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マスターズ・スウォンマッチレポート⑥100kg級、100kg超級

(2010年3月3日)

※eJudo携帯版「e柔道」1月26日掲載記事より転載・編集しています。

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【100kg級】オール一本勝ち!穴井、完全復活の圧勝V

【日本人出場選手】
穴井隆将(天理大学職・WR1位)

10年IJFマスターズ100kg級決勝、穴井隆将-ファン・ヒーテ
(写真:グランドスラム東京の再戦となった穴井-ファンの決勝)

日本のエース、穴井隆将がオール一本勝ち、磐石の強さを見せつけて優勝を飾った。

1回戦はファーブル(フランス・WR13位)から「指導3」を奪った末に2分45秒、体落で一本勝ち。
準々決勝はパワーファイターのビアドリン(ベラルーシ・WR15位)を組み手で押し込み、僅か3分で4つの指導を奪っての反則勝ち。「前にもこういう試合になった相手」と、返し技を狙う相手に柔道をさせず、落ち着いた試合ぶり。無理にリスクのある技を掛けることもなく、危ない場面は皆無だった。

準決勝はロッテルダム王者、ラコフ(カザフスタン・WR4位)との大一番。
穴井は左、ラコフは右のケンカ四つ。
ラコフは右の一本背負投に抱きついての小外掛と組み手争いの中から大技の一発を狙い続けるが穴井いずれもしっかりと捌く。
1分9秒には穴井に「指導」が与えられるが動ぜず、足技で反撃。両袖の小内刈で相手を崩すとラコフ大きく浮いて、徐々に試合は穴井ペース。

1分40秒、穴井、下から釣手で横襟を握って絶好の形。すかさず内股を回しこんでケンケンで追えばラコフ耐え切れずに綺麗に宙を舞って「一本」。
キレ味鋭い投技に会場は大歓声。穴井、見事決勝進出を決めた。

10年IJFマスターズ準決勝・穴井隆将-ラコフ
(写真:穴井は強豪ラコフを豪快な内股で仕留める)

決勝、穴井の相手は韓国のベテラン、ファン・ヒーテ(WR2位)。
ファンは12月のグランドスラム東京決勝でも穴井と対戦。その際は組際の担ぎ技で「指導」を稼ぎ、終盤焦った穴井を得意の担ぎ技に嵌めるという万全のシナリオで優勝を飾っている。この試合のポイントは、穴井がまず自分の形で組み手を進めることができるか、ファンの掛け逃げを許さず、先手を取ることができるかどうかと思われた。

ところが試合が始まると様相は前回の対戦と全く異なり、穴井は相四つのファンを相手に易々と釣手で奥襟を掴んで連続攻撃。釣手が持てれば穴井は強い。
穴井のプレッシャーが強いのか、ファンは開始早々に組み手を嫌って両膝をついてしまう有様で前回の対戦が嘘のよう。

穴井、組み手で徹底的に展開を握り、20秒には袖釣込腰の形で内股を跳ね上げ、奥襟を握っては送足払で大きくファンを揺らがせる。ファンは背負投、袖釣込腰に掛け逃げるのがやっとで全く攻撃の形が作れない。

穴井、2分には引き手から持って内股、前襟を握って大外刈と迫力の連続攻撃。
2分24秒、穴井、深々と左背負投。内股・大外刈を警戒していたファン、全くといっていいほど反応できず気づいた時には穴井は既に股の中。ファンなすすべなく大きく宙を舞い、文句なしの「一本」。全くファンを寄せ付けない圧勝だった。

10年IJFマスターズ決勝 穴井隆将-ファン・ヒーテ
(写真:穴井はファンを寄せ付けず、鮮やかな背負投で「一本」)

穴井は4月の全日本選手権優勝以来のタイトル。オール一本勝ちの最高の形で「年間世界王者」の称号を手にした。

「全日本選手権以降、綺麗に勝とうと勘違いしていた。どんなことをしても勝つ、という執念が大事」と原点に戻った穴井は持ち味の投げ技が冴え、世界クラスの選手を圧倒。強い穴井の復活は今大会、日本男子の最大の収穫となった。

【入賞者】

優勝:穴井隆将
準優勝:ファン・ヒーテ(韓国)
第3位:ラコフ(カザフスタン)
第3位:ゾルゾリアニ(グルジア)

【決勝】
穴井隆将○背負投△ファン・ヒーテ

10年IJFマスターズ100kg級優勝・穴井隆将
(写真:優勝の穴井隆将)

穴井隆将選手のコメント
「背負投は自然に出ました。(ファンとの対戦で前回と変わったところは?)負けた試合のビデオを何度も何度も見て、自分は大人しいなと思った。技術・体力で足りない面はない、執念という部分、精神面が問題だなと。昨年の2、3月頃、自分が強かったときには何が何でも勝とうという気持ちで柔道をしていたが、全日本選手権で優勝して以降、綺麗に勝とうと、上を目指すあまりそのあたり勘違いをしてしまいました。今日は準決勝、決勝とやりたい相手と試合が出来てよかった。来年のこの大会ももちろん出ます。」

【100kg超級】王者リネールがV、鈴木桂治が負傷押して2位入賞

【日本人出場選手】
鈴木桂治(国士舘大学教・WR7位)
高橋和彦(新日本製鐵・WR12位)
立山広喜(日本中央競馬会・WR13位)

棟田康幸、高井洋平の離脱に鈴木桂治の不調も相まって人材不足が危惧されている日本の超級だが、今大会には復帰を賭ける鈴木を筆頭に、グランドスラム東京で見事優勝、国際大会での活躍の期待が高まる高橋、高橋と同世代の巨漢・立山と3人の代表を送り込んだ。

10年IJFマスターズ100kg超級、鈴木桂治-エルシャハビ
(写真:負傷を押して試合に臨む鈴木)

【1回戦】

売り出し中の高橋和彦は、歴代の日本代表と激戦を繰り広げてきた大阪世界選手権王者、ベテランのミハイリン(ロシア・WR9位)と対戦。

ともに左組の相四つ。
奥襟を叩いて頭を下げさせれば無敵の高橋、この大会の焦点は、外国人の巨漢選手を相手にその自分の柔道が貫けるかどうか。

10年IJFマスターズ1回戦、高橋和彦-ミハイリン
(写真:世界王者ミハイリンに挑む高橋)

ミハイリンは釣手で奥襟を叩いてくるが、高橋も引き手から持ち、独特の相手の頭をツルリとなでるような動作で、臆せずに相手の奥襟を持ちにいく。
組み勝った高橋の釣手をミハイリンは落としきれず頭が下がり、34秒、ミハイリンに「指導1」。

序盤はミハイリンに頭を下げさせられる場面もあった高橋だが、組みあううちに自信を得たか、引き手から持つ良い組み立てから奥襟を叩いての大外刈、大外巻込で攻め、2分8秒にはミハイリンに「指導2」。
ところがその直後の2分30秒、高橋が相手に抑えられた袖を切った動作に合わせてミハイリンが前に出て小外刈。決めはなく、虚を突かれて押された形の高橋ドスンと尻もちをついたが主審はこれに「技有」を宣告。ミハイリンがリードを奪った。

世界トップレベルの選手に善戦してポイントを積み上げながら投技であっさり逆転を許し、気持ちが折れても仕方のない状況ではあったが、しかし高橋はこれに気を落とさず高い位置で釣手を持って攻め続ける強気の柔道。組み手争いの続いた3分39秒、ついにミハイリンに「指導3」が与えられスコアはタイに。

4分を過ぎるとミハイリンは明らかに疲労し、高橋は両袖で釣り込んでの内股、内股巻込に両袖を制しての大外刈と攻めまくる。が、決定的なポイントはなく試合はゴールデンスコアへと縺れ込んだ。

疲労の色が濃いミハイリンに対し、延長も前に出て攻めまくる高橋だが、40秒を過ぎての「待て」でついに膝に手を当て、試合は消耗戦の様相。
しかしそれでも下がらない高橋は「始め」の合図と同時に果敢に前へ。
53秒、もはやいなすのが精一杯となったミハイリンについに「指導4」が与えられ熱戦に幕。高橋がミハイリンを倒し、堂々ベスト8に進出を決めた。

一方、同門・同級生の立山広喜は巨漢のファウステルス(オランダ・WR16位)に攻め手が見つからないままズルズルと「指導2」で敗退。
高橋、鈴木が大会通じて善戦を見せたことも相まって、篠原監督にはその戦いぶりを「気持ちが足りない」と酷評され、肩を落としていた。

【準々決勝】

肩の痛みが癒えず、当日朝まで「本当に試合に出るのかという状態」だった鈴木桂治の初戦の相手はエルシャハビ(エジプト・WR5位)。
右の内股、払腰で攻めてくる巨漢のエルシャハビを相手に、足技から入って慎重に試合を進める鈴木だが、1分12秒、足技を透かしたところに食いつかれて体勢を崩し、エルシャハビが「有効」を先行。
しかし攻め急がず足技で崩して機をうかがう鈴木、2分43秒、電光石火の左足車で巨漢のエルシャハビをスッポリ回して見事な「一本」。まずはベスト4へと駒を進めた。

10年IJFマスターズ100kg超級、鈴木桂治-エルシャハビ
(写真:エルシャハビから足車「一本」を奪う鈴木)

高橋和彦は、初戦のミハイリンに増してさらにラージサイズのエルナンデス(ブラジル・WR8位)と対戦。
大きいエルナンデスに腰を寄せるのは勇気がいるが、高橋開始から前に出て気合十分の攻撃。
場外に相手を押しこみ、エルナンデスの反撃の大外刈にもひるまず大外返で勝負に出る。

しかし2分、主審は高橋に不可解な「指導1」を宣告。
これは主審のミスと思われるが、却って奮起した高橋、攻め続けて左払腰を2回続けた2分36秒、エルナンデスに「指導1」。
さらに内股で相手を追いこんで両膝を畳につかせるという展開が2度続き、エルナンデスに「指導2」。
疲労が濃いエルナンデス、高橋の顔の出血を指摘して時間を稼ぎ流れを変えようとするが高橋の攻撃は止まらず、4分13秒「指導3」を加えて高橋の優勢勝ち。

切れのある技に欠けると自ら認める高橋であるが、パワーファイターを相手に組み勝っての連勝。持ち前の組み力の強さで海外の巨漢選手もねじ伏せ、準決勝に進出した。

また、第1シードのリネール(フランス・WR1位)は、さほど動きが良くないものの、長身を利して組み勝ち地元韓国のキム・スワン(WR11位)に柔道をさせず。僅か3分20秒で4つの「指導」を奪う完勝でベスト4に進出した。

【準決勝】

リネール(フランス・WR1位)○払腰△高橋和彦(日本・WR12位)

高橋左、リネールは右のケンカ四つ。
上背を利して釣手で奥襟を持ってくるリネールに対して、高橋しっかり下から釣手を突いて対応するが、リネールのリーチの長さは驚異的で、高橋がしっかり突いてなお間合いはリネールの制空圏内。

リネール右内股などで攻撃。1分すぎからはリネールはリーチの長さを利して引き手も制し、高橋は釣手で突いて肩を開いてもななおリネールの手が届いてしまう状態で、非常に苦しい展開。
リネールが右内股を見せた直後の1分33秒、高橋に「指導」。

10年IJFマスターズ100kg超級 高橋和彦-リネール
(写真:高橋を相手に先手を取るリネール)

しかし粘り強く戦ううち、リネールが疲労し、徐々に高橋も上から持つ展開が増え始める。 2分52秒には高橋に「指導2」が与えられるが、むしろ勝負はこれからといった顔の高橋、前に出始めて試合展開には光明。
しかし3分38秒、釣手を下から持った高橋、リネールの釣手を嫌いながら攻撃に出ようと前に出て腰を寄せたところにリネール、呼び込みながらの払腰。高橋ストンと落ちるように畳に背をつき、「一本」。

最後までリネールのリーチを捌けなかった形の高橋だが、本人も「(リネールは)想像していたよりインパクトがなかった」と語る通り粘り強く戦い、予想以上の善戦。今後に期待を抱かせた。

鈴木桂治○大外刈△ファウステルス(オランダ・WR10位)

一方、鈴木は巨漢のファウステルスと対戦。右肩の負傷を抱えた鈴木、ひとまわり以上体格差のあるファウステルスを相手に釣手の崩しが冴え、足技が良く出る。
2分17秒、一瞬の隙をついた左大外刈が見事に決まるファウステルス1回転。全盛期を思わせる美しい投技で、鈴木が見事決勝に進出を決めた。

【決勝】

リオ、パリ(無差別)、ロッテルダムと世界選手権3連覇中のリネール(フランス)に、アテネ五輪(無差別)、カイロ世界選手権100kg級覇者の鈴木がマッチアップの好カード。

鈴木左、リネール右のケンカ四つ。

規格外の長身を利するリネールは釣手で奥襟、或いは背中を持って内股で攻撃、これに鈴木は釣手をずらしならの小内刈など細かい足技で対抗。54秒には鈴木が小内刈から朽木倒に巧みな変化を見せる。

リネール、1分20秒に内股から小内刈と連続技を見せるが、2分を過ぎると、高橋戦同様内股、払腰の掛け潰れが非常に多くなり、動きが重い。2分の一旦沈み込んでおいての払腰、2分半の背中を持っての内股はいずれも鈴木がしっかり捌き、リネールはあっさり潰れてしまう。

足技を中心に慎重に試合を運んできた鈴木、十分戦えるとみたか3分には引き手を掴み、釣手で横襟という絶好の組み手から左大外刈に飛び込み場内大いに湧く。

リネール、先に掛けて攻勢点を稼ぐことに割り切ったか、奥襟を取っての大内刈、払腰などいずれも遠間から掛け、先につぶれる展開がさらに増える。3分41秒、鈴木に「指導1」。

10年IJFマスターズ100kg超級決勝 鈴木桂治-リネール
(写真:鈴木-リネールの決勝戦)

以降もリネールは同様の攻め。鈴木は足技と釣手の捌きでリネールを止めながらチャンスを伺い、4分に小外刈に内股、4分27秒には釣手を下から持ち出足鋭い大外刈から内股と大技を見せ、大いに期待を抱かせる。

試合はそのままゴールデンスコアへ。

「指導」ひとつ先行しているリネールは、背中を取って鈴木を止めておいての大内刈から、内股、払腰で潰れることを繰り返す。
対抗する鈴木は本戦同様、しのぎながら一発を狙うが、組負ける印象が残る苦しい展開。1分3秒に大外刈から内股を見せるが、リネールの掛け数を覆すには至らず、2分2秒、鈴木に「指導2」が与えられ熱戦に幕。ロッテルダム王者、フランスの第一人者リネールが優勝を飾った。

鈴木はグランドスラム東京までの不調、右肩のケガを考えれば大善戦。リネール戦もしっかりと技を捌き「負け試合」の印象はほとんどない熱戦だった。

引き手はほとんど掴んで押しているだけの状態で釣手一本での戦いだったが、逆に釣手の捌き、細かい足技と100kg級時代の良い特徴が発揮されて柔道自体の出来は非常に良く、相手をパワーで組みとめる、ねじふせるのではなく崩して隙を突こうという姿勢も安定感につながっていた。
まさに怪我の功名といったところで、篠原監督も「打ち込みしかできない状態でこれだけ出来た。もしきちんと稽古が出来たら・・・わかっているだろうな?」と鈴木に期待の檄。
これをきっかけに鈴木がかつての柔らかい柔道、足技で崩す柔道を思い出してくれればまだまだ世界の一線で活躍してくれるのではないか、十分そのような期待を抱かせるこの日の戦いぶりだった。

【入賞者】

優勝:リネール(フランス)
準優勝:鈴木桂治
第3位:高橋和彦
第3位:ファウステルス(オランダ)

【決勝】
リネール○GS指導2△鈴木桂治

10年IJFマスターズ100kg超級入賞者
(写真:入賞者。左から鈴木、リネール、高橋、ファウステルス)

鈴木桂治選手のコメント
「乱取りもやっていないので不安もありました。合宿に呼ばれた時点では試合に出るつもりもなく、初戦は「なんだこの感覚は!?」というくらいの違和感があり、正直ここまで出来るとは思いませんでした。リネールはやはり強かったが、練習のほうがやりにくかったです。肩はこのままいけばヨーロッパ遠征には間に合います。次はリネールにも勝ちたいです。」

高橋和彦選手のコメント
「初めから強い人とやるのがわかっていたので覚悟はありました。ミハイリンは力が強かった。リネールは想像していたよりはインパクトがなかったが、離れ際のところに出てこられるので巧さを感じました。まだまだ力が足りないんですけど、しぶとく研究していけばどうにかなるかなと思いました。ヨーロッパ遠征に向けて、組み手をしっかり修正していきたい」


※eJudo携帯版「e柔道」1月26日掲載記事より転載・編集しています。

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