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全日本選抜柔道体重別選手権大会マッチレポート 最終日女子

2011年4月13日

※eJudo携帯版「e柔道」4月5日掲載記事より転載・編集しています。

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全日本選抜柔道体重別選手権大会マッチレポート
最終日女子(48㎏級、52㎏級、57㎏級、63㎏級)


意地見せた!山岸絵美が世界王者2人を連破し久々のV
【48kg級】


11年4月3日選抜柔道体重別選手権大会・48㎏級・浅見八瑠奈の1回戦
写真:1回戦、浅見が伊部の背負投を捌く
東京世界選手権王者の浅見八瑠奈(コマツ)、ロッテルダム世界選手権王者福見友子(了徳寺学園職)、さらに国内では上記2人に迫る成績を残す近藤香(日本生命保険)、実力世界一の評もある山岸絵美(三井住友海上)と強豪が揃ったこの階級は男女を通じた国内最激戦階級。いずれの選手もアジア選手権には派遣されず全員が顔を揃え、今回は間違いなく五輪、世界選手権よりもレベルの高いハイレベルトーナメントが実現した。

1回戦の注目対決は第1試合の浅見八瑠奈-伊部尚子(ぎふ柔道クラブ21)戦。昨年選抜3位の伊部も間違いなく世界で戦える実力を備えた選手で浅見にとっては全く気の抜けないカード。
浅見は右、伊部は左組みのケンカ四つ。フットワークの良い伊部は釣手の出し入れのスピードが非常に早く、組み手の段階で浅見はやや後手を踏む。浅見それでも右小外刈、片手の右内股を打ち返して流れを切ろうと試みるが、1分過ぎから伊部は左背負投、左一本背負投と技を集めて手数で攻勢。

攻防はやや伊部有利もほとんど差はなく一進一退。なかなか主導権を握れない浅見、3分すぎに流れを変えようと組み際の右小外刈から朽木倒を見せる。伊部がこれを伏せて耐えると、さらに組み際の低い右体落、右大外刈に右内股といずれも軽い技ながら手数を集中、伊部もこれに左内股を打ち返して対抗するという展開。
残り30秒を過ぎ、浅見が二段の小外刈から内股とつないだがポイントには至らず、試合はGS延長戦へ。

延長は開始早々から伊部が左払腰に左小内刈、小外刈と良く技を出す。浅見は得意の、相手を引きずり崩すような右支釣込足を見せるが手数はやや伊部優勢。
残り1分30秒、場外際で縺れたところから、伊部が外側に向かって掬投。浅見は斜めに畳に落ちる。場内であれば間違いなくポイントの技で、いったんは「待て」を宣告した審判団も試合を止めて合議となる。しかしこれはビデオ確認の結果ノーポイントとなり試合続行。
11年4月3日選抜柔道体重別選手権大会・48㎏級・福見友子の1回戦
写真:1回戦、福見が塚原を縦四方固に
捉える
一進一退の攻防となるが、残り30秒を切り、浅見が場外で右背負投。伊部斜めに倒れるがこれは完全に場外出てからの攻防で主審は迷いなく「待て」を宣告。
このまま時間となり、勝敗の行方は旗判定に委ねられることに。
旗は2本が浅見、1本が伊部に上がり、僅差2-1で浅見が勝利。浅見辛くも初戦を突破した。

試合は一進一退で、技をまとめて手数で攻勢の時間帯を作ったのはどちらかと言うと伊部。ポイントにつながりそうな崩しの回数、終了間際の場外での背負投で審判が浅見に上げる「理由」が出来たのが大きかったのではないかと思うが、旗の結果が逆でも全くおかしくない小差の試合だった。

このほか1回戦は福見が塚原唯有(環太平洋大3年)を縦四方固、山岸が黒江優希(山梨学院大4年)を大内刈、近藤が濱口光(了徳寺学園職)をGS指導2で降して順当に準決勝進出。

福見、山岸は順調な勝利だったが近藤はもたついた。GS延長戦が始まるなり技をまとめて「指導」奪取での勝利だったが、元気が売りのはずの近藤がやや覇気のない試合。次戦以降に不安を残した。

11年4月3日選抜柔道体重別選手権大会・48㎏級・浅見八瑠奈と近藤香の準決勝
写真:近藤(左)と浅見の準決勝
準決勝の第1試合は浅見八瑠奈と近藤香が激突。前回の対戦(グランドスラム東京)では近藤が小内刈「有効」で勝利している因縁の対決。
浅見右、近藤ともに右組みの相四つ。
浅見気合の入った表情で攻め続け、一方の近藤はいつもの圧倒するような迫力が感じられず組み手、技出しともに後手を踏む。
45秒、浅見が左袖釣込腰を見せた直後、近藤に早くも「指導1」。
このまま両者が膠着すれば浅見にアドバンテージという状況だが、浅見は攻撃を継続し、組み際の右体落、さらに2分には左一本背負投で近藤を伏せさせる。近藤右体落に左背負投で対抗するが、2分59秒、技の止まった近藤に「指導2」。
以降も浅見が組み際に技を集中。大内刈に右片襟背負投で先手を取り、両袖を絞り合った膠着の体勢からも大内刈に左袖釣込腰と技を出し続ける。

一方の近藤は完全に流れを失ってしまい反抗のきっかけが掴めない。残り20秒を切ったところからようやく前に出て袖釣込腰を見せたが時すでに遅く時間。浅見が「指導2」の完勝で決勝進出を決めた。
近藤は一体どうしたのだろうか。試合場がビリビリするような気合と威圧感、常に前に出ることで展開を握るのが身上のファイター近藤がこの日は打って変わった大人しい試合ぶり。前に出れないことで組み手で後手を踏み、担ぎ技に小内刈、巴投の得意技も繰り出す場面すらほとんど作れなかった。
持ち前の強気の試合ぶりで強化入り、ここまで2年にわたって48kg級戦線をかきまわしてきた近藤。今回は代表争いのカギを握る選手と目されていたが、肝心のこの本番で近年でもっとも悪いパフォーマンス。単に敗退という結果を超えて、これまで積み上げてきた評価が崩れかねない不甲斐ない内容での敗戦だった。

11年4月3日選抜柔道体重別選手権大会・48㎏級・山岸絵美と福見友子の準決勝
写真:準決勝、福見が背負投で山岸を攻める
準決勝第2試合は福見友子-山岸絵美の大一番。本来準決勝は2面同時進行だが、強化サイドの意向か、敢えて進行を止めて準決勝第1試合終了後、他試合も止めて会場ではこの1試合だけが行われることとなった。
福見、山岸ともに左組みの相四つ。
山岸が引き手を抑えると福見が左一本背負投に切り返すという展開で幕開け。

序盤は比較的静かな展開。福見が丁寧に試合を進め、リスク管理の整った組み手から釣手を上下に振っての左小内刈、左背負投などで攻める。
福見が左大内刈を繰り出した1分35秒、山岸に「指導1」。
以後も福見は組み手、崩しとも非常に丁寧に試合を進める。2分には福見が奥襟を叩き、山岸は脇を突いてこれを守る防御態勢を強いられる場面も。
釣手の良く動く福見、2分25秒には釣手を大きく振っておいての右一本背負投で山岸は横倒し、さらに左背負投と攻勢を継続。山岸は釣手を切り離しておいての左片襟背負投で応戦。一進一退ながら、これまでの序盤戦、やや流れは福見という展開。

中盤の2分25秒、福見が片襟を抑えてやや膠着したところに、山岸思い切った横巴投。福見尻もちをつく形で横に倒れて観衆ハッと息をのむがこれはノーポイント。しかし山岸はこれをきっかけに前に出始めてさかんに足を繰り出す。山岸の足をぶつけるような左小内刈を福見が左背負投に辛くも切り返した後の4分10秒、福見に「指導1」。この時点でポイント差がなくなり、試合はそのままGS延長戦へ。

11年4月3日選抜柔道体重別選手権大会・48㎏級・山岸絵美が大外返をまたぐ
写真:残り数秒、山岸が場外で福見
の大外返をまたぎ倒す
延長戦、気合を入れなおした福見は組み際の大外刈で山岸を伏せさせ、さらにまたもや組み際に引き手を抑えて逆(右)に一本背負投。これは深く入り山岸ほとんど回りかけるが、横について辛くも押さえきってノーポイント。

延長1分すぎ、福見が奥襟を叩くが、強気の山岸そのまま前に押し返して左大内刈、さらに左背負投2連発から崩れた福見に寝技勝負を挑むなど次第に主導権を握り始める。
直後、山岸はひざ車で崩しておいての巴投。さらに残り1分を切り、福見が苦しい体勢から放った低い左背負投を立ったまま制し、大外刈で場外に転がすなどどうやら流れは山岸。

残り30秒を切り、福見は相手を引き出しながらの巧い左小内刈。ところが山岸、タイミング抜群のこの技に崩れるどころかたたらを踏んで逆に左背負投を繰り出して福見を追い詰める。
さらに波に乗った山岸は、残り数秒、場外際で左大外刈を放ち、刈り足で福見の膝裏を捉える。体勢をやや崩した福見がこれを後ろ回り捌きの大外返でいなそうとと反転した刹那、いちはやくこれに反応した山岸は抱きついて右小外掛。福見ドウと畳に落ちるが、これは位置が悪く場外となり「待て」。
これがこの試合最後の攻防となり、時間。
旗は2本が山岸、1本が福見。僅差2-1の判定勝ちで山岸が決勝に進出した。

山岸の闘志溢れる試合ぶりは見事。ガップリ組みあえば山岸に多少の分があり、長い時間の戦いの中で福見にプレッシャーが掛かっていったこと、また、福見が技を繰り出しても山岸は単にこれをかわすだけでなく着実に技を打ち返すことで次第に福見が仕掛けを封じられる形になったこと、これらが後半の山岸の盛り返しを支えたのではないか。特に、崩されても自分の形、自分の技でひとつひとつの攻防を終えるボディバランスと技術、執念は見事の一言だった。

11年4月3日選抜柔道体重別選手権大会・48㎏級・浅見八瑠奈と山岸絵美の決勝戦
写真:浅見(右)-山岸の決勝戦
迎えた決勝戦。浅見は右、山岸は左組みのケンカ四つ。
山岸が下、浅見が上から釣手を持ち、お互いに小外刈の打ち合い。30秒過ぎに浅見が片手で右小内刈、同じく片手の右内股を放つ。山岸、50秒には左大外刈から相手を回して崩し浅見を伏せさせる。山岸は左大内刈、小内刈、さらに大内刈と左足が実に良く動き、攻勢。
浅見、1分20秒の組み際に得意の二段の小外刈、1分40秒には引き手を握る刹那の右内股といずれも組み際の技に活路を見出すが山岸は崩れず。山岸、逆に両襟をガッシリ握る強気の組み手の左大内刈で浅見を崩す。

浅見は片手技が多くなり、手数は見せるものなかなか山岸を崩せない。得意の釣手側にひきずりこむような支釣込足で山岸を崩してきっかけを掴むかに思われたが、3分20秒過ぎから引き手を得た山岸が左内股、大外刈と技を集中させて山場を作る。直後の3分39秒、浅見に「指導1」。

11年4月3日選抜柔道体重別選手権大会・48㎏級・山岸絵美が攻め込む
写真:山岸が浅見を追い込んで攻める
以後も山岸が展開を握り、釣手を下から持ち、肘を畳み上げての右内股、場外まで追いこむ右大内刈などで攻める。残り15秒には小外刈から大外刈と繋ぎ、浅見を横倒しに畳に落とす(場外)。さらに山岸がコツコツと足技を当てて大外刈を見せるという展開のまま本戦は終了。試合はGS延長戦へ。

延長開始早々、浅見は得意の釣手一本の支釣込足。山岸が崩れたと見るや体を浴びせにかかるが、山岸が逆に崩れながらこれを透かして返し、上からかぶった有利な体勢で寝技へ。
浅見は片手で膝車、小外刈を放つが山岸も左小外刈を打ち返して展開を譲らず。1分には山岸が大内刈、小内刈と繋いで浅見は場外へ逃れる。

11年4月3日選抜柔道体重別選手権大会・48㎏級・山岸絵美の背負投
写真:山岸が残り数秒で背負投を放つ
以後も山岸の攻勢続き、1分過ぎには山岸の左内股、これは浅見が朽木倒に切り返して耐えるが、山岸はさらに左小外刈から朽木倒、左大内刈、左内股と攻勢。残り1分、浅見反撃の左背負投もこれを振り返して寝技で攻める。浅見はここで作戦を変えて両襟を握るが圧は掛かりきらず、山岸委細構わず足技で前に出続け、浅見は流れを取り返せない。
残り13秒、山岸が小外刈からケンケンで浅見を場外にはたき出す。

浅見の組み際の膝車を、山岸が左背負投で切り返したところで時間。
旗判定は2本が山岸、1本が浅見。山岸が僅差2-1の優勢勝ちで、08年以来の選抜体重別優勝を飾った。

負傷で国際大会で成績の残せなかった山岸、大会前の時点で世界選手権代表の権利は失っていたが、福見、浅見の両世界王者を連続撃破して意地を見せた形。切ったりかわしたりするのではなく、地力があるがゆえの勝利という試合ぶりで、あらためてその凄みを見せたという印象だ。
パリ世界選手権代表には規定路線通り福見と浅見が選出されたが、園田隆二・女子日本代表監督は48kg級の五輪代表に関して「山岸を加えた3名までが候補」と明言。大きく存在感を増した山岸、今後に向けて価値ある優勝だった。

山岸絵美選手のコメント
「たくさんの人たちに見守られて優勝することが出来ました。本当にうれしく思います。(世界王者2人との連戦だったが?)それはあまり意識せずに戦おうと思っていました。結果として勝てたのでうれしいですが、組み手も負けっぱなしだったし技も先に出ず、課題がたくさん出ました。五輪で金メダルを獲るのが目標なので、これからも頑張ります。応援宜しくお願いします。」

11年4月2日選抜柔道体重別選手権大会・48㎏級・優勝の山岸絵美
写真:優勝の山岸絵美
【入賞者】
優勝:山岸絵美(三井住友海上)
準優勝:浅見八瑠奈(コマツ)


【1回戦】
浅見八瑠奈○GS僅差2-1△伊部尚子
福見友子○縦四方固(4:21)△塚原唯有
山岸絵美○大外刈(2:29)△黒江優希
近藤香○GS指導2(5:28)△濱口光

【準決勝】
浅見八瑠奈○優勢[指導2]△近藤香
山岸絵美○GS僅差2-1△福見友子


【決勝】
山岸絵美○GS僅差2-1△浅見八瑠奈

次へ(52㎏級)


※eJudo携帯版「e柔道」4月5日掲載記事より転載・編集しています。

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