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インターハイ男子団体マッチレポート 準決勝~決勝

2011年8月23日

※eJudo携帯版「e柔道」8月14日掲載記事より転載・編集しています。

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インターハイ男子団体マッチレポート
準決勝~決勝 1/4


■準決勝 (上)

11年8月9日インターハイ柔道男子団体・準決勝・田村と作陽
写真:田村と作陽による準決勝
準決勝第1試合は作陽と田村、どちらが勝っても初の決勝進出となる、ともに波に乗っているチーム同士の対戦。

作陽 - 田村
(先)菊池遼 - 郡司駿
(次)白石公康 - 室井雄太
(中)塚本健太郎 - 大堀直也
(副)近藤駿 - 吉田洋平
(大)長澤憲大 - 大和田巧

エースの長澤憲大と大和田巧はともに大将。昨年インターハイ100kg超級3位の大和田は186cm、150kgの巨漢で組み手も上手い。一方、90kg級個人戦で優勝候補に挙がる長澤は攻撃力もさることながら相手の良さを消しながら攻撃する組み手も巧く、一発はあるが展開のバリエーションに欠けるところのある大和田からの「指導」連続奪取は容易に計算が立つ。大和田が勝利するためには長澤が前に出てくる、田村リードの展開がないとこれは厳しい。

ということでカギとなってくる前半4試合の組み合わせを見ていくと、やはり戦力的には作陽有利。田村のポイントゲッター大堀直也の位置には強豪の塚本健太郎が入っており、これは順当に見れば引き分けが濃厚。次鋒戦も実力は伯仲だ。
となると大艦巨砲タイプの菊池遼に試合巧者の郡司駿がマッチアップする先鋒戦、そして両軍ともにやや戦力がダウンすると見られる副将戦の2試合が勝敗のポイントか。作陽の副将近藤駿は一発の力を秘めており、これに吉田洋平がどう対抗するかが見もの。

11年8月9日インターハイ柔道男子団体・準決勝・郡司駿(田村)
写真:田村・郡司駿が
巧い左大内刈で「有効」奪取
先鋒戦は作陽・菊池に田村・郡司の顔合わせ。
菊池右、郡司は左のケンカ四つ。開始早々やや気負った菊池組み付くなり大きく右脚を振って右払腰を仕掛けるが、これを体捌き良く横移動して透かした郡司、ほとんど同時と言ってよい攻防一致のタイミングで左大内刈を鋭く合わせると菊池避ける間もなく倒れ「有効」。強豪連続撃破で勢いづく作陽にまさに冷や水を浴びせる一撃、田村にとっては理想的な展開。

さらに郡司はステップを踏んで腰を切る攻撃動作を連続して間合いを作ると、巴投に、横移動で相手を引きずり出しながらの左小内刈を連発して激しく攻める。菊池なんとか展開を切ろうと右内股巻込を仕掛けるが、郡司これを透かして菊池を伏せさせる。直後の1分27秒、菊池に「指導1」。

ここまで郡司に翻弄された形の菊池だが、ここで冷静に作戦変更。引き手を争いつつ釣り手のみの内股で展開を切り、さらに両襟を握って郡司を組みとめ、ジワリと前に出続ける。これで距離、攻防の展開スピードともにやや菊池にイニシアチブが移り、残り32秒で郡司に「指導1」。
後半の展開を考えるとポイントの上積みが欲しい郡司だが、菊池の圧力に以後の技は散発となりこの試合は終了。しかし田村、貴重な1点先制。

11年8月9日インターハイ柔道男子団体・準決勝・白石公康(作陽)
写真:作陽・白石公康(下)が
隅返で「有効」を奪う
次鋒戦は作陽・白石が右、田村・室井が左組みのケンカ四つ。室井開始早々肩車に飛び込みやる気十分、白石これに一瞬乗りかかってしまうがなんとかこれをこらえる。
室井は支釣込足で攻め、白石釣り手一本の片手右内股を放って室井を伏せさせる。
お互いに得点の気配を漂わせつつ試合が進んだ1分6秒、白石組み際に突如攻撃のコースを変え隅返を放つ。大きく体勢を崩しながらも一旦正面からこれを受けて耐えかけた室井だが、白石これを持ち上げながら横に落として「有効」。

なんとか取り返したい室井、右一本背負投などで攻め、2分15秒、白石の右袖釣込腰にいち早く反応し、横移動してこれをひきずり崩し、主審は「有効」を宣告。しかしこれは副審2人の異見アピールがあり取り消し。
室井なおも右一本背負投に隅返と激しく追うが、白石相手の掛けつぶれを利用して冷静に寝技で時間を使ってタイムアップ。作陽1試合で失点を挽回し、スコアはタイのまま試合は中堅戦へ。

11年8月9日インターハイ柔道男子団体・準決勝・塚本健太郎(作陽)
写真:作陽・塚本健太郎が田村・大堀直也を攻める
中堅戦は作陽・塚本が左、田村・大堀が右組みのケンカ四つ。
引き手の争いが続き慎重な序盤戦。1分、塚本が引き手を握りながらの左内股で大堀を伏せさせる。対する大堀は襟を握って横に走り塚本を引きずり出そうとするが塚本これに上手い間合いで距離をつめ動ぜず。

慎重な展開の中、組み手の形を作った塚本がクロスステップに足を継ぎながら腰を切る攻撃動作を何度か見せ、これを主審が攻勢とみて1分50秒大堀に「指導1」。
流れを渡したくない大堀は横走りに走って塚本を引きずり出そうとするが、逆にこれに距離を詰めた塚本が場外で出足払を放ち大堀を1回転させる(ノーポイント)。
以後、大堀右背負投を数度繰り出すが、塚本これに崩れながらも失点に繋げることはなく、いずれも横について潰し、寝技で応じ時間。この試合も引き分けで、スコアは1-1のまま試合の襷は副将戦につながれる。

11年8月9日インターハイ柔道男子団体・準決勝・近藤駿(作陽)
写真:作陽・近藤駿が思い切りの良い払巻込
「一本」で勝利
副将戦は作陽・近藤、田村・吉田ともに右組みの相四つ。
近藤、開始早々に迫力満点の右出足払で吉田を伏せさせ気合十分。引き手で相手の襟を握り、これを寄せては釣り手で奥襟を持ってよしだを追い詰める。組み手不利の吉田は右払巻込を仕掛け、自ら前に逃れてこの展開を切る。
43秒、近藤一瞬間合いを測って、思い切った右払巻込。これが吉田の右半身をガッチリ捉え、やや体を早く捨てた近藤に続き、やや時間差あって吉田が倒れこんで一回転。主審「技有」を宣告するが副審2人即座に異見をアピール、これは「一本」に訂正される。場内大歓声。スコアは2-1、作陽の1点リードで試合の行方は大将戦へ。

11年8月9日インターハイ柔道男子団体・準決勝・長澤憲大(作陽)
写真:作陽・長澤憲大は大和田巧の圧力を
いなしつつ攻撃を組み立てる
大将戦は作陽・長澤が左、田村・大和田が右のケンカ四つ。
長澤果敢に釣り手で奥襟を叩き、両者引き手を争いながらの片手の展開。大和田相手の釣り手をはじき出して寄せを試みるが長澤これに支釣込足を出して対抗。
細かく大和田を崩す長澤に対し、攻撃の形を作ることが出来ない大和田に59秒、「指導1」
機とみた長澤、両手で相手の片襟を握り激しく上下にあおると大和田ドウと伏せる。
大和田、前に出て圧力をかけようとするが、これを長澤いなし、ずらし回し続けながら攻撃。長澤が組み勝ち、大和田がこの圧力を逃がせずに膝を屈した3分32秒、ついに大和田に「指導2」。

その後は長澤リスクを犯さずに、釣り手を突いて距離をとっては、反撃を食う可能性の少ない技で攻撃を組み立てる。なんとか組み手を無力化するところまで距離を詰め、体を寄せて攻撃したい大和田だが長澤しっかり相手を突いて距離と角度をコントロール、大和田は払巻込、内股巻込と放つがいずれも中途半端な体勢からのものとなり効かず。このまま時間となり長澤が「指導2」での勝利、3-1で勝利した作陽がついに決勝の舞台へと駒を進めることとなった。

作陽 3-1 田村
(先)菊池遼△優勢[有効・大内刈]○郡司駿
(次)白石公康○優勢[有効・隅返]△室井雄太
(中)塚本健太郎×引分×大堀直也
(副)近藤駿○払巻込△吉田洋平
(大)長澤憲大○優勢[指導2]△大和田巧

作陽は次鋒白石の優勢勝ちが非常に大きかった。地力では勝ると見られた作陽だが、この準決勝の大舞台ではビハインドを続けるプレッシャーは尋常ではなく、また、田村としては形勢不利と見られた試合でのリードはどれほどチームを勇気づけるか計り知れない。時間が経てば経つほど「やれる」という感触は増し、作陽のミッション遂行確率はどんどん下がっていったはずだ。 しかし室井の隅返「有効」により、田村がリードを続けた時間は試合時間にして2試合合計僅か4分31秒のみ。すかさず取り返されたこの1点に間違いなく田村は決勝進出への大きな壁を感じたことだろう。残り時間で室井の猛追をしのいだことも含め、この試合のヒーローは白石ではないか。まさに勝負どころを知り尽くした一撃だった。

11年8月9日インターハイ柔道男子団体・準決勝・田村の選手たち
写真:東北の地から14年ぶりにベスト4に駒を
進めた田村の選手たち。準決勝を前に円陣で気合を入れる
一方敗れた田村だが、東北勢として14年ぶりのベスト4進出は見事の一言。昨年秋から前評判は高かったが、高校選手権は中止、金鷲旗ではベスト16で修徳に蓋をされて入賞はかなわず。しかし最後の全国大会となるこのインターハイでついに結果を残した。

例年中央のチームは春を過ぎると大きく伸び、地方のチームはここで差をつけられることが多いが、田村はむしろ昨年冬から今夏までに個々の選手が大きく成長していた。勿論組み合わせに助けられた面はあるが、何よりもこれが一番の勝因だろう。
室井、大堀らの成長はもちろんだが昨年インターハイ超級3位の大和田の進化にそれが良く表われている。2回戦の福井工大福井との試合では右払腰を仕掛けて相手が止まって耐えると、釣り手を離さず技を継続、約5秒の拮抗を経て相手が吹っ飛ぶという意識の高い技を見せていた。地方の巨漢タイプが早い段階で実績を残すと周囲に警戒されとかく巻き込み、掛け潰れという安易な技に頼る悪循環に嵌って成長が止まるケースが多い。正直昨年のインターハイの段では大和田にもその予感は濃く漂っていたが今年の大和田は違ったのだ。稽古の意識の高さが透けて見える一撃だった。

下山田惠一監督が「この世代が1年生の時に日本一を狙うと決めた」と語る自慢のチーム、大舞台でも怖じない試合振りは見事の一言だった。東日本大震災の影響で3月には稽古が1ヶ月中断したが「色々な人にお世話になり選手が人間的に成長した。活躍を見せることが恩返しだと思って頑張った。」とのこと。長年中央への人材集中が続いた高校柔道界にあって、田村の「東北標準」を超えた活躍ぶりは多くの人を元気づけたに違いない。

田村高・下山田惠一監督のコメント
「言葉だけでなく本気で、具体的に日本一を目指してきたチーム。せめてもう一つ勝ちたかった。これしかないという形で先制してペースを握ったと思いましたが、残念です。1-1で大将戦を迎えるまでは想定内でしたが、2失点は痛かった。勝負のポイントは中堅戦で、ここで「有効」ひとつが欲しかったですね。大和田と大堀で取れなかったらこのチームは勝てないので、これは仕方ありません。東日本大震災で稽古が中断しましたが多くの人に助けられ、ここまでたどり着くことができました。恩返しは結果を残すこと、福島の人たちに元気な姿を見せることだと言い聞かせて戦いましたが、それが出来たのであればうれしいです。決勝に進むにはまだ足りないものがある。ベスト4入りという大きな壁を越えましたし、このままでは終われない。また良いチームを作って戻ってきます」

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