講道館杯全日本柔道体重別選手権大会・女子マッチレポート③70kg級、78kg級、78kg超級(2009年12月14日)
※eJudo携帯版「e柔道」11月17日掲載記事より転載・編集しています。 ![]() docomo版QRコード au版QRコード →eJudoトップページに戻る →「マッチレポート・ニュース」一覧に戻る ■70kg級・ロッテルダム銅の渡邊が一段上の実力を披露 (写真:渡邊(左)と國原の決勝戦) 決勝に進出したのは渡邊美奈(コマツ)と國原頼子(自衛隊体育学校)。 選抜体重別優勝・ロッテルダム世界選手権銅メダルの渡邊に昨年この大会王者の國原。優勝候補と呼ばれる選手がしっかり勝ち上がっての頂上対決となった。 渡邊は得意の担ぎ技が冴え初戦から好調。 定形美希(帝京大4年)を2分2秒袖釣込腰で投げつけると、準々決勝は飯田有香(山梨学院大3年)も僅か28秒、一本背負投で一蹴。準決勝は売り出し中の上野巴恵(三井住友海上)につけいる隙を与えず「指導」を2つ奪って完勝し、世界銅の実力を見せつけての決勝進出。 一方の國原の勝ち上がりも良い。 初戦は米山侑里(東海大4年)を寄せ付けずに59秒、一本背負投で勝利。準々決勝の78kg級から階級を下げダークホースとの評もあったベテラン長瀬めぐみ(岐阜県体育協会)との対戦では、激しい攻め合いの末に延長43秒小外刈で「有効」を奪い勝利。 勝負どころと見られたリオ世界選手権代表・岡明日香(コマツ)との準決勝では開始43秒に背負投で「技有」を奪いそのままガッチリ袈裟固。合技「一本」の完勝を収め、こちらも強さを見せつけての決勝進出となった。 決勝は渡邊、國原とも右組みの相四つ。 開始早々、國原が右の一本背負投で高く担ぎあげようとするが不発。逆にこの戻りの隙を、渡邊が手で相手の膝を抑える形で左一本背負投を放てば國原ストンと落ちて渡邊の「有効」。 実力者同士の対戦ではリードの有無が決定的な要素となる。僅か17秒のこの攻防で、渡邊がこの後の展開をガッチリと握った。 両袖の絞りあい、組み手の一手目の奪い合いとなったがリードのある渡邊は焦らない。 國原が片襟の背負投を連発した直後の1分58秒に渡邊に「指導1」が与えられたものの、2分53秒には両袖を絞りあったところから、渡邊が相手の右袖もろとも前に持っていく形で袖釣込腰に飛び込めば國原は渡邊の背中に乗ってしまい渡邊の「技有」。 3分24秒、後のなくなった國原の右背負投をしっかり見極めた渡邊、余裕を持って國原の釣手の肘を逆側に押し込んで返し隅落「技有」。 見事な合技「一本」でこの大会2年ぶり3度目の優勝を決めた。 (左:渡邊得意の左袖釣込腰「技有」) (右:國原の右背負投を渡邊が返して勝負あり) 世界選手権を経て精神的にも成長の見える渡邊。かつて上野雅恵に大きく離されてダンゴ状態だった2番手グループから完全に頭ひとつ抜け出した印象だ。 3位には上野巴恵を判定で破った今井優子(了徳寺学園職員)、岡明日香(コマツ)が入賞。優勝候補の4人がガッチリと上位を守った。 若手では前述の上野巴恵が中川愛子から一本勝ち(小内刈「有効」から袈裟固)、田知本遥(東海大2年)から小内刈「有効」で勝利して準決勝進出。昨年から不調だったが学生王者の田知本を全く寄せ付けない強さを見せ、復調ぶりを垣間見せていた。 【入賞者】 優勝:渡邉美奈(コマツ) 2位:國原頼子(自衛隊体育学校) 3位:岡明日香(コマツ) 3位:今井優子(了徳寺学園) (写真:優勝の渡邊) 渡邊美奈選手のコメント 「以前は自分の柔道が出来ればいい、と思っていたのですが世界選手権で意識が変わりました。以降は課題を持って練習するようになったと思います。 右の背負投、足技を中心に練習していたのですが、きちんと出せたとは言えない試合内容でした。次は渡辺はこんな技もやるんだというのを見せたいです。左は意識しないでも出るのですが、右は意識しないと出ない。しっかり稽古して自信のある技をもっと増やしたい。」 【プールファイナル】 渡邉美奈(コマツ)○優勢[指導2]△上野巴恵(三井住友海上) 國原頼子(自衛隊体育学校)○合技[背負投・袈裟固](1:05)△岡明日香(コマツ) 【3位決定戦】 今井優子(了徳寺学園)○GS僅差2-1△上野巴恵 岡明日香○GS僅差3-0△飯田有香(山梨学院大3年) 【決勝】 渡邉美奈○合技[袖釣込腰・隅落](3:18)△國原頼子 ■78kg級・躍進の大学1年生緒方、大物ぶりをみせつけて初優勝 (写真:決勝戦、飛び込みたい緒方(右)を池田が組み手の巧さでいなす) 決勝に進出したのは、07年2位の池田ひとみ(自衛隊体育学校)と、昨年2位、今季世界ジュニア王者の緒方亜香里(筑波大1年)の2名。 池田は初戦で小林悠佳(淑徳大4年)に袈裟固「一本」で勝利し、準々決勝ではジュニア世代のホープ、佐藤瑠香(八幡工高3年)から小内刈「有効」を奪い優勢勝ち。準決勝では優勝候補の岡村智美(コマツ)と対戦した。 身長173cmの岡村に対し池田は158cm。上背に勝る岡村を相手に池田は懐に食らいつき、30秒小内刈「有効」、58秒背負投「技有」、2分30秒体落「有効」と攻めまくってこれを圧倒。残り1分すぎに小外掛で「有効」を奪われたものの圧勝と言っていい内容で優勢勝ちし決勝に進出した。 一方、今季成長著しい緒方はその大物ぶりを遺憾なく発揮。 初戦は三戸彩渚(環太平洋大3年)を内股と横四方固の合技で仕留め完勝。 準々決勝は警察王者の強豪・ベテラン堀江久美子と対戦。常に組み勝って「極端な防御姿勢」の反則をもぎ取ると、4分27秒に豪快な内股で一本勝ち。 準決勝では優勝候補最右翼のナショナル強化選手・穴井さやか(ミキハウス)を相手に落ち着き払った柔道を披露。長身の穴井を相手に奥襟を叩いて頭を下げさせペースを握ると、得意の横三角からいわゆる「三角固」をガッチリと決め、1分45秒崩上四方固で一本勝ち。「寝技に入ったらいける」という読み通りの見事としかいいようのない内容で決勝進出を決めた。 (写真:緒方が上から持って攻撃を狙う) 決勝は池田、緒方ともに左の相四つ。 上背に大きく勝る緒方が釣手で奥襟を叩くと短躯の池田はすかさず一本背負投、袖釣込腰を掛けて展開を切り、緒方はなかなか自分の間合いで柔道ができない。 1分すぎから緒方は釣手を前襟に切り替えて左大外刈を狙うが組み手不十分で不発。 池田は緒方の前襟を握った釣手も切り離し、一方の緒方も釣手を先に抑えられることを警戒し迂闊に奥襟を叩けない。 ややお互いが見合う時間が長くなった1分36秒、組み合わないと見なされ両者に「指導1」。 緒方、得意の寝技に活路を見出そうと1分50秒すぎから連続で3回の横三角を試みるが、これは承知の池田、容易に脇を与えず「待て」。 以降、緒方が奥襟を叩いては、十分になる前に池田が掛け潰れる展開が続く。 3分22秒、池田が低い位置から釣り上げるように支釣込足を放てば緒方大きく崩れて腹這いに落ちる。 攻めあぐむ展開に業を煮やした緒方、遮二無二組みついて大きくあおれば池田たまらず頭を下げ、両膝をついて防御姿勢。 直後の3分27秒、池田に「指導2」。 これでポイント差がついたが、以降の展開も様相は大きく変わらず。 残り10秒を切って池田が右袖釣込腰、左大外刈を見せるが緒方なんなく捌き、横三角を狙って上に乗ったところで時間。 大学1年生、期待の若手の緒方が早くも全日本シニア大会での優勝を手に入れた。 持ち前のパワーだけでなく技のキレ、気持ちの強さと3拍子揃った緒方は間違いなく世界タイトルを狙える大器。今後の成長には大いに期待したい。 3位には穴井さやか(ミキハウス)、岡村智美(コマツ)の強化選手2名が入賞。意地を見せてグランドスラム東京の代表に滑り込み、代表レースに踏みとどまった。 【入賞者】 優勝:緒方亜香里(筑波大1年) 2位:池田ひとみ(自衛隊体育学校) 3位:穴井さやか(ミキハウス) 3位:岡村智美(コマツ) (写真:優勝の緒方) 緒方亜香里選手のコメント 「講道館杯で優勝するのが今年一番の目標だったので、自分の柔道をしっかりやろうと頑張りました。決勝の池田さんには、選抜で自分の組み手になれないまま負けてしまい、今日もそれを怖がって攻撃が遅くなってしまいました。組み手を持って早く掛けること、投げてからの寝技の入りを早くすることが課題です。シニアの大会ではまだ勝っていないので、グランドスラム東京はもちろん優勝を目指したい。来年こそは「自分を選んで」と言えるように、頑張ります。」 【プールファイナル】 池田ひとみ(自衛隊体育学校)○優勢[技有・背負投]△岡村智美(コマツ) 緒方亜香里(筑波大1年)○崩四方固(1:45)△穴井さやか(ミキハウス) 【3位決定戦】 穴井さやか○合技[小外掛・大内刈]△佐藤瑠香(八幡工高) 岡村智美○大外刈[2:15]△堀江久美子(兵庫県警) 【決勝】 緒方亜香里○優勢[指導2]△池田ひとみ 78kg超級・塚田真希、ベテランの巧さで順当に勝利 決勝に進出したのは圧倒的優勝候補の塚田真希(綜合警備保障)と、選抜体重別で塚田に土をつけ一気に2番手と目されるようになった杉本美香(コマツ)。予想通りの顔合わせとなった。 (写真:決勝戦、序盤の塚田(左)は引き手で襟を持って杉本に応じる) 塚田は組み手と試合運びの巧さ、バランスの良さを利して危なげない勝ち上がり。初戦は小山玲子(岩手県警察)を40秒、相手が出てくるところを体捌きで透かして体落「技有」から袈裟固の合技でこれを一蹴。準々決勝は山本恭奈(桜丘高3年)から大外刈で一本勝ち 。準決勝は強化選手の石山麻弥(帝京大4年)から「指導2」で勝利して決勝進出を決めた。 一方の杉本は2回戦で木村祐衣(大阪府警)に払腰で一本勝ち。準々決勝ではインターハイ王者の烏帽子美久(埼玉栄高3年)の挑戦を、28秒小外刈「技有」から抑え込んで退け、準決勝は2番手争いのライバル、田知本遥(東海大3年)を僅差2-1で押さえて勝利。決勝に進出した。 決勝は塚田、杉本ともに右の相四つ。 組み手は、杉本が右釣手から持ち、これに応じた塚田が左の引き手で相手の襟を握り突き放して釣手で奥を狙うという展開。 塚田払腰に支釣込足とつなぐが、釣手をしっかり持てている杉本崩れず。30秒すぎ、杉本思い切って右大外刈にいくが塚田これを跳ね返して動ぜず。 1分23秒、組み合わないと見なされ両者に「指導1」。 以降、組み手の手順を崩そうと両者の駆け引きが続くが試合は大きく動かず。 3分20秒過ぎから、塚田両襟を握って突如前へ。大外刈、大内刈、払腰と技をつなげば、直後の4分、杉本に「指導2」。 (写真:勝負どころの中盤、攻勢に出る塚田) 両者の力関係と塚田の巧さを考えるとこれは決定的なポイント。以降塚田奥を叩いて足技をつなぎ、杉本は反撃のきっかけをつかめない。 杉本、残り20秒を過ぎてから思い切った内股、袖釣込腰を見せるが塚田これを余裕を持って捌き時間。 決定的なポイントはなかったものの、ひとつヤマをしっかりと作った塚田が優勢勝ち。必要な時間帯にピンポイントで攻撃を集中させる試合運びの巧さが光り、講道館杯初優勝を飾った。 3位には田知本愛、石山麻弥(帝京大4年)の学生2人が入賞。実業王者の立山真衣(フォーリーフジャパン)は初戦から緩慢な動きで精彩を欠き、白石のどか(日本大4年)に2回戦で敗退。敗者復活戦にも進めず入賞を逃した。 【入賞者】 優勝:塚田真希(綜合警備保障) 2位:杉本美香(コマツ) 3位:田知本愛(東海大3年) 3位:石山麻弥(帝京大4年) (写真:優勝の塚田) 塚田真希選手のコメント 「久々の講道館杯で勝手が違って戸惑いました(笑)。勝てたことだけが収穫、という内容でした。トウブンへの思いは募る一方です(笑)。来年こそはリベンジしたいと思います。」 【プールファイナル】 杉本美香(コマツ)○GS僅差2-1△田知本愛(東海大3年) 塚田真希(綜合警備保障)○優勢[指導2]△石山麻弥(帝京大4年) 【3位決定戦】 田知本愛○合技[小外刈・横四方固]△山部佳苗(山梨学院大1年) 石山麻弥○優勢[指導1]△白石のどか(日本大4年) 【決勝】 塚田真希○優勢[指導2]△杉本美香 ※eJudo携帯版「e柔道」11月17日掲載記事より転載・編集しています。 ![]() docomo版QRコード au版QRコード →eJudoトップページに戻る →「マッチレポート・ニュース」一覧に戻る |
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