PAGE TOP ↑

柔道1

柔道2
柔道4 柔道5

eJudoとは?情報募集・お問い合わせサイトマップ

皇后盃全日本女子柔道選手権大会展望

2011年5月2日

※eJudo携帯版「e柔道」4月15日掲載記事より転載・編集しています。

ドコモ版QRコード KDDI版QRコード
 docomo版QRコード    au版QRコード


皇后盃全日本女子柔道選手権大会展望

皇后盃全日本女子柔道選手権大会は4月17日、横浜文化体育館で行われる。

大会9連覇と一時代を築いた塚田真希(ALSOK)がついに引退、日本女子柔道が新たな一歩を踏み出す大会と位置づけられる今年の皇后盃は、東京世界選手権で78kg超級と無差別の2階級制覇を成し遂げた杉本美香(コマツ)と、同大会無差別3位で今年に入って杉本を凌ぐ成績を国際大会で残して成長著しい田知本愛(ALSOK)による次代のエース争いが目玉。
この2人による皇后盃をめぐる争い、さらには、両選手を擁して万全の布陣を敷く日本女子重量級、大きく水をあけられた第2グループの中にこの2人に追いすがる三番手の出現はあるかというのが今大会の2大焦点。
この2つの視点からトーナメントを4つに分け、各ブロックを俯瞰してみよう。

【Aブロック】
有力選手:石山麻弥、白石のどか、杉本美香

石山、白石と実業柔道界の実力者2人が配され、全体でみると昨年2位の杉本は密度の高い位置に置かれた。だが、ここは順当に杉本が勝ち上がると見る。

白石は選抜体重別では杉本の巧い崩しの前に教科書通りの払腰で一回転、実力差を見せつけられており一段力が違うという印象。
実業王者の石山は選抜体重別決勝で杉本とフルタイム戦い抜く善戦を見せたが、これは石山の相手の釣手を徹底して落として食い下がるという「相性」で試合を続けられたという面もあり、試合全体のどの時間帯を切り取っても杉本不利の状況はなかった。苦戦はありうるだろうが、どちらかというと杉本が次戦に向けてこの関門をどう突破するか、その内容に注目すべきブロックである。

このブロック序盤の注目対決を挙げるとすれば78kg級学生王者の川島巴瑠菜(北海道警)と、高校生の実力者・谷村美咲(帝京高3年)の対決。この対戦の勝者は次戦で杉本に挑戦することが出来、キャリアの上でこのカードを踏めるかどうかは今後に向けて大きい。
杉本の対戦順は、2回戦で谷村-川島の勝者、3回戦で白石、準々決勝で石山。前述のように杉本の動き、内容、生命線である崩しと足技の精度、さらにはどこまで消耗すくなく勝ち上がることが出来るか。このあたりが注目だ。

【Bブロック】
有力選手:市橋寿々華、山部佳苗、阿部香菜

ベスト4争いという観点でみるとここが一番面白いかもしれない。市橋、山部の新鋭2人による争いだ。
山部は既にシニアの国際大会でも活躍、12月のグランドスラム東京では杉本美香を破って名を上げた。
一方の市橋は東海大で田知本愛の同級生。長年田知本の陰に隠れて高校時代ほどのインパクトを残せていなかったが、昨年の学生体重別選手権準優勝あたりからジワジワと成績を残し始め、選抜体重別初戦では山部を開始早々の支釣込足で一蹴するなどブレイクの気配が漂い始めた。少なくとも選抜体重別では今までと一味違う「覚悟」を漂わせ今後に期待を抱かせた市橋、この市橋と、ジュニアの星として活躍を続けて国内三番手を狙う位置につける山部の争いがこのブロック最大の焦点だろう。

山部は初戦で阿部香菜との対戦が有力。
技の切れる阿部は、超級の山部といえども油断がならない。阿部には対重量選手向きの担ぎはないが、回しこんで重い選手を転がすタイプの内股も持っており、ケンカ四つであり圧力を凌ぎつつ攻撃することも不可能ではない。接近してしまえば山部有利は動かしがたいはずだが、この対戦はひとつ序盤のみどころのひとつにあげてよいだろう。

【Cブロック】
有力選手:田知本愛、緒方亜香里、池田ひとみ、萩原久美子、岡村智美、上野巴恵

田知本愛のブロックには世界選手権銅メダリストの緒方亜香里を始め岡村、池田、萩原と78kg級の有力選手がズラリ。

田知本の初戦(2回戦)はなんと緒方。3回戦は上野巴恵との対戦が濃厚。
萩原は2回戦で岡村と対戦し、勝者が池田ひとみと対戦、これを勝ち抜いたほうが準々決勝で田知本と対戦する。
コンピューター抽選とはいえ、皇后盃は今年も相も変わらず興行、強化の2つの視点は全く無視。無粋極まりない組み合わせで少々ガッカリだ。

緒方は昨年(78kg級のライバル佐藤瑠香と1回戦、勝ってV候補筆頭の塚田真希に敗退)に続き非常に厳しい組み合わせ。
一方、昨年3位の萩原を始め、岡村、池田らは3回戦までの小ブロックで、「78kg級選抜体重別」第2ラウンドを行うという形となり超級の有力選手との対戦はナシ。

繰り返しになるが、78kg級の有力選手たちが超級の中堅どころとどれだけ戦えるかというのは、ファンの興味という観点からも、世界選手権無差別級代表決定に向けた戦闘力の見極めという点からも非常に重要なファクターと思われるのだが、今年も繰り返されたこの「意味の薄い」組み合わせ。公平性の確保と強化、人気のどちらが大事なのか、そろそろ考え直しても良い時期なのではないだろうか。

ここはベスト4争いということではほとんど波乱要素はない。
緒方はガップリ自分の組み手を作って勝負するタイプで、典型的な超級本格派の田知本を崩すのは相性的に難しい。勝ち上がりは田知本で決まり、どこまでスタミナを消費せずに勝ち上がるかが課題というところだろう。

【Dブロック】
有力選手:立山真衣、平岡麻美、大野陽子、井上愛美、渡部紫織、池崎春華

このブロックは混戦。立山真衣が第一の勝ち上がり候補だが、他は人材がやや薄く、かつ立山は決して安定感のある選手ではない。面白い試合が期待できそうだ。

初戦、世界ジュニア王者の井上愛美と平岡麻美がマッチアップする試合は注目。78kg級ながら平岡のパワーは抜群。豪快な一本の一方、「飛ぶ」ことも多い井上が果たしてこれに対抗できるか。
今年のインターハイ優勝候補の渡部紫織は初戦で九州地区予選をオール一本で勝ち上がってきた池崎春華と対戦する。池崎に一日の長があると見るがここで渡部がどこまでの試合を見せるか。
立山真衣に初戦で挑戦するのは選抜体重別70kg級2位の大野陽子。普通に考えれば立山の勝ち上がりは堅いが、攻め手の遅い立山に対して、ガンガン攻めるのが売りの大野が手数で先手を取るという展開はありうるところ。大野にとってこの展開を作ることがまず理想だが、攻めながら冷静さを保てるかどうかが課題。昨年から大野が遮二無二攻める場面には危うさもあり、立山が、接近してきた大野をピシャリと返すというパターンもまた容易に想像がつく。乗っている大野と実力者立山、これも序盤の注目対決だ。
立山はこの試合を突破すると、池崎-渡部の勝者と3回戦、準々決勝は井上-平岡の勝者との対戦が濃厚だ。

【準決勝以降】

準決勝の組み合わせは杉本-山部or市橋、田知本-立山のマッチアップが濃厚だ。
力関係から準決勝では波乱の可能性は薄く、決勝は高い確率で杉本-田知本の頂上決戦が実現するとみて良いだろう。

杉本は世界選手権2階級王者で実績的には格上だが、世界選手権以降の各種大会の成績、内容を見る限り、今乗っているのは田知本のほうだ。
両者がジックリ組みあう展開で試合が推移すれば、有利なのは田知本。一方、動きの激しい試合でお互いの「きっかけ」が多い試合になれば技の切れる杉本にチャンスが出てくるだろう。この構図をもとに試合を考えるべきだ。

海外の巨漢選手にも組み手で有利を作り、相手を手詰まりにして「指導」を奪いながらペースを掴むのが田知本の柔道。田知本としては杉本を組み止めて勝負していきたいはずで、こういうアクション、インシデント自体が少ない組み手ベースのスタティックな展開になると軽量の杉本は厳しい。
杉本としては、とにもかくにも田知本を動かす展開、田知本が片足を挙げて踏み込んでくる、杉本のリアクションに田知本が応じるような展開を作らねばならない。序盤はリスクを犯しても攻め込んで先に「指導」を奪い、田知本が仕掛けてこざるを得ないような展開が理想だろう。
いずれ、どちらが勝っても10年ぶりの新チャンピオン誕生。日本女子柔道史に新たな1ページを刻むのは杉本か、田知本か。決勝はファンにとって見逃せない戦いとなるだろう。


※eJudo携帯版「e柔道」4月15日掲載記事より転載・編集しています。

ドコモ版QRコード KDDI版QRコード
 docomo版QRコード    au版QRコード


→eJudoトップページに戻る
→「ニュース・マッチレポート」に戻る


supported by KAYAC 運営会社サイトポリシー  RSS copyright (c) 2005 ejudo all rights reserved.