来の日本一。以降は常に全国大会上位に絡みながらなかなかタイトルに手が届かなかったが、高校生最後のインターハイでついに戴冠。無骨なたたずまいに時々笑顔を浮かべながら久々の日本一の味を噛み締めていた。

優勝候補筆頭の橋口祐葵は前述の通り1回戦敗退、上位進出が有力視されていた安昌林(桐蔭学園高)は初戦で3位入賞の竪山将に僅差で敗退、東京代表の峰岸悠介(足立学園航)は初戦で細木智樹(高知南高)に掬投で一本負けし、入賞はかなわなかった。

高市賢悟選手のコメント
「うれしいです。昔のことなので小学生時代のことは意識したことはないです。決勝は組めたけど技に繋げることが出来ず苦しい試合でしたが、試合前に先生に『1位と2位は全然違う』と言われたことを思い出して、勝つしかない、優勝しかないと思っていました。襟しか持たせてもらえないので片方の襟を両手で握る背負投を仕掛けました。こういう時のために練習していた技です。大学でも日本一になることが目標。伊予柔道会と新田高校の先輩である中矢力選手のように、世界で活躍できる選手になりたいです」

11年8月10日インターハイ男子個人・66㎏級決勝・高藤直寿
写真:優勝の高市賢悟
【入賞者】
優勝:高市賢悟(新田高)
準優勝:仁田隆一(大牟田高)
第3位:竪山将(鹿児島情報高)
第3位:石内翔梧(高水高)
ベスト8:三留宏之(前橋育英高)、吉野隆(大垣日大高)、上口徹也(柳ヶ浦高)、山田大輔(花咲徳栄高)

【準々決勝】
竪山将○GS僅差△三留宏之
高市賢悟○総合勝(3:18)△吉野隆
石内翔梧○大内刈(1:44)△上口徹也
仁田隆一○横四方固(1:03)△山田大輔

【準決勝】
高市賢悟○GS僅差△竪山将
仁田隆一○内股(0:54)△石内翔梧

【決勝】
高市賢悟○優勢[技有]△仁田隆一

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