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やりきる

講道館長・上村春樹氏による初の自伝的著書
上村春樹・やりきる
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著者:上村春樹
対象者:全ての柔道家
出版年:2011年6月
出版社:ユナイテッドブックス
ページ数:四六判上製 208P
価格:本体1600円+税

全日本選手権大会優勝、世界選手権優勝、オリンピック柔道競技優勝と選手として獲るべきタイトルを全て獲得、09年4月より講道館館長および全日本柔道連盟会長を務め現在の日本柔道界をまさにリーダーとして牽引する上村春樹氏による初の自伝的著書。

スポーツ書ではなくビジネス書の出版を表芸とするユナイテッドブックス社からの発刊ということもあり、単なる自伝ではなく、「使えるビジネス書」としての成立を前提に編まれており、この点柔道界発の書籍としてはやや異色の企画となっている。

本書の読みどころは2点。運動神経が鈍く、中学3年生時の100m走の記録が20秒フラットの「運動オンチの肥満児」であったという氏がいかにして三冠獲得という柔道競技者最高の栄誉を達成するに至ったかという氏の柔道史と、旭化成ホームプロダクツ株式会社で副社長まで勤めビジネスマンとしても一線で活躍した氏の語る組織論である。

年下のライバル山下泰裕氏との出会いや敗北といったエピソード豊かな前者も勿論柔道ファンにとっては文句なく面白く読める部分ではあるが、とりわけ興味深いのは後者。
「柔道」という教育的ジャンルの出身である氏の組織論にはリーダー論はもちろんのこと、とりわけ育成論、人間教育論が色濃い。柔道界のトップが語る育成論、リーダー論は柔道指導者にとっては見逃せないものであり、激動と言える改革のさなか、今後の柔道界の行く末を考えるという文脈でも一読の価値ありだろう。

また、かねてより柔道出身者で実業界で成功をおさめているものが多いとは言われてきたが、実際に彼らが柔道をどう学び、どう生かしたかが語られることは稀である。氏の中で柔道を通じて得たポリシーがビジネスの現場でどう生かされ、どう昇華されてきたのか、かつて柔道を経験した社会人であれば自身の体験と引き合わせて読むのも面白いはず。

柔道ファンにはあまり知られていないかもしれないが、実は氏の講演会は実業界で非常な好評。ビジネスマン時代には大手の卸売業、小売業各社での講演で各社のトップを唸らせたというその内容の濃さ、語り口の明晰さはぜひ体感してほしい。

若い世代の柔道修行者の読書はどうしても技術書、または列伝的な人物ノンフィクションに偏りがちであるが、柔道に隠されている、社会で生きていく上でのヒント、また、「柔道バカ」にならずに社会でしっかり生きていく覚悟を固めるという意味でも一読をお勧めしたいところだ。

単にビジネス書としての側面から見れば、画期的なものとは言いがたいという評価になるのかもしれないが、「柔道」との乗算であることで、我々柔道に多少なりとも携わった経験のあるものにとってはその面白さは倍増といったところ。

冒頭に「異色の内容」と記したが、全編を「やりきる」というキーワードで貫く本書に、読んでいく上での違和感はまったくない。柔道で得たもの、そしてビジネスの現場での昇華という内容は氏の中で不可分で、むしろ講道館長という立場で氏が何かを発信するのであれば、この形がベスト、この構成が必然だったのではないかと思われるほどだ。

本書の結び、中学校の武道必修化にも触れた一文では、「いずれ学校で武道を学んだ子どもたちが社会人となって社会に出てきます。近い将来、規律正しく、誠実な昔ながらの日本人が復活する兆しが見えると思うのは、私だけでしょうか」とのメッセージを発してこの書を終えている。この言葉にある通り、単に「昔は良かった」というような回顧論、理想論でなく、まさしく「いまをいきる」リーダーとしての生きた言葉の詰まった本であることも付記しておきたい。

投稿者:運営者

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【目次】
はじめに

第1章 勝ち方へのこだわり
 負けからのスタート
 「技あり」で満足してはいけない
 なぜ「一本勝ち」が必要なのか
 どうすれば「一本」取れるのか
 実力を出しきる
 自分の武器は何か
 自分の弱みを強みにする
 「ノーアイデア」はあり得ない

第2章 リーダーの人間力
 世界のリーダーを魅了する柔道
 リーダーに必要なのは「人間力」
 プラス20分で差をつける
 最後には「量」が勝つ
 当たり前のことをきちんとやる
 自信は持っても、過信はするな
 毎日の目標が自信につながる
 過ちを認めよ

第3章 逆転の発想法
 「逆転の発想」で敗北を自分の糧にする
 負けには必ず理由がある
 勝負どころの覚悟
 目標とする人を徹底的にまねる
 悩みぬかないと気づきは得られない
 よきライバルを見つけよ
 かわいい子には旅をさせよ
 好奇心こそ成功の源

第4章 試練を乗り越える底力
 柔道は負ける練習から始まる
 「負けたときの自分」をバネに
 本番前の儀式で緊張をコントロール
 限られた環境で自分をどう高めるか
 一流の環境で育った人が強いとは限らない

第5章 人と組織をつくる
 上村流「父ちゃん母ちゃん理論」
 リーダーはぶれない
 人は交わらないと鍛えられない
 適材適所を見極める力
 自分と異なる意見が重要
 生きている情報の集め方

第6章 いいヒヨコを育てるのがニワトリの役割
 たった一言が人生を変える
 卵ではなくニワトリが先
 リーダーの条件7か条
 リーダーはカリスマ性を身に着けろ
 リーダーは我慢が必要
 自分の頭で考えさせる
 与えられたものだけでは身に着かない
 柔道から学ぶ世間のルール

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